今年の初めに観に行って以来約4か月ぶりに劇団四季ミュージカル『CATS』大阪公演へ遠征してきました(日帰りですw)。5月は月末の1本以外は観劇する予定を入れてなくて、この『CATS』も前日予約システムで確保したものでした。
なぜ急に行こうと思い立ったかというと…この週に誕生日を迎えた大好きな飯田洋輔くんが配役されていたからです。彼のことはもう約7年応援していて誕生日に舞台に立っていた時にはお祝いの気持ちも込めてほぼ毎回足を運ぶことにしています。ただ、劇団四季はキャストの情報がその週の頭にならなければ確定しないので、お目当てキャストがいる場合は前売りでその日に定めてチケットを取る事ができないんですよね。なので今回もギリギリまで待ちまして、配役されたのを確認したうえで日程調節しました。
でも、前日予約といえど「キャッツ」専門ダイヤルではないので(苦笑)全国の公演の前日予約を求めて電話が集中するため時間ちょうどにも繋がらない状況(たぶん東京ノートルダムの影響もある気がする)。今回もかなり時間がかかってしまって、とれた席はちょと後方になりましたが…その1時間後くらいに売り切れたらしいのでギリギリセーフといったところでした。
「キャッツ」は何といっても美味しいのが通路脇席。間近に猫役者が通ったりカーテンコールですぐ握手できたりするので、皆さん真ん中よりも通路を狙う人が多いです。私もそのあたりのリクエストは出してなんとかそこは確保してもら会えたのでラッキーでした。
以下、ネタバレ満載の感想になります。
2017.05.18 マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪)
主なキャスト
- グリザベラ:木村智秋
- ジェリーロラム=グリドルボーン:小林由希子
- ジェニエニドッツ:花田菜美子
- ランペルティーザ:山中由貴
- ボンバルリーナ:渡辺知佳
- シラバブ:藤原加奈子
- オールドデュトロノミー:飯田洋輔
- アスパラガス=グロールタイガー/
バストファージョーンズ:正木棟馬 - マンカストラップ:加藤迪
- ラム・タム・タガー:上川一哉
- ミストフェリーズ:松出直也
- マンゴジェリー:新庄真一
- スキンブルシャンクス:カイサー・タティク
※そのほかのキャストはこちらの写真を拡大してご確認ください。
全体感想
オーバーチュアは大好きでいつも始まるたびにジーンと来てしまうのですが、この日は何だか、猫役者が登場してからちょっと感極まっちゃっていつも以上に涙があふれてきてしまった気がします。というのも、この公演の少し前に亡くなられた日下武史さんのことが重なっちゃってねぇ…。日下さんは今出演してる役者さんたちにとっては偉大な存在だっただろうなと感じるので何かしらみなさん色んな想いを抱いてるんじゃないかと思ったら…なんだか涙があふれてしまいました。
前回観た1月から女性キャストの多くが変わっていたようで、また違う新鮮さがあった気がします。この日は通路脇の席が取れたので、久々に「猫の名」で女の子キャッツが見つめに来てくれたのが嬉しかったw(←すみません、まだ全猫の名前憶えてない)。
ただ、シラバブ役の藤原さんは可愛いんだけど…ちょっと歌唱力が不安定なのが残念でした。シラバブ役って『CATS』の中ではとても重要なポジションにいるんだけど、かつては『オペラ座の怪人』のクリスティーヌ役への登竜門って言われていたこともあるんですよね(今は分からないけど)。声はなかなかきれいなものがあったので、もう少し安定した歌い方が出来たらいいなと思いました。
男性キャストのメイン部分はほぼ同じではありましたが、その中でもやはり加藤くんのマンカスはダントツでカッコいいです!!リーダーの風格をすごく感じるし歌声も力強いので大好き。
松出くんのミストフェリーズは相変わらず「可愛い黒猫」っていうタガーの歌がぴたりとハマるような愛くるしさがあって。だけどこの日の回転はちょっと軸がずれてしまった感じだったかな。ダンスの難易度が高いと思うんだけど頑張ってほしいです。
