浅利演出事務所主催のミュージカル『夢から醒めた夢』を観に浜松町の自由劇場へ行ってきました。
この演目は2013年まで劇団四季が主催としてコンスタントに上演してきましたが、2017年以降は四季を離れた故・浅利慶太さんが新たに立ち上げた事務所主催公演となっています。
私は劇団四季時代の1998年と2000年にこの作品を観劇しました。今回はそれ以来なので…なんと26年ぶり!!そんな馬鹿なと思って遡って調べてみたのですがw、やはり2000年に見たのが最後だったようなのでビックリしてしまった(汗)。
当時のキャスト表を発掘。
- 98年公演
- 2000年公演
思えば初めて堀内敬子さんを知ったのが98年のマコ役だった!!2000年公演の時は生演奏だったなぁとか色々懐かしく思い出します。そういえば今は無くなったロビーパフォーマンスもあったっけ。
今回、推しの飯田洋輔くんが出演することが決まったというニュースを聞き喜び勇んでチケット確保に走りましたw。浅利事務所は劇団四季と繋がりはあるようですが(チケット販売も請け負っているし)、前もってキャストを知らせてくれる傾向もあるので今回洋輔くん出演も分かったんですよね。とはいえ、結構な激戦で2回分確保できたのはもはや奇跡だったかもしれません(汗)。
ミュージカル『夢醒め』は初演当時はファミリー向け(子供向け寄り)として制作されたそうですが、その後修正をいくつか加えて一般向けミュージカルとして再出発したという経緯があります。それゆえ、全体的には子供から大人まで誰が見ても分かりやすい内容だと思うので、予習する心配はありません。
前に観たときには親子で観劇に来る人がけっこう多いなという印象もあったのですが、今回の浅利事務所版ではどちらかというと大人の客層が圧倒的に多かったように思います。もしかしたら四季主催だったらもう少しお子さんの客層もあったかもですが…。
ただ、今回26年ぶりに観て思ったのは・・・「夢醒め」はどちらかというと”大人に向けたファンタジー童話”だったなということ。年齢を重ねたからこそ見えてくる景色というものがいくつもあって、20代の時よりも心に沁みる場面が多かった気がします。
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
上演概要
原作・作詞・作曲・脚本・演出
- 原作:赤川次郎
- 2026年再演版演出:野村玲子(オリジナル演出:浅利慶太)
- 作詞:奈良和江・浅利慶太
- 作曲:三木たかし・宮川彬良
- 振付:謝珠栄
初演
ミュージカル『夢から醒めた夢』は劇団四季のオリジナル作品です。上演は日本のみ。
- 公演期間 1987年6月2日〜10月21日(東京・日生劇場)
1987年の初演から長く劇団四季のオリジナルミュージカルとして上演されてきましたが、劇団四季による上演は2013年の東京公演で一区切りを迎えました。その後、2017年6月に東京・自由劇場で「浅利慶太プロデュース公演」として再上演され、以降は浅利演出事務所側の主催公演として受け継がれています。
上演時間
- 1幕:約60分(1時間)
- 休憩 20分
- 2幕:約50分
- 合計:約2時間10分
公式あらすじ
好奇心旺盛で冒険を夢見る少女ピコは、夢の配達人に導かれて夜の遊園地で幽霊の少女マコと出会います。
突然の交通事故で命を落としてしまったマコは、一人残され涙に暮れる母親をなぐさめ、お別れを言うために、一日だけ入れ代わってくれる人を探してさまよっていたのです。不思議なことにあこがれるピコはマコの願いを聞き入れて、一日だけという約束で霊界へ…。
ピコの大冒険が始まります。<公式HPより引用>
公演スケジュール(2026年)
- 2026年4月24日(金)~5月17日(日)自由劇場
- 再演:2026年9月16日(水)~29日(火)
観劇感想/キャスト感想
2026年5月6日/14日マチネ キャスト
- ピコ:三代川柚姫
- マコ:鹿ノ子ひより
- マコの母:坂本里咲
- メソ:中村翼
- デビル:坂本岳大
- エンジェル:政田洋平
- ヤクザ:加藤敬二
- 暴走族:近藤真行
- 部長:横山清崇
- 老人:山口嘉三
- 老婦人:服部幸子
- 夢の配達人:飯田洋輔
<アンサンブル>
石橋美奈、入江真名、岡田創平、木村和磨、木村遊、小宮山稜介、末谷玲乃、鈴木直幸、鈴木万祐子、内藤飛鳥、信川ゆり子、藤田晴、藤本もあ菜、星えり菜、吉田彩乃
