劇団四季ミュージカル『ウィキッド』を観に大阪四季劇場へ遠征してきました。2024年に引き続き、2025年も観劇初めは大阪からということになります。
大阪四季劇場は2022年から2023年まで『オペラ座の怪人』公演を観に(というか、ほぼ出演していた飯田洋輔くん目当て)足繁く遠征しまくっていたwとき以来、約1年半ぶりの来訪となります。当時日本の西側に住んでいたこともあり、突発観劇とかしつつww本当によく通ったので、なんか懐かしさというよりも帰ってきたな感がめっちゃありました(笑)。
そういえば、以前は演目パネルの後ろに外の景色が見えていたのですが(建築中のKITTE大阪が成長していく姿を見続けてきた)、外の明るさでうまく写真に写らないことが多かったんですよね。でも、今回同じ場所を見てみると後ろにカーテンが敷かれ外の光が入らないようになっていて(上の写真参照)綺麗に写りやすくなりました。これは嬉しい工夫です。
『ウィキッド』観劇は昨年1月の東京公演前楽以来約一年ぶり。大阪公演は昨年(2024年)夏からスタートしましたが、チケットの売れ行きも相変わらず凄くて私も前売りで確保するのにけっこう苦労しました。
前楽を見たときの感想後記にも書いたのですが、一度見るとまた次も行きたくなるような中毒性があるんですよね・・・この作品。特に推しの役者さんが出演しているわけではないのですが、遠征してでも観たいと思えるのが『ウィキッド』なのです。
大阪のお客さんはけっこう観劇中にとても素直な反応をされる方が多い。この日も後ろに座っていた初見のおばちゃんが”感嘆の声がちょいちょい素直に声に出ちゃう”的な方で(笑)。それがなんだか大阪らしくてホッコリしてしまう。
本音を言えば静かな環境で見るのが個人的には好きなのですが、素直な反応が聞こえてきたりするとなんか嬉しくなるんですよね。
ただし、上演中のおしゃべり系は全く以て論外!!ですよ。今回は大丈夫だったけど関西は特にそういう環境になることがちょいちょい多いので少し緊張します(汗)。
以下、かなりのネタバレを含んだ感想になります。
2025年01月08日マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪・梅田)
主なキャスト
- グリンダ: 山本紗衣
- エルファバ:三井莉穂
- ネッサローズ:松下由季
- マダム・モリブル:八重沢真美
- フィエロ:武藤洸次
- ボック: 今村綱利
- ディラモンド教授:川原信弘
- オズの魔法使い: 勅使瓦武志
【男性アンサンブル】
川畑和寛、光山優哉、帶津翔太、千葉真大、佐々木玲旺、松本悠作、山下泰明、文永傑、野村数幾
【女性アンサンブル】
渡辺夕紀、石橋杏実、柳葉奈、松凪彩華、倉橋由衣、光井さや、武田恵実、石田真子、結城湊海
※概要とあらすじについては2023年11月7日観劇レポートを参照してください。
上演時間は約180分(3時間)。ただしカーテンコールは除く。
1幕90分(1時間30分)、休憩20分、2幕70分(1時間10分)となっています。大阪公演も東京と変わりありません。
全体感想・主なキャスト感想
1幕
この作品は回数を重ねてみれば見るほどすごく心に刺さるシーンが増えていく気がします。現実世界に通じるセリフも多いし、ワクワクする以外の感情も常に動いている。初演で見ていた若い頃は沁みなかった場面も、今見るとなんだかめちゃめちゃ泣けたり。
あと、リプライズナンバーの入りどころとかすごく上手いなと思うんですよね。同じ旋律が対比される場面でたびたび奏でられるのですが、これが見事にリンクしていてさらに立体的な深い物語として見えてくる。そういう感動が多いから、『ウィキッド』観劇は中毒性があるのかもしれない。
♪グッド・ニュース♪
これまで『オペラ座の怪人』のクリスティーヌや『ジーザスクライスト~』のマリアなど清楚な女性役で見ることが多かった山本紗衣さんのグリンダ役、今回キャスティング見た時からとても楽しみにしていました。想像以上にグリンダの扮装がめちゃめちゃ似合ってる!!あのシャボン玉製造機wで登場した瞬間からあまりの可愛さに目が釘付けになってしまった!!
