通算6回目・・・9月に入ってから3回目(爆)の「ミス・サイゴン」でした。見すぎだっちゅーの…と自分でも思うんですが・・・「♪のの~しり~も~おそ~れな~い♪」といった感じで今月あと1回あります(笑)。
今回は長年のネット友様が久々の上京ということで一緒に観劇。示し合わせたわけではなかったのですが意外と座席も近かったです(←チケ取りの時点から気が合う二人? 笑)。もうねぇ、一緒に観劇できて本当によかったですよ。というのも、今回の「ミス・サイゴン」は私が今まで見てきた「サイゴン」とはなんだか違う・・・妙に斬新な不可思議な雰囲気だったもんで・・・それをすぐに人に話すことができたというのは大変ありがたかった。キャストが変わると本当に雰囲気変わるよなぁ~。
アンサンブルは青組・赤組と分かれているんですけど、この日は久々の赤組。今まで青組が続いていたのでとても新鮮でした。ドラゴンダンスのシーンはどちらかというと赤組のほうが好きかも。でも一人ベトナムの三角帽が落ちちゃった人がいてちょっとヒヤヒヤしてしまいました(汗)。あれ落したままだと次のシーンどうなっちゃうのかとか余計なことがよぎりましたが(笑)ちゃんとうまい具合に拾って袖に引き上げていったのでホッとひと安心。
2幕頭のムーランルージュ客引きシーンでエンジニアと対決するアンサンブルさんも面白かった。引っ込み際に演歌っぽいの歌いながら去っていきましたから(笑)。混血の歌ですかね、あれ(汗)。ただちょっとダラダラやりすぎかなぁって気はしました。赤にしても青にしても・・・最近このシーン伸びてますよね。
帰りにはロビーでいつものようにお見送りしてくれるんですが、初めて一人一人と握手してしまった。皆さん充実感があってとてもいい顔されてましたね。惜しむらくはほとんど誰が誰だか分らないこと(爆)。
イベント参加していないので、顔と名前がほとんどの方一致しないんですよ(名札つけてほしい 笑)。唯一わかったのが海宝直人くん。いやぁ・・・近くで見て握手して・・・あまりにも立派になってビックリしちゃいましたよ。彼を初めて観たのが劇団四季「ライオンキング」のヤングシンバですからねぇ。坂元健児さんがシンバやってた頃ですよ(笑)。それがこんな形でまた二人が共演するとは・・・すごいですねぇ。まぁ、この日はサカケンさんじゃなかったんですけど。
主なキャスト
エンジニア:筧利夫、キム:ソニン、クリス:藤岡正明、ジョン:岸本祐二、エレン:シルビア・グラブ、トゥイ:石井一彰、ジジ:池谷祐子 ほか
以下、キャスト別ネタバレ感想です。
筧利夫さん(エンジニア)
相変わらずエネルギッシュにチョコマカ動き回る、筧さんらしいエンジニアなんですが・・・ちょっとお疲れ気味だったかなぁ。なんとなく物足りなく思えてしまったんですよね。筧エンジニアってイメージだと4人の中でいちばんアドリブ飛ばしてそうな雰囲気があるんですが、意外と譜面どおりに演じる・・・というか、歌ってるんです。他のエンジニアがセリフっぽく言ってる部分も筧さんは音符に乗せて歌うことが多い。そういった意味では一番オーソドックスなエンジニアなのかもしれませんが、もうひと越え何かが欲しいんですよね・・・。
ソニンさん(キム)
今回初見のソニンちゃんキム。観る前まではイメージに一番合ってるような気がしてとても楽しみにしていたのですが・・・いやはや、ものすごい衝撃的なキムでした(笑)。今回の「ミス・サイゴン」がいつもと違って見えたのは彼女のキムの影響が非常に大きい。役作りがかなり斬新でしたね。本能で生きてるって感じ。見た目は4人の中でいちばんベトナム人ぽかったように思えたのでなおさらリアルでした。
最初の歌声を聴いた時は「あれ? ソニンってこんな声だっけ?」とちょっとビックリ。新妻さんや玲奈ちゃんの歌声で聴き慣れていたのでなおさらそう感じてしまったのかも。何というか・・・アニメ系っぽい(笑)。この声質のせいなのか、ちょっと音量が足りなかったのが残念。ものすごく鬼気迫る表情してるんですが帝劇の後ろの席まで声が届いてこないんですよ。感情と歌声がうまくマッチしてない感じだったかなぁ。そのあたりがすごく残念でした。
が…!あの感情表現の演技は・・・すごすぎる!彼女のキムは4人の中で一番「烈」の部分を持ってますね。クリスに戦争体験のことを聞かれたときの怒りの表現力は素晴らしかった。今まで見てきたキムの中でソニンのキムが一番戦争を憎んでいるように感じました。そのテンションのままクリスから同居を提案されるので、すぐには喜びを表現できていないのもすごくリアルでよくわかる。あの感情が一番自然なのかもしれないなと思いました。徐々にクリスに心を開いていくんですが、また裏切られるんじゃないかっていう不安も同時に抱いてるんですよね。模擬結婚式シーンでようやくそこから解放されたって感じだったかな。