本編感想
なにせ最後に観たのが25年以上前だったので内容とか殆ど抜けて忘れてしまってるかもしれないといった危惧はあったのですが(汗)、音楽が聞こえてきて登場人物が舞台に現れると不思議と記憶がスーッと戻ってくる感覚があって。”あぁ、そういうエピソードあったな”とか”こういう流れだったのか”といった新たな発見があったりしてなかなか充実した観劇となりました。
初演が1987年なのでところどころナンバーに”レトロ感”が漂っていたのは否めませんでしたが(汗)、それでも作品の内容は現代と驚くほどリンクしていて少し驚かされました。それどころか、”この作品は今こそ見るべきものなのかもしれない”と思ったかも。
2018年に浅利慶太さんが他界されてからは奥様でもある野村玲子さんが代表を務められている浅利事務所。「夢醒め」の上演権がこちらに移ってからの演出も野村さんが担当されているとのことですが、基本的には以前観たものとあまり大きな変化はなかったなという印象です。
変化を感じた点としては、冒頭の”遊園地”シーンが小振りになったことくらいでしょうか。四季で上演していた頃は旧四季劇場「秋」を拠点にそこそこ大きなホールで上演されてたので、遊園地のシーンがとても派手で華やかだった記憶があります(高下駄履いたピエロが登場したり開演前にロビーパフォーマンスがあったり)。
ただ、コンパクトになったとはいえ”夢”へ観客を誘うといった雰囲気は失われておらず、少人数でありながらも観ていてワクワクするような演出やダンスパフォーマンスがとても素晴らしかったです。
それから、セリフの中に25年前にはなかったものもチラリ。部長さんの過去語りのなかに「働き方改革を知らなかったせいで云々」みたいなのがあったのは、たぶん今ならではのセリフだなと思ったり。あとは、光の国行きの最後の子供が”パレスチナ”になっていたのも最近からなのでは。25年前は違う地域だったような気がするんだけど。
時代によって台本も現代とリンクするように修正されているのではと思います。
印象に残っているシーンを抜粋していくつか。
冒頭は夢の配達人が観客を”夢の世界”へ誘う入口に誘い込む展開から始まります(♪夢を配る)。今から始まる物語はすべて”彼”が創造し与えたものという印象を強く受ける形。その手段として一人の”女優”が選ばれる。彼女が演じるのは「ピコ」という少女。ピコは配達人に「死後の世界に興味があり少し怖いけど霊に会ってみたい」と希望を告げると、彼はさらりとその世界観を”創造”しその道筋を示していきます(♪いつも夢見て)。観客たちは女優が演じるピコという少女と一緒に”夢の世界”に向けた冒険へと踏み出していく。
25年以上前に観たときはあまり冒頭は深く考えて観ていなかった気がします。とにかく下村尊則さんの圧倒的な存在感に惹きつけられて、それだけでいつの間にか夢の世界に取り込まれてしまった感が強かったんですよね。
今回洋輔くん版の配達人でこのシーンを観たとき、「舞台」で展開される様々な物語こそが私たちにとっての”夢の世界”なのだということを改めて強く感じさせられました。「夢醒め」で配達人から選ばれた「ピコ」という少女は、言わば私たちの伴走者といった感じかな。こんなに大きな世界観があったのかと今回改めて気づかされました。
ピコは配達人に誘われ、マコという”幽霊”と出会う。ピコは霊に興味はあっても実はビビりでマコに対しても最初は恐怖心しかないのですが、マコと母親との哀しく切ない別れのエピソードを知り心を寄せていきます。マコと母のエピソードはこの作品の中ではそう多く登場しませんが、それだけにインパクトがとても強く何度見ても胸が締め付けられるような気持ちにさせられてしまいますね…。
マコはピコに「母と会ってちゃんとお別れを言いたいから1日だけ自分の代わりに霊界へ行ってほしい」と懇願(♪お願いピコ)。ピコは快くそれを受け入れますが、今見るとこの行動は…、生きている者にとってはとても残酷なことなんじゃないかなと思えてしまってすごく切なかったです。最終的には生きている人を”ぬか喜び”させてしまう結果になるわけですから…。そう思うと胸中複雑になっていた私です。
ピコとマコがそれぞれの世界を交差させる場面(♪二人の世界)はずっと変わらない名シーンですね。ここはすごく覚えてた。
