ミュージカル『ファントム』 2008.02.22 千穐楽

大阪・名古屋・東京と約2ヶ月間公演してきたミュージカル『ファントム』が無事に千秋楽を迎えました。というわけで、行ってきました、青山劇場最後の『ファントム』。

私は東京公演3回分観たわけですが…まさかこの作品にこんなにハマッてしまうとは思いもよらず。「大沢たかおは本当にミュージカルができるのか?」と観劇前にテンションが低かったのが逆に幸いしたのかもしれません(笑)。それからやっぱり初期の内野さんの歌を知っていたのもよかったと思ってます(←本当にあれで免疫できたみたい 笑)。

※1回目の観劇感想↓

※2回目の観劇感想↓

相変わらず開場してからしばらく長い行列が劇場外にできていましたが、過去同じ光景を見ているのでさして特別にも思わず。ロビーの混雑ぶりも同様でしたが・・・劇場予約オンリーの写真集特典ポスターが品切れで代わりにバレンタインカードとなってました。私は運良く最初の観劇の時に予約入れたのでポスターももらえたしバレンタインイベントにも偶然参加したのでカードも持ってるし・・・よくよく考えてみたらこの作品と相性がすごく良かったのかも!?

客席に入るとやはり千秋楽特有の空気を感じました。以前狂ったように劇場通いしていた頃は千秋楽のチケットを取るために頑張ってましたが(苦笑)今では平日昼間が主な観劇スタイルになったのでほとんど楽と縁がなくなってまして・・・・本当に久しぶりに心地よい緊張感を感じることができてそれだけで嬉しくなってしまった。

オーバーチュアが始まると客席から大きな拍手も。やっぱり千秋楽に立ち会えるって幸せだなぁと思ってしまった…。

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カーテンコールはものすごく盛り上ってましたが、先日のような熱狂的な「ぎゃぁ」って感じではなく私も立ち遅れることなく拍手することができました(笑)。アンサンブルの人が出てきたあたりからスタンディングが始まったのもよかった。もう精一杯拍手してきましたよ。

で、大沢たかおさんが最後に出てきたときはやっぱりものすごい歓声が上がったけど、どちらかというとすごく温かい雰囲気で…。それに、ここまで素敵なエリックを演じてくれて本当にありがとうという気持ちがすごく沸いてきて拍手しながらも思わずが流れてしまった…。泣きながら特定の役者さんに拍手送ったのって何時以来だろう。っていうか、大沢ファン以外で泣きながら拍手したのって私だけかもしれないけどw。

それから演出のスズカツさんやベラドーヴァを歌った姿月さんも今回は登場してくれて大きなキラキラのクラッカーみたいなのが出てきたり・・・それはそれは華やかでございました。大沢さんも客席からものすごくパワーをもらえて本当にありがたかったと語ってくれました。

それに2階席の奥のほうまでよく見ていて隅々までのお客さんに感謝の言葉を述べていたのがとても印象的でした。みんな揃ったところでMelodie De Parisを合唱してくれたのも楽しかった。大沢さんも歌ってたし♪
何度目かの登場の時には徳永えりちゃんが感極まって泣いてしまってて、それ見て私もまたウルッときちゃいましたよ・・・。そんなえりちゃんを優しくポンポンしてる大沢さんも可愛かった。とにかく皆さん本当にすごく晴れやかでいい笑顔でした。大沢さんはすごくいいカンパニーに恵まれていたんだなぁって思いましたね。とても幸せそうな素敵な笑顔だった。

それにしても今回観劇して一番驚いたのは大沢さんの人気の高さですね。ファンの方たちのカーテンコールでの熱狂ぶりほんっとにビックリしました(汗)。

前日にはクライマックスのロープアクションで「たかおコール」があったくらいだと聞いてさらにビックリ。でもそれは役者さんに対してものすごく失礼なことです。これはコンサートでもショーでもなくミュージカル作品ですから。ほかの観客もショックだったと思うけど、何より一番ショックだったのは大沢さんじゃないかな。たくさんのお客さんが大沢さん目当てでもこうして舞台に足を運んでくれるのは嬉しいのですが、観劇マナーだけは事前にちゃんとチェックしてもらいたいです。

さて、本日は楽なのでネタバレ書きます。最初想像した以上に思い入れ深い作品になったのでかなり長くなります。途中で読み飽きたらスミマセン。

 

