上演が決まった時から『壁抜け男』は最低でも3回は観に行こうと思っていたので再び上京して観てきましたw。
前に来た時は大雪で歩くのも大変だった浜松町ですが、この日は天気も良く観劇日和でよかったです。
私が前回遠征した時には洋輔くんのデュティユルでしたが、その1週間後に下村さんにキャストが変わりまして。一度キャストが変わるとそのままずっと長い期間という場合が多いこともあり…この日は下様だろうなと思っていました。デュティユル役は石丸さんと洋輔くんでしか観たことがなかったので、それはそれで新鮮で良いかもとこの日を迎えたのですが…なんと、再び洋輔くんに戻っているじゃないですか!
いや、キャスト表見るまではにわかには信じられない…と思ってましたが、本当に洋輔くんだった!前回で見納めかもと心のどこかで覚悟めいた気持ちがあっただけに嬉しかったです。
この日は天気がよくさらにバックステージイベントもあったこともあってか1階席はほぼ満席状態。前回6割くらいしか埋まっていない劇場を見ていたのでなんだかホッとしてしまった。年配のおじさんも多く見かけたので、もしかしたら招待のお客さんもけっこう混じっていたのかも?
カーテンコールも盛り上がって何度も幕が開いたのですが、壁抜け讃歌の客席合唱は1回きりでしたw。でも、キャストの皆さんとても良い笑顔で癒されました。壁抜けはこういったホンワカした温かい雰囲気がとても良く似合う。
出演者
デュティユル: 飯田洋輔、イザベル: 坂本里咲、部長/刑務所長/検事: 青木朗、八百屋/娼婦: 佐和由梨、デュブール医師/警官2/囚人/弁護士: 神保幸由、B氏(公務員)/警官1/看守1/ファシスト: 金本和起、C氏(公務員)/乞食/看守2/裁判長: 川原信弘、画家: 永井崇多宏、M嬢(公務員): 戸田愛子、A夫人(公務員)、共産主義者: 久居史子、新聞売り: 有賀光一
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
バクステイベント
まずは、この日行われたバックステージツアーについて少し。バクステイベントの日のチケットを取ろうかどうしようか発売日の時けっこう悩んだのですが、ちょうどこの期間に別の演目で遠征するよていだったこともあり思い切って確保したんですよね。今から考えてみれば…この決断が良かったんだと思ってしまう。
まずは舞台監督さんが登場して「舞台の転換」についてレクチャーがありました。壁抜けの舞台監督さん、思っていたよりもとても若くてビックリ!
質問コーナーではどうやって舞監になったのですか、というものもあったのですが…最初は演劇部の演者としてのスタートで、そのあと大学に入って演劇サークルで裏方とかやっていたら目をかけてもらってこの道に…みたいなことを話されてました。「自分は専門学校に通ったわけではないので、やる気があればできるので頑張ってください」って答えていたのがなんだかカッコいいなと思っちゃいました。
転換作業は全部人力でやっているという裏話に参加者から感嘆の声が上がってました。そのきっかけになるのは音楽だということで、一番分かりやすい例で冒頭の画家さんがペンを振り上げるシーンが挙げられてましたね。体験してみたい人はいませんか?となったとき、最初に手を上げた男性の方が選ばれて実践。最初はちょっと早すぎてしまったのですが(笑)再チャレンジで成功。これのタイミングとかも難しそうでした。役者とスタッフとの阿吽の呼吸で舞台の動きが色々と決まってくるんだなぁと思いましたね。
さらに、もう一つ出てきたのがデュティユルが宝石店に忍び込んで宝石を盗むシーンが挙げられました。ジッパーは「YKK」社のものだそうで、実際に舞台に上がって確認したところ取っ手のところに大きく「YKK」と刻まれてました。世界のジッパーの約9割がYKK社らしいです。で、この宝石シーンの再現を見本でやってもらいたいのですが・・・というくだりになり。すると、なんと、
デュティユルの家の扉から…飯田洋輔くんがBBのジャージきて登場してきたじゃありませんかっっ!!!
