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劇団四季ミュージカル『ウィキッド』大阪公演 2025年4月13日マチネ ネタバレ感想

劇団四季ミュージカル『ウィキッド』を観に大阪四季劇場へ遠征してきました。

前回の感想の時に”可能ならば突発遠征したい”と書いたのですが…、もう無理かなぁと諦めかけたタイミングで奇跡的にその機会に恵まれ実現してしまいました。

今回のウィキッド遠征目的はただひとつ。

武藤洸次くんが演じるフィエロに会いたい!!!その一念。

1月に大阪遠征したとき”武藤くんのフィエロは私の理想とするキャラクターに一番近い”と感じめちゃめちゃテンションが上がったんです(その当時の感想はこちら)。しかし手持ちチケットも尽きてしまいあれっきりになるのかぁという寂寥感が日に日に増すことに…。せめてあと1回だけでも会えないだろうかと思った頃再びキャスティングされたことを知りました。
大阪ウィキッドの千穐楽は7月と決まっているし、次抜けたらもう会えなくなる可能性も高い。もうここしかない!と思いチケット探索すること数日。あまりの競争率の高さに心が折れ諦めムードを漂わせたとき、奇跡的に入手に成功。最後の最後に執念が実りw大阪へ向かうことができました。

劇団四季のキャスト目当てで突発遠征したのは、飯田洋輔くんのとき以来かもしれない。それほど武藤くんのお芝居に私の心が惹きつけられたってことなんだろうなぁ。

以下、かなりのネタバレを含んだ感想になります。

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2025年04月13日マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪・梅田)

主なキャスト

  • グリンダ: 山本紗衣
  • エルファバ:小林美沙希
  • ネッサローズ:守山ちひろ
  • マダム・モリブル:織笠里佳子
  • フィエロ:武藤洸次
  • ボック: 緒方隆成
  • ディラモンド教授:川原信弘
  • オズの魔法使い: 勅使瓦武志

【男性アンサンブル】
清川晶、品川芳晃、菊池俊、蔦木竜堂、佐々木玲旺、松本悠作、山下泰明、文永傑、長友デビッド洋輔

【女性アンサンブル】
渡辺夕紀、古木瞳、柳葉奈、松凪彩華、折田英里華、間辺朋美、榊山玲子、小島光葉、結城湊海

※概要とあらすじについては2023年11月7日観劇レポートを参照してください。

上演時間は約180分(3時間)。ただしカーテンコールは除く。

1幕90分(1時間30分)休憩20分2幕70分(1時間10分)となっています。

これまでの『ウィキッド』観劇記録

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全体感想・主なキャスト感想

今回は武藤フィエロに会いたいという一念だけで遠征したので、感想がそれに偏っているものと思われます。あしからず。

ちなみに映画版はこの時点ですでに3回見ていたので(吹替2回と字幕1回)、ところどころ比較しながら見るのも楽しかったです。映画には映画の、舞台には舞台の良さがあるよなぁと改めて感じました。

今回は2階席Sゾーンからの観劇。視界を遮るものもなく、非常〜〜〜〜〜に快適な環境でございました!!大阪四季劇場2階席は他の大劇場ほど高さを感じないし、何より舞台までの距離が近いのが良い。前方だったことも幸いしたからか、裸眼でも十分キャストの皆さんの表情が見えました。2階席からだからこそ見える照明美術も堪能できるので、より立体的なウィキッドを体感することができたし、色々と最高でした。

あと、ドラゴン時計と視線がほぼ同じだったので1階席よりも迫力を感じたかも。動かしてるスタッフさん、相当の重労働だと思うんですよね。かなり全身揺らしながら動かしてて本当にすごいなぁと感動してしまった。

1幕

♪グッド・ニュース♪

山本紗衣さんのグリンダ

シャボン玉マシーンで登場したときの山本グリンダは凜としていて魔女としての貫禄を感じました。逞しさみたいなものも垣間見え、ラストシーンを知ったうえで見ると”グリンダ成長したんだね…”と感慨深い気持ちが湧いてきます。

