ミュージカル『レ・ミゼラブル』2013.05.22マチネ

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オンマイオウン
マリウスに頼まれた手紙をエポニーヌがバルジャンに届けるシーン、以前はサイドの格子からすり抜けて庭に入り込む感じでしたが、今回はバルジャン宅から行商人が出て行くときに門を開けたタイミングで入るようになりました。泥棒エポって雰囲気の前回よりもこっちの方が自然でいいかも(笑)。

バルジャンに手紙を渡すとき、エポニーヌは帽子を脱いで「坊やじゃない」アピールをしてるのも今回からですね。以前は坊やと勘違いされたまま立ち去っていたので。あと、バルジャンからもらったお駄賃を街中に捨てる行為もなくなりました。

オンマイオウンのナンバーの雰囲気は基本的に変わりありませんね。明かりだけで表現されていた窓がリアル建物の窓の明かりになったくらいかな。ただ、歌い終わった後のエポの行動が違います。前演出では巨大バリケードが組まれていく直前に中央奥の方へ走り去っていましたが、今回はバリケードが組まれた後もその場に立っていて、人々が集まってきた後暫くの間下手側舞台袖近くでその様子を見ていました。つまり、すでにエポニーヌはバリケード内にいるということになってます。ここが大きな違いですかね。

バリケードのジャベール
ここも基本的には変わっていませんが、ジャベールの立ち位置が上手寄りになりました。あと、「右から来る」のところ、地図がなくなってたw。

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恵みの雨
エポニーヌが撃たれるシーンも前回と大きく変わった一つです。前演出ではバリケードにまだ戻っていないことになっているので、よじ登ってくる過程で撃たれてしまっていたエポニーヌ。なので背中のコートの部分にも血のりがついてました。しかし今回はすでにエポニーヌはバリケードの中にいたので、マリウスに銃弾が飛んでくるのを察し彼を庇うようにして撃たれてしまうということになってます。ここはなんかすごく悲劇性が以前よりも高まったかなと思いました。

で、前は死の間際にマリウスを引き寄せてキスをしていたエポニーヌでしたが…今回はその力も残っておらずに静かに息を引き取ってしまいます。なのでなおさら悲劇性が強い。彼女の死を目の当たりにしたガブローシュがグランテールの腰に抱きついて静かに涙しているシーンが泣けます(涙)。

最初の攻撃
バルジャンが敵の軍服を着て昇ってくるところから銃撃戦に加わるまでは基本的に変わりありませんが、狙撃兵の姿が実際に出てくるのが新演出ならではかなと。以前は銃声だけでしたからその音の方向(客席方面)に向かってバルジャンが発砲するという形でした。今回は司教役、工場長、バマタボアが単独キャスティングになっていて学生と被っていないので、こういう細かな役柄で出ているのかなと思いました(2階後方からは確認しづらかったんですけど 汗)。

共に飲もう
ここは基本的に変わってません。ただ、グランテールに焦点がより強く当たるようになってますね。これは短縮になる前までのレミゼの演出と雰囲気が似てます。短縮版になってからどうもグランテールの立ち位置が曖昧だと感じていたので、ここで彼にスポットライトが当たりやすくなっているのは個人的に歓迎するところでもあります。グランテールとアンジョルラスって違う意見で対立しているように見えて、実は心の中は同じ想いだったりもするんですよね。短縮になる前まではこの二人のドラマがものすごく濃く描かれていてドラマチックで泣けたんです。そこまでにはなっていませんが、それに近い雰囲気になったのは嬉しいです。

「死んでもいいさ」と歌ったマリウスがその場に眠るシーン、前演出では横たわっていましたが、今回はうつ伏せになる感じ。まさに仮眠って雰囲気でリアルだなと思いました。
彼を帰して
ここは変わりないと思います。

