劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』 京都公演 2017.09.28千穐楽

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』京都公演が9月28日(木)に千秋楽を迎えました。

このパネルの写真を毎回撮ってきましたが、千穐楽という事もありこの日は行列ができていてたどり着くまでに一番時間がかかりました(笑)。

京都公演に通った回数…4回。東京公演の頃から通算すると全部で7回通ったことになります。厳しいチケット戦線でしたが😅、その甲斐は十分すぎるほどありました。

実は今回京都の楽公演を観る前日に東京で180度全く毛色の違う作品を観ていたので(笑)うまく切り替えができるかちょっと不安だったんですけど😅、劇場に入れば一気にノートルダムの気持ちに入れたので心配が杞憂に終わってよかったですw。

前日に見た作品↓

東でコメディ作品観て、西でシリアス作品を観る…といった超過密な観劇遠征でしたw。

京都公演の千穐楽という事もあり、物販コーナーも気合が入っておりました(笑)。

5000円以上かつ京都限定商品を購入すると非売品のノートルダムオリジナルバッジがもらえるといった企画を展開してて。なかなかシャレたバッジではあったのですが…私はもう京都限定グッズでほしいものは購入してしまっていたし、5000円は到底もう出せる金額ではなかったので😓視覚だけ楽しませてもらいましたw。結局どのくらい出たのかは謎のままw。

劇団四季公演で千穐楽の舞台を観るのは本当に久しぶり。今回楽公演に来ていたのはほぼ四季の会員(会員だけ先行抽選が行われたので)だったこともあり、始まる前はピーンと糸が張り詰めたような静寂と緊張感といった独特の雰囲気に包まれていてこれまで以上にドキドキしてしまいました。こういう感覚になるの、久し振りでちょっと嬉しかった☺。
関西でのノートルダム公演はおそらくこれでもう当分来ないと思うので、そういった意味でもなんだか特別な空気がありましたね。

劇団四季ミュージカル「ノートルダムの鐘」オリジナル・サウンドトラック
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劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』これまでの感想一覧

以下、場面ごとにネタバレ含んだ感想で振り返ってみたいと思います。

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2017.09.28 千穐楽公演 in 京都劇場(京都駅)

主なキャスト

  • カジモド:田中彰孝
  • エスメラルダ:宮田愛
  • フロロー:野中万寿夫
  • フィーバス:佐久間仁
  • クロパン:吉賀陶馬ワイス

千穐楽でついに田中カジモドと会うことができました!なんと京都公演ではバランスよく3人のカジモドを観ることができる幸運に恵まれました。東京では見れなかった達郎くんカジにも会えたのも良かったな😊。
エスメラルダ、フロロー、フィーバス、クロパンもそれぞれ違うキャストで観ることもできたし…京都公演観劇、悔いなしですホント。

以下、本当に超ネタバレになります。ご注意を!

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場面ごと感想

ノートルダムの鐘

この作品の特徴は「語り」によって進められることにあると思います。全員が見る者に向かって「役を演じる」ことで問いかけるといったような感じで劇中劇に近いかなと。なので、最初はみんなフードをかぶっているし、アンサンブルもその時々で客席に見えるように着替えをして色々な役柄に変わって見せる。
印象的なのが、カジモド役の青年が舞台中央奥から登場する場面です。綺麗な顔をした青年が客席の目の前で顔をゆがめフロロー(この役を演じる男性という設定だと思いますが)からカジモドの赤子として用いていたくるんだ布を装着してもらい「主人公・カジモド」へと変わっていく。最後に髪の毛をくしゃくしゃにして完成。そこには登場してきた青年とは全く別人の「カジモド」が存在しているのです。
最初にこの演出を見たときはとても衝撃を受けました。プロローグの最後を締めくくる鐘をフロローの合図とともにカジモドが力いっぱい鳴らすシーンは荘厳な音楽と共に圧倒される画力で心をわしづかみにされましたね。この物語はアニメ映画のそれとは違うんだろうなというのを感じさせるオープニングになっていると思います。

