劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』京都公演 2019.11.06ソワレ

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』を観に京都まで遠征してきました。京都でノートルダムが見られるのは2度目。最初の公演期は数回通いましたが、今回は今のところこの日のみの観劇予定になってます(増える可能性はありw)。

前回ノートルダムを観たのが2018年5月の横浜公演だったので、あれから約1年半ぶり。最近は四季を観に行く機会がめっきり減りましたが、やはりこれだけは1度は押さえておきたいと思える大好きな作品です。

開演前にはリハーサル見学イベントに参加。これがめっちゃおもろくてww、果たしてノートルダムの世界観に戻れるかとちょっと心配になったくらいだった(笑)。

※リハ見レポはこちら↓

物販は意外と落ち着いてましたが(2度目の京都公演が始まってからもうだいぶ時間も経ってるからかな)、私は今回初なので新たにパンフレットと新デザインのクリアファイルをお買い上げしてきました。


♪世界の頂上で♪のナンバーをイメージしたデザインがなかなか素敵!

で、パンフレットを改めて見てみたら…メインキャストメンバーがかなり増えてて少しびっくりしました。
カジモド役候補には寺元健一郎くんが、クロパン役候補には百々義則さんがいるではないですか。特に寺元カジにはぜひ一度会ってみたい!キャスティングされたら前予で行っちゃうかも(取れたらだけどw)。


来るたび思うけど、夜の京都タワーは幻想的な明かりがとても美しいです。

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』これまでの感想一覧

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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2019.11.06ソワレ公演 in 京都劇場(京都)

主なキャスト

  • カジモド:飯田達郎
  • エスメラルダ:宮田愛
  • フロロー:川口竜也
  • フィーバス:清水大星
  • クロパン:吉賀陶馬ワイス

前回の横浜公演で注目した塚田拓也くんもキャスティングされてて嬉しい。

リハ後のトークが可愛かった佐瀬くんも探したのですが、みんな同じような姿かたちなので「この役かな」っていう確信が持てず残念(苦笑)。あとから調べてみたら、聖アフロディージアス役をやってたらしい。次に出てきたときにはもう一度よく見てみよう。

さらにクワイヤメンバーのなかに早水小夜子さんが入っているのも「おおっ」と思いました。河村彩さんとWカルロッタな歌声が聴けるとは何とも贅沢!
あと、リハ見イベント後のコーナーでめっちゃ面白かった見付さんも今回は思わず探しちゃったw。ちょうど柱で見えなくなるぎりぎりのところで発見できてよかったw。

そして何と言っても今回一番楽しみにしていたのが川口竜也さんのフロローです!配役されたと知った時から何としても一度は会いたいと思ってた!!川口フロローについては後ほど触れたいと思います。

概要・あらすじ

今までのノートルダム感想記事を見直してみたら一度もこの作品の概要やあらすじなどに触れていなかったので(汗)今回改めてちょこっと付け足しておきたいと思います。

原作は1831年に発表された小説『Notre-Dame de Paris』、作者は『レ・ミゼラブル』で有名なビクトル・ユゴーです。

海外でいくつか映画化もされていますが、一番記憶に新しく残っているのは1997年にディズニーアニメ映画として公開された『ノートルダムの鐘』だと思います。日本語吹き替え版では劇団四季の役者が参加していたことでも大きな話題を呼びました。
この当時カジモドを演じていたのが石丸幹二さん。その中で歌われた♪僕の願い♪は見事な歌いっぷりで今聴いても胸が熱くなります。ちなみにエスメラルダを演じてたのは、当時四季で石丸さんとコンビを組むことが多かった保坂知寿さんでした。

そののち、1998年にフランスのパリでミュージカル『Notre-Dame de Paris』が製作され大ヒット。日本にも2013年に来日公演を行っています。フレンチミュージカルの人気に火をつけた作品とも呼ばれていて、当時私も行きたかったのですが都合がつかずあきらめてしまったことが悔やまれます。
ちなみに、このフランス版はディズニー映画とは一線を画しているのでストーリーや楽曲もだいぶ違います。

一方、ディズニーは映画と同じく作曲にアラン・メンケン作詞にスティーヴン・シュワルツの布陣でミュージカルを製作し、2014年にアメリカで上演されました(ブロードウェイには行ってないとか)。
劇団四季で2016年から上演されているのはこちらのディズニー版ミュージカルです。2019年現在、この作品を上演しているのは日本のみだそうです。

