舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』2023.07.18 マチネ

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を観に東京へ遠征してきました。

観劇日の数週間前には体調不良の方が相次ぎ開演直前に中止が発表されるという衝撃のニュースが駆け巡っていたりして(汗)めちゃめちゃ心配したのですが、何とか無事に再開にこぎつけられたようで本当に良かったです。私のような遠征民にとって当日の中止ほどショックなことはないのでね…。でも、長期間の舞台で心身ともにかなり疲労が増している皆さんが体調を崩してしまった事はとても切なかったです。管理維持するのも難しいと思う。どうかどうかカンパニーの皆さんが健康に舞台に立ち続けてくれることを祈るばかりです。

1stシーズンは5月末で終わりましたが、その後も6月末に日本初演公演からずっと舞台に立ち続けてきたキャストさんの卒業も相次いで発表されていきました。メインではロン役の竪山隼太くんマクゴナガル校長役の榊原郁恵さんがラストを迎えられてしまって。竪山くんはハリポタ観劇の中で一番たくさん見たロンだった。郁恵さんは公演中のとても哀しい出来事を乗り越えてのご出演でしたよね。お二人とも、素晴らしいお芝居で大いに私を魅了してくださいました。本当にありがとうございました。

アンサンブルさんも何人か卒業の日を迎えられていたようで、少し寂しくなりますね。皆さん、本当に長い公演期間お疲れ様でした

7月にも卒業を迎えるメンバーがいるということで…、まだ一度も見たことがなかったキャストさんに会うことなくサヨナラになるパターンもありそうなのが残念。
ホリプロさんが何故か突然1週間前にしか主演級以外の確定キャストを発表しないスタイルにしてしまった為、組合せを選ぶ楽しみがなくなってしまったの本当に無念です(卒業日がいつか分からないことも 涙)。 劇団四季は”作品主義”を掲げているのでこのパターンになるのもある意味仕方ないと諦めの気持ちがあるのですが(でも推しの役者がいる場合はこのシステム本当に恨めしくて仕方ないんですけど)、ホリプロさんはそうじゃないので…。色んな事情があるだろうことは推測できますが、こういう発表の仕方は正直本当にやめてほしかったです。

ロビー奥には原寸大のタイムターナー(舞台で使われてるもののレプリカ)と共に、第48回菊田一夫賞演劇大賞第30回読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞した時のトロフィーが展示してありました。

トロフィーは向かって左が菊田一夫賞、右が読売演劇大賞のものになります。どちらも日本の舞台芸術で授与される賞の最高ランクのものですし、なにより舞台ハリポタのカンパニー一同に与えられたということが作品ファンとしてとても嬉しかったです。本当におめでとうございます。

 

以下、かなりのネタバレに触れるレポになるので未見の方はご注意ください(魔法や後半の展開についてはボカして書いてますw)。

※ハリー・ポッターについて全く何も知らないで見に行くとストーリーが頭に入りづらいかもしれません。『〜呪いの子』の概要だけでも事前に知っておいたほうがこの作品の場合はいいんじゃないかなと思いました。映画「アズカバンの囚人」「炎のゴブレット」を見ておくとさらに理解が進むそうです。ご参考までに。
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2023.07.18マチネ  in TBS赤坂ACTシアター(東京・赤坂)

上演時間は約3時間40分。内訳は、1幕100分(1時間40分)休憩20分2幕100分(1時間40分)となります。

なお、1幕が開演してから60分を過ぎた後2幕が開演してから51分が過ぎた後は演出の都合上休憩、または終演まで客席に案内されないそうですのでご注意ください。開演前、休憩中、終演後の舞台写真の撮影は許可されています(本編が始まったら絶対禁止)。

あらすじと概要については2022年8月観劇時の記事参照

ハリポタ感想一覧

主なキャスト

  • ハリー・ポッター:石丸幹二
  • ハーマイオニー・グレンジャー:中別府葵
  • ロン・ウィーズリー:エハラマサヒロ
  • ドラコ・マルフォイ:松田慎也
  • ジニー・ポッター:馬渕英里何
  • アルバス・ポッター:藤田悠
  • スコーピウス・マルフォイ:門田宗大
  • 嘆きのマートル:佐竹桃華
  • ローズ・グレンジャー・ウィーズリー:橋本菜摘
  • デルフィー:宝意紗友莉
  • 組分け帽子:木場允視
  • エイモス・ディゴリー:篠原正志
  • マクゴナガル校長:高橋ひとみ

