劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演を観に行ってきました。
5月から6月にかけて遠征の身でありながらほぼ週一観劇という荒業をやってしまったのでw、7月は観劇予定を一つも入れていませんでした。でも、『オペラ座~』は岩城ファントムが再び大阪に戻ってきていたので、どこかで当日券狙って観に行こうと自分の予定とすり合わせて考えていたんですよね。
ところが、ついに大阪四季劇場にも「あいつ」の襲来が…。憎っっき新型コロナ!一度は落ち着いたと思われていましたが、型が変わったらしくここ最近一気に増殖し出して中止に追い込まれる舞台も増えてきました。現に、私も観劇予定だった6月末の『千と千尋の神隠し』名古屋公演を見ることが叶わなかった(中止発表が直前だったのでキャンセルが効かず、目的失ったまま現地へは行きましたが 汗)。
何とか大阪四季は頑張ってほしいと思っていたのですが…、中止公演が発生してしまいました。舞台役者にとってこの感染症はかなりの脅威だと思うので、どうか後遺症などが残らない軽症で終わるようにと祈っています。
暫く公演できない状態になるのかなと思っていたところ、3日後にキャスト総入れ替えで上演することが発表されました。こういう離れ業ができるのはおそらく日本では劇団四季くらいしかないのかもしれない。ただ、急遽の招集になるのでピンチヒッターの役者さんたちは『オペラ座~』の前準備がほとんどできないなかでの本番ということになります…。それでも舞台の幕を開けるために駆けつけてくれた精鋭キャストの皆さん、本当に頭が下がる想いです。
この召集されたキャストの中に…、大好きな飯田洋輔くんの名前がありました。行きたい気持ちが一気に膨らんでソワソワしたのですが、7月は自制しなければという理性が働いて最初は思い止まるつもりでいました(いや、本当にww)。
ところが…7月8日のお昼頃、非常にショッキングなニュースが飛び込んできて…。目に触れてはいけないとどこかで分かってはいたのですが、どうしてもテレビの前から離れられず事態が悪化していく様をリアルタイムで受け取ってしまった。恐ろしい映像を目にしてしまったことで一気に心の中に不安が広がり…、咄嗟に当日券に飛びついてしまったというのが今回の観劇の経緯になります。
本当はこんな気持ちのまま推しに会いに行くということはしたくなかったのですが…、なんだかすごく不安な気持ちが色々と襲ってきていたこともあって縋りたくなっちゃったんですよね。
そんなわけで、今回の観劇はいつもとは違う精神状態で観に行ってしまうことになったためあまり細かく舞台を観察しながら見るということはできなかったかな…。でもなんか色々、心がホッとするような感覚もあった。
以下、超ネタバレを含んだ感想になります。後半(2ページ目)は私の独善的な飯田洋輔くん語りになるので、危険を感じた方はスルーしてください。
劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』感想一覧
2022.07.09 マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪・西梅田)
主なキャスト
- オペラ座の怪人:飯田洋輔
- クリスティーヌ・ダーエ: 久保佳那子
- ラウル・シャニュイ子爵: 光田健一
- カルロッタ・ジュディチェルリ:辻奈々
- メグ・ジリー: 五所真理子
- マダム・ジリー:木村智秋
- ムッシュー・アンドレ:増田守人
- ムッシュー・フィルマン: 平良交一
- ウバルド・ピアンジ:山口泰伸
- ムッシュー・レイエ: 見付祐一
- ムッシュー・ルフェーブル: 志村要
- ブケー: 村田慶介
五所さんのメグ・ジリーは5月以来、山口さんのピアンジは昨年の東京公演以来、ルフェーブル役の志村さんに至っては2年前の東京公演以来です。お久しぶりのキャストさんに会えたのはとても嬉しかった。
