ミュージカル『レ・ミゼラブル』2013.05.22マチネ

今季2度目の帝劇レミゼを観に行ってきました。

なんだかんだ言いながらも、通えるところにある以上は色んなキャストを見てみたい、ということで、今回はキムバルジャンを選択。席も2階後方からを選んでみました。帝劇はいつも1階席後方のA席ゾーンを選ぶんですが、今回久々に2階席後方のB席。学生時代はこちらのゾーンでよく見ましたが、その記憶が…「やたら遠い」というものでしてwある程度覚悟はしていました。

ですが、思ってたほどの疎外感はなく…悪くないかもという感想。レミゼは特に光の使い方が2階席からのほうが楽しめる作品なのでそう感じたというのもありますね。さすがに裸眼でキャストさんの表情は分かりませんが(なので、ご贔屓目当ての方はそんなにお勧めできないかもw)オペラグラスを使えば見えますし。オーケストラも生演奏なので、四季のようにカラオケが遠いと感じることもありません。そんなわけで、想像していたよりもかなり快適に観劇できました。

ちなみに、2階ロビーにはレミゼへのメッセージボードが設置されていて自由に書き込みできるようになっています。これって、サイゴンのときにもあった企画ですね。

しかしながら、5/22現在すでに↓こんな状況(汗)。

書き込みたい方は、上手いことスペースを見つけるのが難しいかもしれませんが…チャレンジしてみてはいかがでしょうか。この中にキャストさんのサインも混じっているのですが…、正直、誰のがどこにあるのかほとんど分からん状態になってます(笑)。
コメント欄はほぼ好意的なものばかりなんですが、中には非常にシビアなご意見もあり。媚びてなくて正直で良いかもとか思っちゃったww。とにかくいろんな意見があるので時間がある方は探してみてはいかがでしょうか。

主なキャスト
バルジャン:キム・ジュンヒョン、ジャベール:川口竜也、エポニーヌ:昆夏美、ファンティーヌ:和音美桜、コゼット:青山郁代、マリウス:田村良太、テナルディエ:KENTRO、マダムテナルディエ:森公美子、アンジョルラス:野島直人、司教:古澤利人、ガブローシュ:加藤清史郎 ほか

以下、ネタバレ感想です。今回は比較記事が多いのでやたら長いです(汗)。

 

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今回は前回書き切れなかった前演出と新演出の違いについてを中心にレポしようかと思います。思いっきりネタバレしてますのでご注意ください。

囚人の歌
オケの音が前よりも高めになった分音が増えてちょっとドラマチックになったかなと思います。そして前回書きそびれましたが、まずのっけから全く違う設定になりました。
前演出ではどこぞの作業場でひたすら土掘りをさせられていましたが、今回から映画と同じく囚人は船漕ぎしてます。バックには大きな船の映像がババーンと出てきますのでけっこうリアルでカッコいい。2階席から見るとさらに「船漕ぐ囚人」のように見えてなかなか良かったです。ちなみに歌詞は変わってません。
バルジャンがジャベールの前に引きずり出されるのは同じですが、「忘れるなよ、おれの名を」とジャベールが歌うところではジャベが警棒でバルジャンの首を捻っていた前演出とは違って部下の警官が棒でジャベのほうに向かせてました。

仮釈放
バルジャンが仮釈放されて色々たらいまわしされるのは基本的に変わっていませんが、作業場シーンではコゼットとエポニーヌの子役二人が「女の子」として走り回る場面と、宿屋を追い出されたシーンでは街中でガブローシュ役(この日は清史郎君)が「男の子」役としてバルジャンに絡まれる場面が追加されています。

司教
前演出では舞台中央で展開されていたこのシーン。司教の妻役にはテナルディエ夫人の役者が当てられていましたが、今回からは他の女性アンサンブルさんになってますね。舞台中央で展開されていた頃はバルジャンが銀の食器を盗むまでに司教様がその場から立ち去りきれなかったのでツッコミの対象になりやすかったのですが(笑)、今回は下手ゾーンに教会の部屋が作られているので司教様も楽々とバルジャンが盗むまでに袖に引っ込みやすくなっていますww。
バルジャンが逮捕され、司教様が銀の燭台を与え去っていくシーン。前演出では「あなたの魂私が買った」と告げた後にわりとあっさりその場を立ち去っていた司教様ですが、新演出ではバルジャンが自らの罪と向き合い葛藤している姿をけっこう長い間見つめるようになっています。ここはなかなかドラマチックで良いなと思いました。