『#夢から醒めた夢』本日開幕です🎡🚀いよいよピコの冒険が始まります!カンパニー一同、自由劇場で皆さまのご来場をお待ちしております✨
なお、公演チケットは全日程完売しており、当日券の販売はございません。何卒よろしくお願いいたします。https://t.co/hTNUqLk9UH
撮影:上原タカシ pic.twitter.com/cspAXmDsHs
— 浅利演出事務所 (@asariproduce) April 23, 2026
振付も当時のままで、”あぁ、これこそが「夢醒め」の世界観だ”と一人心震わせておりました。頭に残りやすい明るい旋律の音楽もとても良いし、一度見ただけでも記憶に残りやすいんじゃないかなと思います(繰り返しのフレーズもあるので)。
ピコが霊界に到着したシーンからガラリと雰囲気が変わります。とにかく霊界にいる人たちのキャラが濃い(笑)。到着した人たちを光の国か地獄へと選別する役人のエンジェルとデビルは特に面白いです。
真っ白な服に身を包んだエンジェルは「みんなが幸せになれるといいなぁ」と純粋無垢な笑顔を振りまいてるお兄ちゃん。対するデビルは「みんなテメェのことばっかりしか考えてないんだから!!」と毒を吐きまくるオネェなおじさん。デビルが赴任したての新人役人だったというのは今回「そうだったっけか」と思い出した点です(笑)。
今回のエンジェルさんとデビルさんのコンビは二人ともなんだかとても可愛らしくて、ちょっと”ゆるキャラ”っぽさを感じたかもw。25年以上前に観たときはたしか鈴木涼太さんと光枝明彦さんのコンビだったと思うのですが、その時のほうがクセつよな印象があるかもしれない(特に光枝デビルの圧倒的な濃さは今でも忘れられないし)。
部長、暴走族、ヤクザの3人組はこの作品の中ではどちらかというと”お笑い”担当(笑)。ところどころちょこまかと端っこで小芝居してたのが面白くて可愛すぎてめっちゃ萌えたwww。敬二さんのヤクザが率先して二人を焚きつける芝居してたようなw。25年前の野中万寿夫さんヤクザの印象もいまだに濃く残っていますが、敬二さんもめっちゃオモロかったよ!
「夢醒め」のなかでクローズアップされる存在になるのが、学生時分にいじめを苦に衝動的に命を絶ってしまったメソ。問題児3人組と一緒の組にさせられたグレーのパスポートの持ち主。彼らとはうまくやっていけそうにないなというのが一目瞭然なのが何とも切ない人物です(苦笑)。
そして癒しの存在であるおじいちゃんとおばあちゃん。このお二人はそこにいるだけでなんだか優しい気持ちになるし胸が熱くなって泣けてくる。
この作品の中で最初に涙がこみ上げてしまうシーンが、戦争によって命を理不尽に奪われてしまった様々な国の子供たち(♪ぼくのいきさつ)。アジア、アフリカ、中東の子供のソロがあるのですが・・・紛争が続く国は今もどんどん増える一方という現実があるがゆえに居たたまれない気持ちになります(涙)。初演当初は、演出家だった浅利さんたちは「いつかこのシーンが無くなればいいという祈りを込めた」そうですが、残念ながら悲劇は無くなる気配すらないわけで…。いつも犠牲になるのは立場の弱い子供やお年寄りや、紛争にかかわりのない普通の人たちなんですよね。その事実を突きつけられたような気持ちにさせられました。
光の国へ行ける権利を獲得していく子供たちのシーンを見ると、実際の霊界もせめてこういう救いのある場所であってほしいなと願わずにはいられません。
ちなみに、アジアの子供が歌う時に背景に流れている写真映像はミュージカル『ミス・サイゴン』のブイドイのときに流される実際のベトナム戦争のものでしたね。
メソは一見すると真っ白なパスポートをもらっても不思議ではないキャラに思えますが、彼が霊界の修業期間が義務付けられているグレーのパスポートのままなのには理由がありました。それは、命を途中で諦めてしまったこと。自らの命を絶つことはあってはならないというのは現実世界でも言われ続けています。
ただ、メソの事件を現代に当てはめて考えると…”酷”だよなぁとも思うのです。追い詰められて精神的に限界を迎えてしまえば、だれしも彼と同じ行動を衝動的にとってしまうのではないでしょうか。一概に彼に”罪”があるとは私個人としてはどうしても思えなかったりもするので、なんだかとても複雑な心境になりますね…この場面は(♪メソの悲しみ)。
