劇団四季のミュージカル『アナと雪の女王』を観に東京まで遠征してきました。
東京遠征は約4か月ぶり。思えば前回のアナ雪観劇以来の東京となります。よかった、来れて…。もうその一言に尽きる。
今年の夏は全国的に新型コロナの感染状況が悪化し東京まで遠征できるような環境ではなくなってしまいまして…。オリパラが終わったタイミングの9月にはいくつか観劇予定も入っていたのですが、近場以外の公演はキャンセルせざるを得ませんでした(大阪レミゼは中止 涙)。正直10月もどうなるか分からなくて、最悪アナ雪もキャンセルというのが頭をよぎったのですが(汗)なんとか世の中の状況が改善に向かい東京遠征に踏み切ることができるようになり本当に安堵しました。
それからもう一つ以前の遠征と状況が変わったことというのが、ワクチン接種を2回終えて約2週間経過していたことです。もちろん未だにコロナは収まっていないし(特に都会は)感染対策は以前と変わらず万全を期して行きましたが、ワクチンを打っていることで多少気持ちに余裕を持つことはできました。
夏の観劇をほとんど諦めたこともあり、その反動で秋の観劇予定をちょいちょい入れてしまっているので(笑)なんとか流行爆発せずに劇場まで足を運べる環境であってほしいと願うばかり。
6月に開幕したアナ雪ですが、約4か月経った今もほぼ満席状態で盛り上がっていました。ただ、四季のスタッフさんが「感染予防のため会話はお控えください」と何度も注意喚起していたにもかかわらず、皆さんけっこうトークに花を咲かせてましたね(汗)。まぁ、友達や家族と一緒に行ったらついつい喋ってしまう気持ちもわかるし、本来それが観劇の楽しみの一つというのもありますから…。
ただ、今は平時とは違う。もう少し緊張感を持ったほうがいいんじゃないかなと思ってしまった。カンパニーや劇場側が念には念を入れた対策をしているのだから、観客ももう少しその想いに応えるべきじゃないでしょうか。
パンフレットは9月から舞台写真入りとなったようなのでもう一度購入しました。素敵な写真がいっぱいで嬉しい。お稽古写真もいいんだけど、私個人としては舞台写真があると嬉しい。
これまでの劇団四季アナ雪感想
以下、超ネタバレを含んだ感想になります。
2021.10.12ソワレ公演 in 四季劇場・春(東京・浜松町)
主なキャスト
- エルサ:三井莉穂
- アナ:町島智子
- クリストフ:神永東吾
- オラフ:山田充人
- ハンス:杉浦洸
- ウェーゼルトン:石野喜一
- スヴェン:沢樹陽聖
- パビー:渡久山慶
- バルダ:松本菜緒
- オーケン:阿部よしつぐ
- アグナル王:田川雄理
- イドゥーナ妃:髙岡育衣
6月の時から約8割のキャストが入れ替わっていました。どのくらいのペースでローテーション組んでいるのか分からないのですが、前回とは違う雰囲気の舞台を楽しむことができました。
子役さんたちは相変わらず上手いですねぇ。歌もセリフもしっかりしている。アナがエルサに雪だるまをねだるシーン、「お願い!」のセリフ回しは今回オーソドックスだったな(前はけっこうマンガちっくな言い回ししてた)。子役さんによって言い方に個性を出しているのは面白いと思います。
スヴェンはトナカイに徹しているのでカーテンコールの時にも役者さんが一切出てこない。『ウィキッド』の猿のチステリーは最後顔見世してくれてたけど、アナ雪のスヴェンは徹底してますw。
だけど、あの動きは本当にどうやっているんだろうと気になって仕方ない。歩き方や表情の出し方など、細かいところ本当に繊細に演じていると思う。相当中では大変なことになっているのでは!?あと、出番がない時は”人間”としてアンサンブル出演してたりするのだろうか?役者さんの顔と名前が一致しないのでそのあたり判明できないのが残念。
