『銀河英雄伝説 第四章後篇 激突』14.03.02千穐楽

2011年1月から約3年間、10シリーズ続いてきた舞台版『銀河英雄伝説』がついに幕を閉じました。1作目を見たときから"全シリーズ制覇するぞ"と思ってきましたが…本当に制覇してしまいました(笑)。

始まった当初は、まさかこんなに長く続くと思っていなかったんですけど…実は10シリーズありながらもストーリー的には停滞期が長かったのであまり進まなかったというのが残念ですね。特にキルヒアイスが生きているという設定が8作くらいまでありましたので(汗)、後半2作品は駆け足で進んでしまったというのが否めない。それゆえに、ああいった力技での終わりになったのかなぁと。

とはいえ、10シリーズ見てきて本当に良かったと思えることもすごく多かったのも事実。無理だと思っていたあの世界観を舞台ではこんな風に表現できるんだ!とか発見も多かったし面白かった。それに、光る若い役者さんにたくさん出会えたのもこの舞台を観続けてきたことでの私の中の財産です。
特に、ラインハルトを演じた間宮祥太朗くんとの出会いは特別でした(彼については追記でもう少し)。

その舞台版、最後の最後は何としても観に行くぞということで…数日前に遠征したばかりではありましたが(爆)、再び青山劇場まで行ってきました。前回、前々回と見てきたなかで一番見やすい座席だったので良かった。青山劇場はかなり広いので舞台奥に入ってしまうとオペラグラスが手放せなかったんですが(汗)今回はその頻度が減って舞台に集中できました。

 

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カーテンコール、河村隆一さんから「この舞台の主役、ラインハルト役の間宮祥太朗です!」と紹介されていて。名前の配列では大人の事情から後ろの方に追いやられてた間宮くんですが、どう見てもこの作品の主役はラインハルト。誰もそれに違和感持たなかったと思うし、間宮くんはそれに相応しい…いや、それ以上のものを魅せてくれていたのでこのように紹介してもらえたことがファンとしてとても嬉しかったです。

開口一番、「終わって…しまったんですね…」と半分放心状態で語り出した姿見てたらなんか涙出てしまったよ…。「やっとこの鼠色の軍服にも慣れてきたんですが」というコメントには笑いましたけどw、でも、「この作品に自分を呼んでいただけたことに本当に感謝しています」と挨拶した姿にはやっぱり胸が熱くなりました。
そして自分ではなく、スタッフやキャストに感謝の気持ちを表していたのも印象的。これまでのシリーズでもそういうコメントをずっとしてきた間宮くん、本当に真っ直ぐで誠実な役者さんだなぁと胸熱くなりました。

すると、隆一さんがそれを受けての挨拶の時に「平和の象徴でもある同盟軍の帽子をお客様にプレゼントさせていただきたいと思います」と突然言い出してビックリww。間宮くんも「!??」状態になってて思わず「ヤン、貴様はまたそんな奇策を思いついたのか」とラインハルトになってツッコミ入れてました(←隆一さんはヤンとしてそれに返せてなかったけど 笑)。

で、まず最初に呼ばれたのがキスマイの横尾くんで「誰にまずこれを上げたい?」と聞かれると戸惑いつつも「それはやっぱり、ニッカーマイヤーでしょう」ってことでwwキスマイの二階堂くんがご指名されて舞台中央へ。横尾くんの同盟帽を被せてもらった二階堂くんがなんかちょっと可愛かったw。さらにそれをお客さんに渡しましょうみたいな隆一さんの提案に対して動揺を隠せない二人(笑)。

アイドルだからね、誰か1人を限定して渡すことには抵抗があるよね、やっぱり。後輩のnoon-boyzの二人に「おまえが選んで」みたいに逃げてたりして彼らも大慌て。すったもんだの末に(この間、横尾くんの「大丈夫、俺人気ないから」発言には思わず吹いたwww)席番号でその帽子は無事に手渡されてました。このあたりは、ジャニーズファンの人に対するサービスって感じだったかもね。