しかし、この後メソはピコが持っていたマコの真っ白なパスポートを自分の物とすり替えるという罪を犯してしまう。誰もそのことには気づかない(部長さんたちが気づかないのはちょっと不自然にも思えるんですが 苦笑)。メソの弱さはすごく”人間味”を感じます。もしかしたら私たちと一番近い存在かもしれない(♪メソの過ち)。
予想外の出来事に大ショックを受けたピコは思わず”夢の配達人”に助けを求めますが、ここでの配達人の登場と粋な演出がカッコいいです。
ピコはマコから預かった大切なパスポートが真っ黒になってしまったことに大ショックを受け気絶してしまいますが、元医者だというおじいちゃんのおかげで復活。そのあとパスポートの色を巡ってピコとデビルは険悪ムードになってしまうのですが、この時の二人のやり取りはどこかちょっとコミカルで可愛らしくてクスっと笑ってしまいますw。
この後閑話休題といった感じで、部長、暴走族、ヤクザの3人それぞれの下界での経緯(なぜ霊界に来てグレーパスポートのままなのか)が歌われていきます。3者3様のメロディでコミカルテイストなのが面白い。話だけ聞くと皆けっこう悲惨な出来事体験してるのに、なんか可愛らしくてついつい笑ってしまうんですよね。
特にヤクザさんのくだりはミュージカルでは珍しい「演歌」になっているのも面白いし演出も非常にコミカルです。このナンバーは四季のソンダンでよく登場しますね(「夢醒め」を最近見た気になっていたのはソンダンの記憶があるからかもしれないw)。
このあと、みんな”なぜピコが持ってるパスポートが白から黒になってしまったのか”論争を始めるのですが、なかなか確信にたどり着かない。観てるこちらとしてはちょっとヤキモキするシーンでもありますね。特にオモロ3人組に対しては心の中で「君たち、なんですぐ察しがつかないんだよ!!」とツッコミ入れまくっちゃいますwww(特に部長さんね 笑)。その間にもデビルとピコがますます険悪ムードになっちゃうしw、早く気づけよーーー!となってしまう私は心が汚れてしまったからなんでしょうか(苦笑)。
そしてようやく、一人の人物…メソに当たりが付くわけで。でもピコはあえてその名前を出さなかった。それはピコの同情でもあったんだろうけど、彼女は感受性の強い子だったので・・・きっとメソに対して”このチャンスを生かして今度こそ幸せな光になってほしい”という純粋な思いやりがあったんじゃないかと思います。頑なにメソの名前を出そうとしないピコの姿にはかなりグッとくるものがありました。ピコにとって短い時間だったけどメソはすでに大切な友達だったんだろうなと。
「自分が黒いパスポートのままで霊界に残る選択がみんなにとってベストなのだ」とまっすぐな気持ちで告げるピコ。みんなが幸せになるのなら自分はどうなっても構わないといった自己犠牲の精神ですよね。このセリフを聞いて宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に出てくる”さそり座”のエピソードを思い出してしまった。
でも、こんな楽しい霊界だったら残ったとしても”苦役”とはならないんじゃないかなともw。ピコは順応性あるしすぐいろんな霊と仲良く交流して楽しくやって行けそうだし、グレーパスポートのみんなをサポートしてすぐに光の国へ昇格させてあげる能力も発揮できるんじゃ(笑)。
それはそれで良い選択かもって思えるのですが、一つだけ大きな重大な問題があります。それは、ピコの「命」。霊界に永遠に残るということは、下界でのピコの大切な人たちとの決別を意味します。ピコはマコの母を見ているので、突然大切な者に去られることの痛みを知っている。彼女に躊躇いが生まれたのはそこに大きな理由があったんじゃないかと思います。
ピコが自分のせいで犠牲になるかもしれないと感じたメソは、ついに自ら犯した罪を告白。ピコを助けてほしいとエンジェルたちに懇願します。それに同調してほかの仲間たちもピコに生きるチャンスを与えてほしいと頭を下げる(♪あなたのために)。ピコが霊界に滞在している時間は長くありませんが、それでもこれだけ多くの人の心を掴んだコミュ力は個人的にとても羨ましい。まっすぐでピュアな人を思いやれる子だものね、ピコは。
ただメソ…、君はピコに対してもう一歩踏み込んで謝罪したほうがいいと思うぞ(苦笑)。
