ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~』博多公演 2022.10.07マチネ

主なキャスト感想

ケンシロウ:大貫勇輔くん

初演よりも動きが増えアクションもさらに激しくなっていたことに本当に驚きました。それなのに、大貫くんは殆ど息を乱さずワイルドホーンの難曲を歌いきっている…だけじゃなくて、さらに歌の安定度が増していたことにめちゃめちゃ感動した!!ちょっと、ケンシロウ役は彼以外には当分できる人は現れないでしょうね。1幕ラストの覚醒していくシーンはまさに魂の叫び!!初演以上に心の叫び声がリアルに伝わってくるようで…それをあの体の動きひとつで魅せてくれていたことはもう、驚異でしかありません。優しさと哀しみと怒りと…どの感情もすごく繊細でガンガン胸に響いてきた。最高のケンシロウを楽しませてもらいました。

ユリア:平原綾香さん

平原さんの歌声にはすべてを温かく包み込むような、聖母のような包容力を感じます。ケンシロウやラオウを見つめる視線もとても繊細に演じていて…ユリアはこの作品の中の救いの存在なんだなということを強く感じました。
ただ、ビッグナンバーとなる♪氷と炎♪の歌の時に高音の部分がちょっと弱くなっていたかなと思えたのは少し残念。すごい難曲なので歌いづらい部分も大きいと思うんだけど、高音のところは歌い方をちょっと工夫してそのほかの音の強さと併せられるようになればいいなとちょっと思いました。

トキ:小西遼生くん

今回から新たにキャスティングされた小西くんでしたが、想像していた以上にトキにドンピシャでした!私は『北斗の拳』の原作をまともに読んだことがないのですが、それでも、原作のままのキャラが出てきたのでは!?というような錯覚すら覚えたほどだった。グッと自分の感情を抑えあまり表に出てこないキャラではありますが、そのうちに秘めた想いの炎はとても熱くて…。力強さと優しさと儚さと哀しみと、トキの持っている感情全てがそこに詰まっていたようでした。
あと、ミュージカルの歌い方が小西くん、以前に観たときよりもものすごく進化しててちょっとビックリしました。力強い伸びのある素晴らしい歌声だった!

シン:上田堪大くん

上田くんのシンは初演の時よりもまたさらに美しさを増した印象。登場した時の狂気に溢れた不気味さと、ユリアを失った後の心境の変化といったお芝居の変化が以前にも増して繊細で分かりやすくなっていたと思います。初演の時にはシンはあまり感情移入できないキャラだったんだけど、再演の今回は「彼は人を愛することにものすごく不器用な人だったのだな」と理解することができた。最後のケンシロウとのやりとりも違和感なく受け止めることができてよかったです。

トウ・トヨ:AKANE LIVさん

AKANEさんも今回から参加されていましたが、トウとトヨの演じ分けが素晴らしかったです。キャスト表を見ていなければ同じ人が演じていると気づかないレベル。
トヨさんはミスミ爺を愛する想いやバットを息子同然に想う気持ちがとても真っ直ぐ表現されていて、何度も涙を誘われました。トウはラオウのことをずっと思い続けている一途さがとても切なかった。死を覚悟しながらユリアの身代わりとなってラオウの前に立ち、必死に想いを伝えようとする姿はあまりにも健気すぎて、そのラストシーンは哀しくて仕方なかったです…。

マミヤ:清水美依紗さん

清水さんも今回が初参加とのこと。しかも、ミュージカルも初だったということですがとてもそうは思えないくらいしっかりした歌いっぷりで本当に素晴らしかったです。悲しい過去を秘めたマミヤが同じ思いを共有できるレイと出会い交流していく中で少しずつ彼に心を開いていこうとするお芝居がとても良かったな。彼との最後の別れのシーンで、初めてその胸に抱かれて涙ぐむ姿に思わずもらい泣きしそうになってしまった。レイへの想いが育ってきた矢先の別れですから、あれはホント切なかったよなぁ(涙)。

