舞台『巌流島』福岡公演 2023.03.24マチネ

舞台『巌流島』を観に福岡・博多まで遠征してきました。

博多座さん、今回の劇場入口の装飾もかなり気合入っててイイ感じでした!開演時間が近くなったり終演後は階段がかなり混みあってくるのでなるべく早めに劇場入りしたほうが良い写真撮れるんですよね。ここ数か月で学びました(←しばらく博多座が観劇メインになってきそうなのでw)。

劇場の外には幟旗がはためいていて華やか。こういった光景を見るのはとても久しぶりなのでテンションが上がりました(和物の舞台特有の光景)。他の役者さんの幟は反対側にあったのですが、発見したのが遅くて撮影できず残念(汗)。

物販コーナーはこれまで1階席ロビーにあることが多かったのですが、連日満員御礼という事を受けてか今回は2階席ロビーになっていました。ただ、エリザベートの時ほどの混雑はなかったかなという印象。多少列に並びましたが意外とあっさり購入できてしまった。
ちなみに今回はパンフレットクリアファイルをお買い上げ。コースターは人気だったらしく1種類が売り切れになっていました。

また、1階ロビーでは巌流島の和菓子屋さんの出店もあり混雑してましたね。連日売り切れになっているとのことで、この日も休憩時間に覗いてみたら半分以上が無くなっていました。私も興味があったのですが、山口県在住なので巌流島へは思い立った時に行けるかもと思い今回スルー。現地でぜひチェックしたいところ。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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2023.03.24マチネ  in 博多座(福岡・博多)

キャスト

  • 宮本武蔵:横浜流星
  • 佐々木小次郎:中村隼人
  • 辰蔵:猪野広樹
  • 甲子松:荒井敦史
  • 伊都也:田村心
  • 英卯之助:岐洲匠
  • 捨吉:押田岳
  • 水澤伊兵衛:宇野結也
  • 秋山玄斎:俊藤光利
  • 柳生宗矩:横山一敏
  • 大瀬戸隼人:才川コージ
  • 辻風一之進:武本悠佑
  • 藤井監物:山口馬木也
  • おちさ/おくに:凰稀かなめ
  • 語り:上川隆也(声のみ)

大石敦士、金井迪大、川田光太、菅野慶太、岸本康太、小泉丞、小林諒大、三本木大輔、菅原健志、高橋邦春、細川晃弘、前川貴紀

キャストは凰稀かなめさんを除いて全員男性!!ここまで”THE男”色が強い作品は久しぶりだったかもしれない。皆さんすごい筋肉で圧倒されまくりっ!特にアンサンブルさんたちの激熱な殺陣は大いに見応えありました。

それから、1幕と2幕のプロローグと2幕最後の語り部として上川隆也さんの声が流れてきたのも印象深かったです。ご出演ではなく録音した声のみではありましたが、重厚感あふれる声色がこの作品へ大いに緊張感を与えていたように思います。確か上川さんは20年以上前の正月時代劇で武蔵役を演じられていましたよね。そのご縁もあっての今回の声担当だったのかも。

あらすじ・概要

”巌流島”とは山口県下関市の関門海峡に浮かぶ無人島。正式名称は”船島”ですが、佐々木小次郎が「巌流」(流派)と名乗っていたことに由来して”巌流島”と呼ばれるようになったと伝わっています(諸説あり)。

1612年(諸説あり)、宮本武蔵と佐々木小次郎は巌流島で果し合いの決闘を行った話は有名です。決闘についてのエピソードは色々ありますが(武蔵が2時間遅刻して小次郎を苛立たせ、木刀で一撃して倒したというのが一番知られている話)、実際のところその内容は謎が多く今もハッキリ解明されていないとのこと。

