劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演 2023.06.22マチネ

飯田洋輔くん(ファントム役)について

6月も後半に入り、いよいよ本格的に公演自体の千穐楽が見えてきたため…洋輔くんがファントム役で大阪に来る期間も限られてくる状況になりました。この後数回観劇予定があるのですが、これからは見れる日が”今日で最後”という覚悟を以て劇場に行かないといけないかなぁと…。もしかしたら今回で最後かもしれないとも思ったし、なんだか見る前から切なくなってしまいました。

♪ミラー♪

「私の宝物に、手を出す奴!!」の最初の歌い出し、相変わらず深みと凄味が入り混じった素晴らしい声で圧倒されるのですが、この日はちょっとだけ圧力が足りないかな、とも正直思いました。前回の35周年記念公演で見た時の記憶がまだ色濃く残っていたからかもなぁ。あの時の圧は聴いてるこちらが吹き飛ばされそうなくらいの勢いがあったので。まだ週が明けて間もない時期だったこともあるので、少し抑えてたのやも…とすぐに自分を納得させる私w。

それでも、姿を現して鏡の向こうからクリスティーヌに熱い眼差しを向けている場面は本当に胸アツで思わず涙が…。あの視線に私はいつも吸い込まれそうになってしまう。並々ならぬ彼女への執着に似た想いが感じられるのが本当に良い。

♪The Phantom of the Opera♪

ボートを漕いでいる姿は何度見ても美しく、蒼白いオーラも感じます。手の動きも指先まで神経を行き届かせていて奇麗。洋輔くんファントムのあのシーンでの動き、美しさの中にどこかほんのりと柔らかさを感じるんですよね。冷たさだけではない何かがあるように私には思える。その姿にどうしようもなく心惹かれてしまいます。

ボートから下りた後、投げたハットは久しぶりに鋭い勢いで舞台袖へと吸い込まれていきカッコよかったです!マントは比較的丁寧に畳んではいるけれど、昨年初期に見た時よりもあまりそこに神経を注がなくなったなという印象かな。マントよりもクリスティーヌを見つめるほうに集中してるって感じ。
彼女の歌声に合わせて陶酔に浸る場面は、以前ほど一緒に歌わなくなってるけど動きは艶めかしくクリスにどんどん執着していく様子が手に取るように伝わってきました。

♪Music of the Night♪

「こここそが私の音楽の王国」から「私はおまえに求めた」に移る時の歌声の変化の迫力が素晴らしかったです!!なんとしてもクリスティーヌを自分の世界に率いれたいと、そこで一気に彼の中の興奮が高まったのがリアルに伝わってくる。ここの声はめちゃめちゃ張ってて凄かったなぁ。

で、その後がまた秀逸。特に「私のために歌ってほしい、どうか」のところの歌い方には本当に心を打たれました。”どうか”の言葉にものすごい神経を集中してて…、そこから繋がっていくMotNへの流れが非常に神聖なものに感じられたんです。楽譜を見つめながら気持ちはクリスティーヌにこれでもかというほど向かってて…その想いが痛いほど分かるから切なくてたまらない(涙)。
クリスはファントムにとって唯一の光の存在なんだなということがあの歌い方からジンワリと心に響いてきた気がします。洋輔くん、すごく丁寧に演じてて…それだけでももう涙止まらなかった。

あとやっぱり、鏡の中のダミー人形に驚いたクリスが失神してしまった時の反応が大好き。この日も倒れるクリスを目の当たりにしたとき「え、あ、どうしようっ」と言わんばかりにめちゃめちゃ動揺してて。あのシーンでの可愛らしさみたいなのは洋輔くんだからこそ出てくる味わいだなと思います。彼女にマントを掛け「二人は歌うのだ」と歌っている時の何とも言えない切なげな表情もグッとくるんだよね。

クリスのいたずら心で仮面を剥がされた直後は洋輔くんファントム、すごい叫び声をあげるんですよね。この日もまるで悲鳴のような声を上げてて…それだけでめちゃめちゃ心が痛んでしまった。この一連のシーン、クリスにすごい罵声を浴びせてるんだけど…なんだか声が泣いてるように聞こえてくるんです。
ファントムにとって唯一無二の存在である彼女に一番見られたくない姿をさらしてしまった事を、”裏切られた”と感じたんじゃないかなと思えるほど傷ついてる様子が伝わってくる。あの瞬間、心が抉られたんだろうなと…。そう思ったら辛くて辛くて、見ているこちらの胸も張り裂けそうになってしまった(涙)。