陽ざしの中へ

アニメ映画版でも大好きなナンバーでしたが、舞台版だとさらに言葉の深みが増してドラマチックになっていると思います。おそらく、カジモドが歌いだす前のフロローとのやりとりが映画とは違うからかもしれません。
映画版ではカジモドは完全にフロローの支配下にあってまるで奴隷のように見えてしまうのですが、舞台版では支配はされているけれどもそれはそれで二人はうまく均衡を保って生活してたんじゃないのかなっていうのを感じさせるんです。だけど、道化の祭へ行ってはいけないと制約され、さらに今回で終わりにするといったフロローの言葉にカジモドは酷くガッカリしてしまう。終わってしまう前にちょっとだけどうしても見に行きたいなっていう好奇心が外へ出ることに繋がっているのですが、フロローから逃れるという意味はあまりそこにはなかったのではないかと思いました。

カジモドが歌うこのナンバーには徐々に膨らんでいく外への憧れと興奮が手に取るように伝わってきます。どれだけ外の世界に憧れを持っていたんだろうなっていうのがひしひしと伝わってきて、観ているだけでどうしようもなくこちらの感情も膨らんで毎回涙していました。
3人の中で一番泣けたのは、京都で見た海宝カジモドだったかな。あの感情表現は本当に素晴らしかったです。今回見たあっきーカジも素晴らしい歌声でしたが、もう一つ感情の高ぶりが欲しかったなと少し思ってしまいました。

トプシー・ターヴィー

ジプシーたちが中心になって開かれる「道化の祭」。ここではクロパンの存在感がとても光っています。主催者として強烈な個性でみんなを盛り上げているのが観ていて楽しい。この作品の中で唯一といっていいほど、気楽に楽しく見れる場面だと思います。そういう意味では映画版と近い感じがしたかな。
でもエスメラルダの登場でドラマの歯車が一気に動き出す。タンバリンのリズムを歌い踊るエスメラルダは何度見てもカッコいいし思わず目を見張る魅力があります。カジモド、フィーバス、そしてフロローが一斉に「誰だ、あれは」と歌う場面が特に印象深い。カジモドとフィーバスは「まるで天使だ」と歌っているのに対してフロローだけが「まるで悪魔だ」と歌う。この時点でフロローの心の中にどうしようもない欲望が目を覚ましてしまうんですよね…。そういった意味では毎回「罪な女だなぁ、エスメラルダは」って思ってました(笑)。

楽しい道化の祭がカジモドの存在を知られることによって一気に変わっていく場面も印象深いです。エスメラルダに勧められて思わず「醜い王様コンテスト」に出て優勝してしまったカジモド。クロパンの機転で最初はすごく楽しい雰囲気だったのに、ひと段落すると町の人々はカジモドの醜い外見に嫌悪感を顕にして暴力的に変わってしまう。
このあたりは映画と同じ感じではあるのですが、人間の裏の顔みたいな部分をはっきり認識させるような感じは舞台の方が強烈だったかもしれません。痛めつけられた後、優勝した時にもらった王冠をフロローに渡そうとして拒絶され崩れ落ちるカジモドが不憫でたまりませんでした…。

サンクチュアリ

教会へ逃げ帰ったカジモドを追ってきたエスメラルダにフロローが動揺しながら話しかける場面。「悪魔だ」と歌いながらもこっそりとエスメラルダが投げた赤いスカーフを懐に忍ばせてしまうほど彼女に心奪われてしまっているフロロー。エスメラルダの姿を見つけた時のちょっと挙動不審っぽい動きは野中さんがすごくリアルで思わず「可愛い」と思ってしまった(笑)。フロローが味わう生まれて初めての感情というのが伝わるんですよね。
エスメラルダはこの時点ではフロローにそれほど強い嫌悪感を持っていないので、割かし素直に会話に応じています。が、彼女のある一言でフロローの気持ちにさらにスイッチが入ってしまう悲劇…。