このあとも帽子プレゼントのイベント!?みたいなのが続き、最後のほうにはキャストが1階席にわらわら降りてきて手渡ししたりして会場がすごいことになってました(ジャニーズは降りちゃダメ!と隆一さんの指令ありww)。私は座席的にキャストさんから遠い位置だったのでなんかちょっと置いてきぼり感があったかも(苦笑)。だけど、客席に降りてきた間宮くんがとっても楽しそうに笑っていたので、それでなんかよかったなって思っちゃった。

最後に舞台上に戻った後崔洋一さんが呼ばれて隆一さんや間宮くんたちとハグ。一度後ろに下がった間宮くんがちょっと涙ぐんだように顔を拭っていたのが切なかったな。

こんな流れで千穐楽カーテンコールは幕を閉じたわけですが・・・、個人的には客降りで目についた人に帽子を渡すみたいなことじゃなくてキャストの千穐楽を終えての感想が聞いてみたかった。まさかあんな大騒ぎになるとは思わなかったし、けっこう不公平さを感じる人も多かったんじゃないかと(汗)。
客降りするにしても、やっぱりキャストのコメントが先に聞きたかったです。特に第1章から長くオーベルシュタインを演じていた貴水さんとか、ほとんどのシリーズに出演したミカシュンくんとかね。間宮くんもなんかコメントの途中で切られちゃったような感じだったし・・・そういった点では少し残念なカテコではありました。

その後、出演者の皆さんがブログなどでこの舞台に関する想いをコメントされているのを読みまた胸熱くしました。皆さん、この作品に対する愛が深かったんだなぁと。それがなんだかとても嬉しかったです。

 

 

主なキャスト
ヤン:河村隆一、ラインハルト:間宮祥太朗、ルビンスキー:増澤ノゾム、オーベルシュタイン:貴水博之、メルカッツ:渡辺裕之、キャゼルヌ:天宮良、ポプラン:中川晃教、コーネフ:中村誠治郎、ビッテンフェルト:、アッテンボロー:横尾渉(Kis-My-Ft2)、マリネスク:伊藤哲哉、コールドウェル:真田佑真(noon-boyz)、シュナイダー:野澤祐樹(noon-boyz)、ムライ:IZAMU、ミッターマイヤー:二階堂高嗣(Kis-My-Ft2)、ロイエンタール:平田裕一郎、シェーンコップ:山口馬木也、エミール:HARUNA(SCANDAL)、フレデリカ:はねゆり、ケッセルリンク:三上俊、ユリアン:澤田怜央、ヒルダ:中山由香、トリューニヒト:井田國彦、キルヒアイス:福山翔大、マシュンゴ:一之瀬ワタル ほか

以下、ネタバレを含む感想です。

最後になりますので、とても長いです

 

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出だしがほぼ真っ暗状態で音楽もなしに始まるのは、最後まで馴染めなかった演出です。間宮くんのラインハルトはそれでも凛としていて美しいんですが、それでも暗いよ…。

しかもライティングをアンサンブルさんたちが持っている光で当てているものだから、それがタイミングずれてしまったりするとよく分からなくなるという危険も(汗)。映像ではあのくらいの暗さでも何とでもなるけど、やっぱり舞台…しかも青山劇場クラスであれは無いと思いました。ラインハルトの心の闇を描くのであれば、もっとほかの方法もあったはず。

ここでの印象的なシーンは、ラインハルトがヒルダから皇帝誘拐を予見しながら見過ごしたことに意見しようとしたときに「私は立ち止まるわけにはいかない」と迷いのない言葉ではねのけたところ。揺るぎのない力強い言葉の中に孤独が潜んでいてとても印象的だった。間宮くんはこういうセリフに微妙な気持ちを乗せるのがとても上手いと思う。

フェザーンのシーン、増澤さんのルビンスキーはちょっと格好良すぎるなと思ったけど(笑)あの何とも言えないドス黒さの雰囲気を常に醸し出しているのはさすがでしたね。俺に触れると火傷するぜ、みたいなw。今回頭をスキンヘッドにして臨まれてた増澤さん、せっかくだからシルクハットなしでもよかったんじゃないかなぁなんて。それにしても、やっぱり上川さんに似てるよなぁと。

それから、ルパート役のミカシュンくん。ミュラーでもう一度見たかったけど、ケッセルリンクもなかなかのハマリ役だと思いました。セリフ回しに艶があるのはさすが元スタジオライフだなと。手の仕草とかもすごく色っぽく妖しくてよかったです。

