ミュージカル『ボディガード』来日公演 in 大阪 2019.10.17マチネ

ミュージカル『ボディガード』来日公演を観に大阪まで遠征してきました。

来日版の『ボディガード』を観るのは今回が2回目でして…(汗)。実は1か月前に開幕してから間もない頃の東京公演を観に行ってました(ペテン師と詐欺師の前日に…w)。
なぜその時にレポブログを書かなかったかといえば、ちょっと忙しくなったというのもありますが、本当の理由はもう一つ。物語としてちゃんと見なかったというのが大きい(汗)。なぜそうなったかについては後ほど…(笑)。

今は亡きホイットニー・ヒューストンとケビン・コスナーが主演した映画の舞台版ということで、ミュージカルになるとどういう雰囲気になるのか気になってチケット入手しました(その当時は東京公演のみ)。
まさか、その当初の想いとは全く違った感情で大阪公演のチケットを衝動的に購入することになるとは思いませんでしたww。

けっこう宣伝活動もしていたようには思うのですが、実際のところは思ったよりも客入りが伸びなかったのかなというのが正直な印象。ロビーとか空いててびっくりしたし(東京も大阪も)。
うーーん、どうしてかなぁ。日本になじみが薄い役者さんが多かったからとか?タイトル的に興味を惹かなかったのだろうか。とてもレベルの高い作品だったのでそれはちょっと残念です。

ちなみに私が観に行った大阪公演では大勢の学生団体が入っていてとても賑やかでした。特に1幕の最初と2幕最初のシーンでの反応がすごかったww。非常に素直な反応だったとなと(笑)。

とはいえ、物販のほうは好調なようで東京で売っていたグッズの半分は売切れてました。もしかしたら持ってくる量を減らしたからかもしれないけど(汗)。


テディベアもなくなってたな。東京で購入しておいてよかった。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

 

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2019.10.17 マチネ in 梅田芸術劇場(大阪)

主なキャスト

  • レイチェル・マロン:ジェンリー・シャロー(大阪)/アレクサンドラ・バーク(東京)
  • フランク・ファーマー:ブノワ・マレシャル
  • ニッキー・マロン:ミシャ・リチャードソン
  • サイ・スペクター:ゲイリー・ターナー
  • ビル・デヴァニー:ピーター・ランディ
  • トニー・シベリ:グレイグ・ベリー
  • ストーカー:フィル・アトキンソン
  • レイ・コート:サイモン・コットン
  • フレッチャー:アーチー・スミス(大阪)/カレブ・ウィリアムズ(東京)

アンサンブルの皆さんも迫力満点でした。特に上半身はだけたままで踊る男性ダンサーの皆さんの胸の筋肉には驚愕!!どんなトレーニングしてるんだ!?的な。ラグビー選手になれそうな強靭な肉体を持ってるキャストさんが何人もいらっしゃいました。

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あらすじと概要

もとになっているのは、言わずもがな、1992年に上映されたアメリカ映画『ボディガード』です。ボディガードのフランク役をケヴィン・コスナー、歌手のレイチェル・マロン役をホイットニー・ヒューストンが演じて大ヒットしました。

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特にホイットニーが歌った♪I Will Always Love You♪は世界的大ヒットを飛ばしグラミー賞を受賞、サントラは4200万以上売れたのだとか。
私も当時2回くらい映画館に観に行った思い出がありますが、ホイットニーの歌声に圧倒されたことを今でもよく覚えています。

そのホイットニーは順調なキャリアを積んでいたように思っていたのですが…、2000年以降は心身のバランスを崩すことも多くなり2012年に残念ながら急死してしまいました…。このニュースを知った時はかなりショックでしたね。もっと長く生きて活躍してほしかったです。

