ミュージカル『ミス・サイゴン』2017.01.13

スポンサーリンク

2017.01.13ソワレ公演 in 梅田芸術劇場(大阪)

主なキャスト

  • エンジニア : 市村正親
  • キム :  キム・スハ
  • クリス : 上野哲也
  • ジョン : パク・ソンファン
  • エレン : 知念里奈
  • トゥイ : 藤岡正明
  • ジジ : 池谷祐子

ミスサイゴン大阪0113ソワレ

全体感想

遠征での観劇なので1日に2本観るという強行スケジュールでした(いわゆる、マチソワw)が、大好きな作品なのでソワレもかなり集中して観ることができました。
キャスティングも上手い具合にマチネと入れ替わっていて(クリス以外)…東京で小野田君のクリスも見ていたので短期間でほぼ全キャスト制覇となりました。通いができない環境なのでなかなかダブルやトリプルのキャストを全部見ることができなくなってしまったのですが、今回はラッキーでした。駒田さんのエンジニア再演を観れなかったことだけがちょっと心残りです…。

ソワレは市村さんのエンジニアということでお客さんの数が明らかに多かったですね。トイレに並ぶ列にそれが顕著に表れてました(笑)。ユカイさんのエンジニアもすごく良かったんですけど、やはり市村エンジニアラスト公演って銘打ってましたからこちらに集中するのは仕方ないのかなと思ったり…。
そうそう、後から気づいたのですがアンサンブルでイヴォンヌ役の木南清香さんが出演されてたんですね~。女優の木南晴夏さんのお姉さんで昨年ヨシヒコで姉妹共演しててちょっとした話題になってました。サイゴンに出演されているの気づきませんでした(汗)。

ソワレ公演は市村さんの圧巻の芝居効果もあってかものすごく盛り上がってスタンディングオベーションとなり何度も幕が開きました。確かに市村さんはすごかったんですが、全体として個人的に感動できたのはマチネの方だったのでちょっと心中複雑だったりして(苦笑)。一人の役者が素晴らしくても他との相性がこちらと合わないとなかなか納得できる舞台ってことにならないのが観劇の複雑なところでもあり面白いところでもあります。

サイゴンの演出に関して、変わったなと思った点についてマチネに付け加え。
「ブイドイ」のナンバーの時、以前は歌が盛り上がってくる途中から映像が流れていたのですが、今回見たら最初からブイドイの映像が流れていました。前回公演からだったのかな?あまり覚えていないけど…。個人的には途中から流したほうが効果的だったかな~と思ったりもしますが…。
それから、「ナイトメア」シーンでのヘリコプター。東京で見たときは演出が変わる前と同じヘリが上から降りてきていたのですが、大阪で見たら映像になってました(汗)。あのヘリコプターはやはり帝劇だけでしか飛ばせないのか…。まぁ、演出変わる前からずいぶんとトラブルもあったので東京で見たときはけっこうドキドキもしたんですが(ヘリトラブルで芝居が止まることも多かった時代があったもので 苦笑)やはり本物が出てくると臨場感あったんですよねぇ。映像もすごく良くできているのでいいのですが、なまじ東京を見てしまったのでちょっとフクザツな気持ちにならなくもなかったです。

ちなみに座席はなぜか、マチネに座った場所のすぐ隣でした(笑)。長い間観劇してますがこんなこと初めてw。個人的には逆側からも見てみたかったですけどね。

スポンサーリンク

主なキャスト別感想

市村正親さん(エンジニア)

初演のエンジニアを観ているだけに、あぁ、これでもう市村さんサイゴンを卒業してしまうんだなぁというちょっとセンチな気持ちで見てしまいました。サイゴンは装置の関係などもあって初演が終わってから再演されるまでにずいぶん時間がかかったのですが、間を置いていても市村さんのエンジニアはいつも強烈な存在感を放っていました。
前回公演の時は病気が発覚してしまい出演するはずだった公演を観ることができませんでしたので(たしか筧さんが急きょ代役を務められたんですよね)本当に今回久しぶりの市村エンジニアとの対面でした。

