劇団四季ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』高松公演 2022.08.30ソワレ/岡山公演 2022.09.01マチネ

劇団四季の新作ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』全国公演を観に、高松と岡山(当時の地元)へ行ってきました。

どちらの公演も前売りで結構気合い入れて確保したので、広島のときよりもかなりのベストポジションで見ることができました。

実は、この観劇の少し前に主人の転勤で現在住んでいる岡山県から異動する可能性大ということが判明しておりました。香川県へは岡山に引っ越した後も思い立ったときに比較的簡単に行けていたのですが、いよいよそれもできない環境になりそうです。居住5年、近県約3年、足掛け8年レクザムホールにはかなりお世話になりました。

おそらくよほどのことがない限り香川で観劇することも無いと思うので何だかちょっと名残惜しい気持ちに…。

高松公演は1回きりの上演ということもあって大ホールにも関わらず2階席までかなりのお客さんで埋まっていました。当日券も売り出されていたけれど残り枚数はそんなになかったんじゃないかな。
これまで何度かレクザムホールでの観劇をしてきたけれど、香川の舞台観劇の集客力ってけっこう高い印象が強い。もっと色んな作品が来たらさらに活気づくのになぁと思ったりもしました。

岡山には約3年弱しかいなかったこともあり、実は数えるほどしか市民会館での観劇はできませんでした(ちなみにこの市民会館は某重大事件の舞台になりそうになったことでニュースでも取り上げられてたんですよね 震)。でも、レクザムよりも岡山の市民会館のほうが若干舞台と客席の距離が近いかもしれません。新しい施設ではないけれども見やすいホールだった印象があります。
ただ、岡山では表町商店街付近に新しい大型劇場を建設中なので(2023年秋オープン予定)近い将来、四季の全国巡回もそちらに移行するかもしれません。

物販関連は、広島の時よりもグッズの種類は少なめ。缶バッジの販売がなかったのは残念!あの時もう少し買っておけばよかった(笑)。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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2022.08.30ソワレ公演 in レクザムホール(香川・高松)、09.01マチネ公演 in 岡山市民会館(岡山)

主なキャスト

  • ベン:田邊真也
  • タング:前田更紗小原てつを
  • エイミー:岡村美南(30日)/鳥原ゆきみ (1日)
  • ボリンジャー:野中万寿夫
  • カトウ:小林唯
  • リジー:山崎遥香(30日)/相原萌(1日)
  • ブライオニー:宮田愛
  • コーリー:カイサー・タティク(30日)/富永雄翔 (1日)
  • デイブ:ツェザリ・モゼレフスキー
  • ロジャー:五十嵐春(30日)/カイサー タティク (1日)

香川と岡山は公演日が殆ど離れていませんでしたが、エイミー、リジー、ロジャー、そしてアンサンブルさん数人が変更になっていました。短期間の間に違う組み合わせが見れることはあまりあることではないので貴重だったなと。旅公演は長丁場ですし、今の時期は色々難しい面も多いですからキャストの皆さんには交替を繰り返しつつ無事に最後まで乗り切ってほしいと思います。

概要とあらすじは前回の感想を参照してください。

ロボット・イン・ザ・ガーデン(以下、略して”ロボ庭”)を原作にした映画『タング』が2022年8月に二宮和也くん主演で公開されました。私は見に行く予定が今のところ無いのですが、舞台版と一緒に作品に触れてみるのもいいんじゃないかなと思います。

全体感想

可愛いロボットのタングが登場するとあってお子さんの来場も多く、いろんな仕草に子供の笑い声もたくさん聞こえてきたのは良かったと思います。ただ前回も思ったけど、この作品はどちらかというと”大人”向けの傾向が強い。一見ファミミュ的な雰囲気はありますが、”絆”とはなんぞやといった少し考えさせられるテーマが盛り込まれているので(離婚危機の問題とか)、子供さんにはちょっと分かりづらい部分も多いかもしれません。

5月に広島で観て以来の『ロボ庭』でしたが、やはり一度観て知っているうえで見るとより物語の世界観が身体の中にスーーッと沁み込んでいく感覚がありました。香川も岡山も、両日ともに”嘘だろ!?”ってくらい大号泣(涙)。1幕途中辺りからこみ上げまくってしまって、まさかあんなに泣くと思わなかったので自分でも驚いてしまった。この作品はたぶん、回数を重ねるほどハマっていくのだと思う。

