ミュージカル『ジキル&ハイド』を観に大阪遠征してきました。
ジキハイは鹿賀丈史さんが初演で演じたのを観て以来、上演されるたびに観に行くほど大好きな作品です。鹿賀さんは01年~07年まで主演をされて、12年~石丸幹二さんにバトンタッチ。今回の公演で石丸さんは3演目となります。
梅芸のロビー部分にはたくさんのお花が来ていて大変華やかな雰囲気になってました。
実は、東京公演での評判があまりにもよかったので急きょ1公演増やして2日連続で観てしまったんですが(笑)、1回目の大阪初日公演の時には観劇者全員に特別カードが配布されました。
全部で4種類あったようなのですが、無作為に配られていたので誰がどれになるかはわからない状態w。私に渡されたカードは・・・
石丸ジキルと、宮澤エマ(なにげに名前と役名が同じですがww)タイプでした。
ちなみにそのほかには、石丸ジキルと田代アターソン、石丸ハイドと笹本ルーシー、石丸ジキルと石丸ハイドの組合せだったそう。他のも見てみたかったな~🤔。
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
2018.03.30マチネ~03.31ソワレ公演 in 梅田芸術劇場(大阪)
主なキャスト
- ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド:石丸幹二
- ルーシー・ハリス:笹本玲奈
- エマ・カルー:宮澤エマ
- ジョン・アターソン:田代万里生
- サイモン・ストライド:畠中洋
- 執事プール:花王おさむ
- ダンヴァース・カルー卿:福井貴一
宮川浩、阿部裕、川口竜也、松之木天辺、塩田朋子
麻田キョウヤ、川島大典、杉山有大、安福毅、折井理子、七瀬りりこ、真記子、三木麻衣子、美麗、森実友紀
あらすじと概要
1888年秋、ロンドン。医者のヘンリー・ジキル(石丸さん)は、セント・ジュード病院の最高理事会に臨んだ。長年研究を続けてきた、「人間の善と悪を分離する薬」の人体実験の許可を得るためだった。すべては精神のコントロールを失った父を救うため。ひいては人類の幸せと科学の発展にも寄与できるとジキルは確信するが、婚約者エマ(宮澤さん)の父ダンヴァース卿(福井さん)、そして友人のアターソン(田代くん)から「死神よりも危険な理論だ」と忠告される。二人の危惧は的中、上流階級の面々が集う理事会で、ジキルの要求はほとんど一方的に却下された。
その夜、リージェント・パーク地区のダンヴァース卿邸では、ジキルとエマの婚約パーティーが開かれた。そこに出席した理事会のメンバーは、この婚約を快く思ってはいない。なかでも、秘書官のストライド(畠中さん)はエマに結婚を考え直すように迫るが、エマとジキルは強い愛情の絆で結ばれていた。 パーティーを逃れ、ジキルはアターソンに誘われるまま、カムデンタウンにある娼館も兼ねるパブ“どん底”を訪れる。そこには魅惑的な娼婦ルーシー(笹本さん)がいた。その場の雰囲気にとまどっているジキルに、ルーシーは甘くささやく。「私で試してみたら?」その言葉に、ジキルは自ら開発した薬を“自分の身体で試す”という解決法を見出す。
ハーレー・ストリートの自宅に戻ったジキルは薬を服用。ほどなく体に異変が起こる。頭痛、恍惚感、痛みが全身を貫き、呼吸困難に・・・。ジキルの心と体は、エドワード・ハイド(石丸さん・2役)に変わった。「自由だ!」――ハイドは叫び、ロンドンの夜の闇の中へ出てゆく。 それから1週間。ジキルはエマやアターソンとも会おうとしなかった。ある日、ルーシーの体の傷を治療した彼は、加害者がハイドであることを知り、愕然とする。いっぽう街中では理事会のメンバーが次々に惨殺されていった。エマとの結婚式が近づく中、ジキルは、ハイドをほとんど制御できなくなってゆくのを感じていた。 アターソンにすべてを打ち明けた彼は、ルーシーの身を案じ、「ロンドンからすぐに立ち去るように」との手紙を託すのだった・・・。
