劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演を観に行ってきました。
1月に激しく観劇遠征しまくってしまったので、2月はこのオペラ座と翌日のノートルダムの2本に抑えましたw。
推しは出演していませんでしたが、唯一当選したイベントがこの日という事で観劇することに。劇場ロビーに辿り着くと、キャストボードの前が長蛇の列になっていてビックリ!飯田兄弟共演の時もすごかったけど、今回はやっぱり佐野さん効果という事でしょうか。昨年ロボ庭が終わったあとに久々ファントム復帰されて以来でしたからね。
イベントに当選していなければこの日に観劇していなかった可能性が高いので(汗)、思いがけず佐野さんファントムに巡り合うことができて嬉しかったです。
劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』感想一覧
以下、超ネタバレを含んだ感想になります。
2023.02.16 マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪・西梅田)
主なキャスト
- オペラ座の怪人:佐野正幸
- クリスティーヌ・ダーエ: 藤原遙香
- ラウル・シャニュイ子爵: 岸佳宏
- カルロッタ・ジュディチェルリ:河村彩
- メグ・ジリー: 石橋杏実
- マダム・ジリー:秋本みな子
- ムッシュー・アンドレ:増田守人
- ムッシュー・フィルマン: 平良交一
- ウバルド・ピアンジ:山口泰伸
- ムッシュー・レイエ:林和男
- ムッシュー・ルフェーブル:志村要
- ブケー: 見付祐一
改めてこの日のキャストを見てみると…重鎮級の方がズラリ。初期の頃からオペラ座に出演されていた方(佐野さん、秋本さん、林さんは初演組)と、比較的新しくオペラ座に参加された方とのバランスが絶妙で緊張感のある良い舞台だったと思います。
全体感想・キャスト感想
オークションの場面、久しぶりに志村さんのオークショナーで見ましたが…オドロオドロしさにさらに磨きがかかっていたように思いますww。「もう出ませんかぁ?」の問いかけ方とかホラーちっくで面白いです。なんか、タイムボカンシリーズのドクロベエ思い出してしまうのは私だけでしょうかw!?
♪ハンニバル♪
ピアンジが「ローム」の発音を無視して歌いきっちゃう場面、この時の林レイエさんは「をいっ!!」とちょっと血相が変わりはするもののあまりプリプリとは怒ってない。それがなんか逆に怖い気がしますねぇ。腹の底では「後でじっくり絞ってやるからな」的なこと考えてそうでw、ピアンジ…後が怖いぞ~~と冷や冷やしてしまいました。
山口ピアンジはお稽古中かなり不機嫌そうな表情を見せてるのが印象的。ハンニバルの象によじ登った後も永井さんは「やれやれ~~」みたいな笑顔を見せるのに対し山口さんは「なんでこんなのによじ登んなきゃなんないんだ」みたいなイラっとした表情してるんですよねw。
さらにフィルマンとの挨拶の時は相当な御立腹で。目も合わせてくれないフィルマンに対しての怒りが収まらず志村ルフェーブルに悪態付きまくってました(笑)。気持ちは分かるww。
平良フィルマンは本当にお久しぶりだったんだけど全く芸術に関して無頓着で面白いです。ピアンジの挨拶をほぼスルーした後、劇場の設備にばかり興味がいってるようで床のライトとかチェックしまくってましたねw。
見付さんのブケーも久しぶり。っていうか、大阪公演だけで4役は見てる気がする。アンドレ、レイエ、ブケー、9枠アンサンブルなど…ほんと、すごすぎるわ。
♪Think of me♪~♪エンジェル・オブ・ミュージック♪
藤原クリスティーヌ、最初に観た頃よりもかなり歌声がしっかりして安定感が出てきたように思います。ToMの歌いっぷりも素晴らしかったです。
秋本さんのマダム・ジリーはこの日が初めて。初演の頃は確かメグを演じられていたんですよね。ついにマダムとしてデビューされたという事で感慨深いものもあると思います。秋本ジリーはどちらかというとスパルタだけど言い方はどこか柔らかい。特に歌い終わったクリスティーヌを労う場面は温かい母性が前面に出ていてちょっと胸が熱くなったな。ダンサーたちに「今夜は全然ダメ」と指摘する時も厳しさの中に彼女たちへの思いやりも含まれているように感じられてちょっとホッコリしました。
