ミュージカル『ペテン師と詐欺師』2019.09.20マチネ

福田雄一さん演出のミュージカル『ペテン師と詐欺師』を観に東京遠征してきました。

おそらく大阪公演もあるだろうと高をくくっていたわけですが、待てど暮らせどその兆候は見られず(苦笑)結局東京オンリーの公演ということで、最初は行くのをどうしようかけっこう悩みました。
が、やはり石丸さんのコメディ芝居は見てみたいという気持ちが勝りチケット入手。

ちょっと遅くにゲットしたにもかかわらずかなりの至近距離な席が割り当てられたので、もしかしたら売れてないのかもとちょっと心配したのですが(汗)劇場へ行ってみたらけっこう埋まってたのでホッとしましたw。

それにしても、ライトでポップなミュージカルなのに新橋演舞場上演とは珍しい。ロビーは和風な雰囲気が漂っていてそのギャップにちょっと戸惑いもありましたw。

以下、ネタバレ含んだ感想です。

 

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2019.09.20 マチネ in新橋演舞場(東京・東銀座)

主なキャスト

  • フレディ・ベンソン:山田孝之
  • ローレンス・ジェイムソン:石丸幹二
  • クリスティーン・コルゲート:宮澤エマ
  • ミュリエル・ユーバンクス:保坂知寿
  • ジョリーン:大和田美帆
  • アンドレ・チボー:岸祐二

休憩時間が30分というのは新橋演舞場ならではだったかな。最近は大体20分が多くなりましたからね。

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あらすじと概要

原作は1988年のハリウッド映画『ペテン師と詐欺師』で、2005年にブロードウェイで舞台化され主演俳優さんがトニー賞を受賞しました。

日本でも2006年と2008年に上演。この時は詐欺師を鹿賀丈史さん、ペテン師を市村正親さんが演じ、劇団四季時代以来の共演ということで大きな話題となりました。

そして時を経てキャストも新たに上演されたのが今回のバージョンとなります。

簡単なあらすじは以下の通り。

若くケチなアメリカ人詐欺師、フレディ・ベンソン(山田孝之)がやってきたのは、世界中の大金持ちが訪れる高級リゾート地・南仏リヴィエラ。

既にそこでは凄腕の詐欺師ローレンス・ジェイムソン(石丸幹二)が、相棒の警察長アンドレ(岸祐二)と共に、大金持ちの未亡人ミュリエル(保坂知寿)をはじめとする富豪の女性たちをダンディな魅力で騙し、荒稼ぎしていた。ふとしたことからローレンスの正体を知ったフレディは、そのオ能にほれ込み、強引に弟子入りを志願する。

2人は協力し合い、石油王の娘ジョリーン(大和田美帆)を騙すことに成功するが、詐欺師同士、縄張りをめぐって次第に敵対。

見るからに育ちの良いアメリカ人旅行者のクリスティーン(宮澤エマ)を狙い、彼女から先に5万ドルを巻き上げたほうが勝ちという勝負を行うことに。

才気あふれる若手詐欺師と優雅なベテラン詐欺師との、騙し騙される勝負の結末は―!?

公式HPより引用

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全体感想

福田雄一さんの舞台はこれまでもいくつか観ていますが、コメディ作品はたぶん2014年の『フルモンティ』以来となるかもしれません。あの時も主演は山田孝之くんだったな~。

福田さんはテレビではちょっと斜めをいくようなコメディ作品が多いので、舞台演出となると少し敬遠されてしまうこともあるようですが、『フルモンティ』はめちゃめちゃ面白かったし、それ以外の舞台も好印象を持つことが多かったので今回も期待していました。

まず面白いなと思ったのが、ローレンスがパーティでご婦人方を手玉に取るシーン。今回後ろのほうにオケピが配置されているのですが、あえて最初にその姿を観客に見せておいてパーティーの雰囲気を演出するって感じになってました。

それにしても、石丸さん演じるローレンスのなんと華麗な騙しっぷりよww!!あれは騙されても不思議じゃないよっていう説得力がありました(笑)。岸さん演じるアンドレとのコンビネーションも面白かったです。

