舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』2024年4月17日 ソワレ公演感想 石丸幹二さん大千穐楽

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を観に赤坂ACTシアターへ行ってきました。

先月劇場を訪れた時にはまだ蕾が多かった桜でしたが、1ヶ月経ってすっかり花が落ちて緑の葉が鮮やかな木々へと変化していました。

2023年7月に”千穐楽”として区切りをつけられた石丸さん。ところがその楽公演でのカーテンコールで「この作品が大好きすぎてもう一度やらせてとお願いした」と驚きのコメントがありw(その当時のレポはこちら)、2024年1月からハリー役に復帰。石丸ハリー、お帰りなさーい!ということでなるべく早い時期に行きたいと思っていたのですが…機会を失い、とうとう石丸さん大千穐楽が再会の時となってしまいました(汗)。

ということで、この日が”本当の”石丸幹二さんハリー大千穐楽です。その最後の雄姿を見届けるべく…チケット代奮発いたましてw今回はなかなかの好位置をご用意いただくこととなりました(9と4分の3ゾーンの割と近く!)。昨年の7月の時も同じく奮発したのですが、ちょいと微妙な席だったので座席確定するまではハラハラものだった(汗)。
あんなにど真ん中に近い位置からハリポタ見たの初めてだったかもしれない。石丸ハリー楽で素晴らしい光景を絶好のポジションから見守ることができたことが本当にありがたく、幸せでした。

カーテンコールの様子は後述に書きます。

以下、かなりのネタバレに触れるレポになるので未見の方はご注意ください(魔法や後半の展開についてはボカして書いてますw)。

※ハリー・ポッターについて全く何も知らないで見に行くとストーリーが頭に入りづらいかもしれません。『〜呪いの子』の概要だけでも事前に知っておいたほうがこの作品の場合はいいんじゃないかなと思いました。映画「アズカバンの囚人」「炎のゴブレット」を見ておくとさらに理解が進むそうです。ご参考までに。
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2024年04月17日ソワレ  in TBS赤坂ACTシアター(東京・赤坂)

上演時間は約3時間40分。内訳は、1幕100分(1時間40分)休憩20分2幕100分(1時間40分)となります。

1幕が開演してから60分を過ぎた後2幕が開演してから51分が過ぎた後は演出の都合上休憩、または終演まで客席に案内されないそうですのでご注意ください。開演前、休憩中、終演後の舞台写真の撮影は許可されています(本編が始まったら絶対禁止)。

あらすじと概要については2022年8月観劇時の記事参照

舞台ハリポタ「呪いの子」感想一覧

主なキャスト

  • ハリー・ポッター:石丸幹二
  • ハーマイオニー・グレンジャー:中別府葵
  • ロン・ウィーズリー:竪山隼太
  • ドラコ・マルフォイ:松田慎也
  • ジニー・ポッター:馬渕英里何
  • アルバス・ポッター:藤田悠
  • スコーピウス・マルフォイ:門田宗大
  • 嘆きのマートル:佐竹桃華
  • ローズ・グレンジャー・ウィーズリー:橋本菜摘
  • デルフィー:宝意紗友莉
  • 組分け帽子:手打隆盛
  • エイモス・ディゴリー:篠原正志
  • マクゴナガル校長:榊原郁恵

全体感想とキャスト感想

これまでけっこう回数重ねて舞台ハリポタ観ていますが、今回ほど作品全体から「あたたかみ」「愛情」をリアルに感じ取ったことはなかったような気がします。オープニングでハリーたちが登場する前のアンサンブルさんの動き一つ一つから”何か”が違ってて、初めて冒頭からウルウルっときてしまいました。皆さん、石丸さんとの最後のハリポタ時間をとても愛しそうに、大切に演じられてた。そういう空気感が直に伝わってきて本当に感動的だったな。