レイ:三浦涼介くん

りょんくんも今回初参加メンバー。レイはシーンが新しく追加されたことでより厚みを増したキャラクターになったわけですが、その場面の登場の仕方が実にユニーク。盗賊たちの前で”女性”として振舞うという場面、これはもう、りょん君だからこその説得力が半端なかったです。とにかく美しかった…!!そして、女性から男性へと正体を明かすくだりのカッコよさと言ったらないよ!!初演では伊礼くんと理生君が演じていたので屈強な男レイっていうイメージが強かったけど、りょんくんになったら妖艶な超美形戦士といった雰囲気に見事なイメージチェンジ。特に目の輝きが本当に凄く印象深い。美しく綺麗で凛とした意志の強い目をしている。これはホント、りょんくんの武器のひとつだよね。それから、女性的な美しさの外見とは違った男らしい逞しい声とキレのある動きのギャップも最高でした。ホント、見応え満点なレイだったよ!

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ジュウザ:上川一哉くん

上川くんも初参加メンバーの一人ですが、彼は劇団四季を卒業してから初めての舞台作品がこのアタタミュージカルってことになるんですよね。四季時代の彼は「CATS」や「リトルマーメイド」、「恋におちたシェイクスピア」などで見てきましたが、歌も上手いし身のこなし方も上手かったんですよね。まだ若いし(ちなみに7日が36歳のお誕生日だったそう)もう少し四季にいると思っていたので、退団したと知った時にはとても驚いた。そんな彼が外部の舞台でどんなお芝居を見せてくれるのか、今回の舞台はそれも楽しみのひとつでした。

ジュウザは出番はそんなに多い方ではないけれどもとても大きなインパクトを残す重要な役。2幕でキザに登場してくるんですが、「待たせたな」のセリフから観客の心を鷲掴みww。さらに「世紀末楽しんでる!?もっと盛り上がっていくぜ~!!」と客席に向かって叫んでいたりと実に自由でいて、かつとても楽しそうだったのがものすごく印象的。四季ではなかなか客席煽りなんてできませんでしたからw、色々ととても新鮮に映りました。♪ヴィーナスの森♪のナンバーも本当に生き生きしてキラキラ輝いてたな。四季のストプレの時にも自然な芝居っぷりに感動したけど、今回はさらに輪をかけて自由な雰囲気が加わっていて見ていてなんだか見ていてとても嬉しくなってしまいました。甘い歌声でも会場を魅了。
ラオウとの戦いも見応え充分のアクションで、全ての場面を思い切り演じているのが伝わってくる。最後事切れるシーンまですごく楽しそうに演じてて…その姿はまさに自由気ままなジュウザと重なるようでもありました。ケンシロウと対峙する場面がないのは残念なんだけど、これからますます色々な表現力を身に付けて活躍していくんだろうなと。次の作品も大いに期待したいところです。

ラオウ:永井大くん

永井くんも今回が初参加とのことで、ミュージカルもこれが初めてだそう。最初にラオウ役に永井くんがキャスティングされたと知った時にはちょっと意外だなと驚いたのですが、実際に観てみるとものすごい熱量で全身全霊掛けて挑んでいるというのがものすごく伝わってきました。空手の経験もあるということで戦いのアクションシーンは型が決まっていてカッコよかった。
歌は他のキャストさんに比べると弱いかなと思ったり、台詞の重みももう少し欲しいかなと思ったりすることも正直あったのですが(初演の福井さんや宮尾さんがすごい重量感だったのでなおさら 汗)、それでも見応え充分だったと思います。

リュウケン他:宮川浩さん

宮川さんも今回が初参加ということでしたが、今回のカンパニーの中では最年長になるとのこと。宮川さんももうそんな年齢になったんだとちょっと驚きです。
なんといっても、リュウケン役の存在感がめちゃめちゃすごかった!実際に髪の毛を剃って髭を生やしての熱演だったわけですが(初演の川口さんも頭丸めてましたものね)、その立ち姿はまさに”仙人”!!場を支配するオーラが半端なかったのは本当にさすがだなと思いました。それとは逆に敵の隊長役では悪逆非道なキャラを大熱演。宮川さんの「アベシっ!!」が聞けるなんて最高だ!と心の中で大喜びしていた私ですww。