ここからは特に心打たれた場面についていくつか挙げてみます。

冒頭、「無」の状態のタングに上手と下手から現れた俳優二人によって命が吹きこまれる場面はシンプルだけどとても印象深かったです。あの光景見ただけでなんだかジーンとくるものがありましたね。
その直後に雑踏の中を彷徨い歩くタングがおばあさんが落とした鍵を拾ってあげる場面があるんだけど、彼女はお礼を言う前にその”容姿”に衝撃を受け悲鳴を上げて逃げてしまう。最新型のアンドロイドが席巻する世の中だったため、”異物”に映ってしまったんですよね…。タングの優しい気持ちが届かなかった現実に心が痛んでしまいました(涙)。

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ベンとエイミーの朝の光景。エイミーはバリバリのキャリアウーマンで仕事に生きがいを持って輝いていましたが、ベンは無気力な毎日を送っている。そんな彼の姿に彼女の気持ちがついていけなくなってしまったのは仕方がないのかなぁと思いながら毎回見てしまった。ベンは元々は獣医を目指すほど才能のある人物なのに、両親を失ったショックから前を向けずもう長いこと立ち止まったまま。彼女からしたら、「いい加減、前に踏み出してよ!」ともどかしい気持ちに苛まれるのも分かる。

エイミーが仕事に出て行った後にベンが歌う場面があるのですが、歌詞の内容は「彼女の言いたいことも分かるんだけど、どうにもならない」という後ろ向きなものばかりなのにメロディはポップで明るい。そこにこの作品の良さがあるのかもしれないなぁとふと思いました。
『ロボ庭』の楽曲はどちらかというとあまり記憶に深く残るようなナンバーは少ないのですが、ストーリーに彩を与えるものが多くて聴き心地が良いんですよね。

庭にひょっこり現れたタングとベンが会話する場面。名前を尋ねられたタングは「オーガスト」としか答えず、それに対してベンが「今は”8月”じゃなくて”9月”だ」と答える。
高松公演の時はギリギリ”8月”だったので密かに「現実では8月だけどね」とツッコミ入れてしまったんですがww、岡山公演の時はちょうど9月に入ったばかりだったので「やっとこのセリフがドンピシャな時がきたか」と一人ほくそ笑んでしまいました(笑)。

仕事から帰ってきたエイミーは部屋の中が散らかり放題になっているうえに、捨ててほしいと頼んでおいた”旧式ロボット”(=タング)がちゃっかり居座っている光景を見てベンに対する堪忍袋の緒が切れてしまう。
ベンは燃料が切れそうになっているタングを修理して元に戻してあげたい気持ちをエイミーに分かってほしい気持ちでいっぱいなのですが、彼女はそんなことよりもベン自身が現実を見つめ前向きに行動してほしいという気持ちが強い。根本にはお互いにお互いを想う気持ちはあるのにすれ違ってしまう二人の姿がとても切なかった…。

ついに離婚を切り出し家を出て行ってしまったエイミー。最初は無気力にそれを受け入れているように見えたベンでしたが、一人になるとショックのあまりついには言葉を失い孤独感を募らせてしまう。そんな時にふと自分を心配してくれたタングの姿が目に入り「君を直さなければ」と旅に出る決意をする。
このシーンの時の田邊ベンの表情がとても印象深かった。大切な人を失った絶望感に襲われた時に聞こえてきたタングの声に救われたのかなと思った。もしもあの時タングがいなかったら、ベンはさらに心を閉ざしてしまっていたのではないか。そう考えると、タングはベンにとっての救世主だったと思えて仕方ありませんでした。

まず飛行機に乗って製造元とみられるサンフランシスコへ向かおうとする場面。広島で最初に見た時は「ワガママなロボットだなぁ」と苦笑いしそうになったのですが、今回は不思議と「可愛い奴だなぁ」と好意的に見てる自分がいましたww。なんだか見れば見るほど愛着が増してくんだよねぇ、タングって。
ここではボリンジャー役の野中さんが機長役として登場するんですが、めちゃめちゃノリノリでニヒルな表情決めまくってて思わず吹きそうになったw。カッコいいのになんだかコミカルな雰囲気が最高です。

