ミュージカル『RENT』東京公演 2020.11.16マチネ

全体感想<2幕>

2幕冒頭に歌われるのがこの作品の象徴ともいえる♪Seasons of Love♪が全キャストによって高らかに歌い上げられます。映画版では物語の冒頭に歌われますが、舞台版は2幕冒頭に歌われます(RENTオリジナルキャストが多数出演している映画も超おススメ)。

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「525,600分 この時を、どう数える、一年を」

与えられた命の時間をどう数えるか、どう過ごしていくのか。限られた時間をいかに愛溢れる実りあるものにすればいいのか。今の混沌とした時代にこのナンバーを聞くと様々な想いが胸の中を駆け巡ってしまって…最初の旋律が聞こえた瞬間から感極まり涙があふれてしまいました。
ソウルフルで心を揺さぶられる名曲中の名曲だと思います。

新年があと少しで訪れるという時、ベニーによって抗議集会の報復として住んでいたビルを封鎖されてしまったマークたちはなんとか中へ侵入しようと知恵を出し合います。
このシーンで面白いのは、マークとジョアンヌが”恋のライバル”という関係を越えてすっかり意気投合して仲良くなっちゃってること(笑)。ビル侵入手口も息ピッタリ状態で解決させてて、モーリーンが思わず「いつの間に!?」とちょっと嫉妬したような表情になってしまうのが可愛いです。

ところが、新年と同時にビル侵入に成功して喜び合ったのも束の間、それを見越したベニーが先に中に入っていてかつての仲間たちを冷やかします。最初のうちは文句を言い合う程度で収まっていましたが、ベニーはロジャーとミミが一緒にいることをよく思わない節があり(過去にベニーとミミは付き合ったことがあるようです)わざとロジャーの嫉妬心を煽るような言葉を並べ立ててしまい一気に険悪なムードになってしまう。
非常にヒリヒリした場面なのですが、どんどん大きな火が燃え上がっていくかのようなロジャー・ミミ・ベニーの感情のぶつかり合いを歌う旋律がめちゃめちゃカッコいいのです!今回も見ていてものすごくゾクゾクきました。

自分たちと同じ立場にいたはずのベニーが、金持ちの娘と結婚してからコロリと態度が変わってしまったことを知る仲間たちは彼に対して激しい嫌悪感を抱いていますが(ロジャーの嫉妬心を煽られたミミも然り)、エンジェルだけはその争いに積極的に参加しようとしていません。彼はところどころでベニー寄りな発言も挟んで丸く収めようとするんですよね…。
でも現実はなかなかうまくいかなくて。エンジェルは純粋に自分の周りの人たちが愛に溢れたハッピーな気持ちでいてほしいってずっと願ってる。そのピュアな想いがとても切なく感じてしまうのです。

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季節は移ろい、2月。エンジェルとコリンズは二人で暮らし始め誰もその居場所を知る者はいない。ロジャーはミミの部屋で一緒に暮らしていましたが、ミミとベニーの関係を疑い嫉妬心を拭えないロジャーは彼女から離れようと思っていた。モーリーンとジョアンヌはなんだかんだ文句を言い合いながらも一緒に過ごしていました。
それぞれ、人間関係は様々ですが・・・どちらにしてもパートナーがいます。しかし、彼らを語っているマーク自身は相手がいない。

「僕はここ。どこにもいない」

そう寂しく呟くマークのシーンがとても切なくて心がツンと痛くなります。仲間はいるけれど心を開いて語り合う相手がいないマークの疎外感のような気持ち、ものすごくよく分かってしまうんだよなぁ…。

モーリーンとジョアンヌは次なる抗議集会に向けてのリハーサルを進めていましたが、ジョアンヌはモーリーンの独特の感性についていくことができずに苛立ちを募らせてしまいます。さらには、彼女が違う女性とベタベタした姿も目撃してしまったことから(1幕ラストのカフェでも目撃しちゃいましたしね 汗)嫉妬心もメラメラと盛り上がってしまい・・・自由気ままに生きようとするモーリーンと激しい言い争いに発展してしまう(♪Take Me or Leave Me♪)