バット:渡邉蒼くん

初演に引き続きバット役で出演の蒼くん、どんな高いセットでもヒョイヒョイっと乗り越えていくあの身軽さには本当に驚かされます。年齢的にも少年から青年へと切り替わる時期ということで、若干歌声が聴きづらくなっちゃうときもあるかなと思わなくもなかったのですが(ハスキーな声だけになおさらね)、上手さは変わらず。それになんと言ってもお芝居がものすごく良いんですよ。ケンシロウを慕いながら精神的に成長していくバットの姿には何度も心が震えました。大河ドラマ『西郷どん』の子役時代から本当にグングン進化して立派な俳優さんへの階段を上ってる蒼くん。バットの成長がそのまま彼の成長と重なっているようにも思えて、なんだかそれだけでも胸アツにさせられちゃったな。

リン:桑原愛佳さん

愛佳さんも今回が初参加だったかな。か弱い存在でしかなかったリンがケンシロウやバットと出会うことによって徐々に成長していく過程をとても丁寧に、愛らしく演じていたと思います。特に♪最後の真実♪で消極的な村人たちの心を動かす存在になるシーンはとても印象深かった。ラストの歌い上げの力強さにも胸打たれるものがありました。

それから、続投組の少年ラオウ役の一色洋平くん少年トキ役の百名ヒロキくんの熱い熱い兄弟愛も本当に素晴らしかった。この二人の熱さ、めちゃめちゃ泣けるんですよね(特に崖から這い上がる場面とか)。あと、ダグル役の宮河愛一郎さんのダイナミックな殺陣や存在感もさらにパワーアップ。ケンシロウにとっての大きな壁となって立ちはだかる場面は圧巻の一言でした。
そうそう、初演で安福さんが演じていたミスミ役を引き継いだ齋藤桐人さんの熱演も素晴らしかったです!ミスミ爺の優しさと強さに今回も泣かされてしまいましたよ(涙)。中山昇さんのリハクや、澄人さんのフドウも初演に引き続き重厚感ある存在感でした。

そのほかのアンサンブルの皆さんもめちゃめちゃ激熱!!!その熱さがこの作品を盛り上げていたと言っても過言ではありません。最高でした!

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後述

少し空席が見えた博多初日ではありましたが、カーテンコールはオールスタンディングで熱い拍手に包まれ大いに盛り上がりました!特に挨拶とかはなかったけれど、大貫くんも平原さんも生声で客席に感謝の想いを叫んでいました(マイクが入っていなかったので拍手の音でよく聞こえなかった 汗)。あんな熱い舞台見せてもらっちゃったら、そりゃ立たずにはいられませんよ!!本当に皆さん素晴らしかった。

著作権の問題で映像のディスク化はできないとのことですが、CD化は実現するようでとても嬉しいです。ネットからも申し込みできそうでしたが、今回交通費が思いがけずちょっと浮いたのでwその分をCD代に当てて購入予約してきました(笑)。壮大で心震えるワイルドホーンのナンバーがたくさん詰まった作品なので、手元に届くのがとても楽しみ。

ちなみに、東京公演でもやっていた「全通」特典というのも福岡で実施されていました。すべての公演を観ると限定特典がもらえるというイベント。
特典に興味はあったけれど資金的にかなり厳しいので私は今回はこの福岡の1回のみでしたが(苦笑)、コロナ禍での払い戻しが相当あってホリプロさんもダメージを受けたと思うのでこれは苦肉の策ではあるなとも思いました。終演後のトークショーも無観客配信(有料)という形をとってますしね。

ここ最近はコロナ禍の影響も少なくなっていますが、まだ油断はできない状況。早くこういう不安定な時期から抜けて安心して観劇できる環境になってほしいものです。

たしかこの作品は中国公演も視野に入れていたという話も聞いていますが(今回の再演は中国公演に向けて行われるはずだったそう)、残念ながら断念せざるを得なかったそうです。コロナ禍が落ち着いた頃にリベンジできますように。でも、その前に日本での再再演をぜひとも!!またあの熱い世界に浸りたいですっ!!

 

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カンパニーの皆さん、お疲れさまでした!

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