ミュージカル『ローマの休日』 東京公演 2020.10.20ソワレ・21マチネ

主なキャスト感想

土屋太鳳さん(アン王女役) ※20日ソワレ

最初に太鳳ちゃんがアン王女に抜擢されたというニュースを聞いた時には正直「え!?」と戸惑いを隠せませんでした。彼女は映像の世界では大活躍している女優さんですが、舞台経験も浅く…しかもミュージカルは初体験。さらに今回の役は初演と再演で大地真央さんというビッグネームが演じていたこともあり、「大丈夫なのか?」という不安しかありませんでした(汗)。
それでも、いったいどんな雰囲気になるのかという興味はあって今回彼女の回のチケットを入手。観劇前はけっこうドキドキハラハラといった感じでしたw。

しかし、蓋を開けてみればちょっとびっくり!私が設定していたハードルが低すぎたからというのも加味されますが(笑)想像以上に太鳳ちゃんが”アン王女”だった!

まずミュージカルということで”歌”のことから。オープニングの出だしのところはけっこう音程も安定しているなという印象でしたが、抑揚のある歌唱や高音域のところになるとやはり不安定さは否めません。あれを歌いこなすにはやはり数年の訓練は必要なのかなって思ってしまいました。
ということで、正直、歌は「想像していたよりはマシだったかな」といった感想。これまでそれ以下の人のもいくつか見てきているのでwwそのあたり私のハードルは低いのかもしれません。が、決して上手くはなかったです。

ただ、未知数ではあるかなと思いました。さらに歌の訓練を積んで経験を増やしていけばすごくいい舞台女優さんになれるかもと予感させるものがあった。頑張ってほしいです。

立ち居振る舞いとお芝居に関しては、私個人としてはドラマで見る太鳳ちゃんよりも好きかも!!とかなり感動してしまいました。事前にハードルを思い切り下げていたこともあったからかもしれませんが、それを抜きにしても素晴らしいと感じさせるには十分な魅力が舞台の上の彼女にはあったと思います。

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太鳳ちゃんが演じたアン王女は、キュートで瑞々しく誰もが惹きつけられてしまうような不思議なオーラがありました。
最初のシーンで「自由になりたい」とスネ足りしている時ですらかわいい(笑)。その可愛さが全然あざとくなかった。ここが映像で感じることがある彼女との大きな違いだったかもしれない。お転婆っぷりもキラキラした少女のようで観ていてこちらの気持ちが鷲掴みにされていくような感覚がありました。ジョーが彼女に愛情を抱いてしまうことをごく自然に受け止められました。

身のこなしっぷりはさすがダンス経験者だけあって軽やかでしなやか!ダンスをするときの体の動きの一つ一つが洗練されていて遠くからでもすごく奇麗に見えました。それに、ジョーとダンスしてるときの表情もすごくよかった。
太鳳ちゃん、良い舞台女優になれるんじゃないかなってこの身のこなしっぷりを見た時に思いました。

ジョーへの恋心を自覚したあと、悲恋を経て大人の表情になっていくお芝居もとてもよかったです。ただ、初演の大地真央さんはかなり情熱的にジョーへ愛情を向けた芝居をしていたので、それに比べるとちょっとまだアッサリかなというのはありましたが(笑)。それでも、恋心に目覚め戸惑いながらも彼の愛情に身をゆだねていく太鳳ちゃんのアン王女の姿は胸を打つものがありました。
記者会見に現れた時のアン王女のお芝居も印象的。冒頭の時と表情がちゃんと違ってた。王女としての覚悟が、さらに彼女を凛と引き立て輝かせていたように思えました。去っていくシーンの後ろ姿に、王女としてこれから背負っていくものを受け止めていく覚悟のようなものもにじみ出ていました。

歌は正直かなりさらなる努力が必要って思えたのに、それでも太鳳ちゃんが演じたアン王女に泣かされてしまった。あんな凛としたキュートで可愛らしい魅力を舞台の上で発揮されるとは思ってなかったので(ごめん!)、これは嬉しい驚きでした。
舞台での身のこなし方やお芝居はとてもよかったので、歌を特訓してまたさらに次の作品へステップアップしてほしいなと思います。