あまりにも予想外の突然の出来事だったので呼吸止まるかと思ってしまった(笑)。
バクステのイベントってあまり役者さんが出てこないんですよね。試してみましょうってくだりではスタッフさんが代役を務めることがほとんどだった。なので、まさかここで、洋輔くん本人が現れるとは本当に予想外すぎて衝撃度MAXにwww。私の心の中のテンションがおかしくなりそうに上がったのは言うまでもありませんw。
ちなみに洋輔くんが着ていたBBのジャージはよく着ていた「びーすと♡」っていうのではなくwww公式ジャージみたいなものでした。デュティユルのヘアスタイルと髭付きであのジャージ姿・・・なんとも違和感ありまくり(笑)。
いざ、再現というところで「まさか本番終った後にもう一度このシーンやるとは思わなかったので」とタジタジの洋輔くんがひたすら可愛いww。緊張するって言いながらも、警官を追い払う動作から本番モードに。ジッパーを開けて宝石店に忍び込み、見事に宝石盗み出して外に出て再びジッパー締めて…「やっ・・・」と歌いかかったところで再現終了ww。音が鳴っている間にジッパーを締めなければいけないのがとにかく大変だそうで、それまでに色んな感情が「すげぇ」と連呼する洋輔くんに若さを感じました(笑)。
いよいよお客さんがチャレンジということで、選ばれたお客さんにレクチャーしてたんですが・・・かなり熱心に気持ちの部分から教えているようでしたね。入る前はこんな気持ちで、入った後に盗む宝石の取る順番までご丁寧に解説w。そこから出た後のジッパーの締め方まで穏やかながらも熱血指導している様子でした。
「ちょっと前から見ても良いですか?」とか「成功してしまったら僕の立場がないんで・・・」とかコメントしてる洋輔くん(笑)。それでもチャレンジ直前までデュティユルの気持ちを解説しているという熱血さが洋輔くんらしいなと微笑ましかったです。
で、チャレンジしたこのお客さん、洋輔くんの熱血レクチャーのかいもありなかなかの芝居巧者。見ていた洋輔くんたちも「いいね、いいねぇ!」と感心することしきりだったのですが、そこに時間を取りすぎて音楽が終わりそうになると「あ、早く、早くっっ!!」ってめちゃめちゃ急かしてて笑ったwwww。結局時間内にジッパーを締めるのには失敗してしまいましたが、芝居の部分がとても良かったと絶賛していました。舞台からお客さんが戻ろうとするときに「ありがとうございました」と自ら手を差し伸べて握手してる洋輔くんの姿にちょっとジンときた私です。
次に、裏方転換で役所のパネルが登場。部長が怒り狂っておかしくなって連れて行かれるまでが再現。前と奥のパネルの上がり方が音楽と役者の動きに合わせて微妙に違うそうです。「あ、ぼくですね」とワタワタ定位置につく洋輔くんがまた可愛くて萌えww。
音楽に合わせて、何と奥から公務員役の川原さん、久居さん、戸田さん、金本さんがわらわらと現れ出して洋輔くんが目を白黒させてビックリwwww。いや、これ、私もビックリしたよ(笑)。もうこの時の笑顔がめっちゃ可愛くてたまらなかったですわ。そのあと、役所から帰ろうとするデュティユルのソロを洋輔くんが歌ってくれて。本番さながらに気持ちこめて歌ってくれてホントに感動しました!!転換とかそっちのけでもう、それだけに気持ちが持って行かれてしまったという(爆)舞監さん、すみません!
再現シーンが終わった後、再び戸田さんたちが登場してそれぞれ役名と併せた自己紹介。役柄が多い人は一つ一つ紹介するのがちょっと大変そうでしたw。このあと洋輔くんを交えて軽くトーク始まるのかな?とワクワクしたとたんに役所のベルが鳴り響き、あわてて帰る公務員そのままに去って行ってしまいましたw。洋輔くんはその様子見て、あ、もう終わりなのか?みたいにちょっとポカンとしてて。そのまま次の話題になろうとしたときに自分がどこに行けばいいのかワタワタし始めちゃって(笑)。それに気づいた舞監さんが、洋輔さんももういいですよってことになり・・・、皆の後を追いかけるように客席に向かってハニカミ笑顔で大きく手を振りながら去っていきました。
いやぁ、もう、私にとってはこの上ないサプライズでございました!!まさか洋輔くん出てきてくれると思わなかったよ!!感無量です。
この後いよいよ舞台に上がって実際のセットを見ることになったのですが、私は申込みがけっこう遅くなってしまったので後ろのほう。待っている時間帯は客席からの質問に舞監さんが答えていくというスタイルが取られました。最初にも書きましたが、舞監さんに関する質問もいくつか飛んでまして、そのたびに飾らない言葉で解説されてる姿に非常に好印象を持ちました。最初に担当したのは「王様の耳はロバの耳」だそうで、この時の思い出がかなり残っているんだとか。やってみたい作品としてはディズニーをまだ一度も体験したことないのでやってみたいと話してましたね。
そのほか覚えている質疑応答をいくつか。
バラの花の配置は?