ピコのまっすぐに人を思いやる姿に心を大きく動かされてしまったのが、デビルさん。ついさっきまでピコとはヤイノヤイノ喧嘩腰だったのに、彼女のまっすぐさに心打たれてキャパオーバーしちゃうところが何とも愛らしい。エンジェルは「前例がないとパスポートの再発行ができない」と及び腰になってしまうんだけど、デビルは意地でも前例見つけてやるという気合いを見せる。このあたり、二人の立ち位置が最初とちょっと逆転してるのが面白いです。
このやり取りの中でデビルが「役人は前例がないと何もできないのよね」といったセリフがありますが、これは現代にも通じる皮肉だなと思いながら聞いちゃいました(苦笑)。
何とか前例を発見したのはいいんだけど、パスポート再発行には”マコの本名”が必要という重大な事実が発覚。ピコが”マコ”というネームしか知らないというのがかなり致命的で(汗)。それでも霊界の人たちはピコのために全員参加で”コンピューター”を駆使しながら”マコの本名”探しに奔走。時代は進んでも、この作業はけっこう地道なもので機械の進化はありませんでしたww。まぁ、現代ならAIでポンと出てきちゃいそうだからそうなるとワンシーン消えちゃうしねww。
で、時代と共に変化するシーンが♪マコを捜せ♪のナンバー。一口に”マコ”と言っても日本中にこの名前の可能性を持っている人は星の数ほどいるわけで、可能性のある人物を発見するたびに背景のスクリーンにその名前が映し出されていきます。この”名前”が実在する人をパロっててめっちゃ面白い(笑)。たぶん上演される時代によって登場するパロディネームは変わるものと思われます(25年前はだれが出てきたかもう思い出せないけどw)。
2026年バージョンでは、「アシダ マナコ(←現実世界では芦田愛菜ちゃん)」や「オオキナ マツコ(←現実世界ではデラックスな方)」や「ナツキ マリコ(←現実世界では夏木マリさん、湯婆って言われてたなw)」などなど旬な方々がたくさん登場。「ハセガワマチコ」と「チビノマルコ」はもしかしたら以前も出てきたかも?
でもその中で一番衝撃だったのが、「オオタニ マミコ」。これ、まんまご本人でビックリw。プロフィールに「愛犬:デコピン」ってあるしww。
そんな苦労の果てについに本名を発見。あれはいつの世も変わらない名前ですね(当たり前)。苗字は原作者の赤川次郎さんから取っているのだと思います。名前が見つかったのはもうマコと入れ替わる時間ギリギリだったためピコはすぐに霊界を去らなければいけなくなります(メソは付き添いで一緒に行きますが)。
このみんなとのお別れシーンは何度見ても涙が出てしまう(♪愛をありがとう)。ピコが霊界にいた時間は短かったけれど、確実にみんなの心を掴んだし友達になっていた。部長、暴走族、ヤクザの3人組は特にピコとの別れが切ないようで、ピコと握手してるシーンだけでもらい泣きしちゃったよ(涙)。特にヤクザさん!義理人情の人だよ、あんたはっ!!ほんとなんでグレーパスポートのままなのか分かんないわ。最後の笑顔のお手振りは私の涙腺崩壊でしたよ(涙)。みんな必ず、白いパスポートもらえますようにと願わずにはいられなかった。
ピコが生と死の境界線までたどり着いたとき、マコは母親と最後の別れの時を過ごしていました。ピコの姿はマコにしか見えない。マコは覚悟を決めて母にサヨナラを告げピコと入れ替わる準備をしようとしますが、母親はその哀しみに堪えきれず娘を引き留めてしまいます(♪行かないで)。
このシーンはもう本当に胸が張り裂けそうになりますよ。永遠に会えないと思っていた娘が再び生身の人間として自分のもとに帰ってきたのですから、時間が来たらさようならという現実をそう簡単に受け入れられるはずはないと思うのです。マコはなんとか必死に母を説得しようとするんだけど…、娘を失くして生きる気力すら失いそうになっていた母親からすれば、もう一度別れるだなんてあまりにも酷で。なので最初のマコの入れ替え案が出たシーンの時にも私は”残酷なことするなぁ”という目で見てしまっていた。
ピコはマコの母親の気持ちが痛いほどわかってしまうため入れ替わりを躊躇ってしまう。それでもマコは「あなたのお母さんにも同じ哀しみを味わせるつもりなの?」と問う。この言葉にピコは何も言えなくなる。そしてマコの母親も我に返り「過ちを犯してしまうところだった」と見えないピコに感謝を告げ娘を手放す決断を下します。この一連のシーンは見ていて本当に辛すぎてねぇ…。どうしてもマコの母親の気持ちに寄り添いながら見てしまうので、切なすぎて涙が止まりませんでした(涙)。