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朝夏まなとさん(アン王女役) ※21日マチネ

朝夏さんはどちらかというと”カッコいい女性”キャラがハマる女優さんだという印象が強かったので、最初はアン王女役というのがちょっとピンとこないところがありました。
しかし、冒頭でゲストにあいさつをするシーンで初登場したときの彼女を見て、素直に「可愛い!」と思ってしまいました。見事に女性としての愛らしさを表現していて声色も柔らかく今までとは違う新しい印象を抱きました。

ローマでのスケジュールを聞いて子供っぽく駄々をこねるシーン、太鳳ちゃんとちょっと違うなと思ったのは「少女」といった感じではなく「大人への階段を上り始めた頃の女性」と感じたことでした。
太鳳ちゃんがこの時にまだ「王女未満」だとすると、朝夏さんは「王女なりたて」って感じかな。おてんば娘ではあるんだけど、どことなく高貴な雰囲気が漂っていて「王家の人」という印象が強かったです。

精神安定剤が効いてきて道端で寝ている時にジョーと対面するとき「お目にかかれて光栄です」など王女としての決まり文句をもうろうとしながら彼に告げるシーンがあるのですが、この時のセリフの間やテンポがちょっとコミカルで太鳳ちゃんの時よりも笑いが起こってましたね。このあたりはさすがだなと思いました。
初演と再演の大地真央さんは抜群のコメディエンヌっぷりを発揮していて本当に面白かったのですが、それと少し近いなと感じたかも。でもやっぱり真央さんの方が思わずクスってなる感じで好きだったんだけどね。

ジョーのパジャマを着てはしゃぎながら眠るシーンはとても可愛らしかった。歌声も安定しているし、ズボンの片足に両足を突っ込んで「あれ?」ってなっちゃうところなんかは観ていてかなり萌えましたw。

一人でローマの街に繰り出してこれまでできなかったことを体験していく場面、ここは大勢のアンサンブルさんたちとの呼吸を合わせたお芝居が求められていると思うのですが、その身のこなしは実に優雅で動きにもキレがあって惚れ惚れするほどでした。朝夏さんってこんな女性的な動きも華麗にこなしちゃうんだなぁと感動。
あと、本当に容姿端麗で整っていることもあってジェラートを食べる姿はモデルさん級に絵になっておりました!

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ジョーやアーヴィングと行動を共にすることになった後の朝夏さんのアン王女はさらにキラキラ輝いていて、本当に今その瞬間が楽しくて仕方ないんだろうなというのがひしひしと伝わってきました。和樹くんジョーとスクーターで待ちを駆け巡る時は笑顔全開で観ているこちらも思わず嬉しくなってしまうほど。

でも市場に突っ込んだ後、ジョーが「結婚式に急いでいたから」ととっさに嘘をついた時にハッと女性の顔になってたのも印象的。ここから彼女の彼に対する想いの蓋が開かれていったんだろうなって感じられました。
「真実の口」で騙されたと知った時には本気で泣きそうになってたし、「祈りの壁」の前ではジョーのことを思い浮かべてるんだろうなって伝わってきたし、なんか色々ジーンとくるものがありました。

船上での大乱闘のあと、ジョーと思わず唇を重ねてしまったアン王女の場面。おてんば娘から「恋する乙女」へのスイッチが一気に切り替わってましたね。女性の目覚めって感じだった。
そこから怒涛のようにジョーへの想いが次から次へと溢れてきて、バックハグされた後に想いが止められずすがるように抱き着いて涙するシーンは観ているこちらも思わず涙でした(泣)。門前での想いを断ち切るような去り際も切なくてたまらなかったなぁ。

ジョーとの恋愛を経て戻ってきたシーン、朝夏アン王女の表情にはそれまでになかった王女としての自覚と威厳が備わっているように見えました。それはそれは凛としていてカッコよかった。あの表情を見て、彼女は立派な王女になるに違いないって思えたし。