私がこの日を舞台ハリポタ観劇日に定めたワケは…ハリー役の石丸幹二さんが卒業されてしまうからです(カテコで”いったん卒業”ということを知ったわけですがw)。次の私のハリポタ観劇予定は秋になるので、メインキャストやアンサンブルさんの何人かはこの日見るのが最後になる方がいらっしゃるような気がする。寂しくなりますが、長期公演お疲れ様と心から伝えたいです。

全体感想とキャスト感想 −1幕−

大好きな石丸さんハリーの最後の雄姿を見届けるべく、今回は奮発して一番上のランクのチケットを購入しました(汗)。だいぶ前に確保したのですが、この日まであっという間だったなぁ。でも、思ったよりも中央よりじゃなくてなかなかエッジの効いたサイド席wだったので、石丸さん楽を目指してチケット購入した方が多かったんだろうなぁと実感いたしました。
平日昼ということもあってか1階後方席や2階席には学生の団体さんがたくさん来ていて。石丸さん楽とはいうものの、公演全体としては通過点に過ぎないからなぁ。そんな事情も相まってチケットの確保も難しかったのかもしれない。

舞台ハリポタ6回目観劇となった今回、これまでピンとこなかった人物名やその背景などもちょいちょい調べて行ったこともありかなり理解度が進んだような気がします。印象に残った場面についていくつか。

9と4分の3番線ホームでのハリーとアルバスの親子関係はかなり良好石丸ハリー藤田アルバスを見つめる眼差しは”父親”そのもので瞳には愛情が溢れてました。お互い信頼関係も成り立っているように見えたので、このあと二人の関係がどんどんこじれてしまう未来が見えているこちらとしてはなんだかちょっと胸がチクリとしてしまいますね。
で、このホームでの見送り場面のときに舞台奥にちょっと視線を向けてみると…、ある重要人物が意味ありげな視線を送りながら通り過ぎていた。実はこんな最初のほうで二人はこの人からターゲットにされていたのかと、6回目にして初めて気が付きちょっと鳥肌来てしまいました(遅っ 汗)。

ホグワーツへ向かう列車に乗ったアルバスがスコーピウスと出会う場面。アルバスよりも先に席についていたスコーピウスでしたが、他の同世代は露骨に避けていくので二人が出会う前から彼の孤独が浮き彫りになっているように見えてめちゃめちゃ切なかったです。門田スコピ、寂しそうな笑顔で俯いて諦めたように座ってるからなおさら胸が痛くなってしまう。
だから、そこになんの先入観も持たないアルバスが自然に話しかけてくれる場面は見ていてとても嬉しくなりますね。ローズからスコーピウスに関する悪い噂を聞いても全く動じずに一緒にいようとしてくれたアルバス。その嬉しさがあのハイテンションに繋がってるんだと思うと微笑ましくもあり「よかったねぇ」という気持ちになります。

アルバスは一番行きたくなかったスリザリン寮に組分けされてしまうけれど、スコーピウスと一緒だということがすごい救いになっていたと思います。だけど、無邪気に「僕と一緒だね!」と喜びを爆発させてるスコピに対し、アルバスは納得行かない気持ちも捨てきれない様子で…このあたりでちょっと二人の微妙な関係性が垣間見えた気もする。
モヤッた気持ちのまま学校生活を送るアルバスは魔法の授業になかなかついていけず、さらには「偉大なポッター家の息子」というプレッシャーまでのしかかったせいでどんどん卑屈に。藤田アルバス、以前よりも苛立ちの感情を激しく表現するようになっているように感じたので、より彼の抱えている苦悩がリアルに見える気がする。

