4週にわたって放送されてきた青春アドベンチャー『ハプスブルクの宝剣』がついに最終回を迎えてしまいました。
舞台演劇が中止されていくなか、多くの舞台俳優さんが出演していたこのラジオドラマはある種、心の救いとなっていたので・・・終わってしまったことは非常に寂しいです。全編通して熱演してくれたあっきーのエドゥアルト(エリヤーフー)、本当に素晴らしかった。歌はいつ見ても完璧な彼ですが、声だけのお芝居も臨場感あふれていて毎回ドキドキしながら聴いてました。
野々すみ花さんや、万里生くん、栗原さん、大山くん、そして和樹くん・・・ラジオの中だけでも会えてよかった。特に青春アドベンチャー初出演だった万里生くんと和樹くん、すごく良かったよ!やっぱり舞台俳優さんは万能な人が多いんだなぁと改めて感動。特に和樹くんのフリードリヒは惚れたww。野々さんや栗さん、大山くんも素晴らしかったです。
※ハプスブルクの宝剣感想レポ
以下、ネタバレありなラジオドラマの感想です。
青春アドベンチャー『ハプスブルクの宝剣』第19回~20回(最終回)
第19回 ダビデの星
2020年4月02日(木) 21時15分~21時30分 NHK-FMラジオにて放送
原作:藤本ひとみ 脚色:並木陽
出演:中川晃教、野々すみ花、田代万里生、磯部勉、伶美うらら、ほか
アーデルハイトはテレーゼに「エリヤーフー・ロートシルトはユダヤ人ではありません」と衝撃告白。彼女曰く・・・”エリヤーフー”すなわち今のエドゥアルトは実は「カロリーネの不義の息子」だったと!!えーーー!!あの、息子の死に衝撃受けすぎて狂気に走った恐ろしい母ちゃんの子供だったってこと!???こりゃびっくりだ。
テレーゼはにわかには信じられないとして「どうやって知ったのか」とアーデルハイトを詰問。そこは私も非常に気になるところです。
アーデルハイトの主人であるカロリーネが没落したことで過去の愚痴を言い始めたらしく、そのさなかに「あの子を始末するのではなかった」と口走ったらしい。なんと彼女、若い頃の火遊びで夫以外の男との間に息子をもうけていたという。その子が生まれたのは、ユダヤ人居住区が大火事に見舞われた日と同じだったことから、アーデルハイトは「エリヤーフーが彼女の息子だ」と直感したと。
エリヤーフーは火事の日に引き取られたとされていましたが、その真相は・・・産婆が森に埋めて不義の子を始末しようとしていた時に、流産したばかりのユダヤ女が引き取り・・・彼女は居住区の火事に巻き込まれ行方不明、赤子だけが残されていたということだった。ややこしや・・・(汗)。
アーデルハイトはその赤子こそエリヤーフーだと信じているという。今となっては彼が何人でも構わないけれど、ユダヤ人であることに苦しんでいる時に真実を話しておけばよかったと後悔していた。
しかし、テレーゼはエドゥアルトがユダヤ人ではないという事実を知って心の中で歓喜の声を上げていた。あくまでも彼女はハプスブルクの人間で、人種に拘る性格は変えられなかったようです(苦笑)。なおさらアーデルハイトへの嫉妬心を募らせたようで、戴冠式が終わった後に彼に会わせないよう遠くへ追いやろうと画策していました。いや、あーた、フランツはどうすんの(苦笑)。
その頃、ユダヤ人居住区を訪れていたエドゥアルトは新しいラビに「シオンへの帰還と新国家設立」について熱く語っていた。今後の人生をユダヤ人のための国造りに捧げたいと語るエドゥアルトの言葉を彼は快く受け入れてくれた。
まずはユダヤ人代表として皆に会ってほしいと告げられたエドゥアルトは、喜んでそれに応じようと決意。もう彼の中にはユダヤ人である自分を否定する気持ちは消えたようです。しかし、そのためには一人・・・伝えておかなければならない人物がいました。フランツの意見だけは尊重したかったのです。
フランツはエドゥアルトの元を訪れ、傷ついたままの目を晒していた彼にダビデの紋章が刻まれた新しい眼帯を贈る。エドゥアルトはそのことでフランツの立場が悪くなってしまうのではと気にかけますが、当の本人は「私は神聖ローマ皇帝になるのだから、誰も私に逆らえない。この世のあらゆる人間に君を認めさせてみせる!」とにこやかに語る。
いや~~、もう、ほんと、フランツが聖人君主にしか思えませんね。っていうか・・・エドゥアルトのことが好きすぎるでしょう!!こんな良い人、ほかにいないよ。フランツの熱い友情に感動したエドゥアルトはその想いに感動して涙を流します。
しばらくして、エドゥアルトはテレーゼからの呼び出しを受ける。カロリーネの使いの者から話を聞いたと知り、決闘で人を殺してしまった過去が知れてしまったのではないかと彼の心に緊張が走る。
ところが、対面したテレーゼは殊の外機嫌が良くエドゥアルトは思わず身構えてしまう。しかし彼女はにこやかに、2つの事実を知ったと語りだす。1つはエドゥアルトがすでに死んだことにされていたこと、そしてもう1つは・・・エドゥアルトが本当はユダヤ人ではないことだと。
全く事態が飲み込めずに呆然とするエドゥアルトでしたが、テレーゼにとっては心置きなく彼を愛せるという喜びでテンションが上がりまくっていてw、帝国伯爵の位では飽き足らずさらに上の侯爵の地位をエディに与えると告げる。あんなに渋ってたのにねぇw。人種が変わったというだけでこれだけ対応に違いを出すとは(苦笑)。
それ以外にも次々とエドゥアルトに対して褒章を約束しまくるテレーゼは、熱烈な愛の告白をしてくる。いや~~、怖い女だなぁ。フランツはどうすんの!!
