劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』広島公演 2017.10.05マチネ

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』を観に広島まで行ってきました!
といっても、我が家からは日帰りできる距離だし交通費も比較的安いのでこちらに来てくれたのは非常にありがたいです😄。何でも広島に『オペラ座~』が来たのは2001年以来約16年ぶりだそうですね。

上野学園ホール

上演されたのは上野学園ホール。ここ最近劇団四季の広島公演で使われているホールですが、私が訪れたのは今回が初めてです。ちょっと古い感じはあるのですが、客席内はきれいに整備されており見やすい印象でした。ちなみに1700人規模だそうです。

物販コーナーでは広島公演限定グッズも発売中。新しい商品もたくさん出ていましたが、ファントムの手紙風シールは完売になっていましたw。再入手しないかな。数点購入したので次回また紹介します。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』感想一覧

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2017.10.05マチネ公演 in 上野学園ホール(広島)

主なキャスト

  • オペラ座の怪人:佐野正幸
  • クリスティーヌ・ダーエ:山本紗衣
  • ラウル・シャニュイ子爵:神永東吾
  • カルロッタ・ジュディチェルリ:河村彩
  • メグ・ジリー:黒柳安奈
  • マダム・ジリー:佐和由梨
  • ムッシュー・アンドレ:増田守人
  • ムッシュー・フィルマン:平良交一
  • ウバルド・ピアンジ:永井崇多宏
  • ブケー:見付祐一

佐野さんは私が観劇した日で一度お休みに入られたようです。佐野ファントムには一度でいいから再会したいと思っていたので、本当にギリギリでした😅。

 

全体感想

『オペラ座の怪人』は私が初めて観た劇団四季のミュージカル(当時は東京の日生劇場でやってました)だったで、個人的にとても思い入れが深い作品です。
前回観たのは2011年~2013年の東京公演以来・・・4年ぶりに待望の再会となりました。久しぶりではありましたが、いざ始まってみると空で歌詞を歌えるくらい自分の中で『オペラ座~』が浸透していてちょっとビックリ(笑)。そのくらいインパクト大きい作品なんだなと改めて思いました。

広島の前の公演地である横浜公演を観た人からは、途中で演出が変わってしまったとかなりSNS上で話題になっていたのですが、どうやらそれも賛否両論くっきり分かれてて。いったいどう印象が変わっていたのか観る前はちょっとドキドキしていたのですが😅、たしかに以前とは印象が変わったなぁというのは思いました。
簡単に言えば、「美しい愛の物語」だったものが「激しい愛の物語」に変わったって感じかな。色に例えると「澄んだブルー」っぽい印象から「情熱の赤」っぽいイメージみたいな。
横浜公演の途中からがらりとイメージが変わったと聞いていたので、その変化を目の当たりにした人にとっては驚きと戸惑いが広がったというのは分かる気がしました。

これは完全に好みの問題になると思いますが、私は「あり」派です。むしろ、今の演出のほうが好みかもしれません。登場人物たちの喜怒哀楽が以前よりもくっきりとした印象で、観ているこちらの気持ちもドキドキハラハラしたし、より深く感情移入できました。今まで以上に人物たちの感情を前面に押し出した感じだったので、全体的に激しさが増しました。
その部分を受け入れられるかられないかで、新演出版の感じ方は変わってくるような気がします。

細かいシーンごとの感想は次に書くとして、今回は以前見た時と明らかに変わったなと思った場面について少し紹介したいと思います。

まずはシャンデリア
劇場の構造の問題もあると思いますが、シャンデリアが舞台上部真ん中に収まる形になっていて、そこにあった1幕ラストでファントムが乗って降りてくるエンジェル像が無くなっていました。これはけっこう驚いたかも。あそこにエンジェル像がないセットを見たのは今回が初めてだったので😅。
で、そのシャンデリアですが・・・以前は客席前方の上を通る形でその軌跡を描いていましたが、今回は舞台の上だけで起こる出来事になりました。つまり、動きが直線的w。ただ、1幕ラストで落ちるスピードは客席の上を通らない分かなり速くなった印象がありスリルはありましたね。

オークションの場面
老ラウルは以前はその場からほとんど動かなかったのですが、今回見たら、猿のオルゴールが出品されたときに車椅子を押してくれてる人に「前に出してくれ」と頼んでよりオルゴールを近くで確認したいと前のめりになってました。ここはラウルの特別な感情が垣間見えるような感じになっててとても興味深かったです。