アルバスが学校生活で孤立し卑屈になっていくと同時にハリーとの父子関係にもヒビが入り始める。一方、ドラコ・マルフォイは悪い噂を流され苦しむ息子・スコーピウスとどう接していいか悩み思わず魔法省のハリーに「噂を打ち消すよう手配してほしい」と頼み込んでしまう。スコピ、学校ではおそらくどんなにいじめられても反論せずにじっと耐えてるんだろうね…。アルバスの前でもきっと明るく振る舞ってる…。でも家に帰ると辛さが込み上げてきてお父さんともうまくコミュニケーションできていないんじゃないかな。
そんな彼を目の当たりにしていた松田ドラコ「息子が苦しんでいるんだ!!」と思わずハリーに感情をぶつけてしまう場面はものすごく切なかったです(涙)。不器用だけど、心の底から息子を救ってやりたいと思う切なる気持ちがこれでもかというほど伝わってきて泣けました…。

ハリーがハーマイオニーと協力してタイムターナーを押収してくる場面。ここで「セオドール・ノットは拘束した」とハリーが告げてるのですが、前回までこの人が何者だかよくわからないまま見てました(苦笑)。ハリーやドラコの同級生で、ドラコの父親(ルシウス)からタイムターナーを2個作るよう依頼されてたという事情のある人物だったことをようやく理解しました(汗)。ハリーとの関係は良くなかったらしいと。それで「拘束した」と深刻な表情で言ってたんだなとようやく話が繋がってきたww。でも、この事情は特に知らなくても話にはついていけるような気はします。
ハーマイオニーと接してるときの石丸ハリーは彼女に全幅の信頼をおいているからか非常にフランクな気持ちで接しているのが伝わります。緊張感のある会話ではあるものの、時折ちょっと子供めいた表情が垣間見えるのがなんだか可愛かった。強い絆で結ばれているからこその雰囲気なんだろうなとちょっとほっこりしながら見てました。

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ハリーがエイモス・ディゴリーと彼の亡き息子であるセドリックについて緊迫した遣り取りをする場面。篠原エイモスは福井さんに比べるとちょっと若々しいのですが、台詞回しがとてもハキハキしていて聞き取りやすいのが良いです。偏屈で付き合いづらい爺さん、というよりも愛する息子を失って心に痛みを抱えている切なさみたいなものがひしひしと伝わってきたな。
ハリーに「タイムターナーを持っているんだったらそれを使ってセドリックを蘇らせてほしい」と懇願するエイモス。でもそれは歴史を変えてしまうことに繋がるのでハリーは心を鬼にして「それはできない」と事務的に答えてしまう。でも、本心ではセドリックにはとても申し訳ないことをしてしまったと後悔しているかのような表情をみせる石丸ハリー。「もう覚えていないんだろうが」と嫌味を言われた直後に必死に”あること”を語ろうとするのですが結局遮られてしまうのが切ないです…。この”あること”というのがラストシーンに繋がってくるんですよね。このあたりの話の繋げ方が絶妙だなと思います。

ここでエイモスの姪っ子というデルフィーが登場するのですが、ハリーとエイモスの会話を盗み聞きしていたアルバスに対してものすごくフレンドリーに接してくる。宝意さんのデルフィーは語り口もめちゃめちゃイケメン風でとにかくカッコイイ!アルバスが思わず引き込まれるのも納得です。
このあとデルフィーはアルバスとハリーにサバサバとした表情で握手を求めエイモスと去っていくのですが、その直後、ハリーとアルバスは彼女と握った手に不思議な違和感をそれぞれ覚えてるんですよね。ここは今までずっと見逃してきてしまったので「このとき二人は気づかないうちに異変を察知してたのか!」と目から鱗が落ちた気分でした(遅っ 汗)。ちょいちょい後半への伏線が貼られているんですねぇ。そういう緻密なところもこの作品の魅力。

それからしばらくして、ハリーとアルバス父子に決定的な亀裂が入る出来事が起こってしまう。
新学期のお祝いにとハリーがアルバスに手渡したものは、かつてハリーの両親が息子をくるんでいた形見の毛布だった。でも、ハリーはそれを渡す意味を息子にうまく伝えることができなかったため、アルバスは「期待していたものとは違う贈り物」をされたことに不満を覚えてしまいますます卑屈になっていくという悪循環へ(汗)。
この場面、なんでアルバスはハリーの親心に気づかないんだろうと思ってしまっていたのですが、複雑なお年頃の彼からすれば、精神的な意味合いのあるものよりも学校でうまく使えるような実践的な贈り物のほうを父に望んでしまっていたのかもしれないなと。現に弟のジェームズには「透明マント」与えてるらしいですからね。