今回の舞台は基本的には映画を基にしていますが、ところどころで舞台オリジナルの展開になっていると思いました。

簡単なあらすじは以下の通り。

人気絶頂の歌手レイチェル・マロンは、謎のストーカーに付きまとわれ、敏腕ボディガードのフランク・ファーマーが雇われた。レイチェルは、警備強化のため窮屈な生活を強いるフランクを疎ましく思うが、献身的な仕事ぶりに次第に心を開き、二人は互いに愛し合うようになる。常に行動を共にしてきた姉が殺されてしまうなど危険状況にあることを知りながら、アカデミー賞受賞式への出席を決意する。

狂気を増していくストーカー。歌手人生に命をかけるレイチェル。任務遂行に身を捧げるフランク。家族が、仲間たちが、愛情、友情、恐怖、嫉妬、欲望がうずまく複雑な感情に揺り動かされストーリーは進行していく。

東急シアターオーブHPより引用

劇中ではホイットニーのヒットナンバーが数多くちりばめられています。映画では使われなかったヒット曲もふんだんに登場しているようです(映画の内容殆ど忘れた 汗)。

今回のカンパニーはUK(イギリス)。日本の前にはイギリス各所(アイルランド含)を回っていたようで、そこから海を越えての来日です。東京はもとより、大阪では海外公演を見れる機会がとても少ないので、10日間も滞在してくれたことには本当に心から感謝したい…!

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全体感想

映画のイメージが強い…という人も多いかもしれませんが、実は私、公開当初以来この作品をまともに見ていないことからすっかり記憶が薄れてしまいまして(汗)。覚えているのは、フランクとレイチェルが途中で良い仲に発展することと、クライマックスでフランクが…!って展開になることと、ラストシーンで甘い雰囲気になってたことくらい(笑)。
ようするに、細かいところをほとんど覚えていなかったので、比べるということもなくw非常に新鮮な気持ちで観ることができました。

まず最初にビビるのが幕が開いた直後の音!!大爆発する音と映像が流れて観ている者の度肝を抜く演出になってますw。あれはほんとにビクっとしますよ!!私は2回見たけど2回とも心臓が跳ねる感覚だったしw。

で、そのすぐ後に幕の後ろでフランクの過去のシーンが出てくるわけですが…私はすっかり『ボディガード』のストーリーを忘れてしまっているため、あれがどんな事件だったのかよく分からなかった(汗)。とりあえず、フランクが過去に重大な出来事に遭遇したんじゃないかなというのは伝わりましたが。

フランクの過去の出来事については劇中で後々語られることになるのですが、彼が非番の時に警護していた政府要人が暗殺未遂事件に巻き込まれちゃったわけなんですよね。それとあの冒頭のシーンが繋がるようで繋がらないような…??
なにせ英語ができなくて字幕だけが頼りということもあったので、そのあたりがはっきり繋がらなかったことは残念です(苦笑)。

あと、映画でおぼろげに覚えていたのがたしか、フランクの知り合いが真犯人だったような…ってことで。舞台バージョンでもフランクの同僚の協力者が登場してくるのでてっきりその人物が…っていう目で見てしまいました。
そこの顛末が違っていたのも舞台ならではの展開だったかなと思います。

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ストーリーの注目点としてはレイチェルとフランクの恋愛模様が中心にあるのですが、個人的にもう一つ注目したのはレイチェルの姉のニッキーの複雑な女心の場面です。

この物語の中で一番気の毒なキャラクターって、間違いなくニッキーだと思うんですよね。
自分が作ったバンドに妹が参加したことで居場所を失ってしまい、表舞台から身を引いてサポートに回っていたニッキー。でもレイチェルはそんな姉の複雑な気持ちに気づかないままだった。それでもニッキーはひそかに場末のバーで歌って気持ちの穴を埋める生活をしていました。華やかなステージに立つ妹に対して地下でしか自分の居場所を保てない姉の対比がとても切ない。

そんなニッキーの前にフランクがやってきて「君の歌、よかったよ」と優しく接してもらったら…そりゃ、恋に落ちるのは必然ですよ!!この点においては、ニッキーのほうがレイチェルよりも先にフランクに恋心を抱いているんですよね。
でも、フランクは結局、クライアントである妹のレイチェルに心を奪われてしまって深い仲となってしまう。これを知った時のニッキーの衝撃は同情して余りある(涙)。

