シアターオーブで公演された『ジーザス・クライスト・スーパースター in コンサート』を観に東京まで遠征してきました。
哀しいかな、この素晴らしいコンサートも東京オンリー…しかも4日間のみ。キャストのスケジュール抑えるのが大変なのは承知ですが、せめて関西方面にも来てほしかった。
このコンサート公演が行われる頃、日本は超巨大台風直撃という大きな悲劇に見舞われました。公演2日目の12日がまさに直撃だったことからマチネとソワレが中止に。演劇界のみならず、各種イベントや、ラグビーW杯の試合も中止に追い込まれるほど(私が行く予定だった試合も中止に…)大きな影響を与えました。
海外から来日したキャストやスタッフの皆さんはさぞかし困惑されたのではないかと思います。日本の台風の脅威を目の当たりにして衝撃を受けたのでは…。
台風が通過したのちに次々と明らかになる悲劇的な各地の惨状には大きなショックを受けました。各地の交通網も混乱していて、こんな時にコンサートへ出向いてもいいものだろうかという後ろめたい気持ちもありましたが…行ける環境にあったことをありがたいと思い劇場へ行きました。
改めまして、台風の被害に遭われた地域の皆様へお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。
10月13日も開催できるかどうか検討中ということになっていましたが、マチネ・ソワレともに時間を遅らせての上演が決定しました。決断してくださった主催者様、スタッフ、キャストの皆様に感謝します。
以下、JCSのネタバレ内容を含むコンサートの感想です。
2019.10.13ソワレ公演 in 東急シアターオーブ(東京・渋谷)
出演者
- ジーザス・クライスト:デクラン・ベネット
- イスカリオテのユダ:ラミン・カリムルー
- マグダラのマリア:ジョアンナ・アンピル
- ヘロデ王:成河
- カヤパ:鈴木壮麻
- ペテロ:テリー・リアン
- ピラト:ロベール・マリアン
- シモン:海宝直人
- アンナス:アーロン・ウォルポール
<アンサンブルアーティスト>
原田真絢、春日希、小島亜莉沙、湊陽奈、新井海人、チャンヘ、今村洋一、武藤寛
アンサンブルのなかに武藤寛さんがキャスティングされていたのは嬉しかったですね。最近よく舞台で見るようになった気がする。今回も聞き取りやすい良い声を響かせていました。武藤さんはヘアスタイルですぐわかるw。
ほかのアンサンブルキャストの皆さんもソロでも十分存在感のある声を響かせていて素晴らしかった。隅々までレベルの高いコンサートだったと思います。
それにしても、JCSって本当に男性キャストが多いよなぁ…と改めて。メインキャストの女性はマリアだけ!そりゃジーザスはマリアに心の癒しを求めたくなるはずだよってちょっと思ってしまった(笑)。
全体感想
JCSは日本では劇団四季が上演権を持っているようなので、外部での上演はありません。
それだけに、今回のコンサートは四季以外のキャストで…しかも、海外のスターが演じ歌ってくれるという非常に貴重な機会だったと思います。四季のJCSはもう何度も見たことがあっただけに、その枠から出たJCSを生でぜひとも体感してみたかったのです。
”コンサート”と銘打ってはいましたが、ちゃんと芝居の動きもあったし「単なる歌ではなく、あくまでも作品」として魅せようとする意図も感じられたので、一本の舞台を見たかのような満足感がありました。
舞台上には巨大な鉄骨で組んだセットがあって、オケの皆さんが上手側と下手側のスペースに散らばって配置されるという非常に斬新なステージ。だいたいオーケストラは一つの場所に固まって演奏することが多いので、今回のように離れた場所(上だったり下だったり)で音を合わせるのは結構苦労があったんじゃないかなと思います。
で、ハタと気づいたのですが…、JCSを生の音楽で観るってこれが初めてじゃないかと!四季は録音音源を使っているのでね。それはそれで音にバリエーションがあって舞台に良い効果を出しているわけですが、それでもやはり生の音楽で舞台を見れるというのは感動です。
金管楽器は多少音がズレ気味だったこともありましたが、生で伝わってくるライヴ感みたいなものはワクワクさせられる。特にエレキギターのソロ演奏は迫力がありました。まさにこれはロックミュージカルなんだと肌で実感できた。
JCS本編は休憩なしのぶっ通し2時間弱で上演されますが、コンサートでは1幕と2幕に分かれてました。
休憩なしで観ることにすっかり慣れてしまっているので、どこで切れるのかちょっとドキドキw。すると、ユダがカヤパたちにジーザスの居場所を知らせてしまう裏切り行為の場面で場内が明るくなったので、あ、そこで切るのね…とちょっと歯がゆい感じがしました(笑)。
