劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演を観に行ってきました。
今月はオペラ座遠征は控えるつもりだったのですが、どうしても今の時期の岩城ファントムに会いたくなってしまい逸る気持ちを抑えることができませんでしたw。禁断症状みたいな感じというか…、「沼」まではいかないけど、基本大好きなんですよ、岩城さんのファントム。
先月公演が再開されてからはストップすることなく続いていますが、世の中はまだまだ油断がならない状況…。座席についてオークションの声が聴こえてくるまではやはり気が気ではない(汗)。一日も早くこんな気持ちにさせられる日が終わってほしいのですが、先行きは不透明なまま。カンパニーと観客が安心して劇場に集える日はいつやってくるのでしょうか。
そんな中で今回も無事に幕が開いたことに感謝。今は耐えるしかないですよね。このまま止まることなく皆さん健康で続いてほしいです。
土曜日のマチネ公演でしたが、開場直後あたりはけっこう人が少なかった印象。キャスボ前の写真撮影も並ばずに撮れてしまったので、それはそれでちょっと不安は過ったのですが(汗)開演時間前には1階席はほぼ埋まった感じになっていたのでホッとしました。
劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』感想一覧
以下、超ネタバレを含んだ感想になります。
2022.08.20 マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪・西梅田)
主なキャスト
- オペラ座の怪人:岩城雄太
- クリスティーヌ・ダーエ: 藤原遙香
- ラウル・シャニュイ子爵: 岸佳宏
- カルロッタ・ジュディチェルリ:河村彩
- メグ・ジリー: 松尾優
- マダム・ジリー:佐和由梨
- ムッシュー・アンドレ:増田守人
- ムッシュー・フィルマン: 平良交一
- ウバルド・ピアンジ:永井崇多宏
- ムッシュー・レイエ:林和男
- ムッシュー・ルフェーブル:志村要
- ブケー: 田辺容
ふとキャスボを見渡してみると…男性アンサンブルの方が一人少なくなっていてビックリ(汗)。前日まで舞台に立っていた長友くんがいない…。どうやら急遽ソワレに違うキャストの方が入られたようですが、私が見た回は一人少ない中での上演ということになりました。長友くん、一日も早くまた元気に舞台復帰できますように…。
女性アンサンブルには早水さんが再び入られていますね。男性1枠の高井さんとの共演はなんだか見ていて安心感があります。見付さんは今回もアンサンブル枠でのご出演。長友くんが抜けた穴もカバーされていたのでは!?
全体感想・キャスト感想
志村オークショナー、今回もネットリとした言い回しで会場の空気を淀ませておりました(褒めてますw)。岸ラウルはやっぱり”髑髏”には目もくれてなくてww、”猿のオルゴール”のときに全神経を集中させてる感じ。「オルゴール、これだ」と歌い終わった後はまるで電池が切れたようにぐったり状態になってて見ていてちょっと心配になるレベルだった。
♪ハンニバル♪
お稽古シーンの冒頭は、やはり最初に1枠の高井さんが意気揚々と先頭切って勇ましく歩いてくる姿に注目してしまいますね。稽古の間はどちらかというとちょっと硬派なベテランさんといった雰囲気です。ところが、一旦稽古が止まると何故かちょっと仕草が乙女になってくるのが可愛くて仕方ない(笑)。
カルロッタがアンドレの要望で得意げに歌っているときに幕が突然落ちてくる場面、高井さん、「きゃーー、こわいーー」とでもいっているかのようにチョコマカと怯えながら乙女な逃げ方ww。数年前までファントム役を演じていた方とは思えない怖がりっぷりで思わず吹き出しそうになってしまった(笑)。『ハンニバル』シーンは永井ピアンジが私にとっての癒やしの存在ですが、高井さんも同率でそのグループに入るかもしれません。