このフェザーンシーンですが…1幕のみで終わっちゃうんですよね。帝国がフェザーン回廊を通過するときにやってきて、ケッセルリンクは実の父であるルビンスキーを始末して帝国に媚を売ろうとする。でも、それを読んでいたルビンスキーに先回りされて殺されてしまうわけで…。

千穐楽のこの二人のやり取りが本当にすごい鬼気迫る芝居!!実の父を恨みながらも最後の一線で微かな期待を抱いてしまったケッセルリンクの悲劇をミカシュンくんはすごく繊細に演じてた。そして、そんな息子の甘さをあざ笑いながら悪に徹した増澤さんのルビンスキーもすごかった!

それだけに、なんか、ここで終わりみたいになっちゃったのが残念だなぁと。まぁ、地球教のこととか出てこないので仕方がないかとも思いますが・・・結局この物語の中でのフェザーンてってなんだったの?感は残ったかも。断片的に出てきたという印象だったのでなおさら…。これは脚本と演出にもう少し考えてほしかったことの一つ。

同盟のシーンはセットが大きくなった分、人の配置も今まで以上に広く使っていたのですが・・・そのせいでまとまり感に欠けていたなぁと思えてしまったのが残念です。重要なシーンでも見るべきキャストがどこにいるのか探さなければならなかったというのも致命的…。

特にあの空港シーン。アンサンブルさんに役割を与えたいという崔監督の親心みたいなのは分かりますが、あそこまで前面に押し出すというのはちょっと違うと思う。そこに主要キャストの芝居が絡んでくるのでなおさらです。主要キャストと別次元のシーンだったらここまで違和感なかったと思うんですが、メルカッツとシュナイダー・・・そしてヤンとユリアンの会話が絡んでくるんですよ。せっかくのアンサンブルさんなのに、かえって彼らの芝居の邪魔になってしまっているような・・・。あれ、演出で場当たりしてみて誰も何も思わなかったんですかね…。

ラインハルトが作戦名を発令するシーン、どうしても違和感がぬぐえなかったのが・・・「神々の黄昏」。今回の舞台、カタカナ名にしたほうがいいんじゃないかっていう場面がいくつか出てきたんですが、これもその一つ。「神々の黄昏」のあとに「ラグナロック」って付け加えたっていいと思うんですがねぇ。そのほうが銀英伝の世界観に合ってる。間宮くんのラインハルトで聞いてみたかったよ、「ラグナロック」という言葉を。でも千穐楽は、「神々の黄昏」っていう言葉にすら神々しいものがあったよ。人々の心に響くものだった。

ビッテンフェルトがロイエンタールに嫌味を言うシーン、これまでの中で一番良かったかも。小谷君は以前「東京ゴーストトリップ」というドラマで見て知っていたんですけど、あの頃に比べると本当に大人っぽくなったなぁとなんか見ていて嬉しくなってしまってました。ビッテンフェルトの気性の激しさみたいなものが楽に感じられてとても良かった。

 

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もう一つ印象的なシーンが、ロイエンタールとミッターマイヤーの関係です。ロイエンタール役の平田君はもう見るごとに深みを増していってセリフ回しの艶といい心の中の葛藤の表現といい…今回最も注目すべき役者の一人でした。ラインハルトに挑むべきか否かで揺れ動きつつも野心のほうが勝っていくロイエンタールの危うさが楽ではさらに強く感じられた。

そんな親友の姿に不安を隠し切れないミッターマイヤーですが・・・キスマイの二階堂くん、見るごとにすごく良くなっていて今回はとても好感が持てました。熱く突っ走る系だった彼の芝居がこういった繊細な心の戸惑いみたいなものも魅せてくれるようになってて、ミッターマイヤーとロイエンタールの友情の物語に集中することができました。

そして、前半の大きな見せ場の一つでもあるロイエンタールとシェーンコップの対決シーン。これはもう、アニメで見た時以上にカッコよかった!!特に楽の平田ロイエンタールの気迫がものすごくて圧倒されっぱなし!猛者的でなおかつ艶っぽさもある馬木也さんのシェーンコップに負けてなかったです。ロイエンタールはあそこまで興奮するキャラではないよな、とは思いながらもw、平田君の鬼気迫る激しさは嫌いじゃなかった。むしろ感動すらしましたね。
え、これ、ファンになりかかってる証拠だったりww!?

