ミュージカル『エリザベート』2019.06.25ソワレ

主なキャスト感想

花總まりさん(エリザベート)

花總さんは宝塚時代から娘役トップとしてエリザベート役を演じてきただけあって、もう、存在そのものの纏うオーラが違いますね。もちろん東宝と宝塚とでは演じ方は違うと思うんですけど、「皇后・エリザベート」の気品と迫力、我が道を必死に突き進もうとする「シシィ」の強引さとその奥に抱える虚しさ…そこにいるだけでそのすべてが滲み出てる。まさに貫禄です。
少女のシシィの演じ方もすごくリアルで、恋に恋する無邪気で幼い感じがすごく伝わってきたし、窮屈な結婚生活が過ぎていくなかで徐々に”戦う女性”の雰囲気を出していく芝居も自然だった。

歌はすごく上手…っていう感じではないんですが(そもそもこれまでのエリザで歌が完璧っていう人はあまりいなかったような 汗)、立ち居振る舞いそのものが花總さんはもうエリザベートなんですよね。完全に自分のものにしているんだなと今回改めて感じました。

 

古川雄大くん(トート)

今回の観劇で一番楽しみにしていたのが、古川くんが演じるトートです。これまでルドルフ役を演じてきた彼が、ついに満を持してトート役に!芳雄くんと同じ道を辿ってますねw。でも、最初にその知らせを聞いたときは、「あ、古川くん、トート役に合いそう!」って期待しかなかった。あの美貌とどこか浮世離れしたような雰囲気は合うんじゃないかと漠然と思ってました。

で、実際に見て思ったのが…想像していたよりもすごく感情表現が豊かだったなと。城田トートみたいに氷のような冷たい雰囲気で刺すような感じを想像していたんですが、それとは逆でシシィに対する執着心を素直に表情に出して迫っていたのがとても意外だった。いい意味で裏切られたなって感じ。
シシィに迫ってる時には「俺に落ちろーー!!」といった気迫で迫っててwwなんていうか、けっこう必死に口説いてる雰囲気(笑)。逆に拒絶されたときには「なぜ振り向かないんだっ!!」といった苛立ちや動揺が手に取るように伝わってきたw。その振られたときの「なぜだ」的な目をクワっと見開いたときの表情が…めっちゃ萌えたよ(笑)。古川くんってこんな素直な感情表現する役者さんだったんだなと、なんか新たな一面を見た気がしました。個人的にかなーーり好みです。この1回しか観れないのが本当に残念。

あとツボだったのが、シシィを抱きしめる時の優しく色っぽい手の動き。壊れ物に触れるかのようにすごく丁重に抱きしめようとしてて、見ていてなんか…シシィが羨ましいって思っちゃった瞬間も(笑)。
ラストシーンでは自分のものになったことが信じられないって様子で最初躊躇いがちに抱きしめるのですが、そのあと実感してすごく大事そうに抱きしめてたな。あれは結構も得ました。

トートとしての立ち居振る舞いはビジュアル的に本当に美しかったです。指先まで神経が通ってたし何より色気がある。見惚れるというよりかはドキドキさせられるっていう表現の方が合ってるかもしれない。美しさに加えて刺激的で挑戦的でギラギラした部分も垣間見えたし…想像以上に魅力的でした。また会える機会がありますように…!

 

平方元基くん(フランツ)

元基くんもルドルフ役から出世でフランツ役に。あまりフランツのイメージが湧かなかったので初めて聞いたときにはちょっと驚きました。

若い皇帝の時の元基くんフランツはお坊ちゃま感が出ていて可愛かった。最初の執務のシーンもゾフィ母さんの言いなりになってしまうというのが納得できる感じw。特に可愛かったのはやはりシシィと初めて出会った場面でしょう。狩をしてる時に偶然出会ったシシィに対して「やぁ!」って挨拶するシーンがあるんですが(新演出からだったかと思います)、その言い方が実に爽やかな好青年!!あんな笑顔で手を振られたらドキッとしちゃうよね(笑)。

と、若い頃はすごく良かったんですが…年を重ねていくと徐々にちょっと「まだ若いかなぁ」って部分が見えちゃって。何だろう、特に、あの独特のヒゲスタイルがけっこう似合わない(汗)。ジイさんになってからもまだそこまでの年齢を重ねた感じがあまり感じられないせいか、コスプレみたいに見えちゃったんですよねw。
歌声は聴き取りやすくてすごく良いなと思ったので、後半の年齢を重ねた時の枯れた雰囲気をもう少し出せたらもっと良くなるんじゃないかなと思いました。

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涼風真世さん(ゾフィ)