「あなたがしてほしいと思うことを他の人にもしてあげればいいじゃない」

これはフロローが深く信仰するキリスト教の教えの一節と重なる。その言葉をジプシーと忌み嫌っていながらもなぜか心がざわつくエスメラルダに言われたことで、フロローは「彼女となら上手くやっていけそうだ」という勝手な妄想が膨らんでしまったんですよね。あの時もしエスメラルダがあの言葉を口にしなければ、あるいはあんな悲劇は起こらなかったかもしれないのにと、観るたびに思ってしまう場面でもありました…。
その後、エスメラルダに「一緒に住まないか」と切り出してしまったフロローは、その時点ではあまり「やましい下心」みたいな感情は認識していない。でも、体がその色を出してしまったことでエスメラルダから激しく拒絶され激しい憤りを覚えてしまいます。このくだりも見ていてすごく怖いなぁと思いました…。フロロー本人が自覚するかしないかの瀬戸際にいるような場面にも見えて、激しい感情の渦にいやがうえにも飲み込まれていく様が観ていてとても痛々しく切なかったですね。

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世界の頂上で

ちょっと場面前後しましたが、エスメラルダがカジモドを追いかけてきて二人で景色を眺めながら心を通わせていくこのナンバーはとても感動的でした。
エスメラルダに心惹かれながらも、自分の容姿を恥じてなかなか彼女と向かい合えないカジモドの怯えた気持ちが切ない。少しずつエスメラルダと会話を進めることができるようになりながらも、彼女の名前を呼ぶ勇気がなかなか持てないカジモド。そんな彼の心の扉を一生懸命開けようとしてくれるガーゴイルたちの励ましの歌声がとにかくすごく泣けました😢。
その声に押されるように思い切って

「エスメ・・・ラル・・・ダ」

と呼びかける場面。ここは3人のカジモドのなかで一番リアルに聞こえて胸突かれたのがあっきーカジでした。思い切って名前の一文字目を言ってみたものの、それを受け入れてくれるのか不安で仕方なくて「ダ」を言う時には消えそうになるような声になってる。そんな彼に優しく微笑んでくれたエスメラルダにホッとしたように「二人でいる」と一緒に歌う場面は涙が止まりませんでした😭。

酒場の歌

カジモドには厳しくエスメラルダの事を考えるなと言っておきながら、自分だけはこっそりと彼女の居場所を求めてさ迷い歩くフロロー。あんなに厳格だった人が、一人の女性が心に住み着いてしまったことでどうしようもない衝動に突き動かされてしまう恐ろしさと悲しさがなんとも見ていて胸に刺さる場面でした。
印象的なのは、同じくエスメラルダを探してやって来ていたフィーバスが彼女に強引にキスする現場をフロローが上から

「恥知らずなことだと思うのに目をそらす事ができない」

と身を乗り出しながら食い入るように見てしまうシーンです。ダメだと思えば思うほど見たいという欲望が増してしまうわけで…あ~、こういう経験、人間ならだれにでも訪れそうなことだよなと思ってしまった。自分んは完璧だと思い込んで邁進してきたからこそ、こういう初めての感情をコントロールできなかったんでしょうね、フロローは。野中さんはそのあたりを実に繊細に演じていたのでものすごいリアリティがありました。
この経験が、「地獄の炎」のナンバーへと繋がっていく。自問自答すればするほど抑えきれない黒い感情が広がって

「彼女が自分を選ばないなら殺してしまえ」

という最悪の考えにたどり着いてしまうのがなんとも恐ろしく、そして哀しく見えました。その直前にカジモドがエスメラルダを想って「天国の光」をほんわかしながら歌っていただけに、その隊日での魅せ方も強烈だったと思います。

