ミュージカル『レ・ミゼラブル』2013.05.29ソワレ

今季3回目のレミゼです。

実はこの公演、かなり早い段階に確保してまして…。あの時点では福井さんのバルジャンがこの日で終わるんだとばかり思っていたら、後日そうでないことが発覚(汗)。でもまぁ、福井バルジャンだしいいや…なんて思っていたら当のご本人が出演されない事態となってしまい…。そんなわけで、実はあまりテンションの上がらない観劇日でもありました(苦笑)。

しかし、この日は滅多に座ることができないような良席チケットだったので行かなきゃ損だなと。福井バルジャンの楽だと思い込んで奮発しちゃったんですよね(苦笑)。あの好位置から福井さんを見たかった。
キャスト表を見てこの日のメインを把握。お初キャストは4人だったので前回とはまた違う印象かなと。一番未知数で楽しみだと思ったのは杉山さんのアンジョルラスです。

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で、前方席は役者さんの息遣いや表情が裸眼で分かるので本当に良い観劇ができました。上手と下手にある細かな部分でも役者さんが熱演してるのも分かった。普段は見えないようなところでもけっこう激しい芝居をしているのでなんだかドキドキしてしまいました(何のシーンだったかはここには書けないので伏せときますが 汗)。オーケストラの音楽もすぐ近くから聞こえてくるし、臨場感もたっぷり。

ただ、舞台と座席が近い(オケピがあるので少しは離れてますが)と背景の映像部分は正直見づらいですね。っていうか、あまり気にならなかったというか視界に入らなかったw。目の前の人間ドラマを中心にじっくり見るって感じ。だけど冒頭のシーンだけは今までの中で一番迫力を感じました。ちなみにそのシーンで駒田さんが混じっているのを発見。旧演出ではいなかったような気が?あれ、どうだっけ?

しかしながらですね…あまり前方席だと…足元がほとんど見えません(笑)。かなり手前のほうに来てくれてやっと足が見えるって感じ。前方には前方の弱点があるもんだなと思いましたw。が、全体的にはいい観劇ができてよかったです。あんな場所もう何年も行けないだろうし貴重な体験だったなと。

主なキャスト
バルジャン:吉原光夫、ジャベール:川口竜也、エポニーヌ:平野綾、ファンティーヌ:知念里奈、コゼット:磯貝レイナ、マリウス:田村良太、テナルディエ:駒田一、マダムテナルディエ:森公美子、アンジョルラス:杉山有大、司教:古澤利人、ガブローシュ:鈴木知憲 ほか

以下、ネタバレ感想です。

 

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前回の感想でしつこいくらいに前演出との違いについて吐き出したのでw、今回からはもうあまり触れないでおこうと思います(笑)。

が、少しだけ…。

今回新演出になって良かったなと思ったことは、前演出の短縮バージョンよりもアンジョルラスとグランテールの関係性が濃く描かれるようになったと感じられる点です。どちらかというと短縮前の時の雰囲気とかなり似ているのでそれは個人的にすごく嬉しいです。

グランテールとアンジョルラスって正反対のキャラクターで一見すると水と油に見えるんですけど、実はアンジョルラスの中にもグランテールと同じく死を恐れる心があると思うんですよね。アンジョルラスが彼に苛立つのは、そんな自分の弱さが彼を通して見えてしまう恐怖があったから…。なので「Drink with me」のナンバーで二人がアイコンタクトをしたあと別れ別れになってしまうあのシーンは泣けるんです。
前演出の短縮版になったあとから、このところの感情移入がしづらくなっていてすごく残念に思っていました。だから、今回二人が短縮前の時のように濃いめの芝居をしてくれているのが嬉しいし感動的です。

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あと、マリウスが「Cafe Song」を廃墟になった町を歩きながら歌うシーンに違和感を感じてきましたが、今回見て、あれはあれでいいんじゃないかなと思えるようになりました。町を歩いている途中でカフェの幻が出てくるし、その部分で歌詞と重なるからいいのかな…みたいな。ちょっとファンタジー要素入ってる気はしますがwこういう解釈でもいいかもと思いました。
もしかすると、観劇3回目にしてレミゼの新演出に慣れてきたのかもしれません(笑)。

あ、それから、近くで見てやっとわかったのがバルジャンとジャベールが病院で対決するシーンに出てくる鎖。ジャベールはなんであんな鎖持ってるんだろう?ヌンチャクの代わり?とか思っていたのですが(爆)近くで見たら手枷だった。あぁ、なるほどとこの日初めて納得w。
つまりは、ルパン三世で言うところの銭形のとっつぁんがルパンを手錠持って追いかけまわしてるってイメージなんですね、あれ(え、ちょっと違う? 笑)

発見といえば、2幕のファンティーヌ。砦のシーンに違う役で出てくるのですが、今までは少年としてバリケードで頑張ってたんですよね。それが、今回からは普通の女性としてバリケードに存在していました。このあたりの2役3役…といった役柄もチマチマ変わっているのかもしれません。

 

