ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』久留米公演 2023.06.17 マチネ

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ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』を観に福岡県の久留米市まで行ってきました。

現在山口県在住なので大阪よりも福岡の方が近いため今回は久留米公演を選択。初上陸だったのでちょっとドキドキしましたが、かなり大きな町でビックリしました。”久留米”と言えば私世代だと「チェッカーズ」や「松田聖子さん」の故郷といった印象が強い。この町からスターが誕生したんだなと思うとなんだかちょっと感慨深かったです。

劇場まではJR久留米駅からバスでだいたい10分弱で交通の便は良かったなという印象(YouTubeには行き方動画もあったので分かりやすかったです)。山口県内と違い1時間にやって来る本数もかなり多いので羨ましく思ってしまった(苦笑)。
久留米シティプラザは2016年に建てられたとのことで、施設全体としてはとても新しいです。今回ミュージカルが上演された大劇場のザ・グランドホールのほかにも中劇場クラスの久留米座(日本の伝統芸能で使われることが多いよう)や、少人数規模のホール、和室などもあるのだとか。

※詳しい情報は公式サイトにて

グランドホールは1500人規模の人数を収容できるかなり大きな劇場。ロビーも広く女子トイレの数もそこそこあるなといったところ。

 客席は4階席まであります!

達筆な「満員御礼」がかかっていた久留米公演初日(2日間3公演しかないけど)。4階席まで埋まった客席の光景は圧巻でございました。

今回私は早めに抽選先行で確保したので1階席からの観劇でしたが、途中からは段差もあって比較的見やすかった(前方に座高の高い男性が座っていらっしゃったので一部見づらいところもありましたが 汗)。

物販も充実していました。今回はパンフレットクリアファイル舞台写真をお買い上げ。2L版のブロマイドも迷ったんですが…今回は財政上の理由もありグッとガマンw。
ちなみにここ最近舞台の物販で盛んに販売されるようになったアクリルスタンドも充実してましたね。ただ、いっくんバリのジオラマ付きの高いやつ以外の10種類は”ランダム”になっていたようなので購入をためらっている人もチラホラいらっしゃいました。確実に自分のお気に入りキャラが欲しいって時には”ランダム”販売方式だとリスク高いですよね(苦笑)。

以下かなりのネタバレを含んだ感想になります。

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2023.06.17 マチネ公演 in 久留米シティプラザ ザ・グランドホール(福岡・久留米市)

概要とあらすじ

原作は1998年に発表されたアラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、それを基にして描かれたジョニー・デップ主演映画『ネバーランド』(日本公開は2005年)です。映画版は当時大きな話題となり、アカデミー賞7部門ノミネート(作曲賞受賞)という快挙を成し遂げました。

劇作家のジェームズ・バリがスランプに陥った折に様々な人との出会いを通して刺激され、名作「ピーターパン」を書き上げ劇場上演を成功させるまでを描いた物語で、実話をもとに制作されたと云われています。

ミュージカル版はいくつかの改定を加え2015年にブロードウェイに進出。2016年には17ヶ月のロングランを達成し全米ツアーを成功させるなど、各所で称賛を浴びたそうです。2017年には日本来日公演も行われました。
脚本はジェイムス・グラハム作詞作曲はゲイリー・バーロウ(イギリスのPOPSグループ・テイクザット)とエリオット・ケネディ(グラミー賞受賞作曲家)

日本上演版は2019年に石丸幹二さん主演で実現することが発表されていましたが、2018年6月に”海外での権利上の問題”という大人の事情により突如中止が告げられてしまいました。当時石丸さん新作ミュージカルを観れると楽しみにしていただけにガックリきたものです(汗)。
そんな事情を経てついに山崎育三郎くん主演で上演されることが正式に決定、今回に至りました。日本版の演出は劇団四季の『ロボット・イン・ザ・ガーデン』も手掛けている小山ゆうなさんです。

