名古屋・福岡と回っていた東宝エリザが帝劇にもどってきました。2年前の再演は帝劇工事中で日生公演になってましたから久しぶりですよね。でも先月まで「ミス・サイゴン」で盛り上がってた劇場だったんだよなぁ・・・ここ・・・となんとなくセンチな気持にもなったりして(笑)。
今回からタイトルロールのエリザベート役が一路さんから朝海さんと涼風さんのダブルキャストになりました。一路さんは子育て真っ盛りなんでしょうねぇ。まぁ、そろそろ引退かも・・・と思うこともあったので心機一転、また新しい東宝「エリザベート」の出発ということでめでたいです。
とりあえずお二人のエリザは見ておきたいということでこの日は朝海さんをチョイス。フランツは禅さんのほうが好きなんですけど、個人的予定や事情により今回は綜馬さん(ファンなんですけど)。一番こだわったのがトート。再々演くらいのときに祐一郎さんのトートを観て以来、お目にかかってません(爆)。歌が素晴らしいのは認めるんですけど、個人的に、祐一郎さんの演技はあまり好きじゃないんですよ…。ということで、今期エリザもすべて武田トートになってます(笑)。
カーテンコールはシオタクターこと塩田さんの猛烈な煽りもあり(笑)けっこう盛り上がってたんですが、最後に朝海さんが一歩挨拶に出てきたので「あれ?」と思っちゃいました。今回のエリザは毎回挨拶つきか!?と驚いていると(笑)「今日、無事に初日を迎えられました・・・」と一言。えぇ!?初日は3日じゃないの?と会場全体がビックリ。でもそれには続きがあって・・・「武田真治さんから一言ご挨拶を」と。朝海さん、もしや、独特の喋りをなさる方?あの妙な不思議な間はいったい…(笑)。ということで、この挨拶で初めて6日ソワレが武田トートの帝劇初日だと知りました。全く気がつかなかったよ・・・。
「カンパニーより3日遅れての初日を迎えました。今年で2シーズン目になりますが、前回分からなかったことが今回は理解できるようになったと思います。日々精進していきたいと思いますので応援よろしくお願いします」
といった感じの挨拶をしてくれた武田トート。まじめで正統派なコメントでした(笑)。最後は朝海エリザと仲良く手をつないで高速お手振り(笑)。本編では怪しさ満点の武田トートでしたがカーテンコールはひたすら可愛い武田トートでした。
さて2年ぶりの東宝エリザですが・・・演出もセットもほぼ変更なしでしたね。舞台端っこの装置の上にエンジェル像があったのに初めて気がついたんですが(汗)これって前からありましたっけ?全体的な印象ですが・・・うーーん、ちょこっとパワーダウンしたような・・・。いつもオープニングの音楽からゾクゾクっときててそこから惹き込まれていくみたいな感じだったのが、今回はそのゾクゾク感がなかった。おかしいなぁ・・・。まだ幕が開いてから間がないというのもあったんだろうか?大好きな作品なので今一つ乗り切れなかったことがちょっとショックでした…。
主なキャスト
エリザベート:朝海ひかる、トート:武田真治、フランツ:鈴木綜馬、ルキーニ:嶋政宏、ルドルフ:浦井健治、ゾフィー:寿ひずる、マックス:村井国夫、ルドヴィカ:春風ひとみ、マダム・ヴォルフ:伊東弘美、エルマー:中山昇 ほか
以下、キャスト別の感想になります。
エリザベート@朝海ひかるさん
「蜘蛛女のキス」で観て以来の朝海さんだったわけですが・・・あの時はさほど感じなかった歌唱力の不安定さがこのエリザではかなり出てしまっていたな・・・というのが正直な感想。特に1幕の朝海シシィは手に汗握りっぱなしだった(苦笑)。「私だけに」をあんなにハラハラしながら観たのって初めてだよなぁ。とにかく若いころのシシィが歌にしろ演技にしろ違和感がありまくりだったのがとても残念です。見た目はすごい美人でシシィ役としては申し分ないんですが、なんかこう・・・ピンとこない感じ。高音部分が特にダメみたいなんだよなぁ。宝塚では男役さんだったということですからまだ女性声慣れしていないんだろうか?
