井上芳雄くん主演のミュージカル『グレート・ギャツビー』を観に大阪まで行ってきました。
本当は1度きりの観劇予定にしていたのですが、発売されてからしばらくしてトークショーイベントが設定されてしまい…かなり興味深いメンバーだったこともあってついつい買い足してしまいました😅。
最初に確保していた公演は手放すかどうかギリギリまで悩みましたがw、間際になって「七夕イベントがある」というお知らせが入ったので結局行っちゃいました。梅芸主催の舞台ってこういう風にチケット発売してしばらくしてからイベント打ち出してくること多いんですよねぇ。まぁ、大人の事情っていうものがあるんだとは思うのですが(苦笑)。
ということで、7/7の1回目の観劇の時は七夕イベント最終日。笹にはすでにかなりの多くの願い事がぶら下がっていて見ていてとても楽しかったです。私もちょこっとお願い事書いて下げてきましたよ。
ギャツビーの出演キャストの短冊はパウチがしてあったのでわかりやすかったです。役柄になりきって書いたものから、自らの願望まで様々あってwwなかなかに面白かった😄。そのうちのいくつかを紹介します。
舞台観る前はなんで万里生くんもAKANEさんも同じ願い事(しかもゴルフネタ)を書いているんだろうと思ったのですがw、観た後に納得しました。役柄での短冊ってことですねw。
若手アンサンブルの石川君、かなり切実な短冊でした。でもその若さが羨ましい!大学受験頑張って!!
荒田くんの願い事もかなり目を惹きました。その上昇志向、応援したい!!がんばれ!
他の人の短冊はトークショー記事の中で紹介したいと思います(話題にちょこっと出てきたのでw)。
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
2017.07.07マチネ・07.12ソワレ公演
in 梅田芸術劇場(大阪)
主なキャスト
- ジェイ・ギャツビー:井上芳雄
- デイジー・ブキャナン:夢咲ねね
- ニック・キャラウェイ:田代万里生
- トム・ブキャナン:広瀬友祐
- ジョージ・ウィルソン:畠中洋
- マートル・ウィルソン:蒼乃夕妃
- ジョーダン・ベイカー:AKANE LIV
- マイヤー・ウルフシャイム:本間ひとし
- エリザベス・フェイ:渚あき
- ヘンリー・C・ギャッツ:イ・ギドン
- キャサリン:音花ゆり
全体感想
「グレートギャツビー」といえば、まず最初に思い浮かぶのが映画『華麗なるギャツビー』です。といっても私はロバート・レッドフォード版もレオナルド・ディカプリオ版も見たことはないのですが、名前だけは分かるくらい有名な作品です。
初めてミュージカル舞台化したのはなんと日本の宝塚だそうで、その時演出していた小池修一郎さんが今回も担当しているのだとか。宝塚版からは曲もすべて新しく作り直したというから、ほぼ新作とみていいかもしれません。ちなみに原作はスコット・フィッツジェラルドの小説で1925年に発表されているそうです。
グレート・ギャツビー (新潮文庫) フィツジェラルド 野崎 孝 新潮社 1989-05-20by G-Tools |
物語の舞台は1920年代のアメリカ。富裕層と貧困層の差が激しかった時代。
第一次大戦後、ジェイ・ギャツビー(井上くん)は禁酒法が設定されるなか酒の密輸で巨万の富を得ていた。
大豪邸には大勢の裕福な人が招待されていたが、その中にはなぜか隣に住んでいたごく普通の青年のニック・キャラウェイ(万里生くん)も招かれていた。パーティーの後、一人川辺に佇み向こう岸で光る緑のライトを静かに眺めていたギャツビーを見かけたニック。お互いを探るように会話を進めていく中で、ニックがトム・ブキャナン(広瀬くん)の友人であり彼の妻であるデイジー(夢咲さん)とは又従妹関係にあることを知ったギャツビーは衝撃を受ける。なぜなら、デイジーがギャツビーの想い人で屋敷も川を挟んで彼女の家の前に建てていたからだった。第一次大戦で別れ別れになってしまったデイジーに出会うきっかけをギャツビーは一日千秋の想いで待ち続けていた。