石橋杏実さんのメグは今回が初めまして。可愛らしさもあるのだけれど、どちらかというと美人で清楚なお嬢様といった雰囲気があってクリスティーヌと並ぶと”お姉さん”のように見える瞬間がありました。これまで見てきたメグとは少し違った印象があって新鮮だった。
♪リトル・ロッテ♪
久しぶりの岸ラウル!!なんか以前見た時よりも若々しくなってるように見えたのは気のせいだろうか?っていくらい爽やかでキラキラしてましたね。舞台で歌っているのが幼馴染のクリスだと確信した瞬間から恋愛モードにググッとのめり込んでいくような表情がとても印象深いです。ここから彼の頭の中には彼女のことばかり浮かんで落ち着かなかっただろうなと思えてしまう。
それを一番感じるのが楽屋へ向かう場面。アンドレやフィルマンたちと一緒に居ても心あらずって感じで「早く二人きりにさせてくれ」的なオーラがダダ洩れまくってました(←「申し訳ないが」と切り出す前までの表情がめっちゃ分かりやすい 笑)。
いざクリスティーヌの前に立った時の岸ラウルは完全に”恋する青年”。クリスティーヌが幼い頃の思い出話をしている時もすごく愛しそうな表情してたなぁ。そうするうちにもう逸る気持ちを抑えきれなくなって夕食に強引に誘ってしまう岸ラウルの青さが良い。防止取りに行く時に彼女に向けた笑顔、めっちゃ嬉しそうで可愛らしかったな。
♪ミラー♪~♪The Phantom of the Opera♪~♪The Music of the Night♪
佐野さんのファントムを観たのは2年半前の東京公演以来(その当時の感想はこちら)。かなり久しぶりの再会でしたが、「ブラヴぃ~」という最初のファントムの歌声が聞こえてきた瞬間に”あぁ、佐野さん来たわーーー!”とテンション上がりました。あの何とも言えないセクスィ~でネチっこい独特の声は唯一無二。
♪ミラー♪の時の怒りっぷりも勢いで脅すというよりかは雰囲気で圧倒するという感じ。姿が見えていなくても、あの声を聴いただけで震えあがってしまうような歌いっぷりは佐野さんにしか出せないかもしれない。
PotOの時のボートの上の存在感がまたすごかった!!頭のてっぺんから足のつま先まですべてが”ファントム”でしたよ。なんだろう、あの、流れるような艶めかしい動きは…!!全く目が離せない。骨の髄まで”ファントム”の魂が染み込んでいるからこそ出せる存在感に圧倒されました。
隠れ家に付いた後もクリスティーヌの手を取り招き「歌え!!」と叫ぶところまで本当に何もかもが”ファントム”そのものです。とにかく艶めかしくて、あれはクリスが呑み込まれてしまうのも納得。改めて佐野さんって本当に凄いレジェンドファントムなんだと実感させられました。
ただ、MotNの時の最後の伸ばすところはちょっと息が続かないかなという感じかな。あそこは若手ファントムさんたちの方が最後まで完璧に歌いきれてる。佐野さんファントム、以前からそこにちょっと不安はあったので個人的には「今回もだったかな」という感想ではありましたが、でも、そこを補って余りある雰囲気のファントムでしたから大きくは気になりませんでした。
そうそう、クリスの花嫁人形に彼女がビビッて倒れてしまうシーン。佐野ファントムあの時にちょっと”どうしようっ”と動揺した素振りを見せるんですよね。洋輔くんはさらにそこを大きく演じていますが、あれは佐野さんの影響をかなり受けたんじゃないかなとチラッと感じてニンマリしてしまったw。
作曲している時の佐野ファントムは、音符を書いては消しての繰り返し作業が多めかなという印象。思いついた音楽を綴るんだけど、途中で違和感を感じて手で譜面をこすって消していく感じ。このちょっとした仕草がものすごくリアルで印象的でした。あれだけで、ファントムの音楽家としてのストイックな一面を感じることができますからね。こういう繊細なお芝居は佐野さん本当に素晴らしい。