ただ2幕になって年を重ねてくるとけっこう安定してきたように感じました。年齢重ねてるということで音も低めですしね(苦笑)。それでもなんか、あまり感情表現を表に出していなかったような・・・。後方の席だったので分かりづらかったというのもありますが、なんか、能面みたいな朝海シシィが多い気がしてちょっと面白みがないというか…。武田トートがかなり攻めてる芝居してるのでなおさらそう感じてしまったのかも。この二人はあまりバランス良くないかも?ただ、帝劇公演は始まったばかりなので回を重ねるごとに素敵なシシィになってほしいなと思ってます。
やっぱり一路さんのエリザベートは偉大だったのかも…(ボソ)。
トート@武田真治さん
2年前トート役で衝撃的ミュージカルデビューした武田さん。あの時は今まで見たことないような不思議な悪魔っぽい妖気に釘付けになったんですが(笑)、今年はまたさらにパワーアップして帰ってきてくれました。武田トートってたぶん好き嫌いがハッキリ分かれると思うんですよね。正統派のスマートなトートを期待している人は正直合わないと思います。
でも、私はあの悪魔的な掴みどころのない妖気にあふれてる武田トート大好きなんですよ(笑)。たしかに歌は粗っぽいし巧いとは決して言えないんですが、次に何が出てくるんだろう的なワクワクさせられる攻めのトートがすごく面白いし観ていて飽きません。エリザベートを誘惑している時の妖しい微笑みや、かと思えば拒絶されたことへの激しい怒りの感情をぶつけたりとコロコロ表情が変わるんですよ。その一つ一つがとても魅力的です。
一番ゾクゾクしたのが「最後のダンス」。2年前よりも歌唱力が安定していたというのもありますが、またさらに感情面が激しく表現されていたと思います。惜しげなくトートの激情をぶつけてる感じ。ものすごくワクワクしながら観てしまった。それから浦井ルドルフと歌う「闇が広がる」もよかったなぁ~。武田トートの荒々しさと浦井くんの力強さがものの見事にマッチしてた感じ。次回も楽しみです。
フランツ・ヨーゼフ@鈴木綜馬さん
初演から演じているということで全体的にすごく安定したフランツでしたね。
やっぱり綜馬さんには高貴な役柄がよく似合う。特に若き日のフランツから漂う気品は他の人には出せないようなオーラを感じさせます。今回オペラグラスで見て改めて思ったんですが・・・鼻がすごく高いのにビックリ!まさに外国人鼻だよ(笑)。そういった意味でも綜馬さんとフランツってものすごく相性いいかも。
ただちょっと物足りない気もしちゃうんだよなぁ・・・やっぱり。正統派すぎるからかなぁ。特に「悪夢」のシーンはけっこうスマートに演じていたのでちょい迫力不足の感は否めない。あそこは禅さんの熱演が本当にすごいので比べてしまうとやはりちょっと・・・。
ルキーニ@高嶋政宏さん
この方についてはもう、あまり語ることないかな(笑)。初演からずっと同じ調子ですし・・・。正直今でもあの語り口調はあまり好きではありません。ルキーニの皮肉っぽいところを表現しているっていうのはわかるんですけど、くどいんですよ(毒)。エリザベートもキャスト変更があったのでそろそろ違う人にルキーニ演じてほしいなぁ~。
ルドルフ@浦井健治くん
いやぁ~…今回一番ビックリしたのが浦井くんだったかも!初めて彼がルドルフを演じていたころは「線が細いし歌声も弱いなぁ」なんて思っていたんですが、あれから様々な重要な役柄を演じてきたこともあってか・・・ものすごく大きく見えました。素晴らしい存在感だし、歌声には強い意志みたいなものも入っていてシッカリしている。東宝オリジナルの井上芳雄くんもこの役から大きくなっていきましたが、浦井くんもものすごく成長しているよ!「ミルク」のときのアンサンブルにいるところも分かっちゃったし(笑)。
これだったら、そろそろルドルフを卒業してもいいかもしれないなぁと思っちゃいました。なんか貫禄ありありだったんで(笑)。なんならトート挑戦もいいかも!?
ゾフィー@寿ひずるさん
相変わらずの素晴らしい圧倒的存在感。フランツに対する母心も伝わってきて臨終シーンではけっこうウルッときてしまいました。歌声の安定感も抜群です。
エルマー@中山昇さん
お初の役者さんだったのですが、かなりのイケメンですねぇ!好みです(笑)。今さんのエルマーに比べるとまだ迫力不足っていう感じはありましたが、それでも歌声はとても安定しているしなかなかいいのではないでしょうか。今後が楽しみです。
ちなみにシュテファン役の谷口さんも素敵…。中山エルマーとイケメンコンビでいい感じです。