一日の終わりに
民衆たちの登場の仕方が大きく変わりました。旧演出では舞台奥の暗闇からワラワラと出てくる感じでしたが、今回は舞台中央にある巨大な扉のようなものが数枚開いて、その隙間から民衆たちが出てくるようになっています。

工場
民衆たちはそのまま工場の外になだれ込んでいくかのようになっていた前演出に対し、新演出ではガラリと切り替わり工場の中のシーンになります。前は工場で働いている雰囲気ではなく休憩中にファンティーヌが手紙を読んだりしているみたいな印象が強かったのですが、今回は映像効果もあっててか、本当に皆さん仕事してます。しかも以前にも増して皆さんガラ悪いです(笑)。たしか旧演出では2人くらいファンティーヌの方を最初持つ人がいたはずですが、今回は四面楚歌状態でかなり気の毒なことになってます(汗)。
あと、ファンテが「あんたたちは何もないと神に誓える!?」と歌った直後に就業の汽笛が鳴る演出になりましたね。前はあれなかった…っていうか、仕事してるのか曖昧だったからww、シーン的にすごく分かりやすくなったと思います。

夢やぶれて
基本的に前演出と変わっていませんが、追い出されてから歌が始まるまでの時間がものすごく短くなってるので余韻に浸れません(苦笑)。前回までは追い出された後に罵声を浴びて孤独を深めていくファンテの姿があったんですけどね…。このあたりちょっとせわしない。

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波止場
ラブリィ・レイディは前演出では舞台中央で行われていましたが、今度は上手ゾーンが中心になってます。雰囲気的にも船着き場のイメージが沸きやすいセットや映像が出ていますね。前は確か娼婦たちが立ったりする台くらいしか置いてない状況だったw。それから、前演出ではファンテが金策に歩くシーンで盆が回っていましたが、今回はそれが全くないので平面的な印象を受けました。
ファンテがバマタボアと諍いを起こすシーン。ここは基本的に変わっていませんが、バルジャンが登場するタイミングが以前よりも遅いです。確か前は絡まれ始めたあたりから通りかかっていたのでそのあとの「本当じゃないのか、この人の話は」という歌詞に説得力があったのですが、今回はファンテの前にジャベールが現れる寸前くらいに通りかかっているので「本当じゃないのか」という歌詞の信ぴょう性がちょっと薄くなった気がします(苦笑)。

それから、ファンテがバルジャンに絡む場面。旧演出ではまだ状況把握できていないバルジャンにひたすら噛みつくファンテという印象が強かったのですが(しかも、状況把握できたのかすら曖昧だった人もいた 爆)、新演出ではファンテが追い出される要因となった手紙をバルジャンに見せる行動が加わったので彼も状況を理解しやすくなっているように見えます。ファンテが思いっきりバルジャンに唾をかけるシーンもなくなりましたし(私が見た日はですが)、このあたりは新演出のほうがリアルで良いなと思います。

馬車の暴走
ここは短縮版になる前のレミゼになんとなく似ているなと思いました。バルジャンが馬車を2度目で持ち上げるあたり特に。ただ、盆が回らないので逃げる民衆たちのスローモーションな動きは無くなっています。

裁き
ここは基本的に変わっていませんね。ただ、歌詞が「さぁ、みんなよく見ろ」から「さぁ、ジャベールよく見ろ」と個人を特定するものになってます。あと、以前まではなかった胸の焼き印が今回はしっかりと刻まれています。

ファンティーヌの死
この病院シーンの展開も以前までの上手寄りから下手寄りに変わりました。シーン的にファンテが亡くなるまでは基本的に変わりないように思います。
変わったなと思ったのはバルジャンとジャベールの対決。途中までは同じですが、二人の感情が高ぶった時にバルジャンが起こす行動が変更になりました。「俺はやるぞー」のあと、前の演出ではバルジャンが突然傍にあった椅子をぶっ壊してその木の棒でジャベールを威嚇してたんですよね。このぶっ壊れ方が悪いと木の棒が出てこなくて素手で構える、なんてハプニングにも遭遇したことありますwww。ところが、新演出ではバルジャンがジャベールの持っていた鎖を奪って彼の首をそれで締めるという荒々しい行動に出ています(汗)。このシーン前回見たとき、鎌田ジャベ、死んじゃうよ!!と本気で思いましたが(汗)川口ジャベは体格が良かったので、これしきじゃ死なないだろうなと思いましたwww。
最後バルジャンがジャベを振り切るときも、前回よりもバルジャン凶暴になったなぁという印象w。ぶん殴り方に憎しみこもってるし(汗)。