ラインハルトとエミールの出会いも印象深かったです。はじめ、エミールがSCANDALのHARUNAさんだと知って「えっ、女性!?」って思ったんですけど(汗)回を重ねていくごとに少年に見え出して…楽にはすっかり私の中で馴染んでました。真っ直ぐで純粋なエミール少年でとても良かったです。

この場面でラインハルトが高揚感から突然倒れるんですが、その時の倒れ方が本当に「突然」なんですよね。あれホントにすごいなと思いました。普通に歩いていた人が何の前触れもなくフッと落ちる感じ。間宮くんのラインハルトはこういう倒れ方をするっていうのがすごく腑に落ちる感じだった。倒れた後にものすごく動揺した表情を一瞬見せながらも鬼の形相で毅然と駆け寄ろうとする人を払う間宮ラインハルトには何度もドキリとさせられました。

それから、ラインハルトがミッターマイヤーの気持ちを笑ったことを詫びるシーンも印象深いです。ヒルダに指摘され、はたと思い直し胸に下がっているキルヒアイスのペンダントを握るラインハルト…。今回のラインハルトは自分の気持ちが少し揺れたり、激しい高揚感に陥ったりしたときに事あるごとにそのペンダントを握りしめています

1度目に倒れる寸前も気持ちの高ぶりと同時にキルヒアイスを感じている。そしてミッターマイヤーを笑ってしまった自分を恥じたときにもキルヒアイスに触れている・・・。今回ほとんど出番のないキルヒアイスですが、度あることにラインハルトがペンダントを触れることでその存在の大きさというものが感じられたと思います。まるで語りかけるようにその時々の感情でペンダントを触れていた間宮ラインハルトは私の心を何度も揺さぶりました…。

「私の心は闘うことでしか満たされることはない、いや、永遠に満たされはしない・・・」

とミッターマイヤーに語りかけたラインハルトの孤独がとにかく切なくて思わず涙が溢れました…。

ユリアンとマシュンゴがマリネスクと出会うシーン。

ここは単体ではなかなか面白いシーンだと思いましたが、そもそも、ユリアンがなんのためにフェザーンに乗り込んだのかが分からないままになってしまったのが残念です。アニメでは地球教の存在とかも絡んでくるのでユリアンの果たした役割というものが大きく描かれていましたが、舞台ではユリアンはラインハルトの姿を垣間見たのみ。とてもヤン提督のお役にたてる潜入というレベルではない(苦笑)。まぁ仕方のないことだとは思うんですけど…それにしてももう少しユリアンの役割にドラマ性を加えても良かったのではないかと。

マシュンゴ役の一之瀬くんは相変わらずの粗暴キャラではありますがw、前篇よりも落ち着いてドッシリした感じがあってよかったです。まあ、最後はやっぱり暴れキャラになってましたが(笑)。伊藤さんはこれまでビュコックさんとして出演されてきましたが、今回はまさかのフェザーン側のマリネスク。

アニメで見たキャラクターとかなり違っていて最初戸惑いましたが(アニメではもっと話の分かりそうな穏やかなキャラなので)、あれはあれで面白かったなと思います。まぁ、それでも最後まであまりなじめませんでしたが(伊藤さんに否があるのではなく脚本と演出に問題があったかと…)。

イゼルローンお別れ宴会につきましては、これまで散々毒を吐き散らしてきたのでここではほぼ割愛しますが(苦笑)・・・最後までよく分からんままでした。フレデリカのダンスは可愛いと思ったけど長いし、Jダンスはただのサービスシーンにしか見えないし(必要性があまり感じられなかったので手拍子すらできなかった)、メルカッツ提督の綱渡りに至っても意味不明(苦笑)。

ただ、楽ではアンサンブルさんが綱渡りチャレンジしようとしてた時に隆一ヤン提督が本気で「危ないよ危ないよ」連呼して「戦闘前に怪我するなよ」って心配してたのは面白かったw。あと、メルカッツ提督に「提督、ラストランです」って送り出していたのもウケましたwww。そういえば渡辺さん、楽は懐から扇子持ち出さなかったな。忘れてたとか?