それと、高井さんと一緒に稽古の休憩中におしゃべりしてるアンサンブルさんがとても目を引きます。バイキングのようなものを被って見た目は勇ましいのですが、仕草がめちゃめちゃ乙女っぽい。まるで女の子みたいな恥じらいもチラホラあって…見た目とのギャップが半端ない(笑)。何枠さんかなぁ?あまりに可愛くて思わず注目しちゃったよ。
永井ピアンジはゾウになんとかギリギリ音楽が終わる寸前に乗り終わりポージング決めた後の「やったぁーー」と言わんばかりの無邪気な反応が相変わらず可愛くて仕方ありませんw。なんていうか、無邪気なんですよね〜。
河村カルロッタはひっそりと松永ダンサーと意味深な目配せを交わしていて艶っぽい雰囲気醸し出しているんですが(このときの松永さんの目線がめっちゃセクスィーー!)、ピアンジはその事に全く気づいていない様子でカルロッタを見つめてニコニコしてる。この鈍感さがもどかしくも…やっぱり可愛くて萌えてしまうのです(笑)。
平良フィルマンがピアンジに挨拶するときにすごくそっけなくしちゃう場面。永井ピアンジ、ルフェーブルさんに「あれは失礼だろう!!」と盛んに訴えていらっしゃいましてww。うん、愛想よく挨拶しようとしたのにあの態度はないよね、って見てるこちらも思っちゃう(笑)。
幕が落ちてきた後も支配人たちの態度が適当だったことに怒ったカルロッタと一緒に退場する時、永井ピアンジ「チッ!」と舌打ちした後に「素人どもが!」と捨て台詞を吐いておりましたw。よっぽど腹立たしかったんだろうなと心中お察ししましたですよw。だけど、そんなところもやっぱり何故か可愛らしいと思えてしまう。やっぱり永井さんのピアンジは私にとっての癒やしです。
♪Think of me♪~♪エンジェル・オブ・ミュージック♪
メグに促されてカルロッタの代役を務めることになるクリスティーヌ。藤原クリスティーヌを見るのは1ヶ月半ぶりくらいかな。少し久しぶりに彼女を見た時、第一印象が「とても可愛らしいけど少し不思議ちゃんな要素ありかな」といった感じでした。”いつも夢見てるような子でしてね”というルフェーブルさんの解説がピタリとハマるような雰囲気があるように見えました。
♪Think of me♪はとても聞き取りやすい美しい歌声だなぁと惚れ惚れしてしまった。藤原さんはまだクリスデビューして日が浅いんですよね?それなのにあの貫禄の歌いっぷりはすごいと思います。
クライマックスの「あ」から「愛」に向かうところはそれぞれのクリスティーヌ役によって歌い方が違うのですが、藤原さんの場合はあまり溜めないで比較的テンポよくラストに向かうといった印象でした。個人的には最後の「愛」のフレーズ部分はもう少し伸ばしてほしいかなと思っちゃうんですけど、これもまた個性ということでそんなには気にならなかったかな。
岸ラウルはフィルマンの奥さんからオペラグラスを借りてステージに目を移すあたりから表情がガラリと変わってしまうのが見ていて面白いです。それまでは後ろの支配人さんたちと談笑して真面目に舞台観てない感じなのに、オペラグラスを覗いたらそこにはかつて想いを寄せていた女の子が踊っていることに気がつくわけで。「え、まさか…うそだろ?本当に?」みたいな心のざわめきが表情に滲み出ちゃってるw。すごい正直な子爵様だなぁと思ってしまった。
カテコのシーンでは、今回も指揮者さんがめっちゃハイテンションで称えまくりww。男性9枠さんが演じてるとのことで、廣くんですよね。あれ、本当に最高に面白いのでいつまでも見ていたいレベル(笑)。
佐和ジリーは久しぶりに見たけど、クリスティーヌに「本当に素晴らしかったわ」と告げる時に肩に触れる程度であまり密着してないなということに気が付きました。
それから、ダンサーの子たちに注意するシーン。ここはいつもだいたいのジリーさんは怒りまくった口調で威嚇してるんですが、佐和さんは言い方がめちゃめちゃソフト。以前もこんな優しい口調で注意してたっけ?あまり見ない光景なのでとても新鮮だった。
