ミュージカル『ファントム』東京公演 2023年9月7日・8日マチネ

ミュージカル『ファントム』を観に(見届けに…)東京まで遠征してきました。

今回はちょうど台風が関東に直撃かというタイミングで飛行機が飛ぶかドキドキものだったのですが、行きはまだ穏やかな方だったので無事に到着できてホッとしました。ただ、一泊で帰還予定にしてたものの帰りの便が台風でどうなるかわからない状況とのことだったので…、もう一泊東京に留まることになりました(宿はポイント使えたので助かった 汗)。帰りの便も早いのが取れてほっと一安心(ファントム前楽のソワレ配信に間に合ってよかった 汗)。

一番最初にチケット販売が始まった時は8月の観劇分までしか購入していなかったのですが、今回の城田くん演出版再演を見て感情の昂りを抑えきれず…、追加販売が始まった時に思わず購入してしまいました。この作品だけは観劇に悔いを残したくなかったんですよね。それまでは売り切れ状態だったので、本当に運が良かったです。

当日券も毎日少数ながら販売があったようで、開場15分前には30人くらいの方が列に並んでいました(整理券制らしい)。東京に出て来やすい環境だったら私も何度も並びに来たかもしれない。7日マチネと8日マチネ公演の当日券は、おそらく並んでいた皆さんは全員手に入れられたんじゃないかなと思います(開場時間の時点で嘆いてる方を見なかったので)。

そうそう、物販についてですが…、もう手に入らないと諦めていたトートバッグ、買えました!!前回の経験を活かし早めに劇場前に到着したのが功を奏したようで、ギリギリではありましたが手に入れることができました。

思っていたよりも薄い生地ですが、デザインがとても素敵。よく見ると船を漕いでる従者さんのイラストもあるのが可愛い(シーン思い出すとウルッときちゃうけど)。

私が物販コーナーにたどり着いたのは開場してかなり早い時間帯だったのですが、その時もうすでに品薄状態で(汗)。人気の扇子は完売で最初からSold outの札がついてましたね。あとワインレッドのトートバッグも完売しており私はギリでなんとかブラックをゲットできたというわけです(どちらの色にしようか悩む必要がなかったw)。その他にハンカチとTシャツは若干残ってたのかな。
ところが、開場してから約10分後くらいにはパンフレットと城田くんと真彩さんのFCグッズ以外は売り切れになっててビックリ!!そんなに在庫少なくなってたのかっ!!トートバッグを買えたのはもはや奇跡…(汗)。

それにしても、こんなにもグッズが品薄になるとはねぇ。昨今の経済状況も影響してたくさん作れなかったという大人の事情でもあるのだろうか?大阪公演の時から品切れ続出してましたからね(汗)。それでもあまりにも早く完売しちゃってるので…本当は後もう少し多めに頑張って作ってほしかったかもというのはあります。

開演の7−8分前から始まるアンサンブルさんと子役さんによる即興パフォーマンス。公演が始まってからキャストの皆さんのSNSをチェックしまくっていたので、なんかもう舞台上に登場されるだけで勝手に親近感が募っちゃってすごい温かい気持ちになってしまいました。たぶん、今後違う舞台で「ファントム」アンサンブルさんに会えたら思わず注目してしまうと思う。

荒田至法くんのオレンジジャグリングは先月からまた更にスムーズになって楽に投げてたなぁ。大阪のときには何回も失敗してたハットの中にスポッと入れるのもお手の物で余裕すら感じたよ(拍手)。
7日マチネはママから離れて遊んでた少年(野村くん)ともワチャワチャしててw。開演前はオフマイクなので後方席からはよく聞こえないんだけど、「オレンジは投げるものじゃないからね」みたいに荒田くん紳士が諭してたのが微笑ましかったですw(そのあと男の子のお母さんがやってきて「うちの子がすみませんねぇ」みたいに謝ってたのも可愛かったw)。

開演前はオフマイクでの即興芝居っていうのが個人的にちょっと残念だなぁって思ったことだったんですよね(苦笑)。後方席から見ることが多かったので聞こえなくてw。特に二人の警官さん(川口くん幹さんかな?)が客席に何を語りかけているのか聞き取りたかった(笑)。

それから画家やってる照井くん。舞台上では出来上がった小道具の絵画を飾っていますが、ひそかに実際にキャストさんのイラストを描いていたそうで。そのクオリティが味があって本当に素敵!!公式SNSさんが一覧をアップしてくれてますので、是非チェックしていただきたい。なんと3分ほどで描き上げちゃうのだそう!素晴らしい才能です。

西郷ルドゥ警部のイラストなんかもう…「萌え」しかないっすよ!!