簡単なあらすじは以下の通り。

15世紀末のパリ。街の中心に存在するノートルダム大聖堂の鐘突き塔には、カジモドという名の鐘突きが住んでいた。

幼き時に聖堂の聖職者フロローに引き取られた彼は、その容貌から、この塔に閉じ込められ、外の世界と隔離されていた。

塔上から街を眺めて暮らす日々。友と言えば、何故か彼を前にした時に生命を宿す石像(ガーゴイル)と、鐘だけ。いつも自由になることを夢見ていた。

今年も、年に一度の“らんちき祭り”の日がやってきた。
大いに盛り上がる人々の様子に堪えることができなくなったカジモドは、ガーゴイルたちにそそのかされ、塔を抜け出した。美しきジプシーの踊り子エスメラルダと出会う。

折しも、最も醜い仮装をした者を決めるコンテストが始まったところ。自分が持っているものを活かすべきと言うエスメラルダに手を引かれ、カジモドはステージに上がる。

その容貌が仮装ではないと知った聴衆は、残酷なまでに嘲りの言葉を浴びせ、彼を捕えようとする。エスメラルダは咄嗟にかばう。

大聖堂へ戻ったカジモド。彼を大衆の面前にさらしてしまったことの責任を感じたエスメラルダも、後を追う。
差別の情なく、誠実で優しい言葉をかけるエスメラルダ。カジモドにとっては生まれて初めての経験。彼女へ愛を抱くことは必然だった。

公式HPより一部抜粋

ディズニーのアニメ映画と楽曲も重なりますし、登場人物の設定もだいたい同じなので馴染みやすいとは思いますが、フロローの設定と後半のストーリー展開はだいぶ違っています。印象としては、前半はアニメ映画寄り、後半は原作小説寄りといった感じになるかと思います。

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全体感想(1幕)

 はじめに

開演前に見たリハ見イベントがとても楽しかったので、うまくストーリーの世界観に入れるかちょっと不安もあったのですがw、それは全くの杞憂に終わりました。久しぶりに見た『ノートルダム~』は以前見たときよりもさらにパワーアップして進化しており、要所要所で号泣してしまったほど。特にラストシーンは涙が止まりませんでした。

その一番大きな要因となったのは個人的には川口竜也さんのフロローでしたね。四季の俳優ではない川口さんの存在が舞台全体にこれまでとは違う新しい風を運んできたように感じました。後々触れていきますが、本当に素晴らしかったです。

以下、印象に残ったシーンについて振り返ってみたいと思います。

 プロローグ

オープニングのクワイヤが歌う♪OLIM♪がとても荘厳で美しい。久々に聴いたけど、まるで教会にいるような気持になります。
そして”演じ手”による語りで物語の幕が開く。ストーリーが進んでいくと忘れがちになりますが、この作品は実は劇中劇(実際は会衆劇と呼んでいるようです)なんですよね。このことがラストに非常に味わい深く心に突き刺さってくるわけで、改めてすごい作品だよなぁと思いました。

それにしても、フロローの弟のジェアンは「美少年」と歌われてますが・・・毎回思うんだけど、どっちかというとワイルド系だよね(笑)。今回ジェアンを演じてた松下湧貴くんもヤンチャなワイルド青年っていう印象だった。
ジェアンの恋人ジプシーのフロリカはカジモドの母になる人物ですが、登場した時にはちょっと娼婦のようなイメージなので、ジェアンと逃避行をしたあとはどんな女性になっていったのだろうというのは今回も気になりました。

川口フロロー、ジェアンの臨終に立ち会う時、ほんとに泣いてる感じなのがすごい感動的だった。弟を追い出す形になってしまったことを心の底では悔やんでたんだろうなっていうのがリアルに伝わってきて泣けました。
さらに、カジモドを一度引き取ることを放棄しようとしたときの表情もすごく刺さったよ…。心の中の葛藤が手に取るように分かった。フロローのドラマがこの時点からとにかく濃厚でした。

オープニングの最後に「カジモド役の青年」が現れてカジモドへと変化する場面は何度見てもこみあげてきてしまいますね。ここの演出が本当に素晴らしい。

 陽ざしの中へ

カジモドが石造のガーゴイルたちと語る場面、達郎くんのカジモド、ちょっと以前とまたしゃべり方変えたかな。ガーゴイルといるときだけはカジモドは”本当の自分”でいられるのですが、今回見たら前回の時よりもさらに普通の青年らしい声で接してました。
虚構の世界と、現実世界との演じ分けがさらに分かりやすくなっていたと思います。