あと、凄いなと思ったのが見付さん。たしかついこの前までアンドレ役を演じていらっしゃった気が…。その前はブケー役でもずっと出演されてましたけど、ついに今回レイエ役での登板!もはやオペラ座オールマイティー俳優さんではないですかっ。これは今回限りの緊急登板での配役なのか、はたまたずっと陰で準備されていたのか?どちらにしても、メインの3キャラ目というのは凄すぎです。
アンサンブル枠では高井治さんと早水小夜子さんのベテランコンビが復帰。このお二人が舞台に立っているだけでなんだかとてつもない安心感みたいなのがありました。他のキャストの皆さんにとっても精神的支柱みたいな存在なのではないかなと。
全体感想・キャスト感想
6月の下旬あたりからコロナによる中止舞台が本当に増えてきてて、幕が上がる直前に中止を告げられたというケースすら耳にするようになりました。それゆえ、今回の観劇も本当に1幕が始まるまで内心ちょっとハラハラドキドキ(汗)。救いを求めに駆けつけたのに中止なんて告げられたらちょっと精神的ダメージが大きすぎますからね。無事に幕が開いて本当によかったです。
これまではキャストボードに推しの名前があるのを見ただけで感極まってテンションが爆上がりしていたのですが、今回はなんだか不安な気持ちがまだ拭いきれてなくてちょっといつもとは違う気持ちになってしまった。本当は「洋輔くんの名前がある!」とドキドキワクワクしたかったけど、事情が事情だけにザワザワした気持ちの方が大きかったかもしれません。
それだけに、志村オークショナーの「落札!!」の声が響いてきたときにはなんだかちょっとホッとしてしまったな。舞台の幕が上がるって本当に素晴らしいことだなといつも以上に実感しました。
志村さんのオークショナーすごい久しぶりに見たんだけど、なんだか言い方がオドロオドロしくてちょっとホラーな雰囲気だったのが逆に新鮮で面白かったです。ちょいちょい声が震えてる感じで、なんだか「タイムボカン」シリーズのドクロベエ様が思い浮かんじゃったよwww(←わかる人、いますかね?w)。
♪ハンニバル♪
辻カルロッタ、久しぶりに見ましたけどちょっとクセの強さが弱まってたかも!?でも急遽の登板でしたからあのテンションに持ってくのは大変だったかもしれない。個人的には「輝かしきヒィーーーーロォーーー↓↑↑」って感じのあのめっちゃネットリした感じが好きだったのでw、今回は少しあっさり目に聞こえてしまいました。
その直後に後ろからアンサンブルさんたちがワンサワンサ登場してくるのですが、高井さんがめっちゃ張り切ってシャキシャキ歩いてきたのがすごく目を惹きました。以前よりもキレがあったような!?そして久しぶりのケインくんダンサー。相変わらず綺麗な顔立ちで可愛らしい。
というところに注目点を置いていて私は目撃していなかったのですが、この後登場したメグ役の五所さんが大きく転倒されてしまっていたらしい(汗)。私が目を移した時には何事もなく舞台の上に立っていたので、大事に至らなくて本当によかったです。
そういえば、この日は少し足を滑らせるキャストの方が所々いらっしゃったような気がする。もしかしたら、中止の期間中に舞台の消毒を徹底的にやっただろうからその影響が残ってしまっていたのかも…。
見付さんレイエ、ピアンジの「ローマ」発音に対するダメ押しで初登場するわけですが…「ちがぁーーーうっ!!」の言い方がちょっとアンドレっぽくて可愛かったw。でもアンドレとは違って柔和な表情は封印し堅物感を前面に出して頑張っていたと思います。
山口さんのピアンジはとても久しぶりだったのですが、長く見てきた永井さんと比べるとちょっと声の深みが薄いかなぁという印象だったかも。すごい美声なんですが、腹の底にドンとくる感じではないかも。それから、眉間にしわを寄せていることがすごく多いのが印象的。常に心の中でイライラしてるように見えました。どちらかというとコミカルで笑顔が可愛かった永井さんとは対照的だなぁと思いましたね。
それから像によじ登る場面、山口ピアンジのほうがけっこうスムーズに乗れてるかも。決めポーズまでの余裕があった(永井さんは音楽が終わる寸前くらいにポーズしてたので 笑)。