アグナル王役の田川さんは今回が初めまして(だと思う)。前回は阿久津さんだったのでかなり濃い王様といった印象でしたがw、今回の田川さんは奇麗な顔立ちで優しいカッコいいパパといった感じ。なかなかのハンサムさんでかなり目を惹きました。が、2幕のヒュッケシーンは前回の阿久津さんのほうが濃厚でめっちゃ面白かったんですけどねw。
概要・あらすじは2021年6月29日公演のレポを参照してください。
全体感想
物語のあるミュージカル作品を観たのが7月のロミジュリ以来だったので(それ以降はコンサート系のみ)、なんだか作品の感想という以前に「やっぱり舞台作品を生で見るって最高だなぁ」としみじみ感じ入ってしまいました。遠方の上にコロナも重なってしまうとなかなか都会の劇場まで足を運ぶのが難しいので(汗)なおさらありがたみを実感してしまう。そんなわけで、けっこう高いテンションでの観劇となりましたw。
あと、1回目観たときは頭の中にアニメ映画のベースが浮かんだ状態だったのでどうしてもそこと比較しながら見るという部分が大きかった。2回目の今回はそこが薄まって”ミュージカル作品”として純粋に楽しむことができたのもよかったと思います。
前にもちょこっと触れたかもしれないんですが、実は私はアニメ映画は楽曲は大好きだったんだけどストーリーに今ひとつ乗れなかったんですよね。でも、ミュージカル版は映画に加えて10曲の新曲が加わったことでそれぞれのキャラクターがとても魅力的に生まれ変わっていて、人間ドラマも分厚くなったぶんすごく楽しめる。個人的にはミュージカル版のほうが好きだなぁと再確認しました。
以下、印象に残ったシーンやナンバーについて。
VUELIE
冒頭のアンサンブルによる導入の歌声が聞こえてくるシーン、これが幻想的かつ重厚でめちゃめちゃ心鷲掴みされます!!ここは映画版と同じなんだけど、生で聴く歌声はやっぱり心に響く度合いが違う。アナ雪の世界観にピッタリの美しいハーモニーが最高で、ここからウルウルっとくる人も多いかもしれません。
ヤング・エルサとヤング・アナが両親に内緒で夜に「雪だるま作ろう」とキャッキャしてるシーンも可愛らしい。エルサはアナの頼みを最初は断ろうとするんだけど(魔法は使っちゃいけないと親からも言われてたし)ちょっとおだてられて嬉しくなって結局妹のわがままに付き合っちゃうところが子供っぽくてリアル。
ここではエルサの雪を降らせる演出も見所の一つだと思うのですが、個人的にはボックスから取り出した部品wを組み立てる場面もぜひ見てほしいところ。仕掛けは秘密ということで気になるんですがw、お子さんとかはあの演出すごく興味持つんじゃないかなと思います。
ただやっぱり王と王妃が嵐に巻き込まれてしまうシーンはけっこうあっさりだなと今回も思っちゃった(苦笑)。ミュージカル版では映画(パート1のほう)より濃厚に親子関係を描いていたので、両親が突然城を出たかと思ったら呆気なく波にのまれてしまうことに「え?もう!?」とちょっと驚いちゃう(汗)。
生まれて初めて
幼いエルサとアナがまともに顔を合わさないまま子供から大人になる切り替えは、映画とほぼ同じ展開に作っていて違和感がありません。二人を隔てていた扉のセットがめちゃくちゃ大きいんですけどねw。
エルサの戴冠式当日朝のアナのはしゃぎっぷりは見ていてとても楽しい。ここは特に映画と同じナンバー、展開なので見ていると自然に体が動きそうになっちゃってそれを抑えるのに必死(笑)。めちゃくちゃ名曲ですよねぇ。生きる喜びにあふれてる。
一番感動的なのはミュージカルならではのナンバーのクライマックス場面。門が開くとそこからアナを先頭に参列者たちが歌いながら生き生きとした表情で飛び出してくる。さらには氷売りのクリストフ&スヴェンやお城に感動した様子のハンス王子もやってきて、ほぼ全員集合状態。エルサだけが緊迫感に包まれた表情をしていて、その対比も面白い。ここは本当に前半の一番の見せ場だと思います。
サザンアイルズのハンス
