ミュージカル『MA~ マリーアントワネット~』2006.12.11マチネ

三回目にしてようやく作品の良さを感じられるようになりました。慣れ?(笑)

今までは『マリーアントワネット』というメインタイトルがどうしても頭の中に残ってしまってそれとは違ったストーリーに違和感を感じていたんですが、ここにきてようやく作品を『堪能』する余裕が出てきました。初めて見たときは「この作品あと3回も観るのかぁ…」と正直思った部分があったのですが(爆)、今思えば複数回チケット持ってて良かったです。やはりこのミュージカルは1-2回で自分の中に受け入れるのは難しいのかもしれません(苦笑)。

その原因のひとつがメインタイトルですよ。ウィーンスタッフがこだわっていた『MA』を日本サイドが『マリーアントワネット』にと押し切ったらしいですが・・・これが最初から『MA』だったらここまで違和感抱くこともなかったような。うーーーん・・・。

12月も半ばになってきたということで写真つきのパンフレットが発売され、ようやく私も購入に踏み切りました。やっぱり少し高くても舞台写真があるやつのほうがいいですしね
帝劇の柱にも何枚か舞台写真が掲載されていました。一番人が多くたかっていたのが井上芳雄くんだったかな。彼のフェルゼンは本当にかっこいいですからまぁ当然といえば当然

今回は1階の後から2番目座席だったんですが、ここってものすごく見やすい!一段上がっているから前の人の頭が全然邪魔になってこないんですよ~。何も遮るものもなく見晴らしもよかったし…『MA』楽しめたのはこういった観劇環境のおかげでもあるのかな。

 

主なキャスト
マリー・アントワネット:涼風真世、マルグリット・アルノー:新妻聖子、アニエス・デュシャン:土居裕子、アクセル・フェルセン: 井上芳雄 、ルイ16世:石川禅、ボーマルシェ:山路和弘、オルレアン公:嶋政宏、カリオストロ:山口祐一郎  ほか

以下、ちょこっとネタバレ感想です。

 

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最初にも書いたとおり、3回目にして初めて『良かった』という感想が自分の中に出てきたんですが(笑)その原動力となったのはやはり音楽の力だったような気がします。今まではストーリーに違和感を感じてしまって素直に音楽を楽しむ余裕がなかったんですが、今回じっくりと向き合ってみて・・・感動する楽曲が非常に多いことに気がつきました

革命を喚起させるマルグリットのナンバー『心の声』。演出的には「レミゼ」の二番煎じっぽいんですけど(苦笑)それを感じさせなくするようなエネルギー溢れる力強い音楽が大変素晴らしいと思います。違和感感じながら初めて観劇した時もなんだかワケ分からないけどゾクゾクしてましたし(笑)。新妻聖子ちゃん笹本玲奈ちゃんも「こんなに歌えるんだ!」ってビックリですよね、ここは。個人的には新妻さんのほうが好きかな。

それからバラードがまた素晴らしいと思います。音程が上がったり下がったりで歌う役者さんたちは大変そうなんですが、これが見事に心の中にジーンと響いてくるような良いナンバーばかりなんですよ。

特に印象に残っているのはアントワネットとフェルゼンが歌う『すべてはあなたに』、ニ幕にアントワネットが自分の過ちを嘆くソロ『愛したことだけが』、ルイが牢獄で子供達を前に歌う『もしも鍛冶屋なら』。特に禅さんが歌う『もしも~』は温かくてとても感動的・・・思わずウルウルッと来ます

アントワネットが断頭台で散る衝撃の幕切れで歌われる『自由』も今回はものすごくゾクゾクっときましたね。特に各々が自分の想いをぶつけながら歌っているシーンで処刑を見つめていた民衆達が上から赤い紙(?)吹雪を降らせるんですが、これがものすごく鮮烈で印象に残りました。

最後の『自由』というフレーズは不協和音で今後の混沌とした時代を感じさせられます。このラストがどうもシックリこない人も多いようですが、私はこの作品はこれでいいんだと思いました。その時代の不安定な様子をありのまま描いているわけだから、最後に『救い』的なシーンはこのミュージカルに限っては不要なのかなと。こんなミュージカルがあってもいいんじゃないかなって初めて肯定的に思えた気がします。

キャストの皆さんの熱演も日々高まっているようですよ!特に主演の涼風さん、後半の感情表現が素晴らしいです。一幕と二幕では別人のようになってしまうアントワネットですが(苦笑)、今回彼女の熱演を観てちょっとだけアントワネットの心情を理解できたような気がしました。一番印象的なのがラストのマルグリットに向けた”微笑”。これはかなりグッときました!

新妻聖子ちゃんは前回観たときよりも数段良くなってました。前回はとにかく『吼えまくり』的なイメージが強かったんですけど(苦笑)、今回はマルグリットの繊細な部分も表現していて可愛かったです。歌声にも安定感があるし、これからも頑張ってほしいな。

狂言回しのボーンマルシェを演じる山路さん、相変わらず巧いです!歌っていないときの彼の行動はチョコマカ小芝居してて実に面白いんですよ(笑)。歌も巧いし、思わず目で追っちゃいます。そういえばこの日の”ボヤキ”はやけに短くて残念!あまりしゃべりすぎたんでダメ出しが来たのかな(笑)!? こちらとしては山路さんのボヤキ楽しみなんで色々やってほしいんですけどね。

他のキャストの皆さんもとてもパワフルで素晴らしかったです!!

最後に個人的に未だ納得できない部分を少し…(苦笑)。

フェルゼンとアントワネットの恋物語が見えてこない。良識もある紳士的なフェルゼンがなぜ一幕であんな傲慢な態度のアントワネットを愛したのか・・・これが理解できないんですよね。いったいアントワネットのどこを見てあんな愛の虜になったのか…。そこのところはやっぱりもう少し詳しく描いてほしかったです。

それからやっぱりよく分からないカリオストロ。人々を操っているとはどうしても思えないんだよなぁ~。だから物語に絡んでいるように見えない。隣に座っていたおばさんが「なんか”出た~!”って感じよね」って苦笑いしていたのを聞いて思わず吹きそうになってしまった私です(笑)。

次回いよいよ最後の観劇。楽近くの公演なのでさらにパワーアップしていることを期待します。来年の再演も観てみようかな…。

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