今回の作品はマキノノゾミさんのオリジナル脚本で描かれたものになります。演出は映画監督としても活躍する堤幸彦さん

一番最初に『巌流島』の舞台化の話が出たのが2020年。本来であればその年の夏に東京からスタートし全国各地を回る予定になっていました。その中に香川公演も含まれていたので、当時高松に住んでいた私も喜び勇んでチケットを購入し見に行くのを楽しみにしていました。
ところが、ちょうどその頃に新型コロナ禍の大波が押し寄せてきてしまい…体調不良の役者さんも出始めたという事で無念の全公演中止に(涙)。その後、再演の話がなかなか聞かれず観劇を諦めていたのですが、ついに2022年にリベンジ上演決定のお知らせが出てこの日に至ったというわけです。

2020年当初は東京、愛知、香川、大阪、福岡の5都市を回る予定になっていましたが、2022年半公演の今回はそれに加えて金沢、新潟、秋田、神戸が加わり全9都市でのツアー公演となりました(ちなみに2020年版は山田和也さんが演出予定だった)。キャスト数人は変わってしまいましたが、メインの半分は同じだったようです。約2年半前の悔しい想いもあったでしょうから、リベンジという意味で皆さんの気合いは並々ならぬものがあったと思います。

簡単なあらすじは以下の通り。

生か死か…!
宮本武蔵と佐々木小次郎、歴史に名を残す2人の剣豪による世紀の対決「巌流島の戦い」。武蔵と小次郎はどこで出会い、どんな人生を歩んで来たのか、なぜ戦わなければならなかったのか…!

「関ヶ原の戦い」で落武者となった2人が武芸者として名を轟かせるまでに成長し、闘い続けること、強敵を斬り斃すことで、ひたすら剣の道を突き進んで行く。

お互いを認め合いつつも、討ち破ってこそ、本懐を遂げられると信じ、武蔵と小次郎は運命に導かれるように、最後の大一番に挑む!

<公式HPより引用>

上演時間は約3時間。内訳は第一幕55分休憩30分第二幕95分(1時間35分)になります。

一幕よりも二幕に多くの時間を割いた構成でした。

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全体感想

今回早めにチケットを申し込んだことが功を奏してかかなり前方席から観劇することができたのですが、サイド席だったのでちょっと弊害はありました(汗)。すぐ近くで役者さんの息遣いが感じられるのは良かったんですが…見切れることもちょいちょい。前のお客さんの頭で…っていうんじゃなくて、舞台の上の役者さんの立ち位置でちょうど中央でのお芝居が見づらかったというのがなんとも…(苦笑)。
これって博多座の構造的なものが原因だったのかなぁ。それか、役者の配置演出によるものだったか…。こればかりは運だとは思うんですが、主演二人のお芝居が中央に寄る頻度が高かったのでそこがちょいちょい見えなかったのは残念でした。演出する時にはもう少しサイドからの眺めも視野に入れて役者さんの配置考えてほしいかも(場面ごとに登場する人数の調整とか)。多少のことは我慢するけど、今回は「せっかくの良いシーンが見えない!!」とストレスになることがけっこうあったので…。役者さんには何の問題もないだけに、ちょっと複雑な心境になってしまいました。

印象深かったのが舞台美術。袖から出し入れするようなセットはなくて、舞台上にあったのは巨大な3枚のLEDパネルのみ。場面ごとに色々な背景画像がそこに映し出されていくのですが、何本もの細かい縦線が様々な動きをしながらお堂を形成したり海に浮かぶ島を形成したりといった感じでなかなか面白かったです。堤さんの演出舞台を見るのは『真田十勇士』以来だったのですが、この方は映像を駆使した演出を好まれるのかなと思いました。

このLEDに映し出される映像ですが、2幕のクライマックス前まではずっとモノクロに映し出されていたんですよね。それが、タイトルにもなっている一番の見せ場”巌流島の決闘”シーンの場面になった瞬間に鮮やかな色付き背景として目に飛び込んでくる。この時の関門海峡の青い海の色が本当に鮮烈で、これから始まるスリリングな展開に向けて気持ちが大いに昂りました。
それまでのモノクロ映像として魅せていたのは武蔵と小次郎の内面をクローズアップする意図があってのことだったのだろうなと思います。このあたりの魅せ方の演出は巧いなと。