ずーーっとその想いを封印し続けて妹のサポートをしてきたニッキー。
ところが、フランクの別荘で彼がレイチェルに傾いていることに耐えられなくなった彼女はついに告白。レイチェルが狙われるきっかけになったのも自分に原因があることも告げるわけで…。すべてをさらけ出してフランクを振り向かせようとするニッキーがあまりにも哀れで泣けました。

結局フランクは申し訳ないと思いながらも彼女を受け入れることができず…そのショックから激しく落ち込んでしまうニッキー。ところが、それだけにとどまらずさらに大きな悲劇が彼女に襲うわけで…ひたすら不幸のオンパレード状態にあったニッキーにひたすら感情移入してしまいました(涙)。報われなさすぎだよねぇ…。

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レイチェルを付け狙うストーカーは神出鬼没に登場してきて不気味そのものだったのですが、それをさらに助長させるのが映像演出。あれは怖いわw。ねっとりした暗いシーンと重なるように実物のストーカーが登場するシーンは特にぞっとした。

しかもこのストーカー、セリフがほとんどなかったんですよね。あるのは映像演出で出てくる回想シーンと、某所でのやりとりのみ。それなのにあの存在感はほんとすごいと思いました。肉体美がとにかく迫力のすごさだった(どうしてもそこに目が…ww)。

結局舞台バージョンは、このストーカーが敵対する存在として最後まで出てきましたね。
映画版の記憶も少し残っているもので、どうしてもフランクの同僚の裏切りは…とか考えちゃった(汗)。ただそうなるとストーリーも複雑だし敵キャラを一人に絞ったのはスッキリしてよかったと思います。

そして何よりもこの舞台の見どころはレイチェルのライヴシーンです。実に華やかでノリノリ。洋楽に疎い私でも知っているホイットニーの名曲が登場してくるのでテンション上がりました!音楽の迫力もすごいし、ダンサーさんたちのアグレッシブな動きも見ごたえ十分です。

あ、そういえば、ステージのレッスンの場面の時に演出家さんみたいな人が出てくるのですが、東京公演の時に字幕を観たら普通の言い方で出てきたのに、大阪で字幕を見てみたら超関西弁になってて思わず吹きましたww。その英語、関西弁で言ってるつもりなのね、と(笑)。
もし福岡や名古屋でも公演があったら…そっちの言葉になってるのかも!?

今回のミュージカルで特徴的だなと思ったのが、歌っているのが主役のレイチェルと姉のニッキー、そして息子のフレッチャーのみだったことです。レイチェルの身内しか歌ってないんですよね。フランクも歌うシーンはありますが…ちょっと訳ありだしw、字幕もなかったのでミュージカルシーン…とは一線を画していたような気がします(笑)。
それゆえ、ミュージカル…というよりかはライヴの合間にドラマが挟まるといったイメージのほうが強かったように思います。日本では最近歌主体でドラマを展開させる作品が増えてきたので、こういう手法には好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私は大いに楽しめました。

というのも、ただのライヴってわけじゃなくて見せ場がとにかく多い。演出が派手なこともあり一気に気持ちを持っていかれる感覚になりました。なので、ミュージカル慣れしていない人でも楽しめる作品だったんじゃないかなと思いました。
ただ…やっぱり、フランクにも1曲は心情を歌うような場面が欲しかったなぁ~~…とも正直思っちゃうかな。それを入れることでさらにドラマが深みを増すような気がしたので。

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と、こんな感じでけっこう舞台のストーリー見ていた風に書いていますが…実は、東京で最初に見たときは、ラストの顛末に全く気が付かないまま終わってしまい疑問符だらけだったんですよね(笑)。あんだけ付け狙ってきたストーカーは野放し!?ってずっと思ってたww。
それを確かめるためにっていうのも、今回の大阪公演を付け足した一つなんですが…でも結局はそれも建前かな(笑)。