公式サイトより引用
精神病棟に入れられてしまった父の尊厳を取り戻すために【善と悪】を分ける薬を開発して人体実験をしようと試みたジキル博士。善と悪とに分離して【善】の部分だけを残せば人は幸せになれるし世界も平和に導くことができる…っていうあまりにも究極の理想を掲げたわけですが、倫理的な面からも結局誰一人として賛成を得ることはできなかった。
そこから始まるジキル博士の悲劇がドラマチックに展開していくこの作品。
私は原作を読んだことはないのですが(なんだかホラー色が強そうなので😅)、たぶんミュージカルだからこそその世界観へとのめり込んでいけるっていうのはあるかもしれません。とにかく楽曲が登場人物たちの心情に見事にリンクしていて、見ているこちらもいつの間にか同調してのめり込んでいけてしまう。
フランク・ワイルドホーン最初の作品ですが、改めて凄い作品だなぁとシミジミと思いました。力強い楽曲から美しいバラードまで色とりどり・・・ミュージカルの魅力がすべて詰まったような『ジキル&ハイド』。まだ未見という人にはぜひ次回体感してほしいです。
全体感想
2年ぶりに再演されたジキハイ、キャストも数人入れ替わりまた前回とは違う新しい作品になったなぁという印象がありました。
石丸ジキルに変わってからもう3演目になりますが、どうやら演出面では私の記憶の中では鹿賀ジキルバージョンの方が色濃く残っていたようで😅、未だにまだちょっと見慣れていないw。どちらかというと鹿賀さんバージョンの時に通いまくってたからなぁ。
たとえば冒頭、ジキル博士がストライドから呼ばれる場面。初演の頃は1回呼ばれてもなかなか出てこなくて何度かワーワー騒がれて慌てて出てきてたんですよね。この記憶が今も抜けなくて「あれ、ジキル博士1回呼ばれて来ちゃったよ」って思ってしまった(笑)。そういえば、ジキル博士が薬の説明をするのも最初は上手じゃなくて下手だったんですよね。あと、サベージ伯爵は実は鹿賀さんバージョンの時には手を下される寸前に死んでしまっていて、「何もしないのに死んだ」っていう鹿賀ハイドの台詞が面白かったんです。今はもうガッツリ殺されちゃうんですけどね😅。そこがなくなったのがちょっと残念というのは未だにあるかな。
石丸さんに変わってからセットや演出もだいぶ変更されてるのですが、遠征観劇生活になってしまってからは回数通えなくなったのでまだ昔の記憶の方が濃いのかもしれません😅。
個人的にはオープニングが石丸さんに変わってからナンバーが足されて(「知りたい」)長くなってしまったのが、未だにちょっと違和感があったりします。石丸さんの歌声は本当に素晴らしいのですが、最初にそんな時間使わなくても…とも思えてしまって💦。しかもドラマ的な動きはほとんどなく、ジキルと父の意思の疎通ができないということが観客にはっきりと伝わるっていうくらいなんです。
そういう意味では、初演の頃のように【闇の中で】だけで本編突入の方がすっきりしていていいかもと思ってしまいました。
そのオープニング部分以外はもう、すべてが最高!!!ブラボー😂😂😂!!!!
【嘘の仮面】
この歌で一気に物語の世界に引きこまれます。とにかく上演を重ねるごとに歌う街の人達の迫力が重く力強く、そして攻撃的なものになっていって圧倒される。個人的には、阿部さんと宮川さんの圧を感じさせる歌声がすごく好き。あと、今回から初参加の万里生くんによる「いいか!?」の時の噛みつくような歌い方も面白くて印象に残りました。
毎回感じるけど、めっちゃ好きだなぁ~~~このナンバー!!ゾクゾクする😆!