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まず最初にツッコミ入れたいところから。

今回が意外といちばん冷静に舞台全体を観れたかもしれません。それで思ったんですが…やっぱりセットに面白みがなさすぎます。なんだかものすごく簡素なんですよ。役者さんたちはとても熱演しているのにセットの面白さが感じられないためにふと退屈感が過ってしまうシーンも正直ありました。

それから舞台空間の使い方が大作ミュージカルとしてはちょっと御粗末。客席を使った演出はとてもいいと思うのですが、その間舞台の上にも何かしらのアクションがやっぱりほしいです。あくまでも中心は舞台の上ですから・・・。

回り舞台はすごくうまく使っていたと思うので、他の部分がちょっと残念。再演する時には演出と舞台美術にもう少し力を入れてほしいと思いました。

と、今回のツッコミどころはここまで(笑)。そのほかは本当に個人的に申し分なく素晴らしかった。前々から書いていますが、私は大沢たかおさんのファンではありませんでした。が、それでも素晴らしいと思ってしまったんだから仕方がない(笑)。

Melody De Paris

客席からクリスティーヌが歌いながら登場してくるのですが・・・今日の徳永えりちゃんには何かが降りてた!?過去聞いてきた中で一番声がキレイに聞こえた。上手かったとは言いませんが(苦笑)以前よりもかなり安定していたんじゃないでしょうか。ちょっとビックリしました。

今回通路席だったのでトンハくんのシャンドン伯爵がすぐ真横を通ってくれて・・・それだけでも感動的だった(笑)。間近で見ましたけど・・・すっごい貴族っぽくて素敵だった。こういう育ちの良さそうな役が合ってるのかもしれませんね。それから阿部よしつぐ君も通ったんですけど・・・彼も超イケメン(笑)。谷原章介さんに似てますなぁ。

それにしてもこの楽曲・・・頭の中に回ります・・・。「♪メロディ、メロディ・・・・」。オーバーチュアからけっこう今回は感極まったんですけど、この曲もすごい好き。

Phantom’s Entrance

ここで大沢ファントムが初登場するわけですが・・・この人は魅せ方というのが非常に上手いと思います。ひと目見ただけでファントムがどんな暗い陰湿なところで心を閉ざし生きているのかが伝わってくる。

ブケー殺害はここで起こってしまうのですが、自分の素顔を見せて相手が悲鳴をあげたときに背中で見せる絶望感がとても切ないです。最初にここで大沢さんの歌を聴いたときちょっと微妙かも・・・と思ったものでしたが千秋楽になるとかなり音程も安定していて歌声にしっかり感情も乗っていました。こういう少しずつの進化を感じるとなんだか感無量でものすごく嬉しくなってしまう。

Dressing for the night

華やかな上流階級の人たちとそれを影から見つめるファントムの対比が描かれています。この時ファントムは上のほうの本当に端っこに現れて最後の部分から歌に参加するんですが・・・悲しみと怒りみたいな感情がそこには溢れていてとても切ない。少しの出番でも大沢さんは手を抜いてないなと思いました。立ち姿から感情が伝わるしマントさばきも非常にカッコイイ。

ただ残念なのはセットの角が邪魔で十分に大沢ファントムが見えないこと(苦笑)。ほんとに中央部分に行かないとすごい見難いんですよ…。そのあたりもう少しセットも考えてほしかった。

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Where in the World

クビになってしまった前支配人キャリエールにファントムが怒りをぶつけます。新しい支配人の妻であるカルロッタの歌はエリックにとって苦痛でしかないからです。

そんな連中をなぜこのオペラ座に入れたのだとものすごく神経質になるんですが・・・この時の大沢さんの演技がこれまた絶品でして。身体全体からエリックの孤独が溢れている。闇の世界で行き続けていくことに限界を感じていることがすごく伝わってくる。そんな気持ちのまま歌うこのナンバーは今回の作品の中でも特に好きな楽曲のひとつでした。

決して上手い歌ではないんです。たぶん息継ぎもちょっと問題あるかもしれません。でも、そのことで手に汗握るようなことには私はならなかった。ただひたすら純粋に光を求めて嘆くエリックの姿にとても胸打たれるんですよ。声量もびっくりするくらいあるのでそこに感情が乗っていることがすごく感じられる。大沢たかおさんの歌にはそんな不思議な魅力があります。

