アッキーが演じるエドゥアルトが後々に家族と再会するシーンがある、みたいなことが最初の方の展開にありましたが、まさかあんなに切ない場面だとは思わなかった…。ユダヤを捨てたことの代償の大きさを、あの時改めて痛感しただろうね、彼は。
でも、エドゥアルトと結婚することを夢見ていたドロテイアはその後ちゃんとほかの人と結ばれていたようでそこは少し安堵。
とにかく、ロートシルト一家がその後も元気に生活できますようにと願わずにはいられない前回でした。
※ハプスブルクの宝剣感想レポ
以下、ネタバレありなラジオドラマの感想です。
青春アドベンチャー『ハプスブルクの宝剣』第14回~15回
第14回 プロイセンの脅威
2020年3月26日(木) 21時15分~21時30分 NHK-FMラジオにて放送
原作:藤本ひとみ 脚色:並木陽
出演:中川晃教、野々すみ花、田代万里生、加藤和樹、栗原英雄、豊田茂、渋谷はるか、坂川慶成、ほか
1743年、ハンガリーで戴冠式を終えボヘミア女王になったテレーゼは戦で功績のあった者に勲章を授けながらもエドゥアルトに対する優越感に浸っていましたが、その思惑に乗らず冷笑しながらスルーしていくエディの姿を見て動揺してしまう。
後日、フランツの領地だったロートリンゲンを取り戻す戦いのための壮行会が行われる。その席でテレーゼはすべての戦いが終わった後に帝国伯爵の位を授けることをエドゥアルトに告げますが、その時の彼の反応もあまり乗り気ではなかった。
そのさなかに、フランツがエディの労を労うために呼びよせていたアンドラーシがやって来る。テレーゼは自分との会話よりもアンドラーシを優先して立ち去ったエドゥアルトの覇気のない姿を見て、彼を失ってしまうことへの虚しさを感じていました。自分勝手な女だよなぁ、テレーゼ(苦笑)。振り回されるほうは溜まったものではないでしょう。
フリードリヒが動いたという知らせを聞いたエドゥアルトは急ぎ館へと馬を走らせながらつぶやく。
「自分がユダヤ人以外の何者にもなれないと分かった以上、もはや爵位にも勲章にも興味はない」
家族との辛い再会と別れを経験したことで、自分は結局ユダヤを捨てられない人間なんだって自覚してしまったのかねぇ…。あんなにギラギラして野心に燃えてたのが嘘のように沈んでいるエドゥアルトが心配になってしまう(汗)。
しかし、フランツへの恩義は痛いほど沁みていたエドゥアルトとしては、彼の邪魔をする者は誰であっても退けなければならない。神聖ローマ皇帝の位だけは何としてもフランツの手に渡さなければと決意を新たにします。そうだよ、フランツにはそのくらいしないとホント罰が当たると思う。
そしてもう一つ彼を突き動かしているのが、フリードリヒとの戦いに勝利することです。出会った頃は二人ともあんなに意気投合してたのに…オイゲンがあの時あんなこと言わなければねぇ…。
ゲオルク・カイトからの手紙によると、テレーゼがハンガリーでの戴冠式を終えた後にフリードリヒはフランス国王のルイ15世の寵姫であるシャトール侯爵夫人と接触して軍事同盟を図ったらしい。さらにはバイエルンとの同盟を求める使節も送っていたりロシアと接触したりと…着々とオーストリアとの戦に備えている様子。
色々と抜かりないですな、フリードリヒは。エドゥアルトは引き続きカイトにスパイ活動を進めてもらわなければと気を引き締める。でも私としてはプロイセンに頑張ってほしかったりする(アッキー、ごめん 笑)。
さっそくテレーゼにフリードリヒが和議を破ろうとしている旨を進言したエドゥアルトでしたが、彼女はそのことを信じようとはしない。それでも強行にケーフェンヒラー将軍をボヘミアに向かわせるよう告げたエドゥアルトに対し、テレーゼは「ケーフェンヒラーにはロートリンゲン奪還に向かってもらう」と頑なに譲ろうとしない。ロートリンゲンはフランツ縁の土地だからね。
なお危機感を煽るエディに対し、テレーゼはバチャーニの軍をケーフェンヒラーから引き離してボヘミアへ向かわせることを提案。それは危険だという彼の忠告も聞かず結局それを押し通してしまった。
数日後、エドゥアルトのもとにケーフェンヒラーから「マリア・テレジアからの申し出を拒否した」と書かれた手紙が届く。バチャーニの兵3000だけをボヘミアに向かわせても結果は望めないと彼も理解していたのです。
そのうえで、「今後はフリードリヒの動きを念頭に置きながら作戦を展開していくつもりだ」というケーフェンヒラー。エディにもそのつもりで準備をしておくようにと添えられていた。さすが頼れるデキる将軍だ!栗さんのちょっと色っぽい声になんか安心感を覚えます。
「待つこともまた、戦うことなのだ。いつか君と一緒に戦場で駆ける日を楽しみにしている」