「ハンニバル」のシーンでピアンジの乗った像が片づけられる場面。一時期裏方が見えない演出になっていましたが、今回見たらそれが復活していました。

クリスティーヌが「Think of me」を歌う場面
以前は最初の一音こそ自信なさげな感じでしたが本番に入る前にはけっこう堂々と歌っていてフィルマンたちが「大丈夫そうだ」って雰囲気になっていたのですが、新演出では本番に入るまでクリスがめっちゃ不安げに頼りない感じで歌うので「ホント大丈夫なの?」みたいな心配モードに変わってましたw。

支配人室の場面
クリスティーヌを心配したメグの歌詞が「クリスティーヌ、大丈夫?」から「クリスティーヌ、クリスティーヌ」と2度連呼するように変わっていました。

地下室に初めて連れてきた場面
昏睡状態から目覚めたクリスティーヌが作曲中のファントムの仮面を興味本位で取ってしまうのですが、この後の怒りのファントムの表現がだいぶ変わりましたね。以前は取られてからすぐに自分の醜い方の顔を覆っていたのに対し、新演出ではほとんど隠すことをせずに思い切りその素顔を晒しながらクリスティーヌを怒鳴りつけてました😱。
これ見た時、え!?隠さなくてもいいの??ってちょっとビックリしたのですがw、本気で怒りモードに入って興奮していたら隠すなんて心の余裕は持てないかもねって後からちょっと納得できてしまった。我を忘れんばかりの怒りっぷりだったので、ここは好き嫌いも分かれるかもしれません。私はリアルなファントムの感情が伝わってきて良いなと思いました。

「All I ask of you」の歌い終わった後の場面
ラウルのクリスに対するキスの形が変わっていたと思います。以前は1回だけ少し情熱入ったチューしたと思うんですが、今回は最初にラウルが子供のような軽いチュって感じでクリスに口づけてww、そのあと熱く抱き合ってのチュ~に発展した感じに😅。最初のやつがすごい可愛らしかったw。

クリスティーヌとラウルが屋上で愛を確かめた後の場面
舞台上部に天使像があった時はファントムがそこに乗って登場してくるという斬新な演出だったのですが、新演出ではそれがないので、舞台上にエンジェル像が設置されていてそこからファントムが現れるという感じになっていました。これは映画で見た感じとかなり近いと思います。
まぁ、劇場の構造的に仕方ないところはあると思うのですが(横浜にしても広島にしても)…今回の新演出を目の当たりにして思ったのは、ハロルド・プリンスってすごい演出家だったんだなってことでしたね。改めてそれを感じました。

ラウルがマダム・ジリーを追いかける場面
「なにかを知っているのではないか!?」とラウルがマダム・ジリーを問い詰めるため追いかけるのですが、以前は「マダム・ジリー!!」と3回くらい呼び止めてようやく引き留めていたのが今回見たら1回強く呼び止めたら簡単にマダム・ジリーが捕まる形になってましたw。

墓場の場面
一番変わったと感じたのがこのシーンだったと思います。最後のフレーズ「与えて、力を」は以前までは1回だったのが、新演出ではもう一度そのフレーズを繰り返し歌い盛り上げる形で終わるようになってました。これは映画版のときと同じですね。こちらの方がよりドラマチックで私は好きです。
そしてその後ファントムがクリスティーヌを十字架から出てきて誘惑するわけですが、ラウルが以前よりも早めに歌いながら登場してきました。これはけっこうビックリ!ラウルが早くに登場してきたことでこの場面はクリスとファントムの二重唱から、ラウルを加えた三重唱になってました。こちらもドラマチック度が増してなかなか良かったです。

「ドンファン」前にラウルが指示を出すシーン
横浜はどうだったか分かりませんが、広島は生オケではないのでピットがありません😓。そのため、ファントムを射殺するように指示される警官はピットに入ることが叶わないので舞台上で待機する形になってました。
それに伴いラウルの台詞も「君はピットにいてくれ」から「君はそこにいてくれ」に変わってましたねw。

最後の地下室の場面
ファントムのワナワナ度が以前よりもすごく増した雰囲気。クリスに花を持たせる時もめっちゃ心が不安定で無理やり感がすごかったです。そのまま最後の方まで行ってしまう形なので、ファントムがヒステリックになったと感じる人も多かったのかも。
ただ私はここは以前よりも魂のぶつかり合いみたいな激しさを感じて観ていて心が痛くなったし、それ以上にすごく哀しく思えて涙が出ました😢。ラストのオルゴールはさらに切なさ倍増…。しかもこの時、ファントムは「マスカレード」を歌いながら猿の顔の半分を手で隠して自分を投影させるんですよね…。これは以前にはなかった演出だったのですが、あまりの哀しさに涙が止まりませんでした😭。