エスメラルダ

1幕クライマックスで展開されるエスメラルダ捜索騒動。自分のものになろうとしないエスメラルダを強引に捕えてしまおうという黒い感情に支配されたフロロー。その探索の最前線に出されてしまったのが警備隊長で彼女に想いを寄せていたフィーバスだというのが哀しいです。体調という立場の手前、上官の言う事には逆らえない。
でも、怪しい売春宿のところに来たとき、宿主から「この前も来てたよね」みたいに言われて「それいま言わないで!!」とばかりに顔をそらしてバツが悪そうにしてたのは可愛かったな(笑)。エスメラルダ探しながら売春宿まで来て過ごしちゃったのかしら😅。そのあとフロローにもギロっと人睨みされて立場ないみたいになってたフィーバスに思わずクスっとなってしまいましたw。このあたりの表情の変化、佐久間さんはとても分かりやすく演じていたのでなおさら面白かったです。

しかし、フロローから「火を放て」と命令されたときに頭の中に”天の声”のようなものが響き渡ってそれを拒絶してしまうフィーバス。フロローのやり方に普段から疑問を抱くことも多かっただけに、「解任されて光栄です!」と言い放つ時の力強い言葉がとても印象深かったです。
このあとエスメラルダを庇ったフィーバスはフロローに刺されてしまう。芝フロローは刺した後に「やってしまった」みたいな動揺があったのですが、野中フロローは刺したことに何も迷いはなさそうな雰囲気でしたね。エスメラルダへの欲望を邪魔するものは容赦なく排除するといったフロローの黒い部分が垣間見えた気がして恐ろしかったです。

最後、傷ついて動けなくなったフィーバスをエスメラルダが救出し行方をくらます。「誰かが心配してあげなくては」というエスメラルダがカジモドのことを指して言ったセリフを、この時はフィーバスがエスメラルダを想って同じ言葉を口にする場面が特に印象深かった。
不穏な空気を感じたカジモドが鐘を鳴り響かせエスメラルダへの想いをぶつけるラストも圧巻です。

エジプトへの逃避

傷ついたフィーバスを匿ってほしいとエスメラルダに頼まれたカジモドは渋々了解しますが、彼女から帰り際に「居場所」のヒントとなるものを手渡される。しばらくしたらそこへ来てほしいと。
その意味がよく理解できないカジモドは、フロローから何度教えられても名前をちゃんという事が出来なかった聖・アフロディジアスに悩みを打ち明けます。ガーゴイルと同じようにカジモドにしか見えていないアフロディジアスは、自分は民衆に殺されたけどイエスを守ったことに悔いはないと語る。このアフロディジアス、首が切り落とされた状態で歌いだして、一回元に戻してもまた首が下に落ちてしまうっていうキャラで。最初に観たときは「!?」って思っちゃいました(笑)。

アフロディジアスについては詳しく紹介しているサイトがありましたのでそちらを参考にしてみてください。ちなみにキリスト教系の学校を出ている私もこの作品で初めてその存在を知りました😅。↓

ちなみに、最初の頃「アフロディージアス」が言えなかったカジモドに対して野中フロローは手話のようなリアクションを取りながら彼にそれを覚えさせようとしていました。こういうところにも、カジモドとフロローの関係が険悪ではなかったと伺わせられたんですよね。
2幕のこのナンバーの後、カジモドがちゃんとその言葉を発することができたのを聞いたとき野中フロローは本当にちょっと嬉しそうな顔をしていました。カジモドはエスメラルダとの約束を果たすために必死にフィーバスの存在を隠そうとしているわけで…そのちぐはぐなやり取りが切なく感じた場面でもあったかも。

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奇跡もとめて

フロローに見つかる前に、互いに牽制しながらもこっそり大聖堂を抜け出しエスメラルダを探しに出るカジモドとフィーバス。この場面で入れ替えがあるのを千穐楽にようやく発見しました(笑)。
クロパンたちに殺されそうになる寸前、エスメラルダによって助けられた二人。ちなみに前回海宝くんのカジのとき、口に巻かれる布切れが上手くハマらなかったのかないまま進んでたのですが、今回はちゃんとカジモドの口にも布が巻かれてました😓。あれトラブルだったのかなw。

