舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』2023.07.18 マチネ

全体感想とキャスト感想 −2幕−

アルバスとスコーピウスが三大魔法学校対抗試合の2戦目で小細工した結果、恐ろしい独裁世界が成り立つ世界に変わってしまった。もとに戻すどころか更にひどくなってしまう皮肉(苦笑)。

この世界に親友のアルバスも、ハリーポッターも存在せずスコーピウスただ一人だけが残されてしまうというのが可愛そうで仕方ない。魔法大臣にはドラコが就任してたらしいんだけど、その姿はこの暗黒世界には登場しないんですよね。スコーピウスは自分を偽り恐怖の独裁世界のなかでリサーチしていくのですが、ドラコとは面会する時間があったのだろうか。もしもここで親子が対面したらどんな関係になっていたのか、見たいような見たくないような…。

スコーピウスがスネイプ先生と出会う場面。ここでスコーピウスは彼に信じてもらうためにオタク魂を発揮して過去のハリーポッターに関する事件について色々と語っていくのですが、ここに登場する固有名詞や事件の意味などがハリポタをほとんど見てない私にはかなり難易度が高くてよく分からないままだったんですよね(汗汗)。
ということで、6度目にしてようやくそのあたりをネットで予習しましてw。スコーピウスの言っている「そうか!!」の核心部分についての内容をボンヤリではありますが理解することができた次第です。スネイプ先生が指摘した「セドリックが殺したのはネヴィル・ロングボトムだ」という言葉がやっと腑に落ちたのは個人的にちょっと大きかったかもしれません(いまさらですけどww)。つまり、ネヴィルがナギニという蛇を倒したことがきっかけでハリーがヴォルデモートを制圧し倒すことができたということだと。ところがセドリックがロングボトムを殺してしまったためにヴォルデモートが倒されることなく生き残りハリーたちも滅亡させてしまったそうな。スコピの言ってることの理解にようやく追いついてよかった(笑)。

スコーピウスを怪しんでいてばかりのスネイプでしたが、「あなたはリリーを愛していた」という彼の言葉にようやく心を動かされる。このスネイプとハリーの母親であるリリー、そしてその夫になるジョージの複雑な関係についても今回ちょこっと勉強しまして。スネイプが一途にリリーを愛しながらも彼女はその想いに応えずジョージとの恋愛を選んだと。それでも諦めきれずにずっと思い続けたスネイプ。そのバックボーンがあったからこそ、彼はリリーの息子のハリーを守り続けたわけです。
このあたりの経緯が頭に入っていると、この後のスネイプの行動がより深く感動できるような気がしました。
スネイプがスコーピウスに手を貸すことの決め手となったのは、もう一つの世界でハリーが息子にスネイプから名前を拝借してつけたというくだりでしょう。そこまで自分を尊敬してくれたハリーのことを初めて知ったスネイプが秘密の部屋を案内するに至る展開はかなり胸アツです。

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スネイプは密かにハーマイオニーとロンと共に暗黒世界に抵抗し続けていた。この時点でハーマイオニーとロンは結ばれるに至っていないけれど、スコーピウスからもう一つの世界のことを聞いて俄然気持ちが盛り上がりアタフタしてしまう。この時のドタバタっぷりはなんだかとても可愛らしい。男前でさっぱりした性格ながらも恋に不器用な中別府さんのハーマイオニーと、気持ちを伝えたいんだけどきっかけをつかめずオタオタしてたであろうエハラさんのロン、このお二人のカップル、すごくお似合いで素敵だなと思いました。

そして彼らはさっそくスコーピウスに加勢してタイムターナーで三大魔法学校対抗試合が行われている時まで遡り第1戦を元に戻すことに成功。ところが第2戦の湖へ向かう時に大きな危険と直面。それでもハーマイオニーとロンはより良き未来のために自らが犠牲となってスネイプとスコーピウスを先に向かわせる。魂を吸われる寸前に過ごした二人の時間、今回はものすごく切なく見えて思わず涙が溢れてしまいました(泣)。結ばれている世界を夢見ながら…と思うとホント切ない。

湖まであと少しというところで再び大きな危機。スコーピウスは自らを失いそうになりますが、スネイプの一言で正気に戻ることができた。この時彼が助かった要因というのがまた泣けるんだよなぁ・・・。一度は失望したけど、それでも大好きなんだよね、アルバスのこと(涙)
そしてスネイプ先生はスコーピウスにすべてを託し自らを犠牲にする。その直前にハリーに告げてほしいといった言葉がとても感動的でグッときました。