一つ一つに番号がついていてバラの花の配置が全部決まっているとの事。休憩時間に3人がかりでちゃっちゃと。
デュティユルが壁を抜けるシーンについては?
差支えがあるのですみません(笑)
スタッフは全部で何人?
舞台監督は1人でキュー出しとかしてます。そのほかに細かい裏方5人、音響3人、照明1人、フォロー3人、衣装1人
俳優がすごいなと思う時は?
劇団四季の役者は稽古量が半端ないのに驚きます。
生演奏で上演することはもうない?
録音には録音のメリットというものがあるので何とも言えないけれど、会社のほうによければ直訴してみてくださいw。
壁抜けの全国ツアーの時も同じセット?
全国ツアー版の舞台セットも存在してます。ツアー版はイザベルの部屋がコンパクトに作られてます。
場ミリについて
デュティユルの机は2種類あってシーンごとに違うし、配置位置も微妙にずれてます
開幕までにどんな仕事してますか?
各担当さんが持ってくる一つ一つの仕事を総合的に見てまとめていく感じ。お稽古にも付き合って指摘したりもします。
パン屋から宝石店に移り変わるシーンは連動してる?
連動しているのではなく、タイミングを見て転換しています。画家さんに合わせて動かしてます。イザベルの電気もタイミングに合わせて消したりしてます
四季のセットはみんな長野の倉庫にしまってますか?
ロングラン以外のレパートリー作品のセットもみんな長野の倉庫に保管してます。良い所なのでぜひ見学に行ってみてください
<バクステでの発見>
デュティユルが1幕で打っている手紙、余白の部分に日本語訳が書かれててビックリ(笑)。役者は実際にはこの部分を読んで歌っていないと思う、とのスタッフさんのコメントでした。
デュティユルの油絵の肖像画。これは前回公演のときのものに髭を付け加えただけのものらしい(笑)。坂本さんだけ新たに描きなおしたと。ちなみに、ラストシーンの壁画はちゃんと1から描きなおしたようです。
娼婦につけるネックレス、後ろを合わせるとすぐに光るようにできていた!ちなみにこの日の公演では洋輔くんちょっと合わせるのに失敗してたなw。2幕に出てくるネックレスは別物なので光らずとのこと。
ビスケットは本物だけど、珈琲は皆飲んでいる芝居のみ。なので飲み物なしで毎回食べているということで、口の中ですぐに溶けやすいものを使っているそうな。
金庫をの裏を見てみると色々標語が貼り付けてあった。面白かったのが「金庫は心」と「大切なのは振り返らないこと」っていう貼り紙w。
解説にもあったように、バラの花の茎にはちゃんと一つ一つ番号のテープが小さく張られてて、舞台裏には微妙に違うバラの花がきちんと保管されていた。
金本さんの看守さんの帽子にはサッカーボールがついているw。
こんな感じでバックステージイベント終了。16時から始まってすべてが終わったのが17時15分過ぎくらい。待ち時間も質疑応答などがあってとても濃い内容で面白かったです。個人的にはもう、洋輔くんが出てきてくれただけで感無量(笑)。
本編感想
さて本編について。
初めて観る方も多かったようで笑いが起こるシーンもちょこちょこあって乗ってるなぁと思える舞台で良かったです。やっぱり客席から新鮮な反応があると嬉しいですよね。それにしても、舞台に上がった時に客席を眺めてみたんですが…後ろの方の席まで予想以上に顔が判別できる感じでビックリしました(汗)。真ん中あたりの席でゴーゴー泣いている私はかなりヤバイ目立ち方をしているのかもしれないww。
今回新しいキャストとしてデュブール医師に神保さんが入られました。神保さんは以前レミゼのアンサンブルでずっと拝見してて…四季に入ったと知った時にはビックリしたんですよね。あの当時から比べると…神保さん、老けたなぁ…としみじみ思ってしまった(汗)。
まだこの役に入って日が浅いからか、ちょっと段取りを追うのに精いっぱいという感じが否めませんでした。私の中で強烈に印象に残っているのが退団された寺田さんなのでなおさら物足りなさを感じてしまうのかも…。役柄としてのスパイスがまだ神保さんにはないなぁと。警官役ももっと情けなくしてもいいと思うしそのあたりがちょっと残念でした。歌は相変わらずお上手なので、何本かこなしていくうちに役が馴染んでくるんじゃないかなと思いました。が、その頃にはもう壁抜け終わっちゃうかもしれないんだよな(苦笑)。