この開演前の即興パフォーマンスも、日を追うごとに皆さんの結束力の固さが感じられて本当に好きだった。そんな皆さんともう会えなくなっちゃうのかと思うと、開演前の楽しい気持ちと同時に寂しさも込み上げてきてしまったのでした。

ちなみに、8日は台風が関東に最接近した影響で交通網に遅れが生じていたことを見越してか開演時間が5分ちょっとくらい延びてました(一人でも多くのお客さんに最初から見てほしいという心遣いがなんかジーンときたな)。そのためアンサンブルさんたちのパフォーマンスが始まったのが13時ちょっと前くらいに。今回はいつもよりちょい短めだったのですが、客席の視線が今まで以上に熱く舞台上に注がれてたw。
荒田くんのオレンジジャグリングに轟くん「今度は3回クルってやってよ」みたいにムチャブリ(笑)。2回転まではきっちり成功してたけど、3回転はさすがに厳しかったようで「落としたオレンジはいかが?」と客席に差し出そうとしてた荒田くんが面白かったですww。

※配信で千穐楽見たら…なんとオレンジの3回転ハット入れ成功してました!!荒田くん、奇跡の瞬間見せてくれてありがとう(拍手)!

7日マチネと8日マチネ。楽が近い時期の観劇だったわけですが…、なんか、言葉にならないくらい心が飽和状態になった(大阪もそうだったけど)。私は本当に、すごい奇跡のような瞬間に立ち会えたのかもしれない。色々、これまでを超越した何かが、そこにはあったと思う。あの場にいられたこと、ただただ感謝。

以下、ネタバレ含んだ感想です。かなり濃厚に内容に触れてるので(しかも長文ご注意あれ。

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2023.09.07-08マチネ in東京国際フォーラム Cホール(東京・有楽町)

キャスト

  • ファントム(エリック):加藤和樹
  • クリスティーヌ・ダーエ:真彩希帆
  • フィリップ・シャンドン伯爵:城田優
  • カルロッタ:石田ニコル(7日)、皆本麻帆(8日)
  • アラン・ショレ:加治将樹
  • ジャン・クロード:中村翼
  • 文化大臣:加藤将
  • ルドゥ警部:西郷豊
  • ゲラール・キャリエール:岡田浩暉
  • ヤング・エリック:野林万稔(7日)、星駿成(8日)

<アンサンブル>

荒田至法、池谷祐子、伊宮理恵、遠山さやか、岡施孜、上條駿、川口大地、川島大典、木村朱李、木村つかさ、關さやか、玉山珠里、照井裕隆、轟晃遙、蛭薙ありさ、増山航平、松島蘭、幹てつや、横関咲栄

前回東京公演を観劇に来た時は体調不良でお休みされていた遠山さやかさん、あの後元気に復帰されました。今回大阪公演以来の再会ができて嬉しかったです。

※上演時間は東京公演は約2時間45分(165分)。内訳は、1幕80分(1時間20分)休憩20分2幕65分(1時間5分)となります。

あらすじと概要については2019年公演感想の記事を参照。なお、2023年版の概要については梅芸公式ブログさんが詳しく紹介してくれているのでそちらをチェックしてみてください。

 ※コピット版『ファントム』はアンドリュー・ロイド・ウェバー版の『オペラ座の怪人』とは9割以上(ほぼ全部といってもいいかも)違う内容になっています。2作品を比較した感想記事は大阪公演感想に書いたので興味がありましたら参照してみてください。

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全体感想とキャスト感想 -1幕-

7日と8日の2日間、自分が液体になっちゃうんじゃないかってくらい泣き崩れながら見たので瞼が腫れまくって大変なことになりましたw。私の約30年の観劇史のなかで3本の指に入るほど大好きで大切な作品を、よくぞここまで昇華させてくれたなと…。特に和樹くん前楽の8日マチネはほぼすべてのシーンで涙がボロボロ零れてきて泣きましたね。
なんか、カンパニーの皆さんすべてが愛しくて…。そんな彼らが紡ぎ出すドラマがとても熱く、激しく、それでいて哀しく、優しく、とてつもなく温かかった。そんな最高の公演を目の当たりにできたことは本当に奇跡だったと思う。

♪Overture♪

町の人達が音楽に合わせて感情を変化させていく演出が本当にすごく印象深かった。特に不穏な旋律になった時に背景の柱の映像がガラガラと崩れ落ちるのと同時に、みんなが顔半分を抑えて悶絶する場面は心の奥がツンと痛くなる。
町の人達的には訳も分からない症状に苦しむって場面だと思うけど、演じてるアンサンブルさんたちはあの瞬間に”ファントム”と呼ばれた青年の孤独で哀しい気持ちを心に刻みこんでるようにも見えたんです。本筋とは違うかもしれないけど、なんかそんな気がして涙がこぼれました。