あと、これまで見てきたグリンダ像とはちょっと一味違う雰囲気だなというのも感じました。”良い魔女グリンダ”としての威厳というか、オーラがとても凛としてる。冒頭印象深かったのが「素敵なオズの国を作りましょう~~~共にぃぃ…」と気持ちよく歌っている時に国民から質問されて調子崩されてしまう場面。
歴代グリンダ役者の皆さんけっこうコミカルにちょっと”おバカ”っぽい可愛さを見せることが多かったのですが、紗衣さんのグリンダはちょっとカエル口になりながら「んん??」って残念そうな表情をさらりと浮かべただけで(これがめっちゃ可愛かったんだけどっっ)、すぐにシリアスモードへ変わったんですよね。それがとても新鮮に思えました。
歌はもう言うまでもなく完璧。クリスティーヌの時にも響かせていた高音もさらに美しく劇場に沁みわたり、進化すら感じました。さすが紗衣さん!
それにしても、このシーンは本当に何度見ても切なくなりますね。回を重ねれば重ねるほど、エルファバとの友情物語が過り切なくて胸が痛む。国民たちの「ウィキッドは死んだ」というワードをグリンダがどんな想いで聞いて「それがあの子の哀しい定め」と歌っているのかと思うと本当に泣ける(涙)。初見では見えないものが再見していくと見えてくる、それが『ウィキッド』という作品の大きな魅力の一つかもしれません。
♪シズ大学♪ではお初の今村綱利くん演じるボックが登場。2年前の東京公演の時はアンサンブルとして出演してる姿を見ているのですが、その時は気づかなかったので今回初めましてに近い(ごめんなさい)。でもアンサンブルからメインへ上がってくる役者さんがいるとなんだか嬉しくなりますね。
今村くんはこれまで見てきた可愛らしい系のボックに比べるとけっこうキリッとしたシャープな印象が強かったです。出てきた瞬間から、カッコイイって思っちゃったし。ボックはグリンダの美しい華やかさに一目惚れして執着していくキャラですが、今村ボックだったらグリンダが惚れてもおかしくないレベルかも…なんてw。
それからもう一人お初で印象的だったのが松下由季さんのネッサローズ。松下さんは本当に初めましての女優さんですが、とても奇麗な方で穏やかな笑顔がとても印象深かったです。
でも一番惹きつけられたのが、姉のエルファバをとても慕っている気持ちが前面に出ていたこと。エルファバが思わず魔法を使ってしまう場面の後も戸惑うだけで姉のことを怒る雰囲気も無かったんですよね。それがなんだかとても健気でねぇ。松下ネッサはこれまで見てきた中で一番視線を向ける回数が多かったかも。
大学入学シーンで一番好きなのは、エルファバと同室になる人選をするときに彼女を一番嫌っているグリンダが運命のいたずらで選ばれちゃう場面。あの時の二人の表情が可愛くて、毎回めっちゃ楽しみにしてる(笑)。
あ、それと・・・山本グリンダ、基本的には”おバカ”路線なんだけど、あまりそれを誇張するようなお芝居をしていたのがとても印象深かった。これまではちょっと漫画ちっくにぶりっ子キャラとして演じる人を多く見てきましたが、紗衣さんはあまり作りこまない自然体のお嬢様といった雰囲気のほうが強い。見ていて”あれ?グリンダあまりおバカっぽくないかも?”って思えたくらいなのでw。それがなんだか新鮮でなんか良いなと。
♪魔法使いと私♪
モリブル先生から魔法の才能を見出されたエルファバが喜びを爆発させるナンバー。約1年ぶりに三井莉穂さんが演じるエルファバを見ましたが、このシーンの彼女、本当に観ていて泣けるんですよね。これまでその外見から誰にも認められず孤独に生きてきたエルファバが、初めて他人から受け入れられたことへの感動に心を震わせる。その想いが三井さんの表情や歌唱からものすごくストレートに素直に胸に迫ってくるんです。見ているこちらも本当に嬉しくなっちゃって…東京公演の時もそうだったけど、今回もやっぱり涙ぐんでしまった。
♪大嫌い♪は『ウィキッド』の中でも特に大好きなナンバー。グリンダとエルファバの両親に宛てた手紙を読むシーンの対比も面白いし、明るく弾むような曲調も最高にテンション上がります。エルファバにとっては辛い場面でもあるんだけど、それを感じさせないシーンの魅せ方がやっぱり上手いよなぁ。
山本グリンダはここでもあまり漫画ちっくなお芝居はしていなくて、気高いお嬢様としての気品を保ちながら三井エルファバを嫌ってる雰囲気が出てて新しいなと思いました。