本当にねぇ…あの年齢を感じさせないエンジニアのパワフルな魅力はなんなんでしょうか。もう市村さんの中に「エンジニア」という人物が沁みこんでました。市村さんが演じるとただの小ズルこしい男ではなくてそこにユーモアも感じられるので憎めないんですよねぇ。
バンコクシーンでの冒頭でお客さんとちょっとしたキャッチボールするシーンもあるんですが、市村エンジニアが「まだアメリカ行けてないの」って言うと客席もワッと盛り上がったりしてて、ああいう空気出せるのは市村さんしかいないなぁって改めて思ってしまった。「♪はい、ホーチミン♪」のフレーズの後にどのエンジニアもアドリブ入れてくるんですが、そこのシーンでも笑いをきっちり取れてるのは市村さんだけかなぁ。他のエンジニアさんはだいたいスベることが多いんで(笑)。こういう風に、エンジニアという役を演じつつも客席の気持ちをしっかり乗せられる市村さんは本当にすごい役者だと実感しました。

圧巻は「アメリカンドリーム」でしょう。年齢を感じさせないあの軽やかなステップにはエンジニアの唯一のともいえる純粋なアメリカへの羨望がこれでもかってほど感じられます。なんか今回もうこれで最後なんかなぁと思いながら見たんで、ちょっと泣けてしまいました(涙)。
キムの顛末を見届けた後の崩れ落ち方の芝居もすごく深くて…。エンジニアの色んな想いを全て打ち砕かれてしまったんだなって見ていて納得できるもので見ていてずしりと来ました。

市村エンジニアはやはり偉大でした!!長い間エンジニア役、本当にお疲れ様でした!!素晴らしい感動をありがとうございました!

スポンサーリンク

キム・スハさん(キム)

本来は昆夏美さんのキムのはずだったのですが、体調不良になってしまったためにキム役は笹本さんとキムさんとでカバーする日程に急きょ変わりまして。ソワレはキムさんで観ることになりました。

最近は海外の役者さんが日本のミュージカルに進出してくる機会が増えましたが、日本語がちょっと怪しかったりで違和感を持つことがどうしても出てくる場合があるんですよね。でもキムさんはかなりスムーズな日本語だったと思います。それにほぼ歌のミュージカルなのでそのあたりでも救われていたかなと。
見た目はこれまで見てきたキム役のなかで一番リアリティがあったかもしれません。日本人は慣れした顔つきというのがここで生きていたように思います。キムが慣れない場所で懸命に生きる姿みたいな部分も演じてるキムさんの環境ともちょっと重なって見えたりして、そういった雰囲気が出ていたのはとてもよかったです。

ただ、感情のお芝居という点で言うと…個人的には合わなかったなというのが正直な感想です(汗)。歌はとても上手いのでその部分では全く違和感ないのですが、なんだろう、韓国の役者さんってミュージカルとかではあまり感情のお芝居を前面に出さないことが多いのかな?それか私がキムさんにそういう風に感じてしまっただけかもしれないんですけど…、なんか、他のキャストさんとの芝居の空気とかみ合っていないように思えてしまったんですよね。
歌の迫力はあるのに、なぜか時折すごく淡々としているように見えてしまって…人形みたいだなと思うことも正直ありました。それ故に、クリスへの愛も予想外に淡泊に思えちゃって(汗)、クリスの方がキムに対して愛情の比重が重いように見えてしまったw。そういう見え方も新鮮っていえばそうなんでしょうけど、私はその逆パターンのほうがグッとくることが多いのでどうしても違和感を覚えてしまいそれが最後まで抜けませんでした。

「ナイトメア」のシーンも、なんか緊迫感が足りない気がしたんですよねぇ…。彼女のキムはクリスが居なくても生きていけるんじゃないかなって思えてしまったくらいで(苦笑)。
うーーん、好みの問題だと思うんですが私はちょっとキムさんのお芝居は苦手でした。ごめんなさい。

パク・ソンファンさん(ジョン)

マチネの上原くんが超パワフルなジョンだったのに対し、ソワレのパクさんのジョンはどちらかというとソフトで軽やかなイメージがありました。上原くんがパワフル過ぎたのかもしれませんが(笑)。

「ドリームランド」での登場もテンションは高いんだけどその中にもどこかスマートさが感じられて、あぁ、このジョンは女性にモテモテだっただろうなと思わせる何かがありましたねw。軽やかに遊んでる男みたいなイメージでちょっとかっこよくも見えたりして。
その点ではちょっと軍人っぽくはなかったかも。骨太さがあまり感じなかったので…。でもそれはそれで個性があって嫌いではありません。