そして記者会見場の場面…、「一番印象に残っている国は」と聞かれ「ローマです!」と答えるときの表情がとても神々しかった。彼女にとってあの短い時間は本当に永遠の宝物になるくらい大切なものだったんだろうなというのが、あのセリフに込められている気がしました。
そしてジョーと最後に心の中で想いを交わしたあと去っていくときの背中。あの決意の背中がやけに凛々しく頼もしく見えました。

今回は和樹くんジョーとのコンビで「大人の恋愛物語」といった雰囲気があった朝夏さん。これが感情表現豊かな元基くんジョーとのコンビだとどんな感じになったのかなってちょっと気になりました。そちらのバージョンでも観てみたかったな~。

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平方元基くん(ジョー・ブラッドレー役)※20日ソワレ

ミュージカル『ローマの休日』は初演と再演で複数回観ていたので、すっかり”ジョー=山口祐一郎さん”というイメージが定着してしまったことから、元基くんはジョーのイメージとはかなり違うなぁと最初思ってしまいました(汗)。溌溂とした爽やかさがある彼には合っていないんじゃないかなぁという危惧もありました。
だからこそ逆に、元基くんのジョーがどんな雰囲気になるのかすごく興味が湧いたのが最初です。

ジョーが登場するのはけっこう前半時間が経ってからなのですが、登場したての頃は”あ、元基くん”って感じで(笑)。屈託ない笑顔と爽やかな若々しさ。でも不思議と「仕事に身を入れることができず投げやりになってるジョー」という図式がちゃんと当てはまってました。
編集長を煙に巻こうとしてやり込められる場面とかすごくチャーミングで可愛かったんだけど(笑)、その裏にある鬱々とした気持ちみたいなのが見え隠れしてるのがすごくよかったです。それだけに、翌朝になって正体を知った後”アン王女をスクープネタに!”と食いつくシーンにすごい説得力があって面白かった。

精神安定剤が効いて路上で眠るアン王女と対面したときの芝居は元基くんジョー、テンション高め(笑)。特にタクシーを呼ぶときにビヨンビヨン飛び上がってアピールしていた姿は可愛すぎて思わず笑ってしまったww。それでもジョーとしての違和感を感じさせることはなかったですね。新しい”ジョー”をいつの間にかすんなり受け止めていた私がいましたww。

渋々自宅に連れ帰ってアン王女をぞんざいに扱うシーンでも、ジョーのイライラした気持ちは伝わるものの、どこかコミカルで憎めない可愛さが随所にダダ洩れしているのは元基くんならではだったんじゃないかなとw。歌声も伸びがあって実に爽やか。
翌朝、彼女がアン王女だと知ったジョーがソファからベッドに彼女を移そうとして抱き上げた時に枕方向に頭をやれないことに気が付いて複雑な表情になってしまう場面などは、あまりの可愛さに思わず笑いが漏れてしまった(笑)。

アン王女を尾行する姿も可愛かったけど、一緒にローマ散策するシーンもすごく印象的でした。最初のうちはスクープネタを隠れて探っている下心が見えていたのが、彼女の純真さを目の当たりにしていくうちに少しずつ気持ちが変わっていく様子が伝わってきました。「真実の口」の場面で彼女に抱き疲れた時に彼の心のギアが密かに入れ替わっていて…一瞬魅せる複雑な表情にグッときてしまった。
さらにアン王女から「あなたは本当にいい人」と告げられた時の罪悪感にも似た気持ちに襲われてしまうときの元基くんジョーの表情もすごく繊細で観ていて心が痛くなってしまいました。

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船上パーティの乱闘騒ぎの時はめっちゃテンション高くてキラキラしてた元基くんジョー。でもこの時にはすでにアン王女への恋心に火がついているような状態で彼女に向けた眼差しがとても頼もしく優しかった。
それだけに、海に飛び込んだ後陸に上がってから彼女に思わず唇を重ねてしまうシーンに大きな説得力がありました。キスをした後に戸惑った様子で「帰ろう」っていうシーンなどは年甲斐もなくものすごいキュンとしてしまったよww。あの複雑な心境の表現が元基くん、絶品だった!