簡単なあらすじは以下の通り。

19世紀後半のイギリス。新作戯曲が書けずに行き詰まっていた劇作家ジェームズ・バリ(山崎育三郎)は、公園で、未亡人シルヴィア(濱田めぐみ)と4人の子ども達ジョージ、ジャック、ピーター、マイケルと出逢う。妻のメアリー(夢咲ねね)からも問い詰められ悩んでいたバリだったが、彼らと遊ぶうちに純粋で正直な気持ちを思い出し、「演劇」も「遊び」も同じ「PLAY」なのだと気がつき、物語をどんどん生み出していく。
しかし、当時のイギリスでは、演劇は上流階級だけのもので、バリが「子供も楽しめるファンタジー作品を上演したい」と提案すると、劇場主のフローマン(武田真治)と劇団員たちは猛反対。

一方、父を亡くしてから純粋な心を閉ざし”大人”になろうとしていた三男のピーターは、バリと交流を深めるうちに、夢や希望を捨てることが大人になることではないのだと悟る。バリとシルヴィアは、シルヴィアの母のデュ・モーリエ夫人(杜けあき)に反対されながらも交流を深め、お互いを理解し心を開く関係になっていく。こうしてバリは、シルヴィアと子供たちと一緒に空想した世界を基に『ピーターパン』の物語を作りあげていく。

<公式HPより抜粋>

上演時間は約2時間50分。内訳は、1幕80分(1時間20分)休憩20分2幕70分(1時間10分)となります。

主なキャスト

  • ジェームズ・バリ:山崎育三郎
  • シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみ
  • フック船長/チャールズ・フローマン:武田真治
  • メアリー・バリ:夢咲ねね
  • デュ・モーリエ夫人:杜けあき
  • キャナン卿:遠山裕介
  • クローマー:廣川三憲
  • ヘンショー:星智也

家塚敦子石川剛伊藤かの子榎本成志大久保芽依工藤 彩塩川ちひろ永松樹福島玖宇也MAOTOルイス魅麗セーラ

SWING:大倉杏菜齋藤信吾

子役キャスト(PLAYチーム)

  • ジョージ:ポピエルマレック健太朗
  • ジャック:豊田侑泉
  • ピーター:小野桜介
  • マイケル:奥田奏太

バリの飼い犬・ポルトス:ディーゼル

子役さんは「PLAY」チームと「BELIEVE」チームのWキャストになっていて、私が見た17日マチネ公演は「PLAY」チームの皆さんが出演していました。妙に大人ぶったお芝居もなく自然体で、それでいて歌がすごく上手!特にメインでお芝居することの多かったピーター役の小野くんはとても素直できれいな歌声で素晴らしかったです。この先もしも舞台役者を続けるのであれば…将来がとても楽しみだなと思いました。

また、劇中に登場する育三郎くん演じるバリの飼い犬”ポルトス”役には本物のワンちゃんが出演。今回の久留米にはディーゼルくんとオリトくんが来てくれていたようで、私が見たマチネは白くてホワホワな可愛さ全開のディーゼルくんでした(ソワレにはオリトくんが出演したそうです)。

 出番はそんなに多くなかったけど、めちゃめちゃ可愛くて本当に癒されました!!!オリト君にも会いたかったな~。

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全体感想

元々私は子役さんが前面に出てくる作品をちょっと苦手分野としているところがあったので、正直今回もチケット購入するかどうか少し迷いました。が、しばらく舞台での山崎育三郎くんを見ていなかったので(エリザの時も東京オンリーだったから見れなかった)久しぶりに彼の生の芝居を見たいという欲求が高まり行くことを決めました。ドラマや司会業で活躍するいっくんも生き生きしてて魅力的だけど、やっぱり舞台で芝居するっていうのはそれとは違う格別なものがあるんじゃないかなと思うのです。