正直に言いますと…

初めて東京で観たとき、フランク役のブノワ・マレシャルさんが本格的に出てきた瞬間からほぼ字幕無視して彼しかオペラグラスで見ていなかった(笑)。

もう、なんか、雷に打たれたかのような衝撃…というか星が飛んだというかww。完全に、フランク役のブノワ・マレシャルさんに一目惚れをいたしました(笑)。ラミン・カリムルーさんの時とは違う別の心のメーターが振り切れた感じww。

英語力がほぼゼロに等しいので、来日物は字幕が頼りになってしまうのですが…字幕よりもずーーーっとブノワさんを追いかけて見入ってしまっていたが故、肝心のストーリーと顛末が入ってきませんでした(笑)。
今回大阪公演を足したのは、その忘れ物を補うという目的ももちろんありましたが…

一番は、何としてももう一度ブノワ・マレシャルさんに会いたかったことでした。

海外の役者さんにあそこまで気持ちを持っていかれたの初めてかもしれないw。一番最初にブノワさんのフランクを観たとき、真っ先に、「本物のジェントルマンだ!!」という衝撃を受けたんです。たたずまい、セリフの語り口・・・すべてが私の中では完璧に映りました。

特に、レイチェルの息子のフレッチャーに対する武骨ながらも温かい眼差しを向けるシーンが多くて…その表情を見るたび心臓の鼓動がやばかったww。ほとんど笑顔を見せない役なのに、フレッチャーの前では対等な関係であろうとしていて、彼の本当の優しさが浮き彫りになるんです。この時のお芝居には本当に胸を打たれました。その演技の匙加減がものすごく絶妙

さらにレイチェルに対する気持ちの変化もグッとくるシーンの連続。

最初はわがままを言ってばかりのレイチェルに呆れて溜息とかついたりしてしかめっ面するシーンも多いんだけど(これがまた素敵w)、ある事件をきっかけに彼女が態度を改めデートに誘う(この時のレイチェルの照れっぷりが可愛い)のに乗ると態度が徐々に軟化。
お酒を飲んで少し気が大きくなったフランクがレイチェルのリクエストに「君の勇気に免じて」と答えて歌うシーンの可愛さったらなかったですよ(笑)。特に最後の「Thank you, very much!」の時の仕草が最高!!

ちなみにこの歌のシーン、字幕が付かなかったんですよね。東京ではあったような気がしたんだけど…気のせいかな?大阪では字幕なくて、ラストシーンがとても生きてきていました。

そして彼女の歌に我を忘れ吸い寄せられる1幕のラストシーン。そのときのダンディーさと情熱と美しいキスシーンには心を鷲摑みされてしまった!あんな奇麗なキスシーン、久しぶりに見たかもしれん。

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二幕の冒頭では彼女と深い仲になっちゃったとわかる場面から始まるので、団体の学生たちのざわつきが半端なかった(笑)。でも、渋い顔で眠ってるその姿でさえ美しく目が離せないっ!!

このまま二人の仲は上手くいくのかと思いきや、とあるトラブルがきっかけでフランクは「踏み込んではいけない領域に入ってしまった」ことに苦悩してレイチェルから距離を置こうとする。「今のままでは君を守れない!」と複雑な心境を吐露するシーンもグッとくるものがありました。
あまり表情を動かさないフランクですが、セリフの端々には彼女に対する捨てきれない愛情が伝わってきたんですよね。このあたりの芝居の匙加減も見事です。

もう、ブノワさんが演じたフランクに関しては思いの丈がかなーり募ってるんですがw、それを書くとえらいことになりそうなので留めたいと思いますが…ラストシーンだけ。

あの、クライマックスでのマトリックスな倒れっぷりがすごいっ!!体幹がしっかりしていないとあの動きはできない…!!さらにそこから苦しげな表情を浮かべながら銃を撃つ場面…、私の心にもとどめを刺されました(笑)。とにかく、美しかった…!!
ここで目が離せなかったため、東京ではことの顛末が掴めなかったのですがww、大阪でようやく把握しました(笑)。でも、しっかりフランクにロックオンしてましたけどねww。

