ミュージカル『アナスタシア』大阪公演 2023年10月21日マチネ・ソワレ

ミュージカル『アナスタシア』を観に大阪遠征してきました。私事にはなりますが、山口県から大阪に遠征観劇するのは今回が最後になります。最後にもう一度予定はしていますが、山口滞在ではない状態からですので(汗)実質今回がラスト。同じ西日本でも距離的にこんなに遠いとは住む前までは思いませんでした(苦笑)。

引っ越しの追い込みで心身ともに限界点を迎えそうな時期だったので正直行けるかどうか微妙だったのですが(マチソワだったし)、気持ちの切り替え…というか、活力をもらえたのでねじ込んで結果的には正解でした。やっぱり観劇は私の生きる糧。

でも実を言うと、次回の30日観劇予定の日が『アナスタシア』遠征で一番ハードかもしれない(引っ越し直後なので 汗)。チケット確保したときはこんなことになるとは夢にも思ってなかったものなぁ…(苦笑)。

そうそう、スタンプカードがついに今回3つ揃いまして特典グッズをいただくことができました!東京公演のときに大阪でもOKだと気づけてよかった(汗)。

東京公演のときに配られていたのはたしか巾着だったような気がするのですが、大阪公演ではミニクリアファイルになってましたね。特典品の在庫状況によって変わってたりするのかな?その辺の事情はよくわかりませんが、クリアファイルコレクションしてる私としては嬉しかったです。

以下かなりのネタバレを含んだ感想になります。

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2023年10月21日マチネ・ソワレ公演 in梅田芸術劇場メインホール(大阪・梅田)

概要とあらすじについては前の記事を参照してください。

上演時間は約2時間50分(休憩時間含む)。東京公演の時より1幕と2幕が5分ずつ、計10分延びてました。

内訳は、1幕75分(1時間15分)、休憩25分、2幕70分(1時間10分)となります。

キャスト

  • アーニャ: 葵わかな(マチネ)/木下晴香(ソワレ)
  • ディミトリ:相葉裕樹(マチネ)/内海啓貴(ソワレ)
  • グレブ:海宝直人(マチネ)/ 堂珍嘉邦(ソワレ)
  • ヴラド:石川禅 (マチネ)/大澄賢也(ソワレ)
  • リリー:マルシア(マチネ)/堀内敬子(ソワレ)
  • マリア皇太后:麻実れい
  • リトルアナスタシア:戸張柚(マチネ)/鈴木蒼奈(ソワレ)

<アンサンブル>

五十嵐耕司・伊坂文月・井上花菜・工藤 彩・熊澤沙穂・小島亜莉沙・酒井 大・杉浦奎介・渡久地真理子・西岡憲吾・武藤 寛・村井成仁・山中美奈・山本晴美

<スウィング>

草場有輝・篠崎未伶雅

大阪公演で初めて見るキャストさんが、ソワレのディミトリ役だった内海啓貴くんと、同じくソワレのグレブ役だった堂珍嘉邦くんです。そして、東京公演の時は体調不良で会えなかったマチネのアーニャ役だった葵わかなちゃんにもついに会えた!無事に回復されて良かったです。
あと会えていないのは、リリー役の朝海ひかるさんだけなのですが…残念ながら予定が合わず持ち越しということに(涙)。朝海さんリリーも見てみたかったなぁ。

全体感想・キャスト感想

本当は各シーンごとに色々語りたい…!!のですが、時間が取れないのでキャスト感想を織り交ぜつつ特に印象的だったり好きだった場面についていくつか。ちなみに、前回の感想では主にアニメ映画との違いについて語っているので興味がありましたらそちらも参考にしてみてください。

それにしても…、この作品、先日観劇したミュージカル『ラグタイム』と同じ作詞・作曲・脚本スタッフが関わっているのが信じられないというか。全く雰囲気が違う(社会派的内容が絡むところは少し重なるけれど)ので本当に驚きます。『ラグタイム』は先日日本公演が終了してしまいましたが、同じ時期に同じ作者の作品を観れたことは幸運でした。めっちゃ泣いたし。再演した暁にはぜひとも今回見れなかった人にも観ていただきたいと思います。

