ミュージカル『オン・ユア・フィート !』東京公演 2018.12.20

主なキャスト別感想

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朝夏まなとさん(グロリア・エステファン)

宝塚を退団されて今回が2作目の作品とのことですが、歌も上手いしスタイルも抜群だし、それになにより人の目を惹きつける華やかさもあってとても良かったです。

特に、常にオーラ全開っていう訳ではなく、スターならではの繊細で傷つきやすい心情を見せる演技は印象に残りました。手の届かないようなスターっていう雰囲気じゃなくて、どこか親しみやすい近いものを感じさせるグロリア像っていうのを感じられたことも好印象でした。

 

渡辺大輔くん(エミリオ・エステファン)

エミリオは英語が苦手っていう設定なので、常にカタコトの日本語台詞(日本語部分が英語にあたるので)。それが最初は何だか胡散臭い外国人って感じにも見えたんだけど(笑)、実は熱いハートの持ち主で底辺から這い上がろうとするパワーがみなぎってるキャラクター。これまでメインの立ち位置に居なくても何だか気になって目で追ってしまう存在感を出してきた渡辺くんにはドンピシャな役だったなと思いました。

爽やかで熱いキャラっていうのとは路線が違って、どこかヘンテコで濃い~~んだけどw熱くて優しい心の持ち主っていうキャラが見事に…想像以上にハマってた!
それだけに、あともう少しだけ見せ場が欲しかったかなぁというのが正直なところかな。

ちなみに、今回Wキャストで出演予定だった相葉裕樹くんが体調不良で休演ということになってしまいました。渡辺くんとは違うタイプの役者さんなので、彼がどんなエミリオを演じるのか観てみたかったのですが…、今はとにかく体を治すことに専念してほしいです。今はゆっくり休んで。また舞台に元気な姿で戻ってきてくれるのを待ってるよ!

 

栗原英雄さん(ホセ)

出番的にはそんなに多くはなかったのですが、今回の舞台で一番心打たれたのが栗さんのお芝居だったかもしれません。ベトナム戦争中に娘の歌声を聴いて目を細めるシーンでは「このお父さんは本当に優しくて温かい人なんだろうなぁ」っていうのがストレートに伝わりました。戦争という過酷な状況の中で見せるあの温かな笑顔がなんだかちょっと泣けたんですよね。
その後に出てきた姿には衝撃受けました。戦争によって感情を失ってしまった姿があまりにもその前に出てきたベトナム戦争での姿と違いすぎて…しかも「本当に病んでしまったのでは?」と思えるほどリアル。あんな落差のある表情ができるのかとちょっとビックリしました。それだけにホセの辿ってきた道のりの険しさが直に伝わってきてすごく切なかったです…(涙)。

その後、ホセは亡くなってしまいますが…その直前に娘と心の交流をするシーンがあって。その時の表情がまた泣けるほど優しいんですよ。ものすごい温かい父性が全身から滲み出てる。さらに2幕になっても魂となってグロリアの心を支えてて。まるで娘を丸ごと包み込んで守っているかのようだった。
今まで見てきた中で、栗原さんの本来持っている温かいお人柄が一番役に反映されてたなと今回思いました。

カテコでは一転してめっちゃノリノリの歌を披露してた栗さん。ホセ役とのあまりのギャップに思わず笑ってしまいました(笑)。

 

青野紗穂さん(レベッカ)

グロリアの妹・レベッカ役は『RENT』のミミ役が印象的だった青野さんだったのですが・・・扱いがちょっと弱すぎて気の毒だなぁと思ってしまったのが正直なところです。ミミ役の時にはあんなにキラキラ輝いて熱唱してたのに、この作品の中だとメインという立ち位置にいるのがちょっと信じられないとすら思えてしまって(汗)。

レベッカの見せ場としては冒頭の姉と一緒にコーラスで参加するところと、後半にグレてしまったというエピソードの場面があるのですが、どちらも本当にサラ~っと描かれているので彼女のドラマが伝わってこない。グレてしまった彼女がどうやってグロリアの元でマネージャーのような仕事をするうちに更生していったのかも描かれていなかったので存在感がたまに見えなくなってしまうように感じたんですよね…。もう少し何か目立ったドラマエピソードを付けてあげてほしかったかも。

 

久野綾希子さん(コンスエロ)

常にグロリアの味方で彼女の背中を押してくれていた明るいおばあちゃん役。久野さんは実に生き生きと演じられていて、こんなおばあちゃんがいたら、どんなマイナスな出来事もプラスに変えられるって思えるよなぁって思っちゃいました。

明るいだけじゃなくて、ファンキーで時にはグイグイ前に出て行く逞しさがあったのもよかったし、時々クスっと笑えるような仕草を見せるのも可愛くて面白かった。愛すべき素敵なおばあちゃんでした。

 

一路真輝さん(グロリア・ファハルド)

娘のグロリアを愛しているんだけれど、それ故に彼女を家族に縛りつけようとしてしまい衝突してしまう母親の切なさを一路さんは実に繊細に演じられていました。
かつては自分もスターを夢見た過去がありながらも、家族の反対でそれを果たせなかったことで成功する娘のことを喜ばしいと思う反面どこか羨んでしまう。たとえ親子だったとしても、そういった微妙な感情が生まれてしまい、どうにも娘と上手く接することができない。人間ならばそういうこともあるよねって・・・どこか共感できる余地を感じさせるお芝居もよかったと思います。

でも、娘をうらやむ気持ちよりも母にとってはやはり家族が第一。キューバ革命の厳しい時代を共に生きたホセに対する愛情の深さにも感動しました。特に、意思の疎通ができなくても優しく寄り添ってテレビ番組の感想を聞いたりしているシーンは泣けました。
そんな愛する夫や、優しい母(グロリアから見ると祖母)との別れが彼女の心を孤独にしていってしまい、娘に対して意固地な態度を取ってしまう気持ちも痛いほどわかった。愛しているからこそ繋ぎとめたい気持ちが強くなったのではないかなと…。一路さんが演じるグロリアには感情移入することが多かったです。

 

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後述

カーテンコールでは客席スタンディングで大盛り上がり!!

事前にSNSでオリジナルペンライトがあるよーって宣伝されていたのですが…なんとすでに売り切れ状態(苦笑)。

ということで・・・

200円のこちらのピンクのペンライトを購入して振りまくってきました(笑)。

その後のカテコも3回くらいあって、ラストは渡辺くんが朝夏さんをお姫様抱っこして帰って行きました。カッコいい朝夏さんをヒョイと抱き上げる渡辺くん!でもどちらかというと渡辺くんの方が可愛く見えちゃったよ(笑)。

ラテンのリズムが楽しい音楽や、心にジンワリと響くバラードなど素敵な楽曲がたくさん出てくるので、グロリア・エステファンを知らない人でも楽しめる作品だと思います。

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