帝国劇場で上演中のミュージカル『エリザベート』を観に行ってきました。
前の帝劇公演から約2年が経過。2000年の東宝版の初演からもう12年が経つんですねぇ。そうか…私が内野トートに最初に出会って椅子から落ちそうになってから12年か(笑)。ウィーンでは初演から20年ということで今年はコンサートも開かれるようです。
帝劇ロビーには扮装したキャストさんの巨大パネルがズラッと並んでいてけっこう壮観!売店でのエリザの新グッズも増えていました。
そんな中…こんな貼り告知を発見。
今公演を記念して作られた「ルドルフ」の写真集を購入すると、ルドルフ役者のサイン会に参加できるっていうイベント日に当たっている!エリザ情報をほとんど仕入れていなかった私はこのことを知らなかったので〝ラッキー″と思ってさっそく購入したわけですが…、終演後に「整理券に書かれた場所に集合してくださーい」という声が。え?整理券?そんなもん、もらいませんでしたが(汗)。
よほど売店に尋ねてみようかと思ったんですが、なんだかこの日は観劇後に疲労感がありまして…それに、大ファンでどうしてもってわけでもないし…(洋輔くんなら即参加したけど 笑)、いいやって思って帰ってしまいました。ちょっと残念な一コマ。ちなみにこの日のルドルフは大野くんでした。
今季のエリザベートは特にチケットの売れ行きが好調だと聞いていたのですが、この日も補助席がほとんど埋まるほどの盛況っぷり。1階席はほぼ満員だったと思います。たぶん2階席も相当入っていたんじゃないかな。最近四季ではそういう光景がめったに見られなくなったので(苦笑)ここまで集客できるエリザってすごいなと改めて思ってしまった。
今回の帝劇は公演期間が約2か月、6月末には楽を迎えるということでそのあと西のほうへ行くようですね。既に東京はクライマックスモードにはいっているようで熱気もありました。ちなみに今回のエリザ観劇はこれを含めてあと1回。組み合わせやキャストは予定表を見てじっくり考えましたw。
メインで見れないのは古川君のルドルフだけかな。ただ、古川君は「ファントム」を観に行ったときに見ていて…なんとなくルドルフ役が想像できてしまったんですよね。なので未知数の大野くんと平方くんを選択しました。トートは2人制覇(あと一人の方は個人的に苦手なので敢えて外してます 爆)、エリザも2人見ることができそうです。
主なキャスト
エリザベート:春野寿美礼、トート:石丸幹二、フランツ:石川禅、ルキーニ:嶋政宏、ルドルフ:大野拓朗、ゾフィー:杜けあき、マックス:今井清隆、ルドヴィカ:春風ひとみ、マダム・ヴォルフ:伊東弘美、エルマー:岸祐二 ほか
以下、ネタバレを含んだ感想になります。ちょいちょい辛口も出てくるかもしれませんが、あくまでも個人的意見なのであしからず。
前回とキャストも少し変わりましたが演出方法もいくつかちょこちょこ変わっていました。一番変わったなぁ、と思ったのがルドルフとトートのシーンです。
少年ルドルフにトートが近づく場面、まずセットが半分変わりました。ちいさなサーベルがいくつか置かれていたあの場所ですが…なんだかやたら巨大な武器置き場になってて(汗)槍みたいなのも何本か。
で、チビルドが「勇気試したんだ」って歌う時、以前は小さなサーベルを持っていましたが、今回は傍にあったピストルを手にしています。で、パーンって撃つんだけど、そのあとそれをトートが取り上げて銃口から出てきたハプスブルク家の家紋が入った小旗を取り出すんですよね。あれがなんだか可愛かった。そのあとの動きはサーベルが銃になっただけといった感じで基本的には同じでした(チビルドに銃口向けるって感じで)。
それから、マイヤーリンクのシーンもちょっと演出が変わりましたね。以前まではトートダンサーズに翻弄されたルドルフがトートと鉢合わせになって、割かしすぐに羽交い絞めにされてそのままキス→自殺、みたいな形だったんですけど…、今回はここに至るまでにかなり時間をかけていました。
トートと鉢合わせ→逃げる→見つめ合う→銃を渡される→覚悟を決める→キス→自殺
と、こんな感じ。銃を渡されてから覚悟を決めるまでの時間をけっこう割いているなと思いました。それに、キスシーンが…なんか、恋人同士みたいな少女マンガみたいなwww…。なんか、シシィとフランツのキスシーンより何倍も見ててドキドキしちゃったよ(笑)。石丸さんと大野くん、共に美形ですからなおさら…ww。以前よりもめっちゃ妖しく艶っぽいシーンに変わっててちょっとビックリしました。
以下、キャストについての感想になります。ちょこちょこ辛口も出てくるかもしれませんが…個人的な意見ですのであしからず。
エリザベート@春野寿美礼さん
