劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演 2022.07.09マチネ

飯田洋輔くん(ファントム役)について

数日前に四季から発表された名古屋『CATS』のお稽古写真に写っていたので、当分大阪では会えないかなぁと思っていたんですよね。なので、今回の緊急事態に彼の名前が掲載された時には少し驚きました。たぶん、6月のオペラ座が終わった後少し間を置いてから『CATS』に集中するモードに入ったと思うんですよ。そんな稽古も終盤に入った頃の今回のファントム登板ですから、精神的にも肉体的にもかなりハードだったと思います。

舞台の幕を上げるために今回のハードスケジュールを縫って大阪に来てくれたこと、本当に感謝の気持ちでいっぱいだよ。だけど、体調面もちょっと心配…。特にこの時期は新型コロナの脅威も大きくなってるし、体調管理とか今まで以上に気を遣ってると思う。どうかどうか、このまま健康で元気に乗り切ってほしいと祈るような気持で舞台を見ました。

色々私自身の心境が切羽詰まったような感じになってしまっていたので、今回は洋輔くんのファントムを見ても感極まる涙を流すことはないかもしれない…なんて思っていたけれど、やっぱり最初に歌声が天井から響いてきたときには涙が溢れてしまいました。洋輔くんの歌声を聴いて、ちょっとホッとしたという気持ちの方が大きかったかもしれない。それからやっぱり、またこうして会うことができたっていう喜びの気持ちも…正直ありました。

どうあがいても、やっぱり洋輔くんは大好きでずっと応援してる俳優さんなのでファンの色眼鏡的な気持ちで見てしまう。冷静に見たら色々と細かいところとか気になる部分もあるとは思うんだけど、そこを見つけるのがどうにもこうにも難しいw。
特に今回は洋輔くんに心の救いを求めに駆けつけたという意味合いが大きいので、舞台の上に立っている姿を見ただけでもう感無量の心境でした。

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♪ミラー♪での「私の宝物に」の歌い方は最初に見た頃よりもずっと迫力と厚みが加わってきたなと思います。最初の「わ」の音だけでファントムの怒りの気持ちがひしひしと伝わってくる。ミラーの向こう側から聞こえてくる歌声は本当に力強くてドキドキする。
そして、姿が見えた時…なんか今まで以上に心拍数が上がった。あぁ、洋輔くんのファントムがそこに立ってるよ!!って思えただけでやっぱり感極まっちゃって…気が付いたらやっぱり涙が溢れてしまった。

♪The Phantom of the Opera♪で隠れ家に辿り着いた時、クリスティーヌを見つめながら彼女の手を取る仕草がとても奇麗。「歌え!私の音楽の天使よ!」とクリスティーヌに歌を促すときは前回見た時よりも少しソフトな感じだったかな。
それから、クリスと一緒に口を開けて歌う仕草を見せるのがちょっと影を潜めてた。以前見た時はずっと口を開けてた気がするんだけど、今回見たら半分くらいは口を閉じてクリスティーヌを見つめてた。より彼女に気持ちを集中してるようにも見えて、これはこれで最高だなと。

ハットやマントの扱いは何回見ても本当に完璧。洋輔くんのこんなキレのある動きを堪能できるなんて…ファントム役ならではだなと内心ほくそ笑んでしまうw。

オルガンを弾いた後「私はおまえに求めた」の歌い方がすごい切実な感じでグッと来たなぁ。クリスティーヌを間近に迎えて心の中が興奮状態に陥っているのがすごく伝わってくる。「私のために歌ってほしい、どうか」のところではもう祈るような気持ちって感じ。なんかそんな歌い方を見てるだけで涙が出たよ(泣)。洋輔くんがすごくファントムの気持ちに寄り添って芝居をしているのがひしひしと伝わってくる。

♪Music of the Night♪はとても丁寧に歌っている印象が強かった。それだけに、最初の歌声は柔らかさと美しさが入り混じっていてどんどん心が癒されていく感覚がありました。まさに、エンジェルの歌声だよ…あれは!「空に高く」の高音で伸ばすところも柔らかくきれいに歌っていたと思います。
「君は私のもの」とクリスティーヌをバックハグする時もどこか温かみを感じるんですよね。彼女に触れたいといった衝動ももちろんあるんだけど、大切にしたいという気持ちも伝わってくるようでなんだかとても泣けるのです。