やっとの思いで到着したサンフランシスコ。目に留まったホテルになんとか泊まれる手配はできたものの、実はそこは”愛を売る”ホテルだったという場面。ここでめちゃめちゃハイテンションで歌いまくるアンドロイドが登場するのですが、今回のメインシンガーは本城裕二さん。このミュージカルの中では異色ともいえるようなロックナンバーなのですが、さすがの迫力!!思い出しちゃうなぁ、JCSでのシモン役を。
印象的だったのは、宿泊を諦めてホテルから去ろうとしたベンとタングが壊れて捨てられたアンドロイドと出会うシーン。哀れなその姿に一度は同情するんだけど、道連れにされそうなタングを救うために止む無く腕を引きちぎり壊してしまうベン。この時彼は「ごめんな」と悲しげな顔を浮かべつつ逃げていくんですけど、その切なさ、やるせなさに心を寄せ思わず胸が熱くなってしまった。ベンってホントに心が温かくて優しい青年なんだよね…。

明け方の海辺でベンとタングが語り合う場面。「僕が止まったら捨ててしまうの?」と心配そうな表情を浮かべるタングにベンは「君に出会ったおかげで僕の世界に光が差し込んだんだ」と優しく歌います。
タイトルにもなっている♪ロボットインザガーデン♪のナンバー、ここで私の涙腺が最初にブワワッと緩みボロ泣きしてしまいました(涙)。ベンのタングを想う優しい温かな気持ちがこれでもかと伝わってきたし、それを聞いているタングがまるで嬉しそうに笑っているようにも見えて涙が止まらなかったよ…。ここで二人の絆がまた一つぐっと縮まったようにも思えてとても感動しました。

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離婚を切り出したものの、気持ちが落ち込んでいたエイミーがブライオニーの家で過ごす場面。ブライオニーはベンの姉として本心では二人に別れてほしくないと想っていたような気がするんだけど、それを表に出さずに明るくエイミーを励ましている。その男前の明るさがどんなにかエイミーの心を救っただろうかと思わずにはいられなかったな。ブライオニーは本当に素敵な女性です。
でも、せっかくデイブが“濃いめのモーニングコーヒー”を作ってくれたのにスルーされてしまったのはちょっと気の毒だったかもw。ここはどうしてもミュージカル『キャッツ』が過るww。

ついにタングの製造元と思しきマイクロンシステムズという会社に辿り着いたベンたちでしたが、実はそうではなかったことが判明。燃料の補充も修復もできずじまい。研究者のコーリーはタングに興味を示して解体したいと言い出しますが、ベンが必死にそれを阻止。
この時コーリーはとても残念そうな表情をするのですが、悪気があるわけじゃなくて単に研究に興味がある人物だったというのが救いでしたね。途方に暮れるベンに、知り合いを紹介してくれたりしてるしねは良い奴なんだろうなと最後はほっこりしました。

一縷の望みをかけて、コーリーが紹介してくれた友達がいるというヒューストンまで高級車をレンタルして向かったベンとタング。この運転シーンの時にベンが握ってるハンドルには劇団四季のシンボルマークがついてるんですよね。それがちょっとオシャレw。

ヒューストンに到着してリジーの仕事が終わるのを待っている間、ベンとタングはちょっとした喧嘩をしてしまう。タングは頑なに自分のオーナー(製造者)が誰なのかを明かそうとしなかったため、ベンは大事なことを話してくれないことに苛立ちを覚えてしまった。
ここの場面は2度目以降に見るとものすごく切なくてちょっと胸が苦しくなりますね…。タングはベンのことが大好きで離れたくない気持ちが強かったが故にあれだけ頑なだったんだなと、後半のあの場面を知っているとさらに強くそう思えて切なかった。

リジーの家でベンたちが”カイル”と出会う場面。今回初めて気が付いたんですが、カイルに命を吹き込んでたのって本城さんだったんですね!ラブ・ダイバーでデーモン閣下ばりのロックな熱唱をしたあとにカイルの操作も担当していたとはちょっと驚いたw。最初の吠え方はちょっと攻撃的な感じだったのでタングが思わずベンの後ろに隠れちゃう気持ちも分かる(めっちゃ可愛くて萌えたけど 笑)。
初期の犬型のロボットという設定のカイル。現実世界でいうところの”アイボ”的な子なのかなと思いながら見てしまった。リジーに懐いて尻尾を激しく振りながら甘える姿とか本当に可愛らしい。