歴史の授業の場面、松下ネッサがエルファバをお姉さんとしてとても慕っている姿がとても印象深かった(テストの点数を見せ合うシーンとか)。この時点ではネッサ、本当にお姉ちゃん大好きっ子だったんだなぁと。その眼差しもなんかすごく優しいしね。三井エルファバもそんな彼女を大切に想っているのが伝わってきて、いつも以上に姉妹愛にグッときてしまった。
ディラモンド先生がグリンダのレポートを「ダラダラと長いだけで内容がない」とバッサリ酷評するシーンは毎回見ていてドキリとさせられてしまう私ですw。私の書いてるブログも”ダラダラ長い”のでね(汗)。
川原信弘さんのディラモンド先生は”動物雇用枠”が減らされている現状にとても憤りを感じている様子が伝わってきてグッときました。モリブル先生がやって来た時の複雑な表情とか、明らかに圧力かけられてくるなと分かるし。けっこう怒りの感情がリアルに感じられてスリリングでした。
♪人生を踊り明かせ♪
『ウィキッド』の中で特に楽しみにしているのが、フィエロが初登場するこの場面。今回演じていたのは武藤洸次くん。昨年の『ジーザス~』のアンサンブルで見ているはずなのですが、誰だか分らなかったので(ごめんなさい 汗)今回が初めましてに近い。
登場したばかりの印象は、ちょっと可愛らしいフィエロ。柔らかな雰囲気が魅力的だなぁと思いました。でも、グリンダと出会った後は遊び人の顔全開でチョイ悪っぽい表情もチラホラ(笑)。そんなギャップが非常に面白く一気に惹きこまれていきました。特にグリンダがしつこく迫るボックを追い払うためにネッサと仲良くしてと策略家な一面を見せた時(この時の山本グリンダ、めっちゃワルだったww)の武藤フィエロの「あいつすげえな」的な笑い方が最高だったよ(←伝わるかなw)。
それから、武藤君のダンスがかなりキレがあってとてもカッコよかったです!!スマートだし可愛らしさもありながらシャープな表情もチラホラあったりして。あ、そういえば、あのダンスってストーリーの最終版とリンクしてるんですよね。長い間この作品見てきて、今回初めてハッとさせられた(遅っw)。それを気づかせてくれたのも、武藤君のキレのあるダンスのおかげだったかも。
あと、一人でポツンと車椅子に座ってた松下ネッサがめちゃめちゃ儚くて美しくて思わず惹きつけられてしまった。ボックが誘ってくれたことへの喜びがなおさら伝わってきて切なかったです。
ダンスホールの場面。フィエロとラブラブの時を過ごしてご機嫌だった山本グリンダがエルファバの姿を見てその表情を一変させるシーンがものすごく印象深かった。大嫌いなエルファバに捨てるはずだった帽子をプレゼントしてほくそ笑んでいたのに、いざ彼女がそれを被って現れて周囲から冷笑される姿を目の当たりにしたグリンダは酷い罪悪感に襲われます。この時の山本グリンダ、ほんとうにめちゃめちゃ苦悩してて。その表情が本当にリアルだったんですよね。
それだけに、グリンダが孤立していたエルファバの傍へ寄り添うシーンへの流れがとても自然だった。エルファバとの友情物語がここから始まるんだなっていうワクワク感が見ている側にもストレートに伝わってきてとても感動しました。二人を見守ってた武藤フィエロの優しい微笑みもグッと来たよ!
面白かったのは山本グリンダがエルファバのダンスのまねするシーン。特に手を謎にグルグル回すリアクションが、めっちゃ高速だったのが可愛すぎて思わず吹いたww。あんな回し方してるグリンダ初めて見た(笑)。三井エルファバがグリンダのダンスを冷めた目で見ながらw、徐々に笑顔になっていく表情もとてもよかったな。
♪ポピュラー♪
ダンスホールの場面までは山本グリンダはあまりコミカルな一面を表面に出していない印象でしたが、このシーンで一気に弾けた感がありめっちゃ面白かったです!山本さんってこんなにコメディの才能あったんだとちょっとビックリ。
エルファバがネッサの出生のことを語るまではコミカル度は薄くて、「フィエロと結婚するの、でも彼はまだ知らない話」とトンデモ発言するシーンとかも他のグリンダ役者さんに比べると誇張せず軽やかに告白する感じでした。それから、ネッサ出生を自分の責任だと感じて落ち込んでいるエルファバに「今の話はあなたには秘密かもしれないけど真実じゃないわね」と語る印象深いセリフも会話の中で普通に自然とサラリと出てくるような言い方で。でもだからこそ、グリンダの純粋さが浮き彫りになったようにも思えたのが個人的に新しい発見ですごく印象に残りました。
ところがエルファバをイメージチェンジさせようとする場面からエンジンがかかったようにコメディエンヌっぷりが加速!!あんなテンション高い山本さん、初めて見たよ(笑)。とにかく歌いながらのリアクションいちいち可愛らしすぎ!