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以下、キャスト別に感想を少し。

吉原光夫@バルジャン
2回目の吉原バルジャン、たぶんこれで最後になると思います。前回観たときよりも父性が強い懐の大きい優しいバルジャンで本当に感動しました!何だかますます雰囲気が今井清隆さんのバルジャンに似てきたような気がします。牢獄を出た後、一生懸命働いている姿がなんだかいじらしい。それだけに追い出されてしまうのが気の毒で胸が痛みますね、あのシーン…。そこからどんどん心が荒んでいくわけで・・・そういった心の変遷の描写が繊細でとても良かったと思います。

それから、成長したコゼットとマリウスに対する愛情も以前にも増して大きくなっているような気がしました。自分の過去を教えてほしいと懇願するコゼットに哀しそうな目で「この世には知らない方が良いことがある」と歌うシーンはウルっときます。コゼットを守るために自分の過去を必死に封印しようとしている吉原バルジャンの姿はトコトン切ない。エポニーヌが手紙を渡しに家に入ろうとしたときも一瞬すごい警戒心の目でそれを阻止しようとしたのも印象的。体張って娘を守ろうとしてるというのが伝わってきましたね。

あと、マリウスはじめ学生たちにもすごく優しかった。これがホントに泣けました!彼らと一緒に同じ気持ちで戦おうとしている姿勢がひしひしと感じられる。アンジョルラスが「死のう」と決意した時なんか、彼の足にしがみついてそれを阻止しようとしてましたよ(涙)。ガブローシュの死を目の当たりにしたときにも哀しみで打ちひしがれてたし…、随所に見られる吉原バルジャンの優しい気持ちに泣きました。

マリウスに向ける視線も優しいです。過去を告白するシーンは本当に元の歌詞で歌ってほしかったと思ってしまうよ…。臨終のときにも死に向かっているバルジャンというのが伝わってくる。「私は父じゃない」の歌詞が復活して本当に良かった。吉原バルジャンであのフレーズを聞けて良かったよ…。胸が熱くなりました。

次に吉原さんを見るのはたぶんジャベールです。この優しいバルジャンから冷徹なジャベールへどう変わるのか楽しみですが…もう一度見たかったかもなぁ、バルジャンで。

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川口竜也@ジャベール
川口さんのジャベールを見るのはおそらくこれが最後になります。見た目からしてジャベール!だったのでもう観れないのは残念。でも正直、1幕の芝居はあまり印象に残らないんですよね…なぜか(汗)。「Stars」のナンバーはすごく朗々と歌い上げてて好きなのですが、それ以外は特に…。あ、バルジャンに首絞められそうになるところは迫力ありますね。ギリギリとした悔しさが伝わってきて印象深いです。

2幕に入りバルジャンと対峙するシーンはどれも迫力満点です!っていうか、あの追い詰められっぷりが最高にツボ!!特にバリケードでバルジャンに逃がされるシーンで「殺せ」とものすごい勢いで迫っている姿は逆に何だかジャベールの痛々しさが伝わってきて切ないんです。あと、下水道から出てきたバルジャンを追い詰めるシーンは本当に何キロも走ってきてようやく追いついた!みたいな執念が体中から沸き起こってる。あの気迫は本当にすごいし感動的で・・・それでいてなんだか胸が苦しくなる。バルジャンを逃がしたことで自己崩壊してしまうのが見えているので。
自殺のシーンでものすごく納得できるジャベールだなって思います、川口さん。とても素晴らしかったです。

平野綾@エポニーヌ
最初で最後の平野さんのエポニーヌです。声優さんなんですよね。結構人気のある方っていうのは知っていましたがお芝居は実際に見たことがないのでどんな感じか楽しみにしていました。

で、一番最初にマリウスと出会った時の雰囲気を見たとき…なんだかものすごい違和感を覚えてしまった(汗)。今まで見てきたエポニーヌ像と明らかに違う。ニュータイプのエポニーヌか!?みたいなww。なんていうんだろうなぁ…すごいスレた姉ちゃんって感じ?これまでのエポって強がっているんだけどどこか可愛らしさがあって見ているこちらも感情移入できる隙がいくつもあったんですよね。平野さんのエポにはその隙がなかった(苦笑)。可愛さがないんですよね。うーん、初めてかも、こういうエポ見たの。好き嫌いが分かれるタイプかもしれません。私はちょっと苦手かなぁ。歌はけっこう頑張ってるなと思いました。「On My Own」もなかなか良かったです。だけど芝居は好きになれなかった。
・・・っていうか、素朴な感じの田村マリウスとだったからなおさらそう思ったのかも。平野エポが惚れるタイプじゃないって思っちゃったから(爆)。いっくんや原田くんならもう少し違う見方ができたかもしれません。