部屋に帰り彼女にすべてを打ち明けようとしても結局何も言えなかったジョー。彼の中でどんどん離れがたい彼女への熱い思いが募っていくのが手に取るように伝わってきてとても切なかった…。
そして門前での別れ。引き留めたいけどついにそれができなかったジョーの無念な気持ちがものすごく沁みてきて思わず涙してしまいました…。

一番泣けるのはやはりアーヴィングが特ダネだと言って持ってきた写真を一人眺める場面。彼女との思いでを振り返りながら元基くんジョーは切ないない気持ちと恋しい気持ちが入り混じった…それでもとても穏やかで温かい表情をしてた。ここ、あまり長く彼にスポットライトは当たらないのですが、あの表情を見た時涙を止めることができませんでした(涙)。

そして記者会見場で最後にアン王女と顔を合わす場面。すべての想いを閉じ込めて凛としてその場に立つ元基くんジョーの姿がまた泣ける…。ほかの記者と同じく「初めて顔を合わせた」人物としてそこに存在してるんですよね。
ラストシーン、アン王女が立ち去った後に最後に会場を出ていこうとするのですが…ここで元基くんジョーは少し思い出にふけった表情をした後で心からにじみ出るような自然な笑顔を見せていました。あの瞬間、ジョーは前を向いたんだなってすごく伝わってくる笑顔で本当に感動しました。

明るく溌溂としながらも、心の動きを繊細に表現していた元基くん。想像していたよりもすごく説得力のあるジョーでした。新しい”ジョー・ブラッドレー”の誕生を目の当たりにできてとても幸せだった。

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加藤和樹くん(ジョー・ブラッドレー役) ※21日マチネ

一番最初に和樹くんがジョーに決定したという知らせを聞いた時には「イメージぴったり!!」とテンションが上がりました。初演再演の祐一郎さんに雰囲気が近いかなぁと思ったんですよね。なので、和樹くんのジョーだけはどうしても観に行きたかった…!
チケット発売のギリギリまで悩んだのですが、演劇界はどんどん先へ進んでいくしリモートの予定もないということもあり(なぜか大阪公演もないし…)遠征を決断しました。和樹くんが私を動かしたと言っても過言ではないw。

賭け事シーン、ジョーはアーヴィングたちの喧騒をよそにソファでごろ寝してるのですが…、最初はスマートな寝姿でカッコよさがダダ洩れていたのですがw、途中からすごい寝相になってて思わず吹き出しそうになっちゃいました(笑)。カッコいい人があんな格好で寝ていいんかい!みたいなww。そんなギャップがまたたまらんのです(笑)。

そして♪それが人生♪への流れとなるのですが…スマートでカッコいいのにどこかニヒルでちょっとちゃらんぽらん的な雰囲気がすごく面白かった。流れるようなセリフ回しのなかにも肩の力が抜けた余裕みたいなものも感じられてめちゃめちゃ自然でしたね。歌もさらに進化してたし、なにより全体的にとても軽やかだったのがすごく印象に残りました。

そもそも、和樹くんが「普通の男」で演じること事態けっこう貴重なんですが(ヒーロー的なの多いからねw)、もともとが美男でカッコいいこともあってかスーツ姿で楽しそうに仲間とやり取りしながら歌うのがものすごくハマってた。私が見てみたかった和樹くんがそこにいて嬉しくなりました。

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道端で寝ぼけているアン王女と出逢うシーン、通り過ぎようと歩く姿がまたモデル級にカッコよくて思わずオペラグラスでガン見しちゃいましたww(2階席だったのでw)。タクシーを呼ぶ姿も実に様になってて目の保養状態。元基くんはビヨンビヨン飛び跳ねながらタクシーを呼び止めていたので、こんな二人の違いも面白いなぁと思いました(私はどっちも好きです)。