まずオーバーチュアが流れるわけですが、最初のほうは不穏な音楽でじわじわと惹きつけてくる感じなんですよね。これは本編とほぼ同じ雰囲気。
ところが、本編で言うところの民衆が助けを求めるようにロックなノリで動き始めるちょっとテンポアップした曲調に変わると、客席中央部分の中扉からアンサンブルアーティストの皆さんが「ヒューーーー!!!」と超ハイテンションでなだれ込んできてビックリ(笑)。
客席も最初は面喰っていたのですがww、舞台に上がったアンサンブルさんたちがピョンピョン跳ねながら「みんな、立ってー!」みたいにアピールしてきて「これは今立つべき時なのか?」とみんな確かめ合うようにスタンディング(私の周りはそんな雰囲気だったw)。私もちょっと「え、もう立っちゃうの!?」と戸惑ったんですが、立ち上がってしまえばもうあとはキャストの皆さんたちと一体感を感じながらノリノリで手拍子打ってました(笑)。
そしてオーバーチュアのクライマックスである「スーパースター」の曲調に変わると舞台がパーーっと明るくなって、気が付いたら鉄骨セットの上中央部分にメインキャストの皆さんが並んでいて大いに盛り上がりました!この演出はテンション上がりますっ!
ところが、そこから音楽は急速にトーンダウンしていく流れになるわけで・・・ここは舞台上のキャストは何もリアクションしないので客席は「もう座ってもいいんだよね…?」みたいな半信半疑的な雰囲気でわらわらと着席(笑)。この落差が何とも言えず面白かった。
基本的にJCSは四季で何度も見ているのでだいたい日本語歌詞が頭に入っていることもあり、オペラグラスでキャストを追うことの集中しようとしていたのですが、それでもチラチラ見てしまった字幕(全編英語上演なので)。たまに目に入る字幕歌詞が…とにかく「ロック!!」なのです。四季で観ていたイメージとだいぶ違うというのが素直な感想。
日本語上演するときにはうまく日本語を旋律に乗せなければいけないこともあり、ちょっと固い表現になったりしてしまうのですが、そういうのを差し引いても、今まで私が抱いてきたイメージと英語訳のニュアンスはかなり違うなぁという印象でした。
四季はどちらかというと様式美みたいなのを前面に出している気がします。歌詞の日本語も少しお堅い感じで、ジーザスはひたすら美しく浮世離れしたような雰囲気に思える。それゆえ、あまり感情が顔に出ずに腹の底で何を想い葛藤しているのかが伝わりづらい印象をいつも持っていました(感情面が一番わかりやすく出ていて好きだったのは、柳瀬大輔さんのジーザスだったんだけどもう見られない)。
それはそれで良いと思うし、美しさの中にパッションを出していくという印象の四季演出も嫌いではありません。でも、私にはちょっと物足りないと思えることも正直しばしばありました。
なので、今回のJCSコンサートバージョンでの雰囲気は「まさに、これを求めていた!!」的なもので、私の中の熱量がものすごく上がりましたね。
字幕を見るとそれぞれのキャラクターは自分の感情をこれでもかというくらい曝け出している。特にジーザスは「神格化」された存在ではなく、奇妙な力を持ってしまったが故に激しく苦悩する一人の若者といった印象が強い。その苦しい胸の内をすごくストレートに表現していて非常に新鮮だったし、「こういうジーザスを私は見たかったんだ!!」という感動が大きかった。
四季版と比べて全く印象が違うと思った場面を2つ挙げてみます。
人々から「次は何が起こるのですか」とせっつかれてジーザスがいら立ちを見せたとき、マリアが香油をかけて癒してやる場面。
これ、四季で見るとマリアは優しく温かく包み込むようにジーザスと接していてちょっと神々しさみたいな雰囲気も感じるんですが、今回のコンサートで観てビックリ!神々しいどころかかなり生々しいwww。「ありがとう、マリア、とても気持ちがいい(四季の歌詞)」に当てはめるとちょっとR指定ついちゃうんじゃないか!?とドキドキしてしまうような雰囲気だった。海外だからこそできる表現かなぁと思いました。
マリアに関しては♪私はあなたがわからない♪という名曲があるのですが、今回字幕を見てその内容にちょっと衝撃受けました。
日本語版だとマリアは母性愛のような感情をジーザスに抱いてるのかなって思って見ていたのですが、字幕ではあまりにも激しくジーザスを愛していて「自分がどうなっちゃうのかわからない」的なニュアンスで歌っていたのでビックリ。女性として、ジーザスにそこまで狂おしいほどの愛情を抱いてしまっていたのかと…!