物語は関ケ原の合戦が終わった直後からスタート。宮本武蔵と佐々木小次郎は西軍についていましたが戦に負けたことで落ち武者となってしまいます。小次郎は仲間想いの優しい青年として描かれているのが印象的。彼らがピンチに陥った時に武蔵が静かなオーラを携えて登場し鮮やかな剣術で救ったのが二人の出会い。
その後も武蔵と小次郎は雇われ用心棒として協力し合いながら仲間たちとの交流を深めていく。ところが、小次郎は武蔵の圧倒的な剣術を間近で触れることによって次第に「真剣勝負」を望むようになっていきました。最初は頼れる兄貴分として慕う気持ちの方が大きかったように見えたのですが、やっぱり最終的には仲間という認識よりも”剣術家”としての血が騒いでしまったのかなぁと。しかも彼が望んだのは”生死を賭けた勝負”でしたからね。真面目でまっすぐな性格の小次郎らしいといえばそれまでですが、違う時代だったら”良き友であり兄”みたいな関係のままでいられたのかもしれないと思うとなんだか切なくなってしまいました。

武蔵は小次郎のまっすぐな想いを受け止めながらも、「今は実力差があり結果が見えている」として彼の勝負を避けてしまう。剣術の実力は小次郎よりも武蔵のほうが最初の時点では遥かに勝っていたこともあるし、彼自身も小次郎を斬り捨てることは望んでいなかったわけで…。武蔵も小次郎を頼れる仲間、弟のように感じていたものはあったんじゃないかなと。
それでも、小次郎の挑戦を受けて”剣術家”としての血が騒いだのも事実。今よりもさらに強くなった時の小次郎と勝負したいという気持ちが膨らんでいったように思いました。相手が強ければ強いほど燃えるってやつでしょうかね。

「いつか必ず勝負をしよう」という約束を交わし二人は別々の道へ進むわけですが、武蔵は一匹狼を貫く生活を続けていくことで徐々に心が荒んできてしまいます。剣豪としての名声はどんどん高まる一方、勝負を挑んだ柳生宗矩には相手にもしてもらえず生きる意味さえ分からなくなってしまった。そんな彼を献身的に支えながらも、闇雲に券を振るい続ける姿に複雑な感情を抱いてしまう辰蔵が切なかったな…。一時は「もうやってられない」と武蔵の元を去ろうと決意しますが、その気持ちは痛いほどよく分かるよ!と心の中で同情してしまった。結局、離れようとするタイミングで何かしらが起こって残ることになるんだけどね(このあたり上手いこと仕組まれてたなとww)。

一方の小次郎は念願の仕官が叶ったものの、理想と現実の乖離に直面して苦しんでいました。仕官先の細川家を紹介してくれた藤井監物がかなりのクセ者(汗)。最終的には小次郎を利用して武蔵をおびき寄せ二人一緒に始末してしまえという陰謀まで企てるという、黒い奴で。
ある時小次郎は罠にはまった捨吉を斬り捨てられるよう命じられてしまう。あまりにも理不尽な要求に「どうしても斬れません!」と許しを乞いそれを回避しようとしますが、ある人物によって結局悲惨な結果を招いてしまいました。この場面は泣けたなぁ・・・。「捨吉、許せ」と涙ながらに亡骸を抱きしめる小次郎のシーンが切なくてたまらなかった。それにしても、ここであの人物が裏切るとは…武士の世界は怖いと背筋が寒くなりました(汗)。

同じ頃、生きる目的を見失い荒んでいた武蔵でしたが、かつての仲間で行方不明になっていた伊都也との再会によって小次郎の居場所を知り小倉へ向かう決意をする。そこで彼の成長した姿を見て再び剣術家として生きる意味を見出すことになります。
小次郎と再会した武蔵は彼の剣術の腕を認めつつも、かつての仲間を斬り捨てる結果を招いたことを強く非難する。「あんな卑劣な方法を取らなくても私はおまえと勝負するつもりだったのに」と苦しそうに伝える武蔵の姿が切ない…。その時に小次郎は捨吉を救えなかったことを改めて悔やむわけですが、武蔵も本当は彼自身が直接手を下したのではないというのをちゃんとわかっていたんですよね。ライバルだけど、小次郎を信頼し気持ちをしっかりと汲み取ってやれる武蔵の懐の大きさにグッとくるものがあったなぁ。