物語は、劇作家のジェームズ・バリがスランプから脱して名作「ピーターパン」を生み出し世に出すまでが実話と絡めて描かれていました。彼がスランプ状態になっていた頃に新しいインスピレーションを与えてくれたのが、公園で偶然出会った未亡人のシルヴィアと彼女の4人の息子たち。特に子供たちの純粋無垢で想像力豊かな世界観はバリに大きな影響をもたらすことになるため、彼らのこの作品の中の存在は非常に重要です。
最初はワンパク盛りの彼らの存在にちょっと振り回されていたバリでしたが、初めての出会いの時からなんとなく惹きつけられるものは感じていたんじゃないかなと思うような冒頭シーンでした。

シルヴィアは子供たちを縛り付けるようなことはせず、感受性を延ばすように自由でのびのびとした教育をしてて、まるで彼女自身も子供の仲間の一人のようになって一緒に遊んでいる。イギリスの貴族社会のなかで彼女の教育方針はなかなかに斬新だったのでは。まぁでも、自由奔放な育てられ方してるので子供たちは”空気を読む”ということを知らないわけでw。私的にはちょっと苦手意識もあったかもしれない(汗)。
そんな中で癒しになったのがバリの飼い犬のポルトス。この子がおとなしくて本当に可愛らしい!!特にいっくんバリと顔を近づけて「ん~~」ってやってた仕草は見てるこちらが思わず笑顔になってしまうくらい愛らしさ爆発。いっくんもワンちゃんに見える瞬間でさえ(笑)。もうほんっと癒しだった。

バリがシルヴィアと初めて出会ったシーンの会話は面白かったですね。シルヴィアはバリの作品の大ファンなのでこれまで彼の上演物をたくさん見てるわけですが、バリが現在構想を練ってる作品全部がそれと似た設定になってることが明るみになっちゃってw。これ、バリの作品を観たことない人だったら二人の関係は違うものになってたんだろうなと思いました。

劇場主でプロデューサーのフローマンはバリに新しい舞台上演実現のために新作を書き上げるようプレッシャーをかけ続ける。このフローマンの助手役エリオットをMAOTOくんが演じてたんですが、メインキャストでもよくない!?と思ったほどの大活躍。ちょっと気難しいながらも舞台作品への愛情が強いフローマンさんを慕ってどこまでもついて行こうとする姿勢がとても可愛くて好感が持てました。
フローマンは書きかけの新作を破いて捨てたと話すバリに卒倒してしまいそうになるのですがw、決して彼に対して悪意を持って接しているのではないというのが伝わってくるのがとても良い。バリがスランプで書けない状態なのを知りながらも、彼ならばなんとか傑作を書き上げてくれるはずだといった信頼が随所に感じられるんですよね。だから、どんなにせっついてバリにプレッシャーをかけていても嫌味な部分がなかった。

再度公園で新しい作品への構想を練ろうとした時にバリは再びシルヴィアと子供たちに出会う。ここで彼らの想像力豊かな世界に大きな刺激を受けることになるわけですが、そのシーンで歌われるナンバー♪ビリーブ♪は生き生きとした躍動感にあふれていてとても印象深かったです。

ここはメインとして子供たちが歌うようになっていたのですが、わたし、気が付いたら涙流しながら聞いてて自分でもびっくり。なんだかものすごく純粋なものに触れたような感覚になって自然と涙が溢れてきた感じ。たぶんこれをもっと前に見ていたら泣いてなかったような気がする。

その後バリは貴族たちが集まる夕食会にシルヴィア一家も招待し、そこで巻き起こる騒動で子供だった頃の純粋な気持ちを刺激されることになります。が、個人的にはちょっと子供たちのはしゃぎっぷりが苦手だったかも(汗)。せめて公共の場での最低限のマナーは教えてあげたほうが良かったんじゃ…なんて思ってしまった私はやはり心が汚れてるってことになるのかもしれないなと(苦笑)。
バリは子供たちの純粋な魂に触れて空想の世界に入り込みイタズラを始めるんですが、ここで大きな犠牲となってしまうのがキャナン卿w。頭の上に人参を植え込まれたり、鼻の穴に豆を詰め込まれたりと散々(笑)。特に豆を入れる時のいっくんがもうめっちゃ悪戯っ子な表情「もう少し奥に突っ込まないとね」みたいにニマニマしててwww。想像の世界での出来事なので、されてる側のキャナン卿を演じてる遠山君はストップモーション状態保ってなきゃいけないしで大変(笑)。想像の世界から抜けた時の遠山@キャナン卿の反応がめっちゃ面白すぎて笑いましたww。