そして再びスコーピウスが湖から上がる時、今度は隣にちゃんと親友の姿がある。ポカンとするアルバスに「何もしなかったのがよかったんだよ!」と歓喜の声を上げて興奮しまくる門田スコピが本当に可愛い。彼は大好きな人たちがいる世界を守ったんだよね。その雄姿は観客だけが知っている。

でも、元の世界に戻っても親子関係は依然として微妙なまま。固い絆で結ばれたのはハーマイオニーとローズの親子だけだったかな。背の高い中別府さんハーマイオニーに小柄な橋本さんローズが必死に抱き着く場面はとても感動的です。
しかし、ハリーとアルバスは未だに素直に対峙できず。ハリーはアルバスが冒険家を気取って過去を変える行動を取ったことがどうしても許せない。自分は魔法使いの英雄と呼ばれてしまっているけれど、好きでそうなったわけではなくそうせざるを得ない事情があったのだと声を荒げながら想いを息子にぶつけてしまう石丸ハリーの姿は痛々しかったです(涙)。でも今回はアルバスもそれに強く反発することはなかったんですよね。自分のやってしまった事をちゃんと反省してる。

改めて落ち着いた気持ちでもう一度向き合おうとするハリーとアルバス。アルバスはスコーピウスは本当に自分にとってかけがえのない親友だと訴え、ハリーは息子がいなくなったことに直面して怖い思いをしたと素直な気持ちを打ち明ける。ぎこちないけど少しずつ近づきつつあると感じられる父と子の関係のドラマがとても繊細でリアルです。

やっとアルバスとスコーピウスは誰にも気兼ねせずに会えるようになり、二人でタイムターナーを破壊することを決意。このためにスコピは大人たちに「タイムターナーは湖のどこかに落とした」って嘘ついたんだよね。アルバスと一緒にいることによって彼も確実に強くなってるんだなと思ってちょっと嬉しくなった。
ところが、いざ壊そうとした時にデルフィーがやってきて事態はあらぬ方向へと動いてしまう。今回見て新しい発見もあってデルフィーの行動がちらちら気になっていたので、ここの展開に至ったのが突然ではなく自然の流れの中で起こった出来事と捉えることができました。ただ、アルバスは彼女に淡い恋心抱いてましたから(スコピが嫉妬したくらいだったものねw)あれは衝撃大きかったと思うよ…。

この直後からデルフィーがめちゃめちゃ活躍するんですが、宝意さんの黒化したお芝居がめちゃめちゃカッコよくて迫力満点で思わず見入ってしまいました。最初に観た時よりもずっとずっと進化してる。
言うことを聞かせるためにアルバスが苦しむありとあらゆることを試していくデルフィーですが、一番残酷だったのが「みんなが探してるよ」と何も知らず二人を呼びにやってきてしまったクレイグ。彼のことを想うと本当に胸が痛む…。クレイグは、第二のセドリックも同然だから…(涙)。アルバスとスコーピウスが図らずもかつてのハリーと同じ痛みを共有してしまうのがとても切なかった。

無理やりタイムターナーで三大魔法学校対抗試合の時に戻されてしまったアルバスとスコーピウスは、デルフィーの目的が分からず必死に彼女を探すことに。その途上でついに彼らはセドリックと偶然対面する。この場面は本当に、何度見ても涙が零れて仕方なくなるほど切ないです(涙)。特にアルバスが去り際のセドリックに告げた言葉…!!!もうあれ、涙なしには聞けない(泣)。あの時その言葉をセドリックが聞くことができたことだけが唯一の救いだよなと…。

一方、再び息子の行方が分からなくなってしまったハリーは戸惑いと混乱で胸が押しつぶされそうになっている。すると、額縁の中にまたダンブルドア校長の肖像画が現れハリーに静かに語りかける。話すうちに子供のころまで遡り、両親を失った後預けられた家での辛い出来事を体験したことが過ったハリーはその時の怒りをついにダンブルドアにぶつけてしまう。だけどそれは「あなたにこそ愛してほしかったのに」という想いに繋がるんですよね…。
ダンブルドアはハリーを守るために距離を置いたのだと弁明しますが、ハリーはいつもそばにいて愛してほしかった。この気持ちのすれ違いがこの時明らかになるのがなんとも切ないです…。二人はようやく腹を割ってお互いの気持ちをぶつけ合い、そして知ることができたんですよね(涙)。