そして優雅にリゾート地へ向かう電車に乗り込んだローレンスが出会うのが山田君が演じる詐欺師フレディ。もう見るからに胡散臭さ全開でwwとにかく行動の一つ一つがオーバーリアクションで面白い。
さらにそれを横目で見て「なんだこいつは!?」って感じで引き気味にみているローレンスとの対比も笑えました。クールなローレンスに対してテンション高くて暑苦しいフレディといった感じだったかな。

こうしたくっきりとしたキャラ見せ的な演出も漫画チックで面白かったです。っていうか、フレディの行動一つ一つをクールに横目で見つつ引いちゃってるローレンスの表情が可愛くて仕方なかったww。

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いち早くフレディの素性を見破っていたローレンスは彼を自分の邸宅に招き、相棒のアンドレの猛反対を押し切って弟子入りするのを許してしまう。この時まではフレディは純粋で(というのもおかしいけどw)ローレンスのことを本気で慕ってて可愛らしいんですよね。師匠から吸収しようという気満々の若さもある。

一方のローレンスはフレディの屈託のなさに、かつての自分を重ねている部分があって放っておけない感じ。「彼がうらやましいよ」とポツリとこぼした言葉が印象的だった。
なのできっと、フレディと一緒に組めば若いころのドキドキした気持ちを取り戻せるんじゃないか、みたいに思ってたのかもしれない。

そんな時、ローレンスに強引に結婚を迫る石油王の娘のジョリーンが登場。ローレンス的には軽く騙そうとしたはずが、その技が彼女には全く通用しなくて逆に押し切られる形に(笑)。この時の動揺しまくってるローレンスが面白くてたまらなかった!

そこで考えたのが、彼女を退けるためにフレディと手を組んで計画を立てること。ローレンスと手を組めることに単純に喜んだフレディは期待した以上の働きを見せるわけですが、この時の山田君のぶっ飛んだ芝居が最高だった(笑)。そこにあえて飛び込んで同調していく石丸さんという、非常に貴重なコンビを見させていただきました。あんな石丸さん、なかなか見れるものじゃないかもww。
特に、ベッドに倒れこんで云々・・・なリアクションは見ていて「マジかよ!?」って思っちゃった(笑)。

この二人のコンビネーションが見事にはまってジョリーンは撤退。あの一筋縄ではいかなそうな彼女を撃退したんだから大したもんだ(笑)。

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ところが、この一件がきっかけでお互いに意地のプライドを張り合った結果決裂してしまう。本当はローレンスはフレディともっと一緒に行動したかったんだけど、彼がいないとダメだとは絶対に思われたくない。フレディもローレンスを慕ってはいるんだけど、自分が彼に利用されるようなことだけは我慢ならない。
どちらの気持ちもわかるだけに、どのみち別れる二人だったのかなとも思いました。

で、お互い袂を分かつことになるわけですが、そこに新たにターゲットの女性が登場。いかにもお金を持っていそうなアメリカ人旅行者のクリスティーンに目を付けた二人は、どちらが先に彼女を騙し落とせるか競い合うことに。

このお互いの騙し作戦がすごく面白くて、何度も笑いました!

あくまでもスマートにいつものように女性を口説く感じで迫るローレンスに対し、策を練ったフレディは負傷兵に扮して彼女の同情を引こうとするw。お互いにあと一歩で落とせそうなところまで行くんだけど、なかなか思惑通りにいかなくて。

さらにはそんな二人が鉢合わせして小競り合いを繰り返すシーンなんかは面白すぎて爆笑でしたww。山田君のコメディセンス抜群ですな。それに石丸さんが見事に合わせてきてて…その二人が重なるとこんなに面白いシーンになるんだという新発見がありました。

で、二人にとって誤算だったのは騙すために口説こうとしていたら、クリスティーンに本気で恋心を抱いてしまったことw。ここでまた新たな二人の争いも勃発して収拾がつかなくなる状況に(笑)。

