舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』2023.01.19 マチネ

2幕始まる時の舞台の上は1幕とは違った不穏な空気満載になってます(それに合わせて休憩中のグッズ表示も変えてるのが面白いw)。

2度目の過去でのセドリック救出作戦は、1度目よりもさらに悪い結果を招いてしまう。ガラリと雰囲気が変わってしまった世界で、元の世界に戻すためのスコーピウスの孤独な戦いが始まるというのがまず一つの大きな見どころです。
ここでは、1幕のマクゴナガル校長役とは全く違う冷酷キャラ・アンブリッジ先生を演じる高橋ひとみさんのお芝居が非常に面白い。1幕ラストでスコーピウスから「おばさん」呼ばわりされた時の反応はちょっとコミカルで可愛らしさもチラッと見える感じでしたがw、2幕で学校を支配する存在として登場してからはもう、怖いのなんの。柔らかいセリフ回しから入りながらも目が全く笑ってなくてスコーピウスを威嚇しまくってるんですよね。あの目で圧を掛けられたら…そりゃ従うしかないよなって納得でした。

それでも諦めるわけにはいかないスコーピウスはスネイプ先生を見つけ出し事情を説明。篠原スネイプは福井さんよりも雰囲気が少し柔らかい印象だったかな。最初は人を寄せ付けないオーラを出しているんだけど全く近づけないような圧みたいなのは感じられなくて、スコーピウスが入り込める余地を少し残してるようにも見えました。

スコーピウスがスネイプと共に極悪の世の中に抵抗し続けてるハーマイオニーとロンに出会うシーンは二人の息の合ったやりとりがとても面白い。中別府さんのハーマイオニーは男勝りで気性の激しさも見せるんだけど、その端々からは女性らしいフワッとした一面が垣間見えるんですよね。そこがなんとも可愛らしく、憎まれ口をたたきながらも彼女への想いを秘めているロンの説得力が増したように感じました。エハラさんのロンは興奮して口数が多くなるキャラがめっちゃハマってて。スコーピウスから未来のことを聞かされた時の反応はめっちゃ可愛かったw。

3人の協力を得て元の世界を取り戻そうとするスコーピウスの戦いの場面は、短い間ではありますが色んな”愛”が詰まっています。ハーマイオニーとロンのコンビは全編通してはコミカル色が強いのですが、この時はめちゃめちゃ泣けるドラマが展開されるんです。二人の”本物の愛”には見ているこちらも思わず胸熱くなってしまう。
そしてスネイプ先生の”愛”の物語もグッとくるんですよね。彼とハリーとの関係のドラマにもつながっていてとても感動的です。それから危機に瀕したスコーピウスにある助言をするシーンも良いんだよねぇ。スコーピウス、なんて純粋な子なの…と私はいつも目頭が熱くなってしまう。

様々な経験を経て元の世界に戻ったスコーピウスが感激のあまり興奮しまくってる場面はめちゃめちゃ可愛くて面白いです。彼以外の皆からすれば「なんでそんなにテンションMAXになってんの?」みたいな不思議な感覚なわけでww。でもドラコと顔を合わせた瞬間に我に返っちゃうスコーピウス。「パパ!??」とビビっちゃうわけですが、そんな息子に松田ドラコが「おぅ…」とちょっと戸惑いながら返事をしてたのが個人的にめっちゃ萌えました。

事情を聞いたマクゴナガル校長が二人を一喝する場面。高橋さんによる、厳しい中にも母性が感じられるのがとても素敵です。アンブリッジは恐ろしい極悪魔女的雰囲気でしたが、それとは全く違う愛のこもった厳しさで校長先生を演じられているのがすごく伝わってくる。彼らのことを思うからこその厳しい言葉の一つ一つがすごく胸に響いてきました。

この顛末を他の生徒が各々伝言シートみたいなものを回しながら知っていくことになるのですが、ここのスピード感が実に見事!!非常に正確で流れるような動きはまさに手品のよう。魔法って感じではないんだけど、アンサンブルさんたちの素晴らしい動きには本当に拍手喝采したい想いです。