エドゥアルトはオイゲンに続いてケーフェンヒラーからも厚い信頼を寄せられているようです。
さらに追伸には、現在の神聖ローマ皇帝カールが危篤だと書かれてあった。フランツがその後に就く日は早まるかもしれないとエドゥアルトの気持ちも高まる。「それはどうかな」と笑うフランツでしたが、エドゥアルトは「君が神聖ローマ帝国の皇帝になるんだ、僕が必ずならせてみせる!」と闘志を燃やす。
1744年、フリードリヒはオーストリアとの和議を破棄しプラハも陥落させる。テレーゼのお付きたちは今頃になって「ロートリンゲンに拘りすぎたのが仇となった」と悔やんでいますが後の祭り状態(苦笑)。
テレーゼはなおもロートリンゲンに拘りたいようでしたが、フランツは「一度は失った土地だから諦めもつく」とサバサバしていてボヘミアを奪還することが先決だと説く。フランツの意見を聞いてようやくそれに従う決意をしたようです。
事の次第を聞いたエドゥアルトは、テレーゼに「ボヘミアの市民がプロイセン軍に食料を与えないことを徹底するよう進言してほしい」とフランツに頼む。
エドゥアルトは自分がユダヤ人であるがゆえに意見を聞いてもらえないことに関し、それはテレーゼにとって不幸な出来事だと考えるようになる。ハプスブルク家のユダヤ人に対する徹底した嫌悪感みたいな流れが彼女にも影響してしまってるわけですからね…。そこに巻き込まれていると考えれば、テレーゼも気の毒な人なのかもしれない。
それにしても、あんなにもひどい仕打ちを受けてきたエドゥアルトが彼女への憎しみから哀れみへと心情が変わっていくのは意外だった。
ケーフェンヒラーはテレーゼからの命令が届く前にプラハへ出立。すでに先を読んでの行動、さすがです!プロイセン軍には飢えと疫病が蔓延してしまっているようで、やむなくプラハから撤退することになってしまっていた。
そのころフリードリヒは側近・カイザーリングから負け戦の責任を将校に押し付けて辞めさせていることを咎められていましたが、聞く耳を持とうとしない様子。シュレージエンを返還して和議を求めるべきだという忠告にも「賽は投げられている。すべてを冥府に連れ込むまで戦い抜く覚悟だ」と超強気の姿勢を貫こうとしている。まさに闘将!
それを聞いて「ならば冥府まで供をしようとする者たちの忠誠を疑うべきではない」と再度説得するカイザーリングの言葉に、ようやく「将軍の指揮権を認める」ことを了承しました。
プラハを占領したものの素早いオーストリアの動きによって窮地に追い込まれたフリードリヒたちは、ついにプロイセン軍の中にスパイが紛れ込んでいることを察知する。それをあぶり出しつつ、軍を再編成しボヘミアへ撃って出る決意をしたフリードリヒ。
「決着をつけようじゃないか!エドゥアルト」
フリードリヒはエディとの戦いに執念を燃やしていました。こうなると、がんばれフリードリヒ!って心境にやっぱりなっちゃうなw。
第15回 決戦
2020年3月27日(金) 21時15分~21時30分 NHK-FMラジオにて放送
原作:藤本ひとみ 脚色:並木陽
出演:中川晃教、野々すみ花、田代万里生、加藤和樹、大山真志、栗原英雄、西原誠吾、渋谷はるか、ほか
今宵も実に豪華な声の出演陣!まるで舞台を観ているかのような感覚になりました。
1475年、カール6世が崩御したことでオーストリアは様々な根回しを行い、次の神聖ローマ皇帝にはフランツに票を入れるという確約を得る。そのことに安堵したエドゥアルトは気分を高揚させながら「君は皇帝の座に就き、僕はフリードリヒとの戦いへ向かう」と決意を語ります。
ケーフェンヒラーからシュレージエン奪還作戦に呼ばれたエドゥアルトは、出発前にアンドラーシに結婚を申し込む。これにはちょっとビックリ!!いつの間にエディとアンドラーシってそんなに親密な仲になっていたんだ(汗)。てっきりバチャーニとアンドラーシが元鞘になると思っていたので、まさかのエディに驚きました(笑)。
それに対してアンドラーシは「結婚にもあなたのいないウィーンにも興味はない」としてハンガリーへ戻ると告げる。結局結ばれることなく別れる結果となってしまいました…。これはこれで切ない。
さらに、ゲオルク・カイトから最後の報告が届く。それによるとプロイセン軍はシュレージエンに撤退して再起を図っているという。思いのほかプロイセンが苦戦していることを知ったエドゥアルトはカイトのスパイ活動に感謝し、雇用関係を解消し彼を自由にすることにする。
でも、カイトのスパイ活動はすでにフリードリヒたちにバレちゃってるんじゃないかとちょっと不安(汗)。