それからもう一つ違う印象を覚えたのが、♪狂信者シモン♪の場面です。この場面の盛り上がりについてはあとで書きますが、そこではなく、ジーザスの様子に注目してみました。
四季で観るジーザスは、このとき弟子たちの造った櫓(エルサレムは鉄の棒、ジャポネスクは竹)に乗せられて熱狂して自分を崇めたてる人々を静かに見降ろしています。この時のジーザスの表情は「無」に等しいので、この状況を本当のところはどう思っているのかよくわからないんですよね。個人的にはけっこう冷めた目で見てるように思っていたんです。
ところが、今回見てみると…群衆が騒ぎ出しシモンがそれを煽るように歌いだすと、ジーザスは明らかに「まずいことになった」と激しく動揺していました。そしてその動揺するジーザスを気遣うようにユダが寄り添おうとするのですが、彼はその手をそっと押しのけて一人苦悩のドツボに入っていくかのようだった…。
この場面を観たとき、ジーザスはこんなにも周囲の自分に向かう熱狂に危機感を覚え動揺していたことをハッキリと悟りましたね。そこにいるのは、神格化されているジーザスではなく、悩める一人の青年ジーザスでした。これは個人的に非常に印象深かったです。こういうジーザスが見たかった…!!
ジーザスもユダも、字幕を追っていくと本当に激しく感情を表に放出しているのがわかりました。日本語歌詞で聞くよりも激しく相手に詰め寄ったり、苛立ちをぶつけています。ユダがジーザスに投げかける言葉の数々は日本語で聞くよりも激しいむき出しの感情だった。それだけに裏を返したジーザスに対する深い愛情が透けて見えていてとても切なかったです。
最後の晩餐のシーンでジーザスが弟子たちと食事を核む場面も印象的。日本語歌詞では最初は穏やかに弟子たちと接している(パンと葡萄酒を囲む場面)ように思えたのですが、字幕を見るとジーザスは最初から皮肉たっぷりに弟子たちに攻撃的に接していた。これも衝撃でした。
自らの終末が見えてしまっているからこそのジーザスの行き場のない感情がリアルに語られていたんだなぁと。直後に逆上する流れがすごく自然に見えました。
演出面では特に照明が印象的でしたね。基本的にはコンサートなので、実際の本舞台と同じ動きをすることが制限されることも多かったのですが、そこを多様な光を当てることでドラマを演出しているのがすごく幻想的でよかったです。
個人的には、ジーザスが39回鞭で打たれるシーンが一番印象深いかも。実際舞台では鞭をふるうシーンがありますが、コンサートではジーザスが打たれていることを様々な角度から刺さってくる光で表現していました。
これが不思議とジーザスが実際に鞭うたれるのを耐え忍んでいるように見えるからすごい!まぁでも、今回初めてJCSを見た人にはちょっと分からなかったかもしれませんが。
あと、ユダの自殺シーンも照明の演出が印象的だった。四季のエルサレムバージョンではユダが死んでいく様を地面に沈ませていくことで表現していますが(ジャポネスクでは大八車の後ろに滑り落ちる演出)、コンサートではユダが「MyGOD!!」と叫びながら迫るところを光が照らしていて、最後、その光が暗くなり暗転することでユダが自滅してしまったことを表現していたように思います。
ユダの孤独が際立って見えたのが切なかったです。
あ、それから忘れてはいけないのがラストシーン。
本編では実際に十字架にかけられるのですが、コンサートではジーザスがのたうち回る感じ。自らの死を必死に受け止めようと神に激しく迫っていくさまが息をのみます。ここも生身の青年・ジーザスといった表現が強くて本当に痛々しかった。十字架に掲げられているジーザスと同じくらいの痛みを私は感じました。
そして「わが命を御手に委ねます」と命の火が消えた後静寂が訪れるわけですが・・・その場に立ち尽くしていたジーザスの上に美しい柔らかな光が差し込むんです。そして、その光をゆっくりと見上げたジーザスの表情が苦しみから安らぎへと徐々に変化する。この瞬間、彼は天に受け入れられたんだなというのがはっきりと認識できました。
最期の7日間は神に対する複雑な思いを吐露し、時には激しく抵抗していたジーザスが安らぎの世界へと導かれた瞬間のあのラストシーンは非常に感慨深く感動的でした。
コンサートでのJCSの表現ってこんなにも感動できるんだと実感できた素晴らしい内容だったと思います。ノリのいい曲の時には立ち上がって手拍子したり、ホサナではジーザスに向かって手を振ったり(客席も手を振ることによってよりジーザスの苦悩がリアルに映りました)、立体感のあるステージで感動しました。
主なキャスト感想
デクラン・ベネットさん(ジーザス)
今回初めて拝見する俳優さんでしたが、とても伸びのある素敵な声をされていて…♪ゲッセマネ♪は特に心が震えました!あの魂の歌声が本当に素晴らしかったです。
そして何より、青年・ジーザスとしての心の苦悩を繊細に芝居として表現してくれたことが何よりも嬉しかったです。こういうジーザスをずっと見たかった!!という感動がずーーっと心の中で跳ね上がっててものすごくテンション上がりました。
感想にも書きましたが、ラストシーンで光を見上げて穏やかな表情へと変わっていくお芝居は非常に胸打たれるものがありました。スーっと浄化されていく感じ。それがものすごく自然で、見ているこちらも憑き物が落ちるような感覚にすらなりました。とても素晴らしかったです!