ニックがその仲介になると期待したギャツビーは彼にデイジーと会う機会を作ってもらいついに二人は再会する。しかし彼女はすでにトムと結婚して子供もいる。夫婦仲はギクシャクしていたものの、デイジーはなかなかギャツビーの想いに応えることができない。
と、背景はこんな感じの物語。人間関係がけっこう入り組んでてちょっとまとめてあらすじを書くのが難しい作品です。ギャツビーは戦地へ行く前にデイジーの親から身分違いの恋をとがめられ(デイジーの家は超金持ち)彼女と疎遠になっていました。しかし、戦争から戻ってきてからはデイジーと釣り合う男になるために危ない橋を渡りまくって(勲章を金で買ったり酒の密輸したり)金持ちの地位を手にします。だけど、そこに至るまでの間にデイジーは他の男と結婚…なんとも報われません。
ところが、デイジーの夫であるトムは自動車工場のジョージの妻であるマートルとこともあろうにゲス不●中。デイジーはそれを察知していながらも裕福な暮らしから逃れることに躊躇いがあるからかあまり責め立てたりしていない。ギャツビーと再会した後も恋が進んでいるように見えてどうも最後の方は煮え切らず…。そうこうしている間に悲劇が発生してしまいます。
なんかみんなそれぞれ恋に対してものすごく不器用です。ギャツビーはクスリのやりとりだけはかたくなに拒絶しているものの裏社会との断絶までには至らないし、デイジーはギャツビーの胸に素直に飛び込むほどの度胸がないし、トムは本当はデイジーへの愛情があるんだけどマートルとの関係に終止符が打てない。
そんなモヤモヤしたなかで犠牲になったのが古い自動車会社を経営してたウィルソンだったなと思いました。彼は本当に悲惨でしたよ…。妻のマートルへの愛情をまっすぐ熱くぶつけているのに彼女はそれを煙たがってて…挙句にトムに夢中だったりしたわけですからね。なんとか自分の愛情を分かってもらおうと必死にアピールしている中で感情の糸がだんだん絡まってしまって…そしてあの悲劇ですから…なんともやりきれない。ウィルソンを演じてた畠中さんの魂の熱演が素晴らしかったので、なおさら見ていて心が痛かったです…。
曲は正直あまり記憶に残るようなものがなかったのですが、それでもドラマの世界感にはマッチしていて、ギャツビーの隠れ家的場所のアイスキャッスルでのナンバーはなかなか大人のムードにあふれていて印象深かったです。でも個人的にはラストに歌われた「夜明けの約束」が一番グッときたかも。芳雄くんのソロがとても素晴らしかったです。
実はぶっちゃけ、最初に見たときは1幕がちょっと退屈してしまって「2度目もあるかぁ…」なんて思っていたのですが、2回目に見たときは1幕もなかなか面白かったなと思えたので結果的に良かったです。
ストーリー全体としては●倫が絡んでくるのでちょっとドロっとした雰囲気もあるんですが、される側にもかなり問題があったりしたので思ったよりはイライラは大きくなかったかも。でもなんか見ていてしっくりこないなぁと思うことがちょいちょいあったのは何故だろう。たぶんあまり好みのタイプの作品ではなかったような気がします。
セットに「せり」を多用していたのが目を惹きました。特に井上君は舞台下からせりあがってくることが多かったかも。ただ、梅芸は広い劇場なので「せり」の準備になると舞台の上にかなり大きな穴が開きます。キャストさんが誤って落ちたりしないか見ていてその点だけはかなりヒヤヒヤしてしまった。観劇する日の前日に舞台本番中での痛ましい出来事もあったのでなおさら・・・ね。何事もなく役者も観客も舞台を楽しめることのありがたみを痛感した日でもありました。
主なキャスト別感想
井上芳雄くん(ギャツビー)
