劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』 2017.01.27

現在最もチケットが取りづらいミュージカルといわれている、劇団四季の『ノートルダムの鐘』を観に行ってきました。

私は四季の会に入っているので先行発売日に確保することができたのですが、それでもつながるまでにかなり時間がかかって大変な想いをしました(汗)。今はもう前売りは完売だそうで、その人気の高さがうかがえます。

『ノートルダム~』は20年ちょっと前にディズニーアニメの映画として公開されたのですが、日本語吹き替え版は劇団四季が担当していたこともあり当時複数回観に行った記憶があります。あの当時声を充てていた四季の役者さんはほとんど退団してしまいましたが(ちなみに主役のカジモドは石丸幹二さんでした)、今でも大好きな映画です。ストーリーもよかったけど、何より曲が本当に素晴らしかったんですよね。
それが、数年前に海外で舞台化されて…たしか日本にもツアーで来ていたはず。めちゃめちゃ観に行きたかったのですが、遠方だったこともあり諦めてしまって(涙)。その時の評判がとてもよかったこともあり、今回の日本語版での舞台上演をとても楽しみにしていました。

ちなみに、この作品はディズニー作品というくくりなので日本版は提携を結んでいる劇団四季が上演という形になってます。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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2017.01.27マチネ公演 in 四季劇場・秋(東京浜松町)

主なキャスト

  • カジモド:海宝直人
  • エスメラルダ:岡村美南
  • フロロー:芝清道
  • フィーバス:佐久間仁
  • クロパン:阿部よしつぐ

全体感想

四季の『ノートルダム~』を観るのは実はこれが2度目でした。1回目は昨年末に母親と一緒に観に行ってまして、色々と衝撃を受けました。
というのも、前知識を入れずにアニメ映画のノートルダムと同じ路線で行くのかと思って観に行っていたので…冒頭からのドラマの作り方からの違いにビックリしてしまって。それからラストの展開。これも映画版とは大きく違います。映画はハッピーエンドで終わってみている方も「よかったね~」みたいな笑顔で終わるのですが、舞台版はそれとは全く違うストーリーになってて…正直、思っていた展開とあまりに違うラストだったので衝撃のあまり言葉が出なかったほどでした。

映画が見る者の心を温かくするようなハッピーな作品とすれば、舞台版は「人間とは何か」というテーマを深く掘り下げるような重厚で考えさせられる作品だと思います。
主役のカジモドが容姿が醜く世間から冷たい仕打ちを受ける体験をする、という点では映画と変わりはないのですが、一番映画と印象が違うと感じられるキャラになっていたのがカジモドを囲っていたフロローです。映画ではのっけから「こいつ悪どいキャラだな」って思えるわりと分かりやすい人物でしたが(笑)、舞台のフロローは最初はとても善良な青年として描かれていてビックリしました。真面目で弟想いの誠実な兄だったフロローが、美しいジプシーのエスメラルダと出会うことによってその人生が転落へと舵を切る。エスメラルダと出会う前のフロローは、カジモドを閉じ込めてはいたけれども映画のように蔑みしいたげるといった雰囲気はあまり感じられないんですよね。
そんな観点から、私はある意味、この作品の本当の主役はフロローなのではないかとすら思ってしまいました。誰もが陥ってしまうかもしれない落とし穴にはまってしまうフロローのたどる道は、悪役という簡単なくくりではとても見ることができません。彼を見てこんなにも切なく苦しい想いに駆られる日が来るとは思いませんでした。

秋劇場はそんなに広くはないのですが、縦の空間をすごく上手く使った演出で全体の奥行や重厚さを感じられる舞台になってました。一番上には「クワイヤ」と呼ばれる聖歌隊が男女それぞれ上手と下手に分かれて配置されているのも素敵です。まるで教会の中でミュージカルを見ているかのような…というか、観客もその世界観に入り込んだ錯覚を起こすような雰囲気。上から降りてくる巨大な教会の鐘セットは圧巻です。やはり海外の演出はすごいなぁと思いました。
常にクワイヤが上でコーラスを奏でているので、一つ一つのナンバーが生オケではないながらもすごく深みがあるのも特徴的でした。荘厳なナンバーはまるで聖歌を聴いているかのようで心の奥にズシンと響くものがあり、気が付いたら涙が落ちていたなんてこともしばしば。

1回目に観たときは色々と映画との違いにビックリしすぎてただただ衝撃だったわけですが(汗)2回目に観た今回はストーリーが素直に心に響いてきて、一人一人のキャラクターにも感情移入できたせいかところどころでかなり泣きました。前回よりも色々と考えさせられたっていうか…沁みましたね(涙)。観に行けてよかったです。

