PR表記

ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』2025年2月18日マチネ(合同貸切)観劇ネタバレ感想

2幕

♪なぜ僕を愛する♪♪負ければ地獄♪

バーで酔いつぶれているラウル。1幕での万里生くんラウルはクリスティーヌの前ではこれでもかってくらい神経質で苛立っているお芝居が多かったのですが、一人で飲んでいる時は孤独感に溢れていてとても痛々しいです。クリスティーヌを愛しているのに、その気持ちをうまく表現できず苦しんで酒とギャンブルに逃げて身を崩してしまったラウルの哀しさが胸に迫ってきました。
「なぜ(俺を)愛する?」と歌う時などは目にいっぱい涙溜めてて…それがなんとも切なくてねぇ。彼のクリスティーヌの前での立ち居振る舞いは夫として許されるものではないのだけれど、あんな涙ながらに苦しい胸中を歌われたら…思わず同情してしまいます。

それにしても、本当に万里生くんの歌声はうっとりするほど美しい。ロイドウェバーの音楽との相性がめちゃめちゃ良いですよね。「忘れるために」の”に”の音のロングトーンは素晴らしかった。

ファントムとラウルの対決場面。和樹くんはファントムの存在にビビりまくっていましたがw、万里生くんは必死に彼と対抗するため威勢を張りまくってましたね。ファントムの存在に慄く気持ちはあるのだけれど、彼の前では弱みを見せないように、まるで動物が自分自身を大きく見せようと威嚇するような行動をとっていてすごいなと思ってしまった。
そんな彼に石丸ファントムは全く容赦なくて。威嚇する時の低音の迫力が凄い!!あの声圧だけでビビってしまう。ラウルの首を絞めにかかるときの狂気の表情はゾクッとするほど恐ろしい。この時万里生くんは苦しい表情でもがいてましたが、目がぎらついてたのがすごかったですね。押されていながらも大健闘の戦いっぷりだったと思います。

♪水着の美女♪

ひたすら可愛さ満点でしたね、小南メグ!!!着替える場所のために助けを呼ぶシーンの時の「さぁ、みんな?」って呼びかける時の声の愛らしさとか最高すぎた。前回見た時よりキュートさがめっちゃ上がってるなと思った。こんな愛らしいパフォーマンスを見逃してるファントムは勿体ないことしたなってホント思っちゃうよww(←そんな話じゃないけどw)。

ここのナンバー個人的にすごく好きで、終わった後もしばらくずっとこの旋律が流れまくってました。「水着の美女、ビーチで、なんて可愛い」の歌詞とかもうグルグル巡って離れない(笑)。

当初の演出にはない突飛なラストも入れて充実感たっぷりに戻ってきたメグ。そんな彼女にジリー夫人は残酷な事実を次々と打ち明けるのですが…もうここはメグがひたすら可哀そう。ジリー夫人はメグのことよりファントムのほうに意識が向いちゃってますからね…(♪ママ、上出来ね♪)。
でも春野ジリー夫人は香寿ジリーよりも少しは娘に意識が向いていたかなと感じました。「あなたの頑張りは分かっているけれど結局報われなかったのだ」と語る時は、メグの無念さも見えているんだろうなと思わせる柔らかさがあった。少しだけ”母親”の顔を残したかのような雰囲気でしたね。

スポンサーリンク

♪歌う前に♪

控室での玲奈ちゃんクリスとグスタフのやり取りはとても微笑ましい。グスタフへの愛情表現がとにかく可愛らしいのです。特にイヤリングを付けた後「どうかしら~♪」ってちょっと得意げな顔になるのが好き!チャーミングで可愛らしいんですよ。母性愛で包み込む、というよりは同じ目線に立って息子に愛情を注ぐって感じかなぁ。

後からやって来た万里生くんラウルはやっぱり神経質で。特にファントムとの危険な賭けをしたあとなので余裕がなくてピリピリしてる。クリスティーヌを失いたくない気持ちは強いのに、それを”優しさ”として見せることができないのが何とももどかしくて切ないんだよなぁ。最後彼女にキスをするときも切羽詰まった感じ。愛する気持ちを素直に感情や行動に出せないところが万里生くんラウルの哀しいところだなぁと思いながら見ました。

石丸ファントムが現れてクリスティーヌにダメ押しする場面。ここの石丸さんの歌い方の迫力がとにかくすごい!!♪君の歌~♪のリプライズになっているのですが、冒頭の時と違って愛する人が目の前にいるので、感情の放出が半端ないというか…。圧倒的な存在感と、劇場全体を支配し包み込むような深い圧巻の歌声。彼こそまさに、”エンジェル・オブ・ミュージック”!!!石丸ファントム、神!!!
もうあれは、興奮せずにはいられない名シーン中の名シーンだったと思います。あの声を何度でも浴び続けたいと渇望してしまうレベル。ラウルの願望に心が揺れていたクリスティーヌがファントムの歌声に完全に気持ちを操られ乗っ取られた状態になるの、めっちゃ分かるよ。石丸さんの歌の威力にはそれだけの説得力があった。すごい人だよ、本当に…。