それからやはり、主要登場人物がテンポよく”顔見世”していく演出も好きでしたね。最後に登場する岡田ゲラールの緊張感あふれる不穏な表情がとても印象深かった。直前に登場する中村クロードはどこか明るい未来を見つめてるような雰囲気だったのでまさに”陰と陽”といったところなのも面白いです。
そういえば加藤将くん文化大臣遠山さん夫人、久しぶりに二人が並んで登場する姿を見たけど…なにげに仮面夫婦だった(笑)。大臣は御婦人に何か手渡してプリプリしながら去っていったけど、あれって”金銭”関係のやつですかねw。

♪パリの音楽♪

東京では前方扉から登場してたクリスティーヌとシャンドン伯爵(フィリップ)。個人的には大阪の後方扉から登場する演出のほうが好きだったけど、東京3回目4回目で慣れましたw。

真彩さんのクリスティーヌ、8月に見に来た時よりもまたさらに歌声に透明感と伸びやかさが加わっていてびっくりしました。
今回ダブルキャストで出演されるはずだったsaraさんが残念なことになってしまいシングルキャストで頑張ってこられてるけど、回を増すごとにクリスティーヌとしての輝きを一層強くしてる真彩さんは本当に凄いと思います。演じるたびにキラッキラした美しさと可愛さが増量していく感じで思わず惹きつけられてしまう。町の人達が彼女に接するときの温かさもほんとに優しくてねぇ…。それだけでなんか胸が熱くなってしまった(涙)。

そして城田フィリップ(シャンドン伯爵)、前方扉から登場した瞬間から匂い立つあの甘い雰囲気は圧倒的王子!!遠くから裸眼で見てもその綺羅びやかなオーラはビリビリと私の心を刺激しましたよ。もうほんとに、少女漫画から抜け出した…というか、それ以上の美しさ。
でも、以前よりも近寄りがたさみたいな空気感は薄らいでてちょっと柔らかさが出てるように感じましたね。クリスティーヌの歌に興味を持ってオペラ座を紹介する場面でもちょっと朗らかな笑みを浮かべてたりして親しみやすさすらあった。そこがまた魅力度アップでしたよ。あれは女子放っておかないのわかる(クリスティーヌだけはオペラ座に誘われる喜びに浸るのみなんだけどw)。

♪パリは墓場♪

キラキラと明るく優しい世界から一転して、オペラ座の暗く閉ざされた世界に変わる。この作品ほど”明と暗”の色がくっきりと分かれてるのはそんなに多くないんじゃないかとすら思ってしまう。

トンネルの奥から現れた和樹くんエリックの闇の深さがまたさらに色濃くなってた!回数を重ねていくごとにどんどん孤独の表現が洗練されていくようで…ほんとに目が離せません。そこに立って低音を響かせ歌っているだけで見てるこちらの心がどんどん苦しくなってくるレベル。
特に仮面を外すシーンは印象深かったです。暗く閉じ込められた世界の中で息が詰まりそうなとても苦しげな表情を見せたんですよね。彼の心が孤独に支配され追い詰められているのをリアルに感じて心が痛んで仕方なかった(涙)。

地下に迷い込んでしまったブケーとエリックが対面してしまう場面は何度見ても辛い。『オペラ座の怪人』のブケーは自業自得と思うところが大きいけど、『ファントム』のブケーはもうただただ気の毒でしかないです。
だけど、見られてしまったことで大きく気が動転してしまう和樹くんエリックの背中もホント辛いんだよねぇ…。その悲劇の直後の微かに差す光を見つめた横顔がとても印象深かった。ここの繊細な表現力も和樹くん、素晴らしいです。

♪今宵のために♪

オペラ座で働く人、オペラ座の舞台に立つ人、オペラ座に観劇しに来た人・・・そこにはすごく生き生きとした楽しい空間が流れてて。準備する人たちはこれから始まる緊張感とワクワク感でテンションが上り、客席に向かう人達はこれから始まる夢の世界に想いを寄せる。この2つの人間模様はいつの時代も変わらないものだよなぁとふと感じながら見ていました。
リズミカルで弾むような旋律と、そこから転調する流れるような美しい旋律。ここの流れが本当に素敵で・・・改めてモーリー・イェストンの紡ぎ出す音楽の素晴らしさに惹きつけられたなぁ。

アンサンブルさんたちの弾むような歌声、キラキラした笑顔、その合間に挟まる中村クロードの優しいソロ、しなやかなダンス、どれも本当に眩しく輝いててちょっと感極まってしまいました。

最後、ワクワクしながらオペラ座に向かうクリスティーヌと、闇でしか生きられないと自らの運命を呪うエリックの姿が重なる。クリスティーヌには明るい光が当てられるのに対し、エリックは顔の表情が見えない暗いライトが当てられてるんですよね。ここの明暗分ける演出もすごくドラマチックで印象深かった。

