以下、初めて見るキャストを中心とした感想です。
キム・ジュンヒョン@バルジャン
この名前だけ見ると「誰?」と思う人も多いかもしれませんが、「金田俊秀さん」といえばピンとくる人もいるのではないでしょうか。劇団四季時代に「金田俊秀」として活躍されていたその方です。四季ではジーザスとペロンとラダメスを演じていたのかな(ムファサをやってたのは知らなかった 汗)。私はジーザスとラダメスを見ました。で、歌がすごく上手い人という印象はあった。他の役者にはない聞きやすい綺麗な声できっちり歌える人。でも、それ以外に残念ながら個人的には良いと思ったことがほとんどないんですよね(汗)。特にジーザスの時の、あの、淡々と歌っていた姿は正直、あまりの無感情さに失望したくらいです(ファンの皆さん、ごめんなさい)。
その金田さんがいつの間にか母国へ戻り…そして再びまた日本の舞台に戻って来ました。四季時代のあまり良い思い出がない人だったので観に行くか迷ったのですが…、韓国での評判がとても良い話を聞いていたし、もしかしたらあの時と変わったのかもと思い今回チケットを取ってみた次第です。しかしながら、あの休演騒動はちょっとよく分からなかったなぁ…なんて。謝罪コメントも出なかったので印象としてはあまり良くなくなったのが正直なところ。
とりあえず、無事に今回は上演できてよかったです。で、感想なのですが…、囚人から仮出獄許可証を破り捨てる場面までは、四季時代が嘘みたいに思えるような大熱演っぷりでビックリ(笑)。荒くれっぷりがハンパなかったです。この人、こんな熱い芝居できるんじゃないか!とちょっと好印象。だけどちょっと飛ばし過ぎというか…周囲のキャストとの呼吸があまり会っていないような印象もちょっと受けたかも。
で、バルジャンが改心した後からなんですが…まぁ、バルジャン確かに人間変わりました。しかしながら、なんだろう…あそこまで平面的にならなくてもいいんじゃないかと思うことが多々あり…(苦笑)。歌は確かにすごく上手いんだけど、それ以上の感情みたいなものが伝わってこないんですよ。時々感情が高ぶるときがあるものの、ほとんど平坦な芝居で見ていて飽きがきてしまう。表情が顔にあまり出ないことも要因かもしれない。最初のあの鬼気迫るようなスゴイ熱量はどこへやら、みたいな(汗)。あぁ、こういうところ、四季の時見た感覚と同じだなぁと思ってしまった(苦笑)。
ビジュアルはたぶん過去最高だと思います。個人的にはさとしさん越えかもw。スラッとしていて見た目華やか。歌も聞き取りやすいし歌唱力も群を抜いている。だけど、私の心を動かす何かが圧倒的に足りない。それが本当に残念です。逆に、常にテンションの高いジャベールだったらどんな感じだろうかという興味はあります。ご本人もジャベールでオーディション受けたようですし。キムジャベはちょっと見てみたいですね。
そういえば、この長いレミゼ公演の最中、韓国での他公演の予定も入っているようですね…。日本ではあまり考えられないことですが、向こうでは同じ期間中に違う舞台やるって普通なのかな。また怪我しないか心配です。くれぐれも気を付けてほしいと思います。
川口竜也@ジャベール
川口さんはジャベールオンリーで配役されていますね。今回が初めまして。風貌とかジャベールに合うなぁというのが第一印象でした。歌声も太くて迫力があるし、ガタイもいいのでバルジャンに首絞められても只ではやられないという雰囲気があるのも良かったです(笑)。ただ、そのあとは正直なところ、あまり印象に残らなかったんだよなぁ…。なんでだろう。
良かったなぁと思ったのはクライマックスのところ。バルジャンを逃がした自分が信じられなくて自殺するジャベールの気持ちが手に取るようにわかりました。追い詰められ感がすごいです。あそこはとても感動的でした。ちなみにジャベの自殺シーンも演出が変わってて、橋がリアルになってるんですよね。スターズでは橋の手前から歌うイメージだったのが、自殺では橋の向こう側から歌うイメージに変わってる。ここの対比も良いなと思います。飛び込むところは橋が上に登って良く印象が強かった前演出とは違い、ジャベールが後ろ向きにセーヌ川の渦に巻き込まれていく印象が強い。2階から見ると臨場感があってすごかったです。
青山育代@コゼット
前回の若井さんよりも登場した時のコゼットに少女らしさを感じました。だけど、喪服みたいだった以前までの衣装と違ってけっこう高価そうなものを着ているのでwやっぱり大人っぽく見えますね。2幕の病院シーンでは髪の毛をアップにしているのでなおさらです。うーーん、歌と芝居的には・・・・あまり印象に残るものはなかったかな。あ、死に瀕したバルジャンを後ろから抱きしめるのはちょっと感動的でした。
田村良太@マリウス
今回初めての田村マリウス。ものすごく初々しいです。何物にも染まっていない感じ?素朴で貧乏学生っていう言葉がピンとくるw。テナ夫人が「なんであんなのがいいの?」と歌うのがぴたりとハマる感じです。ちょっとドン臭いんだけど、一生懸命なのが伝わってくる田村マリウス。雰囲気的には岡田マリウスと似ている気がしますね。歌もそんなに悪くないし、出来上がっているマリウスよりもこういう初々しい雰囲気を持っているマリウスのほうが好きかもしれません。
野島直人@アンジョルラス
前回公演で演じたマリウスがなんだか評判が悪かったのが印象深いこの方(苦笑)。それだけ噂を聞くと逆に見てみたくなるものでw。で、第一印象ですが…あぁ、この人、マリウスには合わなかっただろうなです(爆)。表情がたびたびドヤ顔になってますしww、なんていうのかなぁ…、ナルシスト気味w。特別にカリスマがあるわけでもないし、学生たちと同じ立場っぽいんだけどなんかムキになってリーダーやってるな、みたいな印象です。
あまり好きなタイプのアンジョではなかったんですが、世間が言うほど嫌いでもないかもw。まぁ、何度も見たいって感じではありませんけどね。
KENTRO@テナルディエ&森公美子@夫人
前回の駒田・浦嶋ペアがあまりにも濃すぎてちょっと食傷気味になってしまったのですが(汗)KENTRO・モリクミペアはなんだかちょっと楽に見ていられる雰囲気でなかなか良かったです。強気で迫力のあるモリクミ夫人に対して、小物感が漂うKENTROテナルディエ、このバランスがなんか絶妙だったな。映画の雰囲気と似ているかも。
和音ファンテ、昆エポも熱演でよかったです。あと、清史郎くんのガブもやっぱり上手い。そして前回ジャベだった鎌田さんが今回はクールフェラック(学生)役で登場していたのも嬉しかった。ジャベを経験しているからか、貫録があるように見えるしどことなく目を惹きます。頑張れ、鎌ちゃん!
次回は1週間後。福井さんのはずだった公演ですが(汗)良席なのでまた違った見方ができるかもしれません。