物足りなさという点ではやっぱり佐和さんも感じてしまうんですよね。あまりにも丹さんが強烈過ぎたからか…佐和さんの娼婦は上品すぎるように見えて仕方がない。それはそれで個性だと思うんですが、私の中で思い描いてる娼婦はもう少し汚れた感じがあってもいいんじゃないかなぁ・・・みたいな。特に独白の部分に毒がもっとほしいです。
青木さんの部長はちょっとコミカルな味を出しつつも暴君っぷりを発揮してて非常に面白い。あのさじ加減は長くこの役を演じているからこそで本当に絶妙です。デュティユルの首が壁から出てきてビビっちゃうあたりの狼狽えっぷりなんか本当に最高でしたw。刑務所長のヘロヘロッぷりが可愛いなと思ってると、またまた暴君の検事役。この切り替えが実に見事です。
金本さん、川原さん、久居さんは安定してますね。安心して見ていられます。特に金本さんの雰囲気が好きですね。この壁抜けの雰囲気に合っています。
戸田さんのM嬢は前回公演よりも大胆さが増しているようで刑務所シーンがとても印象に残りました。M嬢の積極性に目を泳がせながら困り果ててる洋輔くんのデュティユルがめちゃめちゃ可愛かったw。
永井さんと有賀くんも素晴らしいです。この二人の歌声には何度も胸揺さぶられてウルウルしてしまいます。明るく真っ直ぐな有賀くんの新聞配達青年、そしてデュティユルを見守るかのような永井さんの画家。この二人の壁抜けでの存在感はとても大きいです。
坂本さんはやっぱり年齢を感じてしまうんですけど(汗)閉じ込められて生活している寂しさみたいな部分がすごく感じられるので雰囲気的には合っているなぁと思います。そんな彼女がデュティユルに積極的になるシーンは、まるで、お母さんベルみたいだった(←洋輔くん相手なのでなおさら 笑)。ダンスはキレがあって足の上がりとか素晴らしいです。
欲を言うならば・・・もう少し若い女優さんでこの役ができる人がいればなぁと…。やっぱり、年齢の壁ってあるんですよね、見た目的に…。
洋輔くん以外の壁抜けシーンでいつも感動するのが戸田さん、佐和さん、永井さん、川原さんによる4重唱。あれだけの音取りでよくぞこんな美しくハモり続けられるなと。しかも4人とも全く違うシチュエーションを歌ってますからね。あの歌の難易度はこのミュージカルの中でも特に高いんじゃないかと思うのでホントにすごいなぁと毎回感動してしまいます。
最後に洋輔くんについて。濃い目なのでご注意を。
タイピングをしているときのデュティユル、最初はもう本当に「真面目な公務員」そのもの。外野のザワザワも我関せずでひたすら打ちつづけてるんですが、皆の輪から外れていてそこにはちょっと孤独が見え隠れする。前回までのデュティユルにはなかったそういった人間性みたいなものが滲み出ていて、なんか姿見ただけでウルッときてしまうのです。だから、暗闇の中を一人でちょっと切なく歌いながら帰るシーンはとても泣ける…。
壁を抜けられるようになって医者からの帰り道に自問自答しつつも「平凡な僕は平凡で行こう」と言う答えにたどりついて街角に消えていくデュティユルも哀愁が感じられてとても切ない。こういったちょっとした仕草などにも味が出てきたなぁってなんか感無量です。
部長から「ミジンコめ」と罵倒された後の表情はもう、めちゃめちゃ可愛い(笑)。あの可愛さは洋輔くんだからこそ出せる味だよなぁ。「ミジンコ…!!!」って呟きながら自分の席に戻る洋輔くんデュティユルはものすごく萌えるw。そして壁から顔出した後のドヤ顔がまた何とも言えんww。地味な役人で良いと思っていたデュティユルがここから覚醒していくんだよなって、そんな始まりも予感させていい感じです。ちなみにこの日の早替えシーン。片方の襟が折れ曲がったままになっちゃってたな(笑)。ソンダンの時もそうだったけど、ここはホント頑張れって思うw。
そして再びの帰り道、パン屋に忍び込むシーンは…やっぱり泣いてしまう。パンが食べたかったわけじゃなくて、今あるところから一歩踏み出して新しい世界を見てみたかったんだっていうデュティユルの気持ちが痛いほどわかるから。誰でも新しい所に踏み出す時はドキドキするものです。デュティユルはパン欲しさに忍び込んだんじゃなくて、地味な公務員の自分の殻を抜け出したかっただけなんだよね…。「壁を抜けてみたかった」っていう歌詞がものすごく泣けます。