夕食会のシーンでもう一つ印象深かったのがシルヴィアの三男・ピーター。彼は4人兄弟のなかで特に感受性が強く繊細で、「大人と子供」の狭間で揺らめいているような存在に見えました。父を早くに亡くしたことで”大人”への階段を強く意識しちゃったのかな、みたいな。そんなピーターが、”子供”の心を取り戻したバリの空想の世界に触れることになる。二人はこの時に初めて心が共鳴し合ったのかもしれないなと思いました。
誰にも縛られない自由な気持ちを持った者たちだけで歌われる♪今夜は我らのもの♪は楽しさの中に皮肉が入り混じった面白いシーンだったと思います。

この夕食会の後に繰り広げられたバリと妻のメアリーの気持ちのすれ違いシーンは切なかったなぁ。どちらの主張も理解できてしまうが故に二人が言い争う場面は胸が痛みました。お互いに相手に求めるものが違ってしまったんだろうね。それを受け止め認めることができなかったことがこの夫婦の最大の悲劇。
バリにはシルヴィアと子供たちという新たな心の支えができたけれど、代わりにメアリーはパートナーが心の支えになる人に成りえない事実を突きつけられ孤独になってしまったように見えて同情してしまった。かつては認め合いい愛し合えた間柄だったのに…。

メアリーと心の距離が離れたことを実感したバリは数日後にシルヴィアの家を訪ねる。元気溢れる子供たちが寝静まった後、バリは彼女に幼い頃の辛い経験を語りました。パンフレットにも書いてありましたが、バリの体験談は史実のようですね。不慮の事故で早世してしまった兄のことが忘れられずふさぎ込んでいた母親を慰めようと必死だった子供時代のバリ。それでも結局母の愛を得られなかったというエピソードはとても哀しい…。
「あの時僕は大人になった」と寂しげな表情を浮かべたバリに、シルヴィアは優しい笑顔で”指抜き”をプレゼントする。「痛みから守ってくれるから」という彼女の優しさが胸に沁みます(涙)。この瞬間にバリは大きくシルヴィアへ気持ちが動いたんじゃないかなと思いました。

兄を失った哀しみから逃れるため、バリは「兄は想像上の国・ネバーランドへ行ったんだと思うようにした」と語る。それが彼にとって”大人になる”ということ。孤独を感じるときはいつも星を”ネバーランド”見立てて見つめていたというバリと、その想いに優しくそっと触れ向き合うシルヴィア。そんな二人が歌う♪ネバーランド♪の歌声の優しく温かい響きに胸が熱くなり涙が零れました(泣)。

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創作意欲を取り戻したバリは、新しい構想をフローマンに熱心に語りますが奇想天外な物語だったがゆえに一向に理解してもらえない。特にフローマンが難色を示したのが、作品が”子供向け”だったこと。「子供たちに見せるにしても、お金はどこから回収するんだ!?」と詰め寄るわけで…、プロデューサーとしてそういう現実的なところに目を向ける気持ちもよく分かる。それに対してバリは「子供の心を解放したい大人に見てもらいたい作品なんだ」と熱弁を繰り返しますが、フローマンからしてみれば不安しかないわけで。「私の中に住んでるのは子供の心じゃなくて胃潰瘍だ」と突っぱねるセリフはなかなか面白かったw。

せっかく新しい物語を思いついたにもかかわらず、フローマンには理解してもらえない。さらにはメアリーとの関係も悪化の一途、シルヴィアの母のデュ・モーリエ夫人からは「娘と息子たちにはもう会わないでほしい」と拒絶され心の支えをどんどん失ってしまうバリ。
八方塞がり状態で孤独に陥ってしまったバリでしたが、ある日そんな彼の空想の世界に勇ましい”海賊”が現れる。それこそが、ピーターパンに登場する「フック船長」だったのです。フローマンはバリに「物語の中に悪役を登場させろ」と迫りまくっていたので、その記憶がフック船長を呼び起こす結果になったのかもしれないなと(フック役をフローマン役の武田さんが演じてるのも面白い)。

