先月末シアタークリエにて2ヶ月公演の末に無事千秋楽を迎えたミュージカル『ニュー・ブレイン』。私は前楽にあたる28日ソワレを観劇しました。
実は先月中旬にも観劇していたんですが…観劇人生初の遅刻&体調不良で飲んでいた薬の影響による睡魔という最悪のコンディションだったので正直、あのときのことはほとんど記憶にありません(爆)。そんなわけで、この前楽が実質私にとっての初観劇ということになりました。
ロビーで写真つきのパンフレットを購入するとき、偶然目に留まってしまったカエルグッズ・・・。その中に”かえるキューピー"なるものがありまして・・・結局それも一緒にお買い上げしてしまった(笑)。回転木馬のときの"木馬キューピー""星キューピー"に続いて3体目(笑)。
で、ふと上を見てみたら・・・『ニュー・ブレイン』のハイライトCD発売の嬉しい告知が!!
6月に発売とのことで先行予約みたいなものを受け付けてたんですけど・・・金銭的に厳しかったので発売後に購入することにしようかなと(汗)。
※CD発売中です
さて、今回は前回の失態を繰り返すまいと時間にも余裕を持ち万全のコンディションで観劇。座席も前から6列目センター付近だったので舞台との距離が非常に近く役者さんの表情がリアルによく見える最高の位置でした。
いやぁ・・・・素晴らしい舞台だった!!
前回はフラフラだったのでほとんど記憶になく、もしかしたらこの作品は自分には合わないのかも?なんて正直感じてしまったんですが・・・とんでもなかった。大好きです、『ニューブレイン』!
2回目のチケットをリピート割引で購入して本当によかった。
舞台のセットはきわめてシンプルで舞台転換はほとんどカーテンのみで行うスタイル。なので全体がとても見やすく、一人一人の人物をしっかり堪能できる演出になっていたように感じました。
それから光の使い方もキャラクターの心境などによって変っていったりして・・・幻想的でとても美しかった。
ちなみに前楽ではありましたがカーテンコールは意外と普通でした(笑)。でも、それぞれコンビになってハケていくときのやりとりがけっこう面白くて笑えましたね。楽も見たかったなぁ。
オケの皆さんがカエルのぬいぐるみをかぶっていたのも可愛くてよかったです♪
主な出演者
ゴードン・シュイン:石丸幹二、リサ:マルシア、ロジャー:畠中洋、リチャード:パパイヤ鈴木、ローダ:樹里咲穂、ミミ・シュイン:初風諄、ミスター・バンジー:赤坂泰彦、医師:友石竜也、牧師:田村雄一、ウェイトレス/ナンシー・D:中村桃花
以下、ネタバレありの感想になります。
作曲家ゴードンが不本意な子供向け番組用の作曲に煮詰まり脳の病で倒れ入院生活に入り、そこで様々な人たちと会話を重ね、やがて彼自身が再生していく・・・といった一人の青年の挫折・闘病・再生を軸にストーリーが展開。
入院中の彼の身には大変な出来事も色々起こるのですが、あまり大きな事件は起こらず、どちらかというと日常のなかの出来事のような感じで物語が進展していくので物足りなく思う人ももしかしたらいたかもしれません。
が、じっくり観てみると・・・ゴードンが病に倒れ、そこから焦り、葛藤を繰り返しつつも周囲の人たちのさりげなくも温かい支えでしだいに再生・・・つまり"ニューブレイン"へと変化していく様子がとても繊細に描かれていてとても感動的でした。
特にゴードンと恋人ロジャー、ゴードンと母親ミミとの関係は丁寧に深く描かれていたんじゃないでしょうか。特に母親との関係は何度か目頭が熱くなりました。大手術の前夜、ゴードン演じる石丸さんが反発しながらも母親に助けを求めたい心情から初風さん演じる母親にすがって思わず涙を流していた姿がとても印象的でした・・・。
そしてなんといってもこの作品の大きな魅力は音楽。1幕ものの舞台でほぼ全て音楽だけで展開していく作品だったのですが、曲が多種多様で聞いてて飽きない。
深刻そうな病のシーンとかでも明るく跳ね飛ばしちゃえみたいなノリノリのミュージックがかかったり、息子の前では気丈に振舞ってた母親が本当の気持ちを切々と歌い上げる感動的なバラードがかかったり・・・まるで音楽の宝箱みたいだったなぁ。
一番感動的だったのがクライマックスの『春の唄』。
心身ともに新たに生まれ変わったゴードンの周りに仲間たちが集まり彼を励ますように歌い上げる素晴らしいナンバー!前回もここだけは思わず落涙したんですが・・・今回改めてじっくりストーリーを見て・・・冒頭の歌いだしのシーンからもう涙腺が壊れてしまった私(←最近異様に涙もろい 苦笑)。
特に
"♪辛く長い暗闇抜け出して、歌おう、春の唄を♪"
のフレーズが、そのまんま石丸幹二さんに当てはまるような気がして・・・そんな彼の周りには最高の仲間たちが温かく一緒に歌ってて・・・それを見ただけでものすごく泣けてしまうのです。本当のこのラストシーンは一人ボロ泣き状態になってました(涙)。大好きなナンバーです。
ゴードン@石丸幹二さん
石丸さんがこの作品をミュージカル本格復帰の第一作に選んだ理由が2回目の今回、わかるような気がしました。
この作品を見て、心から、「石丸さん、お帰りなさい」と言いたくなりました。
ロジャー@畠中洋さん
相変わらず畠中さんの演技力、歌唱力が本当に綿密で素晴らしかった!!