二人はまともに会話をかわさないままどんどん険悪なムードになっていき、最終的にハリーは売り言葉に買い言葉でアルバスに対して一番口に出してはいけない言葉をムキになってぶつけてしまった。このときの石丸ハリー、「なぜ分かってくれないんだ!」という抑えきれないいらだちがすごくていつ暴発してもおかしくない状態になっててすごく危なっかしく見えたんですよね。で、ついにそれが表に出てしまって…気づいたときには失望したように冷めた目をした息子が自分を睨みつけてる状況で…。まさに時すでに遅し。「本気じゃなかったんだ」と必死に弁解しようとしてももう聞く耳を持ってもらえるはずもなく、二人の心は更に離れてしまった。

ハリーも愛に飢えた子供だっががゆえに、難しい性格のアルバスとどのように向かい合えばいいか分からず混乱してて…なんかもう、ふたりとも気持ちはわかるだけにもどかしくて切なくて、この場面は見ていてとても辛いです(涙)。愛情を素直に伝えるって本当に難しいんだよね…。家族ならなおさら。そのハリーの苦しみを妻のジニーだけが分かってくれていたのが救い。馬渕ジニーはとてもサバサバした男前なかっこよさがあるのですが、傷ついたハリーを癒やす言葉もちゃんと知っていて本当に頼もしい女性だなと思います。

この事件がきっかけでアルバスはスコーピウスと一緒に「セドリックを助けてエイモスの元へ取り戻す」という無謀な計画を実行させるべく行動を移す。スコピのお母さんが亡くなったと聞いたときは心から彼に同情し永遠の友情を誓っていたアルバスだったと思うのですが、ハリーと亀裂が入ってしまってからの彼はベクトルが友情よりも「父にできないことを自分が成し遂げる」といった自分本位のものへと変わってしまったように思います。グイグイと自分の計画へと引き込もうと躍起になる藤田アルバスと、急でしかも危険な親友の提案にどう応えればいいか分からずオタオタしている間にいつの間にか一緒に冒険する羽目になってしまう門田スコピ。
この時点で門田スコーピウスはアルバスが普通じゃないなと気づいていながらも、「ワクワクするような冒険をしたかった」という欲望があったため新しい世界へ飛び出せるといった喜びも感じているように見えたんですよね。ギャーギャー騒ぎながらも結局楽しそうだし、そんな姿見てるとちょっと微笑ましく思ってしまう。

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エイモスの元を訪れたアルバスとスコーピウスはセドリックを取り戻してみせると宣言。はじめはその言葉を信じようとはしなかったエイモスでしたが、デルフィーが「自分から協力すると言ってくれたのはこの二人だけ」という言葉を聞いた途端にころりと態度が豹変して「セドリックを取り戻してきてくれ」と改めて依頼する。なんで急にその気になったのだろうと思っていながら見てたのですが、これ、後々察するんですけど”魔法”のせいだったのかなと。色々と前準備に抜かりなかったんだよね、あの人は(汗)。
意味がよく理解できないままいつの間にかアルバスと同じ使命を背負う羽目になっちゃったスコーピウス。あるバスの言葉一つ一つが初耳すぎて「そうなのぉ!??」と目を丸くしてビビりまくってる門田スコピがひたすら可愛らしかったw(完全に巻き込まれちゃったけどね)。

で、まず3人で魔法省が保管しているタイムターナーを手に入れようってことになる場面。ここである”魔法”を使うことになるのですが、今回の作品の中で一番コミカルで気を抜いて楽しめるのがここかなと思いますね。あれは役者さんの息がぴったりと合わないとうまく見せられないかなり難易度の高い”魔法”。それをコミカルな芝居と一緒にやってるわけですから、皆さん本当にすごい。

 ここではスコーピウスが中にはいった状態の石丸ハリーのテンションの高さ(ぴょんぴょんはねてるのめっちゃ可愛くて萌えたっw)と、むっつりしながらも必死に引き止めるためハーマイオニーへの愛を並べ立てるアルバスが中に入ったエハラロンがめっちゃ面白かったww。特に変身後のロンの思いついたことを言っちゃえ的な誤魔化しっぷりがどことなくあるバストも重なって見えるのが面白い。エハラさん、ナイスでした!