このあと我に返ったクリスティーヌが「分らない、どうすればいいの?」と苦悩するシーンの音楽は『オペラ座~』の旋律。ドンファンの勝利に出演するかどうか迷って苦しむクリスティーヌのシーンとリンクしてるんですよね。

♪負ければ地獄 カルテット♪

グスタフの美しい歌声に乗せて、ファントム、ラウル、マダム・ジリー、メグの心に渦巻く激しい感情が歌われるシーン。グスタフ以外は皆いきり立っているので、非常にスリリングです。
でも一番ホラーなのが、一番最後に「負ければ地獄」と歌うメグ。グスタフを抱きしめた時の小南メグの感情のネジがどこかへ飛んでしまった笑顔がめちゃめちゃ怖くて背筋寒くなる!!あの表情、すごいなと思った。

♪愛は死なず♪

平原クリスティーヌの劇場全体を包み込圧倒的な歌唱のインパクトが強いこのシーンですが、玲奈ちゃんの歌いっぷりも実に見事でした。想像していたよりも声の迫力があって聴く者を惹きつける力強さがあったと思います。

このシーンではついついラウルに注目してしまう私。和樹くんは最後の最後に自ら身を引いた感情が見えたのですが、万里生くんは最後の最後まで目の前の出来事を受け入れたくないといった感情が強いように思いました。歌い続けるクリスティーヌに向かって、泣きそうな顔で手を延ばす姿はとても切ない…。どんどん大切な人が自分の手元から遠くへ離れていくことを実感して打ちのめされていくって感じだったかなぁ。目に涙を溜めながら絶望したように柱に体を倒すシーンもめちゃめちゃ哀しくて。
それまでクリスティーヌの前では神経質な苛立ちを見せる印象が強かっただけに、やっと彼女への自分の深い愛に目覚めていく万里生くんラウルのお芝居は胸に刺さりました…。納得がいかない、といった感じに後ずさりして袖に消えていく姿がとても哀しかったです(涙)。

万里生くんラウル、この日が今季最初で最後だったんだけど、繊細でグッとくるお芝居をたくさん見れて嬉しかった。

クリスティーヌの歌が終わった後、客席は息を飲むように一瞬静寂に包まれたのですが、それを打ち破るように石丸ファントムの熱烈な拍手音が真っ先に響き渡っていた光景がすごく印象深かった。このあとクリスティーヌのミニカーテンコールの場面になるのですが、”ホンモノ”のコンサートに来たかのような臨場感がすごかったですね。

スポンサーリンク

♪ああ、クリスティーヌ!♪

クリスティーヌとファントムが歌を通じて魂レベルで結ばれたのを実感させられるのがコンサート直後の二人のキスシーン。音楽で共鳴し合った二人の絆は誰にも切ることはできないんだなと実感させられた。
『オペラ座~』ではファントムとクリスティーヌは別々の道を選ぶことになりますから、この『ラブネバ~』で二人が心からの想いを成就できたのは良かったなと素直に思います。ただ二人のラブシーンはけっこう大人向きな傾向に演出されてるんですけどね(別に〇ロい場面じゃないんだけど色気のダダ洩れっぷりがすごいんでww)。

クリスティーヌを抱きしめた時の石丸ファントムは情熱的なんだけど優しい。クリスティーヌを気遣っているのが伝わってくるのがいい。非情な中にも柔らかさが垣間見えてくるのが石丸さんならではの魅力。

ラウルの置手紙をクリスティーヌが読む場面、万里生くんは最後の最後まで無念で仕方がないといった表情を崩していませんでしたね。諦めたように見えて諦めていないというか。

♪コニー・アイランドの通り♪は♪美の真実♪のリプライズになっているのですが、このシーンはめちゃめちゃホラーな展開になってると思います。
石丸ファントム、ラウルがグスタフ連れて出ていったと思い込んでる時の怒りっぷりが怖い!!さっきまでクリスティーヌを感極まって抱きしめていた人とは思えないくらい激しい怒りに震えてるんですよね。この落差の芝居が凄い!疑われたラウルは気の毒なんだけど、万里生くんラウルならそれをやりかねないなとも思った(笑)。

一番ゾクッとするのは、グスタフの手を引いてズンズン歩いていく小南メグ!!もう完全に精神的に壊れてしまっていて、何をしでかすか分からない不気味さオーラ全開で見ていてぞわぞわしました(震)。

♪お願い、ミス・ジリー♪♪そして最後に♪愛は死なず♪

『ラブネバ~』最大の衝撃シーンとなるクライマックス。この日観劇してた時、隣近所の方が事あるごとにテンション落ちていくのを肌で感じていたのですが(汗)、クライマックスからラストにかけてのため息連発がすごかった(汗汗)。『オペラ座の怪人』の世界観を期待してラブネバ見ると、こういう反応になるのも無理ないかなぁと…気持ちは分からなくはないと心の中で苦笑いでしたw。