特に、クリスににじり寄りながらも彼女と至近距離になった時背を向けてしまう姿は涙なしには見られません…。「おぉ…、クリスティーヌ…」と涙する声の弱々しさがもう、堪らなく哀しいのです(涙)。そっと背中から抱きしめてあげたくなるレベル。あれは仮面返してあげたくなるよね。
クリスから仮面を受け取った時の洋輔くんファントム、じっと彼女を見つめながらも吸い込まれそうになる寸前で唇をかみしめて思い止まり地上へと向かう。あの、下唇を噛む仕草は洋輔くんのお芝居でよく見られる光景なんだけど、それが私の心をものすごく揺さぶるんですよね。めちゃめちゃ切ないんです、本当に(涙)。

♪All I Ask of You♪

この日はエンジェル像が比較的正面から近くに見える位置からの観劇だったので、久しぶりにオペラグラス抜きで洋輔くんファントムを見たんですが…顔が上がってきた瞬間からの孤独のオーラが凄すぎて一気に涙が溢れ出てしまった。
この日は前回に比べるとちょっと声圧が物足りないなと思うところはあったのですが、それをものすごく繊細で丁寧な芝居で補っている印象が強かった。「そのお返しが、これだというのか」を歌っている時の声色のなんと哀しく寂しいこと…。思い出すだけでも胸が痛くて泣けてくる。

この1幕ラストシーンの洋輔くんファントムにはいつも泣かされてるんですけど、今回も哀しくて哀しくて…そして苦しくてたまらなかったな。あの嘆きの歌声を聴いていると私の胸の内側まで抉られるような感覚になってしまう。

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♪墓場(Angel of Music リプライズ)

墓場のシーンはクリスティーヌがメインになりますが、私はどうしても十字架の中が気になってしまう(すみません 汗)。クリスが去ろうとしたタイミングでスーッと現れる洋輔くんファントムは何度見ても美しいです。そして、最初の視線はとても静かでどこか神々しい。その姿に私はいつも吸い込まれそうになってしまう。
「ここへおいで、私の愛しいクリスティーヌ」の歌い出しの声がまた柔らかくてどこか安心感を与えるような温かみがあって泣けるんですよね。あの歌声はやっぱり洋輔くんならではの、唯一無二のものだと思います。

ファントム、クリスティーヌ、ラウルの三重唱は圧巻。今回は岸くんが凄い熱血歌唱していて迫力十分で、洋輔くんファントムの歌声がちょっと控えめに聞こえるかな…と思わなくもなかったのですが(汗)それでも存在感では凄い圧倒してたと思います(常にファン目線なのであしからずw)。

そしてファントムvsラウルの場面。岸ラウルに対する洋輔くんファントム、めちゃめちゃ冷酷でしたね。火の玉の飛ばし方もスピーディーで直接ラウルに直撃しそうになるものもたくさん。っていうか、あの火の玉装置ちょっと改良したのかな?以前よりも勢いが増してたように見えたんだけど飛ばし方の問題だろうか。清水ファントム張りに勢いよくラウルに発射されてたのでドキドキしてしまったw。

♪The Point of No Return♪

ピアンジと入れ替わって黒フードで登場したあとの洋輔くんファントム、クリスに対する興奮にも似た執着心は少しおとなしめかなといった印象でしたが、ジワジワと彼女への想いが盛り上がっていく様子はすごく手に取るように伝わってきました。クリスがすぐ近くで歌い出した時には感情が表に出てしまいそうなのを必死の思いで堪えてて…その動きを観ただけでもグッときてしまう。

再び彼女が接近してくるまでの手の動きは前回よりもちょっと落ち着いている印象はありましたが、彼女の手と触れ合った瞬間にぐわーーっと抑えきれない感情が溢れだし羽交い絞めにしてしまう場面はとても切なく、苦しかった…。全身全霊で彼女を欲しているというか、強烈に求めているというか。そういった切々とした感情がじわじわと流れ込んでくるようだった。