舞台で井上君を見るのは久しぶりだったのですが(大河ドラマでは見たけどね)、こういう大人っぽいダンディーな役柄も演じられるようになる年頃になったんだなぁ…とシミジミ感じ入ってしまいました☺。特にアイスキャッスルで歌うソロ「アイス・キャッスルに別れを」の歌い上げっぷりは圧巻でオトナな雰囲気がムンムン漂いまくってました💞。なんとも感慨深かった。メイクは何だかちょっと宝塚風味っぽい気が…ww。男性っぽさよりかはちょっと中性的な雰囲気があったのでそれを狙ってのあのメイクだったのかも。
若き日のギャツビーがデイジーと森の中で会話するときのナンバーで側転する場面があるのですが、1回目見たときは1回転だったのに2回目見たときは2回まわってましたww。それを見て、「あ、芳雄くんノリノリだねw」とほくそ笑んでしまった😁
ただ、芳雄くんにはちょっと役柄的にマッチしてないかもなぁと思わなくもなかったです。すごく頑張っていたけどちょっと背伸びしたようなところもちょいちょい感じられたので…。次の作品に期待かな。
夢咲ねねさん(デイジー)
はじめましての元ジェンヌさんでしたが、いやぁ~~~めっちゃ可愛らしい方でございました😚。どうやったらあの可愛さと美貌を維持できるのかと思ってしまったくらい。もう全体から「高嶺の花」オーラがムンムン漂いまくってました(笑)。あと、冒頭のバレエの練習しているときの動きもとても美しくて惚れ惚れ…。歌はとても上手いっていうタイプではありませんでしたが😅、あの美貌があれば許せてしまうかもw。
ただ役柄的には…うーん、好きなタイプではなかったかなぁ。ダンナがかなり破天荒なふるまいをしていたのでギャツビーといい感じになることに関しては抵抗なかったんですけど、なんていうか、お金持ちのお嬢様ゆえの優柔不断っぽい態度とかがちょっと好きになれなかったかも。最初にギャツビーと出会って恋に落ちるシーンも、デイジーは「恋に恋してる」感がかなり強くて…もしもあのまま彼を追いかけていっても上手くいかなかっただろうなって思ってしまった😓。
そしてあの後半のクライマックス・・・ね。デイジーさん、ありゃないぜ!って感じで(苦笑)。そこは自首するべきだろう、みたいな・・・ね(苦笑)。もう苦笑いの連続って感じのキャラになってました😓。
広瀬友祐くん(トム)
一番初めに広瀬くんを見た「1789」のフェルゼンの時はあまり存在感を感じられませんでしたが、「ロミジュリ」のティボルトを観た時にガラっとイメージが変わって超カッコよかったんですよね。路線的に今回もティボルトと似たような感じの役柄でしたが、彼はこういう荒い男を演じるとすごく存在感を増すなぁと改めて思いました。
演じたトムは奥さんに関心があるのかどうなのかハッキリしない感じで、結局のところはどうだったんだ?という思いが最後まで残ったかも。ほったらかしにしている割には、不倫相手のマートルと付き合ってる間も「デイジー」の名前が出るたびに怒りだしたりしてたしね。本当はもっと愛したいんだけどその方法が分からないのかもって見ていてちょっと思ったりしました。
まぁ、全体的には横柄でヒッドイ男ではありましたが(笑)あまり嫌悪感がなかったのは他の登場人物にもあまり共感するところが少なかったからかもしれません😅。
実際の広瀬くんはとてもシャイで礼儀正しい好青年です。カテコのときいつも手を胸に当てて客席に感謝の気持ちを伝えている姿が非常に好印象でした😊。
蒼乃夕妃さん(マートル)
本当に宝塚出身の女優さんだったのか!?と思うくらい大胆で激しい女性を演じた蒼乃さん。トムに対する執着がかなり激しくて…あの激しさは昨今ネットをにぎわせている某女傑を連想させるものでもあったかも💦。