 

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ランテマリオ星域会戦、ビッテンフェルトやミッターマイヤーに命令を下すラインハルトは先頭を前にした高揚感でギラギラしている。この時の間宮くんの芝居はもう、本当に神々しいの域に達していますな。全てにおいて迷いがない。あのラインハルトにだったら命捧げてもいいと配下が思うのは当然だという存在感。同盟軍の攻撃をあざ笑っているときの冷徹っぷりにしても、本当にラインハルトのイメージそのもの…っていうか、それを越えている感じすらしました。

「ファイエル!!!!!!」

楽の彼のこの攻撃開始の号令は劇場全体を戦にいざなうようなそんな迫力と神々しさで満ち溢れてた。聞いているこちらも昂揚感を覚えるような、そんなすごい「ファイエル」だった。戦いに楽に勝てないと分かった時も間宮ラインハルトはほくそ笑んですらいる。その戦いの一つ一つがラインハルトの生命を支えているんだって思えるのでなんだかどこか危うい雰囲気すら感じさせていました。あんな表現ができる役者、そんな多くはいないと思うよ。

そして、ヒューベリオンが現れたときの・・・「来たのだ・・・ヤン・ウェンリーが!!」とほくそ笑んだときの表情!!!なんだろう、あの、何とも言えない静かなる興奮というか・・・言葉にするのが難しいんだけど、とにかく見ていてゾクっとしましたよ。キルヒアイスのペンダントを握りながらヤンを迎え撃つことへの興奮を隠し切れないラインハルト。狼狽える兵を一喝したときの我を失ったかのような激しい叫び、そしてカリスマ性。もう、間宮くんのラインハルト見ていてそういった一つ一つのシーンにゾクゾクさせられっぱなし。

そんな興奮状態にあったラインハルトがその沸点に達した時に再び意識を失う。キルヒアイスを失って以来心の均衡を戦いということでしか見出せないラインハルトの孤独と悲劇が凝縮されていたシーンの一つでもあると思います。間宮くんはそれを見事に表現していた。

倒れたラインハルトに寄り添うヒルダのシーン。自分の気持ちに追いつかない肉体にいら立ちを隠せないラインハルトにヒルダが「閣下を失って悲しむものがいることをどうかお忘れにならないでください」と語る場面がとてもよかった。中山さんのヒルダは内乱の時以来ですが、今回すごく完成されていてとても良かったです。強さの中に孤独と脆さを併せ持つラインハルトを理解していた数少ない理解者の一人であるヒルダのキャラクターにすごくマッチしていました。

ラインハルトはエミールとヒルダに心を許す。エミールに触れる時に頭をなでたりするのですが、その時の目線がまるでキルヒアイスを見つめているかのようでものすごく切なかったです…。ラインハルトは赤毛で真っ直ぐなエミールにキルヒアイスをどんどん重ねてしまうのでなおさらです。そして、「これで閣下は一人ではありません」と語るヒルダの前で「私への想い、分かっているつもりだ」と語る。「私はその想いに応えてもいいのだろうか」というセリフに違和感がなくはなかったんですが…。ラインハルトはヒルダにそこまで心開いているとは思えなかったので。

ただ、そのあと、フラフラと起き上がりながら自分と闘い、また自分のために戦って命を落とした人へ想いを馳せるシーンはもう、泣きました(涙)。ヴェスターラントを語った時の「痛恨の…極みだった」と苦しい息の中で語る間宮ラインハルト、そして最後にキルヒアイスの名前が…。楽ではキルヒアイスの名前を出すのも苦しくて切なくてって雰囲気で名前を告げた後に泣き崩れるようになってて…もう涙止まりませんでしたよ…(泣)。失っていった一つ一つの命を背負ってギリギリのところで強さを保って立っているラインハルトの気持ちを間宮くんは丁寧に繊細に命がけで演じてた…。これまで見てきたシリーズの中でも3本の指に入るくらいの名シーンだったと思います。

ちなみに、ヒルダとのキスシーンは復活。前回は中山さんの調子が今ひとつで抱きしめだけになったようで、再びキスシーンが出てきたらしい。でも、最初に観たときよりもチューが自然だったのでなんか納得できたな。