その後、フランクに新しい指令が下りたことから二人は別れることになるわけですが…最後の最後にフランクのほうが彼女に未練を残すような仕草を取るんですよね。これが本当に切なかった…!!
ずっとクールな表情を崩さないフランクでしたが、心の底では本当に彼女のことを大切に想ってたんだというのが伝わってきて胸が苦しくなった。去っていく背中が寂しくて切なくて泣けた…!!

さらにレイチェルがラストの♪I Will Always Love You♪を歌い始めたときに流れる映像がさらに私の心を鷲摑みにっっ!!レイチェルを抱きしめるフランクの映像が最後に出てくるんですが…このときの、なんとも切なげな優しい温かみのある表情がたまらなかった…!!!あんな美しい表情、めったにお目にかかれないっ!!
「エンダ~~~~~」のところで私の心も昇天しておりました(笑)。

ちなみに、このラストに歌われる大ナンバー♪I Will Always~♪は、1幕でフランクがレイチェルにカラオケで歌った歌なんですよね。フランクの歌はガチガチでロボットみたいな歌唱力なので思わず笑っちゃうんだけど(レイチェルの冷やかしっぷりも可愛い)、「母が好きだった歌なんだ」と照れながら告げてたのが印象的だった。
フランクが好きだと語ったこの歌を、ラストシーンでレイチェルが万感の思いを込めて歌う。それをフランクが暗がりの中からそっと見つめて…というところで幕となります。この流れが本当に切なくて素敵だった。

今回の来日版『ボディ・ガード』、ブノワ・マレシャルさんに出会えたことが最大の収穫でした。本当に観に行ってよかった…!

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主なキャスト感想

アレクサンドラ・バークさん/ジェンリー・シャローさん(レイチェル)

東京公演ではアレクサンドラさんで観劇。

ちょっとハスキーながらも大迫力のライヴシーンでの歌いっぷりは圧巻でした!あのハスキーな声のどこからあんなすごい声量が出てくるんだろうかと驚愕したほど。それに、お芝居もとてもキュートです。
最初のわがままな場面では自分の我を通そうとする側面が強くてちょっとイラっと来る感じなんだけど(周りが翻弄されるのも分かる)、フランクと心を通わせるあたりからだんだん”乙女”な面が顔を出し始めていつの間にかめっちゃ可愛く見えてくる。特にフランクをデートに誘う場面での恥じらいっぷりは萌えましたw。

後半はフランクを愛するあまり、距離を置かれることに不安を感じる心情を見事に表現されてました。山荘で彼と静かに語り合ったときに壊れそうになった心が再び彼に寄っていく様もリアル。
ノリノリの曲からバラードまで感情豊かに見事に歌い切ったアレクサンドラさんは本当に素晴らしかったです。

大阪公演ではジェンリーさんで観劇。

ジェンリーさんはアレクサンドラさんに比べると細身の美人さんといった印象ですが、歌声がクリアでとても聞き心地がよく、ストレートに心に訴えるような歌いっぷりがとてもよかったです。ラストの♪I Will~♪も切々とフランクを想いながら思いの丈を爆発させる歌声に心打たれました。

ジェンリーさんのレイチェルはアレクサンドラさんと比べるとちょっとクールな印象でした。わがままで我を通そうとする場面でも、強い意志を持った一人の女性っていうイメージだったかな。あまり子供っぽさみたいなのは感じられませんでした。
それゆえ、フランクに心を許した後への女心の表現は実に自然。チャーミングな面を見せながらも少し少女のような恋心みたいなのが加味されていてとても魅力的に見えました。

どちらのレイチェルも本当に見ごたえがあって素晴らしかった!