リジーもロボット研究についてはもう手を引いているということでタングの修理には至りませんでしたが、彼女はベンに「一番信頼していた友人」を紹介します。それが日本人のカトウ。次のはとんでもない長旅になりそうだとヘナヘナしてしまうベンが面白かったw。
リジーと会話していく中でベンは彼女がカトウのことを「友人」と呼びながらも実は想いを寄せている相手であるということに気が付きます。彼のことを話すときにすごく嬉しそうだし、メールアドレスもすぐに思い出せちゃうリジーを見たら勘付くよねw。「人生で一番メールを送った相手」と語る場面も印象的だったな。その言葉を口にするくらい、彼女は今もカトウのことを想ってるんだと思うとなんだかジーンと来てしまった。

食事の後、リジーがカイルとの出会いについて語る場面。原発事故の村で置き去りにされていたカイルを偶然見つけ引き取ったというエピソードはやっぱり泣けます。ここで「原発事故」というワードを聞くと、現実世界でのチェルノブイリを想定したのかな…なんて。
リジーはカイルには本当のオーナーがいて彼は今も再会できることを望んでいるとずっと思ってきたけれど、タングはそうじゃないのではと勘づきカイルのチップを介して本当の気持ちを確かめる。この時に「うん、わかるよ」ってタングがカイルの気持ちを悟ったシーンはなんだかすごくこみ上げてくるものがあったな…。タングはあの時自分の気持ちと重ねていたのかもしれない(涙)。カイルが今ではリジーのことを”本当のパートナー”と認識していると確信した場面は涙無くしては見れません。

カイルとリジーの関係を目の当たりにしたベンは、「たとえタングに本当のオーナーがいるとしても、僕は彼のことが好きなんだ」と本当の気持ちに気が付きます。一緒に旅をすることで、同じ記憶を刻みたいと語る言葉はとても印象的だった。

1幕ラストの♪地平線を目指して♪の場面、日本へ向かうため飛行機に乗り込むベンとタング。ナンバーそのものはちょっとファミミュっぽいメロディなのですが、なんだか今回はものすごく心に沁みて思わず涙が溢れてきてしまった。二人の絆がさらに強まったところからの旅なんだなぁと思うとすごいこみ上げてきちゃったんですよね。

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2幕に入るとすぐに東京・秋葉原のシーンになるのですが、近未来的な演出になっているのがすごい斬新でしたね。かつて海外の人から見た日本ってもっと和風な雰囲気なものが多かったと思うんだけど、それも変わってきたのかなぁと(日本産ミュージカルですが原作はイギリスの小説なので)。ペンライト振りまくってヲタ芸してるファンの外でアイドルのアンドロイドに必死に声援を送り続けてる本城さんと野中さんがめっちゃ面白かったww。

何とか出会えたカトウはタングの装置を見ながら少し暗い顔をする。それでも、不安そうに「止まるの?」と言うタングには優しく「今すぐじゃないから」と諭すカトウ。さらに彼は「多くの人に囲まれながら誰も傷つけなかったのは偉いね」と語り掛けてくれるとても優しい青年。リジーが心を惹かれるのも分かるなぁと納得です。
カトウは自分には直す力はないけれど同じ種類のシリンダーを見たことがあると告げる。その場所はタングの裏に刻印されているということになるのですが、その文字の意味を初めてベンが納得する場面では高松も岡山もかなり大きな笑い声が客席から沸き起こっていましたw。たしかに「な~んだ!そういうことか!」って思っちゃいますよね(笑)。

そしてついに、タングを製造した人物の名前がミクロネシアの”ボリンジャー”という人物だということが判明。しかし、その名前を聞いたとたんにタングは険しい表情になる。ベンはなぜ自分にそのことを隠していたのかと責めてしまいますが、タングを直したい一心から厳しい態度に出てしまった彼の気持ちも分かるんだよね…。「(胸の)ガムテープを貼って」と甘えようとするタングを突き放してしまうベンの場面はとても切なかった(涙)。