そして、クリスのダミー人形ご披露の場面。突然動き出した人形にビビッて倒れた久保クリスに、洋輔くんファントム今回もめっちゃ動揺してた。あの「あっ…どうしよう」って感じの狼狽えっぷりがホント彼らしいというか。
マントをかける時にも、彼女を起こしてしまわないようにそっと優しく微調整しながらといった感じで実に愛らしい。洋輔くんの演じるファントムって、本当にクリスティーヌに対してとても愛情深い一面を見せてくる。そこがたまらなく私の心を揺さぶるんだよなぁ。

最後の伸ばす音は、ちょっとしんどそうにも見えたけど粘って綺麗に収めていました。難曲が多いから大変だと思うけど、頑張れ!な心境。

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オルガンで作曲中のシーンは、天から音楽の神が自分の頭の中に降りてくるのを待っているようなイメージ。ハットに手を触れたあの時に音楽のアイディアが浮かんできて楽譜に向かうんだけど、無我夢中で書き込むというよりかはじっくりと音楽と向き合いながら丁寧に書き込んでいくといった感じで、その様子がとても美しかったです。

クリスティーヌに仮面を剥がされた瞬間はグァッとすごい表情するんだけど、前回見た時よりかはあまり表情を表に出してない印象だったかもしれない。ただ、その後の怒りっぷりが凄まじくて、声を枯らさん勢いでクリスティーヌを脅しにかかっていてちょっとビックリしました。それほど彼にとっては衝撃が大きい出来事だったわけだよなぁ。その前まではすごく彼女に紳士的で優しかっただけに、なんだかその姿がとても哀しく見えてしまった。

匍匐前進でクリスティーヌの前まで行く場面で「おお、クリスティーヌ」と呻くのですが、以前よりも彼女の顔を見れない感じになってましたね。そのまま体を背けて蹲るみたいな…。その後ろ姿がとにかくめちゃめちゃ切ないんですよ(涙)。悲しむ芝居をしてる時の洋輔くんの背中は本当に哀しくて涙が出ます…。
仮面を返してもらった後、少しクリスのほうを見つめるのですが…すぐに視線を逸らせて「行かなければ」と腕を引っ張って連れて行ってしまいました。ファントムの心の傷が以前よりも深く感じられるようになった気がします。

♪イル・ムート♪で舞台上の淵に現れるシーン。下から見ると、本当に綺麗なんですよね~表情が。肘をついてケラケラ笑ってる姿はまるで子供のようにも見える。人に危害を加えることに何の躊躇いもないような危うい笑い方なんだけど、おどろおどろしいというよりも幼い印象もある。

♪All I Ask of You♪での光田ラウルの余裕な王子様っぷりが本当に少女漫画の世界のような雰囲気だったので、なおのことファントムの嫉妬の気持ちが痛いほど伝わってきました。っていうか、エンジェル像の上でか細い声で歌いながら唇をかみしめて悲しみに耐えてる洋輔くんファントムの姿がもう、見ていて辛くて辛くてたまらなかった…。推しの表現に大きく心を揺さぶられているのに、なんだかそういう感情を越えてめちゃめちゃ哀しくなっちゃったんですよね(涙)。なんかもう、胸が苦しくて涙がポロポロ零れて止まらなくなってしまった…。

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♪墓場♪のシーンで十字架から現れる姿は本当にとても美しい。洋輔くんのファントムを複数回見てきて思うけど、立ち姿がすごく綺麗なんですよね。その姿を見て思わず惹きつけられてしまうクリスティーヌの気持ちは痛いほどよく分かる。
そんな彼女に「忘れたのか、エンジェル」と歌う時の声色のなんと優しいことよ!あれぞまさしくエンジェルオブミュージックの響き。あの声の魔力に私もずっと魅了されてきた。

三重唱になる場面でファントムは上パート担当なのですが…、この時めちゃめちゃ情熱的に歌ってるんですよね。それがすごい心揺さぶる歌い方で涙なしには聴けない。クリスティーヌを何としても自分の手元に置いておきたいという執念すら感じます。

ラウルへの火の玉攻撃、以前よりもちょっと本人に当たらないように配慮した感じになっていたような!?気のせいかもしれないけどw。でも、達郎くんとのコンビで見た時は2発くらい命中してたのでww、それに比べるとちょっと離れたところに撃ってたと思います。

♪The Point of No Return♪で最初は自分の感情の昂るままに歌っている感じだったのが、クリスが演じるアミンタとの距離が近づくにつれて鼓動が高鳴ってドギマギした感じに変わっていく。このあたりの変化を洋輔くんはとても丁寧に演じていると思います。ベールに隠した自分の顔とクリスティーヌの顔が向かい合った後にサッと逃げるように顔をそむけてしまうシーンは特に印象深い。
彼女に体を寄せられた後は、もう自らの正体を隠し切れないファントム。クリスの手を思わず強く握り舞台の中央へ引っ張ってしまう強引さ。それに憤りを感じた彼女はファントムのベールをめくりあげてその正体を晒します。