心を閉ざし弱気になっているバリの気持ちをグイグイと引き上げていくフック船長の場面は迫力満点で実に爽快です。『ピーターパン』のなかでは極悪な存在として描かれることになる彼が、作者であるバリにとって救世主的な存在として現れ活躍しているという展開がとても良かった。

想像の世界のフック船長から「私の姿はおまえのもう一人の姿でもあるのだ」と告げられたバリは大きな衝撃を受け、再び創作意欲を取り戻しついに台本を完成させるに至ります。この完成した作品こそが『ピーターパン』だったというわけで。あの物語にこんなエピソードが隠れていたとは知らなかった。もしも彼の想像の中にフックが現れなかったら世に出なかったのかもしれないと思うとなんだか運命的なものすら感じますね。悪役だけど大恩人

悪役が書きこまれたことでフローマンも納得しさっそく稽古が始まるわけですが、初めて尽くしのことも多く役者たちは演じ方に戸惑いなかなか前に進まない。
気の毒なのは星@ヘンショーさん。新作と聞いて劇団に出戻ったものの、華やかな役柄は充ててもらえずほぼ裏方に回されちゃう羽目にw。これまでの実績もあり自信家でプライドが高そうな彼からすれば屈辱なわけですが、どういうわけかそれを受け入れちゃうんですよね。てっきりまた脱走するかと思ってたので意外だった(笑)。実は度量が大きい役者さんだったのかも。あと、お稽古ドタバタで面白かったのが廣川@クローマーさん。男の子の役でフライングするってことになったんだけど高所恐怖症で「無理~~~」と怯えまくってじたばたしてた姿がめっちゃ気の毒で…でも可愛かったw。劇団の中ではお調子者だけど癒し系的なタイプかなw。バリの不可思議な演出に振り回されてる姿も面白かったww。

最初はドタバタしまくって前途多難に見えた新作稽古でしたが、徐々に変化が生まれ次第に皆の気持ちがまとまっていく。特にフローマンが「芝居はPLAY(遊び)なんだ!」と皆に告げるシーンがとても印象深かったな(♪PLAY♪)。心のままに自由に演じることの大切さというか原点というか、今の演劇にもつながる言葉かもしれないなと思いました。

そんなある日、バリは久しぶりにシルヴィアと再会し”どんぐり”をプレゼントします。1幕ではシルヴィアが「指抜き」を贈っていたのでそのアンサー的な展開かなと。これ、『ピーターパン』の物語とリンクしてるんですよね。
この時バリはシルヴィアに自分の素直な想いを告げる決心をしていましたが、なかなか本題に切り出せない。そんな彼を見てヤキモキした”創造の中の”フック船長がチャチャを入れまくってくる場面がコミカルでとても面白かったです(武田さんのお芝居がめっちゃチャーミング!)ww。つまりバリは自分で自分に発破かけてたってことですよね(笑)。

そして静かに語り始めたバリが告げたのが「僕たちは影からは逃れられないんだ」ということ。このセリフを聞いた時に思わずミュージカル『モーツァルト!』のヴォルフガング思い出しちゃった(いっくんだけになおさら)。でもそんな彼に対してシルヴィアは「影があるから光がある。だから私はあなたに出会うことができた」と明るい笑顔で答えました。その言葉にバリがどれだけ救われたことか。彼の心に潜んでいたモヤが晴れたような、そんな気がしてウルッときたな。