お互いに「本当の自分を見て!理解して!!」と激しく自己主張し合うのですが、ここのナンバーはライトでポップでノリノリになりたくなるような楽しい雰囲気を感じさせます。映画でもちょっとコミカル的に描かれていたのですが、舞台ではそれとはちょっと違う演出になってるのがミソ。

ジョアンヌとモーリーンが激しい言い争いになっている場面を、ロジャーとミミ、エンジェルとコリンズ、そして一人ぽっちのマークがジーっと見つめてるのです。ロジャーたちは別れの予感を胸に抱きながらもスレスレのところで抱き合いながら見つめてるし、コリンズは命の火が弱まっていくエンジェルをいたわるように優しく抱きしめながら見つめてる。そして光の当たらない場所で一人で見つめてるマーク…。
「静」と「動」が同居するとても不思議なシーンで、なぜかモーリーンとジョアンヌの激しい言い争いがとても平和にも感じられてしまうんですよね。それぞれ複雑で重いものを抱えている3組をあえて見せている演出がとても印象深いです。

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♪Seasons of Love♪リプライズが流れるなか、エンジェルの体調は悪化していきコリンズの助けを借りてパジャマに着替え病院へ入院することになってしまう。エンジェルが着替えて入院するまでの過程を見せることによって、彼の命の火が小さくなってしまうのを強く肌で感じる本当に切なく苦しいシーンでもあります…。

一方でミミはロジャーの不安定な気持ちを察しているからか”クスリ”に頼る頻度が増えてしまう。ロジャーもミミが戻ってこないのはベニーの所へ行っているからだという誤解を拭うことができずに苦しんでいて、ついには彼女から離れることを選んでしまいます。
ミミはロジャーが自分から離れてしまうことを感じますます孤独感を強めてしまう(♪Without You♪)。本当はもっと正直に彼にぶつかっていきたいのにそれができないミミの不器用さも切ないです。止めなければと思っているのに心の弱さからますます”クスリ”へ依存してしまう姿がとてつもなく哀しい…。

そんなロジャーとミミの哀しい関係が舞台中央で展開されているなか、上手ではコリンズに見守られながら必死に闘病するエンジェルの姿がある。ロジャーとミミの関係が悪化するのと比例するようにエンジェルの体調も急速に悪化してしまう…。この哀しいリンクが切なくてたまりません(涙)。
弱りゆくエンジェルを必死に看病し、優しく包み込むように抱きしめるコリンズの姿がさらに涙を誘うのです…。

そしてマークはテレビ局から映像の仕事をしないかという誘いに心が揺れ続けていました。その番組は彼が求めている社会派なものではなく、くだらない内容を扱うバラエティ番組だった。それでも安定した”仕事”には就ける。自らの理想を選択するか、夢を捨てて現実を取るか、誰にも相談できずに一人で葛藤し続けるマークも切ない。

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エンジェルは多くのカップルたちの「性」についての生々しい告白が展開されるなか、精神世界の中で激しいダンスを踊ります(♪Contact♪)。ここの場面は非常にリアルな若者たちの「性」についての”言葉”があれやこれや飛び交うので、日本人にはあまり馴染まないような気がします(私も初めて見たときにはけっこうビビったw)。
でも、それがむき出しに表現されることでより「人間」という存在が生々しくリアルな形として浮き上がってくるようにも感じられるんですよね。こういうシーンをストレートに描いているところがすごくアメリカらしいなと思います。