今回新しくエリザベート役に加わった春野さん。以前、宝塚を退団してすぐあたりの舞台「マルグリット」を観に行ったことがあるのですが、その時けっこう好印象だったのでちょっと楽しみにしていました。
が…、個人的にはちょっと春野さんのエリザ…苦手かもしれません(ファンの皆さんスミマセン 汗)。まずは若き日の、シシィとしての扮装が…似合っていると思えなかった(爆)。これまで見てきたシシィはそれなりに少女時代は可愛く見えたんですよ。だけど、春野さんのシシィはなんと言いますか…大人が少女のカツラつけてるって見えてしまってすごい違和感(ごめんなさい)…。ようやく普通に見れるようになったのはフランツに最後通牒突きつけるシーンあたりからだったかなぁ。前半は本当にビジュアルが気になって仕方なくてあまり芝居とか注目できなかった(爆)。もっと似合うカツラとかなかったんだろうか…。
あと、前半部分ですが…高音を出すのが苦手なような印象を受けました。低音から真ん中の音くらいまでは綺麗に歌っているんですが、キーが高くなると歌い方が変わってしまうと言いますか(汗)。特に前半の大きなソロの「私だけに」はラストかなり難しそうな音程になるわけですが…「私にぃぃぃぃ!!!」の歌い方がものすごい無理して出してる感ありありで(汗)。気合で無理やり伸ばしてるという印象、聞いていて〝うわっ、すごい力技(汗)″とビビってしまった。それ以外の部分を綺麗に歌っているだけに、目立ってしまうような気がするんですよね…苦しげな高音が。
精神病院のシーンは私が好きな場面でもあるのですが…、最後の「あなたも同じよ」って歌うところ。「おな」と「じ」はちょっと間が空くのはいつも通りなんですけど…、なんだか今回空き過ぎだったような気が(汗)。「おな」で完結しちゃって、そのあと気合入れて「じよーーーー」って頑張って伸ばしてるって印象(苦笑)。もう少し「おな」と「じ」をつなげるような気持で歌ってほしかったです。
あと、エリザベート役としてのお芝居なんですが…個人的にはあまり印象に残らなかったというのが正直なところです。ちょっと退屈してしまうシーンが多かった…。瀬名さんのエリザを前回見たときにも同じようなことを思ったんですが…感情の起伏があまり見えてこない。娘や息子が死んでしまった時の嘆き方とかは真に迫っていてよかったんですが、それ以外の…特にトートと対峙するときの芝居をもう少しメリハリつけてもいいんじゃないかなと思いました。
トート@石丸幹二さん
前回公演の時には外の舞台にたくさん出だしたころで、石丸さん自身新しい世界を満喫しているなぁという印象だったんですよね。トート役なんかは四季にいたらまずああいった色の役柄は回ってこないんじゃないかっていうキャラだったからかw、ものすごく楽しんで新しい自分を発掘させようと試行錯誤しながら作り上げていたっていう感じでした。あの時、あぁ、石丸さん、楽しそうだなぁってすごく思って一人胸熱くしたんだよな。
あれから約2年、その時期から少し落ち着かれた石丸さん。前回のトートよりもキャラ的にストンって落ち着いた感じがしました。以前は粘着質で超攻撃的で時折悪魔みたいなトートって印象だったんですが(笑)、今回はあまり最初からアクセルを全開にしないでフッと落ち着いた柔らかい感じだった。なのでなおさら艶っぽさを感じてドキドキしてしまったよw。シシィと初めて出会った時の表情もよかったなぁ。なんだか時が止まったかのように…〝あ、今トート、一目惚れしちゃったな!?″っていうのが一目でわかったくらい初恋の表情してましたww。そこからの石丸トートは本当に恋愛モード一直線なんですよね。最後まで一貫してた。
今回、抑えるところは抑え気味にした芝居をしているせいか、激しく感情を爆発させた時の迫力がより一層際立っていてとても刺激的で魅力的なトートになっていました。「最後のダンス」のときのあの生き生きとした、目を爛々と輝かせながら激しく歌うシーンなんて、本当にゾクゾクさせられたし最高にすごかった!歌声もすごく安定してて不安要素なし。めっちゃカッコよかったなぁ。あと、フランス病の診察に来るシーンも印象的。最初は初老の医者って芝居で入ってきて、「命を絶ちます」っていうエリザの言葉で「待っていたぁぁ!!」ってババーンと正体を現す。このメリハリの利いた芝居が最高に良かった!あれもめっちゃカッコいいですよ。
それから印象的だったのは、エリザに何度拒絶されても怒った顔を見せなかったことかな。特に執務室で迫ったシーンとか、拒絶されても「フフッ」って余裕の笑みをこぼしていたのがとても印象に残った。〝そんなに吠えていられるのも今のうちだぜ″みたいな表情。前回見せていた羽ペンをなめるっていう怪しい仕草はとらなくなっちゃいましたけどね(笑)。