マコは母と別れた後「永遠の別れじゃないのよ。あなたもいつか私の元へくるのだから」と穏やかな笑みを浮かべる。そしてピコとマコは再び生と死の狭間で交錯しお互いの居場所へと戻っていきます。
ピコが下界に戻ったときのラストシーンの演出がとてもステキで。ピコと霊界との永遠の絆を感じて再びボロ泣き(涙)。
『夢から醒めた夢』は、童話のようでありながらも正面から「生」と「死」を描いたとても繊細な作品。身近であっても手の届かない場所であっても、それぞれに”誰よりも大切な存在”はあると思います。その存在との別れを経験した人は、すごく胸に迫るシーンが多かったはずだし色々と刺さったのではないでしょうか。
失われた命とは永遠に別れるわけではないという”希望”をこの作品では見せてくれているような気がします。死後の世界、本当にあの霊界のような楽しい場所があって光の国へ行けるロケットも存在するかもしれない。これがおとぎ話のワンエピソードだったとしても、観劇し終わった後にはその場所があることを信じたくなる。私たちの今ある「命」は永遠ではない。でもこれからの人生をどう生きるかによって人の運命は変わってくると思います。最終的に”光の国”へ行けるような人生を、大好きな存在に再び出会えるような人生を送っていきたいなと感じました。
主なキャスト別感想
まずアンサンブルさんについて。皆さん本当に動きにキレがあってダンスがめちゃめちゃカッコ良かったです。自由劇場は小規模な劇場なので大勢で動くのは大変かと思いますが、フォーメーションも奇麗だったし観応え十分でした。光の国へ旅立つ子供たちを演じた女優さんたちも愛らしさと哀しみの表現が素晴らしかったです。
大千穐楽の朝です☀️
私は配達人さんの「夢は、人生と同じだ」という言葉がとても好きです✨
本日も自由劇場にて、スーパーアンサンブル達のみんなと共にお待ちしております!
あなたにいい夢を。#夢から醒めた夢 pic.twitter.com/vFT873d4Hc
— 小宮山 稜介【komiyama ryosuke】 (@musicalyboy) May 17, 2026
素晴らしかったと言えば、おひとりものすごく私の目を惹いた方が。ピコのソロリフトを主に担当していた大柄の男性アンサンブルさん!!メインキャストでも全然イケるんじゃない!??ってくらいのカッコよさで終始目が釘付けになりましたよ。パンフレットでお名前確認したら、内藤飛鳥くんとのこと。SNSではお名前見ないのでやってないのかな?次回の夢醒めは出演予定にないのが残念。今後違う舞台での内藤くんをぜひ見てみたいなと思うので、どこかで会えますように!!
ピコ:三代川柚姫さん
三代川さんは劇団四季でよくお名前を拝見していた女優さん。どこかで見たことが…と思って過去を遡ってみたら2021年コロナ禍真っただ中のソンダン岡山公演以来だったことが判明(汗)。ほかの役でもぜひ拝見したいです。
三代川さんのピコは明るくまっすぐで誰に対しても正面から向かい合おうとするピコのキャラクターにピタリとはまっていたと思います。歌声もとても素晴らしかったし、ちょっと保坂知寿さんピコをところどころ彷彿とさせるような雰囲気があったのも好印象でした。
マコ:鹿ノ子ひよりさん
オーチャード所属の女優さんとのことですが、凛としたこの世と一線を画したようなミステリアスな美しさがとても印象的なマコだったと思います。特に登場シーンはすごく印象的で思わず惹きつけられてしまった。歌声ものびやかで美しく完璧でしたね。
マコは全体的に登場時間は短いのですが、舞台上での存在感はピカイチでインパクトが大きかったです。
マコの母:坂本里咲さん
久しぶりに坂本さんを拝見しましたが、ずいぶん年齢を重ねられたんだなぁと時の流れを感じてしまいました(←すみません 汗)。私が洋輔くんのファンになったばかりの頃の大井町BBで一番多く相手役のベルを演じられていた方なので、今回の舞台で直接絡みはなかったものの同じシーンに洋輔くんといる姿を見てひとり胸熱くしていた私ですw。
坂本さんはマコを誰よりも大切に想う母の気持ちがよく伝わってくる熱演でしたし、娘を失った時の喪失感のお芝居もグッとくるものがありました。ただ、歌唱力がちょっと落ちてしまったかなぁというのは否めなかったかも…(汗)。声量もほかの役者さんに比べると物足りなさがあったし、ビブラートを多用してなんとか維持させてる的な歌い方も気になってしまって…。それがちょっと残念でした。