主なキャスト別感想

海宝直人くん(カジモド)

海宝くんは四季の役者ではないので、これまで色んな舞台で見てきたけど…ここまで彼をすごいと思ったことは今までにありませんでした。それくらい海宝くんのカジモドは魅力がありました。
体に障害のあるキャラクターということで声の芝居もいつもの彼とは違う枯れた声をずっと出し続けているのですが、そこから歌に入るととても澄んだ素直で美しい音色に変わる。ここの切り替えに違和感が全然なかったのがまずすごいと思いました。カジモドが歌を歌うことで自分自身の素直な感情を放出するというドラマ性があったからです。

何より素晴らしかったのが私の大好きなナンバーでもある「アウト・ゼア」(映画版では「僕の願い」)。なんって美しい音色なんだろうって思って…最後のロングトーンでは涙があふれて止まりませんでした(泣)。カジモドの外への憧れや冒険心といった素直で純粋な想いに満ち溢れた歌声で心の底から感動しました!

海宝くんのカジモドはとても繊細な青年。心が素直で純粋だからこそ、外の邪気に触れて深く傷つくというのも説得力があります。そんな彼がエスメラルダの美しく優しい心に出会い惹かれていくのはとても自然な感情だなというのも素直に受け止められる。また、フィーバスの登場で自分の恋心が報われないと知った時の、上から見つめる瞳の哀しそうなことと言ったら…思い出すだけでも泣けますよ(涙)。
ラストのクライマックスシーンの背中を見せてからの正面を向いた時の、問いかけにもハッとさせられるものがありました。

うーん、すごい役者になったね、海宝くん!ライオンキングの子役で初めて見てからこんないい役者になるとは。時間が経った頃にもう一度海宝くんのカジモドに会いたいです。

岡村美南さん(エスメラルダ)

前回観たときのエスメラルダは宮田愛さんだったので、岡村さんは今回が初めてです。

岡村さんのエスメラルダはどちらかというと宮田さんよりも気が強いイメージだなと思いました。わが道を行く系のグイグイ自分で自分の道を切り開いてきたみたいな逞しさがあった。カジモドはそんなエスメラルダの強さにも憧れを抱いたんじゃないかなって見ていて感じるところがありましたね。
そんな彼女がフィーバスに出会って恋をするわけですが、強気なイメージが先行していたせいか、ちょっと恋に落ちた瞬間の説得力が足りなかったなと思う部分もありました。このシーンにおいては宮田さんの方が好みだったかも。

でも、フロローに囚われた後の、彼の身上に逆らい続けつつも怯え震えるエスメラルダの芝居はすごくリアリティがあって見ていて胸が痛みました。この人にはやはりフィーバスの優しさが必要だなって思えましたし。
歌声もたくましく芯がある感じでとてもよかったです。

芝清道さん(フロロー)

前回は野中万寿夫さんがフロロー役だったので芝さんは初めてでした。いや~、野中さんと役の作り方が全然違っててまるで別人のようでした。同じ役でもこうも雰囲気が違うんだなぁとビックリしましたね。

野中さんのフロローは最初から穏やかで、見ていて「この人がなぜあのような末路に?」と思ってしまうほどだったんです。エスメラルダと合う前の野中フロローは厳しさはあれども基本的にはすごく善良な司祭に見えました。だからこそ、エスメラルダと出会って徐々に少しずつ人生の道を踏み外していくさまが観ていて痛々しく哀れで仕方なかったんですよね。

ところが、芝さんのフロローは登場した時からどこか悪の道に行ってしまうんじゃないかという危うさを漂わせていました。そういう点では映画版のフロローに少し近いかもしれません(彼が辿るドラマとしては全然違いますが)。真面目で厳格な性格が野中さんよりも一段と強烈な印象なので、カジモドへの接し方もどこか威嚇しているかのような「怖さ」みたいな部分をちょいちょい出していました。
そんな芝フロローがエスメラルダと出会い、彼女の色香に猛烈に惹かれていってしまう。野中フロローよりもエスメラルダ沼にハマっていくスピードが速いなっていう印象がすごくありました。というか、けっこうズブズブだなっていうのが観ていてわかりやすい(笑)。それ故に、エスメラルダに対する最後の仕打ちが「この人物ならこういう形にするだろうな」って納得できてしまうものだったように思います。