ちなみに、今回ついにお初キャストさんに遭遇。メインでは組み分け帽子とベイン役の手打隆盛さん。これまでずっと見てきた木場さんと全然違う雰囲気でとても面白かったです。特に冒頭、ハットを手に取る前と取ったあとの表情の変化がすごい。あの短いシーンの中に、”組み分け帽子”の使命を受け取った男性の人生の始まりが見えた気がしました。

以下、さらに印象深かったシーンをいくつか振り返ってみます(「呪いの子」は全部見所みたいな作品だから抜粋するの難しいんですけどね 汗)。

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1幕

9と4分の3ホームでの石丸ハリー藤田アルバスのやりとりがとても温かくてほっこりしました。藤田くんはこれまでよりもちょっとテンションが高め。そんな彼を石丸さんが大きな優しい愛で包んでいるような感じすらあったな。でも、この二人の関係が年を追っていくごとにどんどんすれ違っていくわけで…。それを念頭に置いてみるとなおさら切なく感じられました。

ホグワーツの汽車でアルバスとスコーピウスが出会う場面。これまではスコーピウスのほうがテンション高いと思うことが多かったんだけど、この日に限っては藤田アルバスよりも門田スコピのほうが落ち着いた雰囲気だなって感じました。
アルバスが自分と一緒にいてくれることを選択してくれた時の門田スコピ「ウィゾーー!!」って喜びの声は何度聞いてもグッとくるな。自分の出生の噂のせいでずっと孤独だった彼に光が差した瞬間なわけで、あの時は涙が出るほどうれしかったと思う。門田くんはそういったスコピの心情をとても繊細に演じてくれるよね。

組分けの場面、手打さんのお芝居がめちゃめちゃ独特でちょっとププッと吹き出しそうになったw。特に組み分けに入る前の台詞を歌交じりに語ってたのが斬新すぎて面白かったです(笑)。

ホグワーツでの学校生活が2年目、3年目となるにつれてどんどんハリーとアルバスとの間に溝ができていってしまうのが見ていて辛い。石丸ハリーは昨年見た時よりも息子との向き合い方に戸惑う気持ちが前面に出ていてめちゃめちゃ切なかったです。感情表現のバリエーションがまたさらに増えた感じがしたな。アルバスに拒絶されるほど心に焦りが生まれ、空回りが加速していく石丸ハリーの父親像がとてもリアルで見応え十分でした。
さらに藤田アルバスの父親への食って掛かり方にも拍車がかかっていてすごかった。今まで見た中で一番激しくハリーに苛立ちをぶつけてたように見えた。今思えば、藤田くんの石丸さんへの愛ゆえの感情表現だったんじゃないかなと。

執務室でのハリーとハーマイオニーの場面。石丸ハリーと中別府ハーマイオニーのやり取りはとても生き生きしていて面白い。特に石丸ハリーがちょっとヤンチャな一面を昨年以上に前面に出してるのが印象深かったです。散らかった書類を魔法で片づけるときも、昨年はけっこうスマートに見えたのに対し、今回はなんだかすごくガキっぽくてとてもチャーミングだったな(笑)。

エイモスとハリーが対立する場面。興奮してハリーを責める篠原エイモス、息子を心底愛していたからこその感情が溢れていて泣けるんですよね。
そんな彼の言葉にハリーは何度も「僕だって」と口を挟もうとするんだけど、この時言えなかった言葉がラストシーンに繋がってくると思うとめちゃめちゃ切ないのです。特に今回の石丸さんの芝居からはハリーのセドリックへの気持ちが透けて見えていてとても胸が痛み涙が溢れました(泣)。

あと、ここ最近注目してるのがデルフィーが去った後のハリーとアルバスの小さな仕草。二人で掌を見つめるシーンがとても印象深い。あれも後半への伏線のひとつだと思います。

馬渕ジニーの肝っ玉母ちゃんっぷりは今回も絶好調でカッコいい!息子のジェームズのはっちゃけっぷりに「いいから部屋を片付けなさいっ!!」って説教するセリフの言い方とか最高です。男前母ちゃん。その一方で、アルバスとハリーの関係がギクシャクしてるのも気にしていて・・・二人のためにそっと席を外したりといった心配りもできるジニー。家族想いな彼女の行動がとても素敵。