それに圧倒されてる三井エルファバもめっちゃ可愛いんですよね。「キラキラ、キラキラ~」のくだりなんかも最高ww。最初の言い方が男前すぎるのもツボ(笑)。これに対して山本グリンダ、「え…」みたいに固まってけっこう長い間を置いた後に再びお手本見せてました。これがもう超乙女で(笑)。三井さんとの息もバッチリでとても面白いシーンになっていたと思います。
ちなみに、このシーンの後の学校シーンでの武藤フィエロがエルファバを真似る「キラキラ、キラキラ」も超かわいくてツボでしたww。
ライオンの子供をエルファバが救いフィエロと協力する場面。武藤フィエロはエルファバが彼の話を聞かずにまくし立てている時点では彼女への気持ちが動いていないなと思いながら見ました。ただ困惑してちょっと呆れてるような表情も見せてる。
ところが、エルファバから「あなたは全然幸せそうに見えない」と告げられた時に彼女の目を見て心が動くんですよね。その時のドキドキ感が見てるこちらにも伝わってきて、めっちゃキュンとさせられてしまった。あの表情はヤバイっ、私好みすぎたww!!この時点から私の視線は武藤フィエロにかなりロックオン(笑)。どんどんフィエロとエルファバの気持ちが接近していくシーンはドキドキしたし、慌てて我に返る武藤フィエロとか、彼への想いが芽生えてグリンダとの友情との板挟みに悩む三井エルファバとか、最高!
ちなみに♪私じゃない♪のナンバーは2幕でも出てくるのですが、この1幕と対になってるんですよね。このリンクがめちゃめちゃドラマチックで良いのです。
切ない気持ちになっているエルファバのところにモリブル先生がやってくる場面。八重沢真美さんのモリブル先生、東京で見た時は登場した瞬間から圧がすごすぎてめっちゃ怖い印象しかなかったんですけど(笑)、今回見たら柔らかさが滲んでいてとても見やすい雰囲気になっていたのが驚きでした。東京公演の時はのっけから「悪」に寄せてるなと思ってみてたけど、今回の大阪で見た八重沢モリブルは、どっちに転ぶか読めない感じ。その変化が面白いなと思いながら見ました。
オズ陛下に会うため旅立つエルファバをグリンダとフィエロが見送りに来る場面。この時彼は遅れてやってくるのですが、武藤フィエロは山本グリンダの前を通り過ぎそうになる寸前の早い段階で彼女の手を引いてエルファバの前に立ったのが印象深かったです。今まで見てきたフィエロはけっこうグリンダが見えてない感じでけっこう通り過ぎようとするパターンが多かったのでw。優しい…っていうか、この時点ではまだエルファバへの気持ちが上昇途中なのかなとも思ったかな。
でも、旅立とうとする彼女を見ているうちに切なくなってきちゃって、「がんばれよ」と逃げるように去る時には、これ以上いたら離れがたいくらい好きになってしまうという焦燥感も見えたんですよね。この一連の芝居がとても好きでした。
♪エメラルドシティー♪は『ウィキッド』の中でも特にメインとなるシーン。エメラルド色に染まる世界観がとても奇麗だし、何よりもエルファバが「誰も私のことをじろじろ見たり指さしたりしない!ここが私の居場所なんだわ」と感極まる姿がめっちゃ泣けるんですよね。場面的にはとても楽しいんだけど、エルファバの気持ちを想うと本当に「よかったねぇ」という親心みたいな気持ちになって毎回ジーンときます。そして、グリンダが「あなたはこの町にピッタリのエメラルド色よ」と寄り添うのも感動的。グリンダっておバカなお嬢様キャラなんだけど、大切な人への思いやりは厚くて良い子なんだよね。
♪センチメンタルマン♪
ここでようやく登場のオズ陛下。今回演じていたのは勅使瓦武志さん。勅使河原さんは2年前の『オペラ座の怪人』公演の時にたくさん見てきましたが、オズ陛下として会うのはこれが初めてになります。