正体を晒された直後の「なぜ…!??」といった驚きの表情が、もうめちゃめちゃ切ないんだよねぇ…。クリスが自分を貶めるような行為をするはずが信じていないが故の衝撃があの中にすべて詰まってる。
そしてその後舞台の奥で背を向けたまま一人耐えてるんだけど…やっぱりあの背中が…!!これはファンの欲目かもしれないんだけど、洋輔くんの哀しい背中のお芝居が本当に真に迫ってて辛すぎて涙無くして見れない(泣)。あの孤独の影が具現化されたような姿が切なくて辛くて胸が苦しくなってしまう…。

そして何とか気持ちを奮い立たせてクリスティーヌの指に指輪をはめる。そこには祈るような気持ちが込められているようで…何とかその願いをかなえてあげたい気持ちにさせられそうになる。
でもクリスティーヌはファントムの仮面をはぎ取ってしまうわけで…あの瞬間の衝撃を越えた混乱に満ちた表情がもう何とも言えず哀しかったな。

怪人の隠れ家でクリスティーヌに責められた時、醜い顔が自分をこうしたのだとファントムが歌う場面。この時洋輔くん、歌というよりもセリフをぶつける感じで演じていたのがとても印象深かった。それだけ彼の中でクリスティーヌを手放したくない想いが溢れて仕方ないんだなと思えてめちゃめちゃ切なかったよ…。最後のほうなんか涙声になってたし…もう本当に見ていて心が締め付けられそう(涙)。
「母にも嫌い抜かれて」と生い立ちを歌うシーンでの立ち姿は孤独そのものです。彼がいかに過酷な運命を辿ってきたのかがあの姿や表情からリアルに伝わってくるようだった。

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クリスティーヌから「醜さは顔にはないわ」と説得される場面、ファントムはその言葉に耳を貸さずに彼女の花嫁準備に忙しい。ベールをかぶせる時の手つきはとても乱暴でガッガッと強引にやってるのに、ブーケを手渡すときは「そうそう、これこれ」みたいにちょっと嬉しそうな表情を垣間見せる。この時の子供のような表情が逆になんだかすごく痛々しくてねぇ…(涙)。

ラウルの気配を感じた直後の洋輔くんファントムの目がすごい狂気に満ちていてゾクッとさせられます。彼女の片手をねじりあげるようにして「どうやらお客さんだ」と告げるのでなおさら怖い。
ラウルの前ではひたすら”余裕のある自分”を演じようとするファントム。だけど、どんなに自分を優位に見せようとしても動揺の気持ちは隠し切れなくて体がずっと落ち着かない。
一番切なかったのは「情け知らず」とラウルから罵られた時に反論する場面かなぁ。あの時に「情けなど知らない!!」と思わず素の感情が漏れてしまうわけで、その瞬間の洋輔くんファントムの表情がとても哀しげに見えて泣けました…。

ラウルの首にロープをかける時の「この償いはおまえがするのだ!」の時の悪魔感がまたパワーアップしていたように思います。「ダァーーー!!」とドスを利かせた歌いまわしにしていたり、その直後に高笑いをしていたり、もうそこにはラウルへの殺意しかない。久保クリスの「ぎゃぁーー!!」という叫び声が妙にリアルに響いてきて、すごいホラーな雰囲気になってました。

でも、クリスティーヌに二者択一を迫るあたりからファントムの心が追い詰められていくのが伝わってくる。二人を罵りながらも、本当にめちゃめちゃ苦しそうなんだよ…。
そして一番哀しいと思ったのが、クリスティーヌから「哀しみの涙今、憎しみに変わる」と告げられてしまう場面。あの瞬間の、洋輔くんファントムの何とも言えない激しいショックを受けた表情が忘れられない…。「なんでそんなことを言うんだ!?」といった混乱する気持ちの直後、唇を噛みしめながら下を向いて悲しみに震えてるんだよね(涙)。あの姿見ただけでもう、見ているこちらの呼吸が困難になるくらい辛くて苦しくてたまらなかったよ…。

激しい応酬の後、椅子に座ったファントムの追い詰められっぷりがこれまた痛々しい…。彼の中にはもう余力が残っていないようで、あぁ、心理的にもう限界なんだなっていうのが見てるこちらも分かってしまう。最後の力を振り絞るようにクリスから目を背けながら叫ぶ「選べ!!」の声がとても哀しく響いてきたな…。