混沌とした「性」の世界が渦巻くなか、エンジェルは静かにこの世を去ります…。その瞬間の彼はとても崇高で気高い存在に見えてくる。仲間たちがエンジェルとの思い出を葬儀で語っているさなか、ゆっくり静かにその場から去っていく後ろ姿がとても神々しくて泣けます…。
エンジェルの姿が舞台から消えた時、コリンズはありったけの愛を天に捧げるべく熱唱(♪I'll Cover You <リプライズ>♪)、それを感じながら舞台上にコリンズと出逢った頃の姿のエンジェルが座っている。もう思い出すだけでこの一連の場面は泣けて泣けて仕方ないです(涙)。

葬儀が進むなか、ロジャーとミミは徐々に険悪なムードになってしまう。ロジャーはどうしてもミミとベニーの関係がチラついてしまい彼女と向き合えないでいたんですよね…。そこにベニーがまた口出してしまうものだからさらに悪化しちゃって、モーリーンもベニーに突っかかったことで激しい言い争いが幾重にも発生。マーク一人では彼らを止められない。
それを咎めたのは、「せめて今日だけは穏やかにしてくれないか」と哀しく歌うコリンズでした。一番辛いのは愛する人を失ってしまった彼なんだよね…。それだけにみんながバラバラになってしまうことを予感してる姿はとても切ないです(涙)。

マークはロジャーと二人きりになったタイミングで彼にミミともっと正面から向き合うようにと訴えます。それでも顔を背けるロジャーに対して「ミミの体が弱っていくのを見るのが辛いからじゃないのか」と確信を突いてしまったマーク。ロジャーも苛立ちを露にして「本当は仲間が欲しいくせにお前はカメラで撮影しているだけでただの傍観者なだけじゃないか」と本音をぶつけてしまった。
お互い表に出さずにいようと思っていた本音をぶつけ合ってしまうシーンは見ていてとても心が痛くなります…。二人ともお互いの弱い部分を分かっているし本当はそれを受け止めていたはずなのに、マイナスな感情として吐き出してしまい傷つけあう結果となってしまったことがとにかく痛々しくて苦しい…。

結局ロジャーはミミと向き合う勇気を持つことができず別れを選び、マークとの同居生活も解消してニューヨークを離れてしまいます。そんなロジャーに追いすがるように愛していると訴え続けるミミの姿がとても儚く哀しかった…(♪Goodbye Love♪)。特に最後の「Hello,disease(病気よ、こんにちは)」の歌詞が切なくて苦しい(涙)。
ミミは薬を抜くための施設へ行くことになりますが、ロジャーと別れるショックが大きくて改善する気力をなくしてしまうんですよね…。

一方、コリンズは神父から「ゲイのための葬儀を続けることはできないから出ていけ」と罵られ激しい憤りを感じてしまう。おそらく当時もこういう事例が実際に会ったのだろうなと思うと本当にやりきれないです…。
そんなコリンズに救いの手を差し伸べたのはベニーでした。神父がコリンズたちがお金を払えそうにないと察していることを悟り、自分が資金を出すと申し出る。マークとコリンズが「金があるっていいよな」と初めてベニーを受け入れる発言するのがとても印象深いです。

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ロジャーと別れた後マークはテレビ局の仕事をこなす日々を送っていましたが、自分の理想と違うことばかりの日々に大きな違和感を抱えるようになっていました。一方のロジャーもニューヨークを離れ仲間や愛する人と距離を置いていましたが、心はずっと満たされないままでした。

二人は各々違う場所で、自らの信念とは違った生活をしている自分に対する憤りを吐き出すように歌う(♪What You Own♪)。混沌とした時代だからこそ自分の信じた道を生きることの大切さに気付き、二人はあるべき場所へ帰る決意をするのです。マークはテレビ局の仕事をやめ、ロジャーはミミへの想いと向き合うためにニューヨークへ戻る。
違う場所で生きていてもお互いに同じ思いを歌うこのナンバーは、どんなに激しくぶつかっても固い絆で結ばれた友情は壊れていなかったんだと感じて胸が熱くなります。