勅使河原陛下はとても軽やかでフレンドリー。初めて会うグリンダやエルファバにも気さくに友達感覚のように接していて。ちょっとお調子者だけど気のいいおっちゃん的な(笑)。なんか、大阪の雰囲気にピッタリのオズ陛下だなとも思ったかも。
♪センチメンタルマン♪の歌いっぷりも実にスマートでちょいちょいアドリブっぽい動きとかも入って面白いしとても可愛らしいのです。陛下というよりも、隣にいるオジサン的な気さくさが本当に魅力的で、魔法の本が出てくるまでは黒い部分が全く感じられなかったw。
それから、陛下に呼ばれてニコニコ登場する八重沢モリブルもつられて柔らかい雰囲気にw。東京公演で出てくるたびに背筋が凍ってしまったキャラと同じとは思えない(笑)。ルンルンしながら「私出世したのよ」と語る姿なんて可愛らしさすら覚えたしw。
そんな勅使河原オズ陛下が豹変するのが、エルファバが魔法でチステリーに羽根を与えたあと。エルファバはオズ陛下が実は魔法が使えないというトップシークレットを明かしてしまい、彼女を危険視することになります。この時の八重沢モリブルと「あの子は知りすぎた」と相談するシーンの勅使河原陛下はかなり黒いw。最初本当に気のいいおっちゃんとして見ていただけに、ギャップがすごかったです。
♪自由を求めて♪
『ウィキッド』最大の見せ場と言ってもいいのが1幕ラストのエルファバの絶唱。追い詰められてグリンダに一緒に来てとエルファバが頼む場面の時、ちょっと三井さんの歌声が揺れたような気がして大丈夫かなと心配になったのですが、ラストは見事に気迫のこもった歌声を響かせてくれました。
いやぁ…この1幕ラストは本当に丸ごと持って行かれますよね。何度見ても衝撃です。私は三井エルファバの歌いっぷりが本当に大好きで。大切な者を守るために自らを犠牲にして護衛兵を引き付けるお芝居がとても繊細で胸に迫るものがある。この時のエルファバの心情を考えると自然と涙が溢れてしまうのです(涙)。
もうすぐ映画版も公開になりますが(2025年1月)、このシーンをどう描くのか気になりますね。
2幕
♪魔法が迫る~この幸せ~♪での山本グリンダはさらに美しさと可愛らしさに磨きがかかってましたね。衣装も髪型もすごく似合っている。その横で複雑な表情で時折顔を曇らせている武藤フィエロがなんとも切ない。エルファバのことが気になってこんなとこいる場合じゃないのにって気持ちがダダ洩れてました。それだけに、婚約パーティだったと知った時のビビりっぷりはかなりリアルでちょっと可愛らしかったw。
ちなみにこの時の八重沢モリブルは静かなる圧が不気味で恐怖キャラになってたww。
このシーンはグリンダとフィエロの気持ちがすれ違う会話がとても印象深いです。フィエロは「愛されなくても強く生きる」エルファバへの想いが自分の中で既に確信していて、グリンダはそんなフィエロの気持ちを知りながらも「もう引き返せないのよ」と強引に結婚へ導こうとする。
パーティの最中は国の皆から愛されることを幸せだと嬉しそうに歌っていたグリンダでしたが、フィエロが自分ではなくエルファバの方を向いていることを想い知らされてから”愛されること”への概念が変化してしまうんですよね。
山本グリンダはこのシーンでの葛藤が本当にものすごくて。皆からちやほやされることが幸せなんだと必死に思い込もうとするんだけど、それ以上にフィエロから愛されたいという気持ちがどんどん大きくなってしまうことへの苦しさが手に取るように伝わってきて…。見ているこちらまで息苦しくなってしまうレベル。この時山本さんは本当に時間をたっぷりと使って「本当の幸せ」とは何なのかというグリンダの葛藤と苦悩を繊細に歌っていました。それが本当にグッときました(涙)。
エルファバとネッサが再会する場面。1幕の松下ネッサが本当に笑顔が可愛くてエルファバを慕っている雰囲気を前面に出していたので、2幕になってからの変化はとても痛々しく哀しく見えて本当に切なかった(涙)。あんなに大好きだったお姉さんを恨みに思ってしまう彼女の心情を想うと居たたまれない…。