アパートへ王女を連れ帰った場面、元基くんは終始アン王女にイライラしている印象が強かったのですが、和樹くんはどちらかというと軽くあしらう的な印象でしたね。ムカっとはきてるんだけど、どこかで「しょうがねぇな~」みたいな心の余裕みたいなのが見えた気がしました。
特に、アン王女が寝ぼけながらジョーの印象を語る場面に違いが見えてて。元基くんは上げたと思ったら落とされた瞬間に「なんだよっ」って感じで彼女の手をぞんざいに落としてましたが、和樹くんは「チェッ」って感じで柔らかく手を離すような雰囲気だった。こんな違いも面白かったです。

翌朝支局長の新聞を見て自分の部屋にいるのが”アン王女”だと知ったジョーの芝居は実に可愛かったです。ここは突然ジョーのやる気スイッチが入るのですが、これまで比較的スマートに振舞っていた和樹くんのテンションがグワっと急上昇して実に楽しそうに舞台上を駆け巡ってました。表情がもう、「キターー!!」みたいな感じで盛り上がってて見ているこちらまで気持ちが上がる感じになってしまったよw。
それに、動きが本当に流れるように軽やかで思わず見とれてしまった。和樹くん、こんなにスムーズに舞台で動ける人だったんだってちょっと驚きました。そんなところも進化してて、ほんと嬉しくなります。

部屋に戻ってアン王女をベッドに移し替えようとするシーン、抱えたはいいけど頭を枕に乗せられなくて戸惑っちゃうジョーなのですが、元基くんと違って和樹くんは意外とすんなり逆方向に寝かせてましたねw。でも、彼女が王女だと確信した時の「ひゃっほぅ」みたいなハイテンション笑顔はめっちゃ可愛くて思わず吹いちゃったよ(笑)。

町に繰り出した王女をこっそり尾行するシーン、めっちゃイイ男がコソコソ必死に隠れてる姿がもうギャップ萌え(笑)。スイカを渋々購入してそれで顔を隠すときの慌てっぷりとかほんと可愛かった。あと、カメラ少女から無理やりカメラを借りようと必死になってる姿もツボww。
しかし、髪を切ってローマの大階段に座るアン王女に”偶然”を装って再会するシーンは実にスマートでカッコいい。それまであんなに必死に尾行してたのにw、そのことを一切感じさせないような変わり身っぷりが面白かった。朝夏さんと二人で歌うデュエットは、もうそれだけで恋人同士に見えてしまうような美しさがありました。まさに眼福!

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カフェでアーヴィングと合流したあとローマ散策をするシーンになりますが、特に大きな見せ場となるスクーター二人乗りで駆け巡る姿は本当に完璧でしたね。舞台中央の高い位置からスクーターに乗ってデュエットするシーンなんかは、あまりにも「絵」になりすぎて・・・見ていて自然に涙がこぼれてしまったほどでした。あれ見たとき、思い切って遠征してきて本当に良かったと思った…。
初めての体験に目を輝かせるアン王女を後ろから優しい眼差しで見つめ、いつの間にか自分も思わず笑みがこぼれちゃう・・・みたいな和樹くんジョーの表情がとても感動的でした。

市場に突っ込んで町の人たちから非難を浴びる場面、ここはアンサンブルさんたちがイタリア語でヤンヤ騒ぎ立ててるのでジョーとアーヴィングが通訳する演出になっているのですが…、和樹くんの警察署長さんの声当てがめっちゃ面白くて思わず笑ってしまったww。え!?これ、和樹くんの声!??って思うくらい独特の声色出してて(笑)。
でも、そのあと署長さんの生声を聞いてみるとこれがけっこう似てたんですよね。よく研究したなぁと思っちゃいました。やはり声優経験も積んでいるだけあって、声の出し方のバリエーションも多いんだなぁと感心してしまった。