制作発表の時の歌も迫力ありますが、舞台だとこの何十倍もすごいですよ!!ぜひ体感していただきたい。
理事会の場面では、畠中ストライドの憎々しさがパワーアップ(笑)。あと石丸ジキルの新薬を通そうとする気迫がこれまで以上に高かった気がします。個人的には石丸ジキルが宮川司教に「悪魔」と吐き捨てた時に「なんですとぉ!??」的な激しい動揺を見せていた表情が面白くてツボでしたww。
娼婦宿の「どん底」シーンは、ルーシーが玲奈ちゃんに変わって全体的に若さが前面に出されたような雰囲気がありました。濱田ルーシーの時よりも若干店が華やかに見えたかも。ここでの万里生アターソンのはしゃぎっぷりが面白かったんですがw、個人的にはその後ろの客としてハメを外しまくってる畠中さんに釘付けになってしまった😅😅。
大阪初日の時の服装の乱れwがかなりヤバいことになってて目のやり場に困ったwww。東京でもそんな感じだったんだろうかと思ってたら、翌日公演の時には反省したのか(?)見れる感じになってましたwwww。ここの描写は詳しく書けない😅😅。
ルーシーの一言でついに自分を人体実験しようと思いつくジキルが研究室に入る場面、ここのくだりもドキドキするんですよね。2階部分を歩きながら徐々に研究室へ近づくんですけど、スイッチが上にあって電気が付いたりファンが回ったりする。1回目はかなり前方席で見たんですが、すごい迫力ありました。
【時が来た】のナンバーについては石丸さんの感想のところに書きたいと思います。
その直後の実験開始にあたっての日記。鹿賀ジキルはここのシーンはちょっとコミカルに演じていて毎回クスって笑ってしまっていたんですけど、石丸ジキルはとにかくまじめでw。同じセリフと動きなのに笑うというよりかはハラハラして見てしまう。演じる役者によってずいぶん印象が違うなぁと今回も思いました。個人的には鹿賀さんバージョンの方が好きなんですけどねw。
ジキルからハイドへと変貌する場面、確か以前は実験棚のところに一度もがきながら入っていってハイドになる時間を作っていたように思ったんですが、今はもうその変貌の瞬間を客席に大っぴらに見せてますね。なので、後ろに束ねた髪をほどくタイミングとかけっこう難しいと思うんですが、石丸さんは実にそれを器用に外してました。
【あんな人が】
ハイドに傷つけられたルーシーが、ジキルを頼って家にやって来て治療してもらい恋心に目覚めていくナンバー。力強くドラマチックな曲が多いのですが、このナンバーは恋い焦がれるルーシーの純粋さが伝わる非常に美しいメロディなんですよね。
玲奈ちゃんもすごく頑張ってた。ただ、濱田めぐみさんの演じたルーシーがあまりにも鮮烈だったのでちょっと物足りなく思ってしまったのは残念だったかな。濱メグさんと玲奈ちゃんは全くタイプが違う女優さんなので比較とかはできないのですが、脳裏に刻みつくくらい濱田ルーシーの歌が凄かったので…慣れるまでには時間が少しかかるかも。
1幕クライマックスでハイドはついに第一の殺人を犯します。その相手が、宮川さん演じるベイジングストーク大司教なのですが・・・ハイドと遭遇する前に司教様は【どん底】でお楽しみだったんですよねwww。しかも、それを手配したのがスパイダー(元締め)っていうのが面白い。なぜかと言うと、司教役の宮川さんが演じてるもう一つの役がスパイダーだからです。なので、自分で自分を優遇してやってるってことに思えちゃう(笑)。全く違う顔を持つ役なんですけどねw。宮川さんは実に巧く演じ分けてたと思います。
あと、娼婦の子に帰り際に「ランデブー😍」と甘えるんですけど、前回公演よりも鼻の下伸びてる度が上がっててめっちゃ笑えましたwwww。あの言い方、やたら可愛かったよ(笑)。