新学期のプレゼント事件。良かれと思っていた行動を悉くアルバスから拒否されてしまった時のハリーのどうしようもない焦りと不安。そしてあの悲劇の瞬間。石丸ハリーと藤田アルバスの手に汗握る魂のぶつかり合いのような激しい芝居合戦がもう…!特に藤田くん、あんな絶叫してる姿見たの初めてだったかもしれない。ありったけの感情をぶつけてたのがとても衝撃的だった。

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ホグワーツへ向かう汽車からアルバスとスコーピウスが飛び降りようとする場面。毎回車内販売のおばちゃんの豹変っぷりが面白くて楽しんでるのですが(今回も最高ww)、スコーピウスが楽しんでる姿を見るのもすごく好きなんですよね。アルバスの突拍子もない提案にビビッて及び腰になってたのに、実際一緒に行動すると今までにないくらい心が弾んじゃう。孤独だった彼の心に楽しい経験が刻まれていく姿がなんだかとても泣けるのです。

ハリーとハーマイオニーが演説する場面。ドラコがハリーの頭痛について嫌味を言うわけですが、松田さんはあまりデフォルメしたセリフ回しを使わないんですよね。宮尾さんや朝陽くんがけっこうバカにしたような言い方してたのに対し、松田ドラコは硬派にセリフの流れとして発してるのが面白い。ただ息子を守りたい一心で、不器用だけどまっすぐに自分の意見をぶつけている姿にグッとくるものがありました。

石丸ハリーと馬渕ジニーがアルバスについて語り合うシーンも良かったなぁ。特に「アルバスは…違う。でもそこがいいところだもの」というジニーの台詞、馬渕さんの間の取り方が絶妙でした。息子への愛情がこれでもかってくらい伝わってくる。そんな彼女の言葉に、ささくれ立ってたハリーの気持ちも少しずつ癒されていくような感じだったな。本当に素敵な夫婦関係。

”変身”場面、石丸さん、昨年見たとき以上に彼に”寄せて”きましたねーーー(笑)。ここは大貫くんの似せっぷりが一番だと思って見てきたけどww、石丸さんはそれとは違う角度から寄せていっていてて面白かったし可愛かった!
そして竪山ロン(実は別人w)と中別府ハーマイオニーの滑稽なやり取りも息ぴったりで最高でしたね。竪山くん、実は私はこの日がラストだったんですが…やっぱり彼の演じるロンはユーモアと温かみがあってとても愛しいです。最後になるの本当に寂しい。

息子がいなくなったと大人たちが相談する場面。このシーンでのドラコとジニーの「息子が行方不明なんだ!!」「うちの子もよ!!!」という鬼気迫るやり取りがもう見ていて痛々しくて切なくてたまらない。松田ドラコと馬渕ジニー、子供が心配でたまらないが故の悲痛な叫び声がもう半端なくてねぇ…。思い出すだけで泣ける。
さらに松田ドラコがどんどん不安に襲われてしまって「私のたった一人の家族だ…」って泣きそうになってるのもホント切なすぎた(涙)。松田さんのお芝居久しぶりに見たけど、さらにスコーピウス愛に溢れてて胸打たれまくり…!

ハーマイオニーの部屋で謎々に挑戦する場面、石丸さんの仕草がめっちゃ可愛かった!!手で本をパタパタさせるようなこと何度もやってて、その落ち着きのなさがまさにあの子だなって(笑)。めっちゃ萌えたわww。

ハリーがベインと出会う場面。手打ベインは木場さんに比べるとあまり”怒り”を前面に出していない雰囲気だったかな。怒りというよりかは見下してる感が強かったかもしれない。あと、台詞の間がけっこう独特w。

