『TOHO MUSICAL LAB.』 ストリーミング観劇感想 2020.07.11

『CALL』に続いて上演されたのが『Happily Ever After』です。今回も開演前15分の間にインタビュー映像が流れました。

海宝くんも生田さんも「根本さんの各作品に参加できたことがとても嬉しい」と語っていました。根本さんはまだお若いにもかかわらず数々の賞を受賞した方。2019年に中村倫也くんが出演した舞台『クラッシャー女中』も根本さんの作品だと聞いてほぉ~!と思いました(私は見にいけてないのですが、評判はとても良い作品でした)。

ちなみに根本さんは台本を書き始めた段階ですでに海宝くんと生田さんの名前を記入していたのだそうです!つまりはこの二人をイメージして描いたという作品。そこまでして求められる二人ってすごいなと思った。
海宝くんと生田さんは共演機会もけっこうあることから、稽古中もリラックスして接することができてやりやすかったと語っていました。1日にけっこう長い時間稽古をしていたそうですが、海宝くん曰く「こんなに時間が短く感じられたのは初めて」だそうな。それだけ充実した時間を過ごせたってことだろうね。

最後にいくちゃんが「携帯の通知音はオフで見てほしい」って語ってて。私は電源も切って部屋暗くして今回鑑賞しました。少しでも劇場の雰囲気は味わいたいのでねw。

スポンサーリンク

新作ミュージカル『Happily Ever After』

脚本・演出:根本宗子

出演:海宝直人、生田絵梨花、riko(踊り手)

あらすじ:

夜を愛し、願いを込めて眠りに入る少女。
イマジネーションの力でどこへでもいける彼女にとって 一つだけ叶わないのは、彼に触れることでした。

<公式HPより引用>

薄暗い部屋の中、小さな机と椅子、そして少し乱れたベッドだけがある光景がぼんやりと浮かんでくるところから物語はスタート。踊り手のrikoさんが登場し机の上の日記を手に取った時、男女の争い合う声が突然聞こえてくる。一気に張り詰めた空気感に変わって見ていてすごくハラハラしました。

男女の争う声を演じていたのは海宝くんと生田さん。姿は見えなくても、二人が言葉でお互いを激しく傷つけあってる姿は浮かんできてなんだか聞いていて心が痛くなりました。
上演前に根本さんが「自粛期間中にちょっとしたことでギスギスした気持ちになることもあったと思う」みたいなことを語られていましたが、それをこのシーンに反映させたのかなとも思いました。

ただ、この時はてっきりこの言い争っている二人が主人公の物語なのかなって思ったんですが…物語が進んで登場した生田さんはどうやらこの二人の「娘」っていう設定だということに気が付きます。なるほど、そうきたか。
彼女はrikoさんと入れ替わるように机に向かい、日記を書き始めます。それによると両親の喧嘩の原因は夕飯の食器の片づけ方だったらしい(汗)。でも、実際に自粛期間でステイホームが叫ばれていたなか、こういう些細なことで言い争う家庭ってあったんじゃないかなとも思った。

それにしても、いくちゃんの日記を書く姿は実に可愛らしかった。こういうキラキラしたところはやはりさすがアイドルだな~と思う。

スポンサーリンク

そんなギスギスした家庭で息をひそめていた彼女は、夜眠りにつく時間を心待ちにしていました。この時に歌われた曲が優しくソフトな雰囲気でちょっと夢見心地になってしまったw。いくちゃんの歌に合わせてrikoさんが踊る。つまり彼女は分身ってことのようでした。
ちなみに、この作品の音楽はピアノ1台だけです。1作目のバンドとは180度雰囲気が違っていました。

そして彼女が眠りに落ちてしばらくした頃、一人の見知らぬ青年が現れる。夢の中で同じ旋律を歌う青年。それが海宝くん!最初はお父さんの若き日の姿かなとも思ったんですが、どうやら全く関係ない人物だったようでした。

お互いの姿を確認すると「誰!?」と警戒心をあらわにする二人。名前を名乗らないまま「自分の夢」を主張し合い言い争いを始める。つまり、自分の「夢」というテリトリーの中に見知らぬ人が入り込んだことに困惑してしまっているわけです。
イライラした青年は思わず彼女に近づき迫ろうとしますがそれを激しく拒絶されてしまう。

「近づいてはいけない気がする」

そう告げて、自分のテリトリーの中まで入ってこないように青年に厳しく当たる少女。なるほど、この作品はそうすることでソーシャルディスタンスを保つわけですな(笑)。近づきたくても近づけないことに青年はもどかしさを募らせてしまうのですが、それは見ているこちらも同じような気持ちになりましたねww。もっと触れそうな位置まで行ってほしいなってついつい思っちゃう。

結局青年はベッドから離れた位置にある椅子に座るのですが、机の上にある日記を手に取るとすごい勢いで「読まないで!!」とまたまた拒絶されてしまう。それを返さなければいけない羽目になるのですが、この時の

「近づかないで返して」

っていうセリフが”徹底してるな~”と思えてちょっと面白かったです(笑)。
やることなすこと全て否定されてしまうことに「これじゃ現実と変わらない!!現実と同じじゃ寝ている意味がない」と頭を抱えて青年は苦悩する。その言葉に、少女は反応し…彼のことを少し知りたい気持ちにさせられていきました。

「僕にとっては、寝ている時間だけが起きてる時間なんだよ」

青年もまた、少女と同じように現実世界の煩わしさから夢に逃げこんでいた人物だったのです。

スポンサーリンク

少女は不器用ながらも自分と同じ匂いを感じさせる青年に心を寄せていくようになります。さっきは拒絶したけれど、改めて日記を読んでほしい気持ちになった彼女はそれを渡そうとしますが…今度は彼のほうから「人の日記を読む趣味はないんだ」と断られてしまう。近づきそうで近づかない、この微妙な二人の距離感がもどかしくも、なんだかちょっと甘酸っぱい。