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ミシャ・リチャードソンさん(ニッキー)

レイチェルの姉のニッキーを演じたミシャさんのお芝居がこの作品の中では一番核になっていたように思います。無邪気で少し周囲への配慮に欠ける妹に対し、自分の気持ちを抑え込んでひたすら彼女をサポートしてきたニッキーの複雑な心の内を見事に表現されていて、登場するたびに感情移入させられました。

印象的だったシーンの一つが、レイチェルが警備が難しいとされる会場でのライブをどうするか揉めてるとき。その前の食卓で、レイチェルはニッキーに対して「まだあんなゴミ溜めみたいなところで歌ってるの?恥ずかしいからやめて」と叱咤してしまう。
これに対して今までずっと押し殺してきた妹への羨望や嫉妬の気持ちが一気にあふれ出して「どういう意味でそういうこと言うの!?」みたいに初めて食って掛かるんですよね。ニッキーの気持ちが痛いほどわかるのでこのシーンはとても切なかったです。

そして何より切ないのがフランクに対する片思いです。レイチェルも罪だよねぇ…ベッドルームで眠ってるフランクを見せてしまうんだから(苦笑)。姉の気持ちを知らないとはいえ、あれはショックすぎる。その時のニッキーのすべてが壊れてしまったかのような絶望の表情がものすごく印象的でした。
さらには思い切ってフランクに告白したのに拒絶されて、挙句の果てに…ですから。ニッキーの報われなさっぷりには胸が痛くて仕方なかったですよ。

こういったニッキーの紆余曲折した心の動きをミシャさんは情感豊かに演じられていました。さらに歌声も本当に素敵!思わず感情移入してしまう。レイチェルの代役としてもスタンバイされていたというのも納得です(実際1日だけレイチェルとして大阪で出演されました)。

フィル・アトキンソンさん(ストーカー)

フィルさんの演じたストーカーは実際にはセリフが一言もなくて、あるのは映像で流れる録音音声のみ。本当は生の声も聴いてみたかったけど(その代わりカーテンコールでノリノリの一節を歌われてますw)、逆に何も語らないところに不気味さがあって怖かった…!!
粘着質そうな雰囲気と、何をするかわからない恐ろしさを秘めた目…さらには鍛え上げられた肉体!!海外では登場するたびにブーイングが起こったらしいのですが(笑)それも納得の役作りです。

セリフがない中であれだけの表現をするって本当にものすごく難易度が高かったと思います。カーテンコールで見せた笑顔はとてもキュートで優しそうな方だっただけにそのギャップには驚かされました。UKの役者さんは本当にレベルが高い!

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ブノワ・マレシャルさん(フランク)

もうさんざん色々と書いてしまいましたが(笑)、今回の来日『ボディ・ガード』でこの方に出会えたことは最大の収穫でもありました。個人的に男性の方を「美しい」と表現することはあまりないのですが、ブノワさんを拝見した時には真っ先に、心の底から「なんて美しい男性なんだろう!!」という衝撃を受けました。
公演前に放送された特番を見たときには「カッコいい俳優さんだな」くらいにしか思わなかったのにww・・・生の力、おそるべし!!

基本的にクールなフランクに徹して演じられていたのですが、レイチェルの息子であるフレッチャーに見せる表情は実に穏やかで温かく、本当は心根の優しい人なんだなというのが一発で伝わってきた。なんといっても、職務中は厳しさを秘めていた眼差しが彼と接するときになると優しさであふれる…あの変化がたまらなく私の心を打ちました。
その目の変化はレイチェルにもいかんなく発揮されていて…、ため息交じりだった頃から、ちょっとかわいいなと思い、最後に女性としての魅力を感じて彼女へキスをするまで・・・彼の中の心の変化が手に取るように伝わってきた。それを実にスマートにやってのけるんですよ、ブノワさん。

レイチェルと深い仲になってしまった後、後悔の念に駆られるんだけどその苛立ちを思わず彼女にぶつけてしまう瞬間もある。それを言ってしまった後の何とも言えないもどかしげな表情も非常に印象深かった。
そんな複雑な思いを抱えつつも、レイチェルを守ることには命を懸けてるフランク。穏やかな山荘での事件を経て、授賞式に挑むときのなんとも頼りになる背中よ!!