もう見るたびに、なんでダンナのウィルソンと結婚しちゃったんだよ~!って思わずにはいられない(汗)。それくらいトムに首ったけ状態なのですが・・・ダンナが優しいのをいいことにあれこれ理由をつけて不貞を働いていた姿はなんとも嫌な感じのするキャラでございました。それ故にあの結末見ても・・・天罰としか思えなかったかも😵。それくらいの熱演だったと思います。
AKANE LIVさん(ジョーダン)
この舞台に出てくる登場人物の中では数少ない良識派な女性・・・かと思いながら見ていたんですが、実際はズルしてゴルフで優勝したりする要領のいいキャラだったりしました😓。AKANEさんがとにかくめっちゃ男前でまるで宝塚の男役を見ているかのようだった。女性だけど男性っぽい要素を感じさせた独特のキャラがハマってましたね。
万里生くん演じるニックとのシーンはこの舞台の中では一服の清涼剤的な雰囲気で癒されることも多かったのですが…ラストシーンのあの超ドライさはもう唖然😶。やっぱり共感できないキャラだった…とガックリでした(笑)。
田代万里生くん(ニック)
彼こそがこの舞台の中での一番ナチュラルで平均的なキャラだったかもしれません。上流でもなく下流でもなく、ごく一般的な中流下級の男性ニック。そんな彼だからこそギャツビーと打ち解けることができたんじゃないかなと思いました。なんか、一番見ていてホッとできる存在だったかも😅。
ニックはギャツビーとデイジーの橋渡しをする役回りでしたが、デイジーの友達のジョーダンにも恋してて。でもそれはのめり込むようなものじゃなくて友達以上といった感じのライトな感情だったのかもね。じゃなければあのラストの仕打ちはもっと怒り狂ってもいい出来事でもあったと思うし😓。まぁ、一番薄めのキャラだと感じてしまうのはあまりにも周りが「うーーん」な人物ばかりだったからかもしれません。ナンバーがちょっと少なくて万里生くんの伸びのある歌声を十分堪能できなかったのも少し残念でした。
畠中洋さん(ジョージ・ウィルソン)
どこか浮世離れして好き勝手に生きている登場人物が多い中で、一番まともに見えたのが畠中さんが演じたウィルソンだった気がします✨。彼が暮らしているのは廃棄物処理場と隣り合わせの自動車工場で、あの時代の中では底辺の階級といっていい人物。高級車を乗り回してるギャツビーやトムを横目で見ながら必死に毎日を過ごしていて、支えになっていたのが愛してやまない妻のマートルの存在だけだったと思うんですよね。それ故に、なんとかして愛する妻と別の土地でやり直したいという思いだけが一人走りをしてしまうわけで…。舞台の8割はお金持ちの人たちのドロドロしたドラマが展開していただけに、ウィルソンの人間臭いリアリティのあるドラマが逆に色濃く見えた気がします。
畠中さんはやはりお芝居もすごく繊細で素晴らしい!耐えて耐えて…そしてついにそれが爆発してマートルを監禁するまでに至ってしまった過程が本当に痛々しくてねぇ😫。この舞台の中の一番の犠牲者は彼だったと思いますよ、ほんと…。そしてなんといってもあの澄んだ美しい歌声です!!キャラクター的には底辺に暮らしていていつも汚れた感じの人物でしたが、畠中さんのあの何とも言えない聴き心地の良い歌声がウィルソンの人間的魅力を引き出しているように感じました😊。
後述
今回の舞台は若いキャストさんもたくさん参加されていて、この中から未来の芳雄くんみたいな役者さんになる人も出てくるかも…って思うとすごく楽しみな気持ちになりました。大阪では「アイスキャッスルの夕べ」という芳雄くん自らが企画した若手役者を前面に出したイベントが開催されました。これ、かなり間際に決まったイベントだったので見に行くことが出来なくてすごく残念だったんですよね😣。かなり面白かったらしいのでほんと観てみたかったです。
その代り、2回目観劇の後のトークショーは楽しんできましたよ😁。かなり面白かったので次の記事で紹介したいと思います。
ちなみに、今回の舞台の音源を使ったCD発売が決まったようです。興味のある方は申し込んでみては。