もっとオーナーの名前を早く知っていればこんな苦労をすることはなかったのにと悔しがるベンに対し、カトウは「タングを直すのは諦めて今すぐイギリスに帰ったほうがいい」と深刻な表情で忠告する。ボリンジャーという人物の恐ろしさを知る彼は、もしかしたらタングには恐ろしい装置が組み込まれているのかもしれないということを危惧していたのです。ボリンジャーに会ってしまったらそれが作動して今の関係ではいられなくなるかもしれない、というカトウなりの気遣いだった…。
二人の信頼し合っている姿を見たからこそ、彼はボリンジャーの元へ行かないほうがいいと助言してくれてたんですよね。直してあげたい気持ちとの葛藤も見え隠れしてたのがなんだか切なかったな。

思わぬことを聞いてしまったベンは行き先を失いタングと雨の中を彷徨います。そこへカトウが傘を持って駆けつけてくれる。初めて見る傘を差して無邪気に雨と戯れるタングの姿を見ていたらなんだかこみ上げてきてしまった…。過酷な運命を背負うタングをなんとか助けてあげたいって気持ちが湧いてきたんですよね。
そんな姿を微笑ましく見つめながら、カトウはベンにリジーが今どうしているのか尋ねる。この時のベンのニンマリした表情と、してやられた感に苦笑いするしかないカトウの姿が最高に癒されました。タングとの絆を紡いできたからこそ、ベンはカトウに「リジーとクリスマスを一緒に過ごしてみたら?」と背中を押すことができたのかもしれないなと思った。

雨が降りしきるなか、タングを挟んでベンとカトウが軽やかなステップを踏む場面。ここはミュージカル映画『雨に唄えば』の有名なシーンを彷彿とさせますよね。田邊さんも唯くんもダンスの名手ですからめちゃめちゃカッコイイ。その間に無邪気にはしゃぐタングがいて…なんだか家族の光景のようにも見えて自然と涙が零れてしまった。今の幸せな記憶をチップに焼き付けてると嬉しそうに語るタングの場面とかもうホント堪らなかったです(涙)。
固い絆で結ばれたベンとタングの姿を目の当たりにしたカトウは「ボリンジャーの元へは行けとは言わないけれど、もう止めない」と告げる。彼らならば、最悪の事態を引き起こすことなくこれからも新しい関係を紡いでいけると希望を託したんでしょうね。この場面は本当に感動的でした。

それから、この場面を見た時に初めてタングを動かしているのが男女二人のペアになっている意味が分かったような気がしました。最初はタング自身の言葉として語っていたものが、途中から男性の声が混じるようになっていく。それは、タングの中にベンが息づいたからなんだろうなと。それを悟った時、改めて二人の絆が深まっていくことに心が熱くなりました。

宿泊したホテルでシャワーを浴びた後に着替えたベンは(タングが荷物の中からズボンを探すシーンは最高に可愛い)、持ってきたズボンのポケットに”コルク”が入っていたことに気が付きます。そして、エイミーとの出会いの日を思い出したベン。両親の死が受け入れられずにまだ前を向けないと語る彼に「それだけ深い哀しみだったということよ」とそっと励ましてくれるエイミーの場面はとても印象的だった。この頃は二人ともすごく心が通じていたのにね…。
だけど、ベンがエイミーを本気で失いたくないという気持ちに気づいた時には彼女はもう別の人と付き合うことになっていた。その事実を知って電話を切った後に号泣してしまうベンの姿は辛くて見ていられなかったよ(涙)。だけど、そんな彼の心を癒してくれたのはやっぱりタング。もうほんと、「タングありがとう」って思った。

ベンはタングと一緒に東京の夜の明かりを見つめながら心が癒されていくのを感じる。その明かりの中で、カトウが意を決したようにリジーに電話を掛けている場面がとても印象深いです。ライトが当たるシーンじゃないんだけど、電話で会いたい想いを伝えるカトウとそれに応えようとするリジーの姿には胸熱くなるものがありました。

ミクロネシアのパラオに向かう船で豪快なおっちゃんに遭遇するベンとタング。このおっちゃんを本城さんが演じてるんですが、激しく貧乏ゆすりしたり豪快にガッハッハッと笑い声をあげたりと、もう色々クセが強すぎて思わず笑ってしまったwww。ベンが耳を塞いだり飛んできたツバを払ったりちょっと困惑した表情になってるのも面白かったなww。