さらに今村ボックの無表情っぷりが悲しいんだよなぁ…。ネッサを見る目の冷たさにゾクッとなった。
いつも『ウィキッド』最大の被害者はネッサローズだと思ってみるんですが、今回はさらに強くそう感じましたね。最初の頃の清楚で純粋な松下ネッサの表情を見てしまったが故に、2幕に入ってから次々と襲い掛かる彼女への不幸が気の毒で仕方がない。ただただボックに愛されたかっただけなのにね。エルファバのことだって本当は恨みに思いたくなかっただろうし…。妬みと恨みに囚われてしまった松下ネッサを見るのは本当に辛かったです(涙)。
このシーンを見ていつも思うんだけど、もしもグリンダの策略がなかったらボックとネッサの関係はどうなっていたんだろう。ボックはおそらくグリンダから受け入れられないだろうけど、彼はそれでも食らいついていきそうな気もしないでもないので(汗)、それはそれで悲劇の予感しかないなと思わなくもない。ボックへのグリンダへの執着、けっこう怖くもあるんだよね(苦笑)。
エルファバが再びオズ陛下を訪ねる場面。昨年の東京公演一発目を観に行ったときにここで舞台装置のトラブルがあってしばらく中断というのを体験してるので(←当時のレポ参照)、ストーリーと違うところでドキドキしてしまいますw。何事もなくてよかった。
1幕クライマックスではエルファバを追い詰める展開で裏の黒い顔をのぞかせた勅使河原陛下でしたが、2幕で彼女に再会した時はまた気のいいちょっとお調子者の愛されおっちゃんキャラに戻ってました(笑)。エルファバに「君は戦うのをやめたいんだろう?」と諭すときもすごく親身になっていて優しい。これはオズ陛下が彼女を取り込むための芝居をしてるんじゃなくて、本心から語っているんじゃないのかなと思えてなりませんでした。それが後半の”真実”が明らかになるシーンに繋がってる気がしてね。
♪ワンダフル♪の歌いっぷりはとても軽やかで、ちょいちょい入るリアクションが本当に可愛らしい。あれは頑なだったエルファバが思わず気を許してしまうのも納得です。ディラモンド先生の件がなかったら、二人は分かりあえていたんじゃないかなと思いました。
エルファバとフィエロが再会する場面は非常にスリリングです。2幕に入ると武藤フィエロのエルファバへの気持ちの高ぶりがリアルに伝わってきた。そんな二人を目撃してしまったグリンダが友情と恋愛との狭間で苦悩するのも切ない…。エルファバのことも大切だけど、フィエロから愛されたいという気持ちも強いグリンダ。二人が一緒に去った瞬間、彼女の中で女の友情よりも愛する人を奪われた悲しみと悔しさが上回ったんだろうなと。こういうところが非常に人間臭い。
♪私じゃない~リプライズ~♪は1幕でエルファバがフィエロへの届かない想いを切なく歌うシーンと対になっているんですよね。2幕ではグリンダがフィエロを奪ったエルファバへの嫉妬を滲ませながら歌うわけで…。
エルファバへの嫉妬心から呟いた情報を利用しようと思いついた時の八重沢モリブルはホラー急に怖いです(笑)。それに釣られるように勅使河原陛下もめっちゃ「悪」色に染まっちゃってるw。ヤバいシーンだけど、個人的には二人の悪魔っぷりが面白くてけっこう好きだったりします。
♪二人は永遠に♪
『ウィキッド』には楽しみにしている場面がたくさんありますが、エルファバとフィエロが愛を交わすこのナンバーは個人的に特に期待しているシーンです。いやぁ…もうねぇ、なんか、
最高すぎました!!!
何が一番刺さったかと言えば、武藤フィエロのエルファバへの縋るような愛情ですよっ!!彼女への気持ちをこれまで出せなかった分も含めてあのシーンにすべて注ぎ込んだかのような熱さが素晴らしいっっ!!特に目が本当に印象的だった。狂おしいくらいにエルファバへの愛を訴えているようで、まさに彼女が歌う「燃えるような眼差し」です、あれはっ!!