そんなとき、新しい支配人としてショレとカルロッタがやってきてゲラールを勝手に解任する事件発生。岡田ゲラール、見に行くごとに文化大臣に向かってその理不尽さに対する怒りを激しくぶつけていったように見えたなぁ。そこには彼なりの深い事情があることをわかった上で見るとものすごく切ない・・・。
ちなみに私は、加藤くんの文化大臣がカルロッタを紹介するときに「え…と、誰だっけ??」と目を白黒させながら混乱してる場面が好きでした(笑)。慌てて名前を教える加治ショレとの連携とか、すごいマンガチックで可愛い。

それから、ショレとゲラールとの支配人室での攻防も見に行くごとに熱が上がっていってて見応えありましたね。尊大な態度を取るショレに対して、オペラ座の地下室の恐怖を植え付けようとおどろおどろしく演出しながら語るゲラールのやりとりが面白かった。岡田さんの「このオペラ座、出るんです、幽霊が・・・」の語り口調が怪談意識した感じになってるの特に好きでしたねw。

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地下に呼び出されたゲラールとエリックが会話する場面。ここは客席の中央ブロックを挟んで展開される演出になっていたのですが、やはり少し離れた位置から見るのが一番ちょうどいい感じですね。ただ、それでもちょっと見づらいかも…っていうのはあったかな。3階席の人とかはもしかしたら声しか聞こえてなかったかもしれないし。やっぱり基本的にはこういう会話劇は舞台の上でやってほしいなというのはありました。

個人的にここのやり取りで好きだったのが、新しい支配人に恐怖を植え付けようとしたけど通じてたかわからないと申し訳無さそうにしてる岡田ゲラールに和樹くんエリックが苛立ちをぶつける場面。シーン的には深刻なんだけど、岡田ゲラールの”あれでも精一杯脅すの頑張ったんだよ”といった心の声が聞こえてくるような気がしてちょっと萌えてた私です(笑)。

カルロッタの発声練習の声が聞こえてくる場面、ニコルちゃんと皆本さんとではかなり声の出し方が違ってたんだなぁと改めて(ここは生声じゃないんですが)。ニコルちゃんはひたすら乱暴に、でも弾むような感じでガンガン出していくタイプなのに対しww、麻帆さんはちょっとだけまともに「Ahーー」の音が出せてるかなといった感じ(でも聞いてるうちに妙な唸り声になるんですけどねw)。どちらも面白かったし、これを聞いたエリックが「本当に幽霊が出た!!」と本気でビビってる姿が子供っぽくてなんか可愛かったです。

♪世界のどこに♪

ゲラールが解任され、酷い歌を歌うカルロッタと新しい支配人として幅を利かせる夫のショレの存在を知ったエリックは「二人とも殺してしまえばいい」とまるで子供のような無邪気さで言い放ってしまう。その言葉に戦慄を覚えたゲラールが本気で「ふざけるな!!!」と一喝すると、「冗談じゃないか」と縮こまってしまうエリック。ここのやり取りも非常にスリリングでしたね。和樹くんエリック、「冗談だよ」と言いつつも実は本気だという本音の部分が透けて見えてるし、岡田ゲラールは彼がどんどん心を病んで凶暴性を増していくことに恐怖を覚えているのが伝わってきます。特に彼は(2幕で語られる)エリックとの関係の一件もありますから心中穏やかではないだろうなと思うと胸が痛みました…(涙)。

さらに切ないのが、エリックがゲラールと一緒にオペラ座から出ていくと口走ってしまった場面。その言葉を聞いた瞬間の返す言葉を失ってしまった岡田ゲラールの表情と、彼を見てハッと我に返り自らが置かれた現実を突きつけられ「喜んで迎えてくれる子羊たちはどこにいるんだろう…」と絶望してしまう和樹くんエリック。もうこの二人の何とも言えない重く哀しい雰囲気に胸が苦しくて苦しくて思わず涙してしまいましたよ(泣)。「僕が闇そのものだから」というエリックの言葉はあまりにも哀しすぎた…。

そこからの♪世界のどこに♪ですからねぇ…。和樹くんエリック、最初はすごい泣き出しそうな感じだったのが途中からまるで幼い少年のような笑みを浮かべて歌い駆け回るんです。それがかえって切なく見えて仕方なかった。自分が理想とする生活はどんなに憧れても手に届かないって分かってるのに、それでも求めずにはいられないエリックの切実な心があの笑顔に集約されていたような気がしました。このあたりの表現力が和樹くん本当にすごく繊細で…、見ていて涙が止まらなくなってしまった(泣)。