涼風さんのゾフィもたしか前回観ていたはずなのですがあまり記憶がないので(汗)逆に新鮮に感じられてよかったです。

ゾフィと言うと圧倒的な存在感で他を威圧する迫力が特徴的ですが、涼風さんの場合はドッシリとした感じではなくてすごく神経質で優雅な雰囲気すら垣間見える。他のゾフィを演じる女優さんとは少し一線を画したような雰囲気がすごく印象的でした。
一見すると分かり合えそうな柔軟さがあるように見えても、接してみると頑とした意志の強さとしたたかさがあって、自由に振舞いたいシシィとは相容れないだろうなという説得力があった。

死の際でのフランツやハプスブルク家を案じる姿は真に迫るものがあってとても切なかったです。

 

京本大我くん(ルドルフ)

古川トートと同じくらい楽しみにしていたのが京本くんのルドルフです。前回公演の時にも実は1度見ているのですが、その時から「Jアイドルにもこんなに歌える子がいるんだ」とちょっと感動してて。あれからアイドル活動が活発になって知名度も上がり、もしかしたら京本ルドルフが見れるのもこれが最後かもしれないなぁと思ったので、こちらのチケットを確保した次第です。

ビジュアルは前回にも増して美しいキラキラしたルドルフ皇太子。あどけない可愛さも残しつつ、ちゃんと国のことを憂う逞しい青年の雰囲気が出ていたのがすごく良かったです。京本ルドはとてもピュアで真っ直ぐ。それに加えてどこか儚い雰囲気や脆さみたいなものも感じられる。
印象的だったのは、トートに唆されてハンガリー独立戦争の先頭に立つと決めた場面。「ハンガリー国王になれる」と聞いた瞬間にパっと喜びの表情に変わってルキーニから王冠をもらおうとするときに「王になるんだ」という野心みたいな部分が垣間見えたんですよね。慎重に動こうとしていたのに、誘惑に負けて欲が生まれてしまったルドルフの弱さがストレートに伝わってきたのがとても良かった。

マイヤーリンクでの古川トートとのやりとりはすごく刺激的。二人とも動きにキレがあるしビジュアル的にも圧倒されるものがあった。古川トートから必死になって逃げようともがいていたのが、ついに捕えられたその瞬間、その表情から恐怖心みたいなものがスっと消えて最初”無”になる。そして銃が手に渡った瞬間、少しホッとしたような笑顔を浮かべてトートにキスをして引き金を引くんですよね。
この一連の表情の変化がとても感動的で素晴らしかったです。

歌声も前回より力強さが増していたし歌唱力もアップしてました。アイドル活動も頑張ってほしいけど、これだけの素質を持ち合わせているのでやはり今後もミュージカルの舞台にチャレンジしてほしいなと思いました。

 

成河さん(ルキーニ)

成河さんのルキーニも今回で2度目ですが、やはりストレートプレイで鍛えているだけあって表現の仕方が非常に刺激的でしっかりしているなぁという印象です。歌もかなり上手い。ルキーニは特に音域が広くて歌うのが大変だと思うのですが、そこを様々な感情表現を織り交ぜながら歌いこなしてるし、言葉も聴き取りやすいのは本当にすごいなと思います。

成河さんの演じるルキーニは「狂気」的な雰囲気が特に強い。冒頭で死んだ後もエリザベート殺害のことを問い詰められて苦しんでるわけですが、そのいきさつを語り始めた時に自分の身が自由になったことを実感する瞬間があるんですよね。その時の「俺は自由になったんだーーー」みたいな表情がけっこうツボで、ここから彼の狂気的なものが発散されていくんだなと感じられました。

登場人物たちを皮肉りまくって常に余裕があるように見えた成河ルキーニですが、悪夢でトートから呼ばれた瞬間からその当時のことがリアルに蘇ってきてどこか怯えたような興奮状態に陥っていく。そこにはもう余裕みたいなのは無くて、自分に託されたとてつもない「使命」に恐怖すら覚えているかのような雰囲気があって…なんだかそこに、これまで見てきたのとは違うルキーニの哀しさみたいなものを感じました。そのあたりの芝居の変化の付け方もさすがだなと思いました。

カテコの時に両隣にいた花總シシィと涼風ゾフィの裾をさりげなく治してたのが可愛かったww。

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後述

久しぶりの『エリザベート』観劇でしたが、やはり遠征してまで観に行ってよかったなと思いました。なんだかんだで魅力的なミュージカルです。

できれば古川トートをもう一度だけ観たかったんだけど…物理的に無理なので次回会える機会を待ちたいと思います。

『エリザベート』はあと1回だけ遠征してみる予定。今度は井上トートと愛希エリザベート。そして楽しみな三浦りょんくんルドルフ!!りょんくんは全然想像がつかないのでw本当に楽しみです。

木村くんだけ見れないのがすごく残念…!次回会えますように。

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