それにしても、初演の頃よりも司教様がやられる演出が大掛かりになっているので、逃げるのも大変だよなぁと改めて思いました。かなり綿密な打ち合わせとコンタクトをしないと下手したら本当に危ない!!ってことになりかねない😱。
このあと2幕頭からどんどん理事会に参加していたメンバーが殺されていくシーンになるんですけど、司教様が一番ダイナミックなやられ方なのでね😵。宮川さん、毎公演本当にお疲れ様でした。
次々に起こる殺人事件にざわつく街の人たちが歌う【事件、事件】も大好きなナンバーです。1幕頭の【嘘の仮面】同様、とにかく圧が凄い!!殺されたはずのメンバーが「街の人」役として次々に復活wしていくのも個人的な楽しみの一つだったりします😁。理事会メンバーの役者さんたち、一人何役もこなしてますのでねw。ちなみに宮川さんは2幕冒頭から街の人に溶け込んで出てます(笑)。
個人的に印象的だったのが麻田くんが演じてる新聞屋。次々に起こる殺人事件の内容を歌いながら表の顔では恐怖心だったり悲しみだったりを歌っているのに、ふとした瞬間に「ザマーミロ!!」的な本心の部分を見せる。まさに人間の裏と表を体現してるんですよね。今までその違いに気が付かなかったんだけど、今回の公演で初めて気付きました。
ジキルとハイドの間を行ったり来たりして精神的にも限界を迎えているジキル博士。そんな彼を心配するエマと、ジキルの優しさが忘れられないルーシー。自分を取り戻すために新薬開発に没頭するジキルを真ん中に挟んで、それぞれの場所で彼への愛を歌うナンバーが・・・
【その目に】
どのナンバーも素晴らしいのですが、その中でも3本の指に入るくらい大好きな美しくドラマチックなデュエット曲です。それぞれのジキルを想う心が痛いほど伝わってきて…特にルーシーの歌詞はめちゃめちゃ泣けます😭。前回の玲奈エマとめぐルーシーの迫力からは少し落ちた感は否めませんでしたが、それでもすごく感動しました。この曲の持つ力を改めて思い知った気がします。
この歌の後、ルーシーは自分の境遇の現実に戻り惨めさに激しい自己嫌悪を感じるのですが、その最中にハイドが現れる。乱暴に扱うハイドから逃げたいのになぜかその身をゆだねてしまうルーシーとハイドの歌う【罪な遊び】は背徳感がすごくて。特に今回の玲奈ちゃんルーシーは気の強さみたいなものが感じられるので今までよりも妖艶に見えてドキドキする場面となりました。
ルーシーは何故ハイドに身をゆだねてしまうのか…。そこはやはり、ハイドが実はジキルのもう一つの人格だということが関係しているからなのかなと。そんなことを感じさせるシーンでもあります。
いよいよ新薬完成に近づいたある日、ジキルはとうとう親友のアターソンに秘密を知られてしまう。ハイドがジキルだと気付かなかったアターソンが銃を向けるんですが、この時の万里生くんがけっこうカッコよかった。でも大阪初日ではジキルだと分かった時に銃を懐にしまう時けっこう手間取ってて可愛かったです(笑)。
ジキルはルーシーがハイドに殺されるかもしれないと察し、その場から逃げるようにということを伝えてもらうようアターソンに託します。この緊迫感は毎回すごくハラハラします…。ジキルもアターソンもすごく緊迫してるので😱。
そしてルーシーの部屋へアターソンは警告しに行くのですが、ルーシーはジキルからの手紙が嬉しすぎてすぐにその場を去るようにという忠告を守ることができなかった。
ジキルへの恋心が花開いて希望に満ちた想いで歌う【新たな生活】は本当に素晴らしいドラマチックなナンバーで毎回涙してしまうんですよね。そのあとに起こる悲劇が見えてしまっているとなおさらです😭😭。ルーシーが無邪気にはしゃげばはしゃぐほど見ているこちらの胸が締め付けられるような辛さに襲われる。ジキハイの中でも特に印象深いのがこの場面だったりします。ナンバーが本当に素晴らしいのに、動画のいいのがないのが残念!