さらにオイゲンが遺したハプスブルクの宝剣の一部で作られた眼帯をエドゥアルトに差し出したテレーゼでしたが、彼はそれを受取ろうとせず静かに「私はユダヤ人です…」と告げる。彼が自分の言うことを信じてないと感じたテレーゼは、アーデルハイトから聞いた話を興奮気味にエドゥアルトに伝え改めて「あなたはドイツ人です、ユダヤ人ではないわ」と迫る。
そんな彼女に、エドゥアルトはユダヤ人として長い間苦しんできたことを切々と語り、「ここまでユダヤの運命を生きた私が、なぜドイツ人であり得るのです!?」と語気を強める。
「ドイツ人が私を捨て、ユダヤ人が引き取ったその時から、私の生はユダヤの星の上に定められたのです。あなたが帝国に誇りを持っているように、私はユダヤに誇りを持ちます!」
自分はドイツ人としてではなく、これまで通りユダヤ人として同胞のために生きると彼女に宣言するエドゥアルト。あんなにユダヤ人である自分を嫌悪していたのが嘘のよう…!ついにユダヤ人として誇りを持って生きる境地に達することができたんだなぁと思うと感慨深いものがありました。
それでも自分を愛するのかと問うエドゥアルトに、テレーゼはただ涙を流すしかない。「あなたが本当に愛しているのは、フランツでしょう?」と告げた後、もう二度と会うつもりはないと言い残しエディはテレーゼと決別する。彼女への未練は彼にはもうありませんでした。
第20回(最終回)再生
2020年4月03日(金) 21時15分~21時30分 NHK-FMラジオにて放送
原作:藤本ひとみ 脚色:並木陽
出演:中川晃教、野々すみ花、田代万里生、毬谷友子、伶美うらら、西原誠吾、ほか
1745年10月、神聖ローマ帝国皇帝として即位するフランツの戴冠式の日が訪れる。戴冠式直前にはエドゥアルトに緊張しまくって眠れなかったと不安を口にするフランツw。そんな人間らしいところも微笑ましくて好き。
フランツはエディに「新しい眼帯が良く似合っている」とほほ笑みかけますが、彼としてはダビデの星の紋章に誰も気づいてくれないことがちょっと不満のようです。
戴冠式の儀式は順調に進んでいきますが、行進の段階になるとフランツは自分の衣装の重さにかなり辟易とした様子。「それが帝国の重さだ」とエディは励ましますが、どうにも寝不足がたたって動きづらいらしいw。そんな時、彼のもとにテレーゼと息子のヨーゼフがやって来る。息子の姿を見てようやく元気が出るところがまた可愛いじゃないか(笑)。
続いてテレーゼもやって来るのですが、エドゥアルトがダビデの星の紋章がついた眼帯をしているのを見て衝撃のあまり卒倒しそうになる。その声に周囲も驚き、「ユダヤ人がなぜここに!?」と騒ぎになってしまう。しかし、もうその声で動揺するエドゥアルトではない。
いよいよ行進の時がやって来て、フランツはエドゥアルトに先導を任せる。「ユダヤ人を傍に置いて破門されたら君は地獄落ちだ」と笑うエディに対し、「そうなれば君も同罪だ!一緒に地獄に落ちよう」とニンマリする。その時はユダヤに改宗する手もあるぞと告げられますがそこにはまだ踏み切れないみたいw。もうこの二人のイチャイチャっぷり・・・恋人と呼んでもいいんじゃないかww!?