※ラグタイムの感想はこちら↓

さて、今回の『アナスタシア』。本当はガッツリ濃い感想を書くつもりでいたのですが(笑)、諸々時間が取れなかった事情があったのでイイタイコト半分以下に抑えた内容になってるかと思います(←いつもクドすぎるから丁度いいかも!?w)。

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♪Once Upon a December(遠い12月)♪

この作品の一番になっているといっても過言ではないナンバー。幼いアナスタシアがこれからパリに旅立とうとしているマリア皇太后と「アレキサンドル3世の名前の付いた橋の上で会いましょう」と約束するシーンが印象深いです。マリア皇太后の亡くなったご主人の名前の橋だっていうのがなんだかちょっと切ない(後半、夫への思いをマリアが語るシーンがグッと来る)。

麻実さんの皇太后様、とても気品があって素敵だしアニメから抜け出てきたかのような風貌にドキリとさせられます。愛する孫娘に向ける眼差しが優しいんですよね〜。ただちょっと歌に癖があるのだけはやっぱり気になるところかもしれない。
ちなみに皇太后の呼び名「ナナ」を一番最初に見たとき「ママ」と聞き違えてしまいちょっと混乱したのが一番最初の観劇時の出来事(笑)。私と同じように感じた人は他に…いないかwww。

♪A Rumor in St. Petersburg(ペテルブルクの噂)♪

この場面は映画とはちょっと雰囲気が違ってて、よりリアルな町の人達の息吹が感じられるのが印象深い。あと、新キャラのグレブがそこに存在してるのもドラマチックさに一味加えてるような気がします。
個人的にはここでディミトリとグレブがちょっとだけ接点を持つっていうのがテンション上がりますねw。本編ではほぼ絡みなしなのでかなり貴重。ボリシェビキたちによって変えられた世界から一刻も早く脱出したくてウズウズしているディミトリと、今の秩序建てられた整然とした世の中こそが正しいと信じ込んでいるグレブ。全く違う意識の二人が同じ空間で一瞬交わるところにドラマ性を感じてドキドキします。

道路掃除の仕事で必死に生計を立てているアーニャがグレブと初めて対面する場面はとても印象深い。このときグレブは彼女を見て感情が高ぶるように見えるのですが、アーニャ自身は生きることに必死でそれどころじゃない。この気持ちのズレがちょっと切ないのです。

海宝グレブは静かさを纏いつつアーニャに心奪われドキッとした表情を見せていたのに対し、堂珍グレブは予想してたより彼女に対して柔らかい接し方をしてるように感じました。どちらも個性が出ていていい感じ。ここの、グレブが思いがけずアーニャに特別な感情を抱いてしまう瞬間の場面がめっちゃ好きなんですよね。

相葉ディミトリは相変わらず声の清涼感が半端なく、キラキラして思わず視線が奪われてしまう。内海ディミトリは今回初見となりましたが、やんちゃ小僧的な雰囲気が全面に出ていてめっちゃ可愛かった。相葉くんのほうがキャラ的にちょっと大人っぽい感じだったかも。

アーニャが初めてディミトリとヴラドと出会ったときに歌う♪In My Dreams(夢の中で)♪も改めて良い曲だなぁと思いました。彼女が自分が何者か知りたいともがいている気持ちが痛いほど伝わってくる。その歌を聞きながらディミトリとヴラドが”アナスタシア”の写真を見ながら「彼女は使えるかも」って目で合図し合ってるのも可愛くて好きw。

♪Learn to Do It(やればできるさ)♪

このナンバー、聞いてて本当に元気出ますよね。映画版よりも躍動感が全面に出ていて3人の絆がどんどん強まっていくのを感じられるのがすごく好き。特に最初はソリが合わないアーニャとディミトリが、特訓を重ねていくに従って少しずつ素直に接するような雰囲気になっていくのが堪りません。