そしてクライマックスの巌流島の決闘シーン。最初は二人だけの闘いのように見せておいて実は…な展開にはビックリしました(汗)。定説を覆す大胆な設定で、「えぇ!??そんなに大勢来ちゃうの???」と戸惑いまくりだった私w。しかも、甲子松の行動はかなり意外で驚いた!!まさかあの彼が!!でしたよね、本当に。結局なんだかんだで剣術家としての野心が芽生えてしまったのかなぁとちょっと悲しくなりました。卯之助も驚きではありましたが、彼は後々そうなるのではないかと2幕で予感させる雰囲気はあったので甲子松ほどのショックはなかったです。

それにしても、あんな大勢との大立ち回りをやったあとに二人の決闘とは…、何とも罪な展開(汗)。まさに最後の力を振り絞っての激しい勝負となったわけですが、横浜くんも隼人くんも相当な体力がなければあれはできないよなぁと驚愕させられました。まさにアッパレとしか言いようがない。
全ての勝負が決した後の武蔵と小次郎のシーンは切なすぎてウルッときました(涙)。特に武蔵が事切れそうな小次郎を後ろから縋るように抱きしめる姿がもう哀しくてねぇ…。剣術家として心が共鳴しお互いにお互いのことをリスペクトし合っていただけになおさら…(涙)。

ちなみに、歴史的によく知られている「武蔵の2時間遅刻」と「武蔵の木刀」エピソードは登場しません(辰蔵が小舟の木造オールを持ってるシーンはありましたが特に戦いには影響せずw)。武蔵はちゃんと時間通りに小次郎の前に現れ、二刀流の真剣を使って小次郎と命のやり取りをします。今回の舞台は武蔵と小次郎の内面的な葛藤と繋がりを描いていたので、それでよかったと思います。

ただ一つ違和感に思ったのは女性キャラのエピソード。凰稀さんのお芝居はとても良かったのですが、ストーリーの本筋にはあまり絡んでいた印象がなくて(苦笑)省いても良かったのではないかと思ってしまった。そのほかにも「入れなくても良かったのでは」と感じるシーンもちょいちょい(汗)。次に再演があるとしたら、もう少しコンパクトに武蔵と小次郎に焦点を当てたストーリーにしたほうがいいのではないかなと思いました。

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主なキャスト感想

宮本武蔵:横浜流星くん

今回のチケットを確保した大きな目的のひとつが、横浜流星くんの舞台姿を見たいと思ったことでした。ドラマや映画で大活躍している流星くん、彼のことは特撮ヒーローの時からちょっと注目していて(しっかり見ていたわけではないけど時々チャンネル合わせてましたw)。いったい舞台ではどんな輝きを見せるのだろうととても楽しみにしていました。

いやぁ…まず驚いたのが「ザ・漢」って感じの精悍な立ち姿。ドラマや映画で見てきた繊細な青年像とはまるで違う、武骨でギラギラした目を光らせた”戦う男”の顔だった。無精ひげを蓄えているから、だけじゃなくて、彼の存在感そのものが剣豪・宮本武蔵でした。あんなに野性的な流星くんを観たの、今回が初めて。
さらに相手を射抜くような鋭い眼光を常に持ちながらも、どこか静かで品性を感じさせる佇まいも印象的だったなぁ。2幕でかなり荒ぶったシーンが続くんだけど、荒々しい剣を振りかざしながらも内面に広がる虚しさや哀しみといった繊細なお芝居も見事に表現。

また、太刀筋の鋭さは見ていて惚れ惚れするくらい爽快感がありました。中学生の時に極真空手の世界一になった経歴があるほど武術の腕前があるのも大きく影響していたように思います。二刀流の太刀の振るい方もお見事。めちゃめちゃ迫力あったし、剣術家・宮本武蔵としての魂もそこから溢れ出ていました。