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知念里奈@ファンティーヌ
知念さんは結婚してお子さんが生まれてから母親役に臨場感が出てきましたよね。サイゴンの時にそう思ったのでファンティーヌもハマるんじゃないかなと思いました。で、実際に見て…なかなか良かったです。「夢やぶれて」を歌う時の表情も良かったし。なんか知念さんの人生ともちょっと重なるところがあるので(確か彼女離婚してしまってますよね)なおさら臨場感あったかも。
死の床でコゼットの幻を見る芝居はなかなかの感動モノでした。

磯貝レイナ@コゼット
磯貝さんでなにげに今回の全コゼット制覇したことになりそうです。マリウスに恋焦がれて行ったり来たりする姿はなかなか良かったし、歌も特に不安なところはなかったです。だけど、印象に残る何かはあまりなかったかな…。コゼットって出番が少ないからなかなかコレと感じられるものがないんですよね(汗)。

田村良太@マリウス
今回も素朴なホンワカしたマリウスで可愛かったです(笑)。特にコゼットに一目ぼれして浮かれてるシーンなんかは完全に意識がそっちの方に行って夢見心地になってたしww。テナ夫人が「貧乏学生のどこがいいのやら」という言葉がドンピシャなマリウスだと思います。たぶん今まで見た中で一番マリウスらしいかもしれません。

駒田一@テナルディエ&森公美子@夫人
この二人のコンビは前回公演でも見ていますので、なんて言いますか…安定感バッチリでございます(笑)。まさにテッパン、ハズレなし。正直、お二人ともすごく濃いので今回の新演出のレミゼにはこのコンビどうかなと思うところはあったのですが、意外と平気だったな。絶妙のバランスを保った夫婦だった。モリクミさんがちょっと濃さを出し過ぎずにやっているのがいいのかも。
結婚式シーンのテナ夫人は笑えます!色んな所にウインクしまくって色目使ってるんですがそれがけっこう可愛らしい(笑)。そういえば、某ダイエットで痩せられたようですが…現在はテナ夫人体型になってましたw

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杉山有大@アンジョルラス
杉山さんは最初の頃はアンサンブルのみのキャスティングでしたが、開幕する少し前にアンジョルラス役も兼任することが決まったんですよね。前回のレミゼもアンサンブル(コンブフェール)で出演されてたようですが、私はあまりアンサンブルチェックをしないので気づきませんでした(汗)。期間限定ではありながらアンジョルラスに昇格したのだから、かなり期待していいのではと思っていました。

で、蓋を開けてみてビックリです!!私の期待の遥か上を行くアンジョルラスだった!!たぶん私が今まで見た多くのアンジョ役者さんの中でも1番2番を争うくらいドンピシャなお芝居と歌で…本当に衝撃受けました。見た目はあまりオーラを感じさせなかったので少し不安があったのですが(失礼だけど 爆)、そんなこと全く気にならなかったですよ。あぁ、アンジョルラスがそこにいる!!ってもう本当にそんな感じ。

まず歌声ですが、全くブレるところがなく透き通っていてかつ力強い。学生たちをまとめ上げるリーダーシップもこれまでの中で一番感じられたし、皆と一緒に戦おう!っていう気迫もすごくて・・・見ていてこの人となら一緒に戦って死んでも悔いはないと思わせてくれるアンジョルラスだった。こんなアンジョにピッタリの役者さんがまだいたなんてビックリですよ。

グランテールとのシーンも本当に泣かせていただきました!「死など無駄じゃないのか」という彼の目の前に立った時、怒るでもなく睨むでもなく…ただ静かに、少し寂しい目をして少し微笑んで静かに持ち場に戻っていった。あれはちょっと鳥肌来たというか…泣いたよ(涙)。そして最期のとき。マリウスが撃たれたあと、死を覚悟した時にグランテールの元にもう一度行くんです。これはどのアンジョも共通なのですが、杉山アンジョはグランテールに目で「お前と一緒に戦えて嬉しかった、先に行くな」って感じの…なんかすごい友情を表しているかのような表情したんですよ。あれを間近で見てもう私久々にボロ泣きしました(涙)。 真面目で厳しくて熱い男だけど、その中には優しさがある。まさに理想のアンジョルラス像がそこにありました。

あまりにも杉山アンジョに感動したので…突発で杉山アンジョ最終日のチケットを取ってしまいましたw。まさかレミゼを突発することになろうとは思わなかったww。もっと長く演じてほしかったなぁ。来週見届けてきます。

ガブローシュは鈴木君。清史郎君と比べるとちょっと子供っぽいなと思ったけど、なかなか見応えのある芝居を魅せてくれました。幼さがちょっと残っているだけに、ガブローシュの死の場面は悲しさがより一層引き立っていたように思います。
ちなみに、ガブローシュは拾い集めた弾の入ったバッグをちゃんとバリケードの皆のところに投げてたんですね。遠くからは分からなかったけど、近くで見ていたらちゃんと向こうからカバンが上に飛んできて学生の誰かが掴んでました(クールフェラックだったかな)。

何度か見ると新演出にも愛着がだんだん出てきたような気がします。短縮版の旧演出のときよりも感情移入できるシーンが出てきたりしているので、以前よりもレミゼが少しまた好きになれてるかもしれません。

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