幼いコゼット
登場の仕方が以前よりもクローズアップされた感じになってるなと思いました。ちょうどレミゼのシンボルポスターみたいな感じ。

宿屋の主人
以前は横に広がった印象が強かったのですが、今回は中央に凝縮されている雰囲気ですね。2階のミニセットも登場します。テナルディエは最初そこで寝ているという設定。尋ねてくる客も金持ちから障害者になりまして…正直、私は見ていてあまり気分のいいものではありません(苦笑)。さらに客の質も以前の演出に比べると相当悪化してます。ここには書けないようなことも追加されてますし(あれはホントに意味不明 爆)。何度見ても、この宿屋シーンは前演出に戻してほしいと思ってしまいます。

取引
コゼットが重い水桶を運ぶシーン。バルジャンと出会ってビックリするところは変わっていませんが、以前は持っていた桶を下に落とすだけだったのが、今回はズルズルと引きずっていたのでバシャっと中身が零れてしまってます(汗)。なので、以前はテナ夫人は桶を重そうに持ったのに対し、今回は軽々と持ってますww。
テナ夫妻がバルジャンに値段を吊り上げるシーン。「金かがかかります、ダンナ」で泣き真似をして笑いを誘っていた前回までの演出とは違い、今回は「コゼット」の名前をテナルディエが「コメット」と言い間違えて夫人が速攻ツッコミ入れるというところで笑いを取るようになりました(笑)。コメットって…私はスナック菓子を思い出してしまうんですがww。
バルジャンがコゼットを引き取るシーン。以前は新しい帽子を被せてあげてましたが、あれ、紐結ぶので次のシーンまで間に合うかなっていうちょっとしたスリル感があったんですよね(笑)。それが原因か分かりませんが、今回から新しい洋服を上から着せてあげるように変わりました。あれならば変に緊張しなくて済むからね。

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強奪
大きく変わったのが、ガブローシュの歌の後にある「乞食たち」のシーンが一部カットされたことですね。梅毒に侵された娼婦とマドレーヌと呼ばれる娼婦がケンカしそうになる場面がまるまるカットになりました。それから、ガブローシュの歌詞もだいぶ変わりました。「ついてこい!」と駆け回るところが「ビバ!フランス!」とカッコよく叫ぶようになりました。まぁ、盆が回りませんので走り回るシーンはあまりできないというのが現実でしょうが。
ガブローシュの歌の後すぐにアンジョルラスとマリウスが出てきます。この登場の仕方も大きく変わりました。前回までは巨大なバリケードみたいなセットがあったのでその上の方の橋から登場して町を見下ろす感じだったのですが、今回は舞台中央部分から二人が登場するので、なんか、普通になっちゃったなぁという印象(汗)。
「ラマルクは重病だ、7日持つまい」とマリウスが歌っていた部分も学生たちと折半して歌うようになってましたね。

ジャベールの介入
ここは基本的に変わっていませんが、立ち位置が前演出と逆になったかな。バルジャンとコゼットは以前は上手側に逃げて行きましたが、今回は下手側にある扉から逃げて行きます。ちなみに、ここで登場する成長したコゼットですが…明らかに前演出のときよりも豪華なお洋服を着ているのでものすごく大人っぽく見えますw。たしか貧乏な暮らししてたはずなんですけど…(苦笑)、バルジャンはコゼットには金を惜しまなかったということですかねw。

星よ
ここもシチュエーションが前演出のときとかなり印象が違いますね。前回は大きなバリケードを前に朗々と歌う感じでしたが、今回は映画とほぼ同じシチュエーションで、橋の上から星を見ながら歌っています。配置的には客席に背中を向ける事が多い感じかな。ここの映像がけっこうきれいなので、私は新演出のほうが好きかもしれません。