ヴラドがディミトリにアーニャとダンスをするようけしかける場面はアニメ映画でも描かれていますが、舞台版では二人がまだ打ち解けきれていないようなタイミングで出てくる。そういった点では映画版のほうがちょっとドラマチックだったかもしれないなと思わなくはないかも。
でも、二人のぎこちないダンスを見たヴラドの反応がめっちゃ面白いww。禅さんはディミトリの足を蹴ったアーニャを見て「今、ゴーンってやったでしょ!?」とツッコミを入れながらも「かわいいんだから」と蕩けてて(笑)。賢也さんはアーニャの反応の真似をしつつ「かわいい、かわいい」ってリピート(笑)。お二人とも可愛くて最高でした。

♪The Neva Flows(ネヴァ河の流れ)♪

密告を受けて呼び出した女性が、以前町で心奪われたアーニャだと知った瞬間のグレブの態度の変わり方が個人的にめっちゃツボ。おそらくこれまで一度も恋をしたことがないであろう彼が、なんとか彼女に好印象を持ってもらおうと奮闘する不器用な姿はとても愛らしく思わず感情移入してしまいます。

海宝グレブはピョンっと飛んで彼女に手を差し出すのに対し、堂珍グレブは軽くちょこまか足を動かしてダンスして見せてましたね。どちらも萌え要素全開で客席からも笑い声が漏れてました。

♪ネヴァ川〜♪はグレブが自らの過去をアーニャに語るナンバーなのですが、めちゃめちゃドラマチックで壮大な旋律に思わず心が震えてしまいます。特に彼の父親のくだりは本当に切ない…。「母は父がロシア革命を気に病んで自ら死を選んだと話したけれど、自分はそれを信じない」というようなフレーズが印象に残ります。グレブは父親が革命の時に取った行動をどうしても正当化したい。心から敬愛した父親は何一つ間違ったことはしていないと頑なに信じている彼の気持ちが痛いほど伝わってきて胸がキュッと苦しくなりました。

それにしてもこのナンバー、聴いてる方はすごく酔いしれるけれど歌う方はすごく大変だっただろうなと。難曲揃いの『アナスタシア』のなかでもかなり上位に食い込むと思うのですが、海宝くんも堂珍くんも完璧に歌い上げていて本当に凄いなと思いました。

♪My Petersburg(俺のペテルブルク)♪

酔っ払いに絡まれたアーニャとディミトリが応戦する場面が好き。葵アーニャは男前に奮闘してるけど、最後の木片片手に追いかけようとする場面はかなり”女の子”っぽさが出ていてめっちゃ可愛い。木下アーニャは最初から最後まで男前ですごく勇ましく、ディミトリがビビるのも無理ないなと思えるレベルだったのが面白いです(笑)。

アーニャから「そっちはあまり苦労した人生辿ってきてないんじゃないか」みたいに言われたディミトリが「俺だって苦労してるんだ」と過去を語るのが♪俺の〜♪。歌詞を聞いてるとかなり壮絶な過去を生きてるのに、それを感じさせない…というか、必死に気持ちを奮い立たせて前だけを向いて生きてきた彼の人生が浮かんでくるようでかなりグッときてしまいます。
相葉くんはひたすら真っすぐ先だけを見据えもがきつつも前進する力強さが感じられたのに対し、内海くんは過去を語る中で父親との思い出のくだりでちょっと寂しげな表情をチラリと見せていたのがとても印象深かったです。

このあと二人は美しい景色を見つめながらさらに気持ちを寄せ合っていくわけで。ここのくだりのドラマも繊細で好きだったなぁ。背景画像もホント綺麗。それから、アーニャとディミトリがお互いに「目を瞑って」と言いながらお互いの”秘めごと”を打ち明けるシーンも可愛らしい。特にディミトリが目を瞑る仕草は相葉くんも内海くんもほんとキュートでめっちゃ萌えたw!!