「真実の口」でアン王女を脅かす場面は、元基くんに比べるとちょっと大人しめな印象。片手を隠した後「ハロー」って出すまでの流れがめっちゃスマートで笑うよりも見惚れてしまったw。
この時、アン王女は「ビックリしたじゃない!!」と泣きそうになりながら彼に抱きつくのですが、元基くんがこの時ドキっとした表情を大きめに出していたのに対し、和樹くんは「あれ、なんかキュンと来るものが…」と思いつつもそれを表に出さないようにする抑えた表現をしていたのがとても印象的でした。

それから、船上パーティでアン王女とダンスをしたとき「あなたはとても優しい人です」と告げられる場面。元基くんはこの時とても複雑そうな罪悪感が刺さったような表情を見せていましたが、和樹くんは言葉に詰まって一瞬視線を下に落とすのですが、彼女にその変化を気づかせたくなくてあくまでもポーカーフェイスでスマートなカッコよさを前面に出しているような雰囲気を見せていました。
こんな違いも面白いなぁと。Wキャストならではの変化ですね。

あくまでも彼女の前では冷静な自分を演出していた和樹くんジョーでしたが、海に飛び込んで陸に上がった後彼女と笑い合ううちにその仮面が剥がれてしまう瞬間が訪れます。彼の中で何かが飛んで引力に惹きつけられるようにアン王女とキスを交わしてた。
このキスシーンが、和樹くん、ほんとめっちゃ奇麗で見ていてものすごいジーンと来るものがありました。まるで少女漫画のキスシーンを見ているかのような時間だった。あんなキスをされたら、そりゃもう、LOVEが跳ね上がるのは必然だよ(笑)。

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そして、アパートに帰って最後の時間を過ごす場面。何とか平静を保とうとしていたジョーでしたが、「君の為ならキッチンのある部屋に引っ越してもいい」というセリフのあと、感情を抑えきれなくなり彼女を後ろから抱きしめるんですけど・・・この時の和樹くんジョーのバックハグが・・・めちゃめちゃ情熱的ですがるような形になってて・・・!!!
あんな切ないバックハグ見せられたらもう、こっちの涙スイッチが全開状態だったよ(涙)。あれは泣くよ!!あんな感情の出し方、反則だよ、和樹くんーー!!ちょっと、当分忘れられそうもないくらい感動的なラブシーンでした。

彼女を門の近くまで送るシーン、別れなければいけないと分かっているのに感情がそれを遮ろうとするジョー。アン王女の手をゆっくりと離していくのですが…最後の指先が離れるまでの時間がとにかく切なくて泣けました(涙)。まだ行かないでくれ!っていう切実なる彼の想いがあの瞬間にすべて込められていたように思えた。手を離した後の張り裂けそうな気持ちを必死に抑えようとしてた表情も泣けたよ…。こういった和樹くんの繊細な感情表現、ホント好き。
アンが去った後の♪虹♪では、涙を浮かべながらものすごく切なそうに歌ってて…もうそれ見ただけで涙止まらなかったよ…。

支局長とアーヴィングが部屋に尋ねてくる場面、アン王女の記事を書かないと決めたジョーの決意は固い。特ダネなのに!と腹を立てるアーヴィングに向けた「好きにしていいよ」っていう時の切ない表情も胸を打ちます。あの彼を目の当たりにしたから、アーヴィングは彼の意思を尊重できたのかなって思えました。
アーヴィングが持ってきたアン王女の隠し撮りの写真を眺める時は、彼女を思い出しながら静かに思い出に浸る雰囲気でした。ちょっと寂し気な笑顔がとても印象的。

記者会見シーン、感情を出さないように凛とした姿で彼女に接する姿がとても美しく絵になる和樹くんジョー。でも、最後に二人で思いの丈を歌う時にはやはり感情が溢れてて。でも、その先も見据えているようでとても前向きな印象がありました。
全ての人が去った後に、アン王女が去っていった上段を見つめた後自分の想いを昇華しようとしていた和樹くんジョー。最初ちょっと俯いて恋しい気持ちを封印しようとする様子が垣間見えましたが、じわじわと噛みしめるように前を向き、最後の音楽が鳴り終わる頃に爽やかな笑顔をみせていました。愛する気持ちを大切に心に留めながら気持ちを立て直していくお芝居がとても感動的だった。