エドゥアルト出征の前日、テレーゼは神に祈りをささげていた。愛と憎しみとのはざまで苦悩してきた彼女は「なぜこのような苦しみを与えたのですか」と神に問うものの答えは見つからない。そして、最後にエドゥアルトの無事をひたすら祈り続ける…。ユダヤ人を嫌悪しつつも、どうしても彼への愛情を捨て去ることができないテレーゼもまた気の毒な人かもしれない。
出征の直前、エドゥアルトはフランツから「フランスとプロイセンの仲が巧くいっていないらしい」という情報を得る。それを聞いていっそのことフランスと同盟を結ぶのが得策かもしれないと思いついたエディ。フランツはその案にはすぐには賛成しかねる姿勢でしたが、「王の寵姫に彼女が気に入りそうな男を送り込みご機嫌伺いするのはどうだ?」と提案されると「なるほど」と考えを改める。
心当たりとしてボヘミア貴族のルードルフ・ホテフを送り込むことに決めたようですが、よくもまぁ、次から次へと妙案が浮かぶものだw。頭の回転が速いのがうらやましい。
別れ際、エドゥアルトはフランツに「君と出会って13年、色々と世話になった」と感謝の言葉を送る。それに対して「13とは数が悪い、おまけに明日は金曜日だ」と不安を隠せないフランツ。それでも明るく「君の戴冠式には参列する」と告げ出立する。
どんなことがあってもひたすらエドゥアルトを助け、支え、信じてくれたフランツ。感謝してもしきれないほどの恩義があるよね。だから必ずまた生きて会わなければだよ、ほんとに。
しばらくしてエドゥアルトと合流したケーフェンヒラーは「ようやく一緒に戦える日が来た!君の活躍を期待しているぞ!」と彼を歓迎します。バチャーニとも久しぶりに再会してエディの気持ちもさらに昂る。
その後、プロイセンと対峙していたケーフェンヒラーは報告を受け、オーストリア軍が有利だと判断し決戦の日時を決定する。しかしそれに対してエドゥアルトは「巧くいきすぎてる気がして…」と浮かない顔で不安を口にします。それに対してケーフェンヒラーは「もしも自分がフリードリヒなら決死隊を組んで戦う」と語り、いざという時の対策も考えていると自信をのぞかせていた。
作戦を聞いたエドゥアルトは漸く安心したようで、「閣下が先陣を務めるときにはぜひ一緒に参戦させてください!」と目を輝かせました。
決戦前の夜、エドゥアルトはもはや自分には帰る故郷も失うものもないことを改めて自覚する。フリードリヒとの決着だけが今の彼にとっての生きがい…。それゆえに本心では彼との戦いで死にたいとすら思っていたエディ。それもなんだか悲しいな…。
ところが夜中の1時半頃、「様子が変だ」とバチャーニが慌ててエドゥアルトを起こしにやって来る。二人が銃声のしたほうへ走っていくと、ひそかに侵攻してきたプロイセン軍の隊列がすぐ近くに迫っていた。この時初めてプロイセン軍の思惑を悟る。つまり彼らはまんまと罠にかかってしまったというわけ。エドゥアルトが感じた「巧くいきすぎる」という予感は当たってしまっていたようです。
プロイセン軍の奇襲が迫っていると報告を受けたケーフェンヒラーは「決死隊を組織し奇襲を受ける前に形勢逆転を図るしかない」と作戦を告げる。エドゥアルトとバチャーニは「決死隊」に入ることを志願し「一緒に地獄を見に行こう!!」と死を覚悟する。エディはフリードリヒを道連れにしようと決戦に向け気持ちを高ぶらせていました。彼が望んだとおりの展開…ってことかな、これは。
しかし、ケーフェンヒラー隊の動きを察知したプロイセン軍は奇襲を中止して丘の上に陣を張る。
改めてプロイセン軍と対峙したのち、ケーフェンヒラーは前進することを指示。一度は死を意識していたエドゥアルトでしたが、バチャーニやケーフェンヒラーから「生きて帰ろう」と告げられその気になったようです。「フランツの戴冠式を観に行く」という目的が彼にはまだ残ってるからね。
ところが、バチャーニは戦いのなかで命を落としてしまった…。
えーーー!!!バチャーニーーーーー(涙)!!!!
てっきり生きながらえて『エリザベート』の世界に老齢となって登場する人物になるのかと思ってたよ…。別人だったのか~。バチャーニの戦死はものすごくショック(涙)。エドゥアルトは目の前でバチャーニの命が失われるのを目撃してしまい、激しい衝撃を受ける。
そしてついに、エドゥアルトの目に返り血を浴びながら先頭に立って指揮をするフリードリヒ2世の姿がはっきりと映し出された。フリードリヒもエドゥアルトの姿を確認、その場の指揮を部下に任せ彼をめがけて馬を走らせる。
11年の時を経て、二人の壮絶な戦いが始まろうとしていた…。というところで次回へ続く。
あっきー@エドゥアルト、和樹くん@フリードリヒ、どちらも応援したいけど・・・やっぱりフリードリヒ贔屓に聴いちゃうなぁw。栗原@ケーフェンヒラーの頼もしさも最高にかっこいい!