ABCカフェ
前演出では横に大きく使っていたカフェでしたが、今回は奥の方に小さくまとまった感じなので地下の目立たない場所というイメージが強いです。なので、シーン的にけっこうリアルだなと思います。学生たちが狭い部屋の中で熱く語りあっている…その熱量みたいなものが前回よりも伝わってくるようになったなと思いました。

マリウスが遅刻してくるところとかはあまり変わっていません。ただ、ラマルクの死を聞いたアンジョルラスが赤い布を掲げて熱く歌うシーンは低い位置で行われているので、これに限っては前回のほうがドラマチックだなぁと思います。それから、外に出て民衆たちに語りかけるシーン、以前まではリアカーが出てきてそれにアンジョルラスが乗って回る盆と共に鼓舞していくみたいな感じでしたが、今回は小さな櫓みたいなのが出てきて、そこでアンジョが民衆たちに呼びかけてそのまま奥に引き連れて去っていくような演出になりました。躍動感的には前のほうがあったかもなぁ。

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心は愛に溢れて
バルジャンの邸宅の門の角度は前演出と同じですが(笑)、比較的下手寄りになりました。そして下手サイドのところに邸宅セットが組まれているので、バルジャン宅という印象が付きやすいです。で、門のデザインがかなり変わりましたね。以前までは中央のサイドにある部分も格子みたいになっていて、マリウスはそこをよじ登って中に入るのでかなり大変そうでしたw。それが、今回はサイドがレンガ造りとなり、さらにマリウスが登りやすいようにww階段状になってます(笑)。なので、マリウスは中に侵入する前に門の上に登り2階のコゼットの部屋を確認する、なんていう大胆な行動まで起せてます(笑)。

そして侵入した後。ここの演出も大きく変わりました。以前はバルジャン宅のセットがなかったからかコゼットはバルジャンと分かれてからもずっと庭にいたんですよね。だからマリウスと突然鉢合わせしてビックリするという設定だった。それが、今回からコゼットはバルジャンと話した後に彼に促されるように家に入ってしまいます。で、2階のコゼットの部屋でぼんやりしてるんですよね。そこへマリウスが石を投げて知らせるといった具合。コゼットは2階の窓からマリウスの歌を聞くわけですが、これ、なんか、ロミオとジュリエットみたいな構図だと思ってしまうのは私だけですかね(笑)。

「溢れゆく、この想い」と歌った後、前演出ではコゼットが恥ずかしがって後ろを向いてしまったために「君を困らせた」と自己嫌悪になるマリウスだったわけですがww、新演出ではコゼットが下に降りていくために窓を閉めてしまったためにマリウスが嫌われたと勘違いするっていう雰囲気になってて面白かったです(笑)。で、心が通い合った二人が仲を深めるわけですが、以前よりもかなりラブラブ度が上がってますね。前はキスもしてなかったのにww。しかもそのあと、二人はコゼットの部屋に行ったことがその直後のエポニーヌの動きで分かるという…(汗)。なんとも欧米風な演出だなとwwww。

プリュメ街の襲撃
テナルディエ達を追い払ったのがエポニーヌだとマリウスがコゼットに紹介するシーン。ここ、前演出では役者によって反応が違ってたんですよね。二人が以前同じ屋根の下で暮らしていたと察する芝居をする女優さんもいましたが、ここ数年のレミゼではコゼットはエポニーヌの存在のことをすっかり忘れたままというものが多かった。
しかし、新演出ではコゼットもエポニーヌも明らかに昔のことを想いだしたかのような感じで表情をこわばらせてました。私はこちらのほうがドラマチックで好きですね。

ワンデイモア
セットを使わずに人の動きだけで表現していた前演出とちがい、今回は建物のセットを使っているのでドラマが分かりやすくなりました。ただ、バルジャンがコゼットと共に旅の荷造りをするというシーンが無くなったのは残念です。

あと、わりと早い段階で人々が集まっているのも特徴的かな。なので、シーン全体として迫力があるし厚みがあるなと思います。特にアンジョルラスを先頭に行進していくシーンは前演出よりもより前進感を出すために実際にキャストさんたちが隊列をずらしながら大きく前に踏み出してます。さらにはバックに町の映像がでているので、なんだか映画のワンシーンを見ているような感じ。これはこれで私は好きです。ただ、もう少し横に広がった感じでもいいんじゃないかなとは思いました。

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