アナとハンスの出会い方は映画よりも現実的。城から出てきた人にぶつかったアナがよろけてハンスにぶつかってクリストフの氷の上で倒れながら見つめあっちゃうっていう、ねw。恋愛ドラマでも使えそうなベタだけど恋の予感が芽生えちゃうんじゃない!?的な演出が面白い。しかもここでさりげなくアナ・クリストフ・ハンスの3人が出会っちゃってるっていうのもポイントかな。
そしてハンスがアナに自己紹介するナンバー。ミュージカル版で彼の身上を歌うナンバーが加わったのは個人的にすごくうれしい。アナは大好きだった姉とずっとまともに顔を合わせることができなかったことに孤独を感じていましたが、ハンスも実は13番目の王子で家族から目をかけてもらえなかったという孤独を感じていた。
表ではへっちゃらな顔をしていながら、実は寂しさを抱えている切なさがじわじわ伝わってきて、そんなハンスがアナの気持ちに共鳴してしまうのも納得だなぁと思えました。
扉開けて
エルサが戴冠式でアナへの複雑な心境や、手袋を外した状態で乗り切ったことにホッとするといった比較的ナーバスな場面(新曲の♪危険な夢♪)のあと、ようやく姉妹らしい和やかな時間が訪れます。無理やりダンスに参加させられそうになった姉を巧くフォローするアナの機転が可愛らしい。
しかし、城の門を開けたままにすることを拒絶されてしまったことをきっかけに二人の間はギスギスしてしまって。アナがエルサを傷つけてしまったかもと落ち込んだタイミングの時に「また会えたね」とハンスが現れる。ここの再会の仕方が絶妙なんですよねぇ。アナに興味を持ってるハンスとしては願ったり叶ったりな感じなのが面白い(笑)。
で、この時アナから外に行こうと誘われたハンスは「誘ってくれるの待ってたんだ!!」とめっちゃ大喜びするんですけど…、その時の”ヨッシャ!”的な杉浦ハンスの小さなリアクションがめちゃめちゃ可愛くてツボすぎた(笑)。これは予想外にキュンきちゃったじゃないのwww。沼に引きずられないように自分を取り戻すのに必死になりました(笑)。
そのあと二人でお互いの孤独感について会話するんですけど、ここのシーンがすごく印象深くて好きですねぇ。アナだけでなくハンスの心に抱えていた寂しさにクローズアップしたのが特にいい。お互い「本当の家族が欲しい」って話から♪扉開けて♪に繋がっていくわけで、この流れが実に自然です。
映画版よりもアクロバティックで見ていてとても楽しめる見せ場のシーンですが、アナを持ち上げる仕草の多いハンスのダンスは相当な重労働だと思います(アナのドレスだけでも3キロあるらしいし 汗)。それを汗をにじませながら笑顔で爽やかにやってのける杉浦ハンス、最高!!っていうか、歌声がめっちゃ完璧です、この方(この時点でもうだいぶ心が奪われまくってますww)!
この勢いで二人はぶちゅ~~っと熱い誓いのキスを交わすんですけどww、夢中になりすぎちゃってハンスの髪の毛が乱れちゃうんですよね。この乱れ髪が…超ツボったwww!!!あれはヤバい(笑)。
しかし、ハッピー気分は長くは続かなくて、エルサは二人の結婚に大反対(そりゃそうだ)で徐々に緊迫した空気に代わってしまう。そんなエルサに苛立ったアナが手袋を無理やり取ってしまったことが原因で大変なことになります(この作品の売りでもあるプロジェクションマッピングがすごいので要注目)。
アナはエルサの事情を何も知らないので(幼い時に記憶消されてる)致し方ない行動ではあるんですが、彼女は感情に素直すぎるんだよねぇ。エルサとしてはそのあたりの付き合い方が難しいだろうなって思いました。
で、ハンスが王女不在の城を守る役目を引き受けさせられちゃうわけで。彼の気持ちを刺激するタイミングとしてはここだったかなぁ…と思わなくもない。でもなぁ、誰もそんなん気づかないよってくらい可愛カッコいいんですわ、色々とw。アナの気持ちもちゃんと尊重してあげるしね。
愛の何がわかる