バリとシルヴィアはある一定の距離を保ちながらもどんどん心の距離を縮めていく。そんな二人の心情を歌う♪あなたという存在♪が本当に感動的。舞台前にフジ系音楽番組「MUSIC FAIR」でいっくんとめぐさんが歌うのを見た時もジーンときたんだけど、やっぱり生で聴くとそれ以上の感情がどっと湧き起こってきてめちゃめちゃ泣きました。
演出も良いんですよね。バリとシルヴィアの背後のスクリーンに二人の影が映し出されるのですが、歌が進んでいくにつれてそれぞれの形が”ピーター”と”ウェンディ”へと変化し飛躍する。まるで二人の魂が寄り添って解き放たれたかのような美しい光景で…。オリジナル公演ではこのナンバーのなかで二人がキスをする場面があったそうですが、今回の日本版ではそれがありません。でも、この演出が二人の全てを物語っていたので日本版はこれでいいんだと納得できた。心が震える美しい素敵なラブシーンだったと思います。

本番が近づいたある日、シルヴィアと子供たちは自宅にバリを招きピーターが創作した物語を上演する。ところが、しばらく経つとシルヴィアの体調に明らかな悪化の兆しが…。この日バリは初めて彼女の哀しい運命を目の当たりにしてしまう。さらに一番繊細な息子、ピーターも偶然それを知ってしまうことになるわけで…子供にはあまりにも重すぎる現実だよなぁと思うと胸が痛かった。
シルヴィアは苦しい息のなかで必死にバリに「子供たちには楽しい思い出だけを残したい」と訴える。これ、パンフレットにもあったけど実際のシルヴィアさんの遺書に綴られていたことなんだそうですね。そこには「お葬式にも子供たちには参列させないように」とも遺言されていたとか…。父親に続いて母親も失う運命にある子供たちに想いを馳せる彼女のことを想うと切なくてたまりません(涙)。

バリは最初ピーターに「お母さんは良くなるよ」と嘘をつきますが、ピーターはその言葉に強く反発。そんな彼に意を決して真実を告げるバリ。衝撃を受けつつも必死に事実と向き合おうとするピーターに優しく寄り添うように歌う♪足もとが揺れるとき♪のナンバーはとても哀しく、そして美しかった。バリはあの時本当の意味でシルヴィアの家族になったのかなと思いました。

そして『ピーターパン』上演初日。緊張する劇団員たちのなかで、ヘンショーがわざと着ぐるみの”犬の頭”の部分を無くしたと嘘をつくシーンが可愛くて面白かった(笑)。結局それを見つけられて被ることになるんだけどw、あのプライドの高い彼がよくあの役を引き受けたなと感心しちゃったよ。
体調が思わしくないシルヴィアは劇場へ行くことができないため、代表してピーターがバリと一緒に向かうことに。この本番舞台は劇中では殆ど触れられないことになっています。それは、この後の展開が本当の”本番”だったから。このあたりの展開の繋ぎは巧いなと思いました。シルヴィアが過ごした人生最後のひと時は、もしかしたら彼女が生きた中で一番最高の時間だったのかもしれないなと(涙)。

シルヴィアに捧ぐ『ピーターパン』の場面は本当にとても感動的。私はこの物語についてはほぼ記憶の彼方に行ってしまった部分があるので(汗汗)”こんなストーリー展開だったな”と思い出すきっかけにもなりましたw。一番印象深いのは、物語のなかでティンカーベルが危機的状況になった時の”演出”。劇中の「妖精を信じる人は手を叩いてよ」のセリフに真っ先に答え反応した意外な人物が…泣けるんだよなぁ(涙)。あの瞬間から”家族”の絆が一気に深まったような気がしました。
そして、この一連の全てを見届けることができたシルヴィア”最後”のシーン。彼女の中にあったであろう恐怖心から解放され喜びに溢れた気持ちに満たされながら光の中を進んでいく。まるで『ピーターパン』の物語に溶け込んでいくように美しかった。バリと子供たちと劇団員たちの愛に包まれた彼女の最後はこの上なく幸福だったのだろうと想いを馳せたら涙が止まりませんでした(泣)。

全てが終わった後、そこには精神的な”大人”の階段を一歩上った子供たちの姿があった。そんな彼らの姿にバリも勇気と希望をもらったのだと思う。そして嬉しかったのはメアリーが幸せを掴んでいたこと。彼女が幸せそうにしていて、バリがそれを安堵したように見つめていたクライマックスも感動的でした。