とにかく全身全霊でエルファバのことが好きだと訴える熱演っぷりで、完全に私好み。好きになった子を一生懸命に愛する男子に弱いんですよねぇw。武藤君の演じるフィエロはまさにドンピシャで。エルファバがいなくなったら生きていけないかもしれないなと思わせる雰囲気も最高でした。
武藤フィエロ、1幕では少し可愛らしい雰囲気に見えたのに2幕に入るとめっちゃ男っぷりが上がって大人っぽい青年に見えるんですよね。その変化も本当に良いなと思いました。
グリンダとエルファバが再会して”子供のケンカ”みたいに取っ組み合いになるシーンは可愛くて毎回楽しみにしてますw。今回の山本グリンダと三井エルファバの戦いも思わずクスッと吹き出したくなるレベルで面白かった(特にグリンダが杖を放り投げるくだり最高w)。あと、グリンダが取り押さえられた時に「もう少しで勝てるところだったのに!!」と抵抗してるシーンも好きですw。
この直後、エルファバは捕らえられグリンダが仕組んだのだと誤解してしまう。せっかく修復したと思われた二人の関係が裂かれてしまうのが悲しい…。そこにフィエロがターザン演出で助けに入るのですがw、いつもはここで客席からけっこう笑いが起こるのに今回はけっこうシーンとした雰囲気だったな。実際、あのロープにつかまって登場するのって結構大変だと思う(武藤君もちょっと手こずってた感じだったし)。
エルファバを助けるためにフィエロが味方に銃を向けて必死に逃がそうとする場面。この時の武藤フィエロはエルファバのことしか見えてなくて本当に無我夢中だった。そして彼女が逃げ去ったことを確認した後、フィエロは我に返るわけですが…、この時の武藤君のお芝居がめちゃめちゃ泣けた!
グリンダに銃を向けている自分にハッと気が付いた時、表情には恐怖が浮かんで銃を捨て震えてたんですよね…。護衛兵に囚われガックリと膝を落としている時の武藤フィエロの歪んだ表情(っていうか、泣いてた)がとにかく痛々しくて切なすぎて思わず涙がこぼれてしまったよ(泣)。
そしてそんなフィエロを庇おうと必死になった山本グリンダが「ただ、彼女を愛してるだけなのよ」と告げるシーンも涙無しには見れない…。あぁ、この時彼女は初めて”本当の愛”を悟ったんだなって手に取るように伝わってきたよ(涙)。そんな彼女に涙を浮かべながら「許してくれ」と叫ぶ武藤フィエロも切なすぎました(涙)。グリンダへの罪悪感とエルファバへの愛情の狭間で彼も苦しかったんだろうなと…。
♪闇に生きる♪
三井エルファバの鬼気迫る歌いっぷりが本当に凄いです。囚われたフィエロを助けたいという一心で全身全霊をかけて歌ってる(演じてる)姿は観る者の胸に刺さる。失ってしまった妹のネッサや優しくしてくれたディラモンド先生、そしてフィエロの名前を叫びながら歌うシーンは何度見てもグッときて泣ける。
特に、嫌われ者だった自分を誠心誠意愛してくれたフィエロへの気持ちを熱く歌う三井エルファバの姿はいつ見ても心が震えますね。彼のためなら”悪い魔女ウィキッド”として生きることも厭わないと歌う姿は痛々しくも神々しくて見る者を圧倒。最後の声の伸ばしっぷりも魂がこもっていて本当に素晴らしかった。
オズの国中がエルファバへの憎しみを募らせていく♪魔女を殺せ♪。その裏にはマダム・モリブルの策略が大きく関係しているのですが、そのことに誰も気づかないし見向きもしない。この恐ろしい構図は今現代にも起こりうることだと思っていて…、見るたびに背筋が寒くなる想いになります。このシーンでグリンダを脅迫する八重沢モリブルはラスボスに相応しく本当にめっちゃ怖い(汗)。
怖いと言えば、今村ボック。エルファバのせいだと国民に叫んでる時の彼の表情には鬼気迫るものがあって、憎しみを煽る役割をしっかり果たしてるなぁと思わせる熱演でした。
♪あなたを忘れない♪
初めて観た当初はこのシーンであまり泣くことはなかったんだけど、最近は二人の熱い友情に涙することが多くなりました。今回の山本グリンダと三井エルファバのやり取りは過去一番泣いたかもしれない。何度もぶつかって誤解もしたし嫉妬もしたけれど、その度にお互いリスペクトし合って絆を深めてきたことが痛いほど伝わってくる。悪い魔女として消えようとするエルファバを必死に止めようとするグリンダの姿に涙が止まりませんでした…(泣)。