「人と関わることが得意じゃないんだ」と頭を抱えた青年が切なかった…。あぁ、それで夢の中だけが自分の世界なんだって思いたかったんだなぁと。頑なに少女との接触を避けようとする青年でしたが、「人と深くかかわると自分のことをもっと知りたくなってしまう」とも思っている。
おそらくそれを表に出したことで過去に傷ついたことがあったんだろうね…。

彼が何に怯えているのかよく分からない少女。そんな彼女に向けて青年は例えとして

「100本の映画で意気投合できても101本目で意気投合できなかったことで自分が期待外れの人間だと思われてしまうことが怖い」

と語ります。あ~~、その気持ち、すごくよく分かるな。その「たった1本」の意見が食い違ったことによってそれまで興味を持ってくれていた人が離れてしまうんじゃないかっていう恐怖心に捕らわれてしまうこと、私にもある。

しかし彼女は「たった1本よりも100本で意見が合ったことのほうを重要視するべきだ」と反論する。彼の気持ちも理解はできるけれど、自分はそうならないってことを伝えたい。でも彼にはなかなか伝わらないもどかしさにジレンマを感じてしまいます。
「頭がこうなる~」と手でこんがらがった様子を表現する少女。青年も「僕も同じだ」と答える。

いくちゃんたちが公演前に妙なポーズしてたのはこれか~!って納得しましたw。

そして少女は、自分は感じたことを全て文字にして日記に記していることを彼に告白し歌います。それに合わせて分身も踊り出し、青年も次第に心を寄せ一緒に歌い出す。

同じ気持ちを分かち合いながら歌ううちに二人の想いは徐々に寄り添っていきます。少女と歌うことによって青年の心に光が灯っていくのがリアルに感じられました。いくちゃんの透き通った歌声も良かったし、海宝くんの奇麗な高音もゾクゾクきました!

スポンサーリンク

歌い終わった後、「想いを伝えたい相手が目の前にいる」という気持ちを共有する二人。そこに、ほのかな恋心のようなものが芽生えたように思えた。常に想像力と共に生きている二人は似た者同士でもあり、もっと一緒に時間を過ごしたい相手にもなる。

青年は「今、優しい気持ちだ」と初めて穏やかな笑顔を浮かべ、少女もそれに対して静かに頷きます。夢の中でお互いを誰だか知らないながらも惹かれ合っていく二人。
しかし、気持ちが近づけば近づくほど、夢が覚めた時の別れの寂しさが迫ってくる。そのことに戸惑う少女と、だからこそ刹那な時間だけでも傍にいたいと願う青年…。「たくさん出てくる言葉の選択が難しい」と叫ぶ彼女に、青年は「どれを言っても大丈夫だよ」と優しく告げる。

「どの言葉を選んでも、僕に伝わる気持ちは同じだ」

っていう青年のセリフはグッときて思わずウルっときてしまった(涙)。そんな言葉、言われてみたい!!少女は恐る恐る「近づきたいけれど、朝起きたときにあなたがいない世界に耐えられないかもしれない」と言葉を告げる。でも、青年は「またここで会えばいい!」と強く告げるのです。
最初はあんなに人と関わることに怯えていたのに、彼女と触れ合ううちに「もっと知りたい」気持ちを抑えきれなくなってて…その想いが彼を成長させたのかなって思いました。

青年は眠る前にいつも同じことを祈っていたという。そしておそらく少女も同じことを祈っていたのではないかと告げる。

「心が穏やかになる人と、夢の中で巡り逢えますように」

自分を分かってくれる人を見つけた青年。そんな彼にこの日眠る前に書いた両親の喧嘩に対する日記の文章を読んで聞かせる少女。「一緒にいる時間が増えるほど分かり合えないなんて希望がなさすぎる」と寂しそうにつぶやく青年に、彼女はその現実を口にするのが怖かったと告げる。

「でももう怖くない。私にはあなたが誰なのか分かる。きっといつかで会う人。現実を楽しいものに変えてくれる運命の人」

そう語る彼女に、青年も「初めて見たときから分かっていた」と答える。

「名前も知らないけど、きっといつかかならず逢える人」

お互いに共通した気持ちを抱く二人。
このシーンを見た時、映画『君の名は。』をちょっと思い出しました。あの映画でも実際出逢ったことがないながらもまだ見ぬ人を想い続けるっていうテーマがあった。今回の舞台では二人は夢の中でお互いを認識しているけれど、現実世界ではまだ出会っていません。でも、確実に相手を想っている。最後に二人で歌った曲は聖歌のような響きを感じさせるとても美しい旋律でした。

そして彼女は夢から覚めます。目を開けると、そこにはもう青年の姿はありませんでした。その寂しさからか一筋の涙を流す少女でしたが、それだけではない温かい気持ちにも包まれているかのような表情がそこにはありました。それは、きっと、出会うべき人と出会えたからでしょう。

「どうか、世界を愛せますように」

二人が夢ではなく現実世界で出逢って、想いを告げて、結ばれる日はそう遠くないのかもしれない。
切ないけど温かな希望が見える繊細で素敵なラストシーンでした。

2本とも違った味があり、とてもすてきな時間を過ごさせてもらいました。やっぱりミュージカルはいい!!

今の私はストリーミングでしか見ることができないけれど…やっぱり劇場で生で演じる姿をこの目で見たいという気持ちを改めて強くさせられた気がします。

あぁ…早く、劇場へ帰りたい!!

error: Content is protected !!