それぞれの登場人物の心の機微が繊細に描かれている素敵な作品だったと思います。グワッと心揺さぶられて泣くっていうんじゃなくて、気が付いたら自然にほろほろと涙がこぼれ落ちてる…といった感覚だった。その涙はもしかしたら、私がこれまで生きてきた中で失ってしまった何かだったのかもしれない。作品そのものとしては大好きな部類ではないのだけれど、とても純粋で美しい時間と向き合えたなと思うので観に行けて良かったです。

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主なキャスト感想

ジェームズ・バリ:山崎育三郎くん

 久しぶりにいっくんの舞台姿を見たけど、本当に存在感あふれる良い役者になったなぁとしみじみ思いました。映像世界での経験がすごく良い意味で彼の中で生きてる。最初に舞台にバリが登場した時からハッと目を惹くオーラがあったし、歌もお芝居も素晴らしかったです。特に子供たちと接している時の自然体の姿は印象深かったですね。実生活でもお父さんということも大きいかもしれない。彼らと接してる時のいっくん@バリの生き生きとした茶目っ気たっぷりの表情や、純粋な心に影響されて気持ちが動いていくお芝居にすごい説得力がありましたね。

めぐさん演じるシルヴィアとのカップル感も年齢差を感じさせないしっとりとした優しい雰囲気に溢れていてとても素敵でした。彼女の柔らかい雰囲気にいっくん@バリが癒され包まれ、そして最終的には大きな愛で受け止めていく感じ。今まで感じたことがなかったような余裕のあるお芝居で魅了してくれてたなぁと。これからもどんどん魅力的な素敵な役者さんへ変貌していくのではないでしょうか。今後の活躍にも大いに期待したいです。

シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみさん

めぐさんの舞台を見るのも本当に久しぶりで、遡ってみたら2年ぶりくらいでした(最後に見たのはアリージャンス)。めぐさんといえばパワフルで完璧な歌声と存在感あふれるお芝居が大きな魅力ですが、ちょっと控えめな女性もピタリとハマってしまうのが本当に凄いと思います。今回のシルヴィア役は、これまで私が見てきためぐさんの役柄のなかで一番柔らかく一歩引いたような雰囲気に感じられました。積極的に前面には出ないんだけど、しっかりとシルヴィアという一人の女性の心情や生き様を見る者に訴える力がある。改めてすごい女優さんだなと実感しました。

1幕で子供たちと一緒に登場する時には無邪気で明るく、彼らと一緒に”子供の心”と同化して楽しんでいる様子が手に取るように伝わってくる。夫を亡くした哀しみや、自らの人生の期限を悟りながらもそれを子供たちの前では一切弱味を見せない強さを感じられたのも泣けました。そんな微妙な均衡を保っていた彼女の心を救ったのがバリだったんだなと。
いっくん@バリと一緒にいる時のめぐさん@シルヴィアはとても自然体でありのままの笑顔を浮かべていました。それを見て、彼女にとってバリが特別な人なんだなっていう説得力をすごい感じたし泣けましたね(涙)。自然体の中から滲み出てくる”喜怒哀楽”の表現が歌や芝居に込められていて…めぐさん、本当に素晴らしかったです。

フック船長/チャールズ・フローマン:武田真治さん

最初にフローマンとして登場するのですが、この姿がロマンスグレーの初老の男性だったのがまずビックリしました。武田さんもついに”老人”役を演じる時がきたんだなと…なんだか時間の流れを感じたw。で、その姿がまたえらい似合ってハマってたんですよね。
バリの創作についてはダメ出しをしまくる偏屈な雇い主って感じのフローマンなのですが、決してそこに悪意や嫌味を感じさせなかったのがとても印象的でした。バリに対してはちゃんと心の中で敬意を払ってる部分があって、なおかつ彼のことが好きなんだっていうのが伝わってきたんですよ。だから、どんなにキツいダメ出しをしてもその言葉の端々からはバリに対するエールが感じられる。セリフから溢れるチャーミングな魅力も非常に可愛らしく、終始惹きつけられました。