フロローに見つかる前にクロパンたちと行動を共にしようと決意したエスメラルダ。彼女を愛するフィーバスはそれについていくことを決断。その選択にカジモドが大きくショックを受ける場面が切なくてたまりません…。カジモドは自分の住家で一緒に暮らすのを望んだのに対し、フィーバスは旅に出るエスメラルダと行動を共にすることで一緒にいることを望んだ。安全な場所で暮らすことより、危険が伴う旅であってもそこについていくと決めたフィーバスを選んだエスメラルダ…。
カジモドは、この時にエスメラルダとフィーバスの恋に自分が割り込むことはできないんだという事を悟ってしまうんですよね😭。エスメラルダの目に次第にカジモドの存在は目に入らなくなっていって…フィーバスとの愛に没頭していくエスメラルダの姿をカジモドは遠い場所に移動して泣きながら見つめている。

「僕は醜いから」

と何度も歌いながら恋が実らなかったことの哀しさを歌うカジモドの場面は7回観て7回とも号泣しました😭。あのシーンは本当に何度見ても涙が出て止まりませんでしたね…。

いつか

フロローについに囚われてしまったエスメラルダとフィーバス。二人別々の牢獄に入れられ、フロローはエスメラルダに自分を選ぶよう執拗に迫ります。この時のフロローは完全に欲望の塊で自制が聞かない感じになっているので、エスメラルダの悲鳴がより一層悲痛なものに聞こえてゾクッとしました。ここはほんと、ホラー級に怖いです☠。
フロローが去った後、フィーバスが連れてこられて牢獄のなかで二人きりになる時間が訪れる。この場面、なぜフロローはエスメラルダとフロローを二人きりにするようにしたのか、そのあたりがちょっと分からなかったです。フロローの最後の良心…だったのかな?愛し合う二人を一緒にさせるような情けをかける余裕が残っていたのだろうか?

この場面見るたびに、『アイーダ』でラダメスとアイーダが愛を確かめ合う場面を思い出しちゃうんですよね😅。シチュエーションもちょっと似てるしw。哀しい愛の場面なんですが、毎回こんなことが過ってしまって素直に泣けなかったかも。
でも、フィーバスの副官だったフレデリックが最後に情けをかける場面は泣けました…。二人は親友でもあったんだろうなって思うと切なかったです。

石になろう

勇気を出しては結局最後に最悪の事態が訪れる結果になってしまう。そのことに絶望してしまったカジモドは「エスメラルダを救いに行け」というガーゴイルの言葉に耳を傾けようとしません。この時のカジモドの気持ち、痛いほどわかるなぁと。自分が起こした行動が原因で大切なエスメラルダは処刑されることになってしまったわけですから…。そこにさらに手痛い失恋というものも重なっては自暴自棄な気持ちになるのも無理はない。
それでも何度もカジモドを奮い立たせよう励ましの言葉をかけるガーゴイルたちに、ついに彼は耐えきれず強い口調で「一人にしてくれよ!」と拒絶してしまいます。それを見てガーゴイルたちは力なく

「いいよ、カジモド。好きにしなさい」

「いいよ、カジモド。口出しはやめる」

「どうせ私たち、石だものね」

「信じてたのに、君は強いと」

と口々にカジモドの前から姿を消していく。この場面はものすごく辛く切なくて…何度も泣きました。石の色をしたフードを取って人間に変わっていくことでそれを表現する演出方法にも衝撃受けましたね。どんどん孤立していくカジモドが浮き彫りになっていって…胸が痛くて痛くて仕方なかった😭。
独りになったカジモドは孤独感を深めながらも「石になって生きよう」と心を閉ざしてしまいます。この最後の叫びのような歌いっぷりはどのカジモドも強烈で激しい衝撃を受けました。