松尾メグは昨年東京で見て以来だったのですが、こんなに可愛らしかったっけ!?とちょっとビックリ。クリスティーヌに「いつの間にそんなに上手くなったの?」と尋ねる時のキャピッとした歌い方とか、本当に女の子同士の友達っていう雰囲気が出ていてキュンときちゃったよw。
♪リトル・ロッテ♪
支配人たちとラウルがクリスの楽屋へ向かうシーン。岸ラウル、明らかに「早く一人にしてくれ」オーラが出まくってるが面白いww。「払い戻しは1枚もなしだ」とフィルマンが高笑いしてる時なんか、イライラの気持ちがダダ洩れちゃってますからね(笑)。フィルマンからシャンパンを奪い取るみたいな感じだしww。
クリスティーヌが幼馴染のラウルとの再会に感激して思い出話を語る場面。背中越しにしか見えない位置ではありましたが、まっすぐに彼女の話を聞いてあげていた印象の岸ラウル。でも、「夕食へ行こう」と誘う時の変わり身は早いw。片想いしてた相手にまた会えたことでテンション上がって早く二人きりになりたいという気持ちがひしひしと伝わってきました。
♪ミラー♪~♪The Phantom of the Opera♪~♪The Music of the Night♪
約4か月ぶりに聴いた岩城ファントムの声!怒りの第一声から迫力があります。少し独特の声質をされてるなと思うんですが、なんか聴けば聞くほどクセになる感覚があるんですよね。
最初の第一声は怒りの声を表現してるけど、クリスティーヌと直接対話する歌になるとものすごくソフトで柔らかい。こんなに優しい歌声だったっけ!?と思ってしまったほど心地よかった。どんどん聞いているうちに包み込まれていくような感覚すらあったかも。
で、”鏡に向かって瞳を凝ら”さなくても…、なんだか向こう側に姿が見えてたな(笑)。クリスが近くにいることに興奮して立ち位置ちょっと前に出てるのかも!?なんて思ったりw。でも、そんな岩城ファントムも好きだよ。
それから英語の発音がとても美しい。四季に入る前はアメリカの舞台に立たれていたという経歴を持っているだけあって、♪Angele of Music♪の発音がめちゃめちゃ素敵です。「エンジェル」の”ル”と「オブ」の”オ”の音の重なり具合が特に最高(←表現ちょっと分かりづらいかもですが 汗)!!
隠れ家についた後の岩城ファントムはクリスの歌に合わせて歌うことはないんですが、けっこう精神的に落ち着いていない感じ。ハットも飛ばすというよりその辺に投げてたしw、マントのたたみ方も他のファントム役者さんに比べるとかなり雑です(笑)。
♪ミュージック・オブ・ザ・ナイト♪の歌いっぷりは久しぶりに聴いたけど、とても柔らかく優しい歌声。クリスに対して甘くそっとささやきかけるような雰囲気で歌われていて、彼女がそこに身を委ねて酔ってしまう気持ちがすごくよく分かってしまう。それなのに、クリスに触れる時の仕草はどこか慣れていないたどたどしさがあるんですよね。このあたりのアンバランスさが岩城ファントムの魅力でもあるなと思いました。
彼女が気を失った後は後ろにのけぞるようなビビり方をするのですが、慌ててマントをかけるときは一発で綺麗に成功。そっと顔に手を触れ近づけようとするのをグッとこらえる仕草がなんだかとても切なかったです。
♪ブリマ・ドンナ♪
田辺ブケーがダンサーたちに面白おかしくファントムのことを語る場面。めちゃめちゃ臨場感たっぷりにやっちゃっててww、あれは本人見たら「コノヤロウ」と怒るレベルだなと納得でした。
平良フィルマンの新聞紙投げ、1冊目がブーメランのように戻ってきててちょっと笑いそうになってしまった(笑)。他の2冊も怪しい感じだったなww。でもそこが面白い。
平良フィルマンと増田アンドレはもう安定のベテランコンビで見ていて安心感がありますね。新演出になってからどんどん感情表現も自由になってきて、特に平良さんは歌ではなく”台詞”として相手に語る場面が非常に増えてきたと思います。まさに”お芝居”している感がすごくあって、よりこの作品の世界観を深めている気がする。