川口フロローはカジモドに対して特に厳しく接しているなぁと思いました。芝さんも野中さんも少し柔らかい部分が見え隠れしてたように見えましたが、川口さんはカジモドの前では殆ど感情を出さず硬い表情のままだったのがとても印象的だった。
それだけに、達郎カジはフロローに対して今まで以上に怯えている雰囲気がありましたね。この人には絶対に逆らっちゃいけないという意識を見事に植え付けられている感じ。でも、イチゴの食べ方を注意された時の仕草はめっちゃ可愛かったw。

下界で行われる道化の祭りへの憧れを募らせながら歌う♪陽ざしの中へ♪は何度聴いても感動する場面ですが、達郎カジはこのナンバーの時、本当に可愛らしい屈託のない表情をしているのでそれを見るだけで涙があふれて仕方なかった。声の伸び方も以前より安定していたし、グイグイ胸に迫る歌いっぷりがとてもよかったです。

トプシー・ターヴィー

このシーンは『ノートルダム~』のなかで唯一といってもいいくらいの楽しめるところ。ワイスさんのクロパンの登場の仕方もカッコいい。ナンバーも明るくノリがいいです。
にぎやかな街の様子を、こっそり下界に降りてきたカジモドがドキドキしながら顔を隠しつつ探索する姿も可愛いんですよね。達郎カジは特にふにゃっとした笑顔がとても魅力的なのでほっこりしてしまいましたw。

この街中での人間模様、アンサンブルさんたちはいろんな役になってるわけですが、その切り替え(着替え)は客席から見える位置で行っているんです。その裏側をあえて見せることで、「この作品は会衆劇」ということを意識させてるのかなって思います(ほかのシーンも同様)。

そして運命のジプシーの女性・エスメラルダが登場するのですが…タンバリンの場面は何度見ても本当にかっこいいです!!スマートでキレのあるダンスと、あの魅惑のほほえみ。
それを目撃してしまった男3人(カジモド、フィーバス、フロロー)が一斉に「あれは誰だ!?」と歌う場面が個人的にすごく好き。その後、この3人はエスメラルダをめぐって全く違う運命に翻弄されますからね。あらためて罪な女性だなって思いますw。

道化の王様にカジモドが選ばれた後群衆から暴行にあう場面がありますが、今回初めてカジモドの頬にトマトが直撃した跡が残るのを目撃しました。あんなにくっきりと顔に赤い跡が残ってたのか!今まで気づかなかった(汗)。
めっちゃ祭りを楽しんでたカジモドが、その姿かたちのせいで一転して群衆から敵視されてしまう場面は何度見ても切ないです。まさに天国から地獄。そんな彼に唯一優しく接してくれたのがエスメラルダだったわけで…そりゃ、恋に落ちるのは必然だよなって思います。

そして一番印象的だったのはフロローがエスメラルダから投げ入れられた赤いスカーフを拾うシーン。それぞれ拾い方に個性が出る場面でもありますが、川口さんは他人に気づかれないようにビクビクしながらササっとさらっていくような感じでした。フロローの心の乱れが手に取るように伝わってきて非常に印象深かったです。

神よ 弱き者を救いたまえ

群衆から逃げるようにノートルダム聖堂へ戻ったカジモドを追いかけてエスメラルダも中に入ることになります。一瞬その姿を目撃した川口フロローがハッとした表情を浮かべて動揺してました。赤いスカーフを拾ってしまってから彼女のことが頭に住み着いてしまったことがリアルに感じ取れた。なんか、見てると川口フロローのことがなぜかすごく愛しくなってくる…。

エスメラルダはそんなフロローの心の動揺を全く知らないわけで、それが後々悲劇につながってしまうんですよねぇ…。さらに「あなたのしてほしいことを、人にもしてあげるべき」と偶然キリスト教と同じ教えを口にしてしまうことも結果的に悲劇の扉を開けちゃったことになるわけで…。

特に信心深いフロローは、エスメラルダがキリストと同じ言葉を語ったことに感動して勝手に運命を感じてしまうんです。もしこの時エスメラルダがその言葉を告げなければって思っちゃうよなぁ。
ミサが始まる音楽が流れてきたとき、フロローはエスメラルダに留まるように告げ立ち去りますが、この時の川口フロローの人間らしさみたいな部分が浮き彫りになる芝居がものすごく新鮮でした。あんなに動揺を見せたフロロー、初めて。こういうフロローを見たかったんだ!ってこの時確信しました。