メソ:中村翼くん
中村くんは昨年のレミゼに出演していましたが、個人的には2023年ミュージカル『ファントム』のジャン・クロード役がとても印象深いですね。あと『四月は君の嘘』の初演で三池君も演じてた実力派の若手さん。
中村くんのメソは自分の「死」の経緯を今でも消化しきれず悶々とした苦しみの中でもがいている感がすごくあって、見ているだけでなんだか切なくなってしまいました。ピコと出会い、彼女のまっすぐな純粋さを目の当たりにしたとき初めて自分の負の部分を受け入れ罪を告白するシーンはとても印象深かったです。ただ、デビルに霊界空港へ引き戻された時の「放せよ~!!」はもうちょっと臨場感あってもいいかなと。まぁ、四季のセリフ法は慣れてないと難しいと思うんですけど…(汗)。
デビル:坂本岳大さん
今回が初めましてでしたが、クセ強なデビルというキャラを軽やかに演じられていてとても楽しかったです。強いセリフを言ってる時も物腰柔らかな雰囲気やどことなく漂う艶もあってなんとも憎めない感じ。子供番組に出てくる”憎めない悪役さん”みたいなイメージが一番ハマるかもしれない(笑)。
初代の光枝さんの印象がとても強かったので最初は心配していた部分もあったのですが、坂本デビルはこれはこれで新しいタイプとして面白かったと思います。
本日も無事終演いたしました✨
ご観劇くださった皆様ありがとうございました!今日はピコ&マコとデビル&エンジェル
の4人でのショットを!📸
劇中では同時に揃うことは無いこの4人。
色んな想像が膨らむ写真ですね😳明日からも大千穐楽に向けて走り抜けたい
と思います!#夢から醒めた夢 pic.twitter.com/MKbDxBjUPH— 政田 洋平 (@m_yoheeei) May 15, 2026
エンジェル:政田洋平くん
政田くんは今年の1月~2月のミュージカル『プリティウーマン』でアンサンブルしてましたよね。こうしてメインキャストとして拝見するのは初めてだったのですが、笑顔がめちゃめちゃ愛らしくて見てるこちらも思わず頬が緩んでしまう良いキャラしてました。「みんなが幸せになれるといいなぁ」というセリフの語り口も柔らかくてまさに癒し、エンジェルにぴったりだなと。坂本デビルとの相性も良くて、並んでると…子供番組に出てくる”体操のお兄さん”的な愛らしさを感じましたw。
ヤクザ:加藤敬二さん
いやぁ…何年ぶりだろう、板の上に立つ敬二さんを拝見したのは!!ソンダンの時は2018年退団まで裏方の演出や振付を担当されてましたし…、役として観るのはひょっとしたら「CFY」のボビー以来だったかもしれない(もはや思い出せないレベルw)。久々に拝見して、敬二さんもだいぶ年を重ねられたんだなぁと時の流れを実感いたしました。
しかし、やっぱり確かな体幹と手先まで神経の行き届いた美しい仕草は健在。ヤクザさんの動き一つ一つ細かいところまでシャキシャキ動いていて、おそらく過去最高にキレッキレな動きをするキャラだったかと思います。お芝居のほうも実に楽しそうに伸び伸びとされていたし(小芝居とかも最高だったw)、人情味たっぷりなクライマックスの感情表現も素晴らしかったです。さすがだなぁと思いました。
暴走族:近藤真行くん & 部長:横山清崇さん
近藤君も横山さんも出発地点は劇団四季だったようですね(現在は退団されてるようですが)。お二人とも今は演劇の様々な分野で活躍の場を広げているとのこと。
近藤君の暴走族は若々しく破天荒なところがありながらも、どことなく優しさもにじみ出るような可愛さが魅力でした。特にメソに「友達だと思っていたのに」と告げるセリフは印象的でした。歌声にも伸びがあってとても良かったと思います。横山さんの部長さんはとにかく背が高くて!ひょろっとしていて働きすぎて力尽きてしまった大人の哀愁がコミカルさの中に入り混じったお芝居が面白かったです。
老人:山口嘉三さん & 老婦人:服部幸子さん
『夢醒め』に登場する老夫婦は本当にこの作品の中の”最大の良心”と言ってもいい存在だと思っていて。お二人ともそれにふさわしいとても温かい素敵なお芝居で魅せてくださいました。人を思いやる心、愛する人を穏やかにまっすぐ愛する強さなど、色々伝わってきて要所要所泣けました。
夢の配達人:飯田洋輔くん