フィナーレ

ついにエスメラルダ処刑の時。その寸前にフロローは彼女に最後のチャンスを与える。しかしエスメラルダの中では死への恐怖よりもフロローを拒絶する想いの方が強い。恐怖心に泣きそうな顔になっていた彼女を見るたびに、一度フロローのものになると言っておいて後からフィーバスと一緒に逃げ出す方法を実践する道はなかったのだろうかと思ってしまいます…。でもきっと、エスメラルダの中ではフロローと関わることそのものがどうしても耐えきれないものだったんだろうね…。
ついに火が放たれたとき、カジモドは「石」ではいられなくなった。あっきーカジはここで飛び出すタイミングが他の2人のカジよりもすごく早くてちょっとビックリしました。もう感情を抑えるのが限界をとうに超えていたんだと思える感じ。

そしてついにぐったりするエスメラルダを救いだし、「聖域」へ逃げ込みますがフロローはそこすら破壊しようとする。あんなに聖域の存在を絶対視していた人が、エスメラルダ一人のために破壊しようとまでするとは…ということに衝撃受けましたね。
追い払うために再び戻ってきたガーゴイルたちと煮えたぎる鉛を流し入れる演出は圧巻です!!その鉛が取り払われたところに静寂な世界があって、カジモドとエスメラルダが二人きりで存在している。この魅せ方も実にすごいなと思いました。

エスメラルダはカジモドと向き合い、「あなたは本当に素敵な友達よ」と語りかける。彼女の恋人でありたいと常に思っていたカジモドはその言葉を聞いて、それを正面から受け止めたうえで

「うん!!友達だ!!」

と心から笑いながら抱きしめる。もうここの場面は思い出すだけで涙が出ます😭😭。カジモドはこの瞬間、まさに無償の愛を知ったんですよね…。そして…。

この後はぜひ舞台の上でどんなドラマが展開されていくのか確認してほしいです。非常に深いし、私は最後まで涙を止めることができませんでした。

ラストシーンで演者たちが「素」に戻り、カジモドを演じていた青年は客席にその後の顛末を語る。その場面を見て、改めてここまでの物語を噛みしめ、そして人間についてもう一度振り返る気持ちにさせられました。非常に説得力の強い作品だと思います。

「あなたの心に何かが、響いていますように」

最後のこの歌のフレーズがこの作品のすべてを物語っているような気がしました。

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主なキャスト別感想

田中彰孝くん(カジモド)

東京公演で初登場して間もないころに一度見て以来のあっきーカジ。あの時はまだキャラクター像が定まっていない感じでちょっと物足りなさを感じた部分がありました。

劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』東京公演 2017.03.24
劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』東京公演感想。四季劇場・秋にて2017年03月24日マチネ公演を観劇。主なキャストは田中彰孝、宮田愛、芝清道、佐久間仁、吉賀陶馬ワイス、ほか。

ところが今回久しぶりに再会して…前回観た時よりもずっと役柄の深みが増していることにまず感動しました😃。歌声も力強く、とても連投して演じているとは思えないような深みのあるロングトーンで…特に「石になろう」のナンバーは圧巻で思わず涙が溢れました。

印象的だったのがフロローに対する目線ですね。他の2人のカジよりもフロローを見つめる目線がとても力強い。フロローの話を必死に聞き漏らさんとする勢いの目線をすごく感じたかな。いつも彼の忠実な息子としてありたいみたいな、そんな気持ちが伝わってくるようでした。
それに対してエスメラルダとのシーンは実に無邪気で可愛い😊。最初は怯えてたけど、「世界の頂上で」の場面でははしゃいでちょっとおどける仕草を見せたりしてて。初めて得た喜びというのがストレートに伝わってきて見ているこちらも思わず笑顔になってしまったよ。

そして最後、エスメラルダとフロローの死に接した後の泣き方が…泣くというよりも、悲鳴に近い感じで…なんだかもう、胸が締め付けられるようで涙が止まらなかった😭。あの芝居を見たら、カジモドはこの先もう生きていくことはできなかったんじゃないかっていうことにすごく納得ができてしまった。