武骨だけれど基本的には仲間想いで優しい一面を持つ青年・宮本武蔵を見事に演じ切った流星くん。約2年半前の悔しい経験からこうして大きく花開くことができて本当に良かったなと思います。すごく舞台映えする雰囲気を持ってるので、今後も機会があれば舞台にチャレンジしていってほしいです。

佐々木小次郎:中村隼人くん

歌舞伎の世界から参戦の隼人くん。歌舞伎にちょっとハマっていた時期(今も機会があれば観に行きたいですが)、彼のお父様・中村錦之助さんの美しさに魅せられたことがありまして。立ち役でしたが上品で優雅な佇まいが本当に素晴らしかったんですよね。その息子さんである隼人くんが見事にお父様の”色男”っぷりを継承していて嬉しい限り。

真っ直ぐな性格で真摯に人と向き合い相手を思いやる気持ちを持ち合わせていた佐々木小次郎役でしたが、これがまた見事に隼人くんの雰囲気にハマっていて素晴らしかったです。少し彫りの深いお顔立ちが小次郎の美青年っぷりを際立たせていて、どこに居ても目で追ってしまうような華やかさがありました。
最初登場した時はまだ未熟な一面があって、柔らかくてどちらかといえば頼りない印象の小次郎。ところが、武蔵と出会いその剣術を近くで目の当たりにすることによって徐々に”剣術家”としての野心に目覚めていきます。この時の心の移り変わる様を隼人くん、すごく丁寧に繊細に演じてくれていました。特に、最初の頃は兄のように慕っていた武蔵をやがて「剣を交え命を懸けて闘う相手」と認識した時の目の色の変わりっぷりがすごかった!

仕官先での葛藤のお芝居もすごく良かったです。理想とは違う現実に直面して忸怩たる気持ちを抱えている小次郎のやるせなさが痛いほど伝わってきた。それでも仲間を思いやるまっすぐで優しい気持ちはちゃんと残っていて、捨吉の命をなんとか助けてほしいと懇願するシーンはあまりにも痛々しく切なく哀しかった。
武蔵と再会した時に己の未熟さを悟り、そこを経ての決闘へ向かう気持ちの変化を見せるお芝居もとても印象深かったですね。最後、武蔵の腕の中で息を引き取る時のどこか安堵したような穏やかな表情も本当に感動的でした。

そしてなんと言っても剣捌きがめちゃめちゃ美しい!さすが歌舞伎俳優ということもあって型がしっかりしているし、何よりキレがありながらも流れるような剣捌きが本当にうっとりするほどの美しさで何度も目を奪われました。

中村隼人くんの舞台作品、今後も何かあれば観に行きたいです(歌舞伎姿も見てみたいかも)。

辰蔵を演じた猪野広樹くんは、名前は知っていましたが舞台で見たのは今回が初めて。剣の道に迷い苦悩する武蔵に複雑な感情を抱きつつも、最後まで献身的に支えようとする姿がとても印象深かったです。ご本人はまだ若いのに、どこか貫禄を感じさせるお芝居もよかったな。

甲子松を演じた荒井敦史くんはかつて『真田十勇士』で見たことがありましたが、その時の記憶があまりなくてちゃんと見るのは今回が初めましてだったかな(すみません 汗)。今回の舞台ではどちらかというと数少ないコメディ的なシーンを創り出す役回りで、時折見せるアドリブのような動きやセリフが面白かったです。そんな親しみやすいキャラだった甲子松があのような変化を見せるとは本当にびっくり!荒井君のしてやったりなお芝居にやられましたw。

伊都也を演じた田村心くんは今回が初めまして。どちらかというと2.5次元で活躍している俳優さんという印象が強かったのでもっと線が細い役者さんかなと最初思っていたのですが、すごい骨太で男らしい芝居を魅せてくれて驚きました。深手を負いながらも最後まで仲間を慮るシーンはとても感動的でした。