1幕冒頭からちょうど1年後のクリスマスイブの日、マークとロジャーは再び共に暮らしていました。ロジャーは自分が納得できる曲を完成させ、マークは撮りためた映像をまとめるのに忙しい。さらに彼らの元へ久しぶりにコリンズが物資の提供をしに現れる。シチュエーションが1幕冒頭とほぼリンクしているのが面白いシーンです。
でもそこにエンジェルはもういないし、ミミも行方不明になってる。ロジャーは新しくできた曲をミミに捧げようと思っていましたが、いくら彼女を探しても見つからず途方に暮れていました。居てほしい人たちがいない、というのがこのシーンで浮き彫りになってて切なくなってしまいます。

その直後、モーリーンとジョアンヌが公園で瀕死の状態になっていたミミを発見しロジャーたちの部屋へ運び込みます。大きなショックを受けたロジャーは必死にミミの耳元で新しく完成した彼女のための曲を弾き語る(♪Your Eyes♪)
仲間たちも何とかしようにも状況が悪くなる一方で絶望感に包まれていってて…もう悲劇の予感しかしないんですよね(涙)。ロジャーはこの時初めてミミに愛を打ち明けるんですけど、もっと早く素直になれてたら…って思ってしまう。

と、この悲劇的な状況で幕を閉じそうな雰囲気になるわけですが…そこで終わらないのがこの『RENT』という作品なのです。最初にこのシーンを観たときには衝撃を受けましたが、このラストにジョナサン・ラーソンの「生きることへの賛歌」が込められていると知った時から涙なしに見れなくなりました(♪Finale B♪)

「No day but today」

と高らかに歌い上げるなか、最後の最後にエンジェルが駆け込んでくるシーンは大号泣です(涙)。このラストの展開を含めたすべてが『RENT』なのだと思います。大きな愛に包まれたクライマックスが何よりも愛しい。

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主なキャスト別感想

花村想太くん(Da-iCE)<マーク役>

ダンス&ボーカルグループDa-iCEのメンバーの一人である花村くん。舞台出演はまだ少ないとのことでしたが、マークの繊細な心情を丁寧に演じていてとても好印象を持ちました。特に、ロジャーから「本当は仲間が欲しいくせにおまえは傍観者でしかないじゃないか」と責められた時、まるで銃で撃ち抜かれたかのように胸を押さえて苦しそうにしていたお芝居が印象的で忘れられません。あのマークを観たとき、泣きました。他にもたくさん色んな表情を見せてくれました。

それに、特筆すべきは歌の上手さです。グループの中でも特に歌が得意とのことですが…、過去に見てきたマーク役者の中では歌の安定度がダントツでした。美しく繊細な良く伸びる歌声がとにかく心地よかったです。
今後の舞台作品も決まっているとのこと、この先の成長がとても楽しみです。歌手活動と共に舞台活動も続けていってほしいなと思いました。

甲斐翔真くん <ロジャー役>

甲斐くんは本当ならば今年の2月に『デスノート』で観るはずだったのですが、大阪公演が全部中止になってしまった為この日が初めましてでした。ビジュアルはロジャーの雰囲気とすごく合っていてとても漢気がある感じがとてもよかったしカッコよかった。

甲斐くんロジャーは繊細さというよりかは感情の不安定さを感じさせました。自分の運命を呪いながらなかなか前を向くことができず苛立ちを抑えることができない青年って感じ。粗削りな印象もありましたが、逆にそれがロジャーという役柄に生きていたと思います。
歌もすごく頑張ってました。今後も色々な役を経験して、またロジャー役として帰ってきてほしい俳優さんです。

八木アリサさん <ミミ役>

八木さんはこれまでのミミ役の女優さんとは少し雰囲気が違って、とても美人で華やかな印象がありました。モデルさんということもあってか、とにかく背がすらりとしていてカッコいい。♪Out Tonight♪のシーンで髪の毛揺らしてキラキラ粉末を散らすところとか特に華やかでした。