そのあと復活したラインハルトは先頭に立つということに意見するミッターマイヤーに対して「私がヤン・ウェンリーに勝てないとでも言うのか!?」とものすごい形相で言い返すわけですが、ここの間宮くんの芝居もものすごい迫力でした。まさに鬼の形相…、自分の生きがいを奪うなと言いたそうなそんな感じ。実際にあれを浴びたら何も言い返せない。

そしてバーミリオン会戦へ。ロイエンタールは「私が反転しなかったらどうなるのか」と呟く。この時のロイエンタールの不敵な感じがものすごく印象的でした。平田君の芝居がかなり好きになったかも。そしてラインハルトは心を許したはずのヒルダにも意見することを許さない。そんなラインハルトの心に入り込むようにオーベルシュタインは戦場へと導いていく。このあたりの流れはよかったけど、やはり音楽が恋しかった…。

 

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同盟ではヤンがフレデリカに求婚。最初の「フレデリカ!?」の呼びかけが声がひっくり返っちゃってて面白いヤン提督(笑)。再び舞台袖に戻って出直しプロポーズするところもヤンらしくて可愛いです。ドギマギしながらフレデリカとやりとりするシーンはとても微笑ましくてよかったと思います。それを見守る周囲の目も温かくてよかったんですけど、その直後のアッテンボローの「愛ですよ、愛!」のあとの祝いの手足ならしみたいなのがよく分からんかった(苦笑)。あれとは違った表現の、もっと普通のやり取りが見たかったなぁ。

そのあとすぐに戦闘モードに入るんですが、この時の隆一ヤンの「撃て!」がカッコいい。このあたりのメリハリ具合が隆一さんは回を重ねていくごとにすごく良くなっていってたと思います。原作を愛している隆一さんならではですね。それにしても、アッテンボローの回想録っていうのは必要だったのかなぁ…。屋良さんにお願いしてほしかったよ。

そしてポプランとコーネフ、コールドウェルたちは出撃していく。クロスワードが全部解けたというコーネフに少し寂しそうに「あとでまた買えよ」と呟くポプラン。そんな彼を見て「笑えポプラン!」と迫るコーネフがなんだかとても切なかったです。このあと二人は別れて出撃していくのですが、この後も再び会えると信じているのでいつものように旅立って行くんですよね…。

そして戻ってきたときにコールドウェルからコーネフの戦死を聞かされるポプラン。アニメではその死に対してあまり深くは描かれていなかったので少し寂しい想いをしたのですが、今回の舞台ではポプランがコーネフに対する想いを歌という形ではありながらも思い切り語ってくれていたので良かったと思います。アッキーはやっぱり歌が良いよね。何の心配もなく聞いていられるあの音域、そして激しさ。歌の表現という点で本当に彼はピカイチだなと思いました。

そして戦いは進み、徐々に追い詰められていくラインハルト。自信に満ち溢れているラインハルトの元にエミールがチョコレートを持ってくるシーンはやっぱり最後まで違和感ありまくり(苦笑)。チョコレートが「私の好物だ」っていうのがどうもラインハルトらしくないんだよなぁ…。これ必要だったか?

ヤンの奇策に勘付いたオーベルシュタインが進言しても「私はどんな時でも敵の先手を打つ」と自分を曲げないラインハルト、この潔癖さが彼の弱点でもあるわけで。オーベルシュタインもそれ以上は何も言わずに見守るのみ。今回あまり前面に出てこないけど、貴水さんのオーベルシュタインは常に妖しく存在感を出しているのがすごいと思います。追い詰められて包囲されても決して慌てない落ち着きとか、あぁ、オーベルシュタインだなぁと。

包囲されたラインハルトは「ヤン、やはりお前だったな…」と敗北を予感する。脱出を進言されてもそれを頑なに拒むラインハルトの頑なな真っ直ぐさ。

「卿は私を笑いものにさせたいのか!!??」

と詰め寄る間宮ラインハルトの鬼気迫るすごいセリフが胸を突きました…。そういうところに弱さがあるんですよね、ラインハルト…。常に勝ち続けていなければならないと追い込んでいたがために、いざ負けが見えたときにそれに屈するという選択肢がないわけで。そんな心情がとにかく脆い。ここにキルヒアイスがいたらって本当に思ってしまう。