今回けっこう近い席で見ることができましたが、汗の量がハンパなかったです。どのカジモドも相当な体力と気力を使うと思うので…本当にお疲れ様でしたと言いたいです。
カテコはかなり長く続きましたが、あっきー笑顔が見れたのは7回目くらいから。最後の方は投げキスしてくれたりして可愛かったけど、出てくるたびに頭を下げながら噛みしめるように「ありがとうございました」と感謝の気持ちを口にしていた姿が非常に印象的でした。

宮田愛さん(エスメラルダ)

先週に引き続いての宮田エスメラルダ、ダンスが本当に何度見ても柔らかくしなやかで魅了されてしまいます。フロローに赤いスカーフを投げる時ですら優雅で、その流れるような動きはまさに目が離せませんでした。力強くしなやかなのに、岡村さんとは違う女性的な部分を強く感じさせる宮田さん。あの魅力は本当にすごいと思います。

田中カジがすごく無邪気にエスメラルダと接してたので、それに合わせてちょっと童心に帰ったかのようなお芝居が印象的だったのが「世界の頂上で」。おどけて柵から落ちそうになる振りをみせたカジにビックリしながらも、そのあと見せられたあどけない笑顔に「もぅ~」って感じでカジの頬に優しく手を当てたりするのがすごく可愛かった☺。
カジと一緒にいたあの時間がエスメラルダにとって一番楽しかったんじゃないだろうかと思えるワンシーンでしたね。少女のような無邪気さがあっきーカジに引き出されていたような感じで見ているこちらの気持ちも温かくなりました。

野中フロローに対しては常に警戒心を持っている印象。それだけに「一緒に暮らす」という提案をされたときの拒絶反応が岡村さんより激しかった気がします。宮田エスメラルダはフロローには絶対に心を開かないという想いが終始一貫していたと思います。処刑される寸前に唾を吐きかける時も激しかった😓。

カジモドと一緒に暮らしていたら幸せになれたかもしれないのに…って思えるエスメラルダでした。フィーバスとの恋愛も感動的だったけど、どこか長続きしないかもって思える部分があっただけに😅、カジと暮らさせてあげたかったなぁと思ってしまいました。

野中万寿夫さん(フロロー)

京都公演では野中フロローと3人のカジモドとのコンビを幸運にも観ることができました。それぞれの組合せを見て、一番相性が微妙だったのが達郎くんカジで、中間が海宝くんカジ、一番「息子と思う」という言葉がしっくりきたのがあっきーカジでした(個人的な感想なのであしからずw)
あっきーカジには接し方が一番自然だったなと思えたんですよね。ジェアンから引き取って投げ捨てることを思い留まったあの瞬間から、カジモドには厳しくもそれなりに愛情を持って接してたように見えました。必死に自分の言うことに耳を傾けようとするあっきーカジに悪い気はしていなかったのではないかなと。そんな彼を「教え導く」ことが美徳だと本気で信じていたし、あっきーカジもそれに応えようとしていた。それで二人の関係はうまく回っていたんじゃないのかなと。ただ一つ、道化の祭に行かせてもらえないこと以外は…。

野中フロローは愚直で真面目で「正しい」と信じた教会の教えにものすごく忠実です。外気に触れることなくひたすら自分の信じる道を進んできたため、ある日突然目の前に現れた見たこともない魅力的な女性にどんどん狂わされ転落していく様が実に哀れに写りました。「一緒に暮らそう」と提案した時、彼の中には邪な気持ちが芽生えていることに全く気が付いていなくて、エスメラルダに強烈に拒絶されて逆上してしまうくだり。あそこでエスメラルダがフロローを毛嫌いするような言葉を吐かなければ、あるいはもっと違った関係を築くことができたのかもしれないのにと毎回思ってしまいました。
冷静沈着で厳格、真面目に真っ直ぐ生きていたはずの人生が狂わされていく哀愁を強く感じさせた野中さんのフロローでした。

佐久間仁さん(フィーバス)