ラミン・カリムルーさん(ユダ)
そもそもこのコンサートを遠征しようと思った一番の理由は、ラミンがユダを演じてくれるということだったからです。ラミンのユダは絶対にドンピシャで私の好みに合うはず!という確信めいたものがありましたw。その思いは間違っていなかった…っていうか、それ以上でした!
特にジーザスに対する攻撃的態度がものすごく切羽詰まった感じで、その裏に隠れている彼に対する深い愛情がダダ洩れしてるようでめちゃめちゃ萌えました(笑)。口では激しく罵るようなことを言うのに、表情は常に「あなたが心配だから忠告してるのになぜわかってくれないんだ!」というもどかしい想いが浮き出ていた。
ジーザスを裏切ったのち、彼が痛めつけられるのを耐えられないと訴える場面は切なくてたまらないです。そこから自殺へと移行していく流れが必然だということが見えてしまってグッとくるものがありました。
やっぱりラミンのあのお芝居や歌、大好きですっ!!ゾクゾクする。心揺さぶるんですよねぇ。
後日、日テレの情報番組で城田君とデュエットを披露していましたが、日本語歌詞の発音が完ぺきでまたビックリ!!どこまでも進化を続けるラミンを本当に尊敬します。
ミュージカルで活躍するラミン ・カリムルーさんと城田優さんのデュエット…「マイクが喜んでいる」大迫力、圧巻のパフォーマンスでした。
リハーサルでは、お互いをカメラで撮り合っていたお2人。仲の良さが伝わってきました😊#ラミン・カリムルー#城田優 #闇が広がる #スッキリ pic.twitter.com/KsTRanmmJY
— スッキリ(日本テレビ) (@ntv_sukkiri) October 16, 2019
ジョアンナ・アンピルさん(マリア)
最初に来るはずだったマリア役の女優さんが来れなくなってしまい、そのあとキャスティングされて来日してくださったジョアンナさん。はじめましての女優さんでしたが、ストレートに聴く者の心に届いてくる清々しい歌声がとても印象深かったです。
体系的にはこれまで四季で観てきたマリア像と比べると少し大らかかなって思いましたが、そこから繰り出されるジーザスへの激しい愛情を歌う声は胸打つものがありました。マリアってこんなにも激しい女性だったのかとちょっと衝撃も受けましたしw。今まで見たことのなかったマリア像でとても新鮮でした。
成河さん(ヘロデ王)
ヘロデ王の出番は2幕の後半のワンシーンだけなのですが…実は鉄骨を組んだセットの一番上にちょっと立派な椅子が用意されていて。成河さんは1幕でメインキャストがババーンと出たときからずーーーっとそこに座って下界のようすを見物していたんですよね(笑)。1幕途中でそのことに気が付いたとき、「あ、もういるんだ!」ってビックリしたww。
時々水を飲んだり、素晴らしい歌声にはにこにこしながら拍手送ったり、でも表情はいつも余裕があってまるでその世界を収めている人のようだった。つまり、出番が来るまでの間も成河さんはヘロデ王でそこに居続けたんだと思います。
そして2幕ついに出番がやってきて光が当たると、人懐こいような笑顔を浮かべて何度も客席に手を振りながらするすると下に向かって降りてくる。これが可愛いのなんの!!そこからインパクトを与え続ける成河さん、すごいわ!
でも、歌い始めてからの存在感といったら…ほんともう、圧倒的!!最初は市村ヘロデのようにセリフ調でささやくように歌っていたのですが、「君はクライスト」のあたりからエンジンがかかって劇場をあっという間に飲み込むような歌声を披露。なんかもう、あの瞬間、すべてを食ってたよね!!