岸ラウルはクリスと会えないと悟るこの場面からどんどん表情に苦悩の色が濃くなっていきます。めちゃめちゃ不安そうな顔してるので、なんだか慰めに行きたくなってしまうレベルw。
永井ピアンジは河村カルロッタにいつも親身になって寄り添ってる。彼女のことが本当に大好きなんだろうなぁと、あの可愛い笑顔を見ては癒されていた私ですw。
♪イル・ムート♪
今回♪イル・ムート♪のシーンで一つトラブルがありました。高井さん演じる”アッティーリオ”が「どうも怪しい信用できぬ、出発は中止だ」と歌うところで全く音楽が流れなくなってしまいました。
が、高井さんはアカペラでも完璧で見事なソロを朗々と歌い上げられていて…まるでオペラコンサートを聞いているかのような贅沢な空間になってた!!あれはあれでかなり貴重なシーンになったのではないか!?さすが高井さんだ!と歌い終わった後に拍手したい衝動に駆られそうになりましたよw。
でもカルロッタが「セラフィーモ」と歌い出すときにはちゃんと音楽が復活していてホッとしました。このまま全く音楽出てこなかったらどうなっちゃうんだろうかとドキドキもしてしまったのでね(汗)。どうやら音声トラブルだったようです。生の舞台は色々なことが起こります。
それにしても、5番ボックスから眺めている岸ラウルの退屈そうな様子は何度見ても面白いww。クリスが登場するところだけはしっかり見てる感じだけど、それ以外はめっちゃつまらなそうにしてる(笑)。
ブケーの事件が起こった後に支配人たちが大慌てになる場面はここ最近になってとてもドラマチックに進化したように思います。どうしたらいいか大混乱してるっていう雰囲気が平良さんも増田さんもめちゃめちゃ出てるんですよね。臨場感があってすごく面白い。前演出で淡々と進んでいたことが嘘のようです。
♪All I Ask of You♪
藤原クリスはあまりの怖さに混乱してしまっている様子がよく分かります。感情の未熟さみたいなものがリアルなんですよね。岸ラウルが最初はそれに翻弄されている雰囲気だった。
でも、泣き出したクリスティーヌに両手を広げ彼女を受け止めた後の岸ラウルは「涙お拭き」と歌いながらもその時はしっかりとしたハグはしていない。そこに彼の”愛する人を信じたいけどどうすればいいのか”みたいな心の迷いが見えてとても興味深いです。
それでもクリスが徐々にラウルしか見えないような状況になってくると、彼女の想いが本物だと確信するように表情が柔らかくなっていく。気持ちが通じたと分かった後はめちゃめちゃ幸せそうなんですよね、岸ラウル。ずっと不安げな表情してたので、あの瞬間は”良かったね”と思ってしまいます。最後はしっかりと愛する人を抱きしめて喜びのグルグルやってるしねw。
エンジェル像の上の岩城ファントムは、最初から哀しみよりも怒りの感情のほうが強い雰囲気でしたね。クリスとラウルの幻聴が聴こえてきても、しばらくそこに耳を傾け怒りのエネルギーを充填しているような感じ。そして歌が終わるか終わらないかくらいのところで耐え切れなくなって耳を塞いで、最後の最後に怒りを爆発させる。シャンデリアを落とすまでの心の動きがとてもリアルに伝わってきてグッとくるものがありました。
♪マスカレード♪
マスカレードの場面での岸ラウルはクリスと婚約できているのでめちゃめちゃ幸せそうです。彼女を見つめる眼差しがとにかく優しくて”LOVE”に溢れているのが微笑ましい。ここが彼の一番の絶頂期だったのではないかと思うほど。藤原クリス、めっちゃ可愛らしいしね。
レッド・デス登場で赤ファントムが「ドン・ファンの勝利」の譜面を投げ渡すシーン、岩城さん、やっぱりけっこうハードな投げっぷりでございました(笑)。でも床に落とすレベルじゃなくてよかったw。
♪支配人室2♪