全体的に和樹くんのジョーはすごい「大人」っぽい雰囲気でした。随所に見られた繊細な表情がとにかく素敵で、そんな彼のジョーに会えて本当に良かったと思いました。

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太田基裕くん(アーヴィング役)※20日ソワレ

初演と再演であーヴイングを演じていた宮川浩さんのイメージが私の中でものすごく定着してしまっていたこともあり、やはり最初にもっくんがこの役に決まったと知った時には全くどんな感じになるのか想像もつきませんでした(笑)。それだけに楽しみも大きかったですね。

1幕で賭け事をやるシーンで出てくるんですけど、場面的にはものすごくむさくるしい雰囲気なわけですw。そこに彼がなじむのかが最初の見どころだったのですがw、見事に溶け込んでてビックリしました。え!?あれ、もっくんなの!?って思ったくらい(笑)。
これまでけっこうキラキラした雰囲気の役で彼を見ることが多かったので、それとは180度くらい違う役作りにちょっと衝撃受けました。

あんなワイルドなもっくん観たの初めてかもしれない(笑)。

しかもそれが「作ってる」感じじゃなくて不思議なくらいにハマってる。宮川さんが演じた時のようなパワフルさはありませんでしたが、軽やかに上手ーく世を渡ってるお調子者感が出ててすごく面白かったです。

舞台の中ではアーヴィングはジョーに散々な目に遭わされるわけですが(笑)椅子から転げ落ちたり蹴っ躓いたり、服に飲み物ぶちまけられたりと見事に体を張って熱演!テンションもMAXまで上げてガンガン責めたお芝居してました。それがすごく新鮮!
戦場の乱闘騒ぎの時のはじけっぷりなんか、これまで見たことがないようなハイテンションっぷりでちょっとびっくりしたくらい(笑)。

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そんな彼が違う表情を見せるのが後半です。ジョーがアン王女をネタに記事を書かないと知った時に激しい憤りをぶつけますが、反対にその気持ちもわかってしまう自分もいる…。それだけに強く勧めきれずに「写真はネガがあるから」と言い残して去っていくわけですが、この時の何とも言えない表情がすごくグッとくるものがありました。
マスコミとしての自分と、ジョーの親友としての自分とのせめぎ合いみたいなものを感じて切なくなってしまった。

そしてクライマックス。ここで一番泣けたのがジョーとアン王女が最後に見つめ合いながら想いを歌う姿をアーヴィングが見つめているのですが…もっくん、ジョーが歌い終わった後に「ふっ」とすごく自然に優しい笑顔を浮かべたんですよね。
ここライトは彼にあたっていないんですが(初演と再演で宮川さんに集中していたシーンでもあるので自然とアーヴィングに目を向けていた私w)この笑顔が本当に親友としての温かさがにじみ出ていてものすごく泣けました。

若々しく溌溂としたワイルドさ全開ながらも、ふとした瞬間に繊細な表情を見せるもっくんアーヴィング、とても魅力的だったと思います。

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藤森慎吾さん(アーヴィング役) ※21日マチネ

お笑いコンビオリエンタルラジオの藤森さん、ここ最近は目覚ましい活躍っぷりで(ブランチの司会もやってますしね)テレビで見ることが多いチャラ男キャラのw芸人さん。なので、あまり舞台俳優というイメージがなかったので今回ミュージカルに出演すると知った時には驚きました。
ただ、アーヴィングというキャラクターにはすごくハマるのではないかという期待も大きかったです。どんな芝居を見せてくれるのかも大変興味がありました。