ルドルフやフランツに対する挑発的な顔、黄泉の国にやってきたエリザを迎え入れる時の充足感溢れた顔、本当にどれも魅力的で見ごたえ満点の石丸トートでした。本当はもう一度見たかったけど…この1回で我慢です(汗)。
フランツ@石川禅さん
相変わらず抜群の安定感の禅さんのフランツ。お芝居の部分が洗練されているので若き日の青臭いフランツから年老いてからの哀愁漂うフランツまで目が離せませんでしたね。シシィにプロポーズするときの「シシィ」って呼びかけてから「いや、エリザベート・・・」って言いなおすまでの間とかすごく上手いんですよ。あの間だけで胸が熱くなってしまう。さすが禅さんだなぁと。
シシィに拒絶されて苦しんでいる姿も印象深いのですが、やっぱり最後の「夜のボート」から「悪夢」の流れは何度見ても最高です!!すれ違うシシィに向かって「愛している」ってセリフがあるんですが…本当に万感込められた言い方で、あれだけでウルッときちゃいますよ(涙)。そのあとの悪夢での乱れっぷりがもう…全力です!!全身全霊賭けて必死にトートに立ち向かっていこうとするあの熱さ!!あれが見れるだけでもエリザ来たかいがあるというものです。
それにしても禅さん、ちょっと痩せましたかね。顔周りがスッキリしたような…。あと若フランツの時のメイクがちょっと疲れた感じになってたような気がw。個人的には前回のほうが好きだったかも。
ルドルフ@大野拓朗くん
今季エリザから新しくルドルフに加わった大野くん。彼は大東くんがMCを務めてる「心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU」という番組で何回か見たことがある程度。お芝居とかしっかり見たのはこれが初めてかもしれません。たぶん、ミュージカルは初挑戦なんでしょうね。背がすごく高くてちょっとビックリしました。
と、いうことで…、全体の印象としては…初心者のルドルフって感じだった(ファンの皆さんスミマセン)。ビジュアルはすごくよかったんですよね。ルドルフっぽいし繊細な青年って感じが出てた。ただですねぇ、セリフ回しにしても、歌にしても、動きにしても、必死に追っているという印象は否めなかった。歌は下手っていうところまではいかないんですが(初演の内野さんのほうがよほどすごかったので 爆)、上手い人と一緒になるシーンとかだとどうしても浮いてしまう。それを補うだけの演技力があればいいんですが、それもこれと言って感じられるものがなく…。マイヤーリンクのときの動きも重々しくてちょっと心配になってしまった(苦笑)。思わず心の中で頑張れって思ってしまった…。
ただ、声質はけっこういいものを持ってるんじゃないかなって予感はあったんですよね。この先経験を重ねていけば、もしかしたら化けるかも!?頑張ってほしいです。
マックス@今井清隆さん
今回からシシィの父親のマックス役が今井さんになりました。間際までそれを知らなかったので、最初のシーンでは村井マックスを想像してしまった私w。家庭教師とイチャイチャしてるのがそういえば今井さんだったと気が付いて思わず吹き出しそうになった(爆)。
で…今井さんの自由人マックスですが…うーーーん、村井さんの印象が強すぎるせいもあるけど…ちょっと役不足かなぁと。今井さんのマックスって自由人って感じじゃないんですよ。どちらかというと旅が好きな普通の優しいお父さんって感じ。だからキャラ的にあまり面白くない。シシィが憧れるような父親には思えなかったんですよね。…っていうか春野シシィと親子に見えなかったというのもありますが(苦笑)。なんだかあの今井さんが影が薄く感じられてしまってちょっと残念でした。
ゾフィー@杜けあきさん
えぇっと…前回見たときにあまりにも弱々しいゾフィーでビックリした記憶があるのですが…今回もゾフィーの強さが見えてこなかったのが残念です。厳格な母親っていう雰囲気は出てるんですが、声の出し方とか弱いんですよね。たぶん、この役が杜さんに合っていないんじゃないのかなぁと思うんですが…どうなんでしょう。
ルキーニ@髙嶋政宏さん
えぇっと…すみません、飽きました(爆)。あの独特のセリフ回し、歌い方、嶋ルキーニそのものです。良いか悪いかっていうよりも…個人的に食傷気味でして…。なぜ東宝初演からずっとシングルキャストなんだろう。違う人のルキーニがものすごく見てみたいです…それがどんな形になるにせよ。
岸エルマーと谷口シュテファンは革命家として熱く見応えありました。谷口さんはやっぱり遠目から見ると愛之助さんを若い感じにしたように見えるww。目元が似てるんだよなぁ。
ところどころ辛口感想になってスミマセン。人格否定するとかそういうつもりはありませんのでご容赦を。次回はいよいよマテのトートです。どんな感じなのか楽しみ。