とその時、「エリヤーフー!!」と叫ぶ女性の声が聞こえてくる。その声の主がアーデルハイトだと悟ったエドゥアルトは先導をジャカンに任せて隊列を離れようとする。そんな彼に対しフランツは「君は友人より女を取るのか?」とちょっと拗ねてしまいますが、「性別ではなくて時間の問題だ」と告げてエドゥアルトはその場を一目散に離れ彼女の元へ走っていってしまったw。
フランツとエディは恋人みたいだぞ!?と書いた矢先にこういう展開になるとは(笑)。エドゥアルト・・・いや、エリヤーフーは最終的にはアーデルハイトのことを一番愛していたってことなのかね。それと同時に、テレーゼの目論見もご破算となってしまいましたw。
「今なら自分の力を信じられる!アーデルハイト!!君の望むことを何でも叶えてやれる…!!」
人混みの中からアーデルハイトを見つけ出したエリヤーフーは、涙ぐむ彼女をきつく抱きしめる。そして、彼女がまだ独り身だと知るとすぐに「では、ユダヤ人と結婚しよう!」と即プロポーズww。色々と行動が早いな(笑)。
喜んでその申し出を受けようとするアーデルハイトでしたが、その前に自分が今カロリーネと一緒にいることを告白する。彼女と会ってほしいというアーデルハイトの申し出を受け、エリィはカロリーネと会う覚悟を決める。
エリヤーフーはカロリーネの夫と息子を殺してしまった罪の清算がまだ終わっていないことを改めて肝に銘じ、償いを果たしたうえで「エドゥアルト」と「エリヤーフー」を一人の人間に戻すことを心に誓う。
エリヤーフーの前に現れたカロリーネは鋭い視線を彼に送ってくる。彼女のエリヤーフーに対する恨みは未だに消えておらず、激しい口調で彼を詰りまくる。その言葉を甘んじて受けたエリィは、話したいことがあると丁重に申し出た。
しかし、カロリーネの恨み辛みは沼よりも深いようで…エリヤーフーに銃口を向けてきた!!戴冠式のさなか、町中にその銃声が響き渡ったことで急ぎ箝口令が引かれる…。ジャカンは金で全てをなかったことにし、フランツはエドゥアルトを気にかけながらも式を進めるしかなかった…。
まさか、幸せ直前のエリヤーフーにこんな恐ろしい悲劇が襲い掛かるとは思わなかったのでビックリしました(汗)。カロリーネ夫人の狂気、舐めてかかっちゃいけなかったね。というか、彼女はまた自分の息子を殺害しようとしたことになったわけか…
エリヤーフーにはテレーゼの指示で医者が付き必死の治療が続いているようで、式典を終えたフランツもすぐさま駆けつけてきた。エリヤーフーは予断を許さない状態と聞いてフランツはとてつもない不安に襲われてしまう。
傍にいたアーデルハイトの証言によると、エリヤーフーは両腕を開いて無抵抗のまま銃弾に倒れたのだという。彼女は「カロリーネの言葉を受け入れようとしたのだろう」と察していたようです。つまり彼は、銃弾を受けることが過去の罪の償いだと咄嗟に思ったんでしょうね…。それを受けて初めて一人の人間「エリヤーフー」として再生できるのだと…。
フランツは何としてもエリヤーフーの命を助けるようにと訴える。不安に押しつぶされそうになる彼をジャカンが優しく支えていました。こういう時彼の存在は救いになりますね。
その頃テレーゼも涙ながらにエドゥアルトの無事を祈っている。そんなとき、息子のヨーゼフから「エドゥアルトは気味の悪いユダヤ人の仲間だったのでしょう?」と聞かれ思わず泣き崩れてしまったテレーゼ…。
将来の皇帝となる息子の問いに、テレーゼは「知らないから気味悪く思えるだけで、よく知り合えばそんなこともなくなるかもしれない」と答える。
「自分の目で見て、自分の肌で感じて、自分の頭で判断することが大切なのです」
自分の時代は古くからの慣習に縛られることばかりだったけど、ヨーゼフが皇帝になるころにはそういう考えは捨てなければならないと説きます。あんなにユダヤ人を嫌悪しまくっていたテレーゼがこんな心境に到達するとは!!これはちょっと驚きです。それほどエドゥアルトへの想いが強かったということですかねぇ。
母の言葉を聞いたヨーゼフは「私はユダヤ人が嫌いではありません」と語る。そんな彼に「賢い皇帝におなりなさい」とテレーゼは優しく諭すのでした。
「ねぇ、お母様、エドゥアルトが助かるといいですね」
という幼いヨーゼフの言葉で、『ハプスブルクの宝剣』は幕を閉じました・・・って、えーーーー!!!エドゥアルト・・・否、エリヤーフーはどうなっちゃったの!????そこは聴いている人の想像に任せるってことなのか!???うーーーわーーーー(苦笑)。
まぁ、エリヤーフーは架空の人物ですから、こういう終わり方もありかもしれませんね。でもやっぱり気になるけどww。たぶんエリヤーフーはまた命を繋いでユダヤ人の国造りに邁進していくんだと思います。
この2週間、楽しい夜を過ごしました。ラジオドラマにかかわった皆さん、ありがとうございました。
しばらく舞台も観に行けない…。感想も書けないなぁ…。さみしい。