そしてやっぱり畠中さんといえばあの美しく透き通るような歌声!まったくブレのない、素敵な歌声で思いっきり堪能させていただきました。
リサ@マルシアさん
リサというキャラクターはこの作品の中ではちょっと異質な存在。ゴードンとは直接の関わりがなく、町の中で小銭を求め歩く宿無し女の設定なんですよね。
クライマックスの『春の唄』で見せた可愛らしい表情も印象的でしたね。ゴードンに寄りかかって甘えるみたいな感じでそれを見てなんだかウルッと来てしまいました。
ミミ@初風諄さん
この方は本当に母性愛を感じさせる演技が本当に素晴らしいです。『宝塚BOYS』のときの君原さんのような柔らかくて温かい聖母みたいな女性が泣けて仕方なかったんですが、今回は息子の前ではついつい明るく振舞ってしまう不器用な母親像で・・・これもまた泣けるんですっ!ゴードンに不安を悟られまいとものすごく明るく弾けた母親を演じているんですが、実は病室の外では不安に押しつぶされそうになっているんですよね…。その落差のお芝居がなんだかとても切ないのです。
脳の手術が決まって息子をその腕に抱くシーンでは強がってるゴードン@石丸さんの目から思わず涙が零れたくらい・・・母親の温かい愛が伝わってきました。石丸さんも初風さんの温かい母性に身をゆだねてたって感じだったよなぁ。脳死からめざめたゴードンに駆け寄って泣きながら息子を抱きしめる姿も泣けました…(涙)。
リチャード@パパイヤ鈴木さん
おねえ言葉でゴードンたちを煙に巻いてたリチャード看護師役がピッタリ(笑)。メイクも女性っぽくしててかなり笑えました~。この作品のムードメーカーって感じですよね。
後半のダンスシーンはさすが!あの体格でよくあれだけ激しくキレのあるダンスができるなぁと改めて感動してしまいました。
ローダ@樹里咲穂さん
元宝塚の女優さんですよね。背がスラッとたかくてスタイル抜群で・・・とにかくカッコいい女性でした。本当はゴードンが好きなんだけど、彼はゲイなので立ち入れない、みたいなところがあるローダをコミカルに演じてたと思います。歌声も素晴らしかった!
ミスター・バンジー@赤坂泰彦さん
実は前回観に行ったときが赤坂さんの初日だったらしいんですが(笑)、そのときと比べるとかなりリラックスした感じで歌声もよくなっていたように思いました。カエルの着グルミのときはコミカルなキャラなんだけど、それを脱ぐととたんに厳しい顔になるミスター・バンジー。ゴードンはそんな彼のことをいつも嫌っているんですが、ラストシーン、脳死状態のゴードンを最後に現世へと導いてくれるのがミスター・バンジーなんですよね。このシーンはとても感動的でした。
医師@石竜也さん、牧師@田村雄一さん、ウェイトレス・ナンシーD@中村桃花さんも随所で楽しいお芝居を見せてくれたし、何より、歌唱力が本当に素晴らしかった!!
ちなみに医師の友石さんが脳の手術のサインをゴードンに求めるときに『ライオンキングを見に行かなきゃいけないんで早く』とせっついてたのは・・・あれは、オリジナルでもあるんですかね(笑)。あのシーンはけっこうウケてました。
この作品はまた近い将来再演してほしいです。