エルファバの過去が展開されたあとの山本グリンダは、その前と少し違った表情をしているように見える。オズの民衆たちが「悪は滅んでいく定め」と興奮しながら歌う中、山本グリンダは内に秘めた感情が湧いてきそうになるのをぐっと堪えるような雰囲気になっている。
彼らが言う「悪」の本当の正体をグリンダはこの時点でもう知っているわけで…。でもそれを皆に伝えることはできない。色んな想いと覚悟を背負ってあの場所に立っているんだなというのがひしひしと伝わってきて泣けました。

♪シズ大学♪

守山ちひろさんのネッサローズ

清楚ながらもしっかり者で落ち着いた雰囲気の守山さんネッサ。エルファバのことも姉として慕っているけれど、その手を借りずに自立したいという本音も見え隠れしていたのが印象深いです。これが2幕の悲劇に繋がっていくんだよなぁと思うと余計切なくもあるんですよね…。

緒方隆成くんのボック

緒方くんのボックは東京公演以来だったのですが、マンチキン国の男の子感がすごく出ていて可愛らしい。美しいグリンダに釘付けになって目をキラキラさせてロックオンしちゃってるところなんかも面白かった。

織笠里佳子さんのマダム・モリブル

織笠さんのモリブル先生は今回が初めまして。っていうか、織笠さんを拝見するのもめちゃめちゃお久しぶり(もしかしたら約10年前の壁抜け男以来かも!?)。一番最初に織笠マダムが登場したとき、真っ先に思ってしまったのが…『美女と野獣』のタンス夫人(現・マダム・ブーシュ)だったww。いや、実際のBBで見た織笠さんはポット夫人役が多かったのですが、なぜか今回モリブル先生の扮装を見たときにタンス夫人が浮かんでしまって(笑)。

織笠モリブルはどっしりとした貫禄があってセリフにも深みと柔らかさがあるのですが、どこか相手を威圧する迫力も含んでいてけっこうのっけからゾクっとさせられました。八重沢さんのモリブル先生とはまたぜんぜん違う怖さがありましたね。一見すると親身で優しそうなんだけど目が笑ってない、みたいな。

♪魔法使いと私♪

小林美沙希さんのエルファバ

小林さんのエルファバは本当に登場したときから目を惹きます。強がって見せてるんだけど、それは内面の寂しさや悔しさを必死に隠すための術であって…そういう切ない気持ちが台詞の端々から見る側に伝わってくるのがすごく良い。

♪魔法使い~♪の歌いっぷりは小林さんが一番泣けるかもしれない。今まで誰からも愛されたことがなかったエルファバ(妹のネッサは当たりがキツくはないけど慕われてる感じはしないし)が、自分の魔法の才能をモリブル先生に初めて認められジワジワと喜びを昇華させていく。
最初の方からもう感情が先走ってしまい、抑えきれない”笑い声”を交じえながら歌う小林エルファバ見てたらなんか胸がいっぱいになっちゃったよ。どんどん泉がぶわっと湧き上がっていくかのような喜びを爆発させるまでの過程の芝居がめちゃめちゃ良いんですよね。「私の夢」と歌い上げた後の小林エルファバの笑顔に思わず涙腺緩んでしまいました。

♪大嫌い♪

相変わらず学校中の嫌われ者のエルファバだけど、そんな彼女が逞しく生きていける根底には初めて人から認められたことへの喜びと自信があったからなんだと思います。いくら強がりとはいえ、支えるものがなければあんな壮絶な環境で逞しく生き抜けないよ(汗)。それほどモリブル先生の言葉はエルファバを救ったんだなぁと改めて思った。

と、真面目な感想をかきながらもここのシーンは素直に心が躍り楽しんじゃいましたw。小林エルファバが山本グリンダのぶりっ子モノマネしながらそっぽ向く仕草とか超かわいい!!それに対抗した山本グリンダの化粧道具パチンも決め決めで(笑)。歌詞の内容はけっこうシビアなのに楽曲がライトでポップなので聴いていてめちゃめちゃワクワクしてしまう矛盾w。それがこのナンバーの一番の魅力かもしれない。