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そしてついにボリンジャーと出会ったベン。緊張するタングの隣で、ボリンジャーのファーストネームが「オーガスト」だったことを知り思わず苦笑いしてしまうベンが面白いw。タングは出会った時にちゃんとオーナーの名前を告げていたんですよね。

最初は人当たりが良いボリンジャーでしたが、ベンはカトウの忠告が頭にあったので夕食に招かれている時もどこか落ち着かない表情をしている。自分にどうやって辿り着いたのだと尋ねられても、必要最小限のことしか告げなかったベンは、ちゃんとカトウのことを守ってくれたんだなとちょっとホッとするものがありました。
ボリンジャーがロボット開発についての話を始めたその時、タングが自分で自分を直せたと喜んで駆け込んでくる。燃料の元になってたのが”アレ”だったというのはやっぱり何度聞いても「え!?そうだったの!?」って思わず苦笑いしちゃいますよねww。でも、一刻も早くベンとこの場から脱出しようと頑張って自分を修理したタングの気持ちを考えるとなんだか切なくなってしまった。

そしてついに本性を表すボリンジャー。カトウが関わっていたというプロジェクトについても誇らしげに語ってくる。カトウは違う時間の勤務だったから悲劇に巻き込まれることがなかったのだということも明らかに。そしてタングを作った本当の意味も語られ戦慄を覚えるベン。
タングはボリンジャーの野望を止めるため、ベンを守るために今まで見せなかった”鬼”の一面を剥き出しにする。それを目の当たりにしたベンは体を張って止めようとする。もしもあの時ベンがタングを止めることができなかったら、カトウが危惧していたことが現実になってしまっていたかもしれない…。そう思うと背筋が寒くなるような場面でもありました。

ただここのくだりは、もしかしたらお子さんにはちょっと複雑で分かりづらいかもしれない(汗)。

なんとかボリンジャーの元から逃げ出したベンとタング。安全な場所に辿り着いた時、タングはベンの家に辿り着くまでのいきさつを語ります。ボリンジャーの恐ろしい計画を知って脱走したタングは、彷徨い歩いた末に草原を走る馬の景色を目にしました。その時「ここにいたい」と強い想いが芽生えベンの家の庭に入ってきていたのでした。辛い思いをしたからこそ、壮大な草原を自由に駆けまわる馬たちの姿に憧れたのかもしれないね…。ベンと出会ったことでタング自身も救われていたんだと思うとなんだか泣けてしまいます(涙)。
この話を聞いて改めてタングとの絆をさらに深めていきたいと感じたベンは、一つだけ約束してほしいことがあると告げる。それは、二度と相手に銃を向けるような真似をしてはいけないということ。タングのことが大好きだからこそ、人に暴力を向けるような行為はしてほしくないと必死に説得する姿には心打たれたなぁ…。「生きる者は誰でも、相手に暴力を向けるべきではない」という言葉は特に刺さりました。これは今の時代にも通じることですよね…。

お互いにお互いが必要な存在だと歌♪ロボットインザガーデン(リプライズ)♪は涙なしには聴けませんでした(泣)。様々な経験を経てとても固いきずなで結ばれた二人。その”大事”って思う優しい気持ちがもう泣けて泣けて仕方なかったです。

自宅に戻りしばらくすると、エイミーがそこにいて。ベンは改めてエイミーをどうしても失いたくないという自分の素直な気持ちを告白する。さらに獣医への道も再び歩き出す決意も語る。タングとの旅を通して一歩前に進む勇気を持ったベンの姿に触れたエイミーも自分の素直な気持ちを語ることができました。さらにタングを通して念願だった出来事が自分の身に起こったことも。
一度は離れたものの、やはりお互いを想う気持ちは揺るがないものがあったんだなとホッコリしながら見てしまった。最後にベンが旅の中で出会った仲間やエイミーの友達(付き合おうとした相手まで)が駆けつけ大団円。♪ロボットインザガーデン(フィナーレ)♪が心に沁みてやっぱり泣いちゃいました。

少し長くなったのでキャスト感想は次のページにて

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