なんとか脱出の手はずを整え駅にたどり着いた時に出会ったイポリトフ伯爵が歌う♪Stay, I Pray You(惜別の祈り)♪は本当に心に沁みます…。ヴラドが彼を見た時に「どちらにしても死ぬ運命の人だ」と語るのが切なくてねぇ…。最初に伯爵役の武藤さんがソロで歌い上げるのですが、アカペラなのに美しく哀しい歌声でとても感動的でした。あの微妙な旋律を伴奏無しでこなすの、本当に凄いと思う。

♪We’ll Go from There-新たなる旅立ち-♪

背景映像の美しさとリアルさが特に印象深い。本当に列車が駆け抜けてるように見える。

このナンバーも見ていて心が躍るんですよね。特にヴラドが久しぶりに再会できるかもしれないリリーに思いを馳せながら「こんなに老けちゃった自分を見て失望されたらどうしよう」とウジウジしつつも「いいや、そんなことはないっ」ってポジティブ思考に切り替える姿がとても愛らしく見ていてホッコリしてしまいます。禅さんも賢也さんも可愛いんだよねぇ、ホント。
そのあと、列車から外を眺めながら3人が自分の心の内を歌う場面も好き!なんだかこのシーン見ると元気がでるよね。だけど、その直後に起こる伯爵の末路を想像させる場面で一気に空気が変わる。あの”音”が本当に切なくて哀しくてねぇ…(涙)。

そして3人が窮地を脱出する場面。ここは東京公演の時に禅さんが苦労を語ってたので、思わずそんな裏側を想像しながら見ちゃいましたw。飛び降りた直後の禅さんヴラドはたしかにリアルに息も絶え絶えといった雰囲気だったなとw。でも、賢也さんは「もうだめだ」とヘタってるわりには意外とシャキシャキしてて(笑)この違いも面白かったw。

グレブが上官からアーニャたちを始末してくるようにと命令される場面は、東京公演で見たとき以上に心が締め付けられるような気持ちにさせられました。父とアーニャへの異なる気持ちの間で苦しみ葛藤する彼が歌う♪Still(それでもまだ)♪はなんだか本当に見ていてやりきれない。
尊敬してやまない父親のように生きたいと思う気持ちも、恋心を抱いたアーニャを傷つけたくないと思う気持ちも本物だからこそ苦しいだろうなと…。

♪Journey to the Past(過去への旅)♪

なんとかパリまであと一歩のところまでたどり着いた3人が喜びを爆発させる1幕クライマックス。ディミトリとヴラドが一足先にパリの景色が見える丘に駆け出していったあと、心の高鳴りを抑えきれないアーニャが歌い上げる♪過去〜♪のナンバーは何度聴いても心揺さぶられ涙が出ます。映画版の中でも一番好きな楽曲だったけど、今回のミュージカル版でさらに”大好き”な気持ちが深まったような気がする。もう本当にドラマチックで…すごい名曲だと思います。

クライマックスでアーニャの背景がパリの景色に変わる瞬間の演出がまたたまらなく心震えるんですよね!!今回は特にアーニャがこれから始まる新たな展開に不安な気持ちを抱きつつも胸高まらせていく姿にすごくグッとくるものがあって。今の自分の心にめっちゃ響いてきたんですよね。気がついたら号泣してた(涙)。

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♪Paris Holds the Key(パリは鍵を握っている)♪

東京のトークショーで禅さんが「自分がドセン(ど真ん中)で踊ることになるなんて聞いてない」って愚痴ってたのを思い出してちょっと吹きそうになったのはここだけの話ww。禅さんヴラド、めっちゃキレよく歌い踊ってて、表情もめっちゃ楽しそうだし見てるこちらも嬉しくなりますよね。
賢也さんはさすがダンサーさんだけあって動きにキレがありまくりで実にスマートでかっこいいです!!

パリのダンスシーンは男性が女性をリフトしながら放り投げるといった難しい技も出てくるんですけど、皆さん実に美しく魅せてて本当に素晴らしい。このミュージカルは全体的にリフト場面が多い印象なのですが、演じてるアンサンブルさんたち、全然”大変”なように見せないで笑顔でスマートに踊りきってるの本当に凄いと思います。