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♪言葉奪われる♪

川原信弘さんのディラモンド先生

川原さんのディラモンド先生はちょっとお茶目な優しさが魅力。個人的にはグリンダにテストの答案を手渡すときの苦笑いしてるシーンが面白くて好きですw。あとやっぱり声がすごく良いんですよね~。よく響く。まるで歌っているかのようなセリフ回しも印象深いです。

エルファバとお昼を半分こするシーンは映画では登場しないので舞台ならではの見所のひとつかなと思います。器用に包み紙をピリピリと裂いてもぐもぐする川原ディラモンド先生、めっちゃ可愛かった。

♪人生を踊り明かせ♪

武藤洸次くんのフィエロ

ついに来たよーー、登場の時がっ!ということで裸眼でも見えるのにオペラグラスでガン見しまくりました(笑)。

怒り心頭のエルファバに対しても全く動じずシレッと起き上がった後、アヴェリックとポーズ決める時の良い感じに力が抜けたリアクションがめっちゃ良かった。最後に「フゥ!」ってカッコつけた声も出しちゃったりして可愛いww。のっけから最高だよ、武藤くん!
この登場シーンからして、フィエロが新しい地にやって来ても何一つ期待していない抜け殻のような心の状態なんだなというのが伝わってきます。色々と諦めちゃってる感じ。だから「どうせここでも長続きしないさ」というセリフにものすごい説得力があるんですよね。

ミュージカルではフィエロの過去の部分は出てこないので想像するしかないわけですが(原作にはあるのかもしれないけどミュージカルとは別物らしいので)、武藤くんのお芝居からはなんだかお気楽でキザなキャラクターとは逆の影の部分が垣間見えてくる。今回それがすごく顕著に感じられて…、改めて私はこういうフィエロをずっと求めてたんだと実感させられました。

歌も抜群に上手くて伸びもあるし、ダンスもキレキレで弾けていて目が離せない。グリンダが一目惚れしてどんどん惹かれていくのも納得のカッコよさでキラッキラしてた。グリンダにロックオンされたあとの武藤フィエロはけっこう”ワル”な男って印象が強いです。たぶんこれまでも自分の外見に寄りついてきた女子は多かったんだろうというのが想像できるw。
”キャー、あの人カッコいい”といった軽い感覚でのめり込んでいくグリンダをうまいこと取り込んでいってるなぁ、みたいな。このシーンでの武藤フィエロは、そういう女の子の扱いに慣れてる感満載だったw。グリンダが付きまとってくるボックをうまいことネッサに興味を惹かせ遠ざけているのを見てる時の目線もけっこうダークで艶っぽかった

ダンスホール

グリンダから黒いとんがり帽子を渡されパーティに誘われたエルファバ。渡された直後は怪訝な表情をしていたのですが、グリンダが去った後の小林エルファバ…じわじわと喜びが湧き上がってきて笑顔を抑えきれなくなるんですよね。その表情があまりにも可愛らしくて…グリンダの魂胆を知っていたこちらとしては逆に切なくなってしまうほど。

ダンスホールでの山本グリンダと武藤フィエロはめちゃめちゃラブラブです(笑)。山本グリンダがポワ~~っとお熱になっていることをいいことに武藤フィエロはめっちゃ攻めてましたww。だけど、グイグイ惹かれていくグリンダに対してフィエロは”遊び”という範疇から全く抜けてないんですよね。
それが顕著に表れていたのが、ダンスホールにモリブル先生がやってくる場面。

エルファバから頼まれて仕方なくと渋々練習用の魔法の杖をグリンダに渡すシーンの時、グリンダはフィエロの元を離れる選択をする。フィエロ的には、魔法の杖なんかどうでもいいから自分と一緒に楽しめばいいのにという意識のほうが強かったように感じたんですよね。
グリンダがモリブル先生とやりとりしている時の武藤くんフィエロ、ものすごく暗い目をしてた!!”彼女も結局自分のことをちゃんと見てくれない子なんだな”って言いたげで。それまでのキラキラした雰囲気はそこになくて、孤独の殻に囚われてしまったかのような表情してたんですよ。あのシーンでここまで刺さったの初めてかもしれない。この時の武藤フィエロ、めちゃめちゃ切なかった!!あのわずかな時間のなかに”本当の姿”が凝縮されていたような気がして…なんか無性に泣けたんですよね。その時の表情は今でも忘れられない。