カルロッタが支配人たちの前で歌うシーン、どうしても後ろにいる高井さんの反応が可愛くて気になっちゃう(笑)。うるさい歌声だなぁって感じで口半開きで呆れた表情してるのが最高ww。
♪Think of me♪
久保さんクリスティーヌ、急な登板とは思えないほど伸びのある素晴らしい歌声でございました。歌う喜びにあふれた雰囲気も良いんですよね~。
光田さんラウル、ボックス席に座っている時から貴族としての品に満ち溢れていて何とも神々しい。クリスティーヌの姿を確認した後「ブラーヴァア!!」と一瞬興奮はするんだけど、座った後はまたすぐに涼しい笑みを浮かべている。登場からクリスへのラブが止まらないといった感じの達郎くんとはかなり雰囲気が違っていてなかなか面白いなと思いました。
木村さんのジリーは普段すごく厳しいんだけど、クリスが成功した時には「本当に素晴らしかったわ」と優しく頬に手を当てる仕草をするんですよね。そこにはなんだか母性愛も感じられてジンワリ温かい気持ちになります。
♪Angel of Music♪
これまで色々なメグを演じる女優さんを観てきましたが、個人的には五所さんが一番安定感があって好きかもしれません。可愛らしくも安定した歌声も良いし、クリスティーヌへの友情の想いなどがとても自然に伝わってくる雰囲気も素晴らしいと思います。
♪リトル・ロッテ♪
ラウルがフィルマンやアンドレたちとクリスティーヌの楽屋へ向かう場面。達郎くんは早く一人になりたくてソワソワした雰囲気がダダ洩れてましたがww、光田さんラウルは落ち着いていて余裕の表情。「ここは僕一人に任せてくれないか」と告げる時の優雅さに支配人たちも自然と身を引いてしまうみたいな感じだったのが面白かった。フィルマンからワインを受け取る時もソフトで紳士的な感じ(達郎くんラウルは奪い取るような勢いありましたからねww)。
クリスティーヌがラウルを思い出して「あなたなのね!!」とめっちゃテンションが上がって抱きつくときも、どっしりと構えている印象が強い光田ラウル。あの瞬間から彼女はもう自分のものだという安心感みたいな感情が生まれていたのかもしれないなと思ったな。ホント、めちゃめちゃ余裕あるように見えたので。
クリスティーヌが父親が話してくれた「エンジェル・オブ・ミュージック」について熱心に語っている時も、光田ラウルはあまり真剣に聞いていない。そんなことよりも早く二人きりになって愛を深めたいという想いがちらちら垣間見えてる。帽子を取りに行くと告げる時にも「可愛い、ロッテ」と王子様的な笑みを浮かべていたし、なんかすごい自信家なラウルなんだなって思ってしまった。
隠れて見ていたファントムが嫉妬して怒り心頭になるよな…っていうのが納得できてしまう(笑)。
村田さんのブケーは女性ダンサーたちにファントムの怪談話をするときめちゃめちゃ楽しそうに語ってるんだけど、マダム・ジリーから脅されると急に恐ろしくなって恐怖の声を上げながら逃げ去っていくのが面白い。なんだかすごい人間味があって好きだなぁと思います。
♪プリマ・ドンナ♪
平良さんフィルマンの新聞投げ、今回は2誌落下して1誌だけ袖に吸い込まれるといった状況でしたw。投げてるんだけど力なくすぐ近くにヒュ~~って落ちてしまう新聞を見るとなんだか面白くてちょっと吹き出しそうになる(笑)。
カルロッタがファントムからの手紙を聞いて怒り心頭になるのを支配人たちがなだめようとする場面。山口ピアンジも2人の耳元で文句を言うわけですが、永井ピアンジとは違って普通にカリカリしてるといった雰囲気だったかな。支配人ズも「耳がぁぁ!」みたいなリアクションなかったし。
なんというか、声の迫力がちょっと物足りない気がするんだよなぁ・・・山口ピアンジ。カルロッタと二人で歌うシーンも辻さんの声に半分消されてしまっているような感じだった。それがちょっと残念だったかもしれない。
♪イル・ムート♪
バレエシーンでは吉田ケインくんの超爽やかで可愛い笑顔に釘付け(笑)。お客さんがまだザワついているのを察してか、爽やかスマイルで悩殺しにかかってたよww。あまり高くジャンプしてなかったのは、やはりこの日の舞台の床が滑りやすかったからかな?