出番が終わった瞬間のショーストップともいえる拍手の音が本当にすごかった!改めて成河さんの実力を思い知ったシーンとなりました。
鈴木壮麻さん(カヤパ)
壮麻さんはかつて四季のJCSでジーザスを演じたことがあるんですよね。すごく見たかったんだけどその時はまだ舞台のことに無頓着で全く知らず、ファンになった直後くらいに四季を対談してしまったので叶わないものとなってしまいました。
それだけに、こんかい壮麻さんがこのコンサートに参加されると知った時にはとても嬉しかったです。役柄はカヤパですが、JCSのなかの壮麻さんを観れるということが本当に楽しみでした。
やっぱり英語の発音は抜群にいいですし、凛とした立ち姿も本当に素敵!これがジーザスだった時にはさぞ素敵だったんだろうなぁと思いを馳せてしまいました。
ただ、四季で二期会出身役者さんの超低音なカヤパ様をずっと見てきたこともあってか、ちょっと壮麻さんのカヤパ低音が物足りなく思っちゃったかな。すごい低い音なんだけど、まろやかすぎるというか(笑)。違う役で観て観たかったかも。
テリー・リアンさん(ペテロ)
ペテロのソロの出番は2幕後半の裏切りまでないので、それまではアンサンブル的な立ち位置。そういう背景もあってかちょっと印象が薄かったかも。でも、十二使徒のなかではけっこう存在感があって、率先してジーザスに「何が起こるか教えてください」と迫っていた様は印象的でした。
ロベール・マリアンさん(ピラト)
最初はとても落ち着いた紳士的な印象がありましたが、ジーザスが捕らえられた後からのピラトのお芝居は非常に動きがたくさんあって見ごたえがありました。
個人的に面白かったのは、最初にカヤパたちがジーザスを裁けと迫った時に「それはヘロデの役目」と突き放して群衆と一緒に手を振りながらホサナを歌いながら去っていったシーン。この時ちょっとはしゃいだ様なチャーミングな表情をされていてめっちゃ可愛かったww。「私は関係ないからね~」みたいに責任転嫁してるところがなんとも(笑)。こんなピラト、初めて見たw。
でも結局自分のところに戻ってくるわけで、その時に突き付けられた現実に戸惑い「何とか助けてやりたいのにジーザスはそれに乗ってこない」というもどかしさから自分を見失っていく様がリアルでグッとくるものがありました。鞭を打ち終わるあたりの激しい感情の動きは特に印象深かった。ピラトの苦しみ、夢が現実になったことへの絶望感、すべてが詰まっていて非常に見ごたえがありました。
海宝直人くん(シモン)
今回のコンサート、ラミンとともに楽しみにしていたのが海宝君です。彼はコンサートなどではジーザスの♪ゲッセマネ♪を歌うことが多く、そのたびに世界基準の胸をつかまれる歌声に圧倒されまくってきたわけですが・・・今回はシモンでの出演。
あーー、キャスティングこうきたか!!と思いましたね。絶対合いそうって期待しかなかった。
その想いに100パーセント以上で答えてくれたよ、海宝君のシモン!!ジーザスに心酔するあまりどんどん自分を高めてついには昇天してしまうのではないかと思わされんばかりの歌いっぷりに客席も大興奮でした。あの攻めの歌い方は本当にゾクゾクさせられましたね。
改めて、海宝くん、本当に世界で戦っていけるミュージカル俳優だよって思った。終わった後のショーストップな地鳴りのような拍手が本当にすごかったです。
アーロン・ウォルポールさん(アンナス)
アンナスの音域って高く上がったり低く下がったりととても広くてものすごく難しい役の一つだと思います。これまで四季で観てきても、かなり苦労しながら歌ってるなと感じる役者さんが結構多かった。
でも、アーロンさんはこの難しい音域をものの見事に軽々と歌いこなしていて本当に驚きました!大きな体から繰り出される変幻自在な歌声に圧倒されるものがあった。本当に素晴らしかったです。
後述
今回は本当に貴重で素晴らしいコンサートを日本で観ることができてとても感激しました。世界的に活躍されているすごい俳優さんたちの中で日本人の役者さんたちがこれほどまでに対等に溶け込んでいることにも感動。
こういったコンサートはほぼ東京でしか行われないことはやはり残念です。もっと多くの地域の人にも観てもらいたい。せめて関西…頑張って呼んでほしいなぁ。2日間くらいでもいいから来てほしい。