エルファバとグリンダが一緒に踊るシーンは何度見てもジーンとしちゃいます。山本グリンダの最初の不器用な動きがめちゃめちゃ可愛らしいのですがw、そこからエルファバの動きと徐々にリンクしていく姿は二人の絆が繋がっていくようで感動的。踊り終わった後、小林エルファバが感無量の笑顔で上を見つめている姿は特に泣けます。
そんな二人を目の当たりにした武藤フィエロ。最初はグリンダが罪悪感を感じていることを不思議そうに見ていたけれど、エルファバとグリンダが心を通わせていく姿を目の当たりにして次第に目に生気が戻っていったようなお芝居だったと思います。あの時彼の中で何かが変わったのかなぁと。グリンダ、エルファバと一緒に3人でダンスしている時の武藤フィエロはとても楽しそうな笑みを浮かべていました。そこにまたグッとくるものがありましたね。

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♪ポピュラー♪

山本グリンダ、1月に見た時よりもかな~~りコミカルに進化したなぁとw。一つ一つのセリフ回しや動作が漫画ちっくで超かわいい。「フゴッ」っていう鼻鳴らしも何度も披露しちゃってww、美人さんなだけになおさらそれが面白くてついつい笑っちゃう。いわゆる、ギャップ萌えってやつですわw。
でも、セリフ回しがとても自然なのも良いんですよね~。エルファバが語る”秘密”に対して「でもそれはおしろい草のせいであなたのせいじゃないでしょう?」と問いかける時の山本グリンダのナチュラルな語り掛けが個人的にすごく好きで。
あえて印象的に聞こえるように語るんじゃなくて、話の流れの中で出てくるグリンダのとても素直でピュアな感情が表に出ただけのこと。だからこそ、エルファバはグリンダに”彼女は信頼できる人かもしれない”って感情を呼び起こさせたんじゃないかなと思います。

小林エルフィの表情がどんどん柔らかく優しい目になっていくのもすごく印象深かった。山本グリンダとの相性めちゃめちゃ良いですよね。髪の毛キラキラ~~の場面での二人のやり取りはこれまで見た中でも一番濃くて笑っちゃったよ(笑)。小林エルフィの山本グリンダモノマネがめっちゃ細かいww(でも不器用っていうのが面白さをさらに増してるし)。

このあとエルファバはグリンダに言われた通りの”キラキラ”を一人で特訓するのですがw、その様子を見て楽しそうに笑う武藤フィエロはなんだか無邪気で可愛らしい。でも「君はそのままでいいのに」って語り掛けた時の表情はとても優しいんですよね。登場した時のダークさが削ぎ落されてる。フィエロはエルファバの前では自然体な自分でいられるのかもしれないなと思えるシーンでもあり、個人的に好きな場面。

♪私じゃない♪

ディラモンド先生が無理やり連れ出されてしまった時、エルファバはその理不尽なやり口に激しい怒りを感じますが、他の生徒たちは何も反応できないしエルファバ自身も成す術がない。この時フィエロはエルファバの怒りにただ戸惑っている感じなのですが、新しい教師が檻に入れられたライオンを連れてきたときにその表情が変わるんですよね。
エルファバが「なぜそのライオンの子供は震えてるのですか?」と毅然と質問をしたあと、武藤フィエロは彼女の言葉にわずかに反応し次第に”こんなのは間違っている”と言わんばかりの違和感に囚われていくような表情に変わるんですよね。眉間にしわを寄せて本気でライオンの子供の扱い方について”何かがおかしい”と感じてるように私には見えた。この繊細な表情が武藤くん、本当にすごく良い!!