こんな二人の翻弄されっぷりの合間に、アンドレはいつの間にかローレンスにぞっこんだったはずの未亡人ミュリエルと深い仲になってたww。主役二人がドタバタする中で、二人でバラードを歌い別世界を作り出してた場面も面白くて笑いました。

いったいこれはどういう風に収拾つけるんだろうか…と思いながら見ていたのですが、ラストにどんでん返しが待っていました。
パンフレットには「爽やかな終わり方をする」って書いてあって興味があったのですが、あ~~~、なるほど、たしかに!と納得。巧いまとめ方だなと思いました。

こういうハッピーエンド的な作品は気持ちも楽に見れるので好印象。最後まで楽しかったです。

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主なキャスト感想

山田孝之くん(フレディ役)

『フルモンティ』以来、久しぶりに山田君の舞台姿を観たのですが、どちらかというと暗い印象の役が多い映像作品とは違って、実に生き生きとしていて水を得た魚のようでした。とにかくスコーンと気持ちいいくらい突き抜けた芝居が最高に面白かった。福田雄一さんとのコンビも長いですから、お互いにわかってる感じなのだと思います。

歌もさすがに巧い。山田君はミュージカルにすごく向いてると思うので、忙しい身だろうけどまた近いうちにこういう明るい舞台作品での彼を見てみたいです。

石丸幹二さん(ローレンス役)

遠征する決め手となったのが石丸さんのコメディ芝居を観たいという思いでした。その期待に十分以上に答えてくれて大満足です。席も舞台とかなり近かったので至近距離に石丸さんが来ることもたびたびでドキドキさせられたww・・・あ、私も騙されるって本気で思ったくらい(笑)。

とにかくペテン師なのにスマートな紳士姿がバッチリはまっててめちゃめちゃカッコよかったです。ちょこっと下ネタ系なセリフとかも出てくるんですが、それすらも下品に感じさせないおしゃれな雰囲気がたまらなく良かった。石丸さんくらいじゃないかな、そう思わせてくれる役者は。

予想外のことが起こると目をキョロキョロさせて動揺しまくったり。今まで見たことない石丸さんの表情も随所にたくさん見られました。もう、福田さん、ありがとうって感じw。動揺したりムキになったり、ちょっと子供っぽい表情も最高に素敵だった。

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クリスティーンを演じた宮澤エマさんは二人の詐欺師に言い寄られてるときはひたすら可愛い女の子を演じてて、これじゃ恋に落ちても仕方ないよねって思わせる説得力がありました。それが、クライマックスでのあの急変っぷりww!!その落差がとても面白かったです。

ミュリエル夫人を演じた保坂知寿さんはさすがのコメディエンヌっぷり。石丸さんとのシーンはどこかで最近見たなと思っていたら「ライムライト」一緒でしたね。その時以来のベストコンビにまたわくわくさせられました。
色気もあってどこかコケティッシュで憎めないミュリエル夫人の匙加減が最高でした。

ジョリーンを演じた大和田美帆さんはとにかく突き抜けたハイテンション芝居が面白かった!あのままローレンスは結婚押し切られちゃうんじゃないか!?って本気で思えるほどグイグイだった(笑)。
それを見事にだまして退散させてしまうんだから、やっぱりローレンスとフレディのコンビは最高だなって思いましたww。

警察の人間なのにローレンスの相棒をしているアンドレを演じた岸祐二さんは、最初なちょっとお堅いイメージの役作り。どちらかというと保守的な感じでフレディを仲間に入れることには反対していたのですが、結局はローレンスに乗せられて許しちゃう。
そんな彼が後半、ミュリエル夫人とまさかの恋仲にww。そこからのデレデレっぷりは大きな見どころで楽しませてもらいました!

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後述

記憶に残るようなビッグナンバーは正直なかったのですが、前知識がなくても気楽に思い切り楽しめる素敵な作品だったと思います。テンポもよかったし、山田君と石丸さんのコンビも絶妙で最高でした。

https://twitter.com/petenshi2019/status/1177228980895617024

また二人の共演する舞台を見てみたいです。今度はちょっとシリアスなやつとかどうかな。また違った相乗効果が生まれそう。楽しみ!

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