2幕、グリザベラが天上へ昇るシーンは毎回涙してしまいますが、この日はその前の「メモリー」からぐわ~っとこみ上げてきちゃって…そこからずっと泣いてました。なんかねぇ、やはり日下さんのことと重ねて見てしまったんだよなぁ…。特に天上へ昇る場面はたまらないものがありました…。あんなふうにみんなの愛を受け止めて昇って行かれたのかなぁとか色々思いを巡らせてしまってねぇ。
そしてラストの、オールドデュトロノミーによる圧巻の歌声が「昇華」させていく感じで…それを支える猫たちの熱い合唱も涙が止まりませんでした。感動的な素晴らしい公演だったと思います。日下さんも喜んでくださったのではないかな…とふと終わった後思いました。
『CATS』は実際のところ物語性がなく、歌とダンスで猫の紹介をしていくという作品なので…ストーリー重視の人には合わないかもしれません(実際、帰るときにそんな話も聞こえてきたので)。私もその一人で、いくら好きな役者さんが出ていると言っても定期的にリピートするってほど好みの作品じゃないんですよね。
ただ、こうやって間を空けてたまに見に来るといろいろと沁みるものがあるんです。ダンスも見ていて楽しいし、各猫のナンバーも多様で聴き応えがある。そういう意味では好きな作品の一つかもしれません。
ちなみに、休憩時間中には一般のお客さんを舞台の上に上がれるようにしてくれてます。この舞台の上をあの猫たちが…と思いながら歩くと感慨深いものがありますし、間近で見るゴミの数々やタイヤなども面白いですよ。休憩時間もおススメです。
主なキャスト別感想
木村智秋さん(グリザベラ)
久し振りに木村さんのグリザベラを見たのですが、ボロボロになりながらも凛としたものを失わない雰囲気がとても印象的だなと思いました。グリザベラってその過去からずっと周りからのけ者扱いされてて見ていてすごく痛々しい猫なんですけど、どんなに虐げられても自分の中にある誇りみたいなものは失いたくないといった強さも垣間見えてちょっとグッときました。
天上へ導かれるシーンは、それまで固めていた防御の壁みたいなのが取り払われていき、スーっと昇華していく雰囲気でとても感動的でしたよ
花田菜美子(ジェニエニドッツ)
はじめましてのジェニエニドッツでしたが、花田さんも元気いっぱいのタップダンスと歌声ですごく楽しませてくれました。おばさん猫のシーンって最初に出てくるパンチのあるナンバーで一気に惹き付ける役割があると思うんですけど、花田さんのジェニエニドッツもその力をすごく感じました。
カーテンコールの握手が花田ジェニエニドッツだったのですが、明るくやわらかな笑顔がとても素敵でした
正木棟馬さん(アスパラガス=グロールタイガー/バストファージョーンズ)
ガスとグロタイの老いた感じからの若返りもすごく印象的で好きなんですが、私はどちらかというと正木さんはバストファージョーンズ役の時が一番好きかなぁ。
グリザベラが去った後の暗い雰囲気をパァッと一瞬で和みの空気に変えてしまうあの「いらっしゃ~~い」っていう一言がなんともいえず可愛くってねぇ~~。そのあとのナンバーも、なんかすごく見ていて癒されるんですよ。正木さんのバストファさん、大好きです!
カイサー・タティクさん(スキンブルシャンクス)
はじめましてのスキンブルだったんですが、なんか舞台上の中で1匹だけ海外からの猫が紛れ込んでるぞ!?と思わず注目してしまうほど目を惹きました。背の高さもあるし、西洋の顔つきなのでちょっと高貴な雰囲気さえ…!BWかWEから1匹迷い込んだんじゃないか?みたいな不思議な感覚がありました。
すらっとしてるし顔つきも綺麗(特に目が美しかった!!)なのでいつも以上にスキンブルが輝いて見えましたよ。歌も踊りもすごく安定していて、ソロは特にちょっと神々しさすら感じてしまったw。西洋顔の役者さんが演じるとまた雰囲気がガラッと変わって新鮮でいいですね。またぜひお目にかかりたいです。
上川一哉さん(ラムタムタガー)
この日もまた弾けまくってましたね~、上川くんのタガー(笑)。艶っぽい不良というよりかはヤンチャでガキっぽいタガーっていった感じで、見ていて何度か吹き出したくなるような自由っぷりが面白くてたまりませんでした。全体的にすごくロックです!