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第二の攻撃~最後の攻撃
ガブローシュが外に弾拾いに出てしまうシーン。以前まではガブローシュが砦の外に出た時点で盆が回って拾っている様子が客席にも見えたのですが、今回は盆が回らないので弾を拾っている彼の姿は見えなくなっています。あの拾ってる姿が泣けただけにこの変更はちょっと残念だなと前回思ったんですが、今回、ガブローシュが砦を昇ってきたところで撃たれた姿を見て思わず落涙してしまいました。清史郎君が上手かった!ちなみに、前回まではガブローシュは撃たれた後に弾の入った袋をバリケードに向かって投げ入れようとしてました(上手く学生たちの手に届く確率はだいたい3割くらいだったかな)。絶命もバリケードの外でしたね。

新演出ではその後ガブローシュの亡骸は一度アンジョルラスの手に渡り、そのあとグランテールに託されてます。それだけにグランテールの悲しみの深さが以前よりも増しているように見えて泣けました。

最後の攻撃の時にアンジョルラスはマリウスが撃たれた現場を見て死を覚悟しますが、この直後のグランテールとのシーンが短縮以前のような演出になっていたのが個人的に良いなと思います。短縮だとグランテールと顔を合わせる時間がほとんどなくなってましたから・・・。学生たちが撃たれて絶命する演出も変わりました。まずアンジョが撃たれるのは同じですが、その直後に撃たれていたはずのグランテールはその時まだバリケードに向かっていません。次々に打たれて死んでいく仲間たちですが、一人一人にスポットが当たるようになりました。そして一番最後にグランテールが酒瓶を振りかざし撃たれています。ちなみに、バリケードのセットが前演出のときよりも簡素になったためか片足ぶら下がりが無くなりましたね。

全てが終わったあと、バルジャンは傷ついたマリウスを引きずってその場を立ち去るのですが・・・以前は舞台前方にある穴から下水道へ向かう設定だったのが、今回この穴が使われないために上手側にある下水道の入口みたいなところから脱出する設定になりました。ちなみにワンデイモアでこの床下から出てきたテナ夫妻ですが、新演出では上手の建物の窓から歌う設定に変わりました。

アンジョルラスとガブローシュの亡骸も盆が回らなくなったので対応が変わりました。以前はバリケードの上と下にそれぞれあって、その二人の死にざまに大きな拍手が沸き起こっていました。私はこの拍手にずっと違和感を感じていたのですが…、今回は盆が回らないのでバリケードの上のアンジョのエビぞりが見えないわけで、その代りリアカーに乗せられてそこでミニエビぞりみたいになっている感じです(汗)。そのあと、他の兵士がガブの亡骸を抱きかかえて運んできてアンジョの横に置く、みたいな。なので、拍手のタイミングがないんですよね。私はこの方が虚しさが際立っていていいと思います。

下水道
今回から下水道の映像が出てくるのでよりシーン的に分かりやすくなったと思います。ジャベールが探しに来た直後にグワーっと下ってきてこの映像が出てくるところが特に印象的。ドライアイスの量も前回よりも増えたような気がしますねw。シーン的には大きく変わったと思う部分はなかったと思います。

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犠牲者たち
女性たちが街中で戦いの虚しさを歌うわけですが、前演出では少しずつ人数が増えていったのが今回はわりと早い段階で大勢の女性たちが出てきます。前回よりも数増えたかも?みたいな錯覚もw。さらにガブローシュの持っていた小さな旗もなくなり、女性たちは鎮魂のための小さな灯りをそれぞれの場所に静かに置く、みたいな形になっています。

カフェソング
以前は盆が回ってきて誰もいないカフェにマリウスが一人ぽつんと座っている構図が出てきたわけですが、今回はシチュエーションが大きく変わりました。マリウス、カフェではなく、戦いが終わった町を一人とぼとぼと歩いてます(汗)。ここにまだ違和感があるんだよなぁ。
そして彼の想像の中でABCカフェが出てくる。その時に学生たちの亡霊も現れて、女性たちが残して行った灯りを一人ずつ取り上げる設定になってました。マリウスがその灯りを消すと同時に彼らも吹き消してそのまま消えていく、みたいな。なので、以前整列して現れていたものが、今回は灯りの位置に出てこなければいけないのでバラバラですw