アルバスとスコーピウスがホグワーツに行っておらず行方不明になっていることを知ったハリーとドラコは大きく動揺。ハリーが息子に対し言ってはいけない言葉を発してしまったことを知ったドラコは、それが原因でスコピも一緒にいなくなったんだと悟り激しい憤りを見せる。「息子が行方不明なんだ!!!」と叫んだ松田ドラコ、言葉は強いけど内心は不安で仕方がないと言った気持ちがダダ漏れてるのがものすごく切なかったです(涙)。
上手くコミュニケーションできていなくても、愛する人が残してくれたたった一人の忘れ形見であるスコーピウスのことを心から愛しているんだなというのがひしひしと伝わってきてぐっと来ました…。それはハリーもジニーも同じ気持ちだと思うんだけど、松田ドラコはものすごくストレートに息子への愛を全面に出しているのが泣けるんだよね。

必死に息子たちの行方を探す中でハリーはケンタウロスのベインと出会い、「お前の息子の周りに黒い雲を見た。見つけたあと、お前は永遠に息子を失うかもしれない」という不吉すぎる予言を受ける。あんな恐ろしい顔でこんな予言されたら誰でも不安になるよねぇ(苦笑)。石丸ハリーの追い詰められたような不安顔がめちゃめちゃ切なかったよ…。必死なんだよね、なんとか関係を戻したい一心で…。

そんな親の気持ちを知る由もないアルバスはスコーピウスと共に三大魔法学校対抗試合が行われた時代にタイムスリップ。応援合戦のときに招待を怪しまれ必死に別人アピールしてるときの藤田アルバスと門田スコピがめっちゃ面白くて好きw。
最初の課題でセドリックを失敗させれば歴史が変わると信じ短い時間でそれを成功させた二人ですが、結果的に大きく未来を変えてしまう事となってしまった。ハリーはますます頑なな性格となりアルバスとスコーピウスを無理やり引き裂くし、ハーマイオニーとロンの関係も全く違うものになっている。

ハリーは歴史が変わってもベインのお告げだけは信じているようで、そのせいでかなり過剰な反応を見せてしまうのがコワイ。焦りから額縁に現れたダンブルドア校長にどう息子と接すればいいのかと混乱し詰め寄ってしまうハリー。そんな彼にダンブルドアは「ありのままの息子を見るように」と忠告しますが聞く耳を持ってもらえない。それを悟ると「私はただの絵の具と記憶に過ぎない」という言葉を残し去ってしまった。
頼れる存在にも見放されたと思い込んでしまったハリーはマクゴナガル校長先生を脅迫して息子の監視を依頼(「先生には子供がいないから私の気持ちが分からない」っていう脅し方は酷いよなぁ…)。あの柔らかい雰囲気のある石丸さんと同一人物とは思えないような冷酷さ。息子との向き合い方が八方塞がりになった焦りから冷酷人間に変わってしまった芝居はとても印象深かったです。

ジニーはそれでもハリーのアルバスに対する心の動揺と正面から向き合い「あなたの心の声がそんな事を言ったなんて信じられない」と訴える。そこへドラコが訪れスコーピウスから親友のアルバスを引き離した理由について問い詰めてくる。それに対し、自分の息子がアルバスに黒い闇をもたらす存在だと理解しているというハリーの言葉を聞いたドラコは逆上。しかもスコーピウスが本当にドラコの子供かと疑われたら、そりゃもう許せないって思う気持わかるよ。ドラコにとって、スコピは大切な大切な愛する一人息子だもの…。あんな言い方あんまりだよね。
ということで、このあとの二人の魔法対決は…私、石丸さんの大ファンだけど…、物語上は完全に松田ドラコの味方に立って見てしまいます。親として息子をわかろうとしてるのはこの時点でドラコだと思うから。