そこからのクリスからのキス。オペラグラスで必死に見ようとしたけど、もう涙で前が見えない状態で(汗)。でも洋輔くんのお芝居で一番印象深いのはどちらかというとキスをされた後なんですよね。これまで彼の中に渦巻いていた黒いものがあのキスで浄化されてしまったように見える。
すべてをリセットされたように、呆然としながらフラフラと前に進んで、真ん中を過ぎたあたりでふと自分の唇に手を当てキスをされた感触を確かめるんです。この時の表情が、なんというか…この世に生まれたばかりの幼児のような雰囲気ですごい胸を衝かれた。ラウルの声が聴こえなかったら、もっと長い時間あの場に立ち尽くしていたのかもしれないと思えるほど。

ラウルのロープを断ち切る時、洋輔くんファントムは自分が受け入れなければいけない運命と対峙しているように見えます。今にも泣きそうな苦しい声で呻きながらロープを焼き切ってて…もうそれだけで辛くて切なくて泣いちゃうよ(涙)。
そして二人を逃がすときの最後の「行け!!行ってくれ!!お願いだぁーーー!!」がもう、泣き叫んでいる状態で声が掠れてしまってたほどで…「お願いだ」のあとはその場に泣き崩れちゃってたよ…。あんなん見たらもう、見ているこちらの精神状態持たない!なんという哀しい姿…。

そして、猿のオルゴールに乗せて歌う♪マスカレード♪。今回はかなり早い段階から片手で猿の顔を隠していて…それがさらに切なさを増幅させていました。そして、「生きてきたこの人生」と歌った直後の何とも言えない寂しそうな姿…。邪の心が洗い流された状態でのあの孤独の色を出す芝居はもう絶品すぎて言葉が見つかりません(語彙力破綻)。
クリスティーヌが戻ってきたときの気配を感じた時は一瞬「もしかして」という期待めいた表情をするんだけど、彼女が指輪を外したのを見てすべてを悟る。自分に訪れる運命を必死に受け止めようとしているようで本当に泣けた…。

印象深かったのは、「アイラヴユー」と心からの愛を告げた直後に久保クリスが声を上げて泣いた場面。触れ合った手と手が離れるまでの時間がとても長く感じられました。このシーンを見た時、久保クリスはファントムのことを本当の心の底では愛したんだろうなって思ったかもしれない。オペラ座の続編「ラヴ・ネバー・ダイ」のクリスティーヌに繋がるような感じでしたね。
洋輔くんファントムもぎりぎりまでその手から離れようとしなくて…もうこの二人の別れが切なくて切なくて仕方なかったです。

クリスティーヌが立ち去った後、彼女からの指輪をはめてその手にキスをしながら佇むファントム…。洋輔くん、本当に愛しそうにそっとキスをしていてめっちゃ泣ける(涙)。この温かみを感じさせる彼ならではのお芝居が私は本当に大好きなんだよなぁ。
クリスのベールを抱えながら彼女の名前を呼び自分の頬に当てるファントム。この時めっちゃ泣いてたんだよね…洋輔くん。もうそれだけで私の涙腺大決壊だよ(号泣)。涙涙でクリスの名前も一度しか口にできなかったほどだったし…。

その悲しみを振り払うかのように歌うラストシーン、本当に素晴らしかったです!!急な登板だったのが信じられないほどの熱い熱いファントムだった。思いがけない再会だったけど、洋輔くんの歌とお芝居に触れられて本当に幸せだったな…。

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後述

今回の観劇は本当にイレギュラー的なものだったのですが、大好きな作品、大好きな推しに会うことができて本当に心が癒されました。それから、色々とホッとしたという気持ちも大きかったです。新型コロナ禍で多くの舞台公演が危機に瀕し始めている昨今、こうして元気な姿を確認できたことが何というか…すごい癒しになったんだよなぁ。

恐ろしい事件をテレビを通して目の当たりにしてしまったこともあり、いつ何が起こるか分からないということを痛感させられてしまった。洋輔くんの舞台をこうして観に行ける機会だってもしかしたら難しくなることもあるかもしれない。とにかく、会える時に、元気に舞台の上で生きている彼の姿を見たくなったのです。
カーテンコールでいつものホワッとした雰囲気で笑みを浮かべている洋輔くんの姿を見た時、なんだか無性に嬉しくて感極まって…今まで以上に涙が止まらなかった。

とはいえ、世の中かなり厳しいことになってきました。『CATS』出演も控えているようですし、スケジュール的にもかなり忙しそうでちょっと体調が心配です。彼の心を揺さぶる歌とお芝居はミュージカル界の宝だと思っているので、どうかどうか健康でこの難局を乗り切ってほしい。

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