英卯之助を演じた岐洲匠くんは昨年のミュージカル『るろうに剣心』以来。あの時はケンカっ早くて男気溢れる左之助をダイナミックに演じる姿が印象的でしたが、今回は美形でどちらかというと静かな雰囲気の役。あまりにも左之助と正反対の役柄だったので、最初岐洲くんが演じているとは気づかなかったw。
卯之助は、最初の頃は冷静沈着で小次郎を慕う忠実な仲間といった存在でした。小次郎の分身的な感じだったかな。それが、後半に入ってから野心みたいなものが芽生え始めて藤井に気持ちが傾いていってしまう。何を考えているのか読めない不気味さもあってとてもスリリングでした。

捨吉を演じた押田岳くんはとにかく可愛らしかった!武蔵を慕う姿はまるで子犬のよう。そんな彼の末路はあまりにも悲劇的で泣けました…。

藤井監物役を演じた山口馬木也さんはさすがの一言。最初は武蔵や小次郎の味方のように振舞っていましたが、腹に何か一物企んでいるような黒い雰囲気を漂わせていて。それが後半になって一気に爆発。ラスボス的な馬木也さんのお芝居はもう迫力満点で、武蔵と小次郎の壁になるには十分すぎる存在感でした。

おちさ/おくにを演じた凰稀かなめさんは今回の出演者の中の唯一の女性キャスト。おちさは現在の亭主に心変わりして悪どいことも平気でやれるような悪女的なキャラでしたが、元亭主の辰蔵が現れた時は弱い一面を曝け出すといった役どころ。どちらが本当の顔なのか分らないような複雑な女性キャラでした。
おくには武蔵と勝負をして負けて命を落としてしまった亭主の妻。最初は亭主の命を奪った相手として武蔵を責めるのですが、数刻後には心変わりして武蔵を理解するといった役どころ。ただ、出番的には短くておくにといったキャラがちゃんと描き切れていなかったので凰稀さんも演じにくかったんじゃないかなと思いました。佇まいの美しさはさすがでしたけどね。

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後述

カーテンコールは2回目の時からスタンディングオベーションとなるくらい盛り上がっていて激熱でした。3回目のカテコの時だったかな、軽いご挨拶コーナーがあって。流星くんが突然「なんか、甲子松が皆さんに言いたいことがあるようなので、どうぞ」と突然切り出すと「なになに??」といったざわめきが起こりました(笑)。

最初は「え!?」って少しビビってた様子の甲子松役の荒井敦史くんでしたがw、意を決したように「それではちょっとお時間をいただきまして」と何やら準備態勢に入ることに。すると、両脇に立っていたキャストさんに衣装の着物の足の裾を持つように指示。なぜか逆さまにつられたような形になった荒井くん。流星くんも何が起こるか予測できなかったらしくて「なに??」と不思議そうな顔して眺めていると…次の瞬間、

「こんにちは!ネギですっ!!」

と元気に渾身の一発芸を披露wwww。最初何が起こったのか分からなかったよwwww。つまりは、衣装をさかさまにすると「ネギ」に見えるよってことだったらしく(笑)これには劇場中が大爆笑でしたねwww。横にいた隼人くんなんかめっちゃツボにハマったように手を叩いて爆笑してて可愛かったよw。

このあと「スベるんじゃないかと心配したんですけど、博多座の皆さん温かく受け入れてくれてありがとうございます」と感謝の言葉を述べていた荒井くん。「これからも座長についていって頑張り抜きたいと思いますっ」と気合いの挨拶で〆ていましたが、一発芸の評価が気になったらしく流星くんにその出来栄えを聞いてみると…

「50点(100点満点中)」

といったかなりシビアな採点がwwww。厳しいぞ、流星くん(笑)。でもこのカンパニーの雰囲気の良さを感じられてよかった。最後は「残りの公演も全力で頑張るのでよろしくお願いします」といった座長の挨拶があり、大盛況のうちに終幕しました。
どうやら荒井くんの「ネギ芸」は楽の時にも披露されたらしいw。大いに盛り上がったみたいでよかったです。

一度はコロナ禍で上演中止の憂き目を見た『巌流島』でしたが、3月27日に無事すべての公演を完走できたとのこと。

 本当にカンパニーの皆さん、お疲れ様でした!!

4月1日~7日には東京公演の舞台映像がネットで配信されるとのことなので、もう一度見直してみたいなと思います。

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