賭け事シーンで登場した時、ものの見事にその場に馴染んでいて最初はどこにいるのか分からなかったくらい。トレードマークでもある眼鏡をかけていないからっていうのもありますが、それ以上に作品の世界観に見事に溶け込んでいた藤森さん。
けっこう口は悪めでもっくんよりもトゲがあるような雰囲気。それでもフランクでオープンな性格ゆえに慕われてるといった感じだったかな。活舌も良く、何より勢いがあるのがアーヴィングというキャラにハマっていてとてもよかったです。

歌も私はあまり違和感を感じませんでした。「ナ・カ・タ、ナカタ♪」のRADIO FISHではメインボーカルもやっていることもあって音程も悪くなかった。ただ、歌唱力という点で見ると大きな舞台で歌うには少し足りないかなとは思うこともあったかな。
しかし、その弱みをカバーするかのようにセリフ調での歌い方にしていたのはすごく巧いなと思いました。っていうか、ものすごく堂々と他のキャストと渡り合いながらあの歌い方ができてることに軽く衝撃も受けましたよ!違和感全然なかった。

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2幕で初めてアン王女を見たときの「君誰かに似てるね」のシーンは面白かったなぁ。まじまじと見つめる場面では、藤森アーヴィングが「君カワウィイねぇ」ってチャラ男キャラ出ちゃうんじゃないかとちょっとドキドキしたぜ(笑)。

♪ローマ最新観光案内♪のシーンは藤森さんの真骨頂を見た気がしました。歌い出した瞬間からローマの明るさが手に取るように伝わってきた。あのテンションに乗せられたら、そりゃスクーター乗って巡りたくなるよね~っていう説得力があったよ。隠しカメラの使い方も実に自然で面白かった。このあたりの世界観の作り方はさすがお笑い芸人さんだなと思いました。

ジョーにアン王女の隠し撮り写真を渡すシーンは、最初ものすごくグイグイいってるんだけどジョーの気持ちを察した時にもどかしいながらもその気持ちを抑えるようなお芝居をしてました。一見すると強引にでも写真を世に出してしまいそうな雰囲気ではあったのですが、親友でもあるジョーのアン王女への気持ちを察してしまった後は彼の想いを尊重するような演技をしてたんですよね。これがすごく感動的でよかった。

最後の記者会見での藤森アーヴィング、アン王女に写真を渡すときの最後のちょっと茶目っ気ある表情が可愛くて萌えちゃったw。でも、ジョーがアン王女と心の会話をしたあとに彼に向けた優しい眼差しと笑みにはものすごくグッときました。あんな表情する藤森さん、初めて見たかも!!

コロナ禍でも芸人さんとしても多忙な日々を送るなか、あれだけ堂々とした舞台姿を見せてくれたことは本当にすごいと思います。見事に俳優でした。今後も舞台にチャレンジしてほしいです。

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後述

約7か月ぶりの舞台観劇でしたが、本当に良い時間を過ごすことができました。20年ぶりにあの頃熱狂的に見ていたミュージカル『ローマの休日』はさらに素敵に生まれ変わっていてとても嬉しかった。

カーテンコールが終わった後も、その場にいられることに感激が抑えきれず涙があふれてしまいました。やっぱり私は劇場という空間がとても好きです。ここで泣いたり笑ったり、自分の感情を素直に出せることがどんなに幸せなことかを思い知りました。

帰りに日比谷シャンテで展示されていたサイン入りパネルを見てきました。

どのポスターも本当に素敵!!この構図のクリアファイルかポストカード作ってほしかったなぁ。

ちなみに、パンフレットの中の1幕2幕のナンバー紹介のところの写真もすごく雰囲気が出ていて素敵なのです!!切り取って飾りたいくらいw。

未だに新型コロナ禍の影響が収まらないなか、カンパニーの皆さんが健康管理をするのは本当に大変なことだと思います。そんな最中でこんなに素敵な舞台を届けてくれたことに本当に感謝。残りの公演もどうか皆様健康で最後まで無事に完走されることを祈っています。
そして、また近い将来ミュージカル『ローマの休日』に出会うことができますように!!今度はもう少し早くに上演してほしいよ(笑)。

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