エルサの魔法のせいですっかり氷が売れずにクサクサしていたクリストフ。そんな時に姉を追いかけて山をさまよっていたアナと出会う。薄着で凍えそうになっているアナを見て「面倒くさそうな子がきちゃった」みたいに最初は思うクリストフでしたが、なんだかんだ言いながら冬装備の服を貸してやる優しさがある。でもお互い素直になれない感じであーだこーだ言うわけですが、ここのシーンではアナが着ていたドレスを大胆に脱ぎ捨てちゃうのがけっこうポイントw。あのドレスが後半の展開に生きるんですよねぇ。
で、二人が一番揉めたのがお互いの結婚観の違い。クリストフはその日に会って婚約までしちゃうアナのことがどうしても信じられない。アナは城から出たことがなく外の世界にめっぽう疎いのでなぜ自分の恋愛について文句言われてるのか訳分からない。
ということで♪愛の何がわかる♪というキュートでポップな新曲が入るわけです。改めてこの曲聴きましたが、めっちゃノリのいい心躍るナンバーじゃないですかっ!これ好きだわ~~と実感w。さらになんだかんだお互い文句言いながらも知らず知らずのうちに心が近づいていく感じも良い!一瞬お互いを意識しちゃう歌い方になるのもポイントです。
橋の上の展開については、1回目に見てかなりビビったのでw2回目の今回は「くるぞ」と構える余裕があったのでさほどドキドキはしませんでした(笑)。ただ、クリストフのよりもアナのあれはやっぱり何度見ても「ひょえっ!?」ってなりますけどね(汗)。くれぐれも怪我だけは気を付けて頑張ってほしいです。
このあと二人は雪だるまのオラフに遭遇。前回は女性キャストさんでしたが、今回は男性キャスト。また雰囲気が全然違って面白かったですね。パペットは基本的にどこの表情を見ればいいのか戸惑ってしまうので個人的には苦手なんですけど(苦笑)オラフはギリ大丈夫かなって感じ。動きも滑らかで表情豊かだし、声も奇麗。雪だるまなのに夏に憧れちゃうのも面白いんですよね。彼が歌う♪夏がきたら♪のナンバーはこの作品のなかで唯一アナログ的な演出なのが逆に新鮮です。
サザンアイルズのハンス(リプライズ)
一方、城に残ったハンスは凍える国民たちに毛布を配ったりと懸命に城主代理としての責務を果たしている。ウェーゼルトン侯爵はここの女王は国民の命を奪おうとしていると吹聴するのですが、ハンスは「いい加減なことを言って皆を不安にさせるな!」とそれを諫める。アナのこともめっちゃ信頼してるし、立派なふるまいだなぁと感心させられてしまいます。
ところが、侯爵の部下が山の中からアナが脱ぎ捨ててそのままにしておいたドレスを拾って血相を変えて戻ってくる。それを見てハンスもアナが危険な状態にあると思いこんじゃうわけで…、アナ~~、なんで脱ぎっぱで来ちゃったんだよ~~~とツッコミせずにはいられない(笑)。
もしかしたらエルサがアナを襲おうとしているのかもと思い込んだハンスは居ても立ってもいられなくなり、国民たちを説得して彼女を助けるために飛び出していく。ここでもハンスはアナの素晴らしさを熱弁していて本当に好きなんだなぁ…って思うんだよね。
民衆を引き連れて立ち向かおうとするハンス王子はひたすら勇敢で頼もしい。リプライズでここまで曲調の印象が変わるもんだなぁというのも注目です。あと、このシーンはどこか、『美女と野獣』でガストンが仲間を募って城に向かう時の雰囲気と似てる気がします。同じディズニーだしね。
ありのままで
ハンスや民衆たちが自分を襲うために城を出たことなど露知らぬエルサは、吹雪のなかで自由になれたことの喜びをかみしめている。映画版でも大いに話題になったビッグナンバー♪ありのままで(Let it Go)♪は、全てが見応えありです!!特にプロジェクションマッピングを駆使した映像美は圧巻。私はまだ1階席からしか見たことがありませんが、2階席から見るとさらに立体的に見えて迫力があるそうです。1度はそこから眺めてみたい!
エルサが自らを解放させていくのに相応しい壮大な場面。歌声もすごいです。『ウィキッド』の1幕ラスト♪Defying Gravity♪に匹敵するあの迫力はぜひ生で浴びてみるべし。
2幕とキャスト別感想は次のページにて。