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世界の頂上で

大聖堂で祈りをささげたエスメラルダはフィーバスと出会い軽くジャブを交わしますが、この時彼女はまだフィーバスから心を寄せられたことを知りません。でも、「汚いジプシー」と自分のことを蔑んだことに対してフィーバスから「自分で言ったんだぞ、僕じゃない!」と返されたときにエスメラルダの中で小さな想いが芽生えたのを感じました。このシーンは特に印象深い。

その後、カジモドの姿を確認したエスメラルダが彼のもとを訪れる場面。初めて想いを寄せた人がやってくることでオタオタするカジの姿はとても愛らしい。特に、柵の端っこのほうに怯えてうずくまってる達郎カジはけっこう萌えます(笑)。

カジモドはエスメラルダと会話を重ねていくうちに自分の心を開いていきますが、彼女が自分のほうを向いてくれるのが嬉しくて徐々にテンションが上がってく達郎カジがひたすら可愛くて愛しかったです。
それだけに、♪世界の頂上で♪のナンバーは愛と喜びに満ちていてものすごく泣けるんですよね(涙)。二人で向かい合いながら最後歌い上げる場面は特にグッとくるものがあります。音楽もとても感動的。

でもカジモドがテンション上がって鐘を鳴らしすぎちゃったせいで、フロローがやってきて一気に緊張感あふれた空気になってしまう皮肉。カジモドを叱りつけている途中でフロローはエスメラルダに気が付くわけですが、彼女を見た瞬間にめちゃめちゃ動揺してて・・・川口さんの芝居がもう、ますます愛しくなってしまったよ~~。心臓の音が伝わってきそうだった。

さらに、エスメラルダの前では取り繕ってちょっとカッコつけようとしてカジの父親面になるのも面白かった。ものすごく人間的でかなり私好みの芝居です。

カジモドをその場から立ち去らせた後、フロローはエスメラルダと会話をするうちに「一緒になりたい」という潜在的な意識に囚われていくことになる。でも本人には全くその自覚がなくて「善意で」エスメラルダを良き道へ導いているって信じちゃってて…これがもう、大きな悲劇の入り口なんですよね。
エスメラルダとしては、フロローが「男」の目線で自分を欲していることに勘づいて激しく拒絶をするわけで…、自分の「善意」が踏みにじられたと感じたフロローはその怒りを彼女にぶつけて追い出してしまう。このすれ違いが何とも悲しい…。

酒場の歌

カジモドには「エスメラルダのことを思い出してはいけない」と厳しく言い含めていたフロロー。彼を諫めている言葉は全部フロロー自身の心の弱さだったりするわけですが…、本人はそのことに気が付いてないんですよね。純粋にエスメラルダに淡い想いを抱いていたカジモドにとってはいい迷惑といったところ(苦笑)。

それにしても、「お前の父親のようになってはいけない!!」とフロローがカジモドに迫るシーンは声を枯らすほどのものすごい迫力で怖かったなぁ。達郎カジ、本気で怯えてたし。でも、父親のことを言われた瞬間に何かを叩くような仕草をする達郎カジは可愛かったw。父であるジェアンの悪口をずっと刷り込まれてきたんだろうなというのが伝わります(気の毒なジェアン 苦笑)。

ところが、カジモドと「二度とエスメラルダのことは思い出さない」と約束したはずのフロローでしたがその口の音も乾かないうちに彼女を求めていかがわしいバーへ足を踏み入れてしまう。このブレまくったフロローには呆れるところではあるんだけど、でもなんか、川口フロローはそう行動してしまうことに説得力がすごくあったのでただただ痛々しかったです。
それにしても、毎回思うのですが・・・ミュージカルだとなぜフロローがエスメラルダの居場所を嗅ぎつけたのか謎w。作品を細かくチェックしていけばその理由もわかるんでしょうけど(私はまだ知らないww)。

男性と艶っぽいダンスを踊るエスメラルダを隠れて上のほうから見つめてるフロロー。この、頭ではいけないことだと分かっているのに、どうしてもそれを上回る欲望を抑えることができないといったジレンマがすごく人間的だなぁと。特に川口フロローは葛藤しながらも欲望に自分が飲み込まれて「目を逸らすことができない」と歌う歌詞の説得力が半端なかったです。
その後フィーバスが現れてなかば強引にエスメラルダにキスをするのですが、この時のフロローの雷に打たれたかのような衝撃は計り知れない。川口フロローの動揺っぷりがすごかった。