一番印象に残った・・・というか衝撃的だったのがトゥイと対峙するシーン。最初のほうは怯えながらトゥイの話に耳を傾けていたんですが、トゥイの部下から脅されてエンジニアから「何が愛だよ!」と責められるあたりから彼女の感情コントロールギアがカチっと入れ替わってくるんですよ。
そしてエンジニアが立ち去ってトゥイが最後のプロポーズをした後・・・ここからがまさに人格逆転の瞬間(笑)。タムの存在をトゥイに告げるシーンなんですが・・・その迫り方が尋常じゃないよ!!肩を怒らせ、目隠しを投げ捨て、声にはドスが効いてるし・・・どちらが脅迫されてるのかわからないほどのド迫力。私は一瞬「極道の妻」見てるんじゃないかとすら思っちゃったよ(爆)。ちょっとあの感情の爆発は見ている私とすればあまりにも怖すぎて逆に「引く」かも(苦笑)。トゥイがタムをキムが引き離してナイフを振りあげようとした時「タム、逃げてぇ!」とキムは叫びますが、私は心の中で「トゥイ、逃げてぇ」と思っちゃいましたよ(笑)。
そしてそのテンションのままトゥイとの最終局面に入るんですが・・・いやぁ・・・恐ろしかった、ソニンキム(苦笑)。おそらく、4人の中で一番トゥイに殺意を抱いていたキムじゃないかなぁ。「手がしびれてる、感じない何も」と言うセリフがありますが、彼女の場合はもう何のためらいもなくトゥイを殺害しそうな勢いでしたよ。まるで獣みたいだったなぁ(苦笑)。なので、トゥイを撃った後に彼にすがって泣くシーンも・・・なんというか・・・殺してしまった行為に対する興奮状態といった雰囲気だった。
こんな感じで1幕が終わったので2幕のエレンとの対峙はさぞかしまた恐ろしいんだろうと幕間で友人と「エレン・・・やばくない?」と盛り上がったんですが(笑)、意外にもそこは普通だったかも。玲奈ちゃんのほうが絶望感漂ってたかな。たぶんトゥイとの対峙でソニンキムは怒りのエネルギーが相当消耗してしまったんじゃないかと(汗)。これ、洋平くんのトゥイとの対峙だとどんな恐ろしいことになってるんだろうか…。なんか、本当に血を見そうなシーンになってたりして(爆)。怖いもの見たさで興味はあるんですが・・・洋平くんのファンとしてはちょっと見たくないかも。
とにもかくにも、いろんな意味ですごかったソニンちゃんのキムでした。
藤岡正明くん(クリス)
約1か月ぶりの藤岡クリスだったのですが、またさらに歌が巧くなってましたね。ものすごく澄んだいい声してます。お芝居部分も好きですよ。藤岡クリスってちょっとヤンチャなんだけど心根はものすごく純粋なものを持ってる。観ていて微笑ましいんですよね。そんな藤岡クリスだからソニンキムを受け止められたのかなとも思いました。ただ、もしもキムとクリスが結ばれる結末があったとしても・・・浮気なんかが発覚したら殺されちゃうかも!?
岸祐二さん(ジョン)
岸ジョンもお久しぶりだったんですが、1幕の弾けっぷりがちょこっと影を潜めてしまって残念。以前見た時のほうがもっと遊び人風で面白かったんだけどなぁ(笑)。ただ、2幕のジョンはとても素晴らしかったです。ブイ・ドイにしても、そのあとのクリスとの会話にしても、岸さんのジョンは一言一言をものすごく丁寧に歌ってる。そこから彼の誠実さが見えてきていいなぁと思いました。
シルビア・グラブさん(エレン)
相変わらずシルビアさんはものすごい年上女房に見えちゃいますねぇ(笑)。藤岡くんと並ぶと夫婦というよりも・・・やっぱり母親と息子って雰囲気なんですよ。やっぱりあの落ち着いた感じがそう思わせてしまうんだろうか。
キムと対峙するシーンで「意外と普通」と思ったのはシルビアさんがどっとり構えてたからっていうのもあるかもしれない。ソニンキムの激しさをシルビアエレンが吸収した感じだったかな。そのあとクリスに自分かキムかの選択を迫るシーンはちょっと怖かったけど(苦笑)。ただ、彼の告白を聞いた後のエレンの演技は良かったと思います。
石井一彰くん(トゥイ)
お初の石井トゥイです。このところずーっと泉見トゥイを見慣れてきたせいもあるんだと思うんですが…やっぱり物足りない感は否めませんでした。細かい表情とかの演技はけっこうよかったんですよ。特にタムにナイフを向けるのを一瞬ためらうときの目の動きとかはすごく良かった。ただ、トゥイの持っている激しさがどうしても伝わってこない。いったい彼は何をしたかったのかというものが見えてこなかったのが残念です。
もしかしたらこのトゥイという役柄が石井くんと合っていないのかも。歌声が綺麗すぎるんですよね。どんなに感情が高ぶっても美しい歌声でその場を乗り切ってしまうのでなんか違和感がある。彼にはもっと違う役が合うんじゃないかなぁと思ってしまいました。そんな石井くんがあの激烈なソニンキムと対決でしたからねぇ・・・なんか、同情しちゃいました(笑)。
あれ、気がつけばソニンちゃんのキムのことが一番長くなってしまった(笑)。まぁ、それだけ衝撃的なキムだったということです。次回は井上くん楽日の30日ソワレです。