初めてタイムターナーを使う前にアルバスとスコーピウスが語り合う場面。ここは何度見ても涙が溢れてしまう。彼らが見ている景色、そして幻想的な音楽。そんな中で語られるスコーピウスの本音。この言葉を聞いた後にもう一度この舞台での彼のはしゃぎっぷりを見返してみると、めちゃめちゃ胸に迫るものがあると思います。
この時アルバスはまだスコピの言葉の本当の意味を理解できてなかったんだよね…。それが後々露見していくわけで。これも2度目以降に見ると鮮明に見えてくる。舞台ハリポタはこういったリピートするとさらに深く感じ入ることができるシーンが多いのも魅力だと思います。

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アルバスと再会したハリーがダンブルドアの絵画と会話する場面。ベインの言葉で不安を煽られたうえにダンブルドアから「愛情で目が見えなくなってはいけない」と忠告されて混乱が増してしまうハリー。答えをさらに求めようとした瞬間にダンブルドアの姿が消えた直後「またいなくなった!!」の石丸ハリーの台詞回しが追い詰められ感満載で痛々しかったです。
そしてアルバスと話し合いになるわけですが…、石丸ハリーの言葉がどんどん冷気を増していったのがホントすごかった!!穏やかさから冷徹さへの変化が巧みで、見ていて背中がゾクッとさせられましたよ。優しさを徹底的に削ぎ落した石丸さんのお芝居にとにかく圧倒されまくりだった。

石丸ハリーvs松田ドラコの対決、これまでにない凄味があってめちゃめちゃ手に汗握った。特に石丸ハリーの挑発の仕方が衝撃的に「悪の色」に染まった感じで怖かったよ(汗)。そんな氷のような石丸ハリーに息子を侮辱するような言葉を投げられて激昂する松田ドラコの怒りの炎もすごい…!!氷と炎のぶつかり合いみたいな感じ。
そんな二人を一発で鎮めてしまう馬渕ジニーの迫力たるや!!我に返ってシュンとして座り込むハリーとドラコがめっちゃ可愛らしかったw。

ドラコがスコーピウスへの想いを吐露する場面はグッときます。特に今回松田さん、目に涙をためながら必死に息子愛を訴えていてホント切なかった(涙)。「孤独は辛い」と自らの体験を交えたうえでアルバスの孤独を指摘するシーンでの松田ドラコはもう涙声になっていて…。スコーピウスだけでなくアルバスの孤独にも想いを馳せる彼の一言一言がこれでもかというくらい胸に迫ってきました。あれだけでもう十分、ハリーの心にその想いが届いたはず。

父親が息子への愛を涙ながらに訴えていた頃、スコーピウスはかけがえのない親友だと思っていたアルバスから大きく心を傷つけられていた。スコピの孤独が浮き彫りになるこの場面は毎回涙無しには見られなくて…。門田くん、めちゃめちゃ繊細に自分の胸の内を吐露するお芝居をしてくれるし…。
そしてその告白を衝撃を持って受け止めたアルバス。この日の藤田くん、見たこともないくらいボロボロ涙を流しながら門田スコピの言葉を聞いててちょっとビックリした。あんなに泣きながらスコピの言葉を聞いてる彼を見たの、初めて。マクゴナガル校長が去った後は二人で泣きながら会話してるし…もうそれだけで見てるこちらの涙腺崩壊ですよ(泣)。

アルバス
「友達だよな?」

スコーピウス
「永久に」

この二人の短いやり取り、いつも以上に号泣ものでした。藤田くんと門田くんの中に、これまでとは違った感情の揺れが起こっていたのかもしれない。

嘆きのマートル登場の場面。佐竹マートルがキュートで本当に可愛い。ハイテンションでちょっと凶暴性もあるんだけど、それすらなんだか許せちゃうような愛らしさ。
個人的にツボなのが、ドラコがマートルと対峙した時の仕草ww。松田ドラコ、過去イチ可愛らしく顔背けててめっちゃ萌えました(笑)。

1幕ラストのあの演出は、何度見てもワクワクしますね。あれは2階席の方が楽しめるかもしれない。

2幕感想とカテコ感想は次のページにて。

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