個人的には、アーニャたちがパリの町の人達に混じってエッフェル塔に昇るエレベーターに乗り込み屋上に到着する場面がめっちゃ好きです。

マリア皇太后とリリーの丁々発止なやり取りが東京公演で見た時よりもテンポ良く面白くなってました。リリーが皇太后の態度に振り回されつつも、根底では彼女を思いやっている気持ちが伝わってくるのも良いんですよね。
それでも心を閉ざしてしまうマリア皇太后が孫娘との思い出を歌いながら一人涙する♪Close the Door(扉を閉ざして)♪の場面は切なかったなぁ。特に幼い頃のアナスタシアの面影が登場する演出は印象深いです。最初はニコニコ見守っていたのに、皇太后の悲しみが深くなっていく姿を見て寂しそうにその場から消えていく姿が泣けるんですよ…。

♪Land of Yesterday(過去の国)♪/♪The Countess And The Common Man(貴族とただの男)♪

アーニャたちを追ってパリにやって来たグレブがネヴァクラブ入り口でボーイに馬鹿にされる場面は印象的です。「あいつらの残飯を食べればいいんじゃないか」と鼻で笑われたとき、「そんなくらいなら飢えるほうがマシだ」と吐き捨てるブレブ。
パリに逃れてきたかつてのロシア貴族たちが贅沢な生活をしていた過去の栄光にすがる姿に嫌悪感を持ってしまうわけですが、あんな光景を見たら、彼が「父親が起こした行動はやはり間違いじゃなかったのだ」と強い正義感を新たにするのも無理ないなと思いました。

そのあと♪過去の国♪のナンバーで享楽に浸るロシア人の皆さんのシーンとなるのですが、ここはリリーさんのドスの利いた歌wと、アンサンブルさんたちの華麗なコサックダンスが大きな見どころ。見てるこちらは「うわぁ〜〜」ってワクワクさせられるけど、あれ、演じてとしてはかなーーーりハードじゃないですか!??毎公演全力疾走で歌い踊り狂うシーンを演じてるのかと思うと、舞台役者さんたちの体力って本当に凄いなと感嘆させられます。
面白いのは、興奮がピークに達した時にほとんどの人がその場にヘタってしまう場面。ここでのリリーさんの反応がそれぞれ面白くて。マルシアさんはウォッカの瓶をラッパ飲みしながら「あぁ!??」となってるしww、堀内さんにいたっては「来いやぁーーーー!!」と煽りまくり(笑)。あれを見て高田延彦さんの『出てこいやぁーーー」を連想しちゃったのは私だけでしょうかwww。

♪過去の国♪の最後にみんながリリーを囲んで輪になってぐるぐる回るというシーンがあるんですが、その途中からスーッとさりげなくヴラドが混じってくるのが個人的にツボ!あのさりげない入り方が最高に面白い。っていうか、かなり高速で回ってるなかでよくうまく紛れ込めるなと関心もしてしまいます。

リリーとヴラドが再会後にヤンヤヤンヤやりとりを重ねながら最終的にラブラブになっていくのも面白い。ヴラドはひたすらリリーへの愛を猛アピールしていくのですが、彼女はかなーり厄介な受けっぷりで(笑)。
マルシアさんはセクシーさを前面に出したツンデレ、堀内さんはコケティッシュな可愛さを全面に出したツンデレって感じ。艶っぽい場面もたくさん出てくるけどww、基本的に二人がコメディ的なお芝居を展開させているので未成年の方でも楽しんで見れるんじゃないかなと思いました(現に、客席の笑い声の中にお子さんの声もしっかり混じってましたしね)。

♪In a Crowd of Thousand(幾千万の群衆の中)♪

アーニャが過去の記憶の夢に苦しむ場面、アニメ映画だと中盤辺りに登場しますが(しかもラスプーチンの陰謀として出てくる)ミュージカルでは物語が後半に差し掛かった頃に出てくる。ここでグッと来るのが、アーニャとディミトリが実は過去に一度だけつながりを持っていたと判明するところですね。

前半の♪やれば〜♪のナンバーの時に「俺が頭を下げたのはかつて1度きりだ」とさらっとディミトリが触れるのですが、その”たった一度”の行為が実はアーニャと深い関係があったという展開が非常にドラマチックです。
ディミトリは幼い日のその一度きりの思い出をこれまでとても大切に胸にしまっていた。当時の記憶をアーニャにだけ告白したことで、彼女の記憶がさらに鮮明に蘇る結果に。実は二人はずっと以前から固い絆で結ばれていたんだなぁと思うと胸が熱くなってしまいます。