ラストシーンについては前にも書いてるので省きますけど、もう、怒涛の勢いで私の心はブノワ・マレシャルさんの演じるフランクに捕らわれてしまいましたw。

ブノワさんについて経歴を見てみると…なんとダンサー出身とな!それであの体幹!!納得。カーテンコールでは打って変わっての楽しそうな表情と笑顔で一節くるっと回ったりしてくれてたんだけど(最後の最後しか出てこないの勿体ない!!)、これが超スマートだったんですよ。もっと見ていたかった!!
っていうか、カテコのブノワさんのちょっと子供みたいな可愛らしい優しい笑顔がこれまた実に魅力的だったんですよねぇ。そういう役をやってる姿も見てみたいよ~。

劇中ではフランクは歌が下手っていう設定なのでロボットみたいな歌い方になってるんだけど(これがとてつもなく可愛らしい)、実際のブノワさんはミュージカルの舞台にも立たれていて歌がお上手。事前のPR番組でちらっと歌ってくれていましたが、甘い歌声がとてもすてきでした。
それを知っていただけに、フランク役でもまともな一曲がやっぱりほしかったなーーー!!と思ってしまうw。

あと、声が非常にイケボ!!!ちょっと深みがありながらも清々しく響いてくる声に、さらに艶っぽさが加わってて…これも私の心をつかんだブノワさんの要素の一つかも。

海外の役者さんにここまで心を奪われたのは本当に初めてだと思います(汗)。でも、日本での知名度がない故か、お仕事情報などが掴みづらい…。まだまだ見ていたい役者さんなのに…。
さらにフランスの役者さんということもあって、フランス語が実に難しいw。せめて英語だけでも覚えなければと思いますw。今までの中で一番ハードルの高い人のファンになってしまったかも(汗)。ラミンみたいに何度か来日してパフォーマンスしてくれたらいいのになぁ・・・。

日本で得る情報が本当に少ないのが悩みです、ほんとに…。どうすれば彼の活躍を日本から応援してまた来てくれるようなことになるのだろうか…と真剣に悩む今日この頃。

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後述

え~~…白状しますと、あれから大阪公演もう一度だけ追加しまして…前楽も観に行ってしまいましたw。海外ミュージカルで突発する日が来るなんて思ってもみなかった。大阪が終わったらUKチームは日本を離れるし、ブノワさんももういつ日本に来てくれるか分からない。そう思ったら居てもたってもいられなくなりました。

ラストシーン、レイチェルとフランクの別れの場面は「これでもう会えなくなるかもしれないんだな」っていうドラマとは別の感情が動いちゃって、気が付いたらボロ泣き(汗)。特に、ブノワ・マレシャルさんに会えなくなるのがめちゃめちゃ寂しかった…。

カーテンコールでは入場する時にもらった光るブレスレットを振って大盛り上がり!!


この日はちょっとハードスケジュールになってたのですが、行くことができて本当に良かったです!!UKカンパニーの皆さんのはじける笑顔が最高でした。

遠く日本まで…しかも、大阪に10日間も滞在してくださり、カンパニーの皆さん、本当にありがとうございました!これからもツアーがあるようなので怪我のないように頑張ってください。

ブノワ・マレシャルさんさんはフランスへ戻られたようです。フランス…遠い…(涙)。ぜひぜひまた日本に来てくださいね。その時は必ず観にいきますっ!

来年には演出も変えて日本版がいよいよ上演されます。1回だけチケット確保していますが、どのように変化しているのか楽しみです。フランクはUK版では「歌が下手」って設定だったけど(ブノワさんの本気の歌が聴きたいっ)、新演出だとどうなるんだろう?大谷亮平さん、歌下手設定だと安心できるけど…なんて思ってたんだけどなww。実際のところどんな歌声なのかも気になるところです。

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