個人的な好みという点でいえば…野中さんのフロローの方が感情移入できた気がしましたが、恐怖心を感じさせる芝さんのフロローも刺激的で色々考えさせられるものがあったと思います。

佐久間仁くん(フィーバス)

前回観たときのフィーバスは清水大星くんだったので、佐久間くんのフィーバスは今回がお初です。

清水君のフィーバスはカッコよかったし歌もよかったんですが、今一つ存在感が足りなくて「フィーバスってこのストーリーの中では脇役になっちゃうのかな」って思うことが少しあったんですよね(ごめんなさい)。ノートルダムの中ではやはりカジモドの視点が大きなドラマを持つんだなとそういう認識でした。ところが、佐久間フィーバスを見たときにその考えが覆りました。やはりこの物語の中にフィーバスの存在は必要なんだってはっきり思えました。映画のフィーバスでさえここまで存在感を感じなかったのに、佐久間くんのフィーバスはちゃんとそこにしっかりとした存在感を出していました。

フィーバスはカジモド的視点から見ると恋のライバルに当たるわけですが、彼はこの物語の中で戦争に行っていた過去があるものの比較的普通の立場みたいな位置にいるんですよね。それ故に、闇を抱えながら生きる登場人物が多い中ではちょっとドラマ的に存在感を表しにくい。エスメラルダの恋の相手となるのも、カジモド的視点から見ると納得しづらい面もあったりしました。
が、佐久間フィーバスは登場した時から明るく健康的な印象を持ちながらも、彼の中でトラウマになっている戦争体験での心の傷をしっかり表現していたので「この人も心に闇があるんだ」って思えて感情移入しやすかったんですよね。なので、エスメラルダに積極的に迫るシーンとかでも見ていて嫌みがない。むしろ、惹かれた相手に一生懸命純粋に向かい合おうとしていたので好感度すらある。そんな積極的なフィーバスにエスメラルダが次第に心を奪われてしまうというのがすごく納得できるキャラとして存在していました。

見た目も格好良かったけど、誠実で爽やかなキャラづくりの芝居がとても素晴らしくて・・・映画を含めて私たぶん、初めてフィーバスにものすごく感情移入したかもしれません。カジモドに対しても「譲ってあげて」って思っちゃったくらいだし(笑)。エスメラルダとの最後の夜のシーンなんて、私思わず、アイーダとラダメスを重ねて見てしまったほど泣けましたよ(涙)。
佐久間くんのフィーバスに惹かれた人は私だけではなかったようで、隣に座っていたお姉さんたちも一幕が終わったとたんに「フィーバスやってる佐久間くん、今後要チェックだわ!」と興奮して喋っていました(笑)。ぜひとももう一度会いたいです、佐久間フィーバス!!

阿部よしつぐくん(クロパン)

よしつぐ君が突然劇団四季に入った知った時はビックリしたんですが(それまではレミゼなどけっこうな大作にいい役で出演していたので)、クロパン役がこんなにも彼にハマるとは思いませんでしたね。この役に出会えただけでもよしつぐ君、四季に入ってよかったのかもしれないと思いました。

見た目が髭面ですごくギラギラしているキャラなので、今まで見たことがないようなキャラに最初はビックリしました。外部に出ていた時は爽やかだったり熱血な好青年みたいなキャラが多かったのでずいぶんイメージ変わったなと。言われなければよしつぐ君だって分からないような感じですよ。
歌声も爽やかでスコーンとしたものではなく、ちょっと重みを増した闇社会を生きてきた逞しさとあざとさとが入り混じったようなものになっていてクロパンのイメージにぴったりです。映画では光枝明彦さんが演じていましたが、よしつぐくんの歌声はそれとかなり近い。あの高音がストレスなく出せてるように感じさせるのもすごいなと思います。

印象的なのはやはり道化の祭での「トプシー・ターヴィー」のシーンですね。祭りを仕切るだけのギラギラした統率力に満ち溢れていて、楽しさの中にもどこか闇のにおいを感じさせる危うさがある雰囲気が最高でした!一歩間違えば悪役に見えてしまいそうな難しい人物を実にうまく演じていると思います。

後述

2回目の今回はストーリーも分かっていたこともあったし、前回と違うキャストも観れたしで1回目とは違う感動がありました。たぶんこの作品は見れば見るほどいろんな考えが生まれてくるのかもしれません。関東に住んでいたらもう少し観に行けたんだけどなぁ…。
3月にもう一度行く予定になってます。その時がたぶん秋劇場の最後だと思う(今年夏に営業終了してしまうので)。CDも発売されている頃なので劇場で購入しようかな。

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