バルジャンの告白
色々と短縮前のバージョンに近くなるところもあるのに、なぜここは戻らないのかいまだに疑問。

「もう言うなマリウス、愛する息子よ。わしも話そう、恥に満ちた物語を君だけには話しておこう。コゼットにさえ聞かせていない辛い想いをさせる話だ。昔だ~、ジャンバルジャンという男が…」

あまりにも好きなシーンだったのでいまだに歌詞も音楽も頭にこびりついて離れん(苦笑)。って言うか、突然「話があるのだ」で始まって「ジャンバルジャンという男がパン一つ盗んで牢獄で19年」って語りだすって…ものすごい唐突じゃないですかね。マリウス的に、この人急に何を話してるんだってならないのかと思うんですよ。

まぁ、それはともかく…。変わったところといえば、バルジャンがマリウスに姿を消すと話した後ですかね。以前はバルジャンのほうが先に「もう行かねば、頼むよ」と言った後引っ込んでいたのですが、新演出では「誓います、コゼットのため」と歌った直後にマリウスが先に舞台奥に引っ込んでしまってます(苦笑)。この後の結婚式シーンの準備のためではあるんですが…、こう変わったことでマリウスのバルジャンに対する想いみたいなものが軽くなったような気がしてなりません。一人残されたバルジャンの孤独が浮き彫りになって切ないです。でもまぁ、バルジャンもマリウスに「愛する息子」って言わないわけですから、これで痛み分けか(爆)。

ちなみに以前は残されたマリウスが暗転する中でコートを脱ぐと婚礼衣装に変わるようになってました。個人的にはそっちの方が良いと思う。

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結婚式
コゼットの婚礼衣装が以前よりも豪華になってる気がしますw。あと、招待客のダンスもまた違った感じになりました。一時期不評だった演出に戻ったような感じ(笑)。盆が回らないからああいう形になるのも仕方ないかもしれないか。
変わったのはテナ夫妻のメイク。以前までは本当にピエロみたいな濃い~~笑いを取るようなメイクだったんですよww。それが今回は普通になってますね。衣裳は奇抜だけど、以前と比べれば本当に「テナルド男爵とそのご夫人」って感じ。それにあまり笑いを取るような行動が無くなった気がします。
でも、テナ夫人が盗みを働こうとする設定は変わらずw。以前は食器類でしたが今回はお盆を3つ盗んでましたw。その代りテナルディエは何も盗んでないようですね(以前はお盆盗んでたw)。

バルジャンの最期
前演出ではここもやはり中央で展開されていましたが、今回は下手寄りです。基本的に流れは変わっていませんが、最後の告白を書いた手紙が懐から出てくるのではなくバルジャンの近くにある机の上にある設定になってます。今にも天に召されようっていう人にとってあの場所にあるのはちと不親切な気が(苦笑)。以前のように自分の懐から手紙を出す設定に変えてほしいです。

あと、前回絶望したバルジャンの告白の歌詞。これがいつの間にか前演出のときと同じに戻ってました。これだけはよかった、本当に!!!やっぱり「お前は母が命がけで預けた子だ」だけじゃ事務的過ぎます。「私は父じゃない」というあの最後の一言がないと、バルジャンのコゼットを想う気持ちが伝わらないと思っていたので戻ってよかった。
それから、天に召されたバルジャンが変わるきっかけを与えてくれた司教とあの世で再会するシーンが加わりました。司教に頭を下げるバルジャンの姿が感動的なのでこの演出は好きですね。

カテコで変わったのは花投げが無くなったこと。前回感想のときにも書いたけど、人間の本性が出てくるあの企画(爆)が無くなったのはよかったです。かつて後ろの席の人に花を取るために飛びかかられかけたことあるだけになおさら…(苦笑)。
一番最後のカテコの時にフランス国旗のライトが当たっているのはなかなか綺麗でいいと思います。2階席から見るとさらに美しさが際立ってました。やはりレミゼは2階からのライトも楽しまないと損だなと思います。

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