クリスに仮面をはぎ取られた瞬間の「ぐわぁ」は思ったよりも控えめだったのですが、「ちくしょう!!」がめっちゃ迫力あって怖かった(震)。さらに「地獄へ行け!」が地底のマグマが沸々と湧き立つような低い唸り声だったのがまたさらにゾクッとさせられたよ…。あの言い方は他のファントム役者さんでは見ていないので(だいたい叫んでることが多い)すごい戦慄を覚えたかも。
「美しいものに焦がれる」とクリスに匍匐前進していく時の佐野ファントムはものすごくオドロオドロしい。でもそれだけ「美しさ」への憧れの強さがリアルに伝わってきた気がします。印象的だったのは、クリスから仮面を返してもらった時の表情。佐野ファントムは彼女の行動にすごく衝撃を受けていてなかなか仮面を手に取ろうとしてなかった。それだけ彼の心の中が激しい感情で揺さぶられていたんだろうなと思うとなんだかものすごく泣けました…。
♪ブリマ・ドンナ♪
久しぶりに平良フィルマンの楽譜飛ばし見たけど、以前よりも袖に飛んで行ってたような気がしますw。私としてはそこはちょっと寂しく思ったりしてww。増田アンドレとのコンビはやっぱり安定感抜群ですねぇ。なんというか大人のおかしみが滲み出ていて安心して見ていられる。
山口ピアンジは河村カルロッタが大好きっていう気持ちがダダ洩れてて本当に可愛らしい。本気で彼女のことを想ってる気持ちが伝わってきます。支配人たちに「手遅れだ」と言い返すときもめっちゃムキになってるのが垣間見えてニンマリしてしまうw。
岸ラウルはもうクリスティーヌのことが気になって仕方がない感じ。彼女に会えないと告げられると表情が思い切り曇ってさらに彼女への気持ちに火が付いたようになっていく。
♪イル・ムート♪
イルムートを観劇してる時のボックス席はどちらも見応えがありますw。5番ボックス席に座ってる岸ラウルはクリスティーヌが可愛らしい仕草をしているとクスッとした優しい微笑みを見せていて本当に萌える。あれは恋する青年のピュアな顔だよ。でも、芝居自体はあまり興味がない…というかけっこう退屈してて、途中で肩肘ついてちょっと溜息漏らしてるような表情するんですよねww。なんと分かりやすい(笑)。推し定点観測といったところでしょうかww。
退屈してると言えば、平良フィルマンもそう。金本さんの時は途中で寝落ちしてしまうパターンが多かったけどww、平良フィルマンはとりあえず起きてた(笑)。でも、もう明らかに表情が「つまんねぇなぁ」って言ってるww。お隣の増田アンドレは身を乗り出さんテンションで楽しそうに観劇してるので、なおさら二人の対比が面白くて思わず吹きそうになります(笑)。
カルロッタのカエル声は毎回面白いんですが、佐野ファントムが上からまるでその声に合わせるような笑い方をしてたのがけっこう笑えましたw。なんか、笑い声がカエル声にも聞こえてきて…どっちがどっちだか分らなく…はならないけど(笑)なんかセッションしてるような響きに聴こえてきて面白かった。
バレエシーンの時のケインくん、相変わらず可愛い笑顔がとても印象的。客席に向かっての投げキスも最高です。ファントムの影を見てしまった後のリアクションは、以前は”自分が落ち着かせなければ”といった使命感からか必死に取り繕うような動きをしてたけど、今回見たら女子ダンサーのみんなと一緒にかなり怖がってましたねw。それはそれでまた可愛いくて萌え(笑)。
♪All I Ask of You♪
屋上に辿り着いた時の岸ラウルは藤原クリスティーヌの気持ちを自分の方に向かせようととにかく必死で一生懸命です。それがなんだかとてもイジらしくてキュンときてしまう。岸ラウルってもう本当にクリスティーヌのことが大好きでたまらないんですよね(ほかのラウルさんも同じですが、岸さんはさらにその上を行くように感じます)。それゆえに、彼女が自分に心を許してくれたあとはもう天にも昇るような喜びが滲み出ていて、見ていて思わず”よかったねぇ”と言いたくなってしまった。
この現場を目撃してしまった佐野ファントムはというと…悲しみというよりも最初から”怒り”の感情が上回っているかのような凄味のある雰囲気を醸し出していました。ラウルとクリスティーヌのラブラブな現場がリフレインしてきたときも、嘆きから耳をふさぐというよりかは”よくも裏切ってくれたな”といった激しい憎しみが募っていき呼吸困難になっていくといった感じ。