舞台の中央でまずベールを剥がされる場面、洋輔くんファントム、ここでものすごい目を丸く見開き口を開けて全身でファントムの衝撃を表現する…。これがもう、何とも言えず辛くて悲しい。彼女への感情が最高潮に前のめりになった瞬間に拒絶されてしまった、みたいな感じに見えるので。それだけに、ショックを受けたまま逃げるようにその場を離れた時の背中がめちゃめちゃ切ないのです(涙)。
あの時どれだけの衝撃が彼を襲っているのだろうかとか、どんな想いで必死に感情をコントロールしているのだろうかとか、考えるだけで苦しくて苦しくてたまらない(涙)。

クリスティーヌへ指輪を託す場面、彼女に自分の本心を受け止めてほしいが故に、洋輔くん、ものすごく丁寧に丁寧に、そして繊細に歌っていたと思います。「クリスティーヌ、君が全(て)」と歌うところで一気に感情を上げてぶつけてくる。その決死の訴えがこれでもかというほど伝わってきて涙が止まりませんでした(泣)。
だけどこのあとマスクも剥がされてしまうわけで…、その瞬間の全てが弾けて壊れてしまったと言わんばかりの衝撃を受けた表情が頭にこびりついて離れません…。あれは本当に哀しかった。

怪人の隠れ家

クリスをボートに乗せ隠れ家へ向かっている時の「クリスティーヌ、なぜ!??」の訴えも涙声になっててファントムの心の痛みが見る者の心を揺さぶります…。最後袖に消えゆく時など、泣き崩れそうになってるのが本当に切ない(涙)。

隠れ家へ着いた時にクリスティーヌから「飢えた悪魔」と罵られてしまった洋輔くんファントム、あの瞬間、その言葉が確実にナイフを突き立てられたような痛みを感じているように見えるのですが、その姿をあえて知られないよう耐えてるようにも感じたかな。
だけど「それが私をこうした」と歌っている時に感情が溢れだすのを止められず辛い過去と向き合い泣き崩れそうになってしまう。この時の洋輔くんファントム、本当に儚くてねぇ…。その場から消えてしまいそうな雰囲気というか…、とにかく彼の周りにすごい孤独の影が付きまとってるように見えるのですよ。それが本当に堪らなく切ない(涙)。

それでも「哀れみはいらぬ」と過去を振りほどくようにクリスティーヌの花嫁衣裳準備へと意識を集中させていく。これまでは彼女の「穢れは心の中よ」という言葉をあえて耳に入れないようにしているように見えたことが多かったのですが、今回”避けようとしても自分の心の中に彼女の訴えが入ってきてしまっている”ように見えたんですよね。それ故、ブーケを手渡した時もいつも以上に苦しげな表情が滲み出ていて…それがなおさら切なかった(涙)。

ラウルがやってきたときは強気な自分を見せるわけですが、今回は玉座に浅めに腰かけた後に足を組んでましたね。いや、前回見た時に足組んだまま玉座に座ってたのを見てビックリしたものでつい細かいところに注目してしまってw。

ラウルにロープをかけた後の狂気の笑いはゾクッとするくらい恐ろしかった。悪魔に憑りつかれたかのような高笑いで、でもそれが逆に洋輔くんファントムを崩壊へと導いているようにも見えて…。彼がラウルに辛辣な挑発を投げかければかけるほど自らを締め上げてるようで哀しいのです。
そしてさらに切ないのが、クリスティーヌから「哀しみの涙今、憎しみに変わる」という言葉を浴びせられた瞬間の洋輔くんファントム。一瞬何を言われたのか呑み込めない様子を見せるのですが、「憎しみ」の感情が自分に向けられたのだと思い知った時にワッと泣き出しそうな崩れた表情をしながらその場に沈み込んでしまうのですよ(涙)。もうこれ本当に切なくて辛くて…私の心臓が鷲掴みにされてるかのような感覚にさせられてしまう。

あの時彼は、彼女の心が自分のものになることはないのだということを悟らざるを得なくなったんじゃないかなぁと…。でもそれを認めたくなくて必死にラウルに抵抗していくんだけど、彼を庇うクリスティーヌの姿を目の当たりにすると銃弾を食らったかのような苦悶の表情を浮かべながら逃げてしまう。
「(ラウルを)救えるのは君だけ」と歌うシーンも、私には洋輔くんファントムを救えるのはクリスティーヌしかいないんだという訴えに聞こえて…もう涙が止まらない(泣)。「もはや戻れない」という言葉も、自分自身に向けてるよねと…。あの場に立っていることがどれ程辛いか想いを馳せるともう堪らない気持ちになってしまいます。