ただ私個人としては、クライマックスからラストにかけての石丸ファントムのお芝居に非常に惹きつけられるのです。メグを説得する展開についてはさすがに”ファントムはそんなことしないだろ”というツッコミをせずにはいられないのですがww、石丸さんが演じるともう何でも許せてしまうというか(笑)。

石丸ファントムはメグの衝撃の哀しい告白をちゃんと聞きながら近づいて行ってるように見えるんですよね。たぶん、そこに至るまでのお芝居に独特の”柔らかみ”が感じられたからかもしれない。ほんのひと時でもそう感じさせる瞬間があったから、メグは落ち着きかけたのかもしれない、とも。
でもその直後に、ファントムは”痛恨の失態”を犯してしまう。何度見ても何故あの時その言葉を言ってしまったんだーーー!!と叫びたくなるよ(苦笑)。それだけ彼の頭の中は彼女への想いで占拠されていたってことなんだろうなと思うのですがね。

ちなみに、”嘘やろ!??”とビビるあの瞬間の場面、石丸ファントムは自分の脇腹抑えるんですよね。あ、微かに当たったんだ…って思いながら見ました。

このあとの”なぜそうなったーー!!??”な場面での石丸ファントムは、私めっちゃ泣きながら見た…。あの慟哭、見てるこちらの胸を抉られるような叫び、堪らないよ(涙)。駆けつけて抱きしめてあげたい衝動に駆られるというか…なんかすごく母性本能揺さぶられるんですよね。

そして何よりグッとくるのが、グスタフとの対峙シーン。彼を躊躇いながらも強く抱きしめたところで全私が泣いた…(涙)。『オペラ座~』のときに果たせなかったけれど、『ラブネバ~』でついに実現できたというのが胸熱。ファントムが”本当の意味の愛”を知った瞬間なのだということが伝わってきて、泣かずにいられなかったです。
このシーンの石丸さんのお芝居も実に繊細。長い間「オペラ座の怪人」に関わってきたからこそ出せる感情表現なのかなと思いました。

石丸さん、前日は帝劇コンのソワレで遅い時間まで舞台に立っていたのに(配信で見ました)、翌日のマチネでこれだけの分厚いお芝居と歌で魅了してくださるとは…!本当に感動しました。日生にちゃんと戻ってきてくれてよかったよ(帝劇コンのトークのリップサービスで「次の日も帝劇に出ようかな」なんておっしゃっていたので 笑)。
見終わった後もまたすぐ会いたくなってしまう石丸ファントム。この感情はクリスティーヌを待ち焦がれているファントムの気持ちと同じかもしれません。

スポンサーリンク

後述(特別カテコレポ有り)

貸切特典ステッカー

貸切公演だったので通常カテコが終わった後にファントム役の石丸幹二さんからご挨拶がありました。客席スタンディングで拍手喝采だったのですが、石丸さんがや~~んわり微笑みながら着席促されてて(笑)。ついさっきまで激しく感情吐露しまくっていた人とは思えない柔らかさ!そこが素敵なんだよねぇ、本当に。

ラブネバ公演は今回で3演目ということですが、「今回はたくさん組合せがあってその度に色々な化学反応のお芝居が生まれて深まっています」と。複数キャストということで「私は時々しか(劇場に)来てないんですが」と苦笑いする石丸さんが可愛らしい。思い出したように付け加えてましたが、ほわぁっって感じに入れてくるから見ててホント癒されてしまうw。
公演はあと1週間しかない、という話題にも触れてましたが…その時も「残り1週間とはいえまだ11公演もありますから」とニンマリ(笑)。

最後にはアンケートのお願いもあったのですが、それに加えて「SNSにもぜひこの作品の感想をちょちょっと加えてください」とニッコリする石丸さん。「皆さんが感想を書いてくれれば、このあと来るお客様のワクワクも増えると思うので」と語られてましたね。そこで”また来てね”と言わないのは、もうチケットが完売してしまってるからじゃないかなと。当日券もかなり熾烈な状況のようなので(汗)たぶんこういう事情もキャストの皆さんご存じなのだろうと思います。
「皆さんの熱い応援の声があれば、また次回公演に繋がる”かも“しれないので。それを願って私たちも精進していきたいと思います」と穏やかながらも力強いコメントで〆ていらっしゃいました。

非常に中毒性が高かった石丸幹二さんの「ラブネバ」でのファントム。私は今回で残念ながら見納めになってしまいましたが(もっと取っておけばよかったと思ってしまうほど大好きだった)、ぜひとも再演実現していただき石丸さんにも続投していただきたいっ(熱望、というか渇望)!!この願いが叶いますように。

石丸さん、素晴らしすぎる心揺さぶるファントムを演じて下さり本当にありがとうございましたっ!!

error: Content is protected !!