ダンブルドアも、ハリーも、お互いに愛情を抱いていたにもかかわらずそれを素直に伝えあうことができなかった。まるで、ハリーとアルバスの今の関係と重なるよう…。人の想いってやはり言葉にして伝えることが大切なのかもしれないなと思いました。それが一番難しくもあるんですがね…。
最後、ダンブルドアが「完璧は人の手の届かないところにある。愛する人たちは永遠に自分と共にある。絵具と記憶と愛は」と残した言葉がとても感動的(涙)。それにつられるようにハリーが「あなたを愛していた」と涙を流しながら伝える場面は何度見ても泣きます(涙)。石丸ハリー、後ろを向いた時の涙の跡がとても美しくて儚くて、本当に観ていて胸に迫ります…。

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さらに感動的なのが、ドラコがやってきて涙をぬぐうハリーの姿を見ながら不器用ながらも彼を励ますような言葉を探す場面「こういうのは苦手なのだ」と言いつつもすごく気遣ってるのが伝わってきて。松田ドラコって表向きはとてもぶっきらぼうだけどものすごく愛情深いんですよね。本気で相手と向き合いたいという気持ちが溢れているのが本当に素敵です。
完璧に作動するもう一つのタイムターナーを持参したドラコは、スコーピウスへの溢れんばかりの想いを語る。とても愛情深い女性と結婚したこと、彼女との子供を授かることができたこと、愛する妻を早くに失ってしまったことの寂しさ、息子を誰よりも愛してること。ドラコの心に抱えている想いがこれでもかというほど胸の中になだれ込んできて、彼の告白にはホント胸揺さぶられました。

アルバスとスコーピウスはプリベット通り4番地に取り残されていた。ハリーにとって一番残酷なことが起こる少し前の時間…。ある方法でハリーたちをタイムトラベルで呼び寄せた二人。あの方法を見抜いたジニー、すごいよね。

再会した時ハリーとジニーはアルバスを抱きしめるのですが、ドラコが躊躇いながらも息子のスコーピウスを長い間しっかりとガッシリ抱きしめていた姿はめちゃめちゃ感動的で泣けます…。あの時二人の気持ちもようやく重なり合ったように見えてねぇ。ハリーと同じくドラコも息子との接し方に悩んでいたから本当に良かったなって感極まってしまった(涙)。

その後彼らは、デルフィーの本当の目的を知る。彼女もまた、愛がほしくても得ることが叶わず彷徨っていた寂しい子供だったんだなと思うと本当に胸が痛くなります。

そしてクライマックス、ハリーにとって一番残酷な時。「パパはできないんじゃない、しないんだ」というアルバスの言葉がとても重い…。ここから先の展開は、実際に見て感じてほしいと思います。あの心の痛みを、ハリーと仲間たちと一緒に感じてほしい…。胸が押しつぶされそうに辛くて切なくてたまらない場面だけど、見届けなきゃいけないんだよね…(号泣)。

全てが終わった後、スコーピウスは小さな一歩を踏み出す。その勇気はちゃんと相手に伝わっていて、今までよりも良い未来が待っていることを予感させます。「いいんじゃない?堂々としていれば」。こんな言葉を彼はずっと待ち望んでいたんじゃないかな。
その後の展開はまだ分からないけど、スコーピウスにとってアルバスは、アルバスにとってスコーピウスはかけがえのない大切な親友だということに変わりはないのです(涙)。

そしてラストシーン。ちょっとぎこちなくではありながらも、以前と比べるとお互いに心を許し合って二人で並んで歩く父と息子。父は自らの苦手なものを告白し、息子はあえて父の苦手なものを見せつけると笑う。そこにはちゃんと愛情が通った会話が成立してるのがとても感動的です。
最後にハリーがアルバスに知ってほしかったことが明かされる場面があります。ここのシーンを見るたびに私の涙腺はさらに緩んでボロ泣きしてしまいます(涙)。一貫して「人が人を想う気持ち」を伝え続けるこの物語が私は本当に大好きなのです。

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後述(特別カーテンコール)

本編が終わると客席上手の扉からホリプロの関係者と思しき方が数人入ってきてカメラを回し始めました。位置的にけっこう近い場所にいたので、涙顔が映らないようにカメラから逃げまくってた私ですwww。