他にもちょいちょい変わったなと思うシーンがありましたが、1回目で特に記憶に残ったのがこんな感じ。あと、音楽の調子が少し変わっていたかも?なんか時々音が不協和音ちっくに妙な音色出したりしてたような…。
地方公演は生オケが残念ながら来てくれないのですが、録音音源は安定感はあるので聴きやすいと言えばそうかも。でもやはりオペラ座は生オケで聴きたかったというのが本音かな。

 

主なキャスト別感想

佐野正幸さん(オペラ座の怪人・ファントム)

2006年に初めて出会った時から惚れ込んでいる佐野さんのファントム。何が一番私の心を捕えたかというと、「情熱」的なところです。今まで見てきたファントムの中で、佐野さんが一番感情を表に出すタイプに思えたんですよね。映画版を観たときに、ファントムがけっこう感情表現豊かに描かれていたのを見て「こういうのが見たかった」と思ったこともあり、佐野ファントムを初めて見たときは「ついに舞台でも私好みの芝居をする人が現れた!!」と心躍らせたものでした。なので、なんとか広島でまた再会したいと思っていて…ギリギリ抜ける前に当たることができて本当に嬉しかったです。

新演出での佐野ファントムを見て思ったのが、比較的情熱度が高い佐野さんに一番合ってるかもしれないなぁという事。もともと激しい路線で演じる印象があったのでそれが強く映りすぎる危険もあるかなと思ってはいたのですが、実際に見てみたら、ものすごく繊細で…そして果てしなく哀しいファントムになってました😭。
喜怒哀楽がさらにはっきりして分かりやすくなっているので、なおさら手に取るようにファントムの心の動きを感じてしまって…切なくて仕方なかったです。

クリスティーヌに触れようとして視線が合うとビクっとして攻めの姿勢から一転引いてしまう場面も印象的だったし、花嫁人形に驚いて倒れたクリスを見る時は「どうして倒れてしまったんだろう?」といったすごい不思議そうな視線を送っていた表現も斬新でよかった。手に入れたくて仕方ない女性がすぐそばにいるのに、人との接し方に慣れていないのでどうしたらいいのか分からないといったような戸惑いが随所に見られたのが萌え心をくすぐられましたw。
逆に、クリスに怒りをぶつける場面はものすごく激しくて頭の血管が切れんばかりの勢いなんですけど、そこにもファントムの抱えている心の戸惑いや焦燥感といったものが手に取るように感じられました。それが爆発するのが、ラストの地下室での場面。そこではむき出しになったファントムの感情がぶつけられるのですが、私は激しく罵る姿の裏に泣いている姿も感じてしまったんですよね…。こんなに愛しているのになぜ伝わらない、分かってほしいのになぜ拒絶する!?と言わんばかりの心の叫びが聞こえてくるようで、もう切なくて切なくて仕方ありませんでした😭。

そして究極に泣けたのがキスシーンです。クリスに最初にキスをされた瞬間、ものすごく大きく目を見開いて「何が起こっているのか理解できない」といった想いと共に、今にもワっと泣き出しそうな…無垢な子供のようなそんな表情になったんですよ…!!そして二度目のキスの時、徐々に状況を把握して、彼女の温かさに心が震えて思わず抱きしめたい衝動に駆られていく。でも寸でのところで理性がそれを止めた、みたいな…。
さらにキスされた後に自分の唇を幼子が泣きそうになる一歩手前のような表情で震えながら自分の手で何度も触れてた。それが現実であるのを確かめようとするようで…ラウルの縄を焼切る寸前まで触れてましたね。
この一連の芝居はもう・・・涙無くては見れませんよ😭😭😭。心が最大限に震えました…!

クリスとラウルが逃げて行った後の表情は、激しさが消えてただ哀しみだけが残ったかのよう。憑き物みたいなのは取れたけど、どうしようもない寂しさに押しつぶされそうな感じになってた。クリスが一度戻ってきた時、一瞬ふわっと笑顔になりかけるのですが指輪を渡される時に現実を突きつけられて…哀しみを噛みしめながら愛を告白。思い出すだけで泣けます…!