それと入れ替わるようにクリスティーヌがオペラ座にやって来るのですが、ジャン・クロードから世話してくれるはずのゲラールがクビになってしまった事を知ってガッカリしてしまう。この時の真彩クリスの肩の落とし方がめちゃめちゃ儚くて、中村クロードが思わず「新しい支配人に掛け合ってみようか」と声をかけてしまった気持ちがすごくよく分かった。その言葉を聞いた直後の彼女の笑顔がまたドえらい可愛らしくてねぇ。
大阪公演から観てきましたが、真彩さん、どんどん可愛さがアップしていったような気がする。しかもすごく好感度の持てる雰囲気なのがポイント高し!!女性の私が見てもキュンとなっちゃったし。

♪私のもの♪

カルロッタとショレのラブラブカップル、またさらにド直球な愛が深まっていて息ぴったりだったのがすごく微笑ましかったです。ニコルちゃんと麻帆さんとではショレを演じる加治くんの受け答え方も変わっていたりしてどちらもすごく面白かった。

ニコルちゃんカルロッタは最初柱にしがみついてビクビクしてるのに対し、麻帆さんはダンナさんにしがみついて怯えてた(笑)。ショレが「キャリエールの逆恨みが私たちを苦しめてるんだ!」と怒りを爆発させた後のカルロッタは発作を起こしてしまうわけですが、この後落ち着かせるための加治くんのそれぞれへの対応も違ってるんですよね。
ゼエゼエし始めたニコルちゃんカルロッタには”スポットライト”を演出して、皆本さんカルロッタには”栄光の時”を思い出させる演出してた(笑)。スポットライトの「スパーン、スパーン・・・・」っていうリフレインも笑ったし、東北弁訛りのような言葉で「君(クミ)は輝く星(ホス)だ」みたいに諭してたのも吹きまくったwww。

あと、麻帆カルロッタはショレのことを「あなた~」と呼んでたのに対してニコルカルロッタは「ショレたん」呼びしてましたね(笑)。二人のキャラの違いが出てて面白かったw。

♪私のもの♪はカルロッタの独善的な面がグワーーッと表に出る迫力満点のソロですが、今回は二人ともどちらかというと乱高下する彼女の感情の揺れをコミカルに表現するところに重点を置いて歌っていた印象が強かったですね。大阪から歌唱力が上がったニコルちゃんにとても感動しましたし、部屋に掛かっていた自分の肖像画を手に取りながらウットリして歌う麻帆さんの可愛らしさも良かったな。

このあとクリスティーヌがやってきてひと悶着あるわけですが、加治くんショレの反応がここでも変えてたのが面白い。ニコルカルロッタが相手の時は「シャンパンだ~~い好きっ」だった(楽は違ってたけどw)のに対し、麻帆カルロッタが相手の時は「優しくしたぁ~~いっ」だったwww。
それから、部屋が下がっていく時の二人のバカっぷりなやり取りもお互い違ってて。私が見た回では、皆本さんはバラの花を手にすごい個性的なポーズしたのを見た加治ショレが「カルちゃん、それいつまでやるの?」とツッコミいれててwww、ニコルちゃんが怪獣決戦的な早口呪文を言ったのに対しては「アナコンダが勝ったのか!?」とビビってたなwwww。

♪ホーム♪

洗濯係になったクリスティーヌ。ここ最初の方はこれまでの公演や大阪でもあまり声が聞こえてくるようなお芝居じゃなかったと思うのですが、東京で見たらけっこうちゃんとマイクで音を拾う芝居演出になっていてホッコリしました。「この子頼むよ」と促してくれる中村ジャン・クロードや、ちょっと面倒にしながらも「あなたにこれ任せるから」と受け入れてくれる横関マリーさんの柔らかさが好きだったな。

そして更に可愛いのが3人娘がクリスティーヌにビックリ箱を渡して笑いながら去ってく場面。東京公演から驚きのあまり尻もちついちゃう真彩さんクリスが可愛すぎてツボだったのですが、さらにそのあと、ビックリ箱から出てきたキャラをニコニコ見つめながら「落としちゃってごめんね」と謝って一緒にゆらゆら揺れるという超キュートな仕草が加わりまして。もう心のなかで「ひゃぁ〜〜〜〜!!何って可愛いクリスティーヌぅぅ!!!」とテンションバク上がりしてた私です(笑)。
もうねぇ、あんな姿を見ただけで心がほわ〜〜って温かくなって・・・自然と涙あふれちゃいましたよ〜〜。エリックが出てくる前に私自身が真彩クリスから超絶癒やしを頂いてしまった。

洗濯をしながら♪ホーム♪を歌う真彩クリスティーヌ、ほんっとに幸せそうでねぇ…。憧れのオペラ座で働けることだけで嬉しくてたまらないといった気持ちがストレートに伝わってきて、あの声を聞いただけで私の心も穏やかになるのを感じたほどでした。美しい可憐な歌声は観劇した2日間、本当に澄み渡った世界観を魅せてくれて…とても幸せな時間でした。