This Place is Mine

カルロッタがオペラ座は自分のものだと歌い上げるソロです。

大西ユカリさんの迫力ある歌声を堪能させてもらいました。過去2回はオペラ歌手とは思えないようなこぶしも利かせていたんですが(苦笑)、千秋楽はちょこっと抑え目でしたね。少し喉にも疲れが感じられましたが、堂々と歌い上げていらっしゃいました。オペラ歌手としてこの歌はどうか・・・っていう意見もありますが、この場面はカルロッタの心情を歌っているので大西さんのような歌い方でも私はそんなに問題ないと思っています。

Home

シャンドン伯爵の紹介でオペラ座にやってきたクリスティーヌがカルロッタの下で雑用係をすることになったのですが、その最中に歌を歌っているのを初めてエリックが聞いて衝撃を受ける場面です。

このナンバーがほんっとに素晴らしい!

モーリー・イェントンはなんて素敵な旋律を書いたんだろうと感動することしきりでございます。千秋楽ではえりちゃんのクリスティーヌの歌がいつも以上に安定しているように思えたのでさらに感情移入してしまった。

で、エリックがその歌に惹かれてやってきてデュエットするんですけど・・・私はここで涙が出てしまったよ。闇の中で絶望しかなかったエリックに一筋の光が差して、クリスティーヌとデュエットしているときのあの幸福そうな表情がもろにツボ!大沢たかお、なんと繊細な表情をするのだ!と感動してしまいまして・・・そしたら自然にこみあげてしまった。

その出会いがあってから二人はレッスンを開始。これ一番最初見たときはちょっと「二人とも音程が危なっかしいかも・・・」って正直手に汗握ったんですけど(苦笑)、千秋楽の今回は二人ともすごく合っていたし違和感を感じませんでした。

まぁ、三回見たから慣れたっていうのもあるかもしれませんが(爆)。でも、あのエキセントリックな感じの大沢さんの演技がすごく好きです。エリックがクリスティーヌにどんどん惹きつけられていくのが手に取るように分かる。指先まで演技が行き届いていてとにかく美しいのです。

このとき脇で警部とカルロッタ夫妻がごちゃごちゃ話しててちょっとコミカルなんですよね。警部と警官のやり取りは面白かったなぁ。で、最後に冒頭で殺されたブケーの等身大人形が落ちてきてビックリみたいな(笑)。これが落ちてきたことでエリックがみんなの標的とされてしまうわけで・・・Phantom Fugue,partの鬼気迫るナンバーは聞いていてちょっと辛い気持ちになってました。

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You are Music

人々がエリックに敵意を向けている頃、エリックはクリスティーヌと最後の歌のレッスンをします。

このナンバーは14日に大沢さんと特別イベントで一緒に歌ったせいかものすごく思い入れが深くなってしまった(笑)。とにかくこの曲もものすごく旋律が美しくて安らかな気持ちになります。この時のエリックはものすごくクリスティーヌに優しい。

そして、彼がクリスティーヌに対して恋に落ちていく様子が手に取るように伝わってくるんですよ。その過程の演技がこれまた素晴らしいよ、大沢たかお!ナンバーは高音だしものすごく難しいし、下手すると歌うことだけで精一杯になってしまうところですが、大沢さんは見事に感情乗せて歌ってくれる

何度も言うけど決して上手い歌ではないんですが(苦笑)・・・気持ちがストレートにこちらに響いてくるんでものすごく感動するんです。楽の雰囲気もあってか私ここでもかなりウルっときてました。

The Bistro

シャンドン伯爵が歌のコンテストを開いてそこに出たクリスティーヌが賞賛を浴びるシーンが描かれています。最初はバカにしていたカルロッタですが、徐々に実力を発揮していくクリスティーヌに嫉妬心を燃やしてしまいます。

過去2回見たときのクリスティーヌはやはり音程が不安定で正直ハラハラすることも多かったんですが、楽は何故かすごい安定した歌いっぷりを披露してくれたえりちゃん。上手くなったとは言いませんが、キレイな声だなぁと感じられるようになったのはすごい。ものすごく幸せそうに歌っているあの表情も可愛くて素敵です。今日はやっぱり何かが降りてきていたか!?