突然フィーバスから熱いキスをされたエスメラルダでしたが、彼から逃げるように去った後電灯の明かりの下でまんざらではない表情をみせる。この時の宮田エスメがとても艶っぽくてドキッとしました。川口フロローが見たら逆上して何されるかわからないよっておもったくらいw。

天国の光・地獄の炎

そのころカジモドは大聖堂の上からエスメラルダの姿を探してはため息をついている。彼もエスメラルダのことをどうしても忘れることができないわけですが、こちらの場合はもっと純粋な想いなので見ていてほっこりします。
ガーゴイルたちと語らいながら、エスメラルダへのほのかな恋心がどんどん育っていくカジモドはなんとも可愛らしく愛しい。彼女を想いながら夢見る表情で歌う達郎カジがとても印象的でよかった。

一方のフロローは聖堂で一人神と向かい合い歌うのですが、入ってきたときから心の動揺が感じられるお芝居は今回初めて見ました。エスメラルダから拒絶されたことがさらにフロローの心をかき乱しているということがものすごくリアルに伝わってくる。

そして、最初は冷静に歌っていたのが次第に熱を帯びて狂気へと変わってくわけですが、川口フロローの演じた狂気はなんだか見ていてとても痛々しい。これまで見てきたフロローの印象はエスメラルダへの想いを正当化させて自分が神聖な存在であるということを主張するといった路線が強かったのですが、川口さんの場合は自分を正当化させつつも心の中がブレまくって自分を保つことができなくなってて神に向かって救いを求めているかのように見えたんですよね…。
歌のクライマックスでは鬼気迫る表情でエスメラルダに対する異常な想いを叫ぶわけですが、川口フロローはそれと同時にどうにも理解できない自分の内面に押しつぶされそうになるのを必死に奮い立たせているかのようだった。

最後のところはあまりにも鬼気迫りすぎて声が一瞬途切れてしまうこともありましたが、それすら逆にフロローの壊れていく様子をリアルに表現しているように思えて心が震えました。

誰よりも信心深く厳格に生きてきながら、生身の人間と血の通った関係を築いたことがなく「本当の愛」の存在を知らないフロローの悲劇を、川口さんはものすごく繊細に演じているなぁとこのシーンを見て思いました。それだけに、とても愛しくも悲しく感じてしまったのです。

エスメラルダ

フロローのエスメラルダへの歪んだ想いはとうとう「逮捕」という無慈悲な行動へと走らせる。

この1幕ラストのシーンはちょうどこの日のリハ見イベントでやってたところだったので、いつも以上に力を入れて見ました。いや~~・・・当たり前のことですが、リハーサルの時と本番の時とではキャストの熱量が全然違う!!ドラマの世界観に入り込んで演じることで、こんなにも深みを増していくものなのかと改めて感動しました。

売春宿にエスメラルダが隠れていると察したフロローは部下のフィーバスに向かって焼き払ってでも彼女をあぶりだそうとします。まさに執念…。しかし、これまで忠実に命令に従ってきたはずのフィーバスは炎を見つめながら「それが正しくない行為」であることを自覚して命令に背く。
命令に従わなかったことに逆上するフロローに対し、それにも動じず凛とした態度を貫くフィーバスはとてもカッコいいです。

そのあとリハーサルでも念入りに確認していた戦闘シーンが出てきますが、リハの雰囲気とは全く違う迫力で思わず「おおっ!!」と心の中で感嘆の声を上げてしまいました。あんなに慎重に確認していたことが、こういう風な形となって表れてくるんだなと、これまでにない感動がありました。リハ見イベント参加して正解だったな。

さらにフィーバスの代わりに火をつけたフロローのせいで街が混乱に陥る1幕ラスト、その様子を大聖堂の上から見て動揺するカジモドがいるわけですが、リハの時にはちょっと達郎くん、歌声が不安定で心配だったんですよね。
それがこの時はそれが嘘のように伸びのある鬼気迫る歌声になってて・・・やっぱりプロはすごいなと感動してしまいました。

あまりにも分厚い歌声とドラマに、1幕最後のところは涙が自然と溢れていました。特に鐘が下りてきてカジモドが打ち鳴らそうとするラストはグッとくるものがあります。

2幕感想は次のページにて。

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