この二人の”魔法の喧嘩”を止めに入るのが馬渕ジニーなのですが、これがまた超男前でカッコいい!!二人がちんまり魔法の杖を机の上においてしまうのもわかる(笑)。

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気の毒なのはアルバスに従っただけなのに、ハリーから敵視され近づくことすら許されなくなってしまったスコーピウス。アルバスとすれ違うたびにどんどん孤独感を増して寂しそうな表情になる門田スコピが可愛そうで仕方なかった(涙)。
それでもなんとかコッソリ図書館でアルバスと接触したスコーピウスは自分たちの行動で歴史が大きく変わったことの弊害が出てしまったことを説明する。それを聞いて焦ったアルバスは元に戻すべく再びタイムターナーで過去に戻ろうと提案しますが、スコーピウスは体を張ってそれを止めようとする。二人の意見は真っ向から割れ、自分の思い通りに動こうとしないスコピに苛立ったアルバスは彼を大きく傷つける言葉をぶつけてしまう。このシーンは本当に胸が痛むんだけど、あの親があってこの息子だなとも思っちゃうんだよね(苦笑)。

アルバスから思いもよらぬ言葉で傷つけられたスコーピウスが「アルバス、可哀想に。君は自分のことしか見えていないんだ」と告げたあと自分が抱えてきた暗く辛い気持ちを一気に吐き出す場面は涙なしには見られません(泣)。スコピはアルバスが親のプレッシャーやハリーとの関係をうまく築くことができず苦しみ躍起になってることを分かっていた。
そんな彼の傷ついた心に翻弄されながらも寄り添い続けてきたスコーピウス。でも、アルバスは自分の苦しみばかりに目を向けて「親友」と言ってくれた自分のことはまともに見てくれていないことも分かってて…。そのことへの寂しさやもどかしさをずっと隠しながらここまで来たけど、あんな言葉を投げられたら思わず本音をぶちまけたくもなるよね(涙)。ずっと待ってたんじゃないのかな、アルバスがスコーピウスのことをほんとうの意味で見てくれることを…。泣きながら”本当の自分の気持ち”を明かした門田スコピの繊細で哀しい姿には心を抉られるような切なさを感じずにいられませんでした(泣)。

スコーピウスの涙を見て、アルバスはようやく自分本位の考えを押し付けたことで彼を傷つけてしまったことを悟る。あの瞬間、どことなく噛み合わなかった二人の気持ちがようやく重なり合えたような気がしてホッとしました。藤田アルバスが酷い噂で傷ついているスコーピウスの心に触れ、「君は優しいじゃないか。君は暗闇を照らす光だ」と断言する。その言葉に一変の曇もなかった。その後またちょっと自分語り気味になるアルバスをちょっと苦笑いしながら諌めたスコピはちょっと面白いw。でもそのあと、「友達だよな」と真っ直ぐな眼差しを向けてくれる藤田アルバスの胸に「永久に」と涙ぐみながら飛び込んでいく門田スコピの場面は本当に胸熱で思わず涙がこぼれます。良かったね、ほんとうの意味での親友になれて!

その後二人は、タイムターナーを使ってセドリックを救いつつも元の世界に戻す方法を考えそれを実行しようとする。その手助けをしてくれる佐竹さんの嘆きのマートル、動きもダイナミックだしおちゃめな女の子っぽさも垣間見えてとても可愛らしかった。
アルバスとスコーピウスが女子トイレから湖へと移動し再び対抗戦の時代へ遡った直後、ハリーやハーマイオニー、ロン、ドラコたちが駆け込んでくる。このときマートルがかなり大胆な格好をしているので、松田ドラコがめっちゃ動揺しながら必死に見ないように顔を背けてるのが可愛くてツボでした(笑)。

第二の課題の細工をアルバスとスコーピウスがやり遂げる場面は演出がとても面白いです。私はあれを見るたびいつもディズニーミュージカル『アイーダ』のとある場面を思い出してしまうw。
作戦遂行したあと、二人はプールから出てくる予定だったのですが…現れたのはスコーピウスただ一人。第二の課題へのちょっとした小細工が第一の課題の時よりも更に悪い結果をもたらしてしまうことに(汗)。ここで登場してくるアンブリッジ校長役の高橋ひとみさん、マクゴナガル校長とはまるで違うお茶目と見せかけて実はど黒い女キャラの作り方がめっちゃコワイww。

そして1幕最後の演出、これは客席中央から後ろ、2階席が一番「おおお!!」となるんじゃないかなと。あれは何度見てもドキドキしますね。

長くなってしまったので2幕感想他レポは次のページへ(汗)。

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