ハリーは改めてアルバスと話す機会を得ますが、なかなかうまく意思の疎通ができない。「冒険をしたくてしたんじゃなくて、せざるを得なかったんだ」という必死のハリーの訴えがなんだか切なかったなぁ…。だからこそアルバスのことを本気で心配していたんだっていう気持ちを何とか理解してほしくてまくし立てるように言葉をぶつけてる向井ハリー。最初の頃はクールで戸惑いがちだったのが、2幕に入ってからの熱を帯びた言葉一つ一つがすごくジーンときました。
それでも、語り合っているうちに徐々にお互いの気持ちが寄り添っていく瞬間があって。「パパにも怖いものがあったの?」と驚くアルバスの言葉はすごく良かったです。知らなかった一面に触れることで変化の兆しが見える展開がとてもいい。

スコーピウスと公に会っても良いということになったアルバスは、屋根の上で彼とこれまでのことを語り合う。そこにデルフィーが現れて予想外の展開を迎えていきます。宝意さんのデルフィーは1幕では優しそうなお姉さん的なソフトな雰囲気なので、2幕の変貌っぷりはけっこう衝撃的です。あれは二人ともその本性に気が付かないの分かる。
宝意さんはこの数日前まで体調不良でお休みされていたそうですが、そうとは微塵も感じさせないほどの溌溂とした鋭い迫力のお芝居で素晴らしかったです。元気になって本当に良かった。

豹変したデルフィーに予想外の場所に連れられてしまったアルバスとスコーピウス。彼らがその場所でセドリックに出会うシーンは涙無くしては見られません(泣)。束の間の出会いだったけれど、そのなかでアルバスがセドリックに告げた言葉がホント、泣けて泣けて仕方ないんですよ…。ここまで父親との関係に苦しんできた彼が告げるからこそ…っていうのが、本当に堪らない(涙)。それに、1幕で篠原エイモスがすごく息子のことで嘆いてる気持ち伝わってきてたからなおさら…。
この場面は今回の舞台の中では個人的にすごい肝になる場面じゃないかなって思っています。

取り残された世界から脱出するために駅員に尋ねる場面は笑いどころのひとつw。駅員さんの言葉って、あれ毎回決まってるんですかね。なんか聞いてるだけで下ベラ噛んでしまいそう(笑)。

一方で、ハリーたちはドラコとも手を組んでアルバスとスコーピウスを救出するため情報収集を始めます。

ハリーとドラコがこれまでの̪経緯を越えて協力し合うわけですが、これはハリーポッターシリーズを実際に見たほうがグッとくるのかもしれません。ドラコは息子との関係に悩むハリーに自分自身の気持ちを重ね合わせ共鳴する部分が大きかったんだろうなぁと個人的には思ったかな。

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デルフィーの秘密を知ったハリーたちは愕然としてしまう。どうやったら息子を助けられるのか行き詰まり不安に押しつぶされそうになってしまうハリー。そんな時に額縁からダンブルドア先生の声が聴こえてくるわけですが、この時の二人の会話がまためちゃめちゃ切ない。私はまだハリーポッターシリーズに関して素人の域から抜けられないところですが(汗)、知っている方が見たらさらに泣けるんじゃないかなと思います。
篠原ダンブルドア先生は語り口がとてもソフトで癒し系の響きすらある。それゆえに向井ハリーが思わず自分の本音の部分を夢中で語りたくなってしまった気持ちがすごく伝わってきました。そして真実を知ったハリーは思わず言葉を詰まらせそうになるわけですが…、この場面の時の向井くんの儚く切ない芝居はめちゃめちゃ泣けます(涙)。ハリーのこれまで抱えてきた心の中の孤独があの涙と一緒に吹きだしてきたように感じてしまって、シリーズをまだよく知らない私ですらボロ泣きしてしまった。

「僕も先生を愛している」というハリーの言葉に「知っているよ」と優しく答え消えていくダンブルドア…。その後も止まらない涙を必死に拭って寂しさに耐えてる向井ハリーの背中が儚くて切なくてたまらなかったな…。あれは本当に涙せずには見れません。
すすり泣いているハリーのところへやって来たドラコが「スコーピウスの見てきた未来では私が君の立場だったらしい」と語り掛ける場面。松田ドラコの言葉にはそれまでの敵対的な感じは消えていて、ハリーを気遣う優しさに溢れてた(涙)。彼の中のハリーの存在も確実に変わったんだなと思うと本当に嬉しかったよ。「こういうお喋りは苦手だ」とすぐに打ち切ってしまうところは不器用な彼らしくなおさら愛しく思えてしまう。