「ドンファンの勝利」の譜面を読んでいたカルロッタが支配人を見つけると怒りに震えてにじり寄る場面。ここで彼女はめちゃめちゃ乱暴に楽譜を放り投げるんですが、いつもはピアンジの手元でぐちゃぐちゃになっていたのが、今回はなぜか綺麗にパタパタと折りたたまって彼の手に収まっていたので思わず”おおっ”と心の中で拍手しておりました(笑)。
クリスとカルロッタがバッチバチになるシーンは、仲裁に入る平良フィルマンさんのアタフタっぷりが面白くて最高ですw。あの女の戦い勃発寸前みたいなところに突入するのはけっこう勇気がいるだろうなぁ、と思いながら毎回見てます(笑)。
このシーンの一番の見どころは、ラウルの豹変ですね。どのラウル役者さんもここで狂気の部分を曝け出してくるんですけど、岸さんはここに至るまで不安げな表情を見せることが多かっただけにここでの爆発力はゾクっとするような恐ろしさを感じます。一気に振り幅が憎しみと怒りに向いちゃったという感じで、ファントムを抹殺することもいとわないといった勢いがある。
そんなラウルを見てクリスティーヌが恐怖を抱いてしまう気持ちはすごくよく分かるなぁと思ってしまった。
その跡の合同練習シーン、何度やってもピアンジが正しく歌えなくて林レイエさんのイライラもピークに。このあとにカルロッタが「どう歌えばいいの!?」と詰め寄りながら正しい音程で歌うんですが、それを目の当たりにした林レイエは「それです!!」と思わず声をかけてしまうw。
この場面、何も言わずに聴いてるレイエと、「それ!」と同意するレイエとに分かれますよね。私個人としては、林レイエのスタイルが好き。
♪墓場♪
登場した時に赤いスカーフを頬に当てて切ない表情をする藤原クリスはなんだかとても幼い少女のようで切なかったなぁ。あんな姿見たら彼女に声をかけたくなるファントムの気持ちすごく分かっちゃうよ(私はこの後クリスの歌を聞きながら十字架にいつも目を凝らしてしまうんですよねw)。
「ここへおいで、私の愛しいエンジェル」と歌い出す岩城ファントムの声のなんと優しく温かい響きか!!岩城さん、こんな柔らかい声で歌ってたっけ!?とちょっと驚いてしまった(久々だったもので)。あんな優しい歌声で誘われたら、そりゃそちらの方向に行きたくなるよ!!まるで壊れ物を扱うかのようにそっと丁寧に歌っているのがひしひしと伝わってきて…思わず涙が出そうになった。
岸ラウルもやって来ての三重唱は圧巻です。岸さんの歌声は本当に聴き取りやすくて、特に「僕のクリスティーヌ、大切な人」っていうフレーズがめっちゃ泣ける。
ラウルに気が付いた後の岩城ファントムはそれまでの優しい歌声が嘘のようにめちゃめちゃ荒っぽい。「ブラボー!!」の言い方なんかすごい悪魔でビックリします。
そして火の玉攻撃の場面へ行くわけですが、他のファントム役者さんよりも激しい。狙っているのか闇雲に打ちまくっているのかっていうくらいのレベルw。2発くらいは岸ラウルの体めがけて火の玉飛んでて、それを彼が帽子で払い除けるといった緊迫するシーンも!!とにかくめちゃめちゃスリリングでございました。
ラウルがクリスティーヌを連れて去っていく時の「行くな!!」の叫びは、まるで駄々をこねた子供が親を引き留めようと泣き叫ぶ声のようで非常に痛々しい岩城ファントム…。ホント切ない(涙)。
♪The Point of No Return♪
ピアンジのカーテン閉めは毎回の私の注目ポイントになっているわけですが(笑)、永井さん、すっかり安定されましたね。ちょっと最後隙間が空きそうになったけど、最後までしっかりと閉まってて良かったです。むしろ、その後登場する黒マントの岩城ファントムがすごい勢いでシャッとやってたので少しドキッとしてしまった(笑)。あのシーンは絶対に閉じないとマズいことになりますからねw。