逃げ遅れたルーシーはジキルへの嫉妬心募るハイドに殺されてしまうんですけど、ここの演出がすごく哀しいんです…。凄惨なんだけどものすごく切ない😭😭。
直後にハイドはわざとジキルに戻って現実を見せる。激しいショックを受けたジキルが完成した新薬を飲んでハイドを抹殺しようと葛藤する【対決】は大きな見せ場の一つ。二つの人格がせめぎ合う後ろにルーシーの哀しい姿があって…。たしか初演の時にはすぐにベッドが捌けていったと思うんですが、今はルーシーのベッドの傍でジキルとハイドが途中まで戦うという構図になってますね。
そして、結婚式の悲劇へ…。ようやく落ち着いてエマと結婚できることになったジキルですが、なぜかハイドがまた顔を出してしまう。おそらく、その場に理事会メンバーのストライドがいたことが引き金になっていたんじゃないかなと思いました。彼を抹殺したいというジキルの奥底に潜んでいた想いがハイドとして現れたがゆえの悲劇に見えたので。
目的を達成した後もハイドの人格は消えず・・・ジキルの愛するエマに手をかけ、結果的にアターソンが動くことになります。私は今までこのシーンを見てきて、最後はジキルの姿に戻ったと思ってたんですけど、今回見た時にはジキルがハイドの人格を受け入れたように見えて…どちらかというとハイド色が強いジキルだった気がするんですよね。ジキル博士が分離してなくそうとしていた『悪』の側面を最後に受け入れた…つまり、本当の自分になったのかなぁと。
なんか、これまで見てきたものとは一味違ったラストシーンに見えてとても興味深かったです。
キャスト別感想
石丸幹二さん(ジキル/ハイド)
3演目となる今回、またさらに深みのある役作りで本当に素晴らしかったです!!
ジキルとハイドの演じ分け方も以前とは少し違う感じだったかな。今回はジキルのほうが力がグッと入っていて、逆にハイドになるといい感じにフッと力が抜けているように見えました。それ故に二つの人格の違いがすごく分かりやすかったです。
そして何よりも、【時が来た】のナンバーの歌い上げが最高級に素晴らしくて鳥肌が立ちまくりました😂😂!!!特に、大阪2日目のソワレは前楽ということもあってか今まで以上にドラマチックで・・・広い梅芸全体を完全に支配するかのような圧倒的なものを感じました👏👏。歌い終わった瞬間はショーストップのようになってて、私も思わずスタオベしたくなるくらい感動しましたね。
カテコでは毎回最後に投げキスしてくれて、あ~、石丸さん素敵だなぁって😊。次回公演も石丸ジキハイで見たいなぁ。さらに進化した姿を期待したいです。
笹本玲奈さん(ルーシー)
前回エマ役だった玲奈ちゃんがとうとうルーシーに!イメージ的にはやはりエマって思ってしまうんですが、彼女の実力からいうと少し勿体ないかなぁとも感じていたので今回のルーシー昇進は個人的に応援したい気持ちでした。
ただ、如何せん、前の濱田めぐみルーシーがあまりにも強烈なインパクトを残していたので・・・正直なところやはり玲奈ちゃんにはルーシーはキャラ的にあまり合わないのかなあと思う部分もありました。でもすごく健闘していたと思います。
強そうな外見とは違って儚いイメージだった濱田ルーシーに対し、玲奈ちゃんは幼くか弱そうに見えて実は気の強さを持ち合わせているルーシーといったイメージだったかな。この子なら頑張れば「どん底」から抜け出して新しく暮らしていけそうって思えたかも。なので、ハイドとのシーンは拒絶しながらもどこか対等な関係のように見えたのが印象的でした。
宮澤エマさん(エマ)
なんと役名と同じのエマちゃん(笑)。海外作品でこういうことは珍しいですよね😁。
宮澤さんの役作りはこれまでの歴代エマに比べるとかなり積極的なお嬢様という印象が強くて面白かったです。芯は強くてもジキルを信じて後から女性らしく従っていく、というタイプのエマを今まで見てきましたが、宮澤さんの場合は肝っ玉母さん的というかww、ちょっとハネっ返りの闊達なお嬢さんというイメージ。しおらしさという部分はほとんど感じなかったのがすごく新鮮でした。後ろからついていくっていうんじゃなくて、ジキルを引っ張っていくくらいの気概すら感じられたくらいなので(笑)。婚約式でジキルの嫌味を言っている婦人に対して「私の将来のダンナの悪口言うなんていい度胸してるんじゃない?」的強さを見せるシーンもあって思わず、新しいエマだな!って拍手したくなったほどでした。