ただ、今回見た印象で思ったのは…ミミ役には合わなかったかなぁということかなぁ。すごく頑張っていたのは伝わりましたが、ミミの不安定な心情や壊れそうな儚さ、クスリに溺れてしまう弱さと脆さ・・・そういった部分が八木さんのお芝居からはあまり感じられなかったのがとても残念です。彼女のミミはロジャーがいなくても生きていけそうって思えてしまったので(汗)。
どちらかというと、モーリーン役とかのほうがハマったのかもしれないなぁ…とも。

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上口耕平くん <エンジェル役>

今回の『RENT』で一番楽しみにしていたのが上口君のエンジェルです。彼のエンジェルを観たいがために遠征したと言っても過言ではない(笑)。上口君はこれまで多くの作品で主要な役を演じてきましたが、どれもとても魅力的で密かにファンだったりするのです。エンジェル役に決まったと知った時には意外な配役にちょっと驚いたんですが(マーク系だと思ってた)逆にものすごく興味が沸きました。

いや~~、もう、本当にピュアで純真で、笑顔が可愛くて・・・諸々最高のエンジェルでした!!遠征して良かったって見ててめっちゃテンション上がりましたよ(笑)。茶目っ気もあったり周りを気遣う優しさもあったり、ほんと天使なんですが、特にコリンズに対してはいつも優しい表情で寄り添っていていじらしくてたまらない。エンジェルにとってコリンズは人生の中で一番欲していた人物なんだろうなっていうのがひしひしと伝わってきました。このあたりの表現力がとても素晴らしかった。

そして最も最高だったのが♪Contact♪のダンスシーンです。死の間際、エンジェルはこれまで見せなかったような鬼気迫る表情で激しいダンスを踊るのですが、その動きの一つ一つに神経が行き届いていたし、射るような目力にはドキリとさせられました。めちゃくちゃカッコよかったんですよねぇ、あのシーンの上口エンジェル!!願わくばもう一度見たかった!!

天に召されてしまった時にはコリンズと一緒に号泣したし、最後にみんなの元へ走ってくるシーンもそれだけで涙腺が決壊しちゃったよ…。本当に愛しくてたまらないと思える上口エンジェルでした。また必ず会いたい…!!

加藤潤一くん <コリンズ>

加藤君のコリンズを初めて観たのは2012年公演の時(中村倫也くんのロジャーが好きすぎて劇場に通い詰めてた頃w←過去記事参照)。あの時は数公演しか加藤コリンズの出番がなかったのですが、その頃から見ているだけになんだかとても感慨深いものを感じました。

加藤コリンズはとにかくとても穏やかで包み込んでくれるような優しさをひしひしと感じます。エンジェルはそんな彼の本質を一瞬で見抜いたんだろうなと納得。いつもエンジェルを見つめる眼差しが温かくて安心感がハンパないです。
それだけに、弱りゆくエンジェルを一生懸命介抱し抱きしめる場面は涙なくしては見れません…。彼を失った後に歌う♪I'll Cover You リプライズ♪はまるで讃美歌のように美しく感動的でした。

鈴木瑛美子さん <モーリーン役>

鈴木さんは抜群の歌唱力でバラエティ番組に出演して注目を集めた方だそうで、舞台は3月の『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド〜汚れなき瞳〜』が初めてだったとのこと。私も「ホイッスル~」は大阪で予定にしていたのですが、こちらも中止になってしまい観ることが叶わなかったので今回の『RENT』が初めましてになります。

バラエティ番組で大絶賛されたというだけあって、本当にパワフルで素晴らしい歌声でした!しかもそれだけじゃなくて、モーリーンのキュートで大胆なキャラも溌溂と演じられていてとてもよかったです。特に♪Over the Moon♪では柱から窓を開けるように顔を出したりとお茶目なお芝居を連発。めちゃくちゃ可愛くて思わず笑顔になってしまった。
これからも色々な作品に出て色んな表現力を身に着けまたRENTの世界にも返ってきてほしいなと思います。