その声を頼りに上手上の奥から現れる和樹くんエリック。クリスティーヌの美しい歌声に引き寄せられ見えない力に背中を押されるかのごとく近づいてくる姿がとても印象的だった。そして、上の方から実際に歌っている彼女を見た時、これまで味わったことのない感情の昂りがその体内を駆け巡っているのが一目でわかりましたよ。あまりの感激に心が震え、まともに立っていられないくらい感動してる(胸を押さえてフルフルしてた和樹エリック最高…)。その姿を見ただけで私も感極まってしまってボロ泣きしてしまった(涙)。

そしてクリスティーヌの歌声に導かれるように共に歌い出すエリック。この♪ホーム♪クライマックスでの二人の場面はお互いの人生がスタート地点にたどり着いた感がすごくあって見ていて大きく胸が高鳴りました。声が重なったときの二人からは希望の光を見つけた喜びのような感情が伝わってきて…、なんかそれだけでもう泣けて仕方なかったです。
そんな二人の心情にピタリと合わせてくるあのドラマチックな音楽を生み出したモーリー・イェストン…本当に”神”!!だと思う。

このあとエリックは不器用ながらも必死に身を隠しながらクリスティーヌの歌のレッスンをやらせてほしいと申し出る。うまく言葉を紡ぎ出せないながらも彼女の歌をもっと輝かせたいといった想いがひしひしと伝わってきてグッと来るものがあったな。
申し出に喜びを感じたクリスティーヌが再び歌い出す姿を去り際まで目を逸らせなかった和樹くんエリックの場面もとても印象的だったし愛しかったです(彼女から目を逸らせることができないといった気持ちが痛いほどわかったしね)。

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それからしばらくしてショレがルドゥ警部呼びだして文句言うシーンがあるのですが、加治ショレのカルロッタ第一主義的な熱い叫びがめちゃめちゃ刺さったんですよね。”ファントム”からの誹謗中傷の文章に一番傷ついたのは彼なんじゃないかと思ったほどだった。全身全霊かけてカルロッタのこと愛してる気持ちが伝わってきてちょっとジーンときちゃったよ。激熱な加治くんのお芝居が最高!
だけど最後の「まだ舞台に立ってもいないんだぞ!?」というツッコミセリフは密かにクスクスっとなってた私です(ショレたんの言う通りだよなとw)。

エリックとクリスティーヌが二人だけのレッスンをしている最中にカルロッタの舞台でトラブル多発が起こるという場面。ここはひとつのシーンで2画面を見せる感じの演出が面白かったです。
上手側ではエリックとクリスティーヌのとても神聖でピリリとした空気が漂っているのに対し、下手側では舞台トラブルに見舞われたカルロッタが皆に囲まれてヒステリックになってる。これ全部”ファントム”が小細工したのが原因なんですが、カツラにシラミを仕込んだりお盆にボンドでグラスを固定させたりとけっこう手口はみみっちぃ(笑)。加治ショレの「普通にボンドだ」っていうツッコミと「椿姫もアイーダもコメディじゃないのか」と本気でビビってる西郷ルドゥが可愛くて大好きでしたw。

♪オペラ座の幽霊♪

怒り狂ったカルロッタが舞台裏の木箱を蹴飛ばしたタイミングでブケーの無残な姿が転がってくるシーンはちょっとホラー味がありましたね。木箱の奥をよーく見てみると…「PHANTOM」と乱暴に描かれた血文字があって!!オペラグラスであれを最初に発見した時はゾクっときました。これ、再演版からの仕掛けなんだとか。

ブケーの一件でついに警察も動き出し”ファントムを捕らえろ”といった恐怖と怒りの声が高まるわけですが、やはり何度見ても雰囲気がミュージカル『ジキハイ』のワンシーンと重なりましたね(あちらの舞台はロンドンですが)。不気味な赤いライトに照らされながら大勢が一斉に”標的”を定め憎しみの感情を募らせていく感じがとてもスリリング。
個人的にこの場面で毎回注目していたのが、アンサンブルの轟くんのダンス。特に一番歌が盛り上がるところで、舞台センターで見事なバク宙を決めまくってたのがホントカッコよかったです!!