キャラクター的にはすごくよかったんですが、ただ、歌が他のメンバーに比べると弱かったのが否めなくて…そこが残念だったかなぁ。地声の出る部分は安定していたんだけど、エマは高音が多いので、そうなるとパワーダウンがあって音程もちょっと不安定になるように思える部分もいくつかありました。
再演で演じることになったら、さらに進化したエマに期待したいところです。
田代万里生くん(アターソン)
石丸さんとはだいぶ年の離れた万里生くんなので、果たして親友役がどこまで受け入れられるか注目していたのですが・・・思っていた以上に対等な立ち位置をちゃんと見せてくれていてものすごく良かったです😆!!髭も生えていたり(しかも地毛らしい!!)外見的にも色々工夫があったので、石丸さんとの年齢差も全然感じませんでした。まぁ、石丸さんも若く見えるしねw。
前回の禅さんアターソンはどちらかというとジキルの保護者的な雰囲気でしたが、万里生くんはジキルの悪友的な存在感を放っていて面白かったです。先輩にそんなグイグイで大丈夫?って思わずツッコミ入れたくなるほどwwすごく積極的に接していて。それ故に、ジキルとの関係がより親密なものに見えたんですよね。だから、クライマックスでの辛すぎる決断がよけいに涙を誘いました😢。
歌声の美しさも相変わらず。以前はちょっと線が細いイメージがあったけどここ最近は芯の強さみたいなのも感じられてとてもいい感じに思えます。
余談ですが、この再演前にダイジェストショーみたいな形のジキハイを観る機会があったのですが、その時アターソンはほぼ歌ってなくて(笑)。今回見て、アターソンってこんなに歌う場面合ったんだと改めて思い知ることになりましたww。
畠中洋さん(ストライド)
前回公演の時にもかなーーり嫌味度の高い畠中ストライドでしたが、今回また更にそれがパワーアップしていてww、もう、大好きな俳優さんなのに、見てるだけで憎たらしくなるっていう複雑な心境となりました(笑)。特に理事会の時のジキルへの態度がネチネチしまくってて、まるで毒蛇みたい😅。あざ笑いつつ周囲を煽り立てながらジキル博士を追い込んでいく様が実にリアルで、これじゃあ殺意抱かれても仕方ないというのが納得の人物でしたw。
結婚式でのエマへの未練がましさっぷりもさらに度を越していてww、酔っぱらいながらも必死にエマの気持ちを変えようと迫る姿は何とも滑稽というか哀れ。そんなストライドを万里生アターソンが事あるごとに引きとめて上手く収めようとしている構図が可愛くて面白かったです😁。
そしてねぇ、やっぱり、そんなネチっこいストライドでも、歌は絶品なわけですよ!ソロナンバーは多くないんですが、たまにソロの部分が出るとあの透明感あふれる美しくも力強い歌声に思わず引き込まれてしまう。そろそろじっくりとその美声を堪能する役が見たいなと思いました。あ、夏の「TENTH」があるか!楽しみです。
花王おさむさんのプールはジキル博士に忠実なおじいちゃんって感じで見ていて和みました。特に走り方とかが可愛い😊。
福井貴一さんは久しぶりに拝見しましたが、めっちゃナイスミドルになっていて見惚れてしまいましたよ~☺。いい歳の重ね方されてるなぁと思いました。あと、ダンヴァース卿の姿が、福井晶一さんが演じたバルジャンの外見と似てるような気がして…!!名前が一字しか違わないんですけど、なんだか外見も似てきたなぁと思ってしまったのでした。
他のアンサンブルの皆さんも実力者揃いで圧巻の歌と芝居を堪能させてもらいました😂。
後述
2年ぶりに再演されたジキハイでしたが、新たな発見などもありとても有意義な観劇となりました。特に前楽公演も見れたのがよかった!!実力者の役者さんが多く非常に見応えのある最高の作品を堪能することができました。
それぞれの役者さんの進化も楽しみたいので、またぜひ同じキャストで次の公演も見てみたいです。
2016年版のライブCDもおススメです。ぜひ!
参考 大阪公演前楽に行われたトークショーはこちら↓