お客さんを連れ出して踊るシーン、一緒に戻るときの扱い方がすごいですよ(笑)。あれ、上川くんのファンの人だったら卒倒するんじゃないでしょうかww。あとスキンブルのシーンの時に男性猫が踏み台になる場面、上川タガーは1人だけ客席にお尻を向けてシラバブから逆!って怒られるんですけどw、この日は怒られた後に「じゃあお前が台になれよ」とシラバブを踏み台にしようとする仕草を見せてて思わず吹いちゃいましたww。そのあと渋々自分が下になりましたけどねw。なんか飽きないわ~、上川くんのタガー。
カーテンコールの〆の時もめっちゃ煽ってテンション上げ上げでww最後まで盛り上げてくれました。
新庄真一さん(マンゴジェリー)
新庄くんがメインの猫で出演するのを見るのはこれが初めてかもしれません。まず最初に思ったのが、新庄君ってすごい猫顔なんだな~って事かな。皆さんメイクがすごく印象的で可愛かったり、綺麗だったり、カッコよかったりとあるんですけど・・・新庄くんはなんだか「猫」そのもののリアリティをすごく感じましたよ。今まで気づかなかったけど、この演目は彼にとってのドンピシャかもしれません。
マンゴの泥棒ナンバーも軽快でコミカルで新庄くんの良さがあちこちに出ていたような気がします。
飯田洋輔くん(オールドデュトロノミー)
私が今回急きょ見に行こうと思った大きな理由が、この公演週に洋輔くんが誕生日を迎えていたことです。私個人の誕生日の翌日が洋輔くんのっていう不思議なご縁もありまして(と、勝手に思い込んでるだけww)、毎年彼が舞台に立っているときは実際に足を運んでいます。誕生日の当日には行けませんでしたが、その翌日に当日券が取れてよかったです。が、四季のキャストは当日突然変わるという恐ろしいこともあったりするので…劇場のキャストボード見るまでは気が抜けなかったんですけどね。
この日の舞台上の洋輔くん見て…久しぶりだったこととお誕生日おめでとうの気持ちが重なり…なんか感極まり度がいつも以上に高かった気がする。
デュト様の登場は1幕の真ん中あたりなのですが、オープニングの「ジェリクルソング」でも実はまぎれて出演しているんですよね。そうなると私の視線はほぼそこにロックオン(笑)。この日は、大きな靴が落ちてきた後のビビった顔が…目をまん丸くして固まってる姿がすごくよく見えてめっちゃ萌えました。
あと、「猫の名」では2階席上手の方へ向かう姿を確認!あれ、実際洋輔猫に見つめられたらちょっと心臓持たない気がするのでww、1階で良かったなと思いました。マンカスが「色々な猫をお目にかけよう」と客席に語りかけた後、みんなそれぞれの場所に散っていくのですが、洋輔猫は「お楽しみに!」みたいな視線を客席に投げて去って行きましたよ。
そしてデュト様登場…!!私のすぐ脇をゆっくりと進んでいったのがもう…感極まり度ハンパなかった。そして、舞台の上に登場するとたくさんの猫を引き連れて奥の方に行くんですが、この時の「さぁ、こっちだ」みたいな導きっぷりが最初の頃よりもすごく堂に入ってて感動してしまいました!
基本的に舞台奥のタイヤにどっかと座った後はアクションがあまりありません。洋輔くんのデュト様も1幕はほぼ表情変えずじーっと見入っている感じ。寂しげに歩くグリザのことも静かなまなざしで見守っているのが印象的です。こういう風に舞台上でじーっとしてる時間がけっこう多いのですごく難しいし大変な役だなぁと思います。
2幕も基本奥でどっかと座ってるんですが、ガスの時は優しく見守る感じだし(ちなみに洋輔くんはガスも演じることがあるのでWだ~ってちょっと思っちゃうw)、スキンブルのナンバーの時は他の猫たちと一緒にシッポを回してニコニコ楽しそうにしてたりと表情が出てくる。これがまた可愛くて仕方ないっ。特にスキンブルのナンバーの時は洋輔くんらしさが出てるなって思っちゃいましたw。
マキャに襲われるシーンでの「うわっ」といった慌てっぷりの表情、そしてミストのマジックで再び登場した時の「わぁっ!!」といった目をまん丸にしたビックリ表情もほんと見ていて可愛くて癒されてしまいますね。
そしてクライマックス…グリザベラを天上へと導くシーンあたりからもうわたし号泣…。「猫からのごあいさつ」ナンバーの圧巻の深みのあるソロの歌いっぷりは感動という一言では言い表せないほどドラマチックです。感涙しながらも、以前よりもまた更に威厳を持った歌声になったなって…観に来れて本当に良かったなと思いました。
劇団四季ミュージカル『CATS‐キャッツ‐』感想一覧
後述
最後に、ひとつ悲しい出来事について少し触れたいと思います。
劇団四季の創立メンバーで数多くの作品に出演された大ベテランの役者・日下武史さんが5月16日にお亡くなりになるというとてもショッキングなニュースが流れました。これまで退団した人も含めて多くの役者さんの心の支えにもなってきたという日下さんには、たくさんの人から悲しみやお悔やみの言葉が聞かれました…。大阪四季劇場の片隅にも、小さな祭壇が作られてあって…なんだかそれを目にしただけで泣きそうになってしまった。
私は劇団四季のストレートプレイはあまり好きではないので観に行かなかったので、ストプレに出演されていた姿は『スルース』しか拝見できなかったのですが…ミュージカルでは何作品か見ていて。特に『美女と野獣』のモリース役や『赤毛のアン』のマシュウ役は内から滲み出るような懐の大きな深い愛情を感じさせるお芝居がとても印象に残っています。
歌唱力はたしかに弱かったかもしれませんが、それ以上に深みと愛に溢れた演技に心打たれ…大好きな役者さんでした。ちなみに、『美女と野獣』の最初に流れるモノローグの声は日下さんが担当されています。おそらくこの先もずっと日下さんの声は劇場に立ち続けることでしょう。
日下武史さん、長い間、本当に素晴らしいお芝居を魅せ続けてくださりありがとうございました。晩年近くには木村不時子さんとご結婚もされていたので無念もあったかと思いますが…どうぞ安らかにお眠りください。
合掌・・・