「昔は心捧げた」と告げるクリスティーヌを見つめる時の洋輔くんファントム、一瞬その言葉に呑み込まれていきそうになるんだけど寸でのところで「許さない、選べ!!」と高圧的な態度を取ってしまうわけで。だけど、クリスに背を向けた時の表情はもう今にも泣き崩れてしまいそうなほど脆くただただ儚い(涙)。あれを泣かずに見られようか…!!!哀しい、哀しすぎるよ、洋輔くんファントム…。

クリスティーヌのキスを受けた直後はすごく苦しそうなんですよね。だけどそれは毒素に冒された自分からの脱却のしようとしてるように見えて…。苦しげなんだけどどこか安堵感みたいなものも感じました。あぁ、救われたんだなと。だけど、ラウルの縄を切る時はものすごい心の葛藤があって(涙)。

一人残された後、猿のオルゴールを前に♪マスカレード(リプライズ)♪を歌う場面、その姿はとても小さく頼りない。「仮面に隠れて生きてきたこの人生」と歌った後は微かな嗚咽を漏らしながらもちょっと自嘲しているようにもみえてとにかく切ない…。
指輪を返しに来たクリスティーヌと向き合った時の洋輔くんファントムは、それを受け取ることに一瞬迷いをみせ手の動きがちょっと止まるんですよね。指輪を受け取ることはクリスティーヌとの別れを意味するので…。だけど、それを押し殺してそっと指輪を手に取った後「I LOVE YOU」と心からの本音を告げる。この一連の感情表現がとにかく繊細で物悲しく、めちゃめちゃ号泣してしまいました(涙)。

クリスがラウルとボートで去る姿を背中に感じながら、彼女が投げ捨てた花嫁のヴェールが目に入りちょっと立ち止まったあとそれを拾いに歩みを進める。まるで零れ落ちてしまったクリスティーヌへの愛情を拾い集めるかのように愛しそうに必死にヴェールを胸に抱きながら名前を呼ぶ姿も本当に感動的で嗚咽しそうになるくらい泣いたな…。

今回は全体的に歌声の圧は少し控えめなように感じたけれど、お芝居はとても丁寧でファントムの心情がこれでもかというほど私の心に刺さりました。洋輔くん、本当に素敵な良い俳優さんになったなと実感。ファンとしてこんな嬉しいことはありません。

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後述

カーテンコールもいつものように盛り上がったのですが、2度目に全キャストが登場したタイミングだったかな。洋輔くんがチラリと岸くんと目を合わせた後に思わずホッとしたように歯を見せながら微笑んでいて。その姿を見た時にまたまた涙が溢れてボロ泣きしてしまった(涙)。彼が自分で納得できる舞台ができたってことだよね。そのことが本当に嬉しかった。
岸くんはカテコの時に笑顔でいられるよう頑張ると某動画で語っていましたがw、今回はとにかく激熱なお芝居で突っ走っていたからか前回よりもちょっと笑みが薄かったかなという印象ww。それだけ全力投球なお芝居だったということですよね。本当に皆さん、素晴らしい熱演でした。

そういえばこの日は後ろの学生の団体さんもかなりカテコ盛り上がってくれてるようで。大きな「ブラボー!!」の声もあちこちから飛んでいました。劇場での声出しも解禁になり、こういった光景も見られるようになって良かったなと。

で…、私が観劇した週から洋輔くんがインしてきたのであと3~4週は大阪かなと思っていたのですが、その直後に予想外のことがありまして。観劇日の翌々日にファントム役から洋輔くんの名前が消えているではありませんか!!体調崩したのではないかとめちゃめちゃ心配してしまった(汗)。
そしたら…土日で東京の「JCSジャポネスク」公演のところにカヤパ役として洋輔くんが出演することになったという驚きのニュースが舞い込んできた(汗汗)。たしかJCSは期間限定公演でシングルキャストだったはずなのですが、どうやらキャストのおひとりが都合悪くなられたようで。それにしてもまさか大阪の週に突然東京の舞台に出演することになるとは夢にも思わなかった。

ということは…、ひょっとしたら今回私が見た日が大阪で逢える洋輔くんファントムの最後になったかもしれない…のか。この先どういうキャスト編成になっていくか読めないのですが…せめてあと1回だけでも会いたい。心の準備が完全にできてないので…。これはもう祈るしかない。

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