でも、それはディミトリにとっては辛いことでもあって…。身分の差という壁が映画版とは違った形で彼の前に立ちふさがるのがなんとも切ない(涙)。

♪Meant to Be(ヴラドの後悔)♪

バレエ鑑賞前の場面、ここの映像も本当に荘厳で美しい!!まるで本物のバレエ会場に来ているかのような錯覚を起こすレベル。

皇太后と対面するため青いドレスに着替えたアナスタシアは目もくらむほど美しい。そんな姿にディミトリが驚き固まってしまうのを見た彼女がちょっと男前な素の表情を垣間見せながら「早くっ」と彼を促す姿が個人的にかなりツボ。アナスタシアにとってディミトリはもはや唯一素顔を見せられる気を許した相手なんだろうなって思うとなんか嬉しくなってしまう。

腕を組んで微笑ましく去っていく二人の姿を見たヴラドが「計画は全て順調で完璧だったけれど、一つだけ間違ってしまったことがある」と歌う場面は泣けるんだよねぇ…。ディミトリのことを弟のようにかわいがっているヴラドとしては、彼の恋愛が成就できないであろう現実を見るのは辛いと思うよ…。禅さんも賢也さんもとても切ない表情で歌っててめちゃめちゃ泣けた。

♪Quartet at the Ballet(バレエの四重唱)♪

「白鳥の湖」のバレエシーン、ここはもう多くを語るまい!!っていうほど今回も堪能させていただきました。バレエの音楽とミュージカル『アナスタシア』の音楽の融合性も素晴らしい。そして、アーニャ、皇太后、ディミトリ、グレブによる四重唱の美しさとバレエダンサーの華麗で美しくしなやかなダンス表現。もう美しいの要素がてんこ盛り!!!ミニカーテンコールでも客席から割れんばかりの拍手が沸き起こっていました。

個人的には禅さんヴラドがバレエを見ながら身を乗り出して感動しまくってる姿がめっちゃ可愛くてツボでしたw。賢也さんヴラドはかなり落ち着いて見てる雰囲気だったので、それぞれ個性が出てて面白かったなぁと。
それから、海宝グレブはほぼプログラムで顔を隠しながらバレエを見ていたのに対し堂珍グレブは途中からプログラムを膝においてアーニャの方向を見ていたのも印象深かったです。

♪Everything to Win(すべてを勝ち取るために)♪

ディミトリがアナスタシアと皇太后の対面がうまくいっているのかソワソワしながら歌うナンバーなのですが、徐々に自らの彼女への想いへと内容が変わっていくのがすごく泣けるんですよね。「ここまですべて順調で、彼女が幸せを掴めるのはとてもめでたいことだ」と思いながらも「そのことで自分は一つ大きなものを失ってしまうのだ」という現実を目の前にして葛藤するディミトリが切ない。
自分の中で諦めきれないほどアナスタシアの存在が大きくなってしまったんだよね。「こんなにも大きく彼女への気持ちが膨らんでる」と歌う件のシーンは思わず涙が出てしまった(泣)。またこのナンバーの旋律が本当に切なくて美しくてドラマチックなのでなおさら心が持っていかれてしまうんだよなぁ。

結局アナスタシアはこの時点で皇太后から拒絶されてしまったので、苛立つ気持ちを思い切りディミトリにぶつけてしまう。彼を信頼する気持ちが大きかったアナスタシアだけに、”報奨金”目当てに利用されてしまったのではないかという疑念を持ってしまう展開は辛かったと思うよ…。