この日の佐野さんは力強く歌声も張りがあり、伸びもすごく迫力があり絶好調でした。それにあの感情表現が加わったので、もう、無敵状態だったかも😀。あと1回会いたいけど、もう来ないかな。
素晴らしいファントム、ありがとうございました!

 

山本紗衣さん(クリスティーヌ)

山本さんは『ウェストサイド物語』のマリア役で初めて観たのですが、その時から美しいソプラノを響かせていたので今回のクリスティーヌもすごく期待していました。

今まで見てきたクリスティーヌの中で一番グッときたかも・・・と思えるほど素晴らしかった!まず歌声は文句なしです。全く不安要素がありませんでした。伸びのある美しい声で、高い音も軽々と歌いこなしていたし、クリスティーヌの微妙な心の変化なども読み取れるような繊細さも歌に乗っているようでとても印象に残りました。
あと、新演出になったこともあって表情がとても濃くなりましたよね。ハンニバルの本番前の戸惑ってドキドキする表情もリアルだったし、ファントムの歌声に陶酔して心がどこか違う場所へ飛んで行ってしまったかのような表現も分かりやすくてとてもよかったです。
一番泣けたのはファントムに指輪を返すシーン。「アイラブユー」と歌われた後、最後まで手を取っていたいファントムの気持ちを汲んだのか声に出して泣きながらその場を駆け去った姿が切なくてものすごく泣けました😭。

感情の爆発力が比較的高い佐野さんとはけっこう相性がいいのかなと思いました。二人のデュエットの迫力がとにかくすごかったです。

 

神永東吾さん(ラウル)

神永さんのラウルもはじめましてになります。ジーザスで一度見たことがあるのですが、その時よりも今回のラウルの方が感情表現が分かりやすくてよかったと思います。

神永ラウルはどこかナルシスト感が漂っていて、クリスティーヌと控室で再会した場面で話をちゃんと聞こうとせずに自分のペースで話を進めて行ってしまっている雰囲気なのがすごく印象的でしたw。
クリスティーヌへの愛情はたしかにあるんだけど、深いものというよりかはその場の湧きおこった感情といった感じかな。愛しているんだけど結婚した後は将来仮面夫婦になっていきそうな…そんな危うさも感じてしまったかも(笑)。

歌声は申し分ありませんでしたが、ただ墓場のシーンの三重唱は佐野さんと山本さんの迫力の方が勝ってしまい声が埋もれてしまって何を歌っていたのかよく分からなかったのが残念でした。

 

河村彩さん(カルロッタ)・永井崇多宏さん(ピアンジ)

河村カルロッタは久し振りに観たのですが、初めて出会った時に比べると歌声も太く伸びのある迫力ボイスを聴かせてくれてとても素晴らしかったです!それに支配人のオフィス場面ではウィンクしたりするチャーミングさもあって、なんだか見ていて憎めないカルロッタでした。

永井さんのピアンジも久しぶりでしたが、こんなに可愛かったけ!?と(笑)。「ハンニバル」の稽古の時も登場するときにパタパタって焦って出てくるみたいな感じになってたしw、「歌いづらくてね!」と文句を言いながらも正しい音で歌えた後にニコって笑顔を見せるところなんか、見てて萌えるほど可愛かったですよ(笑)。

この二人のコンビ、なんか癒されちゃったかも😊w。

 

黒柳安奈さん(メグ・ジリー)

クリスティーヌを心配する親友のメグですが、全体的には可愛くてよかったとは思うのですけど…ただ、歌が安定して聞こえなかったのが残念です。メグ役の女優さんはこれまでもけっこう不安定な方が演じることが多いんですけど…😅、今回も個人的にはちょっと…って感想でした(苦笑)。
たぶん完璧な歌唱力の役者さんが多かったので目立ってしまったのかもしれないのですが…もう少し頑張ってほしい気がします。

 

後述

初めて観るお客さんも多かったようで、舞台中は拍手のタイミングが分からないといった雰囲気があり・・・東京で見た時にはあった拍手が今回はなかったなと思うシーンが何回かありました。

が、カーテンコールはすごく盛り上がって!!3回目くらいからスタンディングが起こって最終的にはほぼオールスタンディング状態になるくらい熱かったです😆。私もけっこう早い段階で立ちましたよ!そのくらい素晴らしい舞台でした。
全部で6-7回くらいあったかな。広島でこんなに盛り上がってる現場を見れて嬉しかったですし、役者さんたちも感動した表情を浮かべていたのがとても印象的でした。

広島はあと2回予定しています。次もいい観劇ができますように。

 

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