賞賛を浴びているクリスティーヌを上の暗いところからエリックが見つめているシーンもとても切ないですね。自分はそこに行きたくてもいけないわけですから…。色々な男性からダンスに誘われたのを見て去っていく姿がなんだか寂しく見えました。

このシーンでかっこいいのはやっぱりシャンドン伯爵。トンハくんが本当にすごく魅力的に演じてくれてて・・・まさに紳士って感じなんですよ。優しい笑顔もいいし・・・。

クリスティーに贈り物をする場面もとてもよかった。やっぱ歌の安定度はピカイチです。ただダンスの動きになるとちょっとギコチなく見えてしまったのが残念だったかな。まぁ可愛かったからいいけど(笑)。

クリスティーヌに愛を告白するシャンドン伯爵ですが・・・クリスティーヌってこの作品の中ではイマイチそれに応えているのかどうかが微妙なんですよね。『オペラ座の怪人』ではクリスティーヌはラウルに完全に恋をしていたけれども、『ファントム』のクリスティーヌはまだその感情までいっていない感じ。恋愛気分にちょっと浮かれているって雰囲気かなぁ。

ところがこの二人の様子をエリックはこっそり見てしまう。ここは『オペラ座の怪人』とほぼ同じです。『オペラ座~』ではこの二人の様子にキレてしまったファントムがシャンデリアを落とすんですが、今回の作品ではファントムはたった一人で嫉妬と絶望感に苦しんでいる。この時のエリックは全仮面状態なんですが、それでも彼の孤独と痛みがものすごく伝わってくるんですよ…。いやぁ・・・すごいよ、大沢たかお

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で、クリスティーヌはオペラの主役級として出演する事になるわけですが、この直前に客席のほうへアンサンブルさんがやってきてくれるんです。で、私のすぐ脇あたりまで来てくれて「きょうは初日ですよ。皆さん千秋楽みたいな顔してますが初日ですから」と言って(劇中では初日と言う設定)笑いを誘ってました。

ところがカルロッタから毒を盛られてしまったクリスティーヌは舞台上で歌えなくなって呆然としてしまう。そんな彼女を助ける為にシャンドン伯爵が客席から舞台へ駆け上がるんですが、すぐ脇をトンハくんが駆け抜けてって迫力ありました(笑)。

さらに二人の前に嫉妬したエリックが天井からロープでサーッと降りてくる。一応背中にワイヤーついているんですが、それでもあそこまで魅せる降り方をするのってものすごく難しいと思いますよ。そういった部分でも大沢さんはすごい計算しているようですごいなぁと。あれを見たら大沢ファンは目がハートになるっていうのも分かる気がする(笑)。現に今回私のすぐ近くの方たちも手を叩いて喜んでましたから(笑)。

そしてファントムはそのままクリスティーヌを自分の住処へさらってしまいます。最後にWhere in the Worldのリプライズを歌うんですが、怒りと切なさとが入り混じったような見事な歌いっぷりでこれまた大感動。それを盛り上げる音楽も非常に素晴らしい。

クリスティーヌが眠っているのを幸せそうに眺めているエリック。彼女なしでは自分は生きていけないとWithout Your Musicを歌うのですが・・・この旋律と歌詞がものすごく切ない!その歌の世界を大沢さんは非常に繊細に表現してくれていました。

ここのナンバーはかなり動きが大きくなるんですが、マントさばきもすごくきれいだし体全体で切ないエリックの心情を出していて思わず見入ってしまいました。ここナンバーがすごく難しいので多少音程あわせが大変そうだなぁとも思ったんですが、それでもやっぱり魅せられてしまうんだよなぁ。もうエリックにはクリスティーヌしか生きがいがなくなってしまったという切なさがひしひしと伝わってきます。

そこへキャリエールがやってきてクリスティーヌを解放するよう説得されるのですが、エリックはその言葉に耳を貸さずヒステリックに彼を追い出してしまう。ここのシーンはもう見ていて泣けてくるほど痛々しい。ここまで痛みを表現できる役者っていうのもあまりいないんじゃないかと思ってしまうほどツボでした。まさか自分がこんなに大沢さんの演技に魅せられてしまう日が来るなんて思ってもみなかった(苦笑)。

キャリエールを追い出したあとの敵意に満ちたWhere in the World リプライズも切なくてたまらなかったなぁ。

もう少し感想続きます。