集中砲火に巻き込まれ、駆けつけたエミールに思わず「私はここまでか…」と弱音を吐いてしまうラインハルトに涙…。気力だけで立ち上がろうとするラインハルトがとにかく痛々しくてたまりませんでした(泣)。そんな時に現れるキルヒアイスの亡霊…。その瞬間、子供のように無防備になりチョコレートをねだるラインハルト。

もうこのシーンにつきましてはこれまでも散々毒づいてきましたけど、この日の間宮くんの芝居がもうとにかく素晴らしすぎたのでなおさらあのチョコレートが恨めしくてたまりませんでしたよ(苦笑)。泣きたいシーンなのに、あの違和感溢れるシーンのせいで泣けないという恐ろしいジレンマ。

しかし、その直後の、

「兵たちよ立ち上がれ!私はここにいる!!!!」

がもう、すべての感情が爆発して壊れちゃうんじゃないかってくらいの形相で息を飲みました。間宮くん、もう、すべてをぶつけたって感じ。そして、ヤンの艦隊を目の前にしたとき「ヤン・ウェンリー!」と朦朧とする意識の中死を覚悟するラインハルトの表情があまりにも哀しい(涙)。

しかし、ヤンはハイネセンからの指示で戦闘を中止してしまう。シェーンコップは激しく攻撃を促すものの、「私には大きすぎる」とヤンは手に入れられるものを放棄。そんなところがヤンらしいなぁと思いました。ここすごく良いシーンなんですけど、その直後のアッテンボローのセリフがなんか壊しちゃった感じだった気がする(苦笑)。なんであんなセリフ回ししかできないのかなぁとか…いろいろ残念すぎる点が多々あり。

同盟からの停戦の申し出にラインハルトは納得がいかない。「なぜだ・・・ヤン・ウェンリー。どうして私を殺してくれなかった・・・」と呟き、自嘲するラインハルトが悲しすぎました(涙)。ヤンから譲られた勝利によって、この先も覇者として君臨していかなければならないラインハルトの深い孤独…。最後はそんな自分の運命を笑いつつも泣いていたよ…。ポロポロ涙を流しながら自分が背負わされている宿命に果てしない孤独を感じてるラインハルトの気持ちが痛いほど伝わってきて涙なしにはみれなかった(涙)。

そしてラインハルトとヤンの会談。今回の作品の一番の大きな目玉のシーン。

静かに始まる二人の会話。そこに流れるのは穏やかながらも一定の緊張感がある。「私に仕えないか?」という申し出を断るヤン。自由惑星同盟の民主主義でしか生きられないと語るヤンに「同盟は帝国に国を売り渡したではないか」と食い下がるラインハルト、しかしヤンは「一つの正義に対し逆に同じような正義も存在する」と自分の意見を通します。

「自分には心理など存在しない」

と語るラインハルトに「閣下は常に先陣に立っておいでです」と評価するヤンのシーンはアニメでも好きだったものの一つなのでこうして実写で見れたことは嬉しかったです。

ヤンの前でもキルヒアイスとの思い出を語るラインハルト…。その時の約束を果たしていると。そして「私は復讐者ではない」と新たに語ります。ここの切り替えの芝居がすごく良かった。「退役します」と今後を語るヤンの言葉に思わず笑みを漏らすラインハルト、そんな彼を見て微笑むヤン。穏やかで優しくてすごくいい時間だったし、逆に

「違う時代に生きていれば卿とは友人になれたかもしれん」

というラインハルトの言葉も重かった。

「ヤン・ウェンリー、再会の日まで、壮健であれ!!」

ヤンに対するキルヒアイスとは違ったラインハルトの想いが伝わってきてとても感動的だった。それを受けて一人敬礼するヤン提督もとてもよかった。
だけど、ラストはもう少しドラマチックでもよかったんじゃないかとも…。最初見たときにこれがラストシーンだって知ってちょっと「えっ、もう終わり!?」って思っちゃったので(苦笑)。

 

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銀英伝はこのあとも物語が続いてて。この先を舞台でやる予定はもうないんですかね。その上でネタバレしますけど…