「これほどの辱めを」の直前の怒りに持っていくタイミングの声は、他のファントム役者さんよりも控えめなんですが(ぐぬぬ…って唸る感じだったかな)、その前からかなり沸点に近い怒りを感じたので気にならなかったかな。まぁ、個人的にはあそこをもっと爆発させるように叫んでくれる方が好きなのですが。ただ、佐野さんの場合はもう、存在そのものがメラついてたのであの表現で良いのだと思います。
♪マスカレード♪
冒頭のフィルマンとアンドレが背中合わせになる場面、平良フィルマンはすれ違った後に一回安心したように力を抜くんですよねw。ここで一度誰も怪しい人がいないと確認しているので、その直後にアンドレさんとぶつかった時のビビりっぷりがリアルでめちゃめちゃ可愛かったw。だけど、お互いの顔を見るときはビクビクはしてるんだけど悲鳴は控えめだったかな。このあたり平良さんと増田さんのベテランならではな雰囲気だったかもしれないw。
岸ラウルは藤原クリスティーヌとラブラブな雰囲気になれてもう本当に嬉しいという気持ちがダダ洩れ。特にリフトしてる時の笑顔がめちゃめちゃ優しそうな表情しててグッときちゃいます。
佐野さんのレッドデスは階段を降りてくるときからもう、迫力が違う。ここでも本当にゾクっとさせるような艶めかしいおどろおどろしさを感じます。あれはみんな「ひぃっ」って引いちゃうよな。
♪支配人室2♪~稽古場
ファントムからの手紙の場面、ピアンジの体形を揶揄した内容の時の平良フィルマンと増田アンドレは比較的落ち着いた雰囲気なんですよね。金本さんの時はかなり大きなリアクションしてるのですが、平良さんは増田アンドレに目配せして”言えてるな”程度の合図送ってる感じww。それに対して増田アンドレも”シィー、気づかれちゃう”みたいに控えめに反応してます(笑)。これはこれで面白いw。
ファントムを仕留める作戦を思いついた後の岸ラウルの豹変はかなり迫力あります。でも、それを制止しようとするクリスティーヌに対しても”絶対成功するから大丈夫”みたいに一生懸命説得を試みてる。あの場面では彼女の存在よりもファントムを退治するほうに意識が向いてクリスをおざなりにするパターンもけっこうあるんですけど、岸ラウルは興奮しながらもちゃんとクリスの存在も見えてるんだなと感じられるのが良いなと思います。
ドンファン稽古場での林レイエはひたすら厳しい。何度も間違えるピアンジに対しての「違う!!」のダメ出しもかなりイライラが募っていて「だいたい良いんだけど」の時もあまり引いた感じじゃないのが面白いなと思いました。
このシーンの時のピアンジってけっこうマイペースで、最初に歌い出すときも自分の箇所が分からなくて隣のカルロッタに優しく教えてもらってるんですよね。この時の”あ、そっか”みたいなニッコリ顔がめっちゃ可愛くて萌えます、ピアンジさんww。
♪墓場♪
このシーンの時の藤原クリスティーヌは歌声の中に父親への思慕の念が深く籠められていてとても感動的です。柔らかく時に少し頼りなさを見せつつも、徐々に”強くあらねば”と自分を鼓舞するように力強く深い歌声に変わっていくところが素晴らしい。
十字架から出てくる佐野ファントム…本当に墓から出現した”亡霊”のよう。他のファントム役者さんたちとはやはり醸し出す空気感が違う。なんというか、ハッと息を飲む凄味があるんですよね。このあたり本当に佐野さんすごいなと思います。
ラウルへの火の玉攻撃のシーンは迫力あった!!佐野ファントムのオドロオドロしい脅しの攻撃に対し、岸ラウルは真っ向から向かって行ってて何度も彼のハットに火の玉が当たりまくってました。それをすごい勢いで払い飛ばしてて、岸さん、佐野さんに全く負けてない!と感動しちゃったよ。
♪The Point of No Return♪
1幕ではちょっと声が伸びないかな、みたいな印象があった佐野ファントムですが…2幕に入ってからは嘘みたいに声が伸びまくり!!PoNRの時の歌いっぷりはまさに圧巻でした。フードを深めにかぶっているので最初は表情が見えないのですが、それでも、そこに存在しているだけで今にもクリスを取って食ってしまいそうな迫力があって…見ていてものすごくゾクゾクしました。すごい執着心!!