それがあった故に、フィエロだけがエルファバの怒りに巻き込まれなかった説得力が増したように思います。あの時確かに武藤フィエロはエルファバと”共鳴”してたよねって。咄嗟にフィエロがライオンの子供の入った檻を持ち出したことも納得いくんですよね。あの瞬間からフィエロはエルファバに対して今まで感じたことのない理由のつかない感情が芽生えたんじゃないかなと思えて、個人的にめっちゃトキメキましたw。

エルファバがフィエロの前で自分の意見だけをまくし立ててしまい、堪りかねた彼が「君って誰にも喋らせないつもり?」と問いただす場面もすごく良かったなぁ。小林さんと武藤くんの阿吽の呼吸感というか、テンポがとても小気味よくて”エルフィとフィエロは将来何か起こるぞ”といった期待感を持たせるような関係性が出来上がってた。小林エルフィの「ごめんなさい」の返しもすごくバツが悪そうな可愛らしい言い方だったしね。

そしてこのシーンで一番印象的だったのが、エルファバがフィエロの本質を見抜く場面です。エルファバはフィエロに対して「どんなに自由気ままに生きているフリをしていても」と言いかけた時に彼は「フリなんかじゃない、僕はそういうやつさ」と答える。このセリフを言った時の武藤くんねぇ…ほんとに孤独な目をしてたんですよ。ダンスパーティでグリンダが自分の元を少し離れた時に見せていたのと似た表情。だから、フィエロの言葉を遮るようにエルファバが「あなた全然幸せそうに見えないもの」と指摘する言葉の説得力がめちゃめちゃ重みを以て伝わってきた。
武藤くんのフィエロは登場した時からどこか”影”を感じさせるような表情をちょいちょい出していたこともあり、「幸せそうに見えない」というエルファバの言葉が真実であるとハッキリ腑に落ちたんです。彼女の言葉を聞いた瞬間、フィエロの中でエルファバが”特別な人”としてインプットされたんじゃないかなと思えてなりません。今まで誰も気づいてくれなかった”孤独”を彼女だけが見抜いてくれたわけですから…。「血が出てるわ」と頬に差し出されたエルファバの手に吸い込まれるように惹きつけられていく武藤フィエロ、本当に切なくて見てるこちらがドキドキしてしまった。

エルファバはきっと、フィエロの”孤独”と自らの”孤独”が確かに共鳴したことを感じ急速に彼に惹かれていったんじゃないかなと思います。二人の”恋愛モード”は傍から見るとけっこう突然始まったように思える節もあるかもしれないんだけど、小林さんと武藤くんのお芝居からは唐突感というのは私は感じなかった。

1月に見た時もこのシーンの武藤くんに注目したんですが、今回はそれ以上だったかもしれない。フィエロがエルファバに心惹かれてしまうこの短いやり取りをとても濃厚な時間として見せてくれた。遠征してこれてほんとに良かったと思えた瞬間でもありました。

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♪エメラルドシティー♪

エルファバの見送りにやって来たグリンダ、ネッサ、ボックでしたが、ボックはグリンダに相手にされていないことに苛立ちを募らせてしまう。緒方ボックは本気で「ボックだってば!!」ともどかしさを爆発させていて何とも痛々しい。
でももっと気の毒なのは彼に片想いしながらも伝わらない気持ちに罪悪感すら抱いてしまってるネッサなんだよねぇ…。妹を心配したエルファバが追いかけようとした時グリンダが「放っておいてあげなさいよ」と引き留めたけど、もとはと言えばグリンダがボックを遠ざけるためにした策略が元でこうなってるんだけどなぁとツッコミ入れたくなります(苦笑)。

エルファバを見送りにやって来た時の武藤フィエロ、めっちゃ必死感が声に表れているのが良い!!きっと、なんて言葉をかけていいんだろうとか色々悩んで考えてあそこに辿り着いたんだろうなというのが想像できる。考えれば考えるほどエルファバへの気持ちが昂ってしまって、それでギリギリになってあの場に着いて…でも彼女の姿を見たら気持ち抑えきれなくなっちゃって…みたいな。
なんか武藤くんのフィエロ見てると、描かれていない空白のシーンへの妄想がめっちゃ膨らんでしまうw。でもそれができることが個人的に嬉しくもあります。