ヤンはフレデリカと結婚した後に退役しますが、結局は戦場へ赴かざるを得ない状況になります。そしてラインハルトとも戦いを繰り広げる。そのさなかにビュコックさんが戦死したりして悲しい出来事も…。

さらにヤンは地球教の陰謀によって殺されてしまいます。それを知り激しく動揺するラインハルト・・・このシーンを間宮くんで見たかったよ・・・。ヤンの葬儀には帝国からミュラーが代表して出席。
イゼルローン共和国と名を改めフレデリカが頂点に立ち、ヤンの後継者として若いユリアンが先頭に立ちます。

その後、ラインハルトはヒルダと結婚(舞台では先に結ばれるシーンが出てきましたが、アニメではかなり後半になります)。しかし、ラインハルトは原因不明の重い病に蝕まれ寝込むことが多くなっていく。

ロイエンタールはついにラインハルトに反旗を翻し、ミッターマイヤーによってその野望を打ち砕かれます。ロイエンタールには彼を憎んだ女の間に生まれた子供がいて、その子供はミッターマイヤー夫妻に引き取られ育てられることに。

そのあとも死者が多数でる銀英伝。シェーンコップもメルカッツもファーレンハイト(舞台には出てこなかったけど好きなキャラだった)も、さらに最後の最後にオーベルシュタインもラインハルトの身代わりとなり死んでしまいます。

そして流血の戦の末にユリアンとラインハルトの会談により和平が成立。その直後にラインハルトは息を引き取ります。

個人的に、ヤンの死とラインハルトの死に関しては隆一さんと間宮くんで舞台版で観てみたかったです

今回の『激突』で銀英伝が最終章となったわけですが・・・残念なシーンや演出がいくつかあって心の底から楽しめなかったのがちょっと残念でした。が、役者さんたちの気迫はとにかくすごかったです。それだけでも遠征して観に行った甲斐があったと思います。セリフは少なかったけどIZAMUさんや天宮さん、出番の少なかった井田さんも存在感を放っていてよかったです。福山君のキルヒアイスも可愛くて好きだった。

銀英伝シリーズの中で個人的に好きだったのは…「第一章」「内乱」「初陣」だったかな。桃李くんはラインハルトを演じた直後あたりからガンガン売れ出していって本当にびっくりした。

最後に、この舞台銀英伝シリーズで間宮祥太朗くんというすごい役者に出会えたこと、本当に良かったと思ってます。銀英伝観に行かなかったら知らないままでしたから…そういった点でも全シリーズ通って正解だったと思います。

間宮くんがラインハルトとして初めて登場した「輝く星、闇を裂いて」で"これは!!"と受けた衝撃。

そのあと「内乱」「初陣」「激突前夜」「激突」と積み重ねていくうちにラインハルトというキャラクターが憑依していったかのような熱演ぶり。楽では一秒一秒…まるでラインハルトとの別れを惜しむかのように気持ちを注ぎ込んで芝居をしていた姿に何度も胸打たれて泣きました。いま日本であそこまでラインんハルトを理解し演じられる役者は間宮くん以外いないんじゃないかと思ってしまうほどでした。私が銀英伝をリピート観劇し始めたのは間宮くんがラインハルトに配役されてからですし。

ネームバリューの問題からか名前の配置的には微妙な立場になってしまいましたが、舞台の上では間違いなく主人公として強烈な光を放ち続けた間宮くん。怒り、悲しみ、喜び、憎しみ・・・ラインハルトのこれまでのすべての感情表現は私の心の中に深く深く刻み込まれました。こんなに私の感情を強く揺さぶり続ける若い役者さんに出会えたことが本当に嬉しかったです。

ラインハルトという当たり役を経て、これから前に進んでいくであろう間宮くん。

次のドラマも決まったようですし、今後どんな芝居で私たちを楽しませてくれるのか非常に楽しみ。近い将来、絶対にトップに立てると信じられる役者さんです。そう感じさせてくれることがとにかく嬉しい。そしてまた、舞台に立ってほしいです。その時はまた遠征してでも観に行きます(笑)。これからもずっと応援していきたいと思います。こんなに私にドキドキやワクワクを与えてくれた間宮くん、本当にどうもありがとう!

そして、色々なんやかんやはありましたが・・・、

舞台『銀河英雄伝説』楽しかった!また会う日まで、壮健なれ!!

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