岩城ファントム、最初はとても落ち着いた感じで入っている印象。彼女への想いをグッとこらえながら歌っているんだろうなと思ったらなんだか切なくなっちゃいますね…。藤原クリスは積極的に情熱的に歌ってる。可愛らしい顔でかなり大胆な行動もしてるのでそのギャップが面白いです。あんな姿見たら、ファントムの気持ちも穏やかではいられなくなるよなっていうのが納得。
そして二人で舞台中央に立って向かい合う場面、クリスティーヌに黒マントをめくられた瞬間の岩城ファントムの表情がとても印象的だった。夢中になって彼女への愛の歌を前のめりで歌っていたのに、マントが脱がされた瞬間に急に現実に立ち戻る…みたいな感じ。思わず息を飲んで後ずさりしたあと背を向ける姿が切なくて仕方なかったです(涙)。
それでも気持ちを振り絞ってクリスへの愛を告げようと彼女の指に指輪をはめる。でも仮面まで剥がされてしまうわけですが…、岩城ファントムはこの時にあまり声を出して驚く仕草はしていなかったな。まるで感情が追いつかないといったように少し戸惑いにも似た雰囲気を醸し出してたように私には見えた。このあたりの感情表現がとても繊細で素晴らしいですね、岩城さん。
舟を漕いで自らの感情をクリスにぶつけるシーンでは、彼女を責めたてるというよりは自分自身の運命の残酷さをひたすら嘆いているようだった…。「なぜ…なぜだ」というセリフを言う時にうずくまっている岩城ファントムは思わず抱きしめてあげたくなるほど切ない(涙)。
♪怪人の隠れ家♪
クリスを隠れ家に連れてきた後の扱い方はかなり乱暴。藤原クリスの転がりっぷりがけっこう激しくてちょっとビクッとなってしまいました。肩で息をしながらそこに立っている岩城ファントムはもう混乱の極致といった感じで紳士らしさのかけらもない。本当に孤独にもがく少年のようです…。
クリスから「飢えた悪魔」と罵られた時の岩城ファントムはそこからさらに幼さが加速していく感じで、ブワワッと目に涙が溢れて泣き出してたんですよ…。もうあの涙がたまらなく哀しすぎて私の涙腺も崩壊(涙)。心をナイフで突き刺されたような感覚だったんだろうなと思うとなおさら辛い…。
ボロボロ涙を流しながら自らの生い立ちを語りだすシーンは本当に涙無くしては見れなかったなぁ…。見てるこちらの心も抉られていく感覚がすごくて、一刻も早くその孤独な心を救ってあげたいという気持ちに駆り立てられる。
荒々しくクリスの花嫁衣裳の準備をする場面、ブーケを渡すときはちょっとためらいがちにになってるのがまた切ない…。まるで”どうか僕の気持ちを受け止めてよ”と伝えているかのよう。でも彼女はそれを拒絶する態度をとっていて、このことにイラついて無理やり持たせてしまう。
それから、このシーンの時に自分の襟元をグイッ緩める仕草もしていた岩城ファントム。幼さの中に”漢”な部分も垣間見えてちょっとドキリとしました。
ラウルがやってくると、彼の前で弱みを見せたくないといった感情が働いて尊大な態度になる岩城ファントム。彼に背を向けて座っている時の表情が悪魔的なのですが、感情が混乱しているので動きは非常に落ち着かない。特に「情け知らず」と罵られた後の「情けなど知らない!!」と言い返す場面は幼子が親に言い返すような感じになっていてなおさら痛々しかった…。
ラウルの首にロープを掛けに行く場面は、そこに行くまでの時間を楽しんでいるかのようでなかなか近くにはいかない感じ。そのワクワク感みたいな感情がすごく未熟で見ていてゾクっとするものがある。
クリスティーヌを脅迫する場面、この時岩城ファントムはラウルへの対抗意識の激しさからかギリギリまで吊るされてる彼の近くにいて、「もはや引けないぞ」の「ぞ」の部分のところでやっとオルガンに辿り着いていました。なんとしてもラウルとクリスティーヌを近づかせたくないという気持ちが感じられて心が痛かった…。
クリスから「哀しみの涙、今、憎しみに変わる」と激しく罵られたとき、岩城ファントムはものすごいショックを受ける表情を一瞬見せるのですが、それよりも何としても自分の想いをぶつけたいという気持ちが勝っているからかすぐに彼女ににじり寄る感じでしたね。それに対抗する岸ラウルの必死の訴えもすごかった。