50公演やり切ったの、ほんとすごいです!お疲れ様でした。彼は冒頭で果物屋さんだったり劇中でお化粧が濃くなってく可愛い娘・アントワーヌも演じてたんですよね~。めっちゃ注目してた(特に洗濯物始めたクリスティーヌに「素敵な笑顔ね」と告げて華麗に去ってくシーンが好きだった)。

♪あなたこそ音楽♪

レッスンを終えた後にちょっと寂しそうな表情を浮かべる和樹くんエリックが切なすぎてキュンときたなぁ。それでも不安そうなクリスティーヌに一生懸命笑顔浮かべながらビストロで歌うことを促してる姿もなんだか見てて胸の奥がギュッとなるような感覚にさせられました。このあたりの感情表現、和樹くん、とても繊細に演じてたと思います。

そして何より、エリックとクリスティーヌがピアノを交えながら穏やかに深く心を寄せていく♪あなたこそ音楽♪のシーンがあまりにも美しすぎて滂沱の涙が(泣)。”音楽”を通して確かに結びついていく二人の心が前回公演以上に濃密に感じられた。特に最後、アカペラで歌う場面は涙無しには見られない。何て美しい、なんて儚い、そして、なんと愛しい光景…(涙涙)。なんかもう胸いっぱいで言葉が出てこなかった。あの演出を編み出した城田優くんの『ファントム』愛は本物だなと思いましたよ。

この作品の大きな魅力のひとつが、エリックとクリスティーヌの場面における音楽の柔らかさなんですよね。二人がメインの場面で紡ぎ出される音楽はどれも本当に優しく、そしてどこまでも温かい。ただただ愛しいです。

♪ビストロ♪

招待したはずのクリスティーヌが現れずに心ここにあらずな城田シャンドン伯爵は美しくも人間らしさが滲み出ていてとても魅力的でした。ジャン・クロードから「伯爵さまが恋に落ちるなんて!」と痛いところ衝かれると「そんなことあるはずない」って取り繕うような笑みを浮かべるのも可愛らしい。大阪公演から比べてずいぶんと人間味が増した印象があってかなりの好印象でしたね。

面白かったのはショレ夫妻のラブラブっぷりを同じテーブルで見せつけられてる加藤文化大臣の複雑そうな表情ww。特に笑ったのが、カルロッタが率先して歌った場面。「ウゲッ!?なんじゃあの歌は!??」みたいなビビりっぷりなんだけど、ショレの前でそれを晒すわけにいかなくて必死に後ろ向いて誤魔化してた(笑)。もうそれが気の毒で面白すぎたwww。加藤将くんのこういった細かい小芝居、好きだったなぁ。

真彩クリスティーヌのビストロでの澄んだ歌声は東京公演後半の今回見てますます磨きがかかっていて美しくなったなと実感しました。凛としながらも柔らかく澄んだ歌声、そして輝くような笑顔。どこかでエリックの存在を感じながら彼に捧げてるかのように見えることもあって…本当に感動的でした。個人的には一回歌を止めて皆の顔を見渡してる時の悪戯っ子のような笑顔がめちゃめちゃ好きでしたね。あれはホンッッとに可愛かった。
ちなみに、男性アンサンブルさん二人に囲まれクリスティーヌが歌うシーンがあるのですが、私が生で見た回は全部増山くんが選出され大喜びしてましたねw。でも千穐楽配信見たら…岡くんが選出されてて!思わず画面見ながら拍手しちゃったよw。

そしてもうひとつこのビストロ場面で印象深いのが岡田ゲラールです。フィリップとあいさつした後は舞台上手奥の目立たない席に座っていてライトも当てられていないのですが、クリスティーヌの歌が上り調子になっていくあたりからの衝撃を受けていく表情から目が離せませんでした。
ここは2幕の展開を知らないと気づけないのですが、知ったうえで注目するとめちゃめちゃ泣けるんですよね…。あの時彼が見ている光景が手に取るように伝わってきた。岡田さんの繊細な今にも涙してしまいそうな表情が実に絶妙で…。この物語は彼の過ちが原因だって分かってるのに、岡田ゲラール見てるとホント泣けて仕方なかった。

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♪思いもよらぬ君♪

クリスティーヌの思いがけない素晴らしい歌を聴いてすっかり彼女の魅力に取りつかれてしまったフィリップ。最初は「僕が恋に落ちるなんてありえない」なんてすまし顔してたのが信じられないくらいw、城田フィリップ、かなり積極的にアプローチかけてたのが面白かったしなんかちょっと愛しく感じました。
でも、彼を意識し始めたクリスティーヌを後ろから優しく抱きしめる場面は超テンション上がりますね!あれは本当にリアル少女漫画の世界っ!!城田フィリップが口にすると甘々なセリフも爽やかに聞こえてくる不思議…!!あれは本当にすごいと思った。

実は私はALW版の『オペラ座の怪人』でのクリスティーヌとラウルが恋仲になる場面はあまり感情移入できないことが多いのですが(ファントムに肩入れしすぎて見てしまうのでw)、コピット版『ファントム』でのクリスティーヌとフィリップがLOVEになっていく場面はストレスを感じず好意的に見れてしまうんですよね。
クリスティーヌは歌の成功に高揚していてウキウキしてるし、フィリップはそんな彼女を微笑ましく愛しさを増した眼差しで見つめてる。そこには”ファントム”の存在が介在していることはなくて純粋に二人が心を通わせてるわけで。ごく自然な可愛い二人の恋愛って見れる点が大きいかな。キスも額にチュッで終わるし、そのタイミングで後ろの映像に流れ星が出てくるのでおとぎ話のような微笑ましさすら感じます。