一方のアルバスとスコーピウスは今自分たちがいる時代を把握したうえである場所に辿り着いていて、そこで思いもしなかった人物を見かけることになる。もうこのシーンが出てきただけで先の展開が浮かんでしまってボロボロ涙が出て止まらなかった(泣)。加恋ちゃんが演じてるある人物の優しい表情がたまらなく温かくてさらに泣けるんだよねぇ…。
この場所でアルバスたちは家族を呼ぶ方法を思い出し、それが見事に成功。ここで印象的なのがドラコとスコーピウス。宮尾さんのドラコは片手で息子を抱きかかえ持ち上げていたけれど、松田さんは両手でしっかりと抱きしめてた。これがまた感動的瞬間でまたまた涙…。どちらのパターンも大好き。

親子の絆を取り戻したアルバスとスコーピウス。その時代の中で語り合ううちに、色々な謎の真相が明かされていきます。ここから後半はまさに怒涛の展開なのですが、ここはぜひとも劇場で見て体感していただきたいところです。

魔法のシーンももちろんすごいし、ハリーが闘うためにするある行動にもビックリするのですが、個人的にはハリーの家族の物語のクライマックスのドラマがものすごく印象深い。最後に彼が体験する”ある出来事”は最も残酷で哀しいもので…、向井ハリーの渾身の芝居に胸潰されるような気持にさせられ嗚咽しそうになるくらい泣きました(涙)。

2幕ラスト、アルバスとスコーピウスの友情はまた新たな段階を迎え…ちょっと意外な出来事も怒ったりしてて可愛らしいです。そして父親・ハリーとの関係の物語もさらに一歩進んだものへ。父親としてハリーがアルバスに案内した場所というのがもう本当に泣けるんだなぁ、これが(涙)。そして、躊躇いながらも恐る恐る、でも最後はしっかりと息子の肩に触れる向井ハリーがとても印象深かった。完全ではないけど、確実に近づく二人の親子関係が本当に素敵だなと思いました。

前回は向井くんの初日公演でしたが、あれから時を経てさらに繊細で素敵なハリーへと進化していたと思います。特に愛に飢えたハリーのお芝居がグッときたなぁ。セリフの語り口はかなりのスピード感があって、途中ちょっとヒヤリとしそうになることもあったけどつかえることなくこなしていたのも良かった。
次回は向井ハリーの前楽を見る予定です(楽日は席があまり良いのが残っていなかったので前楽にしましたw)。

私は本当に『~呪いの子』の愛情を軸にした物語が大好きで、可能ならば1ヶ月に1回は観たいという気持ちが湧いてきてしまうほどw。なんかホント、クセになる感じ。良い作品に出会えたなぁと改めて思います。

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後述

ついに本編のダイジェストを含めたPR動画がアップされましたが…これ見ただけでなんか思い出して泣けてくる。魔法のすごい演出と役者さんのポテンシャルの高さとしっかりとしたテーマ設定がうまく融合した見事な作品だと思います。幸いまだまだ無期限でロングランされるようなので、ぜひ(少し予習した上で)多くの人に見てもらいたいですね。

この先の舞台ハリポタにも色々動きが出てきました。向井くんが5月末、石丸さんが7月中にハリー役を卒業することが発表されましたが、そのことに併せて新しいハリー役が順次発表されることに。

まず最初に紹介されたのは、藤木直人さん!!!

これは予想できなかったけど、知的な雰囲気がすごいハリーの雰囲気にハマりそう!!アルバスとの親子関係をどう演じるのかもすごく気になるしぜひ見てみたいです。

他のハリー役も順次紹介されていくそうで今後が楽しみ。ただ、チケット代金がかなりお高く遠征費も含めそうそう何度も上京するのが難しいのが悩ましいところ(苦笑)。それでも、この作品は本当に大好きなので・・・なんとか時間を作り観に行きたいと思います。

次回予定は5月の末。できればその前にもう1回入れておきたいところだけど…お財布の都合次第ということで(苦笑)。

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