もうひとつの役柄がバリの想像のなかで登場するという設定の”フック船長”。フローマンはバリの脚本に悪役が出てこないことを盛んに指摘してたので、その意味もあり彼がフックの姿で登場したんだろうなと納得w。いやぁ、まさか武田真治さんのフック船長をこの舞台で見ることができるなんて…!12年前のミュージカル『ピーターパン』でこの役を演じられていた時はけっこう大きなニュースになってて気になっていたのですが、実際に見ることはなくて。だからもう、武田@フック船長が初登場したシーンは「やっと会えたー!」とテンションが上がってしまったw。
この作品に登場するフック船長は悪役の雰囲気は残しながらも常にバリの心を掻き立てる存在。まるで相棒のようでもあり、救世主的でもある。バリがシルヴィアに想いを告げようとするシーンで茶々を入れに来る場面とかは非常にチャーミングで面白可愛く最高でしたw。今回は特に武田さんの魅力が随所に感じられる作品だったと思います。

そうそう、武田真治さんは先日”お父さん”になられたそうで…おめでとうございます!今後の益々の活躍に期待しています。

メアリー・バリ役の夢咲ねねさんはちょっと気位が高い女性だったのですが、美しくどこかチャーミングで憎めないキャラを好演。バリを想う気持ちは本物なのに彼の気持ちに近づけないことをもどかしく感じる姿がなんだかとても切なかったです。最初は愛し合って結婚したはずなのに、いつからか目指す方向が違ってしまったわけで…。シルヴィアと出会い変わっていく夫の姿を目の当たりにしたときのメアリーの心の痛みをねねさんは繊細に表現されていたと思います。 それゆえ、ラストシーンでバリと再会したときの晴れやかな表情を見た時はホッとしたし心から”良かったね”と思えました。

デュ・モーリエ夫人の杜けあきさんは娘のシルヴィアの体調のことも察しているが故に、彼女を守るために毅然とした厳しい態度を取ってしまう女性を品よく力強く演じられていました。貴婦人としてのプライドも高く、子供たちに対しても厳しい態度で当たってしまう姿はちょっと『エリザベート』のゾフィ皇太后を彷彿とさせる雰囲気もありましたね。後半に入るまで厳しい姿を見せることが多かった杜さんのモーリエ夫人でしたが、根底には娘や孫たちを想うからこその愛情も垣間見えて切なくなる瞬間が何度もありました。このあたりの繊細なお芝居もさすがです。そんな彼女がクライマックスにバリの芝居に触れて心の奥底に隠れていた”本当の姿”を露にする場面はとても感動的でした。

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後述

カーテンコール盛り上がりました!2回目あたりからスタンディングオベーションになってたな。遠征で訪れた方もいらっしゃいましたが(たぶん関東地方あたりからも)、九州で待ちわびていた方も多かったようで劇場が熱い拍手で包まれキャストの皆さんもとても嬉しそうでした。メインキャストでは濱田めぐみさんがご当地出身(福岡県)なので、なおさら感慨深いものも大きかったと思います。
ちゃんとポルトス役のディーゼルくんも紹介されて舞台の上でご挨拶(?)してたのがめっちゃ可愛かった!!よく最後まで大人しくお芝居に参加してたなぁと(途中で体をカイカイしてたけどw)、癒されながらも感心してしまう。まだ1歳で大人しい性格だというディーゼルくん、これからも元気にすくすく成長してほしいです。

久留米まで来てくれてありがとうね~!

映像化の予定は今の時点では無いようですが、久留米公演が始まる直前にCD発売決定のお知らせが公式さんから発表されました。

さっそく劇場で予約入れてきたので届くのが楽しみです。通販でも販売されるとのことなので興味のある方は是非チェックしてみては。楽曲は本当にどれも素晴らしく心に染み入るものが多かったのでおススメです。

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