『タイターニア』上演前のシーン、照井くん演じる紳士が必死に客席を駆け回って「チケット持ってる人いないですか!?」と探しまくる場面も毎回面白かった。こういうお客さんとのコミュニケーションできる演出ができるようになって良かったなとも(まぁ、前方や通路席じゃないと絡まないんですけど 汗)。
千穐楽配信ではチケットを作ってきて手渡そうとしていたファンの方もチラホラ見受けられましたが、照井君、上手い具合に「手に入らなかった」を貫きましたね(笑)。大沢さん版のときだったかは楽だけチケット見つかったバージョンになってたような気がするけどw、今回はそれが無かったww。

♪崩れゆく心♪

この場面はもういくら語りつくしても足りないくらい…すべてが切なかった(涙)。2019年版の時から登場した新しいシーンだけど、今回の方がまたさらに哀しくてねぇ…。クリスティーヌを想うエリックとフィリップの環境の差があまりにも残酷に映し出されるのがもう堪らなく辛い。

エリックは一輪のバラの花をクリスティーヌのために差し出そうとしたけど、結局それは実現できなくて。代わりに入ってきたフィリップは堂々と愛を告げながらたくさんのバラの花束を捧げ彼女を抱きしめキスをする。エリックが望んでもできないでいたことを、いともたやすく実現してしまうフィリップ…。その一部始終を目撃してしまった時の和樹くんエリックの背中の哀しさが沁みて沁みて…思い出すだけでも涙が出ますよ(泣)。

8日の時はもう歌い出しのところから涙声だった和樹くんエリック…。「苦しいよ、息ができない」というフレーズはもうほんと堪らなく辛かった(涙)。歌詞の一つ一つにエリックの張り裂けそうな想いがすごく詰まってて目の前がかすむほど泣きました(涙)。
客席を通って去る時に聞こえてくる嗚咽がまた切なすぎるんだよねぇ…。後ろの方に行くにしたがってその声が大きくなってて…心をナイフで刺されたかのような痛みがこれでもかというほど伝わってきた。

♪私のもの(リプライズ)♪~♪世界のどこに(リプライズ)♪

涙涙のエリック場面から一転してカルロッタの実験教室が始まるわけでw。もうホントこの作品、感情の切り替えが難しい(汗)。
ニコルカルロッタはとにかく薬品を入れまくるタイプなのに対し、麻帆カルロッタはその辺飛んでるコバエを潰して入れちゃうという強引さが面白かったww。加治ショレの反応もそれぞれ違ってたのも良かったなぁ。麻帆カルロッタの時は「ぷぅしたの誰?」ってツッコミ入れてたっけwww。

それにしてもクリスティーヌ、よくあの「くっっさ!!」と顔しかめられてた飲み物を(カルロッタから半ば強引に飲まされたとはいえw)一気飲みできたよなぁと感心してしまいます(笑)。そのあたりは、鈍感力が成せる技だったりして!?
でもこのあと、絶対秘密にしなきゃいけなかった”音楽の先生”についてのヒントをカルロッタに教えちゃうっていうのがなんとももどかしいんだよなぁ。ここに彼女の未熟さが表れてて2幕のあのシーンに繋がるのかと思うと胸が痛くなってしまった。

『タイターニア』の妖精さん衣装は皆さん可愛らしく着こなしてましたね。轟君のお化粧、めっちゃ濃くなってた気がw(アントワーヌさんね)。妖精の王様・オーベロンを歌うのは岡くん。まだ20代前半だそうですが非常に太く素敵な歌声で毎回惚れ惚れしてました。この役見ると、大沢さん版の時に中井智彦くんが演じてたのも思い出すんだよね。懐かしいな。

真彩クリスティーヌ、『タイターニア』で声を潰してしまうお芝居がすごくリアルで毎回見るたびに本当に痛めてしまったのではと心配になるくらい上手かった。
客席から投げられる抗議の紙屑が飛び交う中、上で見ていた城田フィリップが「怪我したらどうするんだ!!」と血相を変えてクリスティーヌの身を案じ下に降りてく姿はめちゃめちゃカッコよかった。

そしてここ一番の見どころと言えば…エリックがマントを翻し舞台中央の天井からスーーーっと降りてくる場面でしょう。後ろの映像もエリックの速度と同じ速さでマント色に変わっていったし、すべてが美しかった。スタッと降り立ってクリスティーヌを抱き上げた時の和樹くんの立ち姿の美しさ…最高だったよ。床の上でもがいてるフィリップを見つめる視線の冷たさも見ていてすごくゾクゾクさせられました。

2幕以下の感想は次のページにて。

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