武藤フィエロ、本当はエルファバのほうにしか意識が向いてないんだけどグリンダの存在に気づいて慌てて戻り彼女の手を引く時は笑顔を作っている(ちなみに、山本グリンダがフィエロを「ハニー♪」と呼ぶときの声はめっちゃ可愛らしいw)。でもそれが心からのものじゃないなっていうのは火を見るより明らか、というか…無理やり創り出してるっていうのが伝わってきてなんとも痛々しい。
グリンダに気づかれないようにそっけなく「よかったな」とエルファバに声をかける武藤フィエロですが、表情には”もっとエルファバと語りたい”という本音が漏れだしてる。「あの日から色々たくさん考えた」と一言一言嚙みしめるように彼女に語る時の彼の内面を想うと切ないものがありました。

だけどグリンダはエルファバとフィエロの間に漂う”特別な雰囲気”を敏感に察して思わず二人の邪魔をするように割り込んじゃうんですよねw。さすがの彼女もあれは危険を感じるよね、みたいな(笑)。グイグイ入り込んで「私も考えてるわ!!」と自己主張する時の山本グリンダは憎めない可愛らしさがあって萌えww。
そんな彼女を呆然と見てるフィエロにエルファバは”何か言ってあげて”と無言でツッコミ入れる。それに気づいた武藤フィエロの慌てたような言いっぷりが面白かったなw。明らかに心ここにあらず的な言い方(笑)。そのあとエルファバに小さな花束を渡して「がんばれよ」と伝える時の態度とは明らかに違う。エルファバへの想いを振り切るようにグリンダを置き去りに走り去ってしまう武藤フィエロも切なかったなぁ。彼の心の中は既にエルファバでいっぱいなんだろうなというのが伝わってきた。でもグリンダの気持ちを簡単に振り切ることもできなくて、あの後色々悩みの沼に落ちちゃったんじゃないかなぁと想像してしまった。

フィエロのつれない態度に泣いてしまう山本グリンダはちょっと可哀そう。「私には彼が必要なのよ!」と必死に訴える姿は気の毒で…あんな親友の姿を見たらエルファバが「一緒に行きましょう」と誘ってしまう気持ちも分かるなぁと思ってしまいました。

♪センチメンタルマン♪

勅使瓦武志さんのオズ陛下

登場した時は本当に人当たりの良いちょっとお調子者感漂うおっちゃんw。「びっくりさせてスマンな!」「ちょっと…大げさだねぇ」の言い方も陛下っぽくなくて近所のおじさんみたいな親しみやすさを感じます(笑)。

このナンバーではオズ陛下数回「パパになりたいんだ」と歌うのですが、これって後半への伏線になってる。エルファバに語り掛けるように歌う勅使河原オズ陛下はなんだかとても楽しそうに見える。

報道官に出世した織笠マダム。何ともまぁ貫禄あるお姿!より迫力が増した感じ。最初はエルファバやグリンダへの態度も柔らかいんだけど、猿のチステリーに対し「飛ぶ力を与えたらいいんじゃないか」と提案するあたりから言葉尻に黒い感情が混じってるような雰囲気に変わってきてけっこう背筋寒くなりました(汗)。
織笠マダムは見た目迫力あるので、本性表したら怖そうだなと思いながら見てきましたが・・・その通りでしたね(「悪い魔女、ウィキーッド!」の言い方とか最高にホラーだったw)。勅使河原さんのオズ陛下もエルファバに真実を見抜かれた後は黒い裏の顔を出してきて、気の良いおっちゃんどこ行った状態でしたわw。

♪自由を求めて♪

このシーンはもう多くは語るまい。ただ、本当に・・・小林エルファバの迫力が過去最高級にすごかった!!追い詰めようとする人々への怒りの感情がほとばしるというか…、ドスを利かせた歌い方で彼女の爆発力にただただ圧倒されまくりました。何かねぇ、もう、あんな圧巻の姿目の当たりにしちゃったら自然と涙がボロボロこぼれてしまっって。休憩時間に入る時も涙拭いながら外出たくらい。

映画でのこのシーンもクライマックスとして盛り上がるけど、やっぱり生の舞台で見るのも最高に心が震えます。小林エルフィの雄叫び最高すぎた!!

2幕以降の感想は次のページにて。

※映画では2026年公開予定分となる部分なので特にネタバレ注意

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