床に寝転がって新聞を読むシーンは新しい世界に踏み出したばかりでワクワクしているデュティユルの高揚感が伝わってきてものすごく和みます。色々思案しているときの洋輔くんデュティユルが本当に可愛らしい。
警官を軽く追い払う仕草を見せた後に宝石屋に忍び込んで盗み出すシーン。「やったぞ!!」って体いっぱいに喜びを表して歌い踊る洋輔くんデュティユルを見るともう本当に涙が止まらなくなりますね…。キラッキラ輝いている。「僕は怪盗ガルガルだぁ~」の歌い方がめちゃめちゃ可愛いです。
そのあと、娼婦の首にネックレスをかけてあげるんですが…最初上手くカチッとハマらなかったみたいでちょっと手こずっててハラハラしましたが何とかやり過ごせてホッとしました(笑)。
新聞に自分のことが載っているのを知ってムフフってほくそ笑んでる洋輔くんデュティユルがまたやたら萌える(笑)。なんかもう、一つ一つの仕草がとにかく可愛くてたまらんなぁ。そんな時にイザベルを目撃して恋に落ちてしまうデュティユル…それはまるで、ビーストがベルに一目惚れした瞬間のよう(笑)。落としたメモをイザベルの顔を見ずに手渡すシーンがいじらしくてウルっときます。
そして、金庫でのシーン。「♪ガル~ガルガぁ~ル」と嬉しそうに歌いながら金庫に悪戯するデュティユル。なぜかこの一環のシーンでも私は涙があふれてしまう。警官を弄んでる時とか、とにかく新しい世界にドキドキワクワクしてるデュティユルの気持ちがものすごくストレートに伝わるんですよね。無邪気に体いっぱいに喜びを表現してる洋輔くんデュティユル見てると本当に胸が熱くなります。なんでだろうね。本当に温かいんだよ、洋輔くんの芝居と歌。
牢屋を抜け出すシーンなんかは本当に少年のようです。なぜかすごく無垢。髭つけて以前の公演よりも年上っぽく見せてるけどw、なんていうか、人柄がにじみ出てるといいますか・・・ひたすら癒されますね。
そのあとのイザベルの部屋の前での愛の歌。これがもう、こみ上げるほど温かい愛の歌なんですよ、洋輔くん。あの感覚は前回以上です。切々と、ただひたすら真っ直ぐにイザベルへの想いをドラマチックな優しい歌声で…。この表現力が本当に素晴らしいと思います。こんな愛の歌うたわれたらイザベルだって恋に落ちるの納得だよ。
裁判シーンで皆がデュティユルを庇うシーンはものすごく腑に落ちる。デュティユルが愛されキャラだっていうのがここまで見てきてすごく感じるので。その味はやっぱり洋輔くんが演じているからこそだよなぁと思います。デュティユルという役柄に洋輔くんの人柄みたいなものがすごく沁みこんでるんですよね。彼の持つ温かさがそのまま役柄に反映されているといいますか…。だから、若いデュティユルもありだなって思えるんです。
イザベルの元へと皆が背中を押すシーンもすごく温かい。めちゃめちゃ愛されてるし、愛されてしかるべきなキャラだよなって思えて泣けてきてしまいます。
そしてラストシーンへ…。もう、薬を飲んで「早く効け効け頭痛薬」と歌っているあたりから先が見えてしまって涙が止まらない状態に。壁に捕らわれてしまったデュティユルが町の皆への想いを歌いながら別れを告げるシーンは特に号泣…。愛されキャラだったからこそ、あのラストは涙が止まりません。最後の最後まで優しいんだもん…洋輔くんデュティユル(涙)。
公演が進んで、ますますデュティユルという役柄が洋輔くんの体の中に定着してきたなと感じますね。前回公演ではほぼ全編音符に沿った歌い方をしていたのに対し、今回のデュティユルは所々に芝居な部分が入っています。強調したい部分でセリフ調の歌い方になってる。なので、以前にも増してデュティユルという人物が立体的に感じられるんです。その進化がすごくうれしくて感無量…。それに、すごく楽しそうです、洋輔くん。本当にハマり役だと思う。
このあとは千穐楽に上京するのみ。どうかどうか、もう一度、最後に洋輔くんのデュティユルに逢えますように…!!
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