宮本美季さん <ジョアンヌ役>

2015年、17年に続いて3度目のジョアンヌ役ということもあって安定感ハンパないです!お堅い職業(弁護士)で融通が利かない真面目人間ながらも、モーリーンの可愛らしさにはどうしても逆らえずメロメロになっちゃうギャップをちょっとコミカルに、そしてパワフルに熱演。その気持ちわかるーーって思わせる説得力のある芝居と歌唱力が本当に最高でした!
一番の魅力は、どんなに早口で歌ってもきちんと歌詞が聞いている人の中に届いていることです。特に複数人と電話するシーンは圧巻!!大きな拍手も沸き起こっていました。

吉田広大くん <ベニー役>

吉田くんは元X4(松下優也くんがいたグループ)のメンバーでミュージカルでは『タイタニック』で見たことがあります。あの頃よりもグンと歌唱力が上がってたし(カラオケバトルでも優勝したらしい!)、ベニーの冷徹さや小ズルいところ、本当はマークたち仲間とうまくやりたいという気持ちもチラチラ垣間見える部分も出したりしててとても魅力的に演じてくれました。
途中でベニー役を違う役者さんと交代する予定になってて、あと数公演というところだったのですが…私が観た日が最後になってしまったようです。今度はソロで演じられますように。

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後述

花村マーク・堂珍ロジャー動画

平間マーク、甲斐ロジャー動画

カーテンコールはほぼスタンディングで拍手の嵐。ステージ上の役者さんたちもすごく感無量の表情をしていましたが、モーリーン役の鈴木さんはポロポロと涙を流していて思わずちょっともらい泣きしそうになっちゃいました。さらに、カテコ終わりの去り際にはベニー役の吉田くんの周りに4人くらいの役者さんたちが集まって熱いハグしてたのも印象的だった。
でも、まだRENTは先があるし吉田くんのベニー役も数公演分残っていたので「どうしたんだろう」と少し不思議には感じたんですよね…。

今から思うと、もしかしたらこのカテコの時点でその先の『RENT』公演が不透明な状況になってしまうことをカンパニーの皆さん把握してたのかもしれません…。そう思うとなおさら切ないです…。

私はこの日も含めて2日間3本観劇したのですが、印象としてはクリエが一番お客さん含め感染対策意識が高かったなと思ったんですよね。劇場側は入口の体温・消毒はもちろんのこと、帰るときには1列ずつの退場を徹底してました。客席内の会話もクリエが特に少ない印象があったんです(他の劇場はクリエよりも緩んでる雰囲気があった)。
それだけに、中止に追い込まれる事態となってしまったことが本当にショックで心が痛かった。

そして、11月24日に『RENT』全公演の中止が正式にアナウンスされることとなりました。カンパニーの皆さんがSNSに綴った無念の想いを読むたび涙があふれて仕方がなかったです(泣)。この作品にかける皆さんの並々ならぬ熱意は公演を観ても十分すぎるほど伝わってきたので、その心中を想うと切なすぎて本当に胸が痛い…。

改めて、今のこの状況の中で舞台の幕が無事に上がり最後まで完走できることは決して当たり前のことではないのだと今回の出来事で痛感させられました。1公演、1公演がとても貴重で尊い時間であり、奇跡なんだと。
それでも、カンパニーと観客が同じ時間を共有し様々な感情がシンクロするする劇場という空間は、私にとってどうしようもなく大切で愛しい場所です。これまで以上に対策を講じたうえで作品を上演する流れを止めないでほしいです。

今はとにかく、一日も早くカンパニーの皆さんが心身ともに健康になることを祈るばかりです。”愛と命”を高らかに歌うこの作品を、同じカンパニーで紡ぐ日が訪れますよう…そのことを心から願っています。また、必ず、会いましょう!!

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