 通常カテコが終わった後、2-3分くらいの準備期間ののち再び幕が上がりました。すると、キャストの皆さんが『ハリー・ポッター 呪いの子 1周年記念』のボードを持って並んでいてめっちゃテンション上がりました!!
そしてまず、この日千穐楽を迎えた石丸幹二さんが代表して1周年の感謝の挨拶をされました。そのあと、「私事ではございますが」と切り出し今日の公演を以て千穐楽であると報告されたのですが、この時に「いったん」という前置きがあったので客席全体が「え!???」とざわめきまくってました(笑)。でも石丸さん、そこはスルーしてww。2020年にNYで上演された舞台ハリポタを見て衝撃を受けそこから長いオーディションを受けてハリー役を掴んだ経緯を語られました。そして、超ロングラン公演で難しいこともたくさんあるけれども、皆様に愛される作品として常に高いクオリティをキープしながら上演し続けていきたいと熱い思いも語られていて。

ひとしきりハリポタ愛を語った後、「さきほど”いったん”と申しましたが」と切り出した石丸さん。ニコニコしながら

「私、この作品が好きすぎてまたやりたいとずっと直訴した結果、来年1月からまた参加することになりました!!」

とサプライズな発表!!つまり、大千穐楽ではなくて、半年のお休みってことですね(笑)。石丸さん、そこまでこの「呪いの子」愛してるんだなぁと思ったらなんだかすごいホッコリしました。客席からは歓喜の大拍手が鳴り響き大いに盛り上がって歓迎ムードになってましたよ。また石丸ハリーに会いたいと思っていたので1月に再会できるのは嬉しいです。

「このカンパニーとは一緒に手を携えてここまで走ってきたので」と感慨深そうにコメントされてる石丸さんの横にいた馬渕さんが号泣なさってて。それを見て思わずもらい泣きしちゃいましたよ。この先の予定や組合せによってはどうなるか分からない部分ありますし、今回で本当に最後のメンバーもいたと思います。長い間切磋琢磨してきた仲間とお別れするのはとても切ないだろうな…。
「僕の宝物はこのメンバーです」と胸を張って宣言してる石丸さんに、私の涙腺がまた緩んでしまいました。キャストの皆さん、公演前も後もめちゃめちゃ石丸さんと一緒の写真撮影したのアップしてくれてたものね。とても愛されていたと思います、石丸さん。

挨拶が終わった後は、1周年記念として客席をバックにした写真撮影が行われることになりました。私たち観客は石丸さんの「ルーモス!」という呪文を合図に持っていたスマホのライトをつけるといった粋な演出も。今までスマホのライトなんて殆ど照らしたことがなかったので慌てて場所探しちゃったよww。何とか発見できてよかった(笑)。

私が照らしたライトもちゃんと映ってるのが分かったのが嬉しい(自分にしか分からない場所ですがw)。この記念すべき瞬間に立ち会えたこと、本当に光栄でした。

写真撮影の後石丸さんが2階席を見渡して「学生さんですかね」とニコニコ手を振られてて。その直後に「あ、振っちゃいけないんでしたっけ?でももう振っちゃいました」と可愛くてへぺろww。こういうフランクなところが石丸さんのとても素敵なところ。
最後に「呪いの子」をみんなに広めてまた見に来てくださいと挨拶されて幕となりました。とても温かい雰囲気のカーテンコールだったな。そういう空気も石丸さんが作ってくださったような気がします。

なお、石丸さんのカテコでのコメントは公式Twitterで紹介されているのでぜひチェックを。

 私のレポよりこちらの方が詳しいし確実です(笑)。

ハリポタ公演中もテレビのお仕事や他の舞台のお仕事も並行してこなしていた石丸さん、この1年ちょっと、本当にハードだったと思います。特にミュージカル『ジキルとハイド』が丸かぶりになっていた時期は本当に鉄人じゃないだろうか!!とビビりましたよ(汗)。ジキハイも相当気力体力消耗する作品ですし、地方公演もありましたからね。意図して同じ時期になったのではないとのことでしたが、全て最後までやり切られていた(しかもどれも大熱演)のには本当に頭が下がる想いです。
まだまだ石丸さんのエンターテイメントへの挑戦は続いていきますね。少しでもお休みできればとは思いますが(汗)。

とにもかくにも、石丸さん、本当にお疲れ様でした!石丸さんが出演されなければ、もしかしたら私は「ハリポタ呪いの子」を観に来ていなかったかもしれません(いまだにハリポタ作品ほとんど見れてない超初心者状態だしw)。この作品に出会えたのは石丸さんのおかげと言っても過言ではないです。ありがとうございました。来年ハリー役として会える日を楽しみに待ちたいと思います。

次のハリポタ観劇は11月と12月を予定しています。新たなキャストに出会えるのも楽しみです!

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