何だか見るたびにプレイボーイ度が上がってった感じの佐久間フィーバス(笑)。登場した時の口説きっぷりが手馴れてる感じでやたら色っぽいww。あれは女性みんなふらふら~~っと行っちゃうよっていうのが納得。だけど、そんな軟派な行動の裏には戦場での苦く重い経験が裏打ちされているって思うとなんか憎めないんですよね。佐久間さんは戦場を語るときの表情がとにかくものすごく良かった!!
エスメラルダに対して最初の方は鼻の下伸ばしてるんだけどw、タンバリンを返すタイミングがつかめなくてオタオタしちゃうのが可愛らしい。そんな姿をフロローに人睨みされて「すみません」的に小さくなってしまうのもツボでした(笑)。

エスメラルダへの恋愛も熱くまっすぐで魅力的ですが、個人的にはライバル(?)のカジモドとのやりとりが面白くて印象的でしたね。奇跡御殿を見つけに行こうという時に二人でムキになってエスメラルダの居場所探しを競うのですが、この時のフィーバスはものすごく子供っぽいw。カジモドの後を追って町に出る時、自分には身を隠すマントを渡してくれようとしなかったガーゴイルにムっとしながら「フィーバスはっ!!」ってへそ曲げちゃうシーン、すごく好きだったな(笑)。
カッコいいけどどこか子供っぽい可愛さがある佐久間フィーバス、最高に楽しませてもらいました。

吉賀陶馬ワイスさん(クロパン)

ワイスさんのこれまで持っていた印象ががらりと変わった今回のクロパン役。あんなにギラギラした雰囲気の役柄がハマるとは嬉しい驚きでしたね。よしつぐ君のクロパンはカリスマ性があってその魅力で仲間を引っ張る感じでしたが、ワイスさんのクロパンは仲間と一体になって皆の意見を集約しながら引っ張っていくタイプのように見えました。
トプシーターヴィーや、酒場のシーンでの力強いダンスも目を見張るものがあってよかったです。一見コワモテっぽいんだけど、仲間の事をいつも考えて行動している印象が強かったワイスさんのクロパン、見応えがありました。

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後述

カーテンコールは全部で10回くらいあったと思います。

最初のカテコでは野中さんが代表してご挨拶。それによると、京都では延べ5万5千のお客さんが観劇したらしい😮!そのうちの何回かに私も含まれているわけですが(笑)客席は毎回満席で盛り上がってましたからね。
来年4月からは横浜で上演が決まっているのでそちらもよろしくということで〆ていました。もうこれで観に行けないだろうなって思ってはいるんですが…でもやっぱり、観たくなってしまうかも…。魅力的な作品なので、ノートルダムは。

あっきーは6回目くらいのカテコまではあまり笑顔がなくて放心状態みたいになってました。上演中はものすごい大量の汗かいていましたし、そうとう疲労があったと思われます。それに千穐楽だったからかいつもよりさらに力も入ってただろうしね。それでも、頭を下げた時には「ありがとうございました」っていつも口にしてて…それ見ただけで泣けました😢。
笑顔が見えてきたのは7回目くらいからかな。あっきースマイル、やっぱり可愛い。投げキスもしてたし(笑)。万雷の拍手に感無量の様子だったのが印象的でした。8回目くらいのときには野中さんは若干お疲れモードで袖から出てくるのも一苦労の御様子w😅。フロローも相当体力的にも精神的にもキツい役ですものね。ほんと、お疲れ様でした。
宮田さん、ワイスさん、佐久間くんもオールスタンディングの拍手の光景に感無量の表情を浮かべ、袖に捌ける時には笑顔で客席に手を振り続けてくれました。

こうして大盛況のうちに『ノートルダムの鐘』京都公演千穐楽は幕を閉じました。やっぱり楽公演の雰囲気はいいなぁって改めて思いました。東京公演からさらにステップアップした京都公演を複数回観ることができて本当に満足です。ありがとうございました。

京都では年末から『オペラ座の怪人』が始まります。広島にも行きますが、こちらにも参陣する予定です(笑)。またどうぞよろしく、京都😜。

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