すごく良かったなぁと思ったのが「ブイドイ」。最初の軽やかなイメージから一転、最初からすごい力が入っているのが感じられて、途中からは動く範囲も広くなりまさに大熱弁!!訴える力がとても強いんだなぁと見ていてとても感動的でした。

知念里奈さん(エレン)

知念さんは長いことキム役を演じていたので、時々エレンの中にキムがチラチラ見えてしまうこともあるのですが(笑)、東京で一度見ていたこともあってか大阪ではあまりキムの影を感じることがなかったかなw。

どちらかというと知念さんのキムはちょっと苦手意識があったのですが、エレン役はすごくすんなり見れた気がします。個人的にはエレンを演じてる知念さんの方がしっくりきたかなぁ。たぶんアメリカ人女性的な雰囲気をちょっと感じるからかもしれない。
「メイビー」の歌もすごく良かったんですが、三森さんに比べるとちょっとキツめだったかな~。自分は身を引いてもいいって歌詞も出てくるんですけど、知念さんが歌うと強い女の言葉のように聞こえてちょっと怖かった(汗)。丸みのある三森エレンの方が個人的には好みだったかもしれません。

スポンサーリンク

藤岡正明くん(トゥイ)

藤岡くんは新演出になる前は長いことクリスを演じていたんですよね。圧倒的な歌唱力とどこかキュンとさせる藤岡くんのクリスが大好きでした。そんな彼が今回新たにトゥイ役として再びサイゴンに帰ってきてくれて・・・藤岡くんのトゥイ、すごく合いそう!!とめっちゃ楽しみにしていました。

一度東京公演で藤岡トゥイを見てきたのですが、その時はまだ始まってからあまり間がなかったこともあってかちょっと抑え目なお芝居で…歌はすごくパワフルなのにちょっと私が求めていたトゥイと違うかもという気持ちになりました。
それ以来の大阪公演での藤岡トゥイだったわけですが、東京で見た時よりもトゥイの「キムが大好き」って気持ちが前面に出てきていてとても良くなっていました。「ウェディング」に乱入した時にキムに駆け寄るとき、すごく優しい眼差しで彼女を見つめていて思わずどきりとしてしまったほど。あぁ、トゥイも純粋にキムを愛しているんだよなって気持ちが伝わってきました。その直後クリスを見た後の豹変の芝居はさすがでしたね!あの一瞬で狂犬みたいな表情になるのはすごいと思います。

「クークープリンセス」からの一連のキムとトゥイのやり取り。意外にも藤岡トゥイは思っていたほど感情を表に出さずに押し殺すタイプなんだなって思いました。特にキムが暴行されているのを後ろで聞いているシーンではジッと目を閉じて感情を抑え込んでいる表情してて、このあたりが神田くんと違うなと思ったり。
ただ、タムを見せられた後の絶望と恐怖と失望の入り混じった壊れ具合の芝居は狂気に満ちていて圧倒されました。こういうところは藤岡くん、さすがだなぁと思いましたね。その狂気の想いは2幕の亡霊にも表れててw、いやぁ・・・歴代の観てきた亡霊トゥイの中で一番怖い表情に感じましたよ、あれはww。目をひん剥いてて、メイクもゾンビそのもの!めっちゃ力入ってるなと少しクスっと来てしまった(笑)。

池谷祐子さん(ジジ)

池谷さんももうかなり長いことこのジジ役を演じているので、役が体に染みついているなぁと感じますね。池谷さんのジジはアメリカへの執念がすごくて、ジョンに拒絶された時の反応がすごく激しい。生きることに必死になっている逞しさのようなものも感じます。
あと、サイゴン陥落のシーンで一瞬キムとすれ違う場面があるのですが、その時一瞬目を合わせてハッと振り向く表情がとても印象的でした。

ちなみに、ジジ役はアメリカンドリームのシーンでキャデラックに乗って現れる美女も演じるのですが、池谷さん、めっちゃセクシーで見ていてドキドキしてしまいました(衣装も含めてねw)

スポンサーリンク

後述

今回の『ミス・サイゴン』は東京遠征した時と合わせると3回観ることができましたが、やはりまだまだ観ていきたい作品です。なるべく早く再演してくれることを望んでいます。その時はもうあまり歌詞は過激方向にイジらないでほしいんですけどね(汗)。

error: Content is protected !!