それに、二人の台詞もまたグッとくるんですよ。特に「私の友達はあなただけ」と告げるエルファバに「私にはたくさん友達がいたけれど大切なのはあなただけ」って返すグリンダに心が震えてしまう(涙)。二人はここで別々の運命をたどることになってしまうけれど、そんな風に言い合える友達に出会えたのだから幸せだったのかもしれないなとしみじみ感じました。
そしてこの後のチステリーも泣けるんですよねぇ。エルファバから常に「喋る努力をして」と言われてもそれをしなかった彼が、最後の最後にグリンダに”言葉”をかける。エルファバの想いはちゃんと届いていたんだなって思えて、あのシーンは毎回本当に泣く(涙)。
全てが終わって真実が明らかになった後の勅使河原オズ陛下。これまで見てきた陛下はけっこうあっさり退場していく印象だったんだけど、勅使河原さんはものすごく感情を表に出していて…。あの場面で初めて泣きそうになっちゃったよ(涙)。家族に飢えてたんだなって思えて本当に切なかったです。
♪フィナーレ♪での山本グリンダ、ほろほろ涙がこぼれていて…もうその姿だけで見ているこちらももらい泣きしてしまう(涙)。エルファバとの思い出を糧にグッとこらえようとしてるけどどうしても涙がこぼれてしまう…みたいな。すごく繊細で、人を想う気持ちがストレートに伝わってくるのがとても感動的。
そして三井エルファバと武藤フィエロの顛末。武藤君は最後の最後まで本当にエルファバに対する強い愛情がひしひしと伝わってきて…もう本当に大好きになりました。
私は個人的に『ウィキッド』ではエルファバとフィエロの恋愛シーンが好きでそれを楽しみに観に行っている傾向が強いのですが、武藤君の演じるフィエロは私の好みのツボをこれでもかというくらい突きまくる表情連発で大満足でした。大阪まで遠征してよかった!
後述
カーテンコールもかなり熱かったです!関西は東京とはまた違った雰囲気の熱い拍手がぶわーーっと湧き上がるのがいいんですよね。私も今回は本当に感動したので(カテコのときもちょっと涙ぐんだほど)けっこう早めにスタンディングオベーションしました。
一番可愛らしかったのが山本紗衣さん!エルファバ役の三井莉穂さんが上手の舞台袖へ、グリンダ役の紗衣さんが下手側へとお手振りしながら捌けていくのですが、三井さんが先のタイミングで袖に入ったのを横目で見て慌てたように、それでもたくさんバイバイしたくてギリギリまで子どものようにブンブン手を振りまくってたリアクションがめっちゃ萌えたww!!グリンダのちょっとおバカ可愛いキャラがそのまま最後まで入ってて、思わず笑ってしまった。
グッズコーナーは劇場入口と客席ロビーの2箇所に加えてもう一箇所、以前はショーケースしかなかった場所に増えて3箇所になってました。
大阪ならではの限定グッズや、大阪公演から販売されているグッズなど東京公演のときにはなかった新商品が出ていてバリエーション豊かに。
パンフは大阪公演のお稽古写真が掲載されてたのでお買い上げ。その他に新商品の付箋とシークレットキーホルダー、そして大阪限定ステッカーを購入。舞台系のグッズ、けっして財布に優しい金額じゃないのに…目にしてしまうと金銭感覚がおかしくなるのがヤバいww。
大阪公演から販売開始された可愛い付箋メモと、大阪公演限定ステッカーが特にお気に入り。ステッカーはエメラルドシティと大阪城のコラボが最高です。
でも、破産に向かうような買い方だけはしないようにしましょう。これだけは私も肝に銘じてるところですw。つまりは、そう思ってしまうほど魅力的なグッズがたくさんあるよというお話でした。
やっぱり『ウィキッド』は観たら次も行きたい気持ちが沸き起こってしまうすごい作品。ということで、2ヶ月後の3月にもう一度大阪遠征する予定です。次はどんな感動を得られるのか…とにかく楽しみ!武藤君のフィエロには出来ればもう一度会いたい(近くに住んでたら突発してたと思えるくらい好みw)。何事も起こらず無事遠征できますように(祈)。
これまでの『ウィキッド』感想