もうこの一連のシーン、岩城ファントムがずっと涙ボロボロ流して必死に訴えまくってて…見ていて悲しくて悲しくて仕方なかったですよ(涙)。
クリスから「昔は心捧げた」と訴えられる場面、岩城ファントムの「許さない、選べ!!」はもう完全に駄々をこねている幼子のよう…。心がぐちゃぐちゃになりながら向けた背中のなんと哀しいことよ…。あんな姿見ちゃったら…クリスティーヌも心が動くよねって納得です。あの時彼女はついにファントムのとてつもない孤独な心に気が付いたんだなというのがよりリアルに伝わってきました。
キスを受けた後の岩城ファントム、それまでの荒ぶった気持ちは抜けた雰囲気でしたが、自分の身に何が起こっているのかが分からなくて動揺しているような感じにも見えたな…。フラフラと進んでいって、かなり先まで行ったところでようやく自分の手を唇に当ててクリスの方を振り返ってた。この時小刻みに震えてたんだよね…。それがまためちゃめちゃ泣けた(涙)。
ラウルの縄を切る瞬間、彼を逃がしたくないという感情との葛藤が見える岩城ファントム。それでもクリスの表情を見て血を吐くような想いで焼き切るんです…。その姿のなんと痛々しいことよ(涙)。
そして二人を逃がすシーン。最初の「行け!」は抑え気味だったけれど、クリスとラウルが呆然と立ち尽くしている姿を見た瞬間に感情がはじけ飛んで「行け、行ってくれ、お願いだ!!」と泣き叫びながら追い払う。その悲痛な声がもう心に刺さりまくってきて本当に辛くて切ない…。
涙をポロポロ流しながら♪マスカレード♪を歌う姿はとても小さく見えて哀しいのですが、そのあとクリスティーヌが戻ってきた姿を見て一瞬彼の中に光が差したような雰囲気になる。そしてついに愛を告げるわけですが…その声色が本当に心がこもってて優しくてめちゃめちゃ泣ける。
でも藤原クリスは彼の顔を見れずに俯いてそのまま立ち去ってしまった…。まるで”あなたと一緒になることはやはりできない”と告げているかのようで、なおさら辛かったな…。今回見ていて思ったけど、藤原クリスの場合は、ファントムとよりもラウルと結ばれた方が幸せになれるのかもしれない。
去っていくクリスティーヌの背中を見送りながら、岩城ファントムはもう一度「I LOVE YOU」と小さく言葉を掛けるんですよね…。それがもう彼女には届かないことを分かっていながらも、想いを伝えずにはいられないといった感じで、もうここは私の涙腺も大崩壊(涙)。めちゃめちゃ切なくて悲しくて仕方ない…。それと同時に、本当に愛しくてたまらんですよ、岩城ファントム…。
残されたベールを抱きしめている時、今回は言葉を発せずにただただ寂しさに耐えて泣いてた岩城ファントム…。二人の姿が見えなくなった後にようやくそちらへ視線を送ってて、でもその背中はとてつもなく寂し気で…。
もう、ほんっとに心奪われるわ、岩城ファントム。何度でも会いに来たくなる中毒性がある。
後述
カーテンコールはいつものように何度もあってスタンディングオベーションだったのですが、劇中ではあんなに哀しい表情を見せていたのが嘘みたいに岩城さん、めっちゃ良い笑顔されるんですよね。ファントム役者さんはカテコでも比較的静かな雰囲気を残す人が多いんですが、岩城さんはすごく嬉しそうな表情を浮かべられている。普段はとてもキュートで楽しい方だということですし、そんな素の部分が出てるのかなと微笑ましくなります。
今回久しぶりに岩城ファントムを見て…改めて、大好きだなと再確認いたしました。上の感想にも書いたけど、何度も会いたくなるほどの中毒性がある。これまで色々な役者さんのファントム役を観てきましたが、岩城さんは私が一番理想としている”像”に極めて近い(推しは私の色眼鏡も相当入っているので除きますがw)。彼のファントムに会えたことが本当に嬉しいです。
間を開けずにまた会いに行きそうな自分がいる(汗)。沼間には落ちないよう気を付けなければww。