アーニャが走り去ったあとにディミトリが捨て身で皇太后に食って掛かる場面も非常に印象深い。最終的には彼女にかなりの暴言をぶつけることになってますが(汗)すべてはアーニャに家族との再会という喜びを与えたいからという熱い想いが根底にある。その気持が結果的に皇太后の心を動かしたんだろうなと思いました。
二人きりで語る機会を得たアーニャでしたが、皇太后の心はなかなか開かない。精神的に追い詰められていくアーニャを見るのも、傷つきたくないがゆえに彼女を”アナスタシア”だとなかなか認めようとしない皇太后を見るのも辛かったな…。そんな状況を打開したのが、オルゴール。物語の冒頭シーンがここで大きな意味を持つ。この場面は映画版よりドラマチックでグッと来るものが多かったです。

でも…、二人が抱き合う姿をそっと後ろから見つめるディミトリのなんとも言えない表情が切なくて泣けた(涙)。嬉しいって気持ちと、サヨナラって気持ちとが混在してて…思い出すだけでも切なくなってしまう。

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♪Still(リプライズ)♪/♪The Neva Flows(リプライズ)♪

ついに自らを取り戻したアナスタシアの前にグレブが立ちふさがるクライマックス。ここでグレブのソロナンバーのリプライズが2曲出てくるのが非常に印象深い。彼自身のなかで複雑に絡み合っていた感情がここで一気に露呈して混乱に陥ってしまうんですよね。アーニャに特別な思いを抱いてしまったグレブ。もしその出来事がなければ父のように引き金を引けていたのかもしれない。だけど、息子にはそれができなかった…。

ここの場面は本当にものすごくいろんなことを考えたというか…。グレブの気持ちを思うと居た堪れなくて胸が苦しくなってしまって。今回見て想ったのは、”アナスタシア”に手を差し伸べられたあの時に彼の中の複雑に絡み合っていた感情の糸がようやくほぐれたのかなという事でした。海宝グレブも堂珍グレブもどこか憑き物が取れたような表情をしてるように見えたので。それから、やっと”父の苦悩”を悟ったのかもしれないなとも。呪縛から解き放たれたのかなと。

最初に見た時にはグレブの結末に「?」となってしまうことがあったのですが、今回の観劇では「これでよかったんだ」と思えるようになった自分がいました。そういう意味でも複数回見れて本当に良かった。

♪Finale(フィナーレ)♪

”アナスタシア”から”アーニャ”の素顔に戻った彼女がこの先ともに歩んでいくパートナーとしてディミトリを選んだ場面も印象的です。彼女からキスをして思いを伝えるっていう展開も映画のテイストをリスペクトしているように見えて感動的でした。

新たな旅立ちを踏み出したアーニャとディミトリを、皇太后とグレブがそっと見守るラストの描き方も素晴らしいです。

”アナスタシア”は幻だった。この意味が最後の幕にまで表れてるのが本当に素敵。

後述

東京公演を経てついに大阪公演が実現したミュージカル『アナスタシア』。3年半前は1公演もできずじまいだったので(涙)、今回ようやく関西でその幕をあげられて本当に良かったなと思いました。

カーテンコールも大盛り上がり。特に観劇日は相葉ディミトリと海宝グレブの大阪初日公演ということもあってか熱い拍手が送られまくっていました。大阪のお客さんのパワーはやっぱりすごく熱い。東京とは違う「クスクス」ポイントもあったりして色々楽しめました。

そうそう、本編感想のところで書き忘れていたのですが・・・マチネ公演でヴラドが調子に乗ってマリア皇太后に近づきすぎたシーンのとき、ちょっとしたハプニングがあったんですよね(笑)。
かしこまって後ろに下がっていった禅さんヴラド、お芝居の方に夢中になったからか後ろの柱に気が付かなかったようで思い切り足をゴンっっとぶつけてしまい恥ずかしそうに退散されていきましたwww。けっこういい音してて(笑)私もそれ見て思わず吹いちゃったよ!東京トークの時に「禅さんちょいちょいやらかしてる」ってイジられてたっけww。

そんなこんなで本当に楽しい『アナスタシア』マチソワ観劇となりました。改めて、この作品、大好きだわ〜〜と実感できてよかった。次回は楽間近での観劇。さらに熱い舞台を期待してます!!

これまでのミュージカル『アナスタシア』感想一覧

21日公演後にはトークショーがありました。次の記事で少し紹介したいと思います。

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