今回25年以上ぶりに私を『夢醒め』の世界に誘った張本人の洋輔くん。本当に心洗われる良いものを魅せていただき、ほんと、彼がこの作品に出演してよかったなと思いました。
”夢の配達人”といえば、私の中で今でも絶対的存在感を放っているのが下村尊則さん(のちに下村青さんと改名されてました)。前回公演の時もご出演だったそうで、おそらくまだご存命であれば再びこの舞台に立っていたのではないかなと思います。下村さんが突然この世界に別れを告げ光の世界に旅立ってからもうすぐ2年…。いまだに信じられない気持ちでいっぱいです。
その下村さんの後を引き継ぐ洋輔くんのプレッシャーは相当なものがあったはずです。でも、劇団時代も「壁抜け男」のデュティユル役をダブルで演じたこともありましたし、下村さんもきっと洋輔くんが配達人を演じてくれてよかったと思っているのではないかなと。
今回観劇して思ったのですが、配達人の出番は全体として観てみると冒頭、中締め、クライマックスの3場面のみなんですよね。その短い間の中で存在感を残すというのはとても難しい作業だったかと思いますが、洋輔くんならではの劇場全体を深く温かく包み込むような大きなオーラが存分に発揮されていてインパクトを残してくれました。下村さんとは違う路線から新しく配達人を創り上げた感じ。それが今回の舞台の雰囲気にもとても合っていてファンとしても嬉しかった。
配達人は”夢を配る”ことを仕事にした存在なので、あまり表に感情を出しません。ピコが困ったときにも姿は見せても過剰に助けない。マコと母の別れの場面の時もただじっとその成り行きを見守るだけ。主体性を感じさせない難しいキャラクターなんだなと改めて感じました。その静かな存在感の中にグッと秘めた強い意志のようなものを滲ませた洋輔くんの表情がとても印象的でした。
下村さんとは全く違う”夢の配達人”だったので、当時を知る者とすればまだちょっと見慣れないというのはあったかもしれません(下様が本当に圧巻すぎたので)。でも、再演も決まっているようですしその時はまた進化した洋輔くんなりの素敵な”夢の配達人”を魅せてくれるはず。期待しています。
ちなみに、セリフ回しはけっこう”劇団四季仕様”感出てましたね(強い母音法)。やはりこの中に入るとその色に染まるんだなぁと思いました。外部の舞台ではもう少し流れるようなセリフを語ってるのでね。それでもやっぱり母音法があればこそというのはあると思うので、そこは素人はあまり気にしてはいけないのかなと。
後述
カーテンコールは6日も14日も「今日は千穐楽か!?」と錯覚してしまうほどの熱さで盛り上がってました。浅利事務所も劇団四季のファンが多く訪れるということなのでそうなるんかなとは思うのですが・・・、このカテコの長さはもう四季のお家芸みたいになっちゃってるんですかねぇ(汗)。
感動した作品にはカテコ5回目くらいまでは熱気が冷めやらない気持ちも持続しているのですが、そこを越えてくるとだんだん現実が戻ってきて…8回目9回目あたりは少し疲労も(汗)。通路側にいれば途中で抜けることもできますが、客席中ほどの席だと雰囲気的にも物理的にも抜けるに抜けられないって感じなので(苦笑)、四季系の作品はカテコの長さとしては個人的にちょっと…。役者さんも6回目過ぎたあたりにはかなりお疲れなのではと気を遣ってしまう(汗)。
そんななか、洋輔くんは最後のほうはハットを脱いでひらひらさせながらもリアクションに多少苦戦してる感じがあって可愛かったな(そこ中心に最後のほうは見てたww)。
早くも2026年9月に再演が決定。キャスト予定を見ると今回から少し入れ替わりがありそうです。アンサンブルさんはさらに減ってる!?公演期間は短いようなのでチケットが手元に入るかかなり厳しいところですが、運が良ければあと1回は観に行きたいなと思います。
本日『#夢から醒めた夢』は、千秋楽を迎えました。スタンディングオベーションの中キャスト全員で劇中歌「愛をありがとう」を合唱し、劇場が愛と優しさに満たされるカーテンコールとなりました。ピコの旅路は9月に続きます✨また秋に、夢の世界でお会いしましょう!🎡🚀#浅利演出事務所 pic.twitter.com/KkMlCDBECd
— 浅利演出事務所 (@asariproduce) May 17, 2026
4月~5月公演カンパニーの皆様、本当にお疲れさまでした!!