私は見逃していましたが、バレエダンサーの皆さんは転倒防止のためか全員トウシューズでの出演だったようです。どうかお怪我などありませんように…。
♪All I Ask of You♪
久保クリスは事件のショックで動揺から精神状態が不安定になっているのですが、光田ラウルは彼女がどんなに心を乱していてもそれを受け止める防波堤的な役割を担えるような余裕を感じました。以前見た時には、ファントムへの複雑な気持ちに揺れるクリスティーヌを目の当たりにして苛立つような表情も見せていた光田さんでしたが、今回はそれすらもドンと来いで受け止めるといったような頼もしさがあったと思います。
久保クリスは次第にその胸の大きさに安心感を覚え、ラウルがキラキラの白馬に乗った王子様に見えてきてしまったという感じだったかな。あの心境の変化は、すごく幼く頼りない恋愛のようにも見えるんだけど気持ちは分かる気がする。光田ラウルは本当に大人の落ち着きを感じるので、そこに心奪われちゃうのは仕方ないかもなぁ…なんて。
ラウルへの恋愛感情に目覚めた久保クリスは恋する乙女モード全開でキャピキャピ喜んでる。そこには、恋に恋する少女のような雰囲気も感じられて…なんだかちょっと危うくもあるんだよね。
♪マスカレード♪
今回改めて気が付いたんですけど、ラウルが上手端っこの方でソロダンスする場面がなくなってたんですね。そのタイミングのところでマダム・ジリーに「クリスティーヌどこ行ったか見てませんか?」みたいに尋ねるリアクションしてました。今頃気づくとは(汗)。
面白いのはやっぱり清朝ルックの高井さん。「それな!」ポーズも相変わらず可愛いんですが、両手を合わせて体くねくねさせてるリアクションもめっちゃ萌える(笑)。そんな高井さんでしたが、袖に入る寸前のところで躓いてしまっててちょっと心配になってしまった。やはりこの日の板の上は全体的に滑りやすくなっていたのかもしれません。でも、大事に至らずそのあとマントばっさばっさやっていたのでホッと一安心。
支配人室
辻カルロッタが「こんなひどい役!!」とドンファンの楽譜を読んで憤慨する場面、山口ピアンジはそこにはあまり関心なくて自分の役柄がひどいことの方が怒り心頭といった雰囲気だったなw。
で、この後楽譜を下に落とすんですが、平良フィルマン踏みそこなってしまっててw増田アンドレは殆ど叩く仕草してませんでした(笑)。
ファントムを仕留める作戦を思いついた光田ラウルはかなり冷たい印象。クリスティーヌを守るというよりも仕留める方法を思いついたことに酔ってるような雰囲気がありました。そんな混沌とした状況を見たら、クリスも「やめてちょうだいっ!!」って叫んで止めようとするよなぁ。
あと、木村ジリー夫人が必死に作戦を阻止しようとするシーンも印象深い。どのジリーさんよりも決死の覚悟でファントム捕獲作戦を辞めさせようとしてて、木村さんで見ると彼女にもファントムへの情があるのではないかと思えてしまうんですよね。「彼女はグルだ」というカルロッタとピアンジの言葉がピタリとはまる感じ。そこが私は好きなんですが。
面白かったのは、めちゃめちゃイライラした雰囲気だった山口ピアンジが最後の最後にクリスティーヌに出演を懇願する場面で一番熱心に口説こうとしてたとこ(笑)。かなり前のめりになってクリスティーヌを諭そうとしてて「いつの間にそんな熱さが!?」とちょっとビックリしましたw。
ドンファンの練習シーン
見付レイエさんは全体的にちょっと落ち着いた雰囲気でお稽古に臨んでましたね。ピアンジがミスった時もあまり強い調子で注意してなかった。ただ、数回間違えるとさすがにイライラが募ってきたようで「だいたい良いんですが、違うんですっ!!」とかなりキレた感じで指導に入ってましたww。
♪墓場♪
久保クリスティーヌは、ラウルへの恋愛感情とファントムへの思慕の念との間で板挟みになって苦しんでいるというのがすごくリアルに伝わってきます。父への想いを歌った後に感情をこらえきれなくなり泣きながらお墓のほうへ駆け出していく姿が泣ける…。
「でも、もう寂しさに耐え」と気持ちを切り替えようとする場面、以前見た時よりも少し”強さ”が影を潜めたかなといった印象。まだ心の中の不安な気持ちはぬぐえないけれど、なんとか自分を奮い立たせようと必死になっているといった雰囲気のほうが強く感じました。個人的には今回の方がしっくりくるかな。
♪ドン・ファンの勝利♪
ドンファンの部屋から笑いながら飛びだしてきたメグが、パッサリーノの髭を撫でるように触って袖に引っ込んでいく場面。高井さんパッサリーノ、めっちゃ鼻の下が伸びてる感じで今にもメグのほうに吸い込まれそうになってた(笑)。
それから、ピアンジが寝室に身を隠そうとする場面。永井さんはけっこうここのカーテン閉めに苦労していたので山口さんはどうかな…と思っていたのですが、同じくかなり苦戦しておりましたw。やっぱりカーテンのどこを掴むかで綺麗にシャッと閉まるかが決まるから緊張するのかもしれないですねぇ。一度引っかかっちゃってドキリとしたのですが、何とかうまく切り抜けててホッとしました。でも、最後の最後で手だけがニュッと出てきちゃっててwwあれはちょっと笑いそうになってしまった(笑)。
ここから先はただ熱いだけの主観入りまくりな洋輔くんファントムの感想になります。笑って読めるような心の広い方は次のページへどうぞ。