クリスにフードを剥がされた瞬間は目を見開いて暫く彼女の方をじっと見つめてた佐野ファントム。そのあと顔を背け下がっていくわけですが…背中からはなんだか妖気のようなものが見えてくるような…そんな雰囲気がありました。”クリスティーヌは私のモノだ”と自分自身に落とし込んでいるような感じ。
「どんな時でも二人の誓いは」と彼女に近づいていくのですが、佐野ファントムはクリスティーヌのすぐ目の前に辿り着くまで指輪を外してませんでしたね。なんとも言えない表情で立ち尽くしている藤原クリスのすぐ間近に来たところで指輪を外して「言ってほしい、僕がいると」と言いながら彼女の指にはめていて…、まるで婚礼の儀式をしているように見えてとても感動的だった。
♪怪人の隠れ家♪
クリスから「飢えた悪魔の餌食」となじられた時の佐野ファントムは一瞬苦しそうな表情を浮かべるんだけど、過去を語るシーンの時は怒りの感情がすごく前面に出ているなという印象でした。特に母親のくだりのところは、他のファントム役者さんは当時を思い出して前半哀愁を感じるお芝居をするパターンが多いのですが、佐野さんは恨みに思っているからかどんどん怒りの焔が増していくように見えたかも。ファントムの過酷な人生がすごくリアルに伝わってきました。
ここまでの佐野ファントムは本当に怒りの表現がすごく前面に出ている印象が強かったのですが、クリスから「醜さは顔にはないわ」と強く説得されたあたりからか心の底に抑え込んできた孤独や哀しみがじわじわとこみ上げてくるような表情に変わっていったように見えました。それを感じてから本当にものすごく切なくなっちゃってねぇ…。
ラウルがやって来た時、「情けなど知らない」と返すところは他のファントムよりも余裕があったかな。鼻で笑うような感じ。佐野ファントムのほうが一枚上手といった印象です。
ところが、彼の首に縄をかけてクリスティーヌに自分を選べと迫るところからどんどん我を失っていってしまう。まるで坂を転がり落ちるかのように精神的に追い詰められていくのが手に取るように伝わってきました…。怒りの感情をぶつけているようで、本当のところは心が崩壊して立っていることすら苦しいといった感じ…。
特に、「許さない、選べ」とクリスに最終決断を迫った時の佐野ファントムの表情…あれは涙無くしては見れません(泣)。そこにあったのは怒りでも恨みでもない、彼の心の奥底に眠っていた”孤独”と”哀しみ”だった。佐野さんの体を通して、ファントムの苛烈で哀しい人生がこれでもかというほど胸に迫ってきて本当に切なかったです(涙)。
クリスのキスを受けた後、二人を逃がす場面。最初の「行け」はもう声にならない感じ…。呻くようにやっとのことで言葉にしているようで哀しくてたまらなかったです。最後の「お願いだ」はあれはもう、悲痛な叫び声でしかなかったよなぁ(涙)。猿のオルゴールの片目を隠しながらのシーンの時には、サルに自分の顔をこすりつけるようにむせび泣きながら歌ってて…切なさ倍増(泣)。
クリスティーヌに指輪を返された後、彼女が投げ捨てたベールを拾いあげるシーン。まるで彼女の存在を自分に手繰り寄せるかのように何度も自分の胸に掻き抱いていて…声にならない声で呟いた愛する人の名前「クリスティーヌ」がよけい哀しく響いてきて本当に泣けました(涙)。
後述
カーテンコールの時の佐野さん、ついさっきまでの悲痛な表情が嘘のように落ち着いた大人の表情になっていて素敵でした。藤原さんと岸さんの方を見ながら舞台の前方に走っていく時も、めちゃめちゃ紳士的でスマート。大人の落ち着きっぷりというか、オーラというか、流石だなと最後まで圧倒されましたね。
今回本当に久しぶりの佐野ファントムだったわけですが、やっぱりすごい役者さんだなと再確認しました。初演からこの作品に出演した経歴がある人は違う。佐野正幸さんの中にその歴史が刻み込まれているのだなというのを実感したかな。大阪ではもしかしたら会えないかもしれないと思っていたので、今回こうして再会できて本当に良かったです。貴重な素晴らしいファントムを見せていただきました